説明

自動取引装置

【課題】利用者の利便性を損なうことなく、かつ第三者に暗証番号を含む取引情報を知られることなく自動取引装置に入力可能として、セキュリティー性の高い取引を実現する。
【解決手段】自動取引装置20は、一定時間間隔で変更される数字列等の取引コードを二次元バーコード化して表示部23に表示し、利用者はその表示された二次元バーコード化された取引コードを携帯通信端末10のカメラ14で取込んだ後、元の数字列等の取引コードに戻し、その取引コードにより予め入力した暗証番号を含む取引情報を暗号化及び二次元バーコード化して表示部に13に表示する。この表示部13に表示した二次元バーコードを自動取引装置20の読取り部27が読取り、取引情報処理部31はその二次元バーコード化された取引情報を暗号化した状態に戻した後、前記取引コードにより復号化して取引を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の携帯通信端末から取引情報を取り込み、その取引情報に基づいて自動的に取引を実行する自動取引装置および自動取引システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関の営業店頭に配置されている自動取引装置では、例えば出金等の取引を行う場合、利用者が取引カードを挿入した後、表示部に表示されるガイダンスにしたがって暗証番号を入力し、この暗証番号により本人確認が行われて、本人であることが認証されると取引が実行されるものとなっている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−202552
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、利用者が表示部に表示される数字ボタンを押して暗証番号を入力する際、第三者に後ろから盗み見られたり、利用者に分からないように第三者が予めセットした隠しカメラにより盗み撮りされることがあり、取引のセキュリティー性の高い取引が困難であるという問題がある。
このような問題の対策として、生体情報を併用する方法が考えられているが、これによると利用者の操作に生体情報の入力が加わるため、利用者の利便性を損なうことになる。
【0004】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明の自動取引装置は、利用者の操作により取引を実行する自動取引装置において、取引コードを生成する取引コード生成部と、利用者の携帯通信端末に読み取らせるために前記取引コード生成部で生成された取引コードを表示する表示部と、前記利用者の携帯通信端末に取り込まれた前記取引コードにより取引種別、暗証番号、利用者の口座番号、取引金額等の取引情報を暗号化した後、バーコード化して前記携帯通信端末の表示部に表示された取引情報を読取る読取り部と、前記バーコード化された取引情報を暗号化情報に戻した後、前記取引コードにより復号化する取引情報処理部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、利用者の利便性を損なうことなく、かつ第三者に暗証番号を含む取引情報を知られることなく自動取引装置に入力することができ、セキュリティー性の高い取引を実現することが可能になるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による自動取引装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0008】
図1は実施例を示すシステム構成図で、図示したように本システムは携帯通信端末10と銀行の営業店頭に設置された自動取引装置(ATM)20により構成されている。
携帯通信端末10は自動取引装置20で現金の引出しなどの取引を行う利用者が使用するもので、例えば携帯電話機、PHS、PDA、モバイルツール等である。
この携帯通信端末10は制御部11、操作部12、表示部13、カメラ14を備えており、表示部13としては液晶ディスプレイが設けられる。
【0009】
制御部11は記憶部15及び取引情報変換部16を有している。
記憶部15は半導体メモリやハードディスク等で構成され、操作部12で入力された情報やカメラ14で撮影した情報あるいは通信により取得(ダウンロード等)した情報等の各種情報を記憶するもので、本実施例で操作部12から入力される情報としては、例えば取引種別、本人確認(口座名義人認証)のための暗証番号、利用者や振込先の口座番号、取引金額等の取引情報であり、カメラ14で撮影することで入力する情報としては二次元バーコード化された取引コード、通信により取得する情報としては取引コードにより取引情報を暗号化及び二次元バーコード化するためのプログラム等である。
【0010】
取引情報変換部16は、カメラ14で撮影した取引コードを用いて記憶部15に記憶された取引情報を暗号化すると共に、二次元バーコードに変換する機能を有している。
尚、取引情報を暗号化する技術は周知の技術を用いる。
自動取引装置20は、制御部21、操作部22、表示部23、カードリーダプリンタ部24、通帳記帳部25、入出金部26、読取り部27、通信部28等を備えており、制御部21は記憶部29、取引コード生成部30、取引情報処理部31を有している。
【0011】
操作部22は液晶ディスプレイ等による表示部23上に配置したタッチパネル等で構成され、表示部23に表示される入力ボタン(キー)に定義された情報を入力できるもので、表示部23は顧客の操作を誘導するメッセージを配した画面や各種の入力ボタンを表示し、また操作部22で入力された情報等の表示も行うようになっている。
カードリーダプリンタ部24は顧客の取引カード(キャッシュカード等)の磁気ストライプに記録された口座情報等を読取り、その読取った情報を制御部21に出力すると共に、制御部21から送られる取引結果情報等を明細票(レシート)に印字して排出する機能を有している。
【0012】
通帳記帳部25は顧客の通帳の磁気ストライプに記録された口座情報等を読取り、その読取った情報を制御部21に出力すると共に、制御部21から送られる取引結果情報等を通帳に印字して排出する機能を有している。
入出金部26は出金取引時に入出金口に投入された紙幣や硬貨を識別、計数して、金種毎に収納庫に収納すると共に、出金取引時に収納庫から指定金額分の紙幣や硬貨を繰出し、識別、計数して入出金口から出金する等の処理を行う機能を有している。
【0013】
読取り部27はバーコードリーダであり、携帯通信端末10の表示部13に表示される二次元バーコードを読み取るものである。
制御部21は記憶部29に格納されている制御プログラムにより前記操作部22、表示部23、カードリーダプリンタ部24、通帳記帳部25、入出金部26、読取り部27、及び通信部28等の各部を制御して各種の取引を遂行する機能を有しており、その遂行に当たっては、通信部28を介して自行のホストコンピュータ(上位装置)と通信を行い、必要な情報の授受を行うものとなっている。
【0014】
記憶部29は半導体メモリやハードディスク等で構成され、前記制御プログラムを格納する他、操作部22からの入力内容や読取り部27が読取った二次元バーコード等の情報を記憶するものとなっている。
また、取引コード生成部30は所定の時間間隔、例えば60秒毎に複数桁の数字等による取引コードを生成する機能を有し、生成された取引コードを制御部21が取引情報処理部31を用いて二次元バーコード化して表示部23に表示するものとなっている。
【0015】
取引情報処理部31は記憶部29に記憶された二次元バーコード情報を読出し、取引コード生成部30で生成された取引コードにより取引種別、暗証番号、利用者や振込先の口座番号、取引金額等の取引情報に復号化する機能を有している。
尚、取引コード生成部30で生成された取引コードを二次元バーコード化して表示部23に表示し、また記憶部29に記憶された二次元バーコード情報を復号化するためのプログラムは自動取引装置20の起動時等に制御部21が通信部28を介して図示しないホストコンピュータから取得するものとなっている。
【0016】
上述した構成の作用を図2を参照して説明する。
図2は実施例の作用を示すフローチャートで、図中にSで示したステップに従って説明する。
まず、利用者は予め携帯通信端末10の操作部12を操作して、引出しや振込み等の取引種別、本人確認(口座名義人認証)のための暗証番号、利用者や振込先の口座番号、取引金額等の取引情報を入力する(S1)。入力した取引情報は記憶部15に記憶される。
【0017】
利用者が自動取引装置20に近づくと図示しない接近センサが利用者を検知し、その検知情報に基づいて制御部21は表示部23に取引選択画面表示する。
図3は取引選択画面の例を示す図で、この取引選択画面には自動取引装置20が取扱う「お引き出し」、「お預け入れ」、「お振込み」、「残高照会」、「通帳記入」等の取引の種別がボタン表示されると共に、「取引コード」ボタン32が表示されている。
【0018】
利用者がこの画面を見て「取引コード」ボタン32を押下すると、制御部21の取引情報処理部31は取引コード生成部30で生成された複数桁の数字等による取引コードを記憶部29に記憶させると共に二次元バーコード化して表示部23に表示する(S2)。
図4はこのときの表示画面の例を示す図であり、「取引コード」ボタン32に変えて取引コードを二次元バーコードとして表示し、その取引コードの撮影を促すメッセージも併せて表示している。
【0019】
次に、利用者は表示部23に二次元バーコードとして表示された取引コードを携帯通信端末10のカメラ14で撮影する(S3)。撮影した取引コードは制御部11により記憶部15に記憶される。
続いて利用者が携帯通信端末10の操作部12を操作して取引情報の変換を指示すると、制御部11の取引情報変換部16は記憶部15に記憶した二次元バーコードによる取引コードを元の数字列等に戻し、この数字列に戻した取引コードを用いて記憶部15に記憶されている取引情報(前記取引種別、暗証番号、口座番号、取引金額等)を暗号化した後、更にその暗号化した取引情報を二次元バーコード化して(S4)、その二次元バーコードを表示部13に表示する(S5)。
【0020】
図5は表示部13に二次元バーコードを表示した携帯通信端末10を示す図である。
次に利用者が二次元バーコードを表示した表示部13を自動取引装置20の読取り部27にかざすと、該読取り部27はその二次元バーコードを読取って(S6)制御部21に転送し、制御部21の取引情報処理部31はこの二次元バーコードとしての取引情報を記憶部29に記憶させる。
【0021】
そして、取引情報処理部31は記憶部29に記憶されている二次元バーコード化された取引情報を暗号化された情報に戻し、更に記憶部29に記憶されている取引コードを用いて暗号化されている取引情報を復号化する。
制御部21は復号化された取引情報つまり取引種別、暗証番号、利用者や振込先の口座番号、取引金額等に基づいて取引処理を実行する(S7)。
【0022】
この取引処理の実行については通常の場合と同様に行われるので、その説明は省略する。
以上説明した実施例によると、自動取引装置は、一定時間間隔で変更される取引コードを二次元バーコード化して表示し、利用者は自分の携帯通信端末のカメラで二次元バーコード化された取引コードを取込んだ後、元の数字列等の取引コードに戻し、その取引コードにより予め入力した暗証番号を含む取引情報を暗号化及び二次元バーコード化して自動取引装置の読取り部に読取らせ、自動取引装置はその二次元バーコード化された取引情報を暗号化した状態に戻した後、前記取引コードを用いて復号化して取引を実行するようにしているため、利用者の利便性を損なうことなくかつ第三者に暗証番号を含む取引情報を知られることなく自動取引装置に入力することができ、セキュリティー性の高い取引を実現することが可能になるという効果が得られる。
【0023】
また、携帯通信端末で取引種別及び暗証番号を含む利用者や振込先の口座番号、取引金額等の取引情報を予め入力することが可能なため、自動取引装置での操作を簡略化することができ、取引時間を短縮することができるという効果が得られる。
尚、本発明は上述した実施例に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施例では、自動取引装置20から二次元バーコード化された取引コードを携帯通信端末10に取り込み、その取引コードを用いて二次元バーコード化された取引情報を携帯通信端末10の表示部13に表示して自動取引装置20の読取り部27に読取らせ、その二次元バーコード化された取引情報を記憶部29に記憶している取引コードにより復号化するものとして説明したが、携帯通信端末10に取込んだ二次元バーコード化された取引コードを携帯通信端末10の表示部13に表示させて自動取引装置20の読取り部27で読取り、元の取引コードに戻して、その取引コードと自動取引装置20の記憶部29に記憶されている取引コードと照合して、両取引コードが一致した場合に、二次元バーコード化された取引情報を復号化するようにしてもよい。
【0024】
このようにすることにより、例えば利用者が取引コード取込み後、何らかの理由により一端自動取引装置20から離れ、再び自動取引装置20に戻ってきた場合などでも、利用者の取引コードを特定できるので、取引情報の復号化の処理をスムーズに行うことが可能となる。
前記取引コードの照合に当たっては、自動取引装置20の記憶部29に予め二次元バーコード化された取引コードを記憶させ、携帯通信端末10の表示部13から読取り部27が読取った二次元バーコード化された取引コードと照合するようにしてもよく、また自動取引装置20の記憶部29には数字列等による取引コードを記憶させておき、携帯通信端末10の表示部13から読取り部27が読取った二次元バーコード化された取引コードを数字列等による取引コードに戻した後、両者を照合するようにしてもよい。
【0025】
その場合、携帯通信端末10の表示部13に表示する二次元バーコード化された取引コードは、二次元バーコード化された取引情報とは別に表示部13に表示して、順に読取り部27に読取らせるようにすることも、また二次元バーコード化された取引情報と同一画面に表示して読取り部27に同時に読取らせるようにすることも可能である。
また、上述した実施例では取引コード生成部30で生成された取引コードを二次元バーコード化して表示部23に表示し、記憶部29に記憶された二次元バーコード情報を復号化するためのプログラムは自動取引装置20の起動時等に制御部21が通信部28を介して図示しないホストコンピュータから取得するものとして説明したが、取引コード生成部30で生成された取引コードを二次元バーコード化して表示部23に表示し、また記憶部29に記憶された二次元バーコード情報を復号化するためのプログラムは予め記憶部29に記憶しておくようにしてもよい。
【0026】
また、上述した実施例では、取引コードが変更される時間間隔を60秒としたが、これに限定されるものではない。
また、上述した実施例では、利用者が携帯通信端末10で入力した取引情報を二次元バーコードに変換するものとしたが、これに限定されるものではなく、通常のバーコードであってもよい。
【0027】
更に、上述した実施例では、取引情報として取引種別、利用者や振込先の口座番号、口座認証のための暗証番号、取引金額等を例にして説明したが、取引種別の違いにより取引情報は変更されることは無論である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例を示すシステム構成図
【図2】実施例の作用を示すフローチャート
【図3】取引選択画面の例を示す図
【図4】二次元バーコードを表示した表示画面の例を示す図
【図5】二次元バーコードを表示した携帯通信端末を示す図
【符号の説明】
【0029】
10 携帯通信端末
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 カメラ
15 記憶部
16 取引情報変換部
20 自動取引装置
21 制御部
22 操作部
23 表示部
24 カードリーダプリンタ部
25 通帳記帳部
26 入出金部
27 読取り部
28 通信部
29 記憶部
30 取引コード生成部
31 取引情報処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作により取引を実行する自動取引装置において、
取引コードを生成する取引コード生成部と、
利用者の携帯通信端末に読み取らせるために前記取引コード生成部で生成された取引コードを表示する表示部と、
前記利用者の携帯通信端末に取り込まれた前記取引コードにより取引種別、暗証番号、利用者の口座番号、取引金額等の取引情報を暗号化した後、バーコード化して前記携帯通信端末の表示部に表示された取引情報を読取る読取り部と、
前記バーコード化された取引情報を暗号化情報に戻した後、前記取引コードにより復号化する取引情報処理部とを備えたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動取引装置において、
前記取引コード生成部は、前記取引コードを所定の時間間隔で生成することを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動取引装置において、
前記取引コードは前記取引情報処理部でバーコード化して前記表示部に表示することを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項1または請求項3記載の自動取引装置において、
前記バーコードは二次元バーコードとすることを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
利用者が携帯する携帯通信端末と、利用者の操作により取引を実行する自動取引装置から成り、
前記自動取引装置は、取引コードを生成する取引コード生成部と、前記取引コード生成部で生成された取引コードを表示する表示部と、前記携帯端末の表示部に表示された二次元バーコード化された取引情報を読取る読取り部と、前記二次元バーコード化された取引情報を暗号化情報に戻した後、前記取引コードにより復号化する取引情報処理部とを備え、
前記携帯通信端末は、取引種別、暗証番号、利用者の口座番号、取引金額等の取引情報を入力操作する操作部と、前記自動取引装置の表示部に表示された取引コードを撮影するカメラと、撮影により取り込んだ前記取引コードを用いて前記取引情報を暗号化した後、二次元バーコード化する取引情報変換部と、二次元バーコード化された取引情報を表示する表示部を備えたことを特徴とする自動取引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−269186(P2008−269186A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109843(P2007−109843)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】