説明

自動取引装置

【課題】返却される紙幣が複数存在する場合でも、どの紙幣に対し、どのような対処を行えばよいかを容易に認識できる自動取引装置を提供することを目的とする。
【解決手段】金融取引を行う自動取引装置1であって、投入された紙幣毎に、当該紙幣が正常か異常かの鑑別を行い、異常紙幣の枚数を計数し、異常の種別である異常種別を判別する鑑別部12と、異常種別に対応した対処方法に関する対処情報151を保持している記憶部15と、異常紙幣が複数枚である場合、鑑別部12によって判別された異常種別を基に、異常紙幣毎に、記憶部15の対処情報151から、判別された異常種別に対応した対処方法に関する情報を取得し、異常紙幣毎に、取得した対処方法に関する情報をタッチパネル付表示部3に報知させる処理部11とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行などに設置されているATM(Automated Teller Machine)などの自動取引装置には、折れや欠損などの異常が検知された紙幣を返却する機能が付随しているのが一般的である。
しかしながら、このような自動取引装置では、紙幣を伸ばすなどの処置をしても、再投入した紙幣が受け付けられず、投入操作を何回繰り返しても、投入した紙幣が返却されることが多々あった。
【0003】
このような問題の解決策として、再利用が不可能な欠損、皺、汚れなどのある紙幣を排除すると共に、表示部に入金不可能である理由と、対処方法とを表示して顧客に通知する技術が提示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、伸ばせば再利用できる折れ目が生じている紙幣のように、再利用が可能な紙幣を選別し、顧客に返却する際、例えば折れ目を修正して再投入するよう表示部に表示することによって、自動取引装置の稼働率を向上させる紙葉類処理装置および紙葉類処理方法が提示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特願2007−48786
【特許文献2】特開2005−353005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、返却される紙幣が複数枚存在する場合、表示部に表示されている対処方法が、どの返却紙幣に適用される方法であるのかを特定する手段がないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するため、本発明は、金融取引を行う自動取引装置であって、投入された紙幣毎に、当該紙幣が正常か異常かの鑑別を行い、前記異常紙幣の枚数を計数し、前記異常の種別である異常種別を判別する鑑別部と、前記異常種別に対応した対処方法に関する情報を保持している記憶部と、前記異常紙幣が複数枚である場合、前記鑑別部によって判別された前記異常種別を基に、前記異常紙幣毎に、前記記憶部から、前記判別された異常種別に対応した対処方法に関する情報を取得し、前記異常紙幣毎に、前記取得した対処方法に関する情報を報知部に報知させる処理部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、返却される紙幣が複数存在する場合でも、どの紙幣に対し、どのような対処を行えばよいかを容易に認識できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、図面を参照して本発明による自動取引装置1の実施形態について説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る自動取引装置の外観斜視図の例である。
自動取引装置1は、紙幣投入部2と、タッチパネル付表示部3(報知部および表示部)と、カード投入部4と、通帳投入部5と、音声報知部6(報知部)とを有してなる。
紙幣投入部2は、顧客が紙幣の出し入れを行うため機能を有し、図3を参照して後記するシャッタ21の開閉により、紙幣の出し入れを行う機能を有する。タッチパネル付表示部3は、ディスプレイに表示されたキーの位置に対応するタッチパネルの部分を顧客が押下することにより情報が自動取引装置1へ入力される機能を有する。カード投入部4には、キャッシュカードなどのカード類が投入され、通帳投入部5には、通帳が投入される。音声報知部6は、スピーカなどからなり、様々な情報を音声によって顧客に報知する機能を有する。
【0009】
図2は、第1実施形態に係る自動取引装置の機能ブロック図の例である。
なお、図2において、図1と同様の要素に対しては、同一の符号を付して説明を省略する。
また、図2において、実線は、紙幣の搬送路を示し、破線は、情報の伝達路を示すこととする。
自動取引装置1は、処理部11、タッチパネル付表示部3、音声報知部6、印刷部7(報知部)、記憶部15、紙幣投入部2(排出部)、鑑別部12、一時保留部13,14、紙幣収納カセット16および紙幣が搬送される各搬送路17a〜17dを有してなる。
処理部11は、タッチパネル付表示部3や、鑑別部12から取得した情報を基に、記憶部15から情報を取得したり、タッチパネル付表示部3や、音声報知部6や、対処方法を紙に印刷する印刷部7などに情報を出力させたりする機能を有する。また、処理部11は、紙幣投入部2、搬送路17a,17bなどを制御することによって、紙幣の搬送を制御する機能も有する。処理部11の機能は、図示しないROM(Read Only Memory)などに格納されたプログラムが、図示しないRAM(Random Access Memory)に展開され、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって実行されることによって具現化する。
記憶部15は、情報を保持する機能を有し、例えば、紙幣の異常の種別(異常種別または返却要因)と、この異常種別に対する対処方法に関する情報とを対応付けている対処情報151などを保持している。
【0010】
鑑別部12は、光学センサ、磁気センサ、厚みセンサなどの各種センサが備えられており、紙幣投入部2から搬送路17dを介して送られてきた紙幣を一枚ずつ鑑別し、紙幣の真偽、金種、正損、表裏などの鑑別を行うとともに、重送、連鎖、斜行などの搬送異常の検知および金種が確定した紙幣の計数を行う機能などを有している。一時保留部13には、搬送される鑑別部12によって「正常」と判別された紙幣(正常紙幣)が搬送路17aを介して搬送され、入金が確定するまでの間、格納される。一時保留部13に格納された正常紙幣は、搬送路17bを介して紙幣収納カセット16へ送られる。紙幣収納カセット16については、図3を参照して後記する。
一時保留部14には、鑑別部12によって「異常」と判別された紙幣(異常紙幣)が搬送路17aを介して搬送され、格納される。一時保留部14に格納された異常紙幣は、束集積された状態で、搬送路17cを通り、紙幣投入部2へ搬送される。なお、紙幣投入部2が一時保留部14の機能を有していてもよい。この場合、一時保留部14は、省略されることとなる。
【0011】
図3は、第1実施形態に係る自動取引装置の内部構造の例を示す図である。
なお、図3において、図1および図2と同様の要素に対しては、同一の符号を付し、説明を省略する。
紙幣投入部2の上部には、シャッタ21が設けられており、顧客が自動取引装置1を操作して取引を行う際には、このシャッタ21が、水平方向に開閉して紙幣の出し入れが可能となるように処理部11(図2)によって制御される。また、紙幣投入部2内には、顧客が紙幣を投入する際に、開口部が上(矢印B方向)に向き、かつ紙幣の分離や、取り込みを行う際には、開口部が横(矢印C方向)を向くよう処理部11によって角度変化される紙幣保持材と、入金取引時に顧客により紙幣保持部材22に投入された紙幣を1枚ずつ分離して鑑別部12へ送る分離部(図示せず)および一時保留部14を有する。
【0012】
紙幣収納カセット16には、それぞれ上部一端に紙幣の取り込みおよび繰り出し用の開口部が形成されており、各々の開口部には紙幣収納カセット16内に紙幣を1枚ずつ送り込んで集積させると共に、紙幣収納カセット16から紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す複数のローラからなる集積繰り出し部(図示せず)が設けられている。なお、図3において、紙幣収納カセット16は、4個設置されているが、これに限らず、運用形態によって少なくとも1つ設けられていればよい。
補充回収カセット101は、紙幣収納カセット16に対して紙幣の補充を行ったり、紙幣収納カセット16から紙幣の回収を行ったりするために使用されるものである。
また、取り忘れ紙幣収納カセット102は、入出金取引時に顧客が取り忘れた紙幣を収納するカセットであり、損券カセット103は、入出金取引時に鑑別部12にて、入金可能であるが、出金用紙幣として再利用するには不適当な損券と鑑別された紙幣を収納するカセットである。
【0013】
そして、符号100a〜100hは、紙幣を搬送する搬送路である。
ここで、搬送路100a〜100hは、図2の搬送路17a〜17dに相当する
【0014】
次に、図1から図3を参照しつつ、図4および図5に沿って第1実施形態に係る取引処理の流れを説明する。
図4は、第1実施形態に係る取引処理の全体の流れを示すフローチャートである。
まず、顧客が、自動取引装置1の前に立つと、図示しない近接センサが顧客の接近を検知し、取引処理を開始すると共に、処理部11が、シャッタ21を開放する(S101)。顧客によって、紙幣投入部2の紙幣保持部材22に紙幣が投入される(S102)のを、紙幣保持部材22に設けられている光学センサが検知すると、処理部11は、シャッタ21を閉塞する(S103)。
すると、処理部11は、搬送路17dのローラを駆動させて、紙幣を一枚ずつ鑑別部12に送る。鑑別部12は、光学センサ、磁気センサ、厚みセンサなどの各種センサを使用して、紙幣の正損などの状態を検出し(S104)、同時に重送、連鎖、斜行などの搬送異常の検知および金種が確定した紙幣の計数を行う。このとき、鑑別部12は、異常紙幣の枚数およびそれぞれの異常紙幣の異常種別と、正常紙幣の金種およびそれぞれの金種の枚数を計数する。鑑別部12は、紙幣の状態に応じたフラグを付与し(S105)、紙幣の番号(1枚目、2枚目など)と、このフラグを対の情報とした紙幣情報を生成し(S106)、処理部11に送る。例えば、鑑別部12は、1枚目の紙幣が正常であれば、1枚目の紙幣の情報として、「0」のフラグを付与し、2枚目の紙幣が欠損を生じていれば、2枚目の紙幣の情報として、「1」のフラグを付与する。そして、3枚目の紙幣が、汚れていれば、3枚目の紙幣の情報として「2」のフラグを付与する。
【0015】
次に、処理部11は、送られてきた情報を、送られた順に、正常紙幣か否かを判定する(S107)。判定は、送られた紙幣情報のフラグを基に行われる。すなわち、ステップS107において、処理部11は、紙幣情報のフラグが「0」であるか否かを判定する。
ステップS107の結果、正常紙幣であると判定された場合(S107→Yes)、処理部11は、搬送路17aを切り替えて、鑑別部12から一時保留部13へ正常紙幣を搬送し、一時保留部13へ紙幣(正常紙幣)を集積させる(S108)。さらに、入金処理が終わると、処理部11は、搬送路17bのローラを駆動させ、一時保留部13に集積している紙幣を紙幣収納カセット16へ送り、処理を終了する。
【0016】
ステップS107の結果、正常紙幣ではないと判定された場合(S107→No)、処理部11は、フラグを基に、各フラグに応じた異常種別(返却要因)と、対処方法とに関する情報(対処方法)を、記憶部15の対処情報151から取得する(S109)。そして、処理部11は、フラグ(つまり、異常種別)と、対処方法に関する情報を、異常と鑑別された順に取得する。
そして、処理部11は、搬送路17aを切り換えて(S110)、異常紙幣を一時保留部14へ送る。一時保留部14には、異常紙幣が積層された状態で集積される。
そして、自動取引処理1は、すべての紙幣の鑑別が終了すると紙幣返却処理を行う(S111)。紙幣返却処理は、図5を参照して後記する。
次に、処理部11は、図6を参照して後記する返却画面200上に表示されている再投入ボタン204が、タッチパネル付表示部3を介して押下されたか否かを判定することによって、再投入が行われるか否かを判定する(S112)。
ステップS112の結果、再投入が行われる場合(S112→Yes)、処理部11は、ステップS101へ処理を戻す。
【0017】
ステップS112の結果、再投入が行われない場合(S112→No)、処理部11は、図6を参照して後記する返却画面200上に表示されている取消ボタン203が、タッチパネル付表示部3を介して入力されたか否かを判定することによって、全額返却が行われるか否かを判定する(S113)。
ステップS113の結果、全額返却されると判定された場合(S113→Yes)、処理部11は、一時保留部14に異常紙幣があれば、先に紙幣投入部2へ送り、続けて、一時保留部13に集積している紙幣をすべて紙幣投入部2へ送らせた後、シャッタ21を再開放させることによって、紙幣の全額返却処理を行う(S114)。
ステップS113の結果、全額返却されないと判定された場合(S113→No)、処理部11は、処理を終了する。なお、処理部11は、ステップS113において、図6を参照して後記する返却画面200上に表示されている取消ボタン203が押下されれば、「Yes」の判定を行い、図6を参照して後記する確認ボタン205が押下されれば「No」の判定を行ってもよい。この場合、「No」の判定がなされると、処理部11は、現在一時保留部13に集積されている正常紙幣のみを入金紙幣とみなし、搬送路17bを介して紙幣収納カセット16へ搬送することとなる。
【0018】
図5は、第1実施形態に係る紙幣返却処理の流れを示すフローチャートである。
まず、処理部11は、紙幣保持部材22に保持されていた投入紙幣がすべてなくなった旨の情報を、紙幣投入部2の光学センサなどから取得すると、一時保留部14に集積されている返却紙幣(異常紙幣)を、搬送路17cを介して紙幣保持部材22へ、束(積層した状態)で排出させる(S201)。
そして、処理部11は、紙幣保持部材22を図3の矢印B方向へ回転させる(S202)。このとき、処理部11は、ステップS109で鑑別された紙幣順に記憶していたフラグに対応している返却要因と、対処方法に関する情報を返却画面200としてタッチパネル付表示部3に表示させ(S203)、さらに、シャッタ21を開放させる(S204)。ステップS203で表示される返却画面200は、図6〜図9を参照して後記する。
顧客が、紙幣保持部材22に設置されている光学センサなどによって、紙幣保持部材22の紙幣を取り出した(S205)ことが確認されると、処理部11は、シャッタ21を閉塞する(S206)。このとき、処理部11は、ステップS203で表示させた返却画面200を非表示としてもよい。
【0019】
次に、図6〜図9を参照して、第1実施形態に係る返却画面200を説明する。
図6は、第1実施形態に係る返却画面の例を示す図である。
ここでは、2枚の異常紙幣が返却された場合の例を説明する。
返却画面200は、1枚目返却情報表示エリア201、2枚目返却情報表示エリア202、取消ボタン203、再投入ボタン204、確認ボタン205、預かり金額表示窓206を有してなる。
1枚目返却情報表示エリア201は、積層している紙幣の下から1枚目の返却情報を表示するエリアである。同様に、2枚目返却情報表示エリア202は、積層している紙幣の下から2枚目(この例では、一番上)の返却情報を表示するエリアである。各返却情報表示エリア201,202の詳細は、図7を参照して後記する。表示順は、図4のステップS106で、鑑別部12が生成し、処理部11へ送られた紙幣情報に従って決定される。
なお、図6の例では、下からN枚目の返却情報を表示するとしたが、上からN枚目の返却情報を表示してもよい。
【0020】
取消ボタン203が押下されると、正常紙幣を含めて投入された紙幣がすべて排出される(図4のS113→Yes)。
再投入ボタン204が押下されると(図4のS112→Yes)、処理部11は、シャッタ21を再開放させ(図4のS101)、顧客は、各返却情報エリアに表示されている対処方法に従って紙幣を修正した後、紙幣投入部2へ紙幣を投入する。
預かり金額表示窓206には、処理部11が、鑑別部12から送られた正常紙幣の金種およびそれぞれの金種の枚数から算出した正常紙幣の預かり金額(つまり、一時保留部13に保管されている紙幣の合計金額)が表示されている。
そして、確認ボタン205が押下されると(図4のS113→No)、顧客が、この時点で、一時保留部13に保管されている金額のみの入金でOKと判断したものとみなされ、処理部11は、入金金額として確定させ、続けて、一時保留部13に保管されている紙幣を紙幣収納カセット16へ送って、取引を終了する。
【0021】
図7は、図6に係る返却情報表示エリアの例を示す図である。
返却情報表示エリア201,202は、返却要因表示エリア301と、対処方法表示エリア302とを有してなる。
返却要因表示エリア301には、該当する紙幣が返却される要因が表示される。例えば、1枚目返却情報表示エリア201における返却要因表示エリア301aには、1枚目の紙幣返却の要因が、「欠損」によるものである旨が表示されている。2枚目返却情報表示エリア202における返却要因表示エリア301bには、2枚目の紙幣返却の要因が、「折れ」によるものである旨が表示されている。
そして、対処方法表示エリア302には、該当する返却要因に対する対処方法が表示される。例えば、1枚目返却情報表示エリア201における対処方法表示エリア302aには、「欠損が生じているため、本自動取引装置では、取り扱いできかねる」旨が表示されている。2枚目返却情報表示エリア202における対処方法表示エリア302bには、「折れを伸ばしてから再投入する」旨の指示が表示されている。
【0022】
また、例えば、N枚目、M枚目、・・・の異常紙幣の返却要因(異常種別)および対処方法が同じである場合がある。第1実施形態では、このような場合でも積層順に表示することを前提としているが、まとめて表示してもよい。例えば、1枚目と、N枚目と、M枚目とで同じ返却要因および対処方法を表示する場合、図6および図7の1枚目返却情報表示エリア201に、N枚目およびM枚目の返却情報も表示させてもよい。
【0023】
図8および図9は、第1実施形態に係る返却情報の例を示す図である。
図8および図9に示すように、フィールド401に示すような返却要因(異常種別)は、フィールド402に示すセンサによって検知され、フィールド403に示すような対処方法をタッチパネル付表示部3に表示される。
なお、記憶部15の対処情報151には、各異常種別に該当するフラグと、フィールド401の情報(異常種別の情報)と、フィールド403の対処方法(対処方法に関する情報)とが、それぞれ対応付けられて保持されている。
【0024】
第1実施形態によれば、異常紙幣(返却紙幣)が複数存在する場合でも、異常紙幣毎に返却要因(異常種別)と、対処方法を顧客に報知するので、顧客は、どの紙幣がどのような要因で返却され、どのような対処をとればよいのかをただちに認識することができる。
【0025】
(第2実施形態)
次に、図10〜図13を参照して、本発明に係る第2実施形態について述べる。
なお、第2実施形態における外観斜視図および全体処理は、図1および図4と同様であるため、図面および説明を省略する。
図10は、第2実施形態に係る自動取引装置の機能ブロック図の例である。
図2における自動取引装置1では、一時保留部14から紙幣投入部2への搬送が、束集積された状態で行われていたのに対し、図10における自動取引装置1’では、1枚ずつ集積された状態、つまり1枚ずつ異常紙幣が搬送される点が異なる。それ以外は、図2と同様であるため、説明を省略する。
【0026】
次に、図1、図3および図10を参照しつつ、図11に沿って第2実施形態に係る紙幣返却処理を説明する。
図11は、第2実施形態に係る紙幣返却処理の流れを示すフローチャートである。
図11において、図5と同様の処理には同一のステップ番号を付して説明を省略する。
処理部11は、紙幣保持部材22に保持されていた投入紙幣がすべてなくなった旨の情報を、紙幣投入部2の光学センサなどから取得すると、一時保留部14に集積されている返却紙幣(異常紙幣)を、上から順に、または下から順に搬送路17cを介して紙幣保持部材22へ、一枚排出させる(S301)。
そして、処理部11は、ステップS202の処理を行うと同時に、ステップS109で鑑別された紙幣順に記憶していたフラグに対応している返却理由と、対処方法に関する情報を返却画面501として、1枚ずつタッチパネル付表示部3に表示させる(S302)。ステップS302で表示される返却画面501は、図12および図13を参照して後記する。
ステップS206でシャッタ21が閉塞した後、処理部11は、ステップS302からこれまで表示されている返却画面501を非表示とし、一時保留部14に紙幣が残っているか否かを、一時保留部14に設置されているセンサなどを用いて判定する。つまり、処理部11は、一時保留部14に返却紙幣(異常紙幣)があるか否かを判定する(S303)。
ステップS303の結果、返却紙幣がある場合(S303→Yes)、処理部11は、ステップS301へ処理を戻す。
ステップS303の結果、返却紙幣がない場合(S303→No)、処理部11は、図4のステップS112へ処理を進める。
【0027】
次に、図12および図13に沿って、第2実施形態に係る返却画面501を説明する。
図12において、図6と同様の構成要素に関しては、図6と同一の符号を付して説明を省略する。
図12は、第2実施形態に係る返却画面の例を示す図である。
返却画面501は、現在紙幣保持部材22にある紙幣(図12では、N枚目に排出された異常紙幣)に関する返却情報が表示されているN枚目返却情報表示エリア502を有している。また、返却画面501は、押下すると、処理部11が、シャッタ21を閉塞させて、一時保留部14に積層している異常紙幣を1枚、紙幣保持部材22へ送らせる次紙幣ボタン503を有してもよい。次紙幣ボタン503が表示される場合、次紙幣ボタン503を押下するタイミングは、図11のステップS303でYesが判定された後である。
また、図12における再投入ボタン204は、例えば、返却紙幣の返却がすべて完了した後に顧客によって押下されてもよいし、一枚ずつ押下することによって、一枚ずつ再投入されてもよい。
【0028】
図13は、図12に係る返却情報表示エリアの例を示す図である。
図7と同様に、返却情報表示エリア502は、返却要因表示エリア601と、対処方法表示エリア602とを有してなる。
返却要因表示エリア601には、該当する紙幣が返却される要因を表示する。図13のN枚目返却情報表示エリアにおける返却要因表示エリア601には、N枚目の紙幣返却の要因が、「欠損」によるものである旨が表示されている。
そして、対処方法表示エリア602には、該当する返却要因に対する対処方法が表示される。図13のN枚目返却情報表示エリアにおける対処方法表示エリア602には、「欠損が生じているため、本自動取引装置では、取り扱いできかねる」旨が表示されている。
【0029】
第2実施形態によれば、異常紙幣(返却紙幣)が複数存在する場合でも、異常紙幣が一枚ずつ返却され、その毎に返却要因(異常種別)と、対処方法を顧客に報知するので、顧客は、どの紙幣がどのような要因で返却され、どのような対処をとればよいのかを直ちに認識することができる。
【0030】
第1実施形態および第2実施形態では、返却要因(異常種別)と、対処方法とをタッチパネル付表示部3(図2および図11参照)に表示することによって、これらの情報を顧客に報知しているが、これに限らず、図2および図11に示す音声報知部6による音声の報知や、印刷部7による印刷によって報知してもよい。
【0031】
また、第1実施形態および第2実施形態では、図1〜図13に記載した機能が自動取引装置1,1’に搭載されているものとして説明したが、これに限らず、例えば、銀行内で銀行員が使用する紙幣入金整理機などの現金処理機や、釣銭機などに搭載させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態に係る自動取引装置の外観斜視図の例である。
【図2】第1実施形態に係る自動取引装置の機能ブロック図の例である。
【図3】第1実施形態に係る自動取引装置の内部構造の例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る取引処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態に係る紙幣返却処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係る返却画面の例を示す図である。
【図7】図6に係る返却情報表示エリアの例を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る返却情報の例を示す図である(その1)。
【図9】第1実施形態に係る返却情報の例を示す図である(その2)。
【図10】第2実施形態に係る自動取引装置の機能ブロック図の例である。
【図11】第2実施形態に係る紙幣返却処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係る返却画面の例を示す図である。
【図13】図12に係る返却情報表示エリアの例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 自動取引装置
2 紙幣投入部(排出部)
3 タッチパネル付表示部(報知部:表示部)
4 カード投入部
5 通帳投入部
6 音声報知部(報知部)
7 印刷部(報知部)
11 処理部
12 鑑別部
13 一時保留部(正常紙幣用)
14 一時保留部(異常紙幣用)
15 記憶部
16 紙幣収納カセット
17a〜17d,100a〜100h 搬送路
21 シャッタ
22 紙幣保持部材
101 補充回収カセット
102 取り忘れ紙幣収納カセット
103 損券カセット
151 対処情報
200 返却画面(第1実施形態)
201 1枚目返却情報表示エリア
202 2枚目返却情報表示エリア
203 取消ボタン
204 再投入ボタン
205 確認ボタン
206 金額表示窓
301,301a,301b 返却要因表示エリア
302,302a,302b 対処方法表示エリア
501 返却画面(第2実施形態)
502 返却情報表示エリア(第2実施形態)
601 返却要因表示エリア(第2実施形態)
602 対処方法表示エリア(第2実施形態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融取引を行う自動取引装置であって、
投入された紙幣毎に、当該紙幣が正常か異常かの鑑別を行い、前記異常紙幣の枚数を計数し、前記異常の種別である異常種別を判別する鑑別部と、
前記異常種別に対応した対処方法に関する情報を保持している記憶部と、
前記異常紙幣が複数枚である場合、
前記鑑別部によって判別された前記異常種別を基に、前記異常紙幣毎に、前記記憶部から、前記判別された異常種別に対応した対処方法に関する情報を取得し、前記異常紙幣毎に、前記取得した対処方法に関する情報を報知部に報知させる処理部とを有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記報知部とは、情報を表示する表示部であり、
前記報知とは、前記対処方法に関する情報の前記表示部への表示であることを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記鑑別部によって異常と判定された紙幣である異常紙幣を、積層させて排出する排出部をさらに有し、
前記処理部は、前記排出部に積層している異常紙幣の順番に合わせて、前記対処方法に関する情報を前記表示部に表示させる機能をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記鑑別部によって異常と判定された紙幣である異常紙幣を1枚ずつ排出する排出部をさらに有し、
前記処理部は、排出される異常紙幣毎に、前記対処方法に関する情報を前記報知部に報知させる機能をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記鑑別部によって異常と判定された紙幣である異常紙幣を排出し、前記異常紙幣が抜き取られたか否かを判定する排出部をさらに有し、
前記処理部は、前記異常紙幣が前記排出部から抜き取られるまで、前記報知部に前記報知を続けさせる機能をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記鑑別部によって異常と判定された紙幣である異常紙幣を排出する排出部をさらに有し、
前記鑑別部は、正常な紙幣である正常紙幣の種別を判別し、前記正常紙幣の枚数を計数する機能をさらに有し、
前記処理部は、前記異常紙幣の種別と、枚数とを基に、投入された正常紙幣の金額を算出し、前記報知と共に、前記正常紙幣の金額も前記報知部に報知させることを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−123016(P2009−123016A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297143(P2007−297143)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】