説明

自動取引装置

【課題】自動取引装置に投入された紙幣Mが不揃いである場合、顧客に対し再投入により是正することを促す際、顧客に分かりやすくすること。
【解決手段】自動取引装置の入出金口18に投入された紙幣Mに不揃いがあったことを検出した場合、入出金口18にあるはみ出した紙幣M−1そのものに可視光線を照射する可視光源を設け、これにより反射光Rを目立たせて、それを顧客に気付かせて、顧客が投入した紙幣Mが不揃いであることを報知することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金融機関に設置され、顧客により投入された紙幣を装置内に取込む自動取引装置(ATM)に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関の自動取引装置においては、顧客により入出金口に投入された紙幣を取込みその後各種の処理を行う。ここで、特に顧客が紙幣を投入する方法は人それぞれであり、毎回同じとは限らない。そのため、投入された紙幣の状態は一般に折れ癖や曲がり癖があって一定ではないため、複数の紙幣を一括投入した際、紙幣の端が揃っていない場合がある。
【0003】
自動取引装置では、入出金口に投入された紙幣が斜めに投入された場合や、一括紙幣が不揃いである場合、そのままではその後の処理を継続できない。また、一旦入金を受付けても、その後処理を中断して、顧客に返却する場合もある。しかしながら、顧客にとっては、理由が分からないままこのような状態が続くと戸惑いが生じて操作が中断し、結果的に装置の回転率低下を招くことになる。
【0004】
従来の自動取引装置では、投入紙幣の異常を顧客に報知する手段として、撮影した実写画像又はCG(コンピュータグラフィックス)画像を取引誘導表示部に表示したり、照明用LEDの点滅や音声案内を行う方法(特許文献1)がある。
【0005】
また、再投入によっても是正されない場合には処理内容を具体的に知らせたり、入金受付後の処理を中断した回数に応じてガイダンスの内容を変更する方法(特許文献2)などがある。
【特許文献1】特開2006−58939(第7頁第1行〜第5行、図7(a))
【特許文献2】特開2005−225609(第5頁第49行〜第6頁第20行、図6、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、投入された紙幣の異常を顧客に報知し再投入を促す場合、入出金口の表示や簡単な案内だけでは、顧客がどこをどのように対処すべきか理解するまで時間がかかるという問題がある。また、照明用LEDの点滅や音声案内を行って紙幣の異常を顧客に報知する場合でも同様の問題がある。その結果、処理中断がたびたび起こり、装置の回転率の低下をきたすという問題がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、自動取引装置に投入された紙幣が不揃いである場合、顧客に対し再投入により是正することを促す際、顧客に分かりやすく表示した自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するための手段は、自動取引装置の入出金口に投入された紙幣に不揃いがあったことを検出した場合、カメラで撮った画像を表示部に表示するのではなく、入出金口にあるはみ出した紙幣そのものに可視光線を照射する可視光源を設け、これにより反射光を目立たせて、それを顧客に気付かせて、顧客が投入した紙幣が不揃いであることを報知することである。
【0009】
請求項1に係る自動取引装置は、媒体投入口に投入された媒体を処理する自動取引装置において、媒体投入口に投入された媒体のうち所定の位置からはみ出した媒体に対して可視光線を照射する光源を設けたものである。すなわち、はみ出した媒体に対し可視光線を照射することにより、所定の位置からはみ出した媒体があることを顧客に報知する。媒体が所定の位置にあるとは、後述するように分離繰出手段により正常に媒体を分離繰出すことが出来る位置に媒体が投入されていることをいう。
【0010】
請求項2に係る自動取引装置は、媒体投入口に一括投入された媒体を処理する自動取引装置において、一括投入された媒体のうち揃えられた媒体からはみ出した媒体を検知する検知手段を有し、当該検知手段がはみ出した媒体を検知したとき当該はみ出した媒体に対して可視光線を照射する光源を設けたものである。すなわち、はみ出した媒体に対し可視光線を照射することにより、揃えられた媒体からはみ出した媒体があることを顧客に報知する。
【0011】
請求項3に係る自動取引装置は、請求項2記載の自動取引装置において、前記光源はポイント的に照射する複数の光源からなる。すなわち、媒体投入口内部の広い範囲をカバーするために複数個所に可視光線を照射することにより、揃えられた媒体からはみ出した媒体があることを顧客に報知する。
【0012】
請求項4に係る自動取引装置は、請求項2記載の自動取引装置において、前記光源は可視光線をポイント的に移動させて照射する光源である。すなわち、顧客にははみ出した媒体に反射した可視光が動いて見えので、静止した反射光より目立って見える。
【0013】
請求項5に係る自動取引装置は、請求項2記載の自動取引装置において、前記光源は可視光線をライン状に照射する光源である。すなわち、はみ出した媒体に対し可視光線をライン状に照射することにより、ポイント的な反射光より大きく鮮明に顧客に報知する。
【0014】
請求項6に係る自動取引装置は、請求項2記載の自動取引装置において、前記光源は媒体再投入前に消灯する。すなわち、不揃いであることを報知した後、顧客による媒体の再投入の際、顧客の手が可視光線に照射されないようにする。
【0015】
請求項7に係る自動取引装置は、媒体投入口に一括投入された媒体を処理する自動取引装置において、媒体を投入する顧客の手が媒体投入口に存在することを検知する手挿入検出手段と、一括投入された媒体のうち揃えられた媒体からはみ出した媒体を検知する検知手段を有し、当該検知手段がはみ出した媒体を検知したとき、手挿入検出手段が顧客の手を検出していないことを条件に当該はみ出した媒体に対して可視光線を照射する光源を設けた。すなわち、顧客の手が媒体投入口にまだ残っていて、可視光線に照射されることがないようにする。
【0016】
請求項8に係る自動取引装置は、顧客による媒体の投入の際に開閉するシャッタを有し、シャッタ開後に媒体投入口に一括投入された媒体を処理する自動取引装置において、一括投入された媒体のうち揃えられた媒体からはみ出した媒体を検知する検知手段を有し、当該検知手段がはみ出した媒体を検知したときには前記シャッタを閉めることなく当該はみ出した媒体に対して可視光線を照射する光源を設けた。すなわち、一旦シャッタを閉めることなく可視光線を照射することにより、顧客の戸惑いが生じるおそれがなくなる。
【0017】
請求項9に係る自動取引装置は、媒体投入口に一括投入された媒体を処理する自動取引装置において、一括投入された媒体のうち所定の位置からはみ出す位置に可視光線を照射する光源と、当該光源に対向して設けられ可視光線を受光する受光手段を有し、当該受光手段の出力によりはみ出した媒体を検知し、当該はみ出した媒体に照射された可視光線の反射光によりはみ出した媒体の存在を報知する。すわなち、はみ出した媒体の検知は、光源と、受光手段によって行われる。よって光源は、はみ出した媒体の検出と、はみ出した媒体を顧客に報知する機能を兼用する。
【0018】
請求項10に係る自動取引装置は、媒体投入口に一括投入された媒体を処理する自動取引装置において、媒体の投入を検知する第1の検知手段と、媒体を投入する顧客の手又は媒体のはみ出しを検知する第2の検知手段と、第2の検知手段により顧客の手および媒体のはみ出しが検知されないことを条件に媒体の処理を行う処理手段と、一括投入された媒体からはみ出す位置に向けて可視光線を照射する光源を有し、第2の検出手段が顧客の手又は媒体のはみ出しを検知した場合は、第1の検知手段が媒体を検知した後の所定時間経過後に、前記光源が前記はみ出す位置に向けて可視光線を照射する。すなわち、顧客の手又は媒体のはみ出しを検知した場合は、媒体の投入検知後の所定時間経過後に強制的に可視光線を照射することにより、手の退避を監視し続けるという無駄な時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る自動取引装置によれば、媒体投入口に顧客の投入した媒体に不揃いがあったことを検知した場合、はみ出した媒体に対して可視光線を照射して反射光を目立たせるようにしたため、顧客は可視光線の反射光を容易に確認することができ、顧客の投入した媒体が不揃いであることを気付かせることが出来る。よって、顧客に対して再投入を促す際、顧客にとって分かりやすい表示である自動取引装置を提供することが可能となる。その結果処理中断が少なくなり、自動取引装置の回転率の向上に寄与することが可能となる。
【0020】
また、顧客の手を検出していないことを条件に当該はみ出した媒体に対して可視光線を照射するようにしておけば、顧客の手が可視光線に照射されないで済み、顧客に精神的負担を与えないという効果を有する。
【0021】
同様に、不揃いが検知された後の顧客による媒体の再投入時には可視光線を消灯するようしておけば、媒体の再投入時も顧客の手が可視光線に照射されないで済み、顧客に精神的負担を与えないという効果を有する。
【0022】
また、媒体の投入が検知され、所定時間経過後強制的に可視光線を照射するようにすれば、手の退避を監視し続けるという無駄な時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の自動取引装置の外観図であり、図2は本発明の自動取引装置の概略機構側面図である。図において、1は自動取引装置(以後、ATMとする)であり、金融機関が管理し維持するホストコンピュータと通信回線を介して接続されている。更にホストコンピュータ( 図示せず) は利用者の口座番号、氏名および預貯金残高情報等の顧客情報が記憶された記憶装置( 図示せず) を有している。ATM1は金融機関の営業店舗やコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、スーパーマーケット等に設置されている。
【0024】
11は顧客操作表示部であって、顧客が取引操作入力するための取引誘導表示部と、操作入力するためのタッチパネルで構成される。12は貨幣入出金部( 以後、紙幣入出金部とする) であり、顧客により入金される媒体としての貨幣(以後、紙幣Mとする)を真偽鑑別、計数し、搬送して金種別のカセット部に収納し、又は顧客に支払われる紙幣Mを金種別のカセット部より繰出すものである。
【0025】
13はカード処理部であって、金融機関毎のコード(番号)や利用者の口座番号、氏名等の顧客情報が記憶された顧客識別カード(以後、キャッシュカードとする)から前記情報を読み出す機能を有する。このカード処理部13の前面側に接続されたカード挿入返却口により、キャッシュカードが挿入され、また取引終了時に返却が行われる。
【0026】
14はテンキー部であって、顧客操作表示部11に表示する取引誘導表示に従って顧客が、例えば暗証番号などを入力する部位である。このテンキー部14は顧客操作表示部11に設けても良い。15はレシート処理部であり取引明細の印字を行い顧客に発行されるレシートの発行処理を行うものである。
【0027】
16は紙幣Mの投入及び取出し操作口に設けた筐体シャッタであり、ATM1の筐体側に開閉可能に装備されている。この筐体シャッタ16は図示せぬモータ等により矢印A方向に回動して開閉できる。17は紙幣入出金部12に装備された紙幣機シャッタであり、紙幣Mの投入及び取出し操作を制限するものである。この紙幣機シャッタ17は図示せぬモータ等により矢印B方向に略水平に移動して開閉できる。また、筐体シャッタ16および紙幣機シャッタ17の開閉位置を検知する図示せぬセンサが配置されている。
【0028】
18は入出金口であり、後述するように顧客が投入した紙幣Mを受取り、分離して紙幣入出金部12内に取り込むと共に、顧客に出金する紙幣Mを集積し、取出可能にする引渡口として機能する。この入出金口18に紙幣Mを投入する際、及び紙幣Mを取り出す際には、前述した筐体シャッタ16および紙幣機シャッタ17を開状態とする。
【0029】
19は入金される紙幣Mや出金される紙幣Mを真偽鑑別、計数する認識部であり、20は前記した金種別の保管庫としてのカセット部である。21は入出金処理する紙幣Mを一時的に保管する一時保留部である。22は以上の各部間を搬送される紙幣Mの搬送路であり、分岐点には図示しない搬送方向の切替手段を有する。
【0030】
23は以上の各部を制御するための制御部であり、制御プログラムが記憶されたRAMやROM又はハードディスクなどで構成された記憶部としてのメモリ部23a、更にはホストコンピュータとの接続口であるインターフェース部も有している。24は接近検知器であって、顧客がATM1に近づいたことを検知できるものである。
【0031】
次に図3によって本発明に係る自動取引装置の入出金口18について説明する。入出金口18は、略長方体(6面)形状をしており、少なくとも一面(上面)が開口状態になっている。そして上面には図2の紙幣機シャッタ17が設けられ、筐体シャッタ16および紙幣機シャッタ17が開状態の時、紙幣Mの投入および取り出しが可能になっている。他の一面、例えば底面には紙幣Mを分離し紙幣入出金部12内に取込む図示せぬ分離繰出手段が設けられている。他の壁面は紙幣のガイド体を構成する。
【0032】
2−1〜2−4は例えばレーザーポインタやLED等の可視光源であり、紙幣Mの所定の位置からはみ出す位置に向けて可視光を照射するように設けられている。M−1は顧客によって投入された紙幣Mのうち、所定の位置からはみ出した紙幣である。所定の位置にある紙幣Mは、図示せぬ分離繰出手段によって正常に分離され、紙幣入出金部12内に正常に取込むことが出来る。所定の位置からはみ出した紙幣M−1が含まれていると、分離繰出手段によって正常に分離することが出来ず、さらに正常に搬送することが出来ない。
【0033】
はみ出した紙幣M−1は可視光源2−1からの可視光線を遮ることになるため、可視光源2−1からの可視光線ははみ出した紙幣M−1を照射し、反射光R−1としてスポット的に光ることになる。他の可視光源2−2〜2−4からの可視光線は紙幣Mに遮られることなく、入出金口18の外に出て行き、反射光も顧客の目に映ることはない。
【0034】
はみ出した紙幣M−1の検出は、図3の可視光源2とほぼ同様の位置に設けられた図示せぬ赤外線センサにより行われる。この赤外線センサにより入出金口18に投入された紙幣Mが不揃いであることが検出された場合、可視光源2−1〜2−4は顧客に再投入を促すために可視光線を照射するように制御される。これにより反射光R−1を目立たせて顧客にはみ出した紙幣M−1があることを知らせる。
【0035】
スポット的に配置された可視光源2−1〜2−4は図3に示したように複数設けられることが望ましい。入出金口内部の広い範囲をカバー出来るからである。また、可視光源2の発光色は、例えば赤、青、緑等、注意を喚起する色を用いることも可能である。
【0036】
また、配置の高さは、所定の位置からはみ出す位置、すなわち揃って投入された紙幣Mの幅(高さ)を超える高さの位置に可視光線が通過するように設けられる。仮に、はみ出した紙幣M−1がなく全ての紙幣Mが正常に揃って投入された場合には、図示せぬ赤外線センサからの出力は正常であることを検出する。紙幣Mが正常に揃っていることを検出した場合、可視光源2は可視光線を照射しないように制御される。
【0037】
更に、可視光源2−1〜2−4の配置は、顧客に対し手前側に設けられる。通常顧客による紙幣Mの投入は、紙幣Mの長手方向が横向きになるよう投入される。従って、はみ出した紙幣M−1に可視光線が照射され反射光R−1を顧客に目立たせるには、手前側から照射した方がよい。
【0038】
一方、図示せぬ赤外線センサは顧客の手の存在も検知する。赤外線センサは、顧客が投入した紙幣Mから手を離したこと又は入出金口18に顧客の手が存在しないことを検知し、その後、顧客の手が検知されないことを条件に筐体シャッタ16および紙幣機シャッタ17を閉めるのが通常である。その場合、紙幣Mが不揃いであることが検出され、顧客の手が存在していたにもかかわらず可視光線を照射すると、顧客の手に可視光線が照射されることになる。
【0039】
しかしながら、このことは顧客に精神的苦痛を与えかねない。従って、紙幣Mが不揃いであることが検出され顧客の手が入出金口18に存在しないことを確認してから、可視光線を照射するように制御されることが望ましい。
【実施例1】
【0040】
次に本発明の実施例1の紙幣投入動作について説明する。図4は入金処理動作を示すフローチャートである。Sはステップを示す。ATM1による入金取引を希望する顧客が近づくと、接近検知器24がこれを検知して、顧客操作表示部11を待機画面から取引選択画面に切り替える。
【0041】
S1;取引選択ステップにおいて、顧客が図示しない「お預入れ」ボタンを押下すると、制御部23は紙幣入出金部12やカード処理部13を稼動可能な状態にする。
【0042】
S2;さらに制御部23は入金処理が選択されると筐体シャッタ16および紙幣機シャッタ17を開く。
【0043】
S3;顧客が入金する紙幣Mを手で持って入出金口18に投入すると、図示せぬ赤外線センサがこれを検知する。
【0044】
S4;図示せぬ赤外線センサは顧客が投入した紙幣Mから手を離し、入出金口18に手が存在しないことを検知する。手挿入のままであれば手が入出金口18から退避することを監視し続ける。
【0045】
S5;更に、赤外線センサは投入された紙幣Mが不揃いかどうか、紙幣Mの高さを検知する。正常に揃えられた紙幣Mからはみ出した紙幣M−1を検出するとステップ6へ進み、はみ出した紙幣M−1を検出しないとステップ8へ進む。
【0046】
S6;はみ出した紙幣M−1が検出されると、可視光源2を点灯する。これにより可視光線ははみ出した紙幣M−1から反射し、顧客はスポット的に光る反射光Rを確認することになる。
【0047】
S7;同時に、顧客操作表示部11に後述するように修正誘導画面を表示し、顧客に再投入を促す。その後はステップ3に戻り、紙幣投入検知(S3)、手挿入検知(S4)、高さ検知(S5)が行われる。
【0048】
S8;ステップ5における高さ検知の結果、はみ出した紙幣Mが検出されなかった場合、可視光源2が点灯しているかどうかチェックし、点灯していなければステップ11へ進み、点灯している場合はステップ9へ進む。
【0049】
S9;ステップ7で表示した顧客操作表示部11の修正誘導画面を切替える。
S10;その後、可視光源2を消灯する。
S11;さらに、筐体シャッタ16および紙幣機シャッタ17を閉じる。
S12;その後は、図示せぬ分離繰出手段により紙幣Mを分離し、紙幣入出金部12内に取込む紙幣取込み動作が行われる。
【0050】
なお、顧客による再投入の場合には、手挿入検知ステップ4の前に可視光源消灯ステップ(図示せず)を設けることも可能である。すなわち再投入の場合には、一旦可視光源を消灯するように制御して、顧客の手に可視光線が直接当たらないようにし、顧客に精神的負担を与えないよう配慮することも可能である。
【0051】
また、この例では高さセンサ検知(S5)の前に手挿入検知(S4)を行っているが、実際の装置においては手が残っているのか、はみ出した紙幣M−1があるのか判別できない場合がある。そのため、実際ははみ出した紙幣M−1であるのに、顧客の手挿入のままであると判断すると、手が入出金口から退避することを監視し続ける(S4)ことになり、その間は装置の操作が中断することになる。従って、このことを考慮すると、紙幣投入検知(S3)の後の所定時間(例えば2秒)経過後、強制的に可視光源点灯(S6)とすることも可能である。
【0052】
すなわち赤外線センサによる紙幣投入検知(S3)の後、該赤外線センサが顧客の手又は紙幣のはみ出しを検知した場合は(S4、S5)、紙幣Mの投入を検知した後(S3)の所定時間経過後に、前記可視光源は強制的にはみ出す位置に向けて可視光線を照射するように制御される。
【0053】
仮に、本当に顧客の手が残っていた場合は、手に可視光線が照射されることにより、顧客は気がついて手を退避する。また、はみ出した紙幣M−1が残っていた場合には、はみ出した紙幣M−1に可視光線が照射されることにより、顧客は気がついて紙幣Mを一旦取り出し再投入することになる。このようにすることにより、ステップ4のような手の退避を監視し続けるという無駄な時間を短縮できる。
【0054】
更に、前記のように、可視光源の点灯(S6)は高さ検知センサ(S5)による検知の結果はみ出した紙幣M−1を検知した後に行うが、この間、筐体シャッタ16および紙幣機シャッタ17は開放したまま行われる。すなわち、ここで一旦筐体シャッタ16および紙幣機シャッタ17を閉めると、顧客は投入した紙幣MをATM1が受け付けたものと認識するので、その後シャッタを開いても顧客にとって理由が分からず、戸惑いが生じるおそれがある。
【0055】
そのためはみ出した紙幣M−1を検知したときには、筐体シャッタ16および紙幣機シャッタ17を閉めることなく当該はみ出した紙幣M−1に対して可視光線を照射するように制御される。これにより、顧客の戸惑いが生じるおそれがなくなる。
【0056】
図5は、前述のフローチャートのステップ7で示した修正誘導画面を示す説明図である。表示としては「赤色光の当たっている部分が不揃いのため、お取扱いできません。」「投入されました紙幣を取り出して、揃え直して再度投入ください」と顧客操作表示部11に表示することにより、より早く再投入を促すことになる。さらに、同様の誘導を音声でアナウンスすることも効果的である。
【実施例2】
【0057】
本発明の実施例2を図6により説明する。発明を実施するための最良の形態における図3の説明では、可視光源2を複数設けたが、実施例2では、図6に示すように水平走査型可視光源6を設ける。水平走査型可視光源6が左右に揺動して、可視光線を水平に走査する。すなわち可視光源2は可視光線をポイント的に移動させて照射する。
【0058】
図示せぬ赤外線センサにより、顧客が入出金口18に投入した紙幣Mのうち、はみ出した紙幣M−1が検出されると、水平走査型可視光源6から可視光線が照射され、はみ出した紙幣M−1は反射光R−2をポイント的に反射する。可視光線の走査を適当な速さにすれば、反射光R−2は顧客には動いて見えるので、静止した反射光より目立って見える。また、一つの水平走査型可視光源6でも入出金口内部の広い範囲をカバー出来る。
【実施例3】
【0059】
本発明の実施例3を図7により説明する。前述の発明を実施するための最良の形態における説明では、正常に揃えられた紙幣Mからはみ出した紙幣M−1の検出は図示せぬ赤外線センサによっているが、実施例3では図7に示したように可視光源7−1〜7−4と受光素子8−1〜8−4により行う。可視光源7−1〜7−4は紙幣Mからはみ出す位置に向けて可視光線を照射し、受光素子8−1〜8−4はこの可視光線を受光する。
【0060】
顧客が入出金口18に投入した紙幣Mのうち、はみ出した紙幣M−1は右端の可視光源7−1から発した可視光線を遮る。右端の受光素子8−1はこの可視光線を受光することが出来ず又は受光量の減少により、可視光線が受光されていないという状態又は可視光線が減少したという状態から、はみ出した紙幣M−1を検知した信号を出力する。他の可視光源7−2〜7−4からの可視光線は紙幣Mに遮られることなく受光素子8−2〜8−4に到達する(R−4〜R−6)。仮に全ての受光素子8−1〜8−4が可視光線を受光すればはみ出した紙幣M−1がないという信号を出力することになる。
【0061】
実施例3では、受光素子8を4箇所配置したものであり、そのうち右端の受光素子8−1がはみ出した紙幣M−1があることを検出したものである。すなわち、受光素子8−1〜8−4ははみ出した紙幣M−1の位置(図では右側)も検出している。
【0062】
一方、はみ出した紙幣M−1により遮られた可視光線は、はみ出した紙幣M−1を照射し、反射光R−3となる。これにより顧客に対しはみ出した紙幣M−1があることを知らせる。従って、可視光源7−1〜7−4は、はみ出した紙幣M−1の検出と、はみ出した紙幣M−1を顧客に報知する機能を兼用することになる。
【実施例4】
【0063】
本発明の実施例4を図8により説明する。前述の実施例3では可視光源7と受光素子8を夫々複数設けたが、実施例4ではこれをライン状に照射するライン状可視光源9とライン状受光素子10を設けた。ライン状可視光源9は紙幣Mからはみ出す位置に向けて可視光線を照射し、ライン状受光素子10はこの可視光線を受光する。
【0064】
顧客が入出金口18に投入した紙幣Mのうち、はみ出した紙幣M−1はライン状可視光源9から発した可視光線の一部を遮る。ライン状受光素子10は可視光線の全てを受けることが出来ないことにより又は受光量の減少により、可視光線を受光していないという状態又は可視光線が減少したという状態から、はみ出した紙幣M−1を検知した信号を出力する。ライン状受光素子10に到達した可視光線R−8の量が少なければ、はみ出した紙幣M−1のはみ出しの度合いが大きいことを検出することになる。仮にライン状受光素子10が所定の受光量を受光すればはみ出した紙幣M−1がないという信号を出力することになる。
【0065】
実施例4のライン状可視光源9とライン状受光素子10は、前記実施例3の可視光源7−1〜7−4とライン状受光素子8−1〜8−4の数をより多くしたものであり、はみ出した紙幣M−1の位置はより緻密に検出することができる。
【0066】
一方、はみ出した紙幣M−1により遮られた可視光線は、はみ出した紙幣M−1を照射し、反射光R−7となる。これにより顧客に対しはみ出した紙幣M−1があることを知らせる。従って、ライン状可視光源9は、はみ出した紙幣M−1の検出と、はみ出した紙幣M−1を顧客に報知する機能を兼用することになる。さらに反射光R−7がライン状になるためポイント的な反射光より大きく鮮明に顧客に報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の自動取引装置の外観図である。
【図2】本発明の自動取引装置の概略機構側面図である。
【図3】本発明を実施するための最良の形態における入出金口を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例1における入金処理動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1における修正誘導画面を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例2を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例3を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例4を示す説明図である。
【符号の説明】
【0068】
M 紙幣
M−1 はみ出した紙幣
2、6、7 可視光源
8 受光素子
9 ライン状可視光源
10 ライン状受光素子
16 筐体シャッタ
17 紙幣機シャッタ
18 入出金口




【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体投入口に投入された媒体を処理する自動取引装置において、媒体投入口に投入された媒体のうち所定の位置からはみ出した媒体に対して可視光線を照射する光源を設けたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
媒体投入口に一括投入された媒体を処理する自動取引装置において、一括投入された媒体のうち揃えられた媒体からはみ出した媒体を検知する検知手段を有し、当該検知手段がはみ出した媒体を検知したとき当該はみ出した媒体に対して可視光線を照射する光源を設けたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動取引装置において、前記光源はポイント的に照射する複数の光源からなることを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項2記載の自動取引装置において、前記光源は可視光線をポイント的に移動させて照射する光源であることを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項2記載の自動取引装置において、前記光源は可視光線をライン状に照射する光源であることを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
請求項2記載の自動取引装置において、前記光源は媒体再投入前に消灯することを特徴とする自動取引装置。
【請求項7】
媒体投入口に一括投入された媒体を処理する自動取引装置において、媒体を投入する顧客の手が投入口に存在することを検知する手挿入検出手段と、一括投入された媒体のうち揃えられた媒体からはみ出した媒体を検知する検知手段を有し、当該検知手段がはみ出した媒体を検知したとき、手挿入検出手段が顧客の手を検出していないことを条件に当該はみ出した媒体に対して可視光線を照射する光源を設けたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項8】
顧客による媒体の投入の際に開閉するシャッタを有し、シャッタ開後に媒体投入口に一括投入された媒体を処理する自動取引装置において、一括投入された媒体のうち揃えられた媒体からはみ出した媒体を検知する検知手段を有し、当該検知手段がはみ出した媒体を検知したときには前記シャッタを閉めることなく当該はみ出した媒体に対して可視光線を照射する光源を設けたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項9】
媒体投入口に一括投入された媒体を処理する自動取引装置において、一括投入された媒体のうち所定の位置からはみ出す位置に可視光線を照射する光源と、当該光源に対向して設けられ当該可視光線を受光する受光手段を有し、当該受光手段の出力によりはみ出した媒体を検知し、当該はみ出した媒体に照射された可視光線の反射光によりはみ出した媒体の存在を報知することを特徴とする自動取引装置。
【請求項10】
媒体投入口に一括投入された媒体を処理する自動取引装置において、媒体の投入を検知する第1の検知手段と、媒体を投入する顧客の手又は媒体のはみ出しを検知する第2の検知手段と、第2の検知手段により顧客の手および媒体のはみ出しが検知されないことを条件に媒体の処理を行う処理手段と、一括投入された媒体からはみ出す位置に向けて可視光線を照射する光源を有し、第2の検出手段が顧客の手又は媒体のはみ出しを検知した場合は、第1の検知手段が媒体を検知した後の所定時間経過後に、前記光源が前記はみ出す位置に向けて可視光線を照射することを特徴とする自動取引装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−176537(P2008−176537A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8900(P2007−8900)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】