説明

自動取引装置

【課題】カード状媒体の誤挿入をより確実に防止するための自動取引装置を提供する。
【解決手段】カード状媒体が挿入されるカード挿入口と、紙状媒体を排出する排出口を有する紙状媒体排出部と、前記紙状媒体の搬送、および前記排出口からの前記紙状媒体の排出を下側ガイド面および上側ガイド面により案内する搬送路と、を備え、前記搬送路の搬送方向上の少なくとも1つの位置において、前記紙状媒体の厚み方向上の間隔が、前記カード状媒体の厚さ未満である、自動取引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、金融機関のATM(Automated teller machine)に代表される自動取引装置は、銀行、駅構内およびコンビニエンスストアなど、多様な場所に設置されている。顧客は、この自動取引装置に表示される表示画面において各種操作を行うことにより、入金、出金および残高照会などの取引を行うことができる。
【0003】
このような自動取引装置は、取引情報が印刷されたレシートを排出するレシート排出口、および、磁気カードを挿入および排出するためカード挿入排出口を有する。レシート排出口およびカード挿入口は、例えば特許文献1に開示されているように、自動取引装置から排出されるカードおよびレシートを顧客が一挙動で受け取れるように、隣接して設けられるケースが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−21469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、レシート排出口とカード挿入排出口が隣接する場合、顧客が磁気カードを誤ってレシート排出口に入れようとしてしまうことが想定される。このため、レシートの排出時にのみレシートの排出経路を開くシャッタを設けることが考えられるが、シャッタを開閉するためのアクチュエータが必要となるので、装置の大型化、部品点数の増加による作業性悪化、およびコストアップが生じるという問題がある。
【0006】
また、シャッタを設けずに、レシート排出口付近の搬送路の角度を水平から大きく垂直に立てた構造にすることも考えられる。この構造によれば、レシート排出口から磁気カードが入り難くなるが、磁気カードの誤挿入を完全に防止するものではない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、カード状媒体の誤挿入をより確実に防止することが可能な、新規かつ改良された自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、カード状媒体が挿入されるカード挿入口と、紙状媒体を排出する排出口を有する紙状媒体排出部と、前記紙状媒体の搬送、および前記排出口からの前記紙状媒体の排出を下側ガイド面および上側ガイド面により案内する搬送路と、を備え、前記搬送路の搬送方向上の少なくとも1つの位置において、前記紙状媒体の厚み方向上の間隔が、前記カード状媒体の厚さ未満である、自動取引装置が提供される。
【0009】
前記搬送路は、前記紙状媒体を前記紙状媒体排出部に案内する下側ガイド部材を有し、前記下側ガイド部材の先端部と前記紙状媒体排出部の上側ガイド面との間隔は、前記カード状媒体の厚さ未満であってもよい。
【0010】
前記排出口の上側ラインおよび下側ラインは直線形状に形成され、前記上側ラインと下側ラインとの間隔は、前記カード状媒体の厚さ未満であってもよい。
【0011】
前記排出口の上側ラインおよび下側ラインは屈曲形状を有し、前記上側ラインの下端部と前記下側ラインの上端部との前記厚み方向上の間隔は、前記カード状媒体の厚さ未満であってもよい。
【0012】
前記上側ラインの下端部は、前記下側ラインの上端部よりも下側に位置してもよい。
【0013】
前記搬送路の前記上側ガイド面および前記下側ガイド面には突起部材が設けられ、前記上側ガイド面に設けられた突起部材の下端部と、前記下側ガイド面に設けられた突起部材の上端部との前記厚み方向上の間隔は、前記カード状媒体の厚さ未満であってもよい。
【0014】
前記上側ガイド面に設けられた突起部材の下端部は、前記下側ガイド面に設けられた突起部材の上端部よりも下側に位置してもよい。
【0015】
前記紙状媒体排出部は、前記排出口を覆う方向に付勢されたシャッタを有してもよい。
【0016】
前記自動取引装置は、前記搬送路の媒体を検知するセンサと、前記紙状媒体の非搬送時に前記センサにより媒体が検知された場合、前記媒体が排出されるように前記媒体の搬送を制御する制御部と、をさらに備えてもよい。
【0017】
前記自動取引装置は、表示部をさらに備え、前記制御部は、前記センサにより前記媒体が検知された場合、正しい操作を誘導する案内画面を前記表示部に表示させてもよい。
【0018】
前記搬送路の搬送方向上の少なくとも1つの位置は、前記排出口から、前記カード状媒体の挿入方向の長さの範囲内であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、カード状媒体の誤挿入をより確実に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態による自動取引システムの構成を示した説明図である。
【図2】本発明の比較例による自動取引装置の構成を示した説明図である。
【図3】第1の実施形態による構成を示した説明図である。
【図4】第1の実施形態によるカード挿入排出口およびレシート排出口の正面図である。
【図5】第2の実施形態による構成を示した説明図である。
【図6】図5のA−A’断面を示した説明図である。
【図7】第3の実施形態による構成を示した説明図である。
【図8】第3の実施形態によるカード挿入排出口およびレシート排出口の正面図である。
【図9】第3の実施形態によるレシートの排出を示した説明図である。
【図10】レシート排出口の形状の変形例を示した説明図である。
【図11】レシート排出口の形状の変形例を示した説明図である。
【図12】第4の実施形態による構成を示した説明図である。
【図13】第4の実施形態によるカード挿入排出口およびレシート排出口の正面図である。
【図14】第5の実施形態による構成を示した説明図である。
【図15】第6の実施形態による構成を示した説明図である。
【図16】顧客への誘導画面の具体例を示した説明図である。
【図17】第8の実施形態による構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
<1.自動取引装置および自動取引システムの基本構成>
本発明は、一例として「3−1.第1の実施形態」〜「3−8.第8の実施形態」において詳細に説明するように、多様な形態で実施され得る。また、各実施形態による自動取引装置(1)は、
A.カード状媒体(磁気カード12)が挿入されるカード挿入口(カード挿入排出口4)と、
B.紙状媒体を排出する排出口(レシート排出口40)を有する紙状媒体排出部(レシート排出部31〜35)と、
C.前記紙状媒体の搬送、および前記排出口からの前記紙状媒体の排出を下側ガイド面および上側ガイド面により案内する搬送路と、
を備え、
D.前記搬送路の搬送方向上の少なくとも1つの位置において、前記紙状媒体の厚み方向上の間隔が、前記カード状媒体の厚さ未満である。
【0023】
以下では、まず、このような各実施形態において共通する自動取引装置、および自動取引装置を含む自動取引システムの基本構成について図1を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による自動取引システムの構成を示した説明図である。図1に示したように、本発明の実施形態による自動取引システムは、複数の自動取引装置1と、専用網62と、金融機関ホスト70と、を含む。
【0025】
自動取引装置1は、金融機関の顧客による操作に基づいて金銭の取引を実行する顧客操作型端末である。この自動取引装置1は、金融機関の営業店、コンビニエンスストア、駅構内、ホテル、病院、アミューズメントパーク、飲食店、オフィスビルディングなどの多様な施設に設置される。
【0026】
また、自動取引装置1は、カード挿入排出口4、レシート排出口40、操作表示部54、通帳挿入口56、および接客口58を備える。操作表示部54は、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部および顧客操作を検出する顧客操作部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、顧客操作部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。なお、図1においては表示部および顧客操作部の機能が自動取引装置1において一体的に構成される例を示しているが、表示部および顧客操作部の機能は分離して構成されてもよい。
【0027】
通帳挿入口56は顧客の通帳の挿入および排出を行う。また、接客口58は、顧客による紙幣の入金口、および顧客への紙幣の出金口としての機能を有する。
【0028】
カード挿入排出口4は、顧客の磁気カードの挿入および排出を行うための開口部である。また、レシート排出口40は、取引情報が印刷されたレシートを排出するための開口部である。このカード挿入排出口4とレシート排出口40は、図1に示したように上下に隣接して設けられるので、顧客は、カード挿入排出口4から排出される磁気カードおよびレシート排出口40から排出されるレシートを一挙動で受け取ることが可能である。
【0029】
専用網62は、金融機関のネットワークであり、例えばIP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)により構成される。金融機関ホスト70は、この専用網62を介して自動取引装置1と通信することができる。
【0030】
金融機関ホスト70は、専用網62を介して自動取引装置1と通信することにより、各種取引を制御する。例えば、金融機関ホスト70は、自動取引装置1を操作する顧客の認証を行ったり、自動取引装置1において顧客により指示された入金や振込などの金銭取引(勘定の取引処理)を実行したりする。また、金融機関ホスト70は、口座番号、暗証番号、氏名、住所、年齢、生年月日、電話番号、職業、家族構成、年収、預金残高などの顧客情報(口座の元帳)を管理する。
【0031】
本発明の実施形態は、上述した自動取引システムに含まれる自動取引装置1に関し、特に、自動取引装置1におけるレシート排出口40の周辺の構成に関する。そこで、以下、本発明の比較例による自動取引装置のレシート排出口40の周辺の構造を説明した後に、本発明の各実施形態について詳細に説明する。
【0032】
<2.比較例による自動取引装置>
(構成)
図2は、本発明の比較例による自動取引装置の構成を示した説明図である。図2に示したように、比較例による自動取引装置は、カードリーダライタ2、およびレシートプリンタ90を有する。
【0033】
カードリーダライタ2は、カード挿入排出口4、フィードローラ5〜10、および磁気読取部11を有する。磁気読取部11は、カード状媒体である磁気カード12上のデータを読取る。磁気読取部11により読み取られたデータは制御部に送信され、制御部は、このデータに基づいて取引を制御する。
【0034】
一方、レシートプリンタ90は、連続用紙13が巻回されたレシートロール14、サーマルヘッド15、プラテン16、カッタナイフ17、フィードローラ18〜21、シャッタ24、アッパガイド25(上側ガイド部材)、およびロワガイド26(下側ガイド部材)を有する。
【0035】
サーマルヘッド15は、プラテン16上に搬送された連続用紙13に所定の取引情報を印字する。カッタナイフ17は、連続用紙13の取引情報が印字された部分を、磁気カードより厚さの薄い一枚の紙葉状媒体であるレシート22に切断する。フィードローラ18〜21は、レシート22をレシート排出口92に向けて搬送する。
【0036】
シャッタ24は、図示せぬプランジャーマグネットなどのアクチュエータにより、レシート22の排出時にレシート22の搬送路を閉じる位置に移動される。アッパガイド25とロワガイド26は、レシート排出口92を有するレシート排出部30にレシート22を案内する。なお、レシート排出部30は、フレーム38を介して装置本体に取り付けられている。
【0037】
(動作)
続いて、以上説明した構成を有する比較例による自動取引装置の取引動作について説明する。顧客が、カード挿入排出口4から磁気カード12を挿入し、磁気カード12をフィードローラ5と6との間に挟ませると、フィードローラ5〜10が回転して磁気カード12を磁気読取部11に搬送する。そして、磁気読取部11は、カード状媒体である磁気カード12上のデータを読取る。磁気読取部11により読み取られたデータは制御部に送信され、制御部は、このデータに基づいて取引を制御する。
【0038】
また、制御部は、サーマルヘッド15により連続用紙13に取引情報を印字する。連続用紙13は、プラテン16が回転することにより、レシート排出口92の方向に所定量送られ、カッタナイフ17によりレシート22として切断される。レシート22は、フィードローラ18〜21が回転することにより、レシート排出口92へ向けて搬送される。
【0039】
レシート22がレシート排出部30へ搬送されてくると、図示せぬアクチュエータによってシャッタ24が開く。このようにレシート22が排出されるときのみシャッタ24が開くことにより、顧客が誤って磁気カード12をレシート排出口92から挿入しても、シャッタ24に磁気カード12の先端が突き当たり、磁気カード12がレシートプリンタ90内に挿入されることはない。
【0040】
レシート22は、アッパガイド25とロワガイド26とによって案内され、レシート排出口92から排出される。このレシート22の排出にタイミングを合わせて、カードリーダライタ2内のフィードローラ5〜10が回転し、磁気カード12がカード挿入排出口4から排出される。
【0041】
(課題の整理)
上記のように、比較例による自動取引装置は、シャッタ24を開閉するためのアクチュエータを必要とするので、装置の大型化、部品点数の増加による作業性悪化、およびコストアップが生じるという問題がある。
【0042】
また、シャッタを設けずに、レシート排出口付近の搬送路の角度を水平から大きく垂直に立てた構造にすることも考えられる。この構造によれば、レシート排出口から磁気カードが入り難くなるが、磁気カードの誤挿入を完全に防止するものではない。
【0043】
そこで、上記事情を一着眼点にして本実施形態による自動取引装置を創作するに至った。本実施形態による自動取引装置は、磁気カードの誤挿入をより確実に防止することが可能である。以下、このような本発明の各実施形態について順次詳細に説明する。
【0044】
<3.各実施形態の詳細な説明>
[3−1.第1の実施形態]
(構成)
図3は、第1の実施形態による構成を示した説明図である。図4は、第1の実施形態によるカード挿入排出口4およびレシート排出口40−1の正面図である。図3に示したように、第1の実施形態による自動取引装置1は、カードリーダライタ2と、レシートプリンタ3−1と、を備える。カードリーダライタ2の構成は、比較例による自動取引装置の構成として説明した通りであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0045】
第1の実施形態によるレシートプリンタ3−1は、連続用紙13が巻回されたレシートロール14、サーマルヘッド15、プラテン16、カッタナイフ17、フィードローラ18〜21、アッパガイド25(上側ガイド部材)、およびロワガイド26(下側ガイド部材)を有する。なお、レシートロール14は、内部の摩擦や熱により誤って印字されないように、印字面が内側になるように巻回されている。
【0046】
サーマルヘッド15は、プラテン16上に搬送された連続用紙13に所定の取引情報を印字する。カッタナイフ17は、連続用紙13の取引情報が印字された部分を、磁気カードより厚さの薄い一枚の紙葉状媒体であるレシート22に切断する。フィードローラ18〜21は、レシート22をレシート排出口40−1に向けて搬送する。
【0047】
また、レシートプリンタ3−1には、フレーム38を介してレシート排出部31が取り付けられている。レシート排出部31は、装置本体側の開口部39、およびレシート排出口40−1を有する。また、装置本体側の開口部39は、レシート排出口40−1よりも広く、装置本体側の開口部39とレシート排出口40−1の間の搬送路は、徐々に狭くなる形状を有する。
【0048】
さらに、図4に示すように、第1の実施形態によるレシート排出口40−1の上側ライン、および下側ラインは直線形状に形成され、上側ラインと下側ラインの間隔G1は、レシート22の厚さ以上であり、磁気カード12の厚さ未満である。なお、レシート排出口40−1の上側ラインは搬送路の上側ガイド面の端部であり、レシート排出口40−1の下側ラインは搬送路の下側ガイド面の端部である。
【0049】
(動作)
このような構成において、レシート22は、フィードローラ18〜21により搬送され、アッパガイド25およびロワガイド26によりレシート排出部31に案内される。そして、レシート22は、レシート排出部31の装置側の開口部39からレシート排出口40−1に送られる。ここで、レシート排出部31の装置側の開口部39からレシート排出口40−1の間の搬送路は段差など無く滑らかに形成されているので、レシート22の先端は、レシート22の厚さより広いレシート排出口40−1から自動取引装置1の外部に排出される。
【0050】
(効果)
以上説明したように、第1の実施形態によれば、レシート22は、レシート22の厚さより広いレシート排出口40−1から自動取引装置1の外部に正常に排出される。一方、レシート排出口40−1の高さは磁気カード12の厚さより狭いので、磁気カード12のレシート排出口40−1への誤挿入を防止することが可能である。
【0051】
[3−2.第2の実施形態]
(構成)
図5は、第2の実施形態による構成を示した説明図である。図6は、図5のA−A’断面を示した説明図である。図5に示したように、第1の実施形態による自動取引装置1は、カードリーダライタ2と、レシートプリンタ3−2と、を備える。
【0052】
第2の実施形態によるレシートプリンタ3−1は、連続用紙13が巻回されたレシートロール14、サーマルヘッド15、プラテン16、カッタナイフ17、フィードローラ18〜21、アッパガイド25、およびロワガイド27を有する。また、レシートプリンタ3−2には、フレーム38を介してレシート排出部32が取り付けられている。レシート排出部32は、レシート排出口40−2を有する。
【0053】
ここで、ロワガイド27の先端はレシート排出部32内の搬送路に位置する。また、図5および図6に示したように、ロワガイド27の先端と、レシート排出部32の搬送路の上面である上側ガイド面との間隔G3は、レシート22の厚さ以上であり、磁気カード12の厚さ未満である。なお、ロワガイド27の先端は、搬送路の幅を有する必要は無く、例えば図6に示したように、磁気カード12が挿入された場合に突き当たる位置にあればよい。また、磁気カード12が完全に挿入される前に磁気カード12がロワガイド27の先端に突き当たるように、レシート排出口40−2からロワガイド27の先端までの長さは磁気カード12の挿入方向の長さ以内であることが望ましい。
【0054】
(動作)
このような構成において、レシート22は、フィードローラ18〜21により搬送され、アッパガイド25およびロワガイド26によりレシート排出部32に案内される。ここで、ロワガイド27の先端と、レシート排出部32の上側ガイド面との間隔G3はレシート22の厚さより広いので、レシート22は、ロワガイド27の先端を通過してレシート排出口40−2から自動取引装置1の外部に排出される。
【0055】
(効果)
以上説明したように、第2の実施形態によれば、ロワガイド27の先端と、レシート排出部32の上側ガイド面との間隔G3は、レシート22の厚さより広く、磁気カード12の厚さ未満である。このため、レシート22は、ロワガイド27の先端とレシート排出部32の上側ガイド面との間を通過してレシート排出口40−2から自動取引装置1の外部に正常に排出される。一方、レシート排出口40−2に磁気カード12を挿入しようとしても磁気カード12はロワガイド27に突き当たるので、磁気カード12がレシート排出口40−2から誤って挿入されてしまうことを防止できる。
【0056】
[3−3.第3の実施形態]
(構成)
図7は、第3の実施形態による構成を示した説明図である。図8は、第3の実施形態によるカード挿入排出口4およびレシート排出口40−3の正面図である。図7に示したように、第3の実施形態による自動取引装置1は、カードリーダライタ2と、レシートプリンタ3−3と、を備える。
【0057】
第3の実施形態によるレシートプリンタ3−3は、連続用紙13が巻回されたレシートロール14、サーマルヘッド15、プラテン16、カッタナイフ17、フィードローラ18〜21、アッパガイド25、およびロワガイド27を有する。また、レシートプリンタ3−3には、フレーム38を介してレシート排出部33が取り付けられている。レシート排出部33は、レシート排出口40−3を有する。
【0058】
ここで、第3の実施形態によるレシート排出口40−3の上側ラインおよび下側ラインは、図8に示したように、屈曲形状、より具体的には、V字状に形成される。さらに、上側ラインの下端部40−3aと、下側ラインの上端部40−3bとの間隔G4は、レシート22の厚さより広く、磁気カード12の厚さ未満である。なお、図8においては、上側ラインの下端部40−3aが下側ラインの上端部40−3bの上側に位置している例を示しているが、上側ラインの下端部40−3aは、下側ラインの上端部40−3bの下側に位置してもよい。
【0059】
(動作)
このような構成において、レシート22は、フィードローラ18〜21により搬送され、アッパガイド25およびロワガイド26によりレシート排出部33に案内される。そして、レシート22は、レシート排出口40−3のV字形状に倣って正常に排出される。
【0060】
(効果)
以上説明したように、第3の実施形態によれば、レシート22は、レシート排出口40−3のV字形状に倣って正常に排出される。一方、上側ラインの下端部40−3aと、下側ラインの上端部40−3bとの間隔G4は、磁気カード12の厚さより狭いので、磁気カード12のレシート排出口40−3への誤挿入を防止することが可能である。
【0061】
さらに、第3の実施形態によれば、レシート22をV字状で排出できるので、排出時のレシート22の剛性を向上することが可能である。この点について、図9を参照してより具体的に説明する。
【0062】
図9は、第3の実施形態によるレシート22の排出を示した説明図である。図9の左図に示したように、比較例によるレシート排出部30では、ロール紙からカットしたレシート22が排出時にカールしてしまう。このため、レシート排出部30をカード挿入排出口4に隣接して配置しても、レシート22と磁気カード12を顧客が一挙動で受け取ることは困難であった。
【0063】
一方、本発明の第3の実施形態によれば、上述したようにレシート22の剛性が高くなる(すなわち、コシが強くなる。)ので、図9の右図に示したように、排出時のカールが抑えられる。その結果、顧客は、レシート22と磁気カード12を容易に一挙動で受け取ることが可能となる。
【0064】
(補足)
なお、上記ではレシート排出口40−3がV字形状に形成される例を説明したが、レシート排出口40−3は上下が反対のV字形状に形成されてもよい。さらに、V字形状は屈曲形状の一例として説明したに過ぎず、レシート排出口40−3の形状はV字形状に限定されない。例えば、レシート排出口40−3は、図10に示したように台形状に形成されてもよいし、図11に示したように円弧状に形成されてもよい。
【0065】
[3−4.第4の実施形態]
(構成)
図12は、第4の実施形態による構成を示した説明図である。図13は、第4の実施形態によるカード挿入排出口4およびレシート排出口40−4の正面図である。図12に示したように、第4の実施形態による自動取引装置1は、カードリーダライタ2と、レシートプリンタ3−4と、を備える。
【0066】
第4の実施形態によるレシートプリンタ3−4は、連続用紙13が巻回されたレシートロール14、サーマルヘッド15、プラテン16、カッタナイフ17、フィードローラ18〜21、アッパガイド25、およびロワガイド26を有する。また、レシートプリンタ3−4には、フレーム38を介してレシート排出部34が取り付けられている。レシート排出部34は、レシート排出口40−4と、下側突起部材41と、上側突起部材42と、を有する。
【0067】
下側突起部材41は、レシート排出口40−4の下側ガイド面に設けられたリブ状の突起であり、レシート排出口40−4の上側ガイド面に設けられたリブ状の突起である。図13においては、下側突起部材41が3つ設けられ、上側突起部材42が4つ設けられた例を示しているが、各突起部材の数は特に限定されない。また図13に示したように、下側突起部材41および上側突起部材42は、幅方向における異なる位置に入れ子状に配置される。
【0068】
さらに、上側突起部材42の下端部42aと、下側突起部材41の上端部41aとの間隔は、レシート22の厚さより広く、磁気カード12の厚さ未満である。さらに、上側突起部材42の下端部42aは、下側突起部材41の上端部41aより下側に位置してもよい。すなわち、下側突起部材41と上側突起部材42はレシート22の厚み方向上でオーバーラップしてもよい。
【0069】
(動作)
このような構成において、レシート22は、フィードローラ18〜21により搬送され、アッパガイド25およびロワガイド26によりレシート排出部33に案内される。そして、レシート22は、レシート排出口40−4の下側突起部材41および上側突起部材42により波状の形状で正常に排出される。
【0070】
(効果)
以上説明したように、第4の実施形態によれば、レシート22は、レシート排出口40−3から波状の形状で正常に排出される。一方、下側突起部材41および上側突起部材42により、磁気カード12のレシート排出口40−4への誤挿入を防止することが可能である。
【0071】
また、第4の実施形態によれば、下側突起部材41と上側突起部材42をレシート22の厚み方向上でオーバーラップさせることにより、磁気カード12だけでなく、磁気カード12よりも薄い媒体の挿入を防止することが可能である。
【0072】
さらに、第4の実施形態によれば、レシート22を波状の形状で排出できるので、第3の実施形態と同様に、排出時のレシート22の剛性を向上することが可能である。したがって、第4の実施形態によっても、レシート22の排出時のカールが抑えられるので、顧客は、レシート22と磁気カード12を容易に一挙動で受け取ることが可能となる。
【0073】
[3−5.第5の実施形態]
(構成)
図14は、第5の実施形態による構成を示した説明図である。図14に示したように、第4の実施形態による自動取引装置1は、カードリーダライタ2と、レシートプリンタ3−5と、を備える。
【0074】
第5の実施形態によるレシートプリンタ3−5は、連続用紙13が巻回されたレシートロール14、サーマルヘッド15、プラテン16、カッタナイフ17、フィードローラ18〜21、アッパガイド25、およびロワガイド26を有する。また、レシートプリンタ3−5には、フレーム38を介してレシート排出部35が取り付けられている。レシート排出部35は、第4の実施形態で説明したレシート排出口40−4、下側突起部材41、および上側突起部材42に加え、排出口シャッタ47を備える。
【0075】
排出口シャッタ47は、レシート排出口40−4に対し、支点48と回動可能に設けられる。この排出口シャッタ47は、図示せぬスプリングなどの付勢手段により、レシート排出口40−4を覆う方向に付勢される。なお、排出口シャッタ47は、レシート排出口40−4の幅全体を覆う大きさを有してもよい。
【0076】
(動作)
このような構成において、レシート22は、フィードローラ18〜21により搬送され、アッパガイド25およびロワガイド26によりレシート排出部33に案内される。そして、レシート22は、レシート排出口40−4の下側突起部材41および上側突起部材42により波状に形状され、剛性が増す。これにより、レシート22は、排出口シャッタ47を押し開きながらレシート排出口40−4から正常に排出される。
【0077】
(効果)
以上説明したように、第5の実施形態によれば、レシート排出口40−4が排出口シャッタ47に覆われるので、磁気カード12だけでなく、あらゆる異物がレシート排出口40−4に挿入されることを防止できる。さらに、第5の実施形態によれば、排出口シャッタ47はレシート22の剛性により押し開かれるので、排出口シャッタ47を開閉するためのアクチュエータが不要である。
【0078】
なお、上記では第4の実施形態で説明した構成に排出口シャッタ47を組み合わせる例を説明したが、第3の実施形態によってもレシート22の剛性が向上されるので、第3の実施形態に上述した排出口シャッタ47の構成を適用することも可能である。
【0079】
[3−6.第6の実施形態]
図15は、第6の実施形態による構成を示した説明図である。図15に示したように、第6の実施形態による自動取引装置1は、カードリーダライタ2と、レシートプリンタ3−6と、制御部50と、操作表示部54と、を備える。
【0080】
第6の実施形態によるレシートプリンタ3−6は、連続用紙13が巻回されたレシートロール14、サーマルヘッド15、プラテン16、カッタナイフ17、フィードローラ18〜21、アッパガイド25、ロワガイド27およびセンサ49を有する。また、レシートプリンタ3−6には、フレーム38を介してレシート排出部32が取り付けられている。レシート排出部32は、レシート排出口40−2を有する。
【0081】
センサ49は、フィードローラ18および19と、フィードローラ20および21との間に配置され、媒体の有無を検出する。なお、レシート排出部32の構成は第2の実施形態で説明したとおりである。
【0082】
制御部50は、自動取引装置1の動作全般を制御する。特に、第6の実施形態による制御部50は、レシート排出口40−2から異物(例えば、磁気カード12より薄いポイントカードのような媒体)が挿入され、レシート22の排出動作時以外でセンサ49により媒体が検知された場合、媒体を排出する方向にフィードローラ18〜21を回転させる。そして、制御部50は、センサ49から媒体が検出されなくなってから、一定時間が経過した後に、フィードローラ18〜21の回転を停止させ、異物の排出制御を終了する。
【0083】
また、制御部50は、レシート22の排出動作時以外でセンサ49により媒体が検知された場合、顧客に正しい操作を誘導する動画(実写、アニメ)または静止画(写真、イラスト)を操作表示部54に表示してもよい。例えば、制御部50は、図16に示したように、顧客への注意メッセージ、および、正しいカードの挿入口を図示する画面を操作表示部54に表示させてもよい。
【0084】
以上説明したように、第6の実施形態によれば、磁気カード12より薄いポイントカードのような媒体が誤ってレシート排出口40−2から挿入された場合であっても、センサ49により誤挿入を検出し、媒体を排出する方向にフィードローラ18〜21を回転させることにより、媒体をレシート排出口40−2から排出することが可能である。なお、上述した第6の実施形態は、第2の実施形態だけでなく、第1の実施形態、第3の実施形態、または第4の実施形態に適用することも可能である。
【0085】
[3−7.第7の実施形態]
第7の実施形態による自動取引装置1は、第6の実施形態と同様に、センサ49を有するレシートプリンタ3−6を備える。
【0086】
制御部50は、レシート22の排出動作時以外でセンサ49により媒体が検知された場合、顧客に正しい操作を誘導する動画(実写、アニメ)または静止画(写真、イラスト)を操作表示部54に表示させる。例えば、制御部50は、図16に示したように、顧客への注意メッセージ、および、正しいカードの挿入口を図示する画面を操作表示部54に表示させてもよい。
【0087】
このような第7の実施形態によれば、媒体が深く誤挿入されてしまうことを防止可能である。なお、上述した第7の実施形態は、第1〜第6の実施形態のいずれにも適用可能である。
【0088】
[3−8.第8の実施形態]
(構成)
図17は、第8の実施形態による構成を示した説明図である。図17に示したように、第8の実施形態による自動取引装置1は、カードリーダライタ2と、レシートプリンタ3−8と、を備える。
【0089】
第8の実施形態によるレシートプリンタ3−8は、連続用紙13が巻回されたレシートロール14、サーマルヘッド15、プラテン16、カッタナイフ17、フィードローラ18〜21、アッパガイド25、ロワガイド27、および搬送路45を有する。また、レシートプリンタ3−8には、フレーム38を介してレシート排出部36が取り付けられている。レシート排出部36は、レシート排出口40−5を有する。
【0090】
ここで、レシートプリンタ3−8の搬送路45は、屈曲形状に形成される。また、レシート排出口40−5から搬送路45の屈曲点45aまでの長さは、磁気カード12の挿入方向の長さ以内である。
【0091】
(動作)
このような構成において、レシート22は、フィードローラ18〜21により搬送路45上で搬送され、レシート排出部36に案内される。ここで、紙状媒体であるレシート22は可撓性が高いので、搬送路45の屈曲点45aを通過することができる。そして、レシートは、レシート排出部36のレシート排出口40−5から自動取引装置1の外部に排出される。
【0092】
(効果)
以上説明したように、第8の実施形態によれば、レシート22は、屈曲点45aを通過してレシート排出口40−5から自動取引装置1の外部に正常に排出される。一方、磁気カード12がレシート排出口40−5に挿入された場合、磁気カード12は搬送路45の屈曲点45aに突き当たり、搬送路45の屈曲点45aを通過できないので、磁気カード12の全体がレシート排出口40−5に誤挿入されてしまうことを防止できる。
【0093】
<4.むすび>
以上説明したように、本発明の第1実施形態〜第8の実施形態によれば、レシート排出口40への磁気カード12の誤挿入をより確実に防止することが可能である。
【0094】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。例えば、上記では本発明の自動取引装置をATMに適用する例を説明したが、本発明は電子マネーのチャージ機や券売機などの多様な自動取引装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 自動取引装置
2 カードリーダライタ
3−1〜3−6 レシートプリンタ
4 カード挿入排出口
5〜10、18〜21 フィードローラ
11 磁気読取部
12 磁気カード
13 連続用紙
14 レシートロール
15 サーマルヘッド
16 プラテン
17 カッタナイフ
22 レシート
25 アッパガイド
26、27 ロワガイド
30〜35 レシート排出部
38 フレーム
39 開口部
40、40−1〜40−6 レシート排出口
41 下側突起部材
42 上側突起部材
45 搬送路
47 排出口シャッタ
48 支点
49 センサ
50 制御部
54 操作表示部
56 通帳挿入口
58 接客口
62 専用網
70 金融機関ホスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード状媒体が挿入されるカード挿入口と、
紙状媒体を排出する排出口を有する紙状媒体排出部と、
前記紙状媒体の搬送、および前記排出口からの前記紙状媒体の排出を下側ガイド面および上側ガイド面により案内する搬送路と、
を備え、
前記搬送路の搬送方向上の少なくとも1つの位置において、前記紙状媒体の厚み方向上の間隔が、前記カード状媒体の厚さ未満である、自動取引装置。
【請求項2】
前記搬送路は、前記紙状媒体を前記紙状媒体排出部に案内する下側ガイド部材を有し、
前記下側ガイド部材の先端部と前記紙状媒体排出部の上側ガイド面との間隔は、前記カード状媒体の厚さ未満である、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記排出口の上側ラインおよび下側ラインは直線形状に形成され、前記上側ラインと下側ラインとの間隔は、前記カード状媒体の厚さ未満である、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記排出口の上側ラインおよび下側ラインは屈曲形状を有し、前記上側ラインの下端部と前記下側ラインの上端部との前記厚み方向上の間隔は、前記カード状媒体の厚さ未満である、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記上側ラインの下端部は、前記下側ラインの上端部よりも下側に位置する、請求項4に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記搬送路の前記上側ガイド面および前記下側ガイド面には突起部材が設けられ、
前記上側ガイド面に設けられた突起部材の下端部と、前記下側ガイド面に設けられた突起部材の上端部との前記厚み方向上の間隔は、前記カード状媒体の厚さ未満である、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記上側ガイド面に設けられた突起部材の下端部は、前記下側ガイド面に設けられた突起部材の上端部よりも下側に位置する、請求項6に記載の自動取引装置。
【請求項8】
前記紙状媒体排出部は、前記排出口を覆う方向に付勢されたシャッタを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の自動取引装置。
【請求項9】
前記自動取引装置は、
前記搬送路の媒体を検知するセンサと、
前記紙状媒体の非搬送時に前記センサにより媒体が検知された場合、前記媒体が排出されるように前記媒体の搬送を制御する制御部と、
をさらに備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の自動取引装置。
【請求項10】
前記自動取引装置は、
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記センサにより前記媒体が検知された場合、正しい操作を誘導する案内画面を前記表示部に表示させる、請求項9に記載の自動取引装置。
【請求項11】
前記搬送路の搬送方向上の少なくとも1つの位置は、前記排出口から、前記カード状媒体の挿入方向の長さの範囲内である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の自動取引装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−61913(P2013−61913A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201564(P2011−201564)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】