説明

自動取引装置の障害発生時の取引継続方法

【課題】自動取引装置の利用中に障害が発生した場合、利用者に対して取扱中止を表示し、復旧の予告メッセージを表示することにより、利用者は自動取引装置の取扱が不可能であることは理解できるが、障害により中断された取引を再開するためには自動取引装置の障害復旧を待たねばならない。
【解決手段】センターサーバ100により稼動状況が管理された自動取引装置200において、取引中に障害が発生し取引が中断された場合、障害情報をセンターサーバに送信する。自動取引装置200は、センターサーバから送信された取扱可能な他の自動取引装置の情報を表示部に表示し、利用者によって選択された自動取引装置の情報と中断された取引情報をレシートに印字して出力する。利用者によって選択された自動取引装置に、このレシートを読み取らせることにより、選択された自動取引装置にて中断された取引を継続して再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現金自動取引装置(以下、ATMとする)や両替機など、取扱うサービスに関わらず利用者に対して自動で取引を行う自動取引装置と、複数店舗に設置された同一サービスを提供する自動取引装置を一元管理し、自動取引装置の稼動状況を随時把握するセンターサーバとをネットワークを介在して相互に通信可能とし、センターサーバと自動取引装置を用いて自動取引サービスを行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引サービスを行うシステムにおいては、自動取引装置が障害等の事由によりサービスを提供できない場合、利用者に対して取扱中止等を表示することで自動取引装置の取扱が不可能である旨を伝えている。特許文献1には、ATMに障害が発生した場合、顧客サービス向上のため、障害発生時の取扱状況表示方法が開示されている。この方法によれば、ATMに障害が発生した際には遠隔操作により復旧を行い、復旧が行えない場合には障害対応メッセージをATMへ表示する。そして障害の復旧予定が判明した後に、遠隔操作により復旧の予告メッセージをATMへ表示することで、障害の復旧に至る経過措置を明示し、顧客サービスの向上を図っている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−40448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動取引装置を利用した取引中に障害が発生した場合、利用者は自動取引装置の取扱が不可能である旨は理解できるが、障害により中断された取引を再開するためには自動取引装置の障害復旧を待たねばならない。
本発明は上記問題点を解決するためになされ、中断された取引を継続して再開することを可能とする自動取引装置の障害発生時の取引継続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために、障害が発生した自動取引装置から、障害により中断された取引情報をレシートとして出力し、そして、取扱可能な他の自動取引装置に、前記レシートから中断された取引情報を読み取らせることで、中断された取引を継続して再開するものである。
また、センターサーバから取引再開可能な他の自動取引装置の設置場所を取扱中止の自動取引装置へ通知し、取扱中止の自動取引装置にて表示することで、取引が中断された利用者へ取引再開可能な自動取引装置の設置場所を案内するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自動取引装置の障害発生により中断された取引を、継続して再開することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明が適用される自動取引システムの構成図である。自動取引システムは、センターサーバ100と、各店舗300〜302に設置されている自動取引装置200〜203と、センターサーバ100と自動取引装置200〜203を通信可能とするネットワーク110とから構成されている。センターサーバ100は、各店舗300〜302に設置されている自動取引装置200〜203の稼動状況や取引情報を管理する。具体的には、自動取引装置200〜203が“正常に稼動している”あるいは“払出現金不足により取扱中止になっている”などの稼動状況や、1取引毎に各金種の入出金数や取引時間などの取引情報である。
【0008】
自動取引装置200〜203は、図2に示すように、制御部210と、利用者操作部220と、スキャン入力部230と、取引媒体取扱部240と、レシート出力部250と、情報表示部260とを有する。制御部210は利用者操作部220〜情報表示部260等を統括制御するように構成され、センターサーバ100との通信を行う通信部270を有する。
利用者操作部220は利用者が行う取引の操作手段として用いる。レシート出力部250は取引明細や、障害発生時における取引中断までの取引内容等の取引情報をレシートとして印字、出力する。図3は障害発生により取引が中断された際に、レシート出力部250から出力されるレシートの例を示す。図3では取引情報を記述する方式として二次元バーコードを用いている。スキャン入力部230はこの図3に示すレシートの二次元バーコードから取引情報を読み取る。取引媒体取扱部240は取引の対象となる媒体を扱う。例えば両替機であれば、現金の入出金を行う。情報表示部260は自動取引装置の操作案内、取引内容、障害時の案内などを表示する。
【0009】
次に、本発明の実施例による、自動取引装置の取引中に発生した障害時の処理について説明する。図4は店舗A300の自動取引装置200において障害発生により取引が中断された場合の動作フロー、図5はセンターサーバ100の動作フローを示す。店舗A300の自動取引装置200にて利用者が取引を開始し(ステップS400)、取引中に障害が発生すると、その取引は中断されてしまう(ステップS401)。障害発生により取引が中断されると、自動取引装置200はセンターサーバ100へ障害発生の情報を送信する(ステップS402)。
センターサーバ100は自動取引装置200の障害情報を受信すると(ステップ500)、自動取引装置200の稼動状況を取扱中止として登録する(ステップ501)。そして、現在正常に稼動している自動取引装置および設置されている他店舗を検索する(ステップ502)。検索の結果、店舗B301の自動取引装置201および店舗C302の自動取引装置202、203が正常に稼動している場合、これらの装置情報と、店舗B301及び店舗C302の住所や電話番号等の店舗情報を自動取引装置200へ送信する(ステップ503)。
自動取引装置200は、センターサーバ100から他店舗情報を受信すると(ステップ403)、受信した店舗B301と店舗C302の店舗情報を情報表示部260に表示し(ステップ404)、利用者に取引再開を行う店舗を選択させる(ステップ405)。そして図6の例に示すような、中断された取引情報や選択された店舗情報等の情報を二次元バーコードに変換し、レシート出力部250よりレシートに印字、出力する(ステップ406)。さらに自動取引装置200は、二次元バーコードに変換した内容と同様の情報をセンターサーバ100へ送信し(ステップ407)、以降障害が復旧するまで取扱可能な近隣他店舗の情報を表示し続ける(ステップ408)。
センターサーバ100は自動取引装置200から送信されてきた情報を受信すると、その情報を登録する(ステップ504)。
【0010】
次に、取引再開の処理について説明する。図7は図4のステップ405にて利用者が選択した店舗B301の自動取引装置201にて、中断された取引を再開する動作フロー、図8はセンターサーバ100の動作フローを示す。利用者は取引中断時に取得した、図3に示すような、中断された取引情報を持つ二次元バーコードが印字されたレシートを、店舗B301の自動取引装置201のスキャン入力部230で読み取らせる(ステップ410)。店舗B301の自動取引装置201は、スキャン入力部230で読み取った取引情報をセンターサーバ100へ送信する(ステップ411)。
センターサーバ100は自動取引装置201が送信する情報を受信すると(ステップ510)、ステップ504にて登録した情報との照合を行う(ステップ511)。取引再開可能であるか、もしくは取引再開を選択した店舗でない場合や、すでに再開された取引であった場合等のように取引再開不可であるかを判定し、その結果を自動取引装置201へ送信する(ステップ512)。
自動取引装置201はステップ411にて送信した情報の照合結果をセンターサーバ100から受信し(ステップ412)、取引再開可能であれば取引を再開し(ステップ413、414)、取引再開不可であれば終了する。そして、再開した取引が正常に終了すると(ステップ415)、取引情報をセンターサーバ100へ送信し(ステップ416)、処理を終了する。
センターサーバ100は自動取引装置201から正常に終了した取引情報を受信すると(ステップ513)、店舗A300の自動取引装置200にて発生した障害により中断された取引情報の登録を削除する(ステップ514)。以降、ステップ406にて出力されたレシートを自動取引装置201〜203あるいは障害復旧し取扱可能となった店舗A300の自動取引装置200にて読み取っても、既に取引は終了したものとして取引を行うことはできない。
【0011】
なお、本実施例においては、取扱可能な自動取引装置を設置している他店舗を選択させ、その店舗でのみ中断された取引を再開しているが、この態様については種々考えられる。例えば、店舗C302のように一つの店舗内に複数の自動取引装置を設置している場合であれば、同店舗内の取扱可能な自動取引装置にて中断された取引を再開することもできる。また、取引を行っていた店舗A300を取引再開ができる店舗の選択肢に含め、取引中止となった自動取引装置200が復旧した後に取引を再開することもできる。
【0012】
以上説明したように上記実施例によれば、次のような効果がある。
(1)取引中に発生した障害により取引が中断された利用者がすぐに取引を再開したい場合、他の自動取引装置へ行くことで、障害復旧まで待たずに早期の取引再開が可能となる。
(2)取引中に発生した障害により取引が中断された利用者が、同じ自動取引装置で取引を再開したい場合、障害復旧まで利用者をその場に拘束することなく、利用者は障害復旧後に再度訪れることで、取引再開が可能となる。
(3)取扱可能な他の自動取引装置の設置場所を表示することで、取扱中止中の自動取引装置を訪れた利用者へ、取扱可能な他の自動取引装置を案内することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明が適用される自動取引システムの構成図である。
【図2】自動取引装置のブロック構成図である。
【図3】レシート出力部より印字、出力されるレシートを模式的に表した図である。
【図4】本発明の実施例による障害発生により取引を中断した自動取引装置の動作フロー図である。
【図5】図4に示す動作時におけるセンターサーバの動作フロー図である。
【図6】レシートとして出力される取引情報の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施例による中断された取引を再開する自動取引装置の動作フロー図である。
【図8】図7に示す動作時におけるセンターサーバの動作フロー図である。
【符号の説明】
【0014】
100…自動取引装置200〜203を一元管理するセンターサーバ、
110…ネットワーク、
200,201,202,203…自動取引装置、
210…制御部、
220…利用者操作部、
230…スキャン入力部、
240…取引媒体取扱部、
250…レシート出力部、
260…情報表示部、
270…通信部、
300,301,302…自動取引装置200〜203を設置している店舗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動取引装置と、ネットワークを介して前記複数の自動取引装置に接続されたセンターサーバとを有する自動取引システムの障害発生時の取引継続方法において、
利用者が前記自動取引装置にて行う取引中に障害が発生した場合、障害が発生した自動取引装置から、障害情報を前記センターサーバに送信し、
前記障害が発生した自動取引装置は、前記センターサーバから送信された取扱可能な自動取引装置の情報を表示部に表示し、利用者によって選択された自動取引装置の情報及び中断された取引情報をレシートにて出力し、
前記利用者によって選択された自動取引装置に、前記レシートを読み取らせることにより、当該選択された自動取引装置にて中断された取引を継続して再開することを特徴とする自動取引装置の障害発生時の取引継続方法。
【請求項2】
前記表示部に表示される取扱可能な自動取引装置の情報に、取扱可能な自動取引装置の設置場所を含むことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置の障害発生時の取引継続方法。
【請求項3】
前記複数の自動取引装置は、複数の店舗に設置されていることを特徴とする請求項1記載の自動取引装置の障害発生時の取引継続方法。
【請求項4】
前記取扱可能な自動取引装置の中に、障害復旧後の前記障害が発生した自動取引装置が含まれていることを特徴とする請求項1記載の自動取引装置の障害発生時の取引継続方法。
【請求項5】
前記障害が発生した自動取引装置は、前記レシートの情報を前記センターサーバに送信し、前記センターサーバは取引を継続した自動取引装置が読み取った前記レシートの情報と前記障害が発生した自動取引装置から受信した情報を照合し、照合の結果を前記取引を継続した自動取引装置に送信し、前記取引を継続した自動取引装置は前記センターサーバから受信した照合結果が取引再開可能の場合に取引を再開することを特徴とする請求項1記載の自動取引装置の障害発生時の取引継続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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