説明

自動取引装置

【課題】 自動取引装置の周辺において、装置の利用者が忘れ物をした場合に、この忘れ物をした利用者を特定あるいは推定する。
【解決手段】 手荷物台1に置き忘れられた、装置の利用者の手荷物、傘等の忘れ物を検出する利用者感知センサ43並びに荷物センサ41a若しくは傘置センサ42aと、利用者との取引情報を主に記録するハードディスク29と、忘れ物が各センサにより検出されたときの忘れ物情報、例えばITVカメラ44によって撮像された装置周辺の画像情報と利用者の取引情報とを関連付けてハードディスク29に記録させる主制御部32と、を具備する自動取引装置を提供する。これにより、利用者の忘れ物が、例えばカード、通帳等の自動取引装置で直接取扱われる物品以外のものであっても、ハードディスク29に記録された情報に基づいて、忘れ物をした利用者を特定あるいは推定することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金融機関等において利用される自動取引装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、利用者の差し出す口座情報が記録された磁気カードや口座情報が記録された磁気ストライプ付きの磁気通帳を受け入れ、ホストコンピュータとの交信を通じて利用者の要求する現金を自動的に支払ったり受け入れる現金自動支払機、現金自動預金機、現金自動預出金機等の自動取引装置が、銀行窓口の自動化装置として急速に発展し、各金融機関に導入されて利用者に迅速なサービスを提供している。
【0003】また、最近では、現金を受け入れその受け入れた現金を他の銀行口座に振り込んだり、カード取り引きにより自分の口座から所定金額を他の銀行口座に振り込んだりする自動振込取り引きを行うものが開発され、実用化されている。
【0004】このような自動取引装置には、カード、通帳、現金又は明細書等の媒体の専用取出口において取り忘れを検出した場合に警告音等を発生して利用者にそれらの取り出しを促す機能、あるいは、忘れ物をした利用者を特定できるように、忘れ物が発生した場合にその履歴を記録する機能などが設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近、自動取引装置の周辺には手荷物等の置台、傘立て等の様々な備品を設置する店舗も増えてきており、このような店舗では自動取引装置で直接扱われるもの以外の品目の忘れ物も多く発生することが考えられる。
【0006】本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、装置周辺の忘れ物の発生を食い止める効果があり、さらに忘れ物をした利用者を特定あるいは推定することのできる自動取引装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の自動取引装置は、請求項1に記載されているように、装置の周辺の利用者の忘れ物を検出する忘れ物検出手段と、前記利用者との取引情報を記録する取引情報記録手段と、前記忘れ物検出手段によって得られた検出結果に基づいて忘れ物に関する情報を生成し、この忘れ物情報を前記取引情報記録手段により記録された利用者の取引情報と関連付けて記録する手段とを具備することを特徴とする。
【0008】また、本発明の自動取引装置は、請求項2に記載されているように、請求項1記載の自動取引装置において、前記忘れ物検出手段により忘れ物が検出された場合、その旨を報知する手段をさらに有することを特徴とする。
【0009】さらに、本発明の自動取引装置は、請求項3に記載されているように、請求項1記載の自動取引装置において、装置の周辺を撮像する撮像手段と、前記忘れ物検出手段により忘れ物が検出された場合、前記撮像手段によって得られた画像情報を前記忘れ物情報とともに前記取引情報記録手段により記録された利用者の取引情報と関連付けて記録する手段とをさらに具備することを特徴とする。
【0010】本発明の自動取引装置によれば、当該装置との間で取引きを行う利用者が装置周辺に忘れ物をした場合でも、この利用者の取引情報と、この忘れ物に関する情報、例えば忘れ物が検出されたときの装置周辺の画像情報とを、関連付けて記憶することができる。したがって、利用者の忘れ物が、例えばカード、通帳等の自動取引装置で直接取扱われる物品以外のものであっても、自動取引装置に記録された、取引情報と忘れ物情報とが関連付けられた情報に基づいて、忘れ物をした利用者を特定あるいは推定することが可能である。また、本発明の自動取引装置によれば、装置周辺において忘れ物が検出された場合にその旨を報知することができるので、忘れ物の発生自体を抑制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】図1は、本発明の実施形態にかかる自動取引装置の外観を示すものである。
【0013】同図に示すように、この自動取引装置には、当該装置の利用者の所持する手荷物、傘等を置くことのできる専用の手荷物台1が装置本体2の脇に設けられている。装置本体2の前面には、利用者の操作する利用者操作部3がL字状に形成されている。利用者操作部3の水平面には、多数枚の紙幣を一括して投入できる紙幣取扱口4が設けられており、この紙幣取扱口4には開閉自在な扉5が設けられている。
【0014】また、利用者操作部3の水平面には、表示面に透明なタッチセンサパネルを備えたCRT表示装置6が設けられている。このCRT表示装置6は、操作手順、その他の情報を文字、文言、イラストあるいは画像情報によって画面に表示し、利用者を誘導するとともに、数字、カタカナ、アルファベット、確認又は取消等の文字の表示部に対応するタッチセンサパネルの部位を指で触れることにより、暗証番号、金額、口座番号、取引の承認、確認或いは取消等、所望の情報を入力することができる。
【0015】一方、利用者操作部3の垂直面には、利用者を特定する口座番号等の個人識別情報が磁気ストライプ(MS)等に記録されたキャッシュカード、並びに振込先の名称及び口座番号等が記載された振込情報カードが挿入されるカード挿入口7と、磁気通帳又は振込カードが挿入される通帳取扱口8と、取引内容が印字されたレシート(明細書)が排出されるレシート受取口9と、多数枚の硬貨を一括して投入可能な硬貨投入口10と、釣銭等としての硬貨が排出される硬貨受取口11と、特定の操作を係員が専用に行うための係員操作キー12等とが設けられている。
【0016】さらに詳述すると、この自動取引装置には、図2に示すように、カードリーダユニット21と、レシートプリンタユニット22と、通帳プリンタユニット23と、紙幣入出金ユニット24と、硬貨入出金ユニット25と、接客ユニット26と、音声案内ユニット27と、内部モニタ28と、ハードディスク29と、フロッピーディスク装置30と、伝送制御部31と、主制御部32とが設けられている。
【0017】カードリーダユニット21は、カード挿入口7から挿入されたキャッシュカードの磁気ストライプ(MS)から口座番号などの口座情報を読取るMS情報読取部21aと、上記磁気カードのエンボス、及びカード挿入口7から挿入された振込情報カードから振込先の名称、口座番号等の振込情報をイメージデータとして読み込むイメージ読取部21bとを備えている。レーシトプリンタユニット22は、取引内容を印字したレシート(明細書)を発行し、レシート受取口9から排出する。
【0018】通帳プリンタユニット23は、通帳取扱口8から挿入された通帳の磁気ストライプに対してデータの読取り又は書込みを行うとともに、必要に応じて通帳及び記録用のジャーナル用紙への取引内容等の印字を行う。また、振込カードの原券に振込取引の振込情報を記録し、画像情報を印刷することにより、振込カードを通帳取扱口8から排出して発行したり、又は通帳取扱口8から挿入された振込カードの磁気ストライプに対してデータの読取りあるいは書込みを行う。
【0019】紙幣入出金ユニット24は、紙幣取扱口4から一括して投入された紙幣を判別及び計数して収納するとともに、必要に応じて、予め金庫に収納された紙幣を所定枚数のみ取出して紙幣取扱口4へ一括して払出す。硬貨入出金ユニット25は、硬貨投入口10から一括して投入された硬貨を判別及び計数して収納するとともに、必要に応じて、予め金庫に収納された硬貨を所定枚数だけ取出して硬貨受取口10へ一括して払出す。
【0020】接客ユニット26は、CRT表示装置6及びタッチセンサパネル等から構成されている。音声案内ユニット27は、音声により利用者の操作を誘導する案内を主に行う。内部モニタ28は、本装置の運用に係る本装置の状態を係員に通知するとともに、係員による操作指示の入力を行う。ハードディスク29は、本装置の運用に係る処理手順のプログラム、取引に関連する各種の情報や取引の記録、本装置の稼働状況の記録、及び本装置固有に設定された特殊な情報の格納等を主に行うためのものである。フロッピーディスク装置30は、プログラムのインストールや保守データのやりとりを行うためのデータを格納する。
【0021】伝送制御部31は、通信回線を介してセンタのホストコンピュータとオンライン接続されており、必要に応じてホストコンピュータと交信を行う。主制御部32は、フロッピーディスク装置30内のプログラム情報を参照しつつ、各ユニット21〜27と内部モニタ28、ハードディスク29、及び伝送制御部31を制御し、所定の取引動作を行うものとなっている。また、紙幣、硬貨、レシート用紙、ジャーナル用紙、振込カード等の各種媒体の残量チェックを行うとともに、各ユニット21〜27の動作チェックを主に行う。
【0022】集中監視装置34は主制御部32と接続されており、自動取引装置を遠方から監視することができる。また、集中監視装置34は主制御部32によって制御されていることから、内部モニタ28とほぼ同等の情報を表示できるとともに、本装置に異常が発生した場合にブザー等を併用して報知を行うことができる。
【0023】ここで、本実施形態の自動取引装置の構成の特徴である、手荷物台1に置き忘れられた忘れ物の検出機能について詳述する。
【0024】手荷物台1には、荷物載置部41と傘入ボックス42とが設けられており、自動取引装置の利用者が手荷物、傘等を置くことができる。さらに、荷物載置部41には赤外線式の荷物センサ41aが、また傘入ボックス42には傘置センサ42aが、それぞれ配設されており、荷物載置部41と傘入ボックス42とに置かれた手荷物及び傘等をそれぞれ検知する。また、装置本体2の前面にも、センサ41a、42aと同様に、赤外線式センサである利用者感知センサ43が取り付けられている。この利用者感知センサ43は、自動取引装置の前に立って取り引きを行う利用者を検知する。さらに、自動取引装置の近傍には、手荷物台1及び装置本体2の周辺部の映像を捕えるために、ITV(工業テレビ)カメラ44が設置されており、このITVカメラ44によって、自動取引装置を使用する利用者、及び手荷物台1に置かれた手荷物、傘等が撮像される。
【0025】前述した各センサを通じて実際に忘れ物が検出された場合には、主制御部32を介して音声案内ユニット27より手荷物台1に忘れ物があることを示す音声による警告が発生させられる。さらに、主制御部32を介して忘れ物に関する情報と手荷物を所持していた利用者の取引内容とが関連付けられてハードディスク29に記録される。ハードディスク29に記録されたこの情報は、集中監視装置34を通じて自動取引装置の監視を行っている係員に忘れ物の発生を知らせるため、集中監視装置34へ伝送される。この際、集中監視装置34に設けられたブザーが鳴り係員に警告が促される。そして、図3に示すように、例えば自動取引装置に対し出入金した金額等の情報と、忘れ物の検出時刻及びITVカメラ44によって捕捉された忘れ物の画像の番号等とが集中監視装置34に設けられているジャーナルプリンタ等からプリント45として出力される。また、図4及び図5に示すように、集中監視装置34に設けられている操作パネル46を操作することにより、リモートモニタ47に忘れ物画像又は利用者の画像が、忘れ物の検出時刻及び手荷物台1のセンサの番号等とともに写し出される。
【0026】次に、このように構成された自動取引装置により、実際に忘れ物が検出される場合について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0027】まず、自動取引装置にて取引きを行おうとする利用者が利用者感知センサ43により感知されると(S1)、利用者の所持する手荷物、傘等が手荷物台1に置かれたか否かが荷物センサ41a及び傘置センサ42aにより検知される(S2)。荷物センサ41a及び傘置センサ42aにより手荷物等が検知されなかった場合には、利用者による入金又は出金等の所定の処理が終了すると、自動取引装置と当該装置の利用者との間での取引きが無事完了となる。
【0028】一方、荷物センサ41a又は傘置センサ42aにより手荷物等が検知された場合には、利用者との間での所定の取引きが終了し(S4)、利用者感知センサ43により自動取引装置の利用者が感知されなくなったとき(S5)、さらに荷物センサ41a又は傘置センサ42aにより、手荷物、傘等が検知されているか否かが問われる(S6)。利用者感知センサ43により利用者が感知されなくなったにも拘らず、センサ41a又はセンサ42aが手荷物等を依然検知しているときには、この手荷物等は主制御部32により忘れ物であると判定される。この場合、音声案内ユニット27から「手荷物台に忘れ物があります。」等の音声による警告が発生させられる。また、耳が不自由な利用者等を考慮し、例えば自動取引装置のあるフロアの出口に設けられた忘れ物ランプ等が点燈させられる。さらに、図3乃至図5に示すように、自動取引装置と当該利用者との間で取引きされた内容が、主制御部32を介して忘れ物に関する情報と関連付けられてハードディスク29に記録される。ハードディスク29に記録されたこの情報は、係員に忘れ物の発生を知らせるため、集中監視装置34へ伝送される(S7)。
【0029】このように、本実施形態の自動取引装置によれば、当該装置との間で取引きを行った利用者が所持物を手荷物台1に置き忘れた場合でも、この利用者の取引情報と、この忘れ物に関する情報、例えば忘れ物が検出されたときのITVカメラ44により撮像された装置周辺の画像情報とを、主制御部32を介して関連付け、ハードディスク29に記録させることができる。したがって、利用者の忘れ物が、例えばカード、通帳等の自動取引装置で直接取扱われる物品以外のものであっても、ハードディスク29に記録された、取引情報と忘れ物情報とが関連付けられた情報に基づいて、忘れ物をした利用者を特定あるいは推定することが可能である。
【0030】また、本実施形態の自動取引装置によれば、装置周辺において忘れ物が検出された場合にその旨を、行内の係員及び利用者に報知することができるので、忘れ物の発生自体を抑制することができる。さらに、本実施形態の自動取引装置は、例えば係員が集中監視装置34で監視を行っていない場合等にセキュリティ対策としても効果を発揮することができる。
【0031】なお、本実施形態の自動取引装置は、各センサが赤外線式のセンサであったが、例えば手荷物台1における荷物載置部41の荷物センサ41a等は、加圧式のセンサであってもよい。また、本実施形態の自動取引装置の装置本体2には、忘れ物を検出するためのセンサが設けられていなかったが、無論、利用者が財布、カバン等を置く可能性のある利用者操作部3の水平面等には、忘れ物検出用のセンサを設けてもよい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の自動取引装置によれば、当該装置との間で取引きを行う利用者が装置周辺に忘れ物をした場合でも、この利用者の取引情報と、この忘れ物に関する情報、例えば忘れ物が検出されたときの装置周辺の画像情報とを、関連付けて記憶することができるので、利用者の忘れ物が、例えばカード、通帳等の自動取引装置で直接取扱われる物品以外のものであっても、忘れ物をした利用者を特定あるいは推定することができる。また、本発明の自動取引装置によれば、装置周辺において忘れ物が検出された場合にその旨を報知することができるので、忘れ物の発生自体を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる自動取引装置の外観を示す図
【図2】図1の自動取引装置を詳細に示すブロック図
【図3】図1の自動取引装置を監視するための集中監視装置から出力されたプリント
【図4】図3の集中監視装置における操作パネルを概略的に示す図
【図5】図3の集中監視装置におけるリモートモニタを概略的に示す図
【図6】図1の自動取引装置における忘れ物検出処理に関するフローチャート
【符号の説明】
1……手荷物台
2……装置本体
27……音声案内ユニット
29……ハードディスク
32……主制御部
34……集中監視装置
41……荷物載置部
41a……荷物センサ
42……傘入ボックス
42a……傘置センサ
43……利用者感知センサ43
44……ITVカメラ
45……プリント
46……操作パネル
47……リモートモニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 装置の周辺の利用者の忘れ物を検出する忘れ物検出手段と、前記利用者との取引情報を記録する取引情報記録手段と、前記忘れ物検出手段によって得られた検出結果に基づいて忘れ物に関する情報を生成し、この忘れ物情報を前記取引情報記録手段により記録された利用者の取引情報と関連付けて記録する手段とを具備することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】 請求項1記載の自動取引装置において、前記忘れ物検出手段により忘れ物が検出された場合、その旨を報知する手段をさらに有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】 請求項1記載の自動取引装置において、装置の周辺を撮像する撮像手段と、前記忘れ物検出手段により忘れ物が検出された場合、前記撮像手段によって得られた画像情報を前記忘れ物情報とともに前記取引情報記録手段により記録された利用者の取引情報と関連付けて記録する手段とをさらに具備することを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図6】
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【公開番号】特開2000−57416(P2000−57416A)
【公開日】平成12年2月25日(2000.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−229080
【出願日】平成10年8月13日(1998.8.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】