説明

自動取引装置入金制御システム

【課題】自動取引装置を使用して簡便に寄付や募金あるいは集金をすることができ、金融機関の送金システムの負荷を軽減する。
【解決手段】寄付、募金または集金の受け付け要求操作に従って起動する特定処理起動手段40と、現金の投入を受け付ける現金取り扱い機34と、受け付けた現金の計数結果68を表示する手段と、該当する現金の処理を承認する操作に従って、受付け金額74を表示した受付票72を印刷するプリンタ35と、受付け金額74を、自動取引装置12の取り扱う現金を直接管理する金融機関の特定口座26への入金として処理し、該当する特定預かり金処理が実行されるたびに、受付け金額74を累積加算して累積預かり額76を記憶装置28に記憶させる口座入金処理手段42と、所定の送金指示が入力されたとき、指定された口座に一括送金する一括送金手段46を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関に設けられた自動取引装置を使用して簡便に寄付や募金あるいは集金をすることができる、自動取引装置入金制御システムと入金制御プログラムと記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関には、預貯金を取り扱う自動取引装置が設けられている。この自動取引装置を用いて、現金を予め決められた口座に送金することができる。従って、自動取引装置を利用して、例えば、地震や災害復旧支援のための寄付や募金を受け付ける口座への送金ができる。この送金操作で、相手先口座番号等の入力作業を省略できるようにしたシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3132140号公報
【特許文献2】特許3444682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
寄付や募金を受け付ける口座は予め固定されているから、その口座番号等の入力作業を省略できれば、操作が簡単になり送金間違いも減る。その結果、自動取引装置の操作時間が短縮され、利用者の便宜を図ることができる。しかしながら、例えば、地震や風水害の被災地に対する募金となると、短期間に比較的少額の大量の送金処理が集中的に発生する。これは、金融機関の送金システムの大きな負荷になる。また、寄付や募金を受け付ける口座利用者には大量の送金記録が届けられ、その受領も管理も煩雑になる。一方、例えば、多数の系列販売店を持つ物販会社が、各販売店の売上金を集金する場合にも、同様の送金システムが利用できる。しかし、この場合にも、振り込みカードの管理が発生し、さらに、金融機関毎に定められた送金手続きが可能な時間内での手続きが必要になる。これは、各販売店の担当者の業務を制約する結果になる。
上記の課題を解決するために、本発明は、自動取引装置を使用して簡便に寄付や募金あるいは集金をすることができ、しかも、金融機関の送金システムの負荷を軽減することができる、自動取引装置入金制御システムと入金制御プログラムと記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
自動取引装置に設けられたディスプレイに、寄付、募金または集金の受け付けを要求する画面を表示する手段と、現金投入口から現金の投入を受け付けて、金庫に収納する現金取り扱い機と、前記現金取り扱い機で受け付けた現金の計数結果を前記ディスプレイに表示する手段と、前記現金の計数結果を前記ディスプレイに表示した後に、該当する現金の処理を承認する操作がされたとき、特定預かり金処理を開始させる特定処理起動手段と、前記現金の計数結果を使用して、受付け金額を表示した受付票を印刷する印刷手段と、前記受付け金額を、前記自動取引装置の取り扱う現金を直接管理する金融機関の特定口座への入金として処理し、該当する特定預かり金処理が実行されるたびに、前記受付け金額を累積加算して累積預かり額を記憶装置に記憶させる口座入金処理手段と、所定の送金指示が入力されたとき、前記特定口座の累積預かり額に相当する金額を、指定された口座に一括送金し、前記特定口座から前記累積預かり額を差し引く一括送金手段を備えたことを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の自動取引装置入金制御システムにおいて、前記特定口座は、前記自動取引装置の取り扱う現金を直接管理する金融機関の預かり金専用口座であって、無利子扱いの口座であることを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【0007】
〈構成3〉
構成1または2に記載の自動取引装置入金制御システムにおいて、前記一括送金が行われたとき、該当する累積預かり額の内訳を示す預かり金リスト表示を生成する預かり金リスト生成手段を備えたことを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【0008】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載の自動取引装置入金制御システムにおいて、前記特定口座は、寄付または募金を受け付けて預かるための口座であることを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【0009】
〈構成5〉
構成4に記載の自動取引装置入金制御システムにおいて、前記特定口座には、指定された利用者のための預かり金の入金が許可され、該当する累積預かり額が、指定された日時に、前記利用者の指定された口座に送金されることを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【0010】
〈構成6〉
構成5に記載の自動取引装置入金制御システムにおいて、前記特定処理起動手段は、識別情報の入力を受け付けて、預かり金の入金元と前記指定された口座を特定することを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【0011】
〈構成7〉
コンピュータにより制御される自動取引装置を、自動取引装置に設けられたディスプレイに、寄付、募金または集金の受け付けを要求する処理要求ボタンを表示する手段と、現金投入口から現金の投入を受け付けて、金庫に収納する現金取り扱い機と、前記現金取り扱い機で受け付けた現金の計数結果を前記ディスプレイに表示する手段と、前記現金の計数結果を前記ディスプレイに表示した後に、該当する現金の処理を承認する承認ボタンが操作されたとき、特定預かり金処理を開始させる特定処理起動手段と、前記現金の計数結果を使用して、受付け金額を表示した受付票を印刷する印刷手段と、前記受付金額を、前記自動取引装置の取り扱う現金を直接管理する金融機関の、特定口座への入金として処理し、該当する特定預かり金処理が実行されるたびに、前記受付金額を累積加算して累積預かり額を記憶装置に記憶させる口座入金処理手段と、所定の送金指示が入力されたとき、前記特定口座の累積預かり額に相当する金額を、指定された口座に一括送金し、前記特定口座から前記累積預かり額を差し引く一括送金手段として、機能させる自動取引装置入金制御プログラム。
【0012】
〈構成8〉
構成7に記載の自動取引装置入金制御プログラムを記録した記録媒体。
【発明の効果】
【0013】
〈構成1の効果〉
特定預かり金処理を実行することにより、投入された現金を、自動取引装置の取り扱う現金を直接管理する金融機関の特定口座への入金として処理する。送金指示が入力れるまで、その特定口座の預かり金として処理するので、入金のつど送金処理が発生しない。従って、多数の入金に対して、自動取引装置のコンピュータの負荷を軽減できる。
〈構成2の効果〉
自由に無制限に入金を受け付けて、金利計算処理等が不用な特定口座を設けることにより,簡便な預かり処理ができる。
〈構成3の効果〉
寄付、募金、集金ともに、一括送金先の口座名義人にとって、預かり金リスト表示が利用できれば、内訳の確認が容易になる。
〈構成4の効果〉
寄付や募金のように、随時不特定多数の利用者から比較的少額の入金を頻繁に受け付ける場合に、本発明は有効に機能する。
〈構成5の効果〉
系列店舗や営業マン等からの売上金の回収と集金処理に利用すれば、本発明は有効に機能する。
〈構成6の効果〉
識別情報を入力する手段を利用すれば、振り込みカード等は不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の具体的なシステム構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明のシステムの概略機能を説明する説明図である。
【図3】比較のための既知の寄付や集金システムの機能を説明する説明図である。
【図4】本発明による集金処理の機能を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施例による自動取引装置の動作フローチャートである。
【図6】入出金処理画面48の具体例を示す説明図である。
【図7】共同募金操作画面52の具体例を示す説明図である。
【図8】投入金額確認画面58の具体例を示す説明図である。
【図9】集金処理時の動作フローチャートである。
【図10】特定集金操作画面の具体例説明図である。
【図11】投入金額確認画面の具体例説明図である。
【図12】一括処理動作例を示すフローチャートである。
【図13】一括送金処理画面80の具体例説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
既存技術では、予め振り込み先の口座番号を記憶装置に記憶させておき、自動取引装置へ入金をして「募金」と表示されたボタンを押すと、該当する口座への送金処理が実行される。即ち、募金があるとその金額のいかんにかかわらず全て個別に送金処理がされる。
しかし、寄付や募金はすぐに相手先口座に送金する必要はない。一定期間入金された現金を預かり、プールしてから一括送金することも可能である。本発明では、自動取引装置を管理する金融機関が、自行の金庫に入金された現金を預かり金として処理する。
【0016】
入金した現金を単なる預かり金として処理すれば、金利処理が不要で課税処理も不要になる。少額で多数回の入金があっても、そのつど送金処理は発生しない。例えば、一定の期間毎に累積金額分の一括送金をすることができる。自行の自動取引装置で入金を受付けて、自行の特定口座への入金として処理をするならば、24時間いつでも入金を受け付けることができる。従って、利用者にとっても便利である。
【0017】
全く同様のことを、例えば、多数の系列販売店の売上金集金管理に利用することができる。売上金は、盗難等の様々な犯罪の予防のために、できるだけ頻繁に、しかもすみやかに銀行へ入金したい。特定口座への入金処理として、金利無し、預かりのみというシステムが実現すれば、24時間いつでも自動取引装置を利用して安全に売上金の管理ができる。預かり金は、例えば、次の日の営業時間に、該当する物販会社の個人口座に送金すればよい。
【0018】
なお、一括送金処理は、金融機関の責任者により操作する送金画面を使用するとよい。 送金先を登録しておいて自動送金するといった必要はない。むしろ、必要に応じて最適な送金先を入力して送金することができる。寄付や募金の受付口座を複数持って管理されているような場合に最適な処理ができる。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の具体的なシステム構成を示す機能ブロック図である。
図において、自動取引装置12は、ある金融機関の本店や支店等に設置されたものである。自動取引装置12は、内部ネットワーク18を介して、管理サーバ14や管理者端末装置16と接続されている。管理サーバ14は、金融機関の預貯金取引を管理するコンピュータで、一般預金口座24や特定口座26を管理している。なお、このシステムは、外部ネットワーク20を介して他の金融機関22とも接続されている。他の金融機関22でも、同様にして一般預金口座等を設けて管理している。
【0020】
自動取引装置12の内部には、記憶装置28、演算処理装置30、ディスプレイ32、現金取り扱い機34、プリンタ35等が設けられている。自動取引装置12はコンピュータにより制御され、記憶装置28に記憶されたデータを利用して、入出金処理等の所定の処理を実行する。演算処理装置30に示した各手段は、自動取引装置のコンピュータが実行するコンピュータプログラムのプログラムモジュールである。ディスプレイ32には入出金取引きのための操作画面が表示される。現金取り扱い機34は、入出金される現金を計数し金庫36に収納したりする機能を持つ装置である。プリンタ35は、入出金の結果を記録するレシートを印刷して出力する装置である。
【0021】
入出金処理制御手段38は、自動取引装置に設けられたディスプレイ32に、入出金取引操作のための画面48を表示制御する機能を持つ。この入出金処理画面48には、寄付、募金または集金の受け付けを要求する処理要求ボタン49が含まれている。特定処理起動手段40は、寄付、募金または集金に相当する現金の処理を承認する操作がされたとき、共同募金操作画面52あるいは特定集金操作画面59を表示して、特定預かり金処理を開始させる機能を持つ。
【0022】
口座入金処理手段42は、現金取り扱い機34で受け付けた現金の計数結果68を記憶し、投入金額確認画面58を使用してディスプレイ32に表示し、特定預かり金処理を実行する機能を持つ。さらに、現金の計数結果68を使用して、受付け金額74を表示した受付票72を印刷するように、プリンタ35(印刷手段)を制御する機能を持つ。また、受付け金額74を、自動取引装置12の取り扱う現金を直接管理する金融機関の特定口座26への入金として処理し、該当する特定預かり金処理が実行されるたびに、受付け金額74を累積加算して、累積預かり額76を記憶装置28に記憶させる機能を持つ。
【0023】
一括送金手段46は、一括送金処理画面80をディスプレイ32に表示して、所定の送金指示が入力されたとき、特定口座26から、累積預かり額76に相当する金額を、指定された一般預金口座24等に一括送金し、特定口座26から累積預かり額76を差し引く機能を持つ。さらに、送金記録のために、預かり金リスト78を該当する送金先に送信する機能を持つ。
【0024】
なお、記憶装置28に記憶された識別番号リスト66は、売上金集金処理のために使用されるもので、入金元を区別する番号や記号のリストである。識別番号は、入金元を直接特定する情報のほかに、入金操作に使用された自動取引装置を識別する情報を含めてもよい。預かり金リスト78に、受付け金額74とともに入金元を区別する情報を付加するが、このとき、入金操作に使用された自動取引装置を識別する情報も含めておくと、入金操作をした担当者等も識別できる。
【0025】
図2は、本発明のシステムの概略機能を説明する説明図である。図3は、比較のための既知の寄付や集金システムの機能を説明する説明図である。
本発明では、図のように、複数の入金処理が実行されたとき、その入金は、該当する金融機関が準備した特定口座26に入金される。入金と同時に預かり金リスト78が生成される。そして、適当なタイミングで、金融機関の責任者の操作により、相手方預金口座82へ一括送金される。そのとき、該当する一括送金の対象になった預かり金リスト78と累積預かり額76とが、送金記録として相手方に送信される。
【0026】
これに対して、既知のシステムでは、図3のように、入金処理のたびに、その額の多少に関わらず、相手方預金口座82に対して送金処理を行い、送金者と送金記録を送信する。両者を比較したとき明らかなように、本発明では、投入された現金を特定口座の預かり金として処理するので、入金のつど送金処理が発生しない。従って、多数の入金に対して、自動取引装置のコンピュータの負荷を軽減できる。従って、少額で集中的に入力がされる、災害復旧支援のための寄付金の取り扱い等に有効に機能する。
【0027】
図4は、本発明による集金処理の機能を説明する説明図である。
例えば、このシステムを、物販会社の多数の販売店の売上金の集金に利用できる。売上金は、販売店の担当者により最寄りの自動取引装置から随時入金される。その入金は、特定口座26の預かり金として処理される。そして、預かり金は、例えば、次の日の営業時間に、該当する物販会社の預金口座82に一括送金処理する。このとき、預かり金リスト78と累積預かり額76とが同時に送金記録として物販会社に送信される。預かり金リスト78には、識別番号等による送金者リストも含められる。これにより、いつどこからいくらの売上金が集金されたかを確認できる。販売店の担当者は随時、繰り返し売上金を自動取引装置に入金して、安全に売上金の管理をすることができる。
【0028】
この特定口座26は、自動取引装置の取り扱う現金を直接管理する金融機関の預かり金専用口座である。自動取引装置の取り扱う現金を直接管理する金融機関であるから、入金をその金融機関の責任で管理できる。受付票72は預かり証的な役割をもつ。特定口座26は、無利子扱いの口座とする。利用者の便宜のためのサービスシステムだから、問題はない。このため、自由に無制限に入金を受け付けて、金利計算処理等が不用な簡便な預かり処理ができる。
【0029】
一括送金が行われると、その送金の内容を相手方に通知する必要がある。そこで、該当する累積預かり額76の内訳を示す預かり金リストを出力する。なお、特定口座26に指定された利用者のための預かり金の入金が許可されているとき、該当する累積預かり額が、指定された日時に、その利用者の指定された口座に自動的に送金されるようにしても構わない。一括送金手段46がこの自動処理を実行すればよい。
【実施例2】
【0030】
図5は、本発明の実施例による自動取引装置の動作フローチャートである。また、図6は、入出金処理画面48の具体例を示す説明図、図7は、共同募金操作画面52の具体例を示す説明図、図8は、投入金額確認画面58の具体例を示す説明図である。
以下、フローチャートと、各タイミングで表示される操作画面の例をもちいて、本発明の自動取引装置の動作例を説明する。
【0031】
まず、図5のステップS11で、入出金処理制御手段38(図1)は、入出金処理画面48(図6)の表示をする。この画面には、既知の入出金操作のためのボタンのほかに、本発明を実施するために新たに設けられた処理要求ボタン49が含まれている。ステップS12でこの処理要求ボタンの表示をする。もちろん、実際には、入出金処理画面48中のボタンは全て同時に表示されてよい。この例では、例えば、共同募金処理ボタン50と特定集金処理ボタン51とが、処理要求操作のためのボタンである。
【0032】
始めに、共同募金処理ボタン50が操作された場合を説明する。ステップS13で処理要求が有ったかどうかという判断をする。共同募金処理ボタン50が操作されて、この判断の結果がイエスのときはステップS14の処理に移行し、ノーのときはステップS11の処理に戻る。ステップS14では、特定処理起動手段40(図1)が、図7に示した共同募金操作画面52の表示をする。
【0033】
共同募金操作画面52には、共同募金の入金を受け付けるメッセージが含まれている。(ステップS15)。寄付金の受付等も同じ要領で行う。現金取り扱い機34を操作して入金をしたら、次へボタン54を操作する。処理中止のときは、戻るボタン56を操作すればよい。口座入金処理手段42(図1)は、現金取り扱い機34から、現金の計数結果68を受け付ける。そして、ステップS16で、図8に示した投入金額確認画面58の表示をする。この画面中には、現金の計数結果68が表示されている。
【0034】
ステップS17では、取消しボタン62が操作されたかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS18の処理に移行し、投入金の返却をする。ノーのときはステップS19の処理に移行する。ステップS19では、承認ボタン60が操作されたかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS20の処理に移行し、ノーのときは全ての処理を終了する。
【0035】
承認ボタン60が操作されたとき、ステップS20に進み、口座入金処理手段42(図1)は、特定口座26(図1)への入金処理をする。図1において、現金の計数結果68は受付け金額74として記憶装置28に記憶される。口座入金処理手段42(図1)は、ステップS21で、記憶装置28に記憶された受付け金額74を参照する。そして、受付け金額74を表示した受付票72をプリンタ35(図1)に印刷させる(ステップS22)。預かり金リスト生成手段44(図1)は、ステップS23で、預かり金リスト78を生成する。募金や寄付は入金元が無記名だから、入金日時や入金金額と受け付けた自動取引装置の装置番号等を預かり金リスト78に含めるとよい。
【0036】
図9は、集金処理時の動作フローチャートである。図10は特定集金操作画面の具体例説明図、図11は、投入金額確認画面の具体例説明図である。
集金処理では、図5のステップS12以降、ステップS16までの処理が少し異なる。ステップS31で処理要求ボタンの表示をするが、これは、図6に示したとおりの入出金処理画面48の表示である。ここで、ステップS32で、特定集金処理ボタン51が操作されたかどうか、即ち、集金の処理要求が有ったかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS33の処理に移行し、ノーのときはステップS31の処理に戻る。
【0037】
ステップS33では、特定処理起動手段40(図1)が、図10に示した特定入金操作画面59の表示をする。この画面には、識別情報の入力受付けをする識別番号入力欄64が設けられている。ここに、入金元が所定の識別番号を入力する(ステップS34)。入力が終わったら、次へボタン54を操作する。処理を中止するときは、戻るボタン56を操作する。次のステップS35では、投入金額確認画面58の表示をする。この画面には現金の計数結果68が含まれている。その後は、図5のステップS17以降に進む。
【0038】
上記のように、特定処理起動手段40(図1)は、特定集金操作画面59により識別情報の入力を受け付けて、識別番号リスト66を参照して、預かり金の入金元とその後の送金先口座を自動的に特定する。そして該当する特定口座26への入金処理をする。特定口座26は、送金先毎に専用のものを設けてもよいし、集金処理用として複数の送金先について共用するものでもよい。入金元と送金先口座と累積預かり額76等を含む預かり金リスト78を生成しておけばよい。また、上記のように、画面を操作して送金元の識別情報を入力する手段を利用すれば、振り込みカード等は不要になる。既に説明したように、送金元をより確実に識別するために、送金を扱った自動取引装置の識別情報を同時に記録しておいてもよい。
【0039】
図12は一括処理動作例を示すフローチャートで、図13は、一括送金処理画面80の具体例説明図である。
金融機関の管理者は、図1に示した管理者端末装置16を操作して、随時、あるいは定期的に一括送金処理を実行する。また、定期的に一律の処理をする場合には、管理サーバ14が自動的に一括送金処理を実行する。まず、一括送金手段46(図1)が、ステップS41で、一括送金処理画面80を表示して、一括送金処理を開始する。
【0040】
ステップS42では、送金先選択欄84を利用して、送金先の選択を受付ける。送金先が選択されると、一括送金手段46は預かり金リスト78(図1)を参照して、自動的に累積預かり額76の表示をする(ステップS43)。管理者はこれらの表示により、一括送金処理の内容を確認する。そして、ステップS44で、送金指示ボタン86が操作されたかどうかを判断する。即ち、送金指示があったかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS45の処理に移行し、ノーのとき、即ち、取消しボタン62が操作されたときはステップS41の処理に戻る。
【0041】
ステップS45では、一括送金処理を実行する。そして、送金先に対して、ステップS46で預かり金リスト78の送信をする。ステップS47で累積預かり額76の送信をする。これらの送信には電子メールを使用してもよいし、あるいは、印刷された記録を郵送で発送するための指示書を印刷出力してもよい。
【0042】
以上のとおりの本発明を利用する事によって、募金や寄付を行うときに、募金者は銀行キャッシュカードを用いる必要が無く、送金処理に伴う煩雑な自動取引装置の操作も不要になる。従って、機械に不慣れな人でも簡便に募金や寄付の手続きが可能となる。
また、装置の操作が簡便になることによって、利用者が装置を占有する時間が短くなり、利用者の待ちの行列が出来る事の抑制にもつながる。同時に、銀行間送金処理の回数が大幅に減少するので、利用者の送金手数料の負担も軽減される。
一方、売上金の集金等の特定利用者についても、送金元に銀行キャッシュカードや通帳や振り込みカード等を所持させる必要がなく、カード管理の手数を省くことができる。さらに、取引の安全性を確保し、カード発行費用も節約できる。また、1個の指定された口座に対して複数個の識別情報が利用できるという効果がある。なお、預かり金の入金元と指定された口座を特定するための識別情報は、例えば、1回限りとか、当月限りといったワンタイム式のものにすれば、識別情報の管理が容易になる。また、指定された口座についても、当月限りといったワンタイム式のものにすれば、取引の安全を確保できる。
【0043】
なお、自動取引装置にインストールされたコンピュータプログラムは、それぞれ独立したプログラムモジュールを組み合わせて構成してもよいし、全体を一体化したプログラムにより構成してもよい。コンピュータプログラムにより制御される処理の全部または一部を同等の機能を備えるハードウエアで構成しても構わない。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。上記のような本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の自動取引装置にインストールして利用することができる。また、ネットワークを通じて任意の自動取引装置のメモリ中にダウンロードして利用することもできる。
【符号の説明】
【0044】
12 自動取引装置
14 管理サーバ
16 管理者端末装置
18 内部ネットワーク
20 外部ネットワーク
22 他の金融機関
24 一般預金口座
26 特定口座
28 記憶装置
30 演算処理装置
32 ディスプレイ
34 現金取り扱い機
35 プリンタ
36 金庫
38 入出金処理制御手段
40 特定処理起動手段
42 口座入金処理手段
44 預かり金リスト生成手段
46 一括送金手段
48 入出金処理画面
49 処理要求ボタン
50 共同募金処理ボタン
51 特定集金処理ボタン
52 共同募金操作画面
54 次へボタン
56 戻るボタン
58 投入金額確認画面
59 特定集金操作画面
60 承認ボタン
62 取消しボタン
64 識別番号入力欄
66 識別番号リスト
68 現金の計数結果
72 受付票
74 受付け金額
76 累積預かり額
78 預かり金リスト
80 一括送金処理画面
82 相手方預金口座
84 送金先選択欄
86 送金指示ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置に設けられたディスプレイに、寄付、募金または集金の受け付けを要求する画面を表示する手段と、
現金投入口から現金の投入を受け付けて、金庫に収納する現金取り扱い機と、
前記現金取り扱い機で受け付けた現金の計数結果を前記ディスプレイに表示する手段と、前記現金の計数結果を前記ディスプレイに表示した後に、該当する現金の処理を承認する操作がされたとき、特定預かり金処理を開始させる特定処理起動手段と、
前記現金の計数結果を使用して、受付け金額を表示した受付票を印刷する印刷手段と、
前記受付け金額を、前記自動取引装置の取り扱う現金を直接管理する金融機関の特定口座への入金として処理し、該当する特定預かり金処理が実行されるたびに、前記受付け金額を累積加算して累積預かり額を記憶装置に記憶させる口座入金処理手段と、
所定の送金指示が入力されたとき、前記特定口座の累積預かり額に相当する金額を、指定された口座に一括送金し、前記特定口座から前記累積預かり額を差し引く一括送金手段を備えたことを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置入金制御システムにおいて、
前記特定口座は、前記自動取引装置の取り扱う現金を直接管理する金融機関の預かり金専用口座であって、無利子扱いの口座であることを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動取引装置入金制御システムにおいて、
前記一括送金が行われたとき、該当する累積預かり額の内訳を示す預かり金リスト表示を生成する預かり金リスト生成手段を備えたことを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の自動取引装置入金制御システムにおいて、
前記特定口座は、寄付または募金を受け付けて預かるための口座であることを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の自動取引装置入金制御システムにおいて、
前記特定口座には、指定された利用者のための預かり金の入金が許可され、該当する累積預かり額が、指定された日時に、前記利用者の指定された口座に送金されることを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載の自動取引装置入金制御システムにおいて、
前記特定処理起動手段は、識別情報の入力を受け付けて、預かり金の入金元と前記指定された口座を特定することを特徴とする自動取引装置入金制御システム。
【請求項7】
コンピュータにより制御される自動取引装置を、
自動取引装置に設けられたディスプレイに、寄付、募金または集金の受け付けを要求する処理要求ボタンを表示する手段と、
現金投入口から現金の投入を受け付けて、金庫に収納する現金取り扱い機と、
前記現金取り扱い機で受け付けた現金の計数結果を前記ディスプレイに表示する手段と、前記現金の計数結果を前記ディスプレイに表示した後に、該当する現金の処理を承認する承認ボタンが操作されたとき、特定預かり金処理を開始させる特定処理起動手段と、
前記現金の計数結果を使用して、受付け金額を表示した受付票を印刷する印刷手段と、
前記受付金額を、前記自動取引装置の取り扱う現金を直接管理する金融機関の、特定口座への入金として処理し、該当する特定預かり金処理が実行されるたびに、前記受付金額を累積加算して累積預かり額を記憶装置に記憶させる口座入金処理手段と、
所定の送金指示が入力されたとき、前記特定口座の累積預かり額に相当する金額を、指定された口座に一括送金し、前記特定口座から前記累積預かり額を差し引く一括送金手段として、機能させる自動取引装置入金制御プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の自動取引装置入金制御プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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