説明

自動変速機の制御装置

【課題】 小さなスペースで、且つ製品コストを安く抑えると共に、隣り合うターミナル相互間を確実に絶縁することを課題とする。
【解決手段】 電子制御モジュールにおいては、電子制御ユニット(TCU)の電子部品とセンサユニットの回路基板7上に実装されるホール素子との接続部にターミナル接合を用いている。また、ターミナル11とターミナル12との導通接合部であるレーザ溶接部15の露出面、第1接続端子41の表面および露出部43の表面に絶縁材46を塗布している。その上、ターミナル11とターミナル12との導通接合部であるレーザ溶接部15の周囲を複数の隔壁76および外側壁77で包囲し、複数の端子収容室75の上部開口部を蓋体8で塞ぎ、且つ樹脂ハウジング3の表面(右側面)および蓋体8の境界面(対向部79の封止材塗布面)に封止材80を塗布している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載される自動変速機(A/T)を制御する自動変速機の制御装置に関するもので、特に自動変速機の内部に搭載される自動変速機制御ユニット(TCU)を備えた自動変速機の制御装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、自動変速機の内部の油圧制御装置の上部に配置され、各種センサ信号に基づいて電磁油圧制御弁等の制御部品を動作させて自動変速機の変速制御を行う制御モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の制御モジュールは、図21および図22に示したように、モールド樹脂101に電子部品およびリード端子(ターミナル102)が封止された自動変速機用電子制御ユニット(TCU)と、モールド樹脂103に配線部材である複数のバスバー104が成形された配線ユニットと、内部にTCUおよび配線ユニットを収容するハウジング(カバー105、ベース部材106)とにより構成されている。
【0003】
TCUのモールド樹脂101は、電子部品(ICチップ等)を搭載した回路基板と、この回路基板の端部よりも外側に設けられた複数のターミナル102と、回路基板とターミナル102を接続する線状の配線部材とを包み込むように封止している。そして、ターミナル102の回路基板側に対して逆側の部位は、アウタリード(バスバー104との接続部)としてモールド樹脂101の側面より突出して露出している。
配線ユニットのバスバー104は、その中間部がモールド樹脂103に埋設されている。そして、バスバー104には、モールド樹脂103の側面からTCU側に突出して露出した露出部111、およびモールド樹脂103の側面からコネクタ107側に突出して露出した露出部112を有している。
【0004】
そして、制御モジュールは、油圧制御装置の上部、つまりオイルパンの内部に設置されているので、耐油性、耐熱性が要求される上、搭載スペースの制約上、小型化や薄型化が要求される。さらに、制御モジュールには、自動変速機のオイル中に変速機構の摩耗等により発生した導電性異物(導電性金属粒子、鉄系コンタミ)が隣り合う端子間または隣り合う配線間(導体間)に跨がって堆積した場合の端子間ショート(短絡)、配線間(導体間)ショート(短絡)を防止するための絶縁構造が必要となる。
そこで、特許文献1に記載の制御モジュールは、ターミナル102とバスバー104との導通接合部(溶接部)をカバー105とベース部材106との間に形成される空間内に入れて、カバー105と複数の絶縁壁113、114との間に形成される端子収容室115に各導通接合部を個別に収容し、カバー105の内壁面と複数の絶縁壁114の先端とを溶着固定することで、導電性異物が跨がって堆積した場合の端子間ショートおよび配線間(導体間)ショートを防止している。
ここで、自動変速機の内部に搭載された回路基板、この回路基板上に実装される半導体素子(センサ素子)を有するセンサユニットとTCUの電子部品との接続は、別途設けられるコネクタで嵌合されて導通接合されている。
【0005】
[従来の技術の不具合]
ところが、特許文献1に記載の制御モジュールにおいては、導電性異物が隣り合う端子間または隣り合う配線間に跨がって堆積した場合の短絡を防止するために、カバー105の内壁面と複数の絶縁壁114の先端とを溶着して、バスバー104を個別に収容する端子収容室115を隙間なく取り囲むようにしているので、ハウジング(カバー105、ベース部材106)に非常に高精度な樹脂成形が必要になる。これにより、製品コストが更に上昇するという問題がある。
【0006】
また、仮に複数の絶縁壁113、114によってターミナル102とバスバー104との各導通接合部を個別に取り囲むようにした場合であっても、TCUのモールド樹脂101の側面から突出して露出した複数のターミナル102の各露出部と、配線ユニットのモールド樹脂103の側面から突出して露出した露出部111とが絶縁材料により封止されていないので、複数のターミナル102の各露出部と複数のバスバー104の各露出部111との導通接合部と複数のターミナル102の根元部とを確実に絶縁することができない。この場合、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物が隣り合うターミナル102間または隣り合うバスバー104間に跨がって堆積すると、隣り合う端子(ターミナル102)間または隣り合う配線(バスバー104)間の短絡(ショート)が発生する可能性がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の制御モジュールにおいては、TCUの電子部品がモールド樹脂101によって完全に包囲(封止)されているので、TCUの電子部品で発生した熱を外部に放熱することが困難である。
TCUの電子部品の放熱性を向上するという目的で、仮にTCUのモールド樹脂101の下面に直接接触するように放熱部材を配置した場合、ターミナル102またはバスバー104と放熱部材との間に導電性異物が跨がって堆積することで、ターミナル102またはバスバー104と放熱部材とが短絡(ショート)する可能性がある。
【0008】
また、特許文献1に記載の制御モジュールにおいては、TCUの電子部品とセンサユニットの半導体素子との電気接続部にコネクタ同士の結合構造を採用しているので、複数のコネクタターミナルを収容する筒状のフードを有するコネクタを配置する大きなスペースが必要となると共に、部品点数や組付工数が多くなる。これにより、製品コストが更に上昇するという問題がある。
そこで、そのような問題を解決するという目的で、TCUの電子部品のリードターミナルと中継ターミナルとを導通接合し、その中継ターミナルとセンサユニットの半導体素子のリードターミナル(センサターミナル)とを導通接合するターミナル接続構造を採用した場合、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物が隣り合うターミナル間(端子間)に跨がって堆積すると、隣り合うターミナル間(端子間)に短絡(ショート)が発生する可能性がある。
【0009】
また、隣り合うターミナル102間または隣り合うバスバー104間に対するオイル浸入経路をシール部材で封止することが考えられる。ここで、シール部材の剥離または脱落を防止する構造を設けていない場合には、シール部材が接着面から剥がれて脱落してしまい、異物としてオイル中を浮遊し、自動変速機の内部に搭載されるコントロールバルブ(油圧制御弁や油路制御弁)の摺動部に噛み込む可能性がある。この場合には、コントロールバルブの動作不良またはロックを引き起こし、自動変速機の変速動作が適正に行えなくなる可能性がある。
【0010】
また、特許文献1に記載の制御モジュールにおいては、TCUのモールド樹脂101と各ターミナル102との熱膨張係数の差異、あるいは配線ユニットの各バスバー104とモールド樹脂103との熱膨張係数の差異により、冷熱サイクルが加わるとターミナル102、バスバー104およびターミナル102とバスバー104との導通接合部に応力が発生し、ターミナル102やバスバー104が破断する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0051596号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物による端子間ショートまたは配線間ショートを防止することのできる自動変速機の制御装置を提供することにある。また、電子制御ユニット、特に電子回路で発生した熱を放熱部材を通して外部へ効率良く放熱させることができると共に、リードフレームおよび第1ターミナルと放熱部材とを確実に絶縁することのできる自動変速機の制御装置を提供することにある。さらに、電子制御ユニットの電子部品と第2配線ユニットの半導体素子との接続部にターミナル接合を採用することで、小さなスペースで、且つ製品コストを安く抑えることのできる自動変速機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、自動変速機の内部に搭載された自動変速機の制御装置であって、モールド材に電子部品とリードフレームを封止し、且つリードフレームの複数のリード端子(第1接続片)がモールド材の表面から突出して外部に露出した電子制御ユニットと、この電子制御ユニット(特に電子部品)で発生した熱を外部に放熱する放熱部材と、電子制御ユニットと放熱部材とが接触するように、電子制御ユニットと放熱部材とを締結する締結部材とを備えている。
さらに、第1ハウジングに複数の第1ターミナルが成形されて保持され、複数の第1ターミナルの各第1露出部が第1ハウジングの表面から露出し、且つ複数の第1ターミナルの各第1接続端子が第1ハウジングの表面から外部に突出して露出した第1配線ユニットと、第2ハウジングに複数の第2ターミナルが成形されて保持され、複数の第2ターミナルの各第2露出部が第2ハウジングの表面から露出し、且つ複数の第2ターミナルの各第2接続端子が第2ハウジングの表面から外部に突出して露出した第2配線ユニットとを備えている。
【0014】
そして、リードフレームの各リード端子と複数の第1ターミナルの各第1露出部との導通接合部(の露出面)、リードフレームの各リード端子の表面および複数の第1ターミナルの各第1露出部の表面には、絶縁材(第1絶縁材)が施されている。ここで、絶縁材(第1絶縁材)を、例えば絶縁性樹脂を主体とする絶縁材料(例えば絶縁性接着剤)によって形成しても良い。
また、第2配線ユニットは、電子部品に対して信号を出力する半導体素子(例えばホール素子やホールIC等のセンサ素子)と、この半導体素子に導通接合される導体パターン、および複数の第2ターミナルの各第2接続端子が挿入されて導通接合されるスルーホールを有する回路基板とを備えている。なお、導体パターンは、回路基板の少なくとも1面に形成(印刷)されている。
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、リードフレームの各リード端子と複数の第1ターミナルの各第1露出部との導通接合部(の露出面)、リードフレームの各リード端子の表面および複数の第1ターミナルの各第1露出部の表面に絶縁材を施したことにより、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第1ターミナル)間の絶縁のために、大型の樹脂材部品が必要なく、また、樹脂材部品に高精度な樹脂成形が必要なくなるので、製品コストを低減することが可能となる。
また、リードフレームの各リード端子と複数の第1ターミナルの各第1露出部との導通接合部間、リードフレームの各リード端子間、複数の第1ターミナルの各第1露出部間、および複数の第1ターミナルの各第1露出部の根元部分を確実に絶縁できる。すなわち、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第1ターミナル)間、つまり隣り合うターミナル相互間を確実に絶縁できるので、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物による隣り合う端子間または隣り合う配線間の短絡(ショート)を防止することが可能となる。
【0016】
そして、電子制御ユニットと放熱部材とが接触するように、電子制御ユニットと放熱部材とを締結して電子制御モジュールを構成しているので、電子制御ユニット、特に電子部品で発生した熱を放熱部材を通して外部へ効率良く放熱させることができる。これにより、電子制御ユニット、特に電子部品の十分な放熱性を確実に確保することが可能となる。 なお、電子制御ユニット(特に電子部品)で発生した熱を外部に放熱する放熱部材として、熱伝導性の良い材質(例えばアルミニウム材または鉄鋼材を主体とする金属プレート(金属板、金属材料)を採用した場合には、電子制御ユニットの十分な放熱性を確実に確保することができる。
【0017】
そして、リードフレームおよび第1ターミナルと放熱部材との間に自動変速機のオイル中に混入した導電性異物が跨がって堆積している場合であっても、リードフレームの各リード端子と複数の第1ターミナルの各第1露出部との導通接合部、リードフレームの各リード端子の表面および複数の第1ターミナルの各第1露出部の表面に絶縁材を施しているので、リードフレームおよび第1ターミナルと放熱部材とを確実に絶縁することができる。これにより、リードフレームおよび第1ターミナルと放熱部材との間の短絡(ショート)を防止することが可能となる。
そして、電子制御ユニットの電子部品と第2配線ユニットの半導体素子および回路基板の導体パターンとの接続部に、第1ターミナルと第2ターミナルとを電気的に接続するターミナル接合を採用しているので、小さなスペースで、且つ製品コストを安く抑えることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、リードフレームの各リード端子と複数の第1ターミナルの各第1露出部とを重ね合わせてレーザ溶接(レーザ光を照射)することで、リードフレームの各リード端子と複数の第1ターミナルの各第1露出部との導通接合部(溶融部、溶接部)が形成される。
これによって、電子制御ユニット、特に電子部品にダメージを与えることなく、リードフレームの各リード端子と複数の第1ターミナルの各第1露出部との導通接合部をその溶接部にて確実に接続することができるので、リードフレームの各リード端子と複数の第1ターミナルの各第1露出部との導通接合部における接続信頼性を向上することが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部とを重ね合わせてレーザ溶接(レーザ光を照射)することで、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部との導通接合部(溶融部、溶接部)が形成される。
これによって、電子制御ユニット、特に電子部品にダメージを与えることなく、第1ターミナルと第2ターミナルとをその溶接部にて確実に接続することができるので、第1、第2ターミナルの接続信頼性を向上することが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、第1ターミナルに、第1ハウジングの表面からの突出境界と、第1接続端子と第2露出部との導通接合部との間の部位(第1ターミナルの第1接続端子)が、少なくとも1箇所以上で屈曲した屈曲形状を有するように形成されている。
これによって、第1ターミナルと第1ハウジングとの間に熱膨張係数の差異がある場合であっても、冷熱サイクルで第1ターミナルに発生する変位を吸収できるので、第1ターミナルの破断を防止することが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、第2ターミナルに、第2ハウジングの表面からの突出境界と、第1接続端子と第2露出部との導通接合部との間の部位(第2ターミナルの第2露出部)が、少なくとも1箇所以上で屈曲した屈曲形状を有するように形成されている。 これによって、第2ターミナルと第2ハウジングとの間に熱膨張係数の差異がある場合であっても、冷熱サイクルで第2ターミナルに発生する変位を吸収できるので、第2ターミナルの破断を防止することが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、第2ハウジングに、回路基板を収容する収容凹部、およびこの収容凹部の周囲を取り囲む有底筒状の壁体を設けている。そして、収容凹部(の内部)に、複数の第2ターミナルの各第2接続端子と導体パターンとの導通接合部、半導体素子および回路基板を封止する封止材を充填している。
請求項7に記載の発明によれば、複数の第2ターミナルの各第2接続端子は、回路基板に形成される導体パターンに半田付けで導通接合されている。
これによって、第2ターミナルと導体パターンとをその接続部にて確実に接続することができるので、第2ターミナルと導体パターンとの導通接合部における接続信頼性を向上することが可能となる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、第1ターミナルをインサート成形して保持する第1ハウジングが絶縁性樹脂によって形成されている。そして、第1ハウジングは、リードフレームの各リード端子と複数の第1ターミナルの各第1露出部との導通接合部を各々相互に隔離する隔壁を有している。
請求項9に記載の発明によれば、第2ターミナルをインサート成形して保持する第2ハウジングが絶縁性樹脂によって形成されている。そして、第2ハウジングは、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部との導通接合部を各々相互に隔離する隔壁を有している。
これによって、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物が隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第1ターミナルまたは第2ターミナル)間に跨がって堆積する可能性が低くなるので、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第1ターミナルまたは第2ターミナル)間の短絡(ショート)を防止することが可能となる。
なお、第1ハウジングに形成される隔壁は、絶縁材料である絶縁性樹脂(例えば電気絶縁性の合成樹脂等)によって形成されている。つまり隔壁は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を主体とする絶縁性樹脂壁である。これにより、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第1ターミナルまたは第2ターミナル)間を確実に絶縁することができる。また、隔壁の高さは、高い程、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第1ターミナルまたは第2ターミナル)間の沿面距離が長くなるので、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第1ターミナルまたは第2ターミナル)間の絶縁性をより向上できる。したがって、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物による隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第1ターミナルまたは第2ターミナル)間の短絡(ショート)を確実に防止することが可能となる。
【0022】
請求項10に記載の発明によれば、(絶縁性樹脂製の)第3ハウジングに複数の第3ターミナルが成形されて保持され、複数の第3ターミナルの各第3露出部が第3ハウジングの表面から露出した第1配線ユニットを備えている。
そして、複数の第3ターミナルは、第1ターミナルに対して別途設けられている。
なお、第1ハウジングと第3ハウジングとが一体部品化されていても良い。
また、第3ハウジングに、自動変速機の外部と電気的に接続する電気接続部として外部コネクタ部を形成している。そして、第3ターミナルは、第3ハウジングの表面から露出した第3露出部、リード端子と第3露出部との導通接合部、および複数の第3ターミナルの第3露出部側に対して反対側に、外部コネクタ部内に突出するコネクタ端子を設けている。
なお、リードフレームの各リード端子と第3ターミナルの各第3露出部との導通接合部を、レーザ溶接により電気的に接続しても良い。
これによって、電子制御ユニット(特に電子部品)にダメージを与えることなく、リードフレームと第3ターミナルとを確実に接続することができるので、リードフレームと第3ターミナルとの導通接合部の接続信頼性を向上することが可能となる。
【0023】
請求項11に記載の発明は、リードフレームの各リード端子と複数の第3ターミナルの各第3露出部との導通接合部、リードフレームの各リード端子の表面および第3ターミナルの第3露出部の表面に絶縁材(第2絶縁材)を施したことを特徴としている。
ここで、絶縁材(第2絶縁材)を、例えば絶縁性樹脂を主体とする絶縁材料(例えば絶縁性接着剤)によって形成しても良い。
これによって、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第3ターミナル)間の絶縁のために、大型の樹脂材部品が必要なく、また、樹脂材部品に高精度な樹脂成形が必要なくなるので、製品コストを低減することが可能となる。
また、リードフレームの各リード端子と複数の第3ターミナルの各第3露出部との導通接合部、リードフレームの各リード端子、第3ターミナルの第3露出部およびリードフレームの各リード端子の根元部分を確実に絶縁できる。すなわち、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第3ターミナル)間、つまり隣り合うターミナル相互間を確実に絶縁できるので、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物による隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第3ターミナル)間の短絡(ショート)を防止することが可能となる。
【0024】
請求項12に記載の発明によれば、第3ターミナルをインサート成形して保持する第3ハウジングが絶縁性樹脂によって形成されている。そして、第3ハウジングは、リードフレームの各リード端子と複数の第3ターミナルの各第3露出部との導通接合部を各々相互に隔離する隔壁を有している。
これによって、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物が隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第3ターミナル)間に跨がって堆積する可能性が低くなるので、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第3ターミナル)間の短絡(ショート)を防止することが可能となる。
なお、第3ハウジングに形成される隔壁は、絶縁材料である絶縁性樹脂(例えば電気絶縁性の合成樹脂等)によって形成されている。つまり隔壁は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を主体とする絶縁性樹脂壁である。これにより、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第3ターミナル)間を確実に絶縁することができる。また、隔壁の高さは、高い程、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第3ターミナル)間の沿面距離が長くなるので、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第3ターミナル)間の絶縁性をより向上できる。したがって、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物による隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第3ターミナル)間の短絡(ショート)を確実に防止することが可能となる。
【0025】
請求項13に記載の発明によれば、回路基板に搭載される半導体素子とは、例えばホール素子やホールIC等の磁気検出素子のことである。
この磁気検出素子は、例えば自動変速機の回転体の回転状態を検出する回転センサとして使用される。あるいはシフトポジション(シフトレンジ)を検出するレンジセンサとして使用される。
請求項14に記載の発明によれば、締結部材は、放熱部材と第2配線ユニットとを締結する第1締結部材、および電子制御ユニットと第1配線ユニットとの接合体(A)を、電子制御ユニットと放熱部材とが接触するように、放熱部材と第2配線ユニットとの接合体(B)に締結する第2締結部材を有している。
【0026】
請求項15に記載の発明によれば、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部との導通接合部(の露出面)、複数の第1ターミナルの各第1接続端子の表面および複数の第2ターミナルの各第2露出部の表面に絶縁材を施したことにより、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第1ターミナルまたは第2ターミナル)間の絶縁のために、大型の樹脂材部品が必要なく、また、樹脂材部品に高精度な樹脂成形が必要なくなるので、製品コストを低減することが可能となる。
また、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部との導通接合部間、複数の第1ターミナルの各第1接続端子間、複数の第2ターミナルの各第2露出部間、および複数の第1ターミナルの各第1接続端子の根元部分(または複数の第2ターミナルの各第2露出部の根元部分)を確実に絶縁できる。すなわち、隣り合うリード端子間または隣り合う配線(第1ターミナルまたは第2ターミナル)間、つまり隣り合うターミナル相互間を確実に絶縁できるので、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物による隣り合う端子間または隣り合う配線間の短絡(ショート)を防止することが可能となる。
【0027】
請求項16に記載の発明によれば、第1ハウジングに、自動変速機の内部の電気部品と電気的に接続する電気接続部として形成した筒状のコネクタハウジングを設けている。
請求項17に記載の発明によれば、電気部品とは、自動変速機の内部に搭載される電磁油圧制御弁または油温検出手段または油圧検出手段のことである。
請求項18に記載の発明によれば、第2ハウジングに、自動変速機の内部の電気部品と電気的に接続する電気接続部として形成した筒状のコネクタハウジングを設けている。
請求項19に記載の発明によれば、電気部品とは、自動変速機の内部に搭載される電磁油圧制御弁または油温検出手段または油圧検出手段のことである。
請求項20に記載の発明によれば、第1ハウジングまたは第2ハウジングに、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部との導通接合部を収容する収容凹部、およびこの収容凹部の周囲を取り囲む有底筒状の壁体を設けている。そして、第1ハウジングまたは第2ハウジングの壁体に、収容凹部の上面の開口部を塞ぐ蓋体を設けている。これにより、自動変速機、特にオイルパンの内部に搭載される自動変速機の制御装置における蓋体の外部から収容凹部へのオイルや異物の侵入を抑制することができる。
【0028】
請求項21に記載の発明によれば、蓋体は、絶縁材料である絶縁性樹脂(例えば電気絶縁性の合成樹脂等)によって形成されている。そして、蓋体は、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部との導通接合部を各々相互に隔離する隔壁を有している。
これによって、請求項9と同様な作用効果を得ることが可能となる。
請求項22に記載の発明によれば、蓋体に、第1ハウジングの表面との間に隙間(ギャップ)を隔てて対向する対向部を設けている。そして、第1ハウジングの表面および蓋体の対向部の表面に封止材を塗布したことにより、第1ハウジングの表面と蓋体の対向部の表面とに跨がるように、つまり第1ハウジングの表面と蓋体の対向部の表面との間に形成される隙間中に封止材が充填される。
これによって、自動変速機、特にオイルパンの内部に搭載される自動変速機の制御装置における蓋体の外部から、第1ハウジングの表面と蓋体の対向部の表面との間に形成される隙間を通って収容凹部の内部にオイルや異物が侵入するのを防止することができる。
請求項23に記載の発明によれば、蓋体の対向部の表面に、封止材が塗布される封止材塗布面を形成している。
【0029】
請求項24に記載の発明によれば、蓋体の対向部に、蓋体の外面から蓋体の外部側に向けて突出した突条部を設けている。
請求項25に記載の発明によれば、蓋体の突条部は、蓋体の外面から外部側に向けて突出するに従って、第1ハウジングとの隙間の開口断面積が小さくなる形状に形成されている。つまり、蓋体の外面から外部側に向けて逆テーパ形状の傾斜面を有する突条部を設けたことにより、第1ハウジングの表面と蓋体の突条部の表面との間、特に突条部の表面から封止材が剥がれたり、脱落したりする等の不具合の発生を防止できる。したがって、第1ハウジングの表面および蓋体の突条部の表面に塗布された封止材が、異物としてオイル中に流出することを防止できる。
請求項26に記載の発明によれば、蓋体の突条部の表面に、封止材が塗布される封止材塗布面を形成している。
【0030】
請求項27に記載の発明によれば、蓋体の突条部の封止材塗布面から蓋体の外部側に向けて離間するに従って第1ハウジング側に近接する形状に形成されている。つまり、蓋体の外面から外部側に向けて逆テーパ形状の傾斜面を有する突条部を設けたことにより、第1ハウジングの表面と蓋体の対向部の表面との間、特に突条部の表面から封止材が剥がれたり、脱落したりする等の不具合の発生を防止できる。したがって、第1ハウジングの表面および蓋体の突条部の表面に塗布された封止材が、異物としてオイル中に流出することを防止できる。
請求項28に記載の発明によれば、蓋体の突条部に、その封止材塗布面から第1ハウジング側に向けて突出する突条リブを設けたことにより、第1ハウジングの表面と蓋体の対向部の表面との間、特に突条部の表面から封止材が剥がれたり、脱落したりする等の不具合の発生を防止できる。したがって、第1ハウジングの表面および蓋体の対向部の表面に塗布された封止材が、異物としてオイル中に流出することを防止できる。
【0031】
請求項29に記載の発明によれば、蓋体の対向部の延長方向の両端部に切欠き部を設けている。つまり、蓋体の対向部の両端部に設けられる一対の切欠き部間に、切欠き部の底面から第1ハウジング側に向けて張り出す係止部(埋設部)を設けている。
請求項30に記載の発明によれば、蓋体の対向部の切欠き部は、第1ハウジングと第2ハウジングとの境界位置に設けられている。
これによって、第1ハウジングの表面および蓋体の対向部の表面に塗布された封止材が、係止部(埋設部)に係止されて固定されるため、第1ハウジングの表面と蓋体の対向部の表面との間、特に対向部の表面から封止材が剥がれたり、脱落したりする等の不具合の発生を防止できる。したがって、第1ハウジングの表面および蓋体の突条部の表面に塗布された封止材が、異物としてオイル中に流出することを防止できる。
【0032】
請求項31に記載の発明によれば、第1ハウジングに、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部との導通接合部よりも電子制御ユニット側に、第2ハウジングとの間に隙間を隔てて対向する第1対向部を設けている。
また、第2ハウジングに、第1ハウジングの第1対向部との間に隙間を隔てて対向する第2対向部を設けている。
そして、第1ハウジングの第1対向部の表面(対向面)および第2ハウジングの第2対向部の表面(対向面)に封止材を塗布したことにより、第1ハウジングの第1対向部の表面と第2ハウジングの第2対向部の表面とに跨がるように、つまり第1ハウジングの第1対向部の表面と第2ハウジングの第2対向部の表面との間に形成される隙間中に封止材が充填される。
これによって、自動変速機、特にオイルパンの内部に搭載される自動変速機の制御装置における第1、第2ハウジングの外部から、第1ハウジングの第1対向部の表面と第2ハウジングの第2対向部の表面との間に形成される隙間を通って収容凹部の内部にオイルや異物が侵入するのを防止することができる。すなわち、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部との導通接合部に対する異物(およびオイル)の侵入を防止することができる。
【0033】
請求項32に記載の発明によれば、第1ハウジングの第1対向部または第2ハウジングの第2対向部に、第2対向部側または第1対向部側に向けて突出する凸部を設けている。また、第2ハウジングの第2対向部または第1ハウジングの第1対向部に、凸部との間に少なくとも1箇所以上で屈曲した屈曲形状の隙間を形成する凹部を設けている。
これによって、凸部と凹部とに跨がるように迷路構造の隙間中に封止材が充填されるため、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部との導通接合部に対する異物(およびオイル)の侵入を防止できる。また、第1ハウジングの第1対向部の表面(対向面)と第2ハウジングの第2対向部の表面(対向面)に塗布された封止材が、凸部と凹部との間に形成される隙間から抜け難くなる。したがって、第1ハウジングの第1対向部の表面と第2ハウジングの第2対向部の表面に塗布された封止材が、異物としてオイル中に流出することを防止できる。
ここで、第1ハウジングの第1対向部または第2ハウジングの第2対向部に設けられる凸部を、その凸部の先端側に接近する程、肉厚が小さくなるようにしても良い。
また、第2ハウジングの第2対向部または第1ハウジングの第1対向部に設けられる凹部を、その凹部の奥側に接近する程、溝幅が大きくなるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】電子制御モジュールを示した断面図である(実施例1)。
【図2】電子制御モジュールの搭載面を示した斜視図である(実施例1)。
【図3】電子制御モジュールの放熱面を示した斜視図である(実施例1)。
【図4】(a)〜(c)はターミナルの表面に絶縁材を塗布した状態を示した断面図である(実施例1)。
【図5】金属プレートに対する電子制御ユニット(TCU)および配線ユニットの締結構造を示した断面図である(実施例1)。
【図6】(a)、(b)は電子制御モジュールの組付方法を示した説明図である(実施例1)。
【図7】(a)、(b)は電子制御モジュールの組付方法を示した説明図である(実施例1)。
【図8】ターミナルを上下に重ね合わせてレーザ溶接するレーザ溶接工程を示した説明図である(実施例1)。
【図9】(a)は図8のA−A断面図で、(b)は図8のB−B断面図である(実施例1)。
【図10】(a)は樹脂ハウジングと蓋体との間に充填された封止材を示した断面図で、(b)は蓋体をセンサハウジングに装着した状態を示した平面図である(実施例1)。
【図11】(a)は蓋体を示した平面図で、(b)は蓋体を示した斜視図である(実施例1)。
【図12】(a)は樹脂ハウジングの対向部(突条リブ)とセンサハウジングの対向部(凹溝部)との間に充填された封止材を示した断面図で、(b)は(a)のC−C断面図である(実施例1)。
【図13】ターミナルを上下に重ね合わせてレーザ溶接するレーザ溶接工程を示した説明図である(実施例2)。
【図14】(a)は図13のD−D断面図で、(b)は図13のE−E断面図である(実施例2)。
【図15】非接触式のインヒビタスイッチを示した分解斜視図である(実施例3)。
【図16】(a)〜(d)はインヒビタスイッチの作動を示した説明図である(実施例3)。
【図17】(a)はホールICのON信号に対するシフトパターンを示した特性図で、(b)はスライドの磁石パターンを示した平面図である(実施例3)。
【図18】(a)はベースの3つのホールICを示した平面図で、(b)はシフトレンジ検出回路を示した回路図である(実施例3)。
【図19】(a)、(b)は接触式のインヒビタスイッチの可動部を示した平面図、側面図である(実施例4)。
【図20】(a)は導電体、絶縁体パターンを示した平面図で、(b)はシフトレンジ検出回路を示した回路図である(実施例4)。
【図21】制御モジュールを示した分解図である(従来の技術)。
【図22】(a)は制御モジュールを示した断面図で、(b)はターミナルとバスバーとの導通接合部の周辺を示した断面図である(従来の技術)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、電子制御ユニット、特に電子回路で発生した熱を放熱部材を通して外部へ効率良く放熱させることができると共に、リードフレームおよび第1、第3ターミナルと放熱部材とを確実に絶縁するという目的を、リードフレームの各リード端子と複数の第1、第3ターミナルの各第1、第3露出部とを導通接合した後、リードフレームの各リード端子と複数の第1、第3ターミナルの各第1、第3露出部との導通接合部の露出面、リードフレームの各リード端子の表面、複数の第1、第3ターミナルの各第1、第3露出部の表面に絶縁材(絶縁性接着剤)を塗布し、その後に、電子制御ユニットと放熱部材とが接触するように、電子制御ユニットと第1配線ユニットとの接合体を、締結部材により放熱部材に締結し、複数の第2ターミナルの各第2接続端子を回路基板のスルーホールに挿入して導通接合すると共に、複数の第1ターミナルの各第1接続端子と複数の第2ターミナルの各第2露出部とを導通接合することで実現した。
また、小さなスペースで、且つ製品コストを安く抑えるという目的を、電子制御ユニットの電子部品と第2配線ユニットの半導体素子(例えばホール素子やホールIC等のセンサ素子)との接続部にターミナル接合を採用することで実現した。
【実施例1】
【0036】
[実施例1の構成]
図1ないし図12は本発明の実施例1を示したもので、図1ないし図3は電子制御モジュールを示した図で、図4はターミナルの表面に絶縁材を塗布した状態を示した図で、図5は金属プレートに対する電子制御ユニット(TCU)および配線ユニットの締結構造を示した図で、図6および図7は電子制御モジュールの組付方法を示した図である。
【0037】
本実施例の自動変速機の制御装置は、自動車等の車両に搭載される自動変速機(A/T)を制御する電子制御ユニット(自動変速機制御ユニット:以下TCUと言う)を備えた自動変速機の電子制御モジュールである。
この電子制御モジュールは、自動変速機の内部、例えばオイルパンの内部に設置されるバルブボディ上面に搭載されている。電子制御モジュールは、TCU(モールド材であるモールド樹脂1等)、放熱部材である金属プレート2、第1配線ユニットである配線ユニット(第1ハウジングである樹脂ハウジング3等)、および第2配線ユニットであるセンサユニット(第2ハウジングであるセンサハウジング4等)を備えている。
【0038】
TCUは、絶縁性樹脂(絶縁材料)製のモールド材である方形状のモールド樹脂1を備えている。
配線ユニットは、絶縁性樹脂(絶縁材料)製の樹脂ハウジング3を備えている。
センサユニットは、絶縁性樹脂(絶縁材料)製のセンサハウジング4を備えている。このセンサハウジング4は、金属プレート2および樹脂ハウジング3に締結固定されている。
ここで、TCUと配線ユニットとの接合体Aは、金属プレート2とセンサハウジング4との接合体Bに、締結部材である複数の締結ボルト5等を用いて締め付け固定(締結固定)されている。また、センサハウジング4の基板搭載エリアには、絶縁性樹脂製の樹脂基板である回路基板7が溶着固定されている。また、センサハウジング4には、端子収容ケースの上面の開口部を塞ぐ絶縁性樹脂(絶縁材料)製の蓋体(蓋部材)8が取り付けられている。
【0039】
自動変速機は、ハウジング、油圧制御装置、レンジ検出装置および電子制御モジュールを備えた所謂電子制御式の自動変速機が採用されている。
ハウジングは、自動変速機ケースとオイルパンとを組み合わせて構成されている。
自動変速機ケースの内部には、ポンプ、タービンおよびステータ等により構成されるトルクコンバータと、このトルクコンバータのタービンに接続される多段歯車式の変速機構が収容されている。変速機構は、油圧制御装置から供給される油圧に応じて係合または解放される複数の摩擦係合要素を備えている。そして、自動変速機は、各摩擦係合要素の係合または解放の組み合わせに従ってシフトレンジが切り替わる。これにより、自動変速機の変速動作が行われる。
ここで、本実施例では、自動変速機のシフトレンジとして、駐車(パーキング:P)レンジ、後進(リバース:R)レンジ、中立(ニュートラル:N)レンジおよび前進(ドライブ:D)レンジが用意されている。
【0040】
オイルパンは、自動変速機で使用する作動油(自動変速機油、ATF:以下オイルと言う)を内部に蓄えている。このオイルパン内には、油圧制御装置および電子制御モジュールが収容されている。つまり電子制御モジュールは、バルブボディと共にオイル中に浸漬されている。
油圧制御装置は、マニュアルバルブ(図示せず)等の複数のバルブ、および複数の油路からなる油圧回路を有しており、オイルパン内のオイルを用いて各摩擦係合要素に印加する供給油圧を制御している。
【0041】
ここで、マニュアルバルブは、他のバルブ(電磁油圧制御弁を含む)と共通のバルブボディにスプールが摺動自在に嵌入されることにより構成されている。バルブボディは、自動変速機ケースに固定されている。このバルブボディには、マニュアルバルブのスプールを往復直線移動可能に支持するスプール孔が形成されている。
レンジ検出装置は、ディテント機構とレンジセンサユニットとを組み合わせて構成されている。ディテント機構は、セレクトレバーによるレンジ位置の選択に応じてマニュアルバルブのスプールをその軸線方向に往復移動させるディテントプレート等を有している。 レンジセンサユニットは、電子制御モジュールに一体的に組み付けられている。
なお、レンジ検出装置、特にシフトポジションセンサを構成する3つのホール素子の詳細は後述する。
【0042】
TCUは、モールド樹脂1に包み込むように樹脂封止されるリードフレーム9を有している。このリードフレーム9は、電子部品との接続部がモールド樹脂1に封止されるインナリードとされ、外部の電気機器との接続部がモールド樹脂1の周囲(側面)から外部(外側)に向けて突出してモールド樹脂1の外部に露出したアウタリードとされている。
配線ユニットの樹脂ハウジング3には、モールド樹脂1の側面(例えば左側面)から突出してモールド樹脂1の外部に露出したリードフレーム9にそれぞれ導通接合される複数の第3ターミナル(第3端子、コネクタターミナル:以下ターミナル10と言う)、およびモールド樹脂1の側面(例えば右側面)から突出してモールド樹脂1の外部に露出したリードフレーム9にそれぞれ導通接合される複数の第1ターミナル(第1端子、中継ターミナル:以下ターミナル11と言う)がインサート成形(配設)されている。
センサユニットのセンサハウジング4には、樹脂ハウジング3の側面(例えば右側面)から突出して樹脂ハウジング3の外部に露出した複数のターミナル11と回路基板7(後述する)に形成された導体パターンとを接続する複数の第2ターミナル(第2端子、センサターミナル:以下ターミナル12と言う)がインサート成形(配設)されている。
【0043】
リードフレーム9とターミナル10との導通接合部は、図4(a)に示したように、リードフレーム9とターミナル10とを重ね合わせてレーザ溶接することで、板厚方向の上下に重ね合わされた重ね合わせ部分(後述する両者の樹脂表面露出部分)の一部を溶融させて形成されるレーザ溶接部13により構成されている。
リードフレーム9とターミナル11との導通接合部は、図4(b)に示したように、リードフレーム9とターミナル11とを重ね合わせてレーザ溶接することで、板厚方向の上下に重ね合わされた重ね合わせ部分(後述する両者の樹脂表面露出部分)の一部を溶融させて形成されるレーザ溶接部14により構成されている。
ターミナル11とターミナル12との導通接合部は、図4(c)に示したように、ターミナル11とターミナル12とを重ね合わせてレーザ溶接することで、板厚方向の上下に重ね合わされた重ね合わせ部分(後述する両者の樹脂表面露出部分)の一部を溶融させて形成されるレーザ溶接部15により構成されている。
【0044】
配線ユニットの樹脂ハウジング3には、自動変速機外部の電子機器(電子部品)または制御機器(電気部品)との電気的な接続を行うための外部コネクタ部(角筒状のコネクタハウジング)16、および自動変速機内部の他の電子機器(電子部品)または制御機器(電気部品)との電気的な接続を行うための内部コネクタ部17が一体的に形成されている。
ここで、自動変速機外部の電子機器または制御機器とは、外部電源、外部電子部品(エンジン制御ユニット(ECU)、各種センサ、電子回路基板等)のことである。また、自動変速機内部の他の電子機器または制御機器とは、後述する電磁油圧制御弁、油温センサおよび複数の油圧センサ等のことである。
【0045】
TCUは、ECUで検出されたエンジンの運転状況(運転状態)および各種センサ(油温センサ、複数の油圧センサ、シフトポジションセンサ21、タービン回転センサ22、出力軸回転センサ23等)の検出信号(センサ出力信号)に基づいてソレノイド等のアクチュエータを駆動して、自動変速機の変速動作を制御する。このTCUは、矩形状の回路基板と、この回路基板に搭載されて、自動変速機の変速動作を制御する電子部品、回路基板の端部よりも外側に設けられた導電部材であるリード端子と、回路基板の導体パターンと複数のリード端子とを接続する配線部材(ボンディングワイヤまたは導電性接着剤等)とを備えている。
なお、回路基板は、セラミック基板、樹脂基板または半導体基板である。
【0046】
TCUは、回路基板の一端面に電子部品を表面実装し、ボンディングワイヤ等の線状の配線部材を介して回路基板の導体パターンとリードフレーム9とを接続した後、リードフレーム9のアウタリードが露出するように、これらの回路基板、電子部品、配線部材およびリードフレーム9のインナリードをモールド樹脂1で樹脂封止することで製造される。 電子部品は、例えば回路基板上に表面実装(搭載)されるICチップ(半導体チップ)、半導体素子(半導体スイッチング素子、コンデンサ素子)、コイル、リレー、抵抗素子等である。
【0047】
ここで、TCUのモールド樹脂1には、図5に示したように、複数の締結ボルト5による締結時に、金属プレート2と樹脂ハウジング3との間に挟み込まれて保持される複数のブラケット24が一体的に形成されている。これらのブラケット24は、例えばL字状または平板状の金属プレートであって、TCUのモールド樹脂1の側面から外側に突き出して露出している。
複数のブラケット24には、締結ボルト5が挿通するボルト挿通孔24aがそれぞれ設けられている。
【0048】
金属プレート2は、熱伝導性の良い金属板(例えばアルミニウム材を主体とする金属板または鉄鋼材を主体とする金属板)で形成されている。この金属プレート2は、TCU、特に電子部品で発生した熱を外部(バルブボディ)に放熱する放熱板であり、TCUよりも大きい放熱面積を備えている。
金属プレート2は、例えば電子制御モジュールの外面(表面)に放熱可能に露出している。これにより、TCU、特に電子部品で発生した熱を、電子制御モジュールの外部のバルブボディに効率良く放熱することができる。
金属プレート2には、TCUと配線ユニットとの接合体Aを金属プレート2とセンサユニットのセンサハウジング4との接合体Bに締め付け固定(締結固定)するための締結ボルト5のボルト軸部に形成される外周ネジと螺合するネジ孔20aが形成されている。また、金属プレート2には、バルブボディにTCU、金属プレート2および樹脂ハウジング3を締結するための締結部材である締結ボルト(図示せず)が貫通するボルト挿通孔20bが形成されている。
【0049】
ここで、TCUと配線ユニットとの接合体Aは、金属プレート2とセンサハウジング4とが締結固定された後に、TCUの下面(放熱面)と金属プレート2の上面(搭載面)とが接触するように、金属プレート2の上面(搭載面)に複数の締結ボルト5等により締結固定される。
樹脂ハウジング3のTCU搭載エリア25の近傍および周縁部には、締結ボルト5および締結部材である締結ボルト(図示せず)により金属プレート2、センサハウジング4および複数のブラケット24を締結するための複数のボルト締結部(円筒部)が設けられている。これらのボルト締結部のボルト挿通孔には、補強用の金属カラー26、27が嵌め込まれている。
【0050】
リードフレーム9は、電子部品に電気的に接続される平板状の導電部材であり、モールド樹脂1で封止した後に隣り合うリード端子(リードフレーム9の接続端子、リードフレーム9の接続片とも言う)が切断されて形成される。この接続片は、回路基板の外周端面(側面)から外部側に向けて突出するように延設された短冊板状に形成されている。リードフレーム9の回路基板側に位置する部分は、モールド樹脂1内に位置するインナリードとして働き、リードフレーム9の回路基板側に対して逆側に位置する部分は、モールド樹脂1の4つの側面から四方に向けて突出してモールド樹脂1の外部で露出するアウタリードとして働く。
【0051】
本実施例では、リードフレーム9のアウタリードを、TCUのリード端子31として使用している。つまり、リードフレーム9のアウタリードは、モールド樹脂1の周囲(側面)から外部(外側)に向けて突出するように延設された複数のリード端子31を構成する。
なお、回路基板または電子部品の周囲(側面)から外部側に向けて突出するように延設された部分(インナリード、アウタリードの両方とも含む)を、リードフレーム9としても良い。また、導電部材であるリードフレーム9の電子部品搭載エリアに、例えばICチップ等の電子部品を表面実装(搭載)しても良い。
【0052】
TCUは、少なくともCPU、ROM、RAM等の機能を具備したマイクロコンピュータを電子回路基板上に実装して構成されている。CPUは、ROM等のメモリに格納された制御プログラムを実行することで、自動変速機の変速動作を制御する。マイクロコンピュータは、ICチップに、スイッチング素子と共に設けられている。
自動変速機を制御する電子制御回路部を構成する半導体チップ(ICチップ)および導体パターン等の電子部品全体、リードフレーム9と電子部品との導通接合部は、例えばエポキシ樹脂(EP)等の熱硬化性樹脂(絶縁性樹脂)を主体とするモールド樹脂(モールド樹脂材)1によって樹脂封止されている。
【0053】
配線ユニットは、例えばポリアミド(PA)またはポリフェニレンサルファイド(PPS)等の絶縁性樹脂(絶縁材料)製の樹脂ハウジング3に、配線部材であるターミナル材(複数のターミナル10)をモールド成形し、複数のターミナル10の一部を部分的に樹脂ハウジング3の表面に露出した部品である。
樹脂ハウジング3には、配線部材(中継ターミナル)である複数のターミナル10がインサート成形されている。これにより、複数のターミナル10の中間部が樹脂ハウジング3に収容保持されると共に、樹脂封止される。
【0054】
リードフレーム9の表面には、銅メッキまたは無電解ニッケルメッキが施されている。これらのリードフレーム9には、モールド樹脂1の表面(例えば左側面、右側面)から露出したリード端子31が設けられている。このリード端子31は、モールド樹脂1の側面から配線ユニットのターミナル10側またはターミナル11側に突き出すようにモールド樹脂1の側面で露出した樹脂表面露出部分(リードフレーム9の接続片)である。
また、リードフレーム9の各リード端子31は、少なくとも2箇所以上で所定の傾斜角度となるように屈曲した屈曲形状の応力吸収部32を有するように折り曲げ加工(形成)されている。
【0055】
複数のターミナル10、11の表面には、錫メッキが施されている。これらのターミナル10、11の中間部は、樹脂ハウジング3にインサート成形(樹脂封止)されている。 複数のターミナル10、11の延長方向の一端部(TCUの電子部品のリード端子31側端部)には、樹脂ハウジング3の表面(下面)で部分的に露出した露出部(第3、第1露出部)33が設けられている。この露出部33は、樹脂ハウジング3の下面からTCUのリードフレーム9側に段付きで突き出して部分的に露出した樹脂表面露出部分である。 また、複数のターミナル10の一端側には、少なくとも3箇所以上で屈曲した屈曲形状の屈曲部34が設けられている。
また、複数のターミナル11の中間部(樹脂ハウジング3に埋設されている部分)には、少なくとも4箇所以上で屈曲した屈曲形状の屈曲部35が設けられている。
【0056】
ここで、リードフレーム9とターミナル10との重ね合わせ部分(リード端子31の先端側の平板部分と露出部33の先端側の平板部分との重ね合わせ部分)には、リードフレーム9とターミナル10との導通接合部であるレーザ溶接部13が設けられている。
また、リードフレーム9とターミナル11との重ね合わせ部分(リード端子31の先端側の平板部分と露出部33の先端側の平板部分との重ね合わせ部分)には、リードフレーム9とターミナル11との導通接合部であるレーザ溶接部14が設けられている。
そして、複数のレーザ溶接部13、14の露出面(リード端子31の表面で露出した露出面)、複数のリード端子31の表面および複数の露出部33の表面には、絶縁材36が塗布されている。この絶縁材36は、例えばエポキシ樹脂(EP)等の絶縁性樹脂を主体とする絶縁材料(例えば絶縁性接着剤)である。
【0057】
複数のターミナル10の延長方向の他端部(TCUの電子部品のリード端子31側に対して逆側の端部)には、相手側のコネクタに嵌合可能な筒状の外部コネクタ部(外部接続用コネクタ部)16内に突出したコネクタ端子37が設けられている。
コネクタ端子37は、外部電源、外部電子部品(ECU、各種センサ、電子回路基板等)と接続する電気接続部である。外部コネクタ部16内には、複数のコネクタ端子37の根元部(付け根部)を相互に絶縁(隔離)するという目的で、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(絶縁性樹脂)を主体とする封止材38が充填されている。
【0058】
複数のターミナル11の延長方向の他端部には、樹脂ハウジング3の表面(側面)から外部に突出して露出した第1接続端子41が設けられている。この第1接続端子41は、樹脂ハウジング3の側面からターミナル12側に突き出すように露出した樹脂表面露出部分である。
また、複数のターミナル10または複数のターミナル11の一部の端部には、相手側のコネクタに嵌合可能な筒状の内部コネクタ部17内に突出したコネクタ端子(図示せず)が設けられている。なお、内部コネクタ部17内に、複数のコネクタ端子の根元部(付け根部)を相互に絶縁(隔離)するという目的で、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(絶縁性樹脂)を主体とする封止材を充填しても良い。
【0059】
複数のターミナル11は、樹脂ハウジング3の表面(側面)からの突出境界と、第1接続端子41と後述するターミナル12の第2露出部との導通接合部との間の部位(第1接続端子41)が、少なくとも6箇所以上で屈曲した屈曲形状の応力吸収部42を有するように折り曲げ加工(形成)されている。
複数のターミナル12の表面には、錫メッキが施されている。これらのターミナル12は、複数のターミナル11の第1接続端子41と回路基板7の導体パターンとを中継接続する中継端子部材(中継ターミナル)を構成している。複数のターミナル12の一端部には、センサハウジング4の表面(上面)で部分的に露出した露出部(第2露出部)43が設けられている。この露出部43は、センサハウジング4の上面から配線ユニットのターミナル11側に段付きで突き出して部分的に露出した樹脂表面露出部分である。
【0060】
ここで、ターミナル11とターミナル12との重ね合わせ部分(第1接続端子41の先端側の平板部分と露出部43の先端側の平板部分との重ね合わせ部分)には、ターミナル11とターミナル12との導通接合部であるレーザ溶接部15が設けられている。
複数のレーザ溶接部15の露出面(第1接続端子41の表面で露出した露出面)、複数の第1接続端子41の表面および複数の露出部43の表面には、絶縁材46が塗布されている。この絶縁材46は、例えばエポキシ樹脂(EP)等の絶縁性樹脂を主体とする絶縁材料(例えば絶縁性接着剤)である。
なお、複数のターミナル12の中間部は、センサハウジング4にインサート成形(樹脂封止)されている。
【0061】
複数のターミナル12の他端側は、直角に屈曲するように折り曲げ加工されている。そして、複数のターミナル12の露出部43側に対して反対側の端部(他端部)には、センサハウジング4の表面(上面)から外部に突出して露出した第2接続端子47が設けられている。この第2接続端子47は、回路基板7に形成されるスルーホール48に挿入されて、回路基板7に印刷された導体パターンに半田付けで導通接合されている。これにより、回路基板7に実装されるシフトポジションセンサ21の3つのホール素子とTCUの電子部品との電気的な接続が成される。
【0062】
ここで、TCUのモールド樹脂1には、配線ユニットの樹脂ハウジング3のTCU搭載エリア25に、TCUを位置決め固定するための複数のブラケット51が一体的に形成(インサート成形)されている。これらのブラケット51には、位置決めピン53が貫通するピン貫通孔53aが形成されている。位置決めピン53は、TCUを配線ユニットに組み付ける際に、予め配線ユニットの樹脂ハウジング3の下面に形成されるピン挿入孔54aに差し込まれる。
【0063】
配線ユニットの樹脂ハウジング3の下面(リードフレーム9のリード端子31に対向する対向面)には、図1、図8および図9に示したように、複数のレーザ溶接部13、14、複数のリード端子31および複数の露出部33を個別に収容する複数の端子収容室(端子収容凹部)55、およびこれらの端子収容室55を隔離して、各レーザ溶接部13、14を各々相互に隔離する複数の隔壁56が一体的に形成されている。なお、ターミナル10、11の露出部33は、各端子収容室55の底面の中心部(端子装着部)上で露出している。
【0064】
複数の隔壁56は、複数の端子収容室55の周囲をコの字状に取り囲むことで複数の端子収容室55の内部と外部とを隔離するコの字状の外側壁、および外側壁で囲まれた空間を複数の端子収容室55に区画する複数の仕切り壁を有している。また、複数の端子収容室55のTCU側には、配線ユニットに対するTCUの組み付け時、つまりターミナル10、11の露出部33にリードフレーム9のリード端子31を重ね合わせる時に、リードフレーム9のリード端子31が挿通する開口部が設けられている。
【0065】
そして、樹脂ハウジング3には、複数の隔壁56のうち端子収容室55を隔てて対向する隣り合う2つの隔壁56の対向面から端子収容室55の中心軸線側に向けて突出する一対のガイドリブ57が一体的に形成されている。
これらのガイドリブ57には、リードフレーム9のリード端子31とターミナル10、11の露出部33とをレーザ溶接する目的で、ターミナル10、11の露出部33上にリードフレーム9のリード端子31を重ね合わせる際に、各端子収容室55の底面で露出しているターミナル10、11の露出部33に向けてリードフレーム9のリード端子31を誘導(ガイド)するためのリード端子(リードフレーム9)誘い込み用の傾斜面が形成されている。
【0066】
一対のガイドリブ57の各傾斜面は、隣り合う2つの隔壁56の先端側(放熱部材側)から各端子収容室55の底面側に向けて徐々に一対のガイドリブ57間の隙間が狭くなるように傾斜したガイド面である。
そして、一対のガイドリブ57は、隣り合う隔壁56のTCU側に対して逆側を連結して、端子収容室55のTCU側に対して逆側を閉塞する閉鎖壁58の近傍に設けられている。つまり一対のガイドリブ57は、レーザ溶接部13、14よりも閉鎖壁58側に位置する隔壁56間に形成されている。
【0067】
ここで、金属プレート2には、図1、図3、図6および図7に示したように、センサハウジング4の下面に重ね合わされるブラケット61、樹脂ハウジング3の下面およびセンサハウジング4の下面に重ね合わされるブラケット62、および2つのブラケット61、62間に形成され、センサハウジング4の一部(後述するベースの端部)が嵌合する嵌合凹部63が設けられている。
また、樹脂ハウジング3には、金属プレート2の上面に重ね合わされる第3ターミナル埋設部(ブロック)64、およびセンサハウジング4の一部(ベースの端部)の上面に重ね合わされる第2ターミナル埋設部(ブロック)65が設けられている。
また、センサハウジング4の一部(ベースの端部)には、金属プレート2の嵌合凹部63に嵌め込まれる嵌合凸部66が設けられている。また、センサハウジング4の周縁部には、複数のボルト締結部(円筒部)が設けられている。これらのボルト締結部のボルト挿通孔内には、補強用の金属カラー67が嵌め込まれている。
【0068】
2つのブラケット61、62には、締結部材である締結ボルト(図示せず)が挿通するボルト挿通孔61a、62aが形成されている。また、2つのブラケット61、62には、センサハウジング4の表面(下面)、つまりセンサハウジング4の金属プレート2との重ね合わせ部分の表面(下面)から突出する嵌合ピン68、69に嵌合する嵌合孔61b、62bが形成されている。嵌合ピン68、69の軸線方向の先端側は、嵌合孔61b、62bを貫通して金属プレート2の各ブラケット61、62の外面(下面)から突き出した後に熱かしめ等により潰される。これにより、センサハウジング4の下面に金属プレート2の各ブラケット61、62が固定される。
なお、金属プレート2の各ブラケット61、62とセンサハウジング4との結合(固定)方法として、スナップフィット結合を採用しても良い。
【0069】
センサハウジング4の上面には、3つのホール素子を実装する回路基板7を収容する基板収容凹部71、およびこの基板収容凹部71の周囲を取り囲む(包囲する)有底角筒状の樹脂壁(壁体)72が一体的に形成されている。
基板収容凹部71の内部には、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(絶縁性樹脂)を主体とする封止材73が充填されている。封止材73は、導体パターンが印刷された回路基板7、この回路基板7に表面実装される3つのホール素子、第2接続端子47と導体パターンとの導通接合部を樹脂封止している。
【0070】
センサハウジング4内に熱かしめ等により収容された回路基板7は、セラミック基板、樹脂基板または半導体基板である。本実施例では、回路基板7として矩形状または方形状の樹脂基板が採用されている。そして、回路基板7は、印刷された導体パターン、およびセンサハウジング4にインサート成形されたターミナル12の第2接続端子47を挿入するための複数のスルーホール48を有している。
回路基板7の導体パターンには、少なくともシフトポジションセンサ21を構成する3つのホール素子が電気的に接続されている。
回路基板7には、センサハウジング4の基板収容凹部71の底面から突出する嵌合ピン71aに嵌合する嵌合孔74が形成されている。嵌合ピン71aの軸線方向の先端側は、嵌合孔74を貫通して回路基板7の外面(上面)から突き出した後に熱かしめ等により潰される。これにより、センサハウジング4の基板収容凹部71の底面に回路基板7が固定される。
【0071】
また、センサハウジング4の上面(ターミナル11の第1接続端子41に対向する対向面)には、複数のレーザ溶接部15、複数の第1接続端子41および複数の露出部43を個別に収容する複数の端子収容室(端子収容凹部)75、およびこれらの端子収容室75を隔離して、各レーザ溶接部15を各々相互に隔離する複数の隔壁76が一体的に形成されている。なお、ターミナル12の露出部43は、各端子収容室75の底面の中心部(端子装着部)上で露出している。
複数の隔壁76は、隔壁56と同様に設けられている。
そして、センサハウジング4には、ガイドリブ57と同様に、一対のガイドリブ(図示せず)が一体的に形成されている。
また、センサハウジング4の上面には、端子収容ケースが設けられている。この端子収容ケースは、内部空間が複数の隔壁76によって区画されており、閉鎖壁58に相当する樹脂壁72を含むコの字状の外側壁(壁体)77を有している。
外側壁77は、複数の端子収容室75の周囲を取り囲む(包囲する)有底角筒状の壁体を構成している。この外側壁77の図示上方側には、センサハウジング4に対するTCUと配線ユニットとの接合体Aの組み付け時、つまりターミナル12の露出部43にターミナル11の第1接続端子41を重ね合わせる時に、ターミナル11の第1接続端子41が挿通する上部開口部が設けられている。
また、外側壁77の上部開口部側には、蓋体8が熱かしめにより装着されている。
【0072】
蓋体8は、例えばポリアミド(PA)またはポリフェニレンサルファイド(PPS)等の絶縁性樹脂(絶縁材料)によって形成されている。この蓋体8は、複数の端子収容室75の上部開口部を閉鎖する平板状(プレート状)の蓋体である。
蓋体8の平板状部(プレート部)には、図1、図2、図4(c)、図10および図11に示したように、センサハウジング4の外側壁77の表面(上面)から突出する嵌合ピン77aに嵌合する嵌合孔78が形成されている。嵌合ピン77aの軸線方向の先端側は、嵌合孔78を貫通して蓋体8のプレート部の外面(上面)から突き出した後に熱かしめ等により潰される。これにより、センサハウジング4の外側壁77の上面に蓋体8が固定される。
【0073】
蓋体8は、図1、図2、図4(c)、図10および図11に示したように、配線ユニットの樹脂ハウジング3の側面との間に隙間(ギャップ)を隔てて対向する対向部79を有している。
樹脂ハウジング3の表面(外側面、右側面)および蓋体8の対向部79の表面には、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(絶縁性樹脂)を主体とする封止材80が塗布されている。これにより、樹脂ハウジング3の表面および蓋体8の対向部79の表面とに密着して樹脂ハウジング3の表面と蓋体8の対向部79の表面との間を跨がるように、つまり樹脂ハウジング3の表面と蓋体8の対向部79の表面との間に形成される隙間中に封止材80が充填されている。この封止材80は、樹脂ハウジング3の表面と蓋体8の対向部79の表面との間に形成される隙間を封止する絶縁性のシール部材である。 これによって、自動変速機、特にオイルパンの内部に搭載される電子制御モジュールにおける蓋体8の外部から、樹脂ハウジング3の表面と蓋体8の対向部79の表面との間に形成される隙間を通って複数の端子収容室75の内部にオイルや異物が侵入するのを防止することができる。
なお、蓋体8の対向部79の表面は、封止材80が塗布される封止材塗布面となっている。
【0074】
蓋体8の対向部79の延長方向の両端部(封止材塗布両端部)には、一対の切欠き部81、82が形成されている。つまり、蓋体8の対向部79の両端部に設けられる一対の切欠き部81、82間には、切欠き部81、82の底面から樹脂ハウジング3側に向けて張り出す平板状の係止部(埋設部)83が形成されている。なお、切欠き部81、82は、樹脂ハウジング3とセンサハウジング4との境界位置に設けられている。また、切欠き部81は、樹脂ハウジング3の表面と蓋体8の対向部79の表面との間に形成される隙間に対して封止材80を注入する際の注入開始孔であり、また、切欠き部82は、その隙間に対して封止材80を注入する際の注入終了孔である。
【0075】
蓋体8の対向部79には、蓋体8のプレート部の外面から蓋体8の外部側(図示上方側)に向けて突出した突条部84が一体的に形成されている。この突条部84は、蓋体8のプレート部の外面から外部側に突出するに従って、樹脂ハウジング3の側面との隙間の開口断面積が小さくなる形状に形成されている。つまり、蓋体8のプレート部の外面から蓋体8の外部側(図示上方側)に向けて逆テーパ形状の傾斜面を有する突条部84を設けている。
なお、蓋体8の突条部84の表面は、封止材80が塗布される封止材塗布面となっている。そして、蓋体8の突条部84の封止材塗布面から蓋体8の外部側に向けて離間するに従って樹脂ハウジング3側に近接する形状に形成されている。つまり、蓋体8のプレート部の外面から蓋体8の外部側(図示上方側)に向けて逆テーパ形状の傾斜面を有する突条部84を設けている。
【0076】
また、蓋体8の突条部84には、その封止材塗布面から樹脂ハウジング3側に向けて突出する突条リブ84aが設けられている。つまり突条部84の傾斜した対向面には、樹脂ハウジング3の側面側に突出すると共に、プレート部との境界面から突条部84の対向面の上端まで延びる複数の突条リブ84aが形成されている。なお、これらの突条リブ84aは、三角形状の断面を有している。
これによって、樹脂ハウジング3の表面と蓋体8の突条部84の表面との間、特に突条部84の表面から封止材80が剥がれたり、脱落したりする等の不具合の発生を防止できる。したがって、樹脂ハウジング3の表面および蓋体8の突条部84の表面に塗布された封止材80が、異物としてオイル中に流出することを防止できる。
【0077】
ここで、樹脂ハウジング3の下面側には、図1、図4(c)および図12に示したように、複数のターミナル11の各第1接続端子41と複数のターミナル12の各露出部43との導通接合部であるレーザ溶接部15よりもTCU側に、センサハウジング4の嵌合凸部66との間に隙間を隔てて対向する対向部(第1対向部)85が形成されている。 また、センサハウジング4の嵌合凸部66の上面側には、樹脂ハウジング3の対向部85との間に隙間を隔てて対向する対向部(第2対向部)86が形成されている。
そして、樹脂ハウジング3の対向部85の表面(対向面)およびセンサハウジング4の対向部86の表面(対向面)には、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(絶縁性樹脂)を主体とする封止材87が塗布されている。これにより、樹脂ハウジング3の対向部85の表面とセンサハウジング4の対向部86の表面とに跨がるように、つまり樹脂ハウジング3の対向部85の表面とセンサハウジング4の対向部86の表面との間に形成される隙間中に封止材87が充填される。この封止材87は、樹脂ハウジング3の対向部85の表面とセンサハウジング4の対向部86の表面との間に形成される隙間を封止する絶縁性のシール部材である。
【0078】
樹脂ハウジング3の対向部85の下面には、センサハウジング4の対向部86側に突出する突条リブ(凸部)88が設けられている。この突条リブ88は、その突条リブ88の先端側に近づく程、肉厚が小さくなるように構成されている。
センサハウジング4の対向部86の上面には、突条リブ88との間に少なくとも5箇所以上で屈曲した屈曲形状の隙間を形成する凹溝部(凹部)89が形成されている。この凹溝部89は、その凹溝部89の奥側に接近する程、溝幅が大きくなるように構成されている。なお、樹脂ハウジング3の対向部85の表面(下面)およびセンサハウジング4の対向部86の表面(上面)は、封止材87が塗布される封止材塗布面となっている。
これによって、突条リブ88と凹溝部89とに跨がるように迷路構造(少なくとも5箇所以上で屈曲した屈曲形状)の隙間中に封止材87が充填される。
【0079】
ここで、レンジ検出装置のレンジセンサユニットは、案内部、可動部および検出部を有している。これらは、電子制御モジュールに一体的に組み付けられている。
案内部は、電子制御モジュールのセンサハウジング4に一体的に形成されたベース91と2本のガイドレール92とからなる。
可動部は、2本のガイドレール92に往復直線移動可能に支持されたレンジセンサスライダ(以下スライダと略す)93、およびこのスライダ93に一体的に形成された入力部94を有している。スライダ93には、3列の磁石パターンが埋設されている。入力部94は、マニュアルバルブのスプールの一端部に係合している。
【0080】
検出部は、シフトポジションセンサ21を構成する3つのホール素子、およびこれらのホール素子の出力信号に基づいてレンジ位置を特定する信号処理回路を有している。信号処理回路は、マニュアルバルブのスプールおよびスライダ93の移動位置に対応して実現されるシフトレンジを、3つのホール素子より出力される電気信号(センサ出力信号)に基づいてレンジ位置を特定し、特定したレンジ位置を表す検出信号を複数のターミナル12、複数のターミナル11およびリードフレーム9を経てTCUの電子部品に出力する。
【0081】
ここで、自動変速機における変速動作を、摩擦係合要素に印加(供給)される作動油圧を予め決められた制御特性に従って変化させる場合、オイルの温度(油温)が低いときには、油温が高いときに比べてオイルの粘度が高くなり、応答性が悪化する。そこで、自動変速機には、オイルの温度(油温)を検出する油温センサ(油温検出手段)が設置されており、TCUは、油温センサで検出された油温に基づいて、摩擦係合要素に対する作動油圧の供給および排出を行っている。
また、電子制御モジュールには、トルクコンバータのタービンの回転速度(自動変速機の入力軸回転速度)を検出するタービン回転センサ22、および自動変速機の出力軸回転速度(車速)を検出する出力軸回転センサ23が設置されている。
TCUは、タービン回転センサ22で検出された入力軸回転速度と出力軸回転センサ23で検出された出力軸回転速度との比、つまり変速比を求めて、レンジ検出装置、特にシフトポジションセンサ21を構成する3つのホール素子で検出されるレンジ位置に対応するように、自動変速機の変速動作が正常に成されているか否かを判断できるようにしている。
【0082】
また、複数の摩擦係合要素にそれぞれ連通する油路に設置される複数の電磁油圧制御弁に供給される供給油圧には、オイルポンプにより圧送供給されるライン圧を例えばモジュレート弁等によって減圧したモジュレート圧が用いられている。しかし、何らかの要因によりモジュレート圧が変化した場合、また、電磁油圧制御弁が誤作動した場合、電磁油圧制御弁を経由して摩擦係合要素に印加(供給)される作動油圧が低下(または本来排出されている摩擦係合要素にオイルが入ってきた場合)して、自動変速機の変速動作が正常に成されない可能性がある。
そこで、自動変速機には、各摩擦係合要素に印加(供給)されるオイルの圧力(作動油圧)を検出する複数の油圧センサ(油圧検出手段)が設置されており、TCUは、複数の油圧センサで検出された作動油圧に基づいて、レンジ検出装置、特にシフトポジションセンサ21を構成する3つのホール素子で検出されるレンジ位置に対応するように、自動変速機の変速動作が正常に成されているか否かを判断できるようにしている。
【0083】
また、センサハウジング4には、シフトポジションセンサ21を構成する3つのホール素子の他に、タービン回転センサ(入力軸回転センサ)22および出力軸回転センサ(車速センサ)23が搭載されている。
タービン回転センサ22は、センサハウジング4の上面から所定の傾斜角度分だけ傾斜するように上方に突出した突出部95に取り付けられるキャップ96内に保持されたホールICにより構成されている。
タービン回転センサ22を構成するホールICは、トルクコンバータのタービン軸に固定された磁極(永久磁石)に対向するように配置されている。ホールICのセンサリード端子は、ワイヤボンディングにより複数(センサリード端子に対応した個数)のターミナル12と接続している。そして、ホールICおよびセンサリード端子とターミナル12との接続部(ボンディングワイヤ等の配線部材)は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(絶縁性樹脂)を主体とする封止材により樹脂封止されている。なお、封止材は、キャップ96の内部に充填されている。
【0084】
出力軸回転センサ23は、センサハウジング4の上面から所定の傾斜角度分だけ傾斜するように上方に突出した突出部97に取り付けられるキャップ98内に保持されたホールICにより構成されている。出力軸回転センサ23を構成するホールICは、自動変速機の出力軸に固定された磁極(永久磁石)に対向するように配置されている。
出力軸回転センサ23を構成するホールICのセンサリード端子は、ワイヤボンディングにより複数(センサリード端子に対応した個数)のターミナル12と接続している。そして、ホールICおよびセンサリード端子とターミナル12との接続部(ボンディングワイヤ等の配線部材)は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(絶縁性樹脂)を主体とする封止材により樹脂封止されている。なお、封止材は、キャップ98の内部に充填されている。
【0085】
[実施例1の組付方法]
次に、本実施例の電子制御モジュールの組付方法を図1ないし図12に基づいて簡単に説明する。ここで、図6および図7は電子制御モジュールの組付方法を示した図で、図8および図9はターミナルを上下に重ね合わせてレーザ溶接するレーザ溶接工程を示した図である。
【0086】
先ず、ECUからのエンジン運転情報(アクセル開度、エンジン回転速度、スロットル開度、エンジントルク等)、シフトポジションセンサ(レンジセンサ)21、油温センサ、油圧センサ、タービン(入力軸)回転センサ22および出力軸回転センサ23等の各種センサ出力信号に基づいて自動変速機の変速制御を行うICチップ等の電子部品が回路基板上に表面実装され、電子部品およびリードフレーム9のインナリードをモールド樹脂1により樹脂封止したTCUを、配線ユニットの樹脂ハウジング3のTCU搭載エリア25上に搭載する(図6(a)参照)。
【0087】
このとき、図6(b)に示したように、TCUの複数のブラケット24と配線ユニットの樹脂ハウジング3の複数のボルト締結部とを重ね合わせて、複数のブラケット24のボルト挿通孔24aと複数のボルト締結部のボルト挿通孔(金属カラー26の貫通孔)とを一致させ、樹脂ハウジング3のピン挿入孔54に挿入されている位置決めピン53にTCUの複数のブラケット51のピン貫通孔53aを嵌合させる。
これにより、電子部品(ICチップ等)を回路基板上に表面実装したTCUが、配線ユニットの樹脂ハウジング3のTCU搭載エリア25上に位置決めされた状態で仮組み付けされる。
【0088】
ここで、配線ユニットの樹脂ハウジング3の下面(図6においては図示上面)のTCU搭載エリア25の周囲には、図6(a)に示したように、リードフレーム9と複数のターミナル10、11との導通接合部(並列配置された複数のレーザ溶接部13、14)を各々相互に隔離する複数の隔壁56が一体的に形成されている。
なお、複数のターミナル10、11の各露出部33は、隣り合う隔壁56間に形成される端子収容凹部である端子収容室55の底面の中心部上で露出している。
そして、リードフレーム9がモールド樹脂1より突出して露出したTCUを、図6(b)に示したように、配線ユニットの樹脂ハウジング3のTCU搭載エリア25上に搭載すると、TCUのモールド樹脂1より外部側に突出したリードフレーム9の各リード端子31が、隣り合う2つの隔壁56の対向面に形成される一対のガイドリブ57の各傾斜面に誘導(ガイド)されて奥側まで容易に挿入され、複数のターミナル10、11の各露出部33に重ね合わされる。
【0089】
次に、TCUのリードフレーム9と配線ユニットのターミナル10、11とを上下に重ね合わせてレーザ溶接するレーザ溶接工程(ターミナル接続工程)を図6ないし図9に基づいて説明する。
レーザ溶接装置は、電子制御装置により制御されるレーザ発振器(図示せず)と、リードフレーム9のリード端子31側から押圧荷重を与える2つの押さえ治具99と、これらの押さえ治具99で押圧された位置の中間にレーザ光を照射するレーザ溶接ヘッド(図示せず)とを備えている。
レーザ発振器として、半導体レーザ発振器、パルスYAGレーザ、CO2 レーザ等一般的なレーザ溶接に用いられるものを使用しても良い。
レーザ溶接ヘッドは、内部にレンズが設置されており、レーザ発振器から出力されたレーザ出力をレンズで集光し、リードフレーム9とターミナル10、11とのレーザ溶接部13、14にレーザビーム(レーザ光)Lを照射する。
【0090】
ここで、本実施例では、隣り合う2つの隔壁56の対向面に、リードフレーム9の露出部(接続片)31をターミナル10、11の露出部33上に誘い込む一対のガイドリブ57が形成されている。なお、レーザ溶接を実施すると、レーザ反射光によってガイドリブ57の傾斜面がコゲる可能性があるため、樹脂ハウジング3、少なくともガイドリブ57にレーザ光透過性樹脂を採用することが望ましい。この場合には、レーザ反射光によるガイドリブ57のコゲを防止できる。
本実施例では、一対のガイドリブ57を設置しているので、ターミナル10、11の露出部33に対するリードフレーム9のリード端子31の板幅方向のターミナル位置ズレを許容値(例えば0.15mm)以下に抑えることができる。
本実施例では、レーザ溶接部13、14の前後のリード端子31を2つの押さえ治具99により露出部33側に押圧(加圧)することで、リードフレーム9のリード端子31とターミナル10、11の露出部33との間に形成される隙間(ターミナル相互の隙間、積層方向の隙間)を許容値(例えば0.025mm)以下に抑えることができる。
以上により、本実施例のレーザ溶接装置およびレーザ溶接方法においては、ターミナル位置ズレおよびターミナル相互の隙間を許容値以下にする対策を行わないものと比べて、レーザ溶接による品質を確保することができる。
【0091】
レーザ溶接工程では、先ず配線ユニットの樹脂ハウジング3のTCU搭載エリア25上にTCUを組み付けることで、端子収容室55の底面で露出した露出部33上にリード端子31が重ね合わされる。そして、上下に重ね合わされたリード端子31と露出部33を、リード端子31側から2つの押さえ治具99により押圧(加圧)する。これにより、リード端子31と露出部33が隙間なく、あるいは許容範囲内の隙間を有しながら重ね合わされる。
そして、2つの押さえ治具99により押圧(加圧)される押圧部Jの中間位置(溶接箇所)にレーザ光Lをレーザ溶接ヘッドから照射する。
すなわち、表面にメッキが施された導電性金属板(銅または銅合金等)よりなるリード端子31と、表面にメッキが施された導電性金属板(銅または銅合金等)よりなる露出部33とを重ね合わせ、レーザ溶接ヘッドから溶接箇所にレーザ光Lを照射すると、リード端子31の表面側から、リード端子31の表面(図示上面)に施されたメッキ、リード端子(ターミナル母材)31、リード端子31の表面(図示下面)に施されたメッキ、露出部33の表面(図示上面)に施されたメッキ、露出部(ターミナル母材)33が順に溶けていき、これらが溶融した溶融部が形成される。
【0092】
この溶融部は、リードフレーム9とターミナル10、11の界面を超え露出部33の内部に渡って連続的に形成される。溶融部の形成に伴って、リードフレーム9とターミナル10、11との重ね合わせ部分が溶着固定されるため、リードフレーム9と複数のターミナル10、11との導通接合部であるレーザ溶接部13、14が電気的に接続(導通接合)される。これにより、TCUのリードフレーム9と配線ユニットのターミナル10、11とを上下に重ね合わせた重ね合わせ部分に、リード端子31と露出部33に渡るレーザ溶接部13、14が形成される。
以上のように、複数のリードフレーム9の各リード端子31と複数のターミナル10、11の各露出部33とをレーザ溶接により導通接合した後に、複数のレーザ溶接部13、14の露出面、複数のリード端子31の表面および複数の露出部33の表面に、例えば絶縁性接着剤よりなる絶縁材36を塗布する。
以上によって、複数のレーザ溶接部13、14、モールド樹脂1の表面より外側に突出して露出したリードフレーム9の各リード端子31、および樹脂ハウジング3の表面より露出した複数のターミナル10、11の各露出部33に端子間(配線間)絶縁構造を施した、TCUと配線ユニットとの接合体Aが製造される(図6(b)参照)。
【0093】
次に、センサハウジング4の表面(下面:図示上面)、つまりセンサハウジング4の金属プレート2との重ね合わせ部分の表面から突出する嵌合ピン68、69に、金属プレート2に形成された複数の嵌合孔61b、62bを嵌合し、嵌合孔61b、62bを貫通した嵌合ピン68、69の先端部を熱かしめすることで、金属プレート2とセンサハウジング4との接合体Bが製造される(図7(a)参照)。
次に、TCUと配線ユニットとの接合体Aと、金属プレート2とセンサハウジング4との接合体Bとを複数の締結ボルト5等で締結固定する等して一体化することで、電子制御モジュールが製造される(図7(b)参照)。
このとき、TCUのモールド樹脂1の放熱面が金属プレート2の搭載面に直接接触するように、TCUと配線ユニットとの接合体Aが、複数の締結ボルト5により金属プレート2とセンサハウジング4との接合体Bに締結固定される。また、TCUのブラケット24は、配線ユニットの樹脂ハウジング3の各ボルト締結部の下面と金属プレート2の上面との間に挟持される。
【0094】
次に、ターミナル11とターミナル12とを上下に重ね合わせてレーザ溶接するレーザ溶接工程(ターミナル接続工程)を図6ないし図9に基づいて説明する。
ここで、センサハウジング4の上面(図7においては図示下面)には、ターミナル11とターミナル12との導通接合部(並列配置された複数のレーザ溶接部15)を各々相互に隔離する複数の隔壁76が一体的に形成されている。
なお、複数のターミナル12の各露出部43は、隣り合う隔壁76間に形成される端子収容凹部である端子収容室75の底面の中心部上で露出している。
レーザ溶接工程では、先ず複数のターミナル11が樹脂ハウジング3より突出して露出した配線ユニット上に、図7(a)に示したように、金属プレート2とセンサハウジング4との接合体Bを搭載すると、配線ユニットの樹脂ハウジング3より外部側に突出した複数のターミナル11の各第1接続端子41が、隣り合う2つの隔壁76の対向面に形成される一対のガイドリブの各傾斜面に誘導(ガイド)されて奥側まで容易に挿入され、複数のターミナル12の各露出部43に重ね合わされる。
【0095】
そして、上下に重ね合わされた第1接続端子41と露出部43を、複数の端子収容室75の上方開口部側から入れた2つの押さえ治具で押圧(加圧)し、上述したレーザ溶接工程と同様に、2つの押さえ治具により押圧(加圧)される押圧部の中間位置(溶接箇所)にレーザ光をレーザ溶接ヘッドから照射する。
ターミナル11とターミナル12との重ね合わせ部分が溶着固定されるため、ターミナル11とターミナル12との導通接合部であるレーザ溶接部15が電気的に接続(導通接合)される。これにより、配線ユニットのターミナル11とセンサハウジング4のターミナル12とを上下に重ね合わせた重ね合わせ部分に、第1接続端子41と露出部43に渡るレーザ溶接部15が形成される。
【0096】
以上のように、複数のターミナル11の各第1接続端子41と複数のターミナル12の各露出部43とをレーザ溶接により導通接合した後に、複数のレーザ溶接部15の露出面、複数の第1接続端子41の表面および複数の露出部43の表面に、例えば絶縁性接着剤よりなる絶縁材46を塗布する。
一方、複数のターミナル12の第2接続端子47を、回路基板7に形成されるスルーホール48に挿入し、複数のターミナル12の第2接続端子47と回路基板7の導体パターンとを半田付けすることで、回路基板7に実装されるシフトポジションセンサ21の3つのホール素子とTCUの電子部品とを接続する。
そして、配線ユニットの樹脂ハウジング3の下面に形成される突条リブ88と、センサハウジング4の上面に形成される凹溝部89との間の隙間に、封止材87を充填する。また、センサハウジング4の樹脂壁72に囲まれた基板収容凹部71に封止材73を充填する。
そして、複数の端子収容室75の上面の開口部に、端子収容室75内への導電性異物の侵入を防止するために蓋体8を取り付けた後、樹脂ハウジング3の側面と蓋体8の対向部79との間の隙間に封止材80を充填する。
【0097】
以上によって、複数のレーザ溶接部13〜15、モールド樹脂1の表面より外側に突出して露出したリードフレーム9の各リード端子31、樹脂ハウジング3の表面より露出した複数のターミナル10、11の各露出部33、樹脂ハウジング3の表面より外側に突出して露出した複数のターミナル11の各第1接続端子41、およびセンサハウジング4の表面より露出した複数のターミナル12の各露出部43に端子間(配線間)絶縁構造を施した電子制御モジュールが製造される(図1および図7(b)参照)。
その後、電子制御モジュールを、金属プレート2の放熱面がバルブボディの外壁面に直接接触するように、バルブボディに複数の締結ボルトで締結固定される。これにより、電子制御モジュールが自動変速機の内部、特にオイルパンの内部に搭載される。
【0098】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の自動変速機の内部に搭載される電子制御モジュールにおいては、リードフレーム9のリード端子31とターミナル10、11の露出部33との重ね合わせ部分をレーザ溶接してリードフレーム9のリード端子31とターミナル10、11の露出部33とを導通接合した後に、リードフレーム9とターミナル10、11との導通接合部であるレーザ溶接部13、14の露出面、リードフレーム9のリード端子31の表面およびターミナル10、11の露出部33の表面に絶縁材36を塗布している。
これによって、隣り合う端子間および隣り合う配線間(導体間)の絶縁、つまり隣り合うターミナル相互間の絶縁のために、大型の樹脂材部品が必要なく、また、樹脂材部品に高精度な樹脂成形が必要なくなるので、製品コストを低減することができる。
また、複数のレーザ溶接部13、14、複数のリード端子31、複数の露出部33および複数のリード端子31の各根元部分を確実に絶縁できる。すなわち、隣り合う端子間および隣り合う配線間(導体間)、つまり隣り合うターミナル相互間を確実に絶縁できるので、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物による隣り合う端子間および隣り合う配線間(導体間)のショートを防止することができる。
【0099】
また、電子制御モジュールにおいては、ターミナル11の第1接続端子41とターミナル12の露出部43との重ね合わせ部分をレーザ溶接してターミナル11の第1接続端子41とターミナル12の露出部43とを導通接合した後に、ターミナル11とターミナル12との導通接合部であるレーザ溶接部15の露出面、ターミナル11の第1接続端子41の表面およびターミナル12の露出部43の表面に絶縁材46を塗布している。
これによって、隣り合う端子間および隣り合う配線間(導体間)の絶縁、つまり隣り合うターミナル相互間の絶縁のために、大型の樹脂材部品が必要なく、また、樹脂材部品に高精度な樹脂成形が必要なくなるので、製品コストを低減することができる。
また、複数のレーザ溶接部15、複数の第1接続端子41、複数の露出部43および複数の第1接続端子41の各根元部分を確実に絶縁できる。すなわち、隣り合う端子間および隣り合う配線間(導体間)、つまり隣り合うターミナル相互間を確実に絶縁できるので、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物による隣り合う端子間および隣り合う配線間(導体間)のショートを確実に防止することができる。
【0100】
また、本実施例では、リードフレーム9とターミナル10、11との導通接合部であるレーザ溶接部13、14の露出面、リードフレーム9のリード端子31の表面およびターミナル10、11の露出部33の表面に絶縁材36を塗布し、さらに、ターミナル11とターミナル12との導通接合部であるレーザ溶接部15の露出面、ターミナル11の第1接続端子41の表面およびターミナル12の露出部43の表面に絶縁材46を塗布した後に、TCUのモールド樹脂1の放熱面と金属プレート2の搭載面とが熱伝導可能に接触するように、つまり直接接触するように、TCUと配線ユニットとの接合体Aを、金属プレート2とセンサハウジング4との接合体Bに複数の締結ボルト5等により締結固定して電子制御モジュールを構成している。
これによって、TCU、特に電子部品で発生した熱を金属プレート2を通して外部(バルブボディ)へ効率良く放熱させることができる。これにより、TCU、特に電子部品の十分な放熱性を確実に確保することができる。
そして、リードフレーム9およびターミナル10、11と金属プレート2の搭載面との間に自動変速機のオイル中に混入した導電性異物が跨がって堆積している場合であっても、レーザ溶接部13、14の露出面、リード端子31の表面および露出部33の表面に絶縁材36を塗布しているので、リードフレーム9およびターミナル10、11と金属プレート2とを確実に絶縁することができる。これにより、リードフレーム9およびターミナル10、11と金属プレート2との間のショートを確実に防止することができる。
【0101】
また、電子制御モジュールにおいては、リードフレーム9とターミナル10、11とを重ね合わせ、その重ね合わせ部分をレーザ溶接によって電気的に接続している。これによって、TCU、特にモールド樹脂1に樹脂封止された電子部品や回路基板にダメージを与えることなく、リードフレーム9のリード端子31とターミナル10、11の露出部33との重ね合わせ部分において確実に導通接合することができるので、リードフレーム9とターミナル10、11との導通接合部(レーザ溶接部13、14)の接続信頼性を向上することができる。
【0102】
また、電子制御モジュールにおいては、配線ユニットの樹脂ハウジング3の下面に、複数のレーザ溶接部13、14、複数のリード端子31および複数の露出部33を各々相互に隔離する複数の隔壁56を設けているので、隣り合う端子間(配線間)の沿面距離が長く確保されている。これにより、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物が隣り合う端子間および隣り合う配線間に跨がって堆積する可能性が低くなるので、隣り合う端子間および隣り合う配線間の絶縁性を向上できる。これにより、隣り合う端子間および隣り合う配線間のショートを防止することができる。
また、複数の隔壁56は、絶縁性樹脂製の樹脂ハウジング3の下面に一体的に形成されているので、隣り合う端子間および隣り合う配線間、つまり隣り合うターミナル相互間を確実に絶縁することができる。
【0103】
また、センサハウジング4の上面に、複数のレーザ溶接部15、複数の第1接続端子41および複数の露出部43を各々相互に隔離する複数の隔壁76を設けているので、樹脂ハウジング3の隔壁56と同様に、隣り合う端子間(配線間)の沿面距離が長く確保されている。これにより、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物が隣り合う端子間および隣り合う配線間に跨がって堆積する可能性が低くなるので、隣り合う端子間および隣り合う配線間の絶縁性を向上できる。これにより、隣り合う端子間および隣り合う配線間のショートを防止することができる。
また、複数の隔壁76は、絶縁性樹脂製のセンサハウジング4の上面に一体的に形成されているので、隣り合う端子間および隣り合う配線間、つまり隣り合うターミナル相互間を確実に絶縁することができる。
【0104】
また、電子制御モジュールにおいては、非常に狭いピッチのTCUのリードフレーム9を、一旦、配線の分配のみを行う比較的小型な配線ユニットのターミナル10、11と電気的に接続した後に、その配線ユニットのターミナル11から別体のセンサ素子(シフトポジションセンサ21を構成する3つのホール素子、タービン回転センサ22を構成するホールIC、出力軸回転センサ23を構成するホールIC等)に配線接続する構成である。これにより、ターミナル11を持たず、TCUのリードフレーム9とセンサハウジング4のターミナル12とを直接接続するタイプと比べて、TCUのリードフレーム9と配線ユニットのターミナル11との接合の際のハンドリングの手間が小さく、また、リードフレーム9とターミナル11とを重ね合わせてレーザ溶接するレーザ溶接作業のために占有するスペースが小さくて済む。
【0105】
また、電子制御モジュールにおいては、TCUの電子部品とセンサユニットの回路基板7上に実装される半導体素子(シフトポジションセンサ21の3つのホール素子)との接続部にターミナル接合を用いているので、小さなスペースで、且つコストも安く構成することができる。
ところで、TCUの電子部品とセンサユニットの半導体素子(シフトポジションセンサ21の3つのホール素子)との接続部にターミナル接合を用いた場合、自動変速機のオイル中に混入した導電性異物が隣り合う端子間または隣り合う配線(ターミナル11、12)間に跨がって堆積すると、隣り合う端子間または隣り合う配線(ターミナル11、12)間の短絡(ショート)が発生する可能性がある。
そこで、ターミナル接合に伴う導電性異物によるショートを防止するという目的で、上述したように、ターミナル11とターミナル12との導通接合部であるレーザ溶接部15の露出面、ターミナル11の第1接続端子41の表面およびターミナル12の露出部43の表面に絶縁材46を塗布している。
【0106】
その上、ターミナル11とターミナル12との導通接合部であるレーザ溶接部15の周囲を複数の隔壁76および外側壁77で包囲し、つまり複数の端子収容室75内にそれぞれ複数のレーザ溶接部15、複数の第1接続端子41および複数の露出部43を個別に収容し、これらの端子収容室75の上部開口部(複数の隔壁76および外側壁77の上面の開口部)を蓋体8で塞ぎ、且つ樹脂ハウジング3の表面(右側面)および蓋体8の境界面(対向部79の封止材塗布面)に封止材80を塗布している。
そして、蓋体8の対向部79に、蓋体8のプレート部の外面から図示上方に突出する逆テーパ形状の傾斜面を有する突条部84を設けたことにより、封止材80が封止材塗布面から剥離した場合であっても、異物としてオイル中に流出することを防止できる。また、複数のターミナル11の各第1接続端子41と複数のターミナル12の各露出部43との導通接合部であるレーザ溶接部15(端子収容室75)に対する異物(およびオイル)の侵入を防止できる。
なお、突条部84の逆テーパ形状の傾斜面(封止材塗布面)に、樹脂ハウジング3側に突出する複数の突条リブ84aを設けているので、更に、異物としてオイル中に流出し難い構造となっている。
【0107】
また、蓋体8のプレート部の両端部(幅方向の封止材塗布面の両端)に、2つの切欠き部(孔部)81、82を設けたことにより、蓋体8の封止材塗布面に対する封止材80の塗布開始点、封止材80の塗布終了点において、余剰の封止材80が封止材塗布面に残留する。すなわち、樹脂ハウジング3の表面および蓋体8の対向部79の表面に塗布された封止材80が、係止部83の板厚方向の両端面を埋設するように噛み込むことで、係止部83に係止されて固定されるため、樹脂ハウジング3の表面と蓋体8の対向部79の表面との間、特に対向部79の表面から封止材80が剥がれたり、脱落したりする等の不具合の発生を防止できる。したがって、樹脂ハウジング3の表面および蓋体8の対向部79の表面に塗布された封止材80が蓋体8の封止材塗布面から剥離して、異物としてオイル中に流出することを防止できる。
【0108】
また、複数のレーザ溶接部15、複数の第1接続端子41および複数の露出部43を個別に収容する複数の端子収容室75に対するオイル(ATF)侵入経路の途中、つまり樹脂ハウジング3の対向部85に設けた突条リブ88とセンサハウジング4の対向部86に設けた凹溝部89との間に迷路構造の隙間(ギャップ)を形成し、その隙間に封止材87を封止している。
このように突条リブ88と凹溝部89との間に形成される隙間中に封止材87を充填しているので、封止材87が樹脂ハウジング3の対向部85の表面(下面、封止材塗布面)またはセンサハウジング4の対向部86の表面(上面、封止材塗布面)から剥離した場合であっても、樹脂ハウジング3の対向部85の表面とセンサハウジング4の対向部86の表面に塗布された封止材87が、突条リブ88と凹溝部89との間に形成される隙間から抜け難くなる。したがって、樹脂ハウジング3の対向部85の表面とセンサハウジング4の対向部86の表面に塗布された封止材87が、異物としてオイル中に流出することを防止できる。
【0109】
なお、樹脂ハウジング3の対向部85の下面に設けられる突条リブ88が、その突条リブ88の先端側に向かって細くなる形状に設定されており、しかもセンサハウジング4の対向部86の上面に設けられる凹溝部89が、その凹溝部89の奥側に向かって溝幅が大きくなる形状に設定されているので、樹脂ハウジング3の対向部85の表面(封止材塗布面)またはセンサハウジング4の対向部86の表面(封止材塗布面)に塗布された封止材87を突条リブ88と凹溝部89との間に形成される隙間に確実に止める(係止する)ことができる。
また、自動変速機、特にオイルパンの内部に搭載される電子制御モジュールにおける樹脂ハウジング3およびセンサハウジング4の外部から、樹脂ハウジング3の対向部85の表面とセンサハウジング4の対向部86の表面との間に形成される隙間を通って複数の端子収容室75の内部にオイルや異物が侵入するのを防止することができる。すなわち、複数のターミナル11の各第1接続端子41と複数のターミナル12の各露出部43との導通接合部であるレーザ溶接部15に対する異物(およびオイル)の侵入を防止することができる。
【0110】
また、リードフレーム9の各リード端子31に少なくとも2箇所以上で屈曲した応力吸収部32を設けているので、モールド樹脂1とリードフレーム9との間に熱膨張係数の差異がある場合であっても、冷熱サイクルでリードフレーム9に発生する変位を吸収することができる。これにより、リードフレーム9の破断を防止することができる。
また、複数のターミナル11の各第1接続端子41に少なくとも6箇所以上で屈曲した応力吸収部42を設けているので、樹脂ハウジング3とターミナル11との間に熱膨張係数の差異がある場合であっても、冷熱サイクルでターミナル11に発生する変位を吸収することができる。これにより、ターミナル11の破断を防止することができる。
【実施例2】
【0111】
図13および図14は本発明の実施例2を示したもので、図13および図14はターミナルを上下に重ね合わせてレーザ溶接するレーザ溶接工程(ターミナル接続工程)を示した図である。
【0112】
本実施例の配線ユニットの樹脂ハウジング3には、複数の隔壁56のうち端子収容室55を隔てて対向する隣り合う2つの隔壁56の対向面から端子収容室55の中心軸線側に向けて突出する一対のガイドリブ57が一体的に形成されている。
これらのガイドリブ57には、実施例1と同様に、端子収容室55の底面で露出しているターミナル10、11の露出部33に向けてリードフレーム9のリード端子31を誘導(ガイド)するためのリード端子(リードフレーム9)誘い込み用の傾斜面が形成されている。
そして、一対のガイドリブ57は、隣り合う隔壁56の長手方向の中央部付近に設けられている。つまり一対のガイドリブ57は、レーザ溶接部13、14よりも閉鎖壁58側に対して逆側に位置する隔壁56間に形成されている。
なお、樹脂ハウジング3、少なくともガイドリブ57を形成する合成樹脂材料としては、実施例1と同様に、レーザ光透過性樹脂を採用することが望ましい。
【0113】
次に、TCUのリードフレーム9と配線ユニットのターミナル10、11とを上下に重ね合わせてレーザ溶接するレーザ溶接工程(ターミナル接続工程)を説明する。
レーザ溶接装置は、電子制御装置により制御されるレーザ発振器(図示せず)と、リードフレーム9のリード端子31側から押圧荷重を与える1つの押さえ治具99と、この押さえ治具99よりも閉鎖壁58側にレーザ光Lを照射するレーザ溶接ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0114】
本実施例では、実施例1と同様に、一対のガイドリブ57を設置しているので、ターミナル10、11の露出部33に対するリードフレーム9のリード端子31の板幅方向のターミナル位置ズレを許容値以下に抑えることができる。
本実施例では、レーザ溶接部13、14よりもTCU側のリード端子31を1つの押さえ治具99により露出部33側に押圧(加圧)することで、リードフレーム9のリード端子31とターミナル10、11の露出部33との間に形成される隙間を許容値以下に抑えることができる。
以上により、本実施例のレーザ溶接装置およびレーザ溶接方法においては、ターミナル位置ズレおよびターミナル相互の隙間を許容値以下にする対策を行わないものと比べて、レーザ溶接による品質を確保することができる。
【0115】
レーザ溶接工程では、リードフレーム9と複数のターミナル10、11とを重ね合わせる。つまり、各端子収容室55の底面で露出した露出部33上にリード端子31を重ね合わせる。そして、上下に重ね合わされたリード端子31と露出部33を、リード端子31側から1つの押さえ治具99により押圧(加圧)する。これにより、リード端子31と露出部33が隙間なく、あるいは許容範囲内の隙間を有しながら重ね合わされる。
そして、1つの押さえ治具99により押圧(加圧)される押圧部Jおよび一対のガイドリブ57間に挟み込まれる位置よりも先端側(閉鎖壁58側)の位置(溶接箇所)にレーザ光Lをレーザ溶接ヘッドから照射する。
【0116】
これによって、リードフレーム9とターミナル10、11の界面を超え露出部33の内部に渡って連続的に溶融部が形成される。この溶融部の形成に伴って、リードフレーム9とターミナル10、11との重ね合わせ部分が溶着固定されるため、リードフレーム9と複数のターミナル10、11との導通接合部であるレーザ溶接部13、14が電気的に接続(導通接合)される。これにより、TCUのリードフレーム9と配線ユニットのターミナル10、11とを上下に重ね合わせた重ね合わせ部分に、リード端子31と露出部33に渡るレーザ溶接部13、14が形成される。
以上のように、リードフレーム9の各リード端子31と複数のターミナル10、11の各露出部33とをレーザ溶接により導通接合した後に、実施例1と同様に、複数のレーザ溶接部13、14の露出面、複数のリード端子31の表面および複数の露出部33の表面に、例えば絶縁性接着剤よりなる絶縁材36を塗布する。
【実施例3】
【0117】
図15ないし図18は本発明の実施例3を示したもので、図15は非接触式のインヒビタスイッチを示した図で、図16はインヒビタスイッチの作動を示した図で、図17(a)はホールICのON信号に対するシフトパターンを示した図で、図17(b)は可動部(スライド)の磁石パターンを示した図で、図18(a)は固定部(ベース)の3つのホールICを示した図で、図18(b)はシフトレンジ検出回路を示した図である。
【0118】
本実施例の電子制御モジュールは、自動変速機の内部、例えばオイルパンの内部に設置されるバルブボディ200の上面に搭載されている。
自動変速機は、ハウジング、油圧制御装置、レンジ検出装置および電子制御モジュールを備えた所謂電子制御式の自動変速機が採用されている。
油圧制御装置は、マニュアルバルブ201等の複数のバルブおよび複数の油路からなる油圧回路を有しており、オイルパン内の作動油を用いて各摩擦係合要素への供給油圧を制御している。
ここで、マニュアルバルブ201は、図15に示したように、他のバルブと共通のバルブボディ200にスプール202が摺動自在に嵌入されることにより構成されている。バルブボディ200には、スプール202を往復直線移動可能に支持するスプール孔203が形成されている。
【0119】
レンジ検出装置は、ディテント機構とインヒビタスイッチとを組み合わせて構成されている。
ディテント機構は、図15に示したように、ディテントプレート204、コントロールロッド205、ディテントレバー206、出力軸207およびディテントスプリングを有している。
コントロールロッド205は、ディテントプレート204からその板面に対して垂直に延びている。そして、コントロールロッド205のディテントプレート204側に対して反対側の端部は、ディテントレバー206と接合されている。このディテントレバー206は、コントロールロッド205の回転軸方向に対して垂直方向に延びている。そして、ディテントレバー206のコントロールロッド205側に対して反対側の端部は、連結部材208を介してシフトレバーに接続されている。これにより、ディテントプレート204は、コントロールロッド205を回転軸としてシフトレバーの操作に応じて回動する。
【0120】
出力軸207は、ディテントプレート204からその板面に対して垂直に延びている。そして、出力軸207のディテントプレート204側に対して反対側の端部は、スプール孔203から露出したスプール202の溝209に係合している。これにより、ディテントプレート204の回転運動は、スプール202の直線運動に変換され、スプール202はシフトレバーの操作に応じてその軸線方向に往復移動する。
ディテントプレート204の外縁には、ディテントプレート204の回転方向に複数の嵌合溝210が形成されている。これらの嵌合溝210の配置は、シフトレバーを各シフトレンジに設定した状態において複数の嵌合溝210のいずれかと図示しないローラとが係合するように設定されている。これにより、シフトレバーの非操作時におけるディテントプレート204の回動が防止される。
【0121】
インヒビタスイッチは、図15ないし図18に示したように、所謂オイルパン内蔵型のインヒビタスイッチであり、スプール202のバルブボディ200に対する軸線方向の変位を検出する。このインヒビタスイッチは、可動部、固定部(案内部)および検出部等を有している。
可動部には、永久磁石(マグネット)により構成される各磁石パターン211〜213が設置されている。
固定部には、非接触式の磁気検出素子を構成するホール素子および増幅回路により構成されるホールIC214〜216が設置されている。
可動部は、スライダ221および入力軸222等を有している。入力軸222は、スライダ221からその板面に対して垂直に延びている。そして、入力軸222のスライダ221側に対して反対側の端部は、スプール202の係合溝223と係合している。
これにより、スライダ221は、シフトレバーの操作に応じてスプール202と共に往復移動する。そして、スライダ221は、各シフトレンジに応じた位置に移動する。
【0122】
例えばPレンジが設定された状態では、固定部に対してスライダ221が図16(a)に示した位置に移動する。
また、Rレンジが設定された状態では、固定部に対してスライダ221が図16(b)に示した位置に移動する。
また、Nレンジが設定された状態では、固定部に対してスライダ221が図16(c)に示した位置に移動する。
また、Dレンジが設定された状態では、固定部に対してスライダ221が図16(d)に示した位置に移動する。また、上述したように、シフトレバーの非操作時にディテントプレート204の回動が防止されるので、スライダ221は、各シフトレンジに応じた位置で停止する。
【0123】
磁石パターン211〜213は、図17(b)に示したように、可動部のスライダ221に設置されている。磁石パターン211〜213の磁極は、スライダ221の往復移動方向にそれぞれ変化し、それらの変化のパターンは互いに異なっている。図17(b)におけるP、R、N、Dは、各シフトレンジが設定された状態における磁石パターン211〜213とホールIC214〜216とが所定の磁気ギャップを隔てて対向する位置を示している。
【0124】
固定部は、ベース231および2本のガイドレール232等を有している。
ベース231は、実施例1及び2と同様にして、バルブボディ200の上面に搭載されるセンサハウジング4に一体的に形成されている。あるいはセンサハウジング4またはバルブボディ200に締結ボルト等の締結部材を用いて締結固定されている。2本のガイドレール232は、ベース231に設けられ、可動部のスライダ221を往復移動可能に保持している。これにより、スライダ221は、ベース231の平面に沿って往復移動する。
【0125】
検出部は、可動部の移動位置を検出する3つのホールIC214〜216と、各ホールIC214〜216の出力(センサ信号S1〜S3)に基づいてレンジ位置を特定する電子部品とを備えている。
ホールIC214〜216は、固定部のベース231に設けられ、スライダ221の往復移動方向に対して直交する方向に配列されている。ホールIC214〜216は、それぞれ磁石パターン211〜213の向かい合う磁極に応じた電気信号を出力する。ホールIC214〜216は、磁石パターン211〜213より発生する磁束密度を検出する非接触式の磁気検出素子を構成するホール素子と、このホール素子の出力を増幅する増幅回路とを一体化したIC(集積回路)である。そして、ホールIC214〜216からは、出力側リード端子(センサ出力端子)、グランド(GND)側リード端子(センサGND端子)および電源側リード端子(センサ電源端子)が引き出されている。
また、ホールIC214〜216は、実施例1と同様に、回路基板7の上面に導電パターンと接続するように実装されている。
そして、ホールIC214〜216は、ターミナル12、11を介してTCUの電子部品に電気的に接続されている。
【0126】
ここで、3つのホールIC214〜216は、スライダ221の移動方向の軸線に対して直交するように固定部(ベース231、ガイドレール232)に固定して定義された仮想基準平面B上に配置され、鉛直方向に互いに間隔を開けて並んでいる。3つのホールIC214〜216は、磁石パターン211〜213と水平方向において相対している。これにより、各ホールIC214〜216は、相対する磁石パターン211〜213の仮想基準平面B上における磁極がS極となるときON(オン)電圧を出力し、また、当該磁極がN極となるときOFF(オフ)電圧を出力する。
ここで、本実施例の磁石パターン211〜213は、図17(b)に模式的に示したように、仮想基準平面B上における磁極の組み合わせが可動部のスライダ221の移動位置に応じて変化するように形成されている。このため、各ホールIC214〜216の出力の組み合わせは、図17(a)に示したように、スライダ221の移動位置に応じて変化する。したがって、各ホールIC214〜216の出力は、スライダ221の移動位置の検出結果を表していると考えることができる。
【0127】
TCUの電子部品(ICチップ等)は、実施例1及び2と同様に、マイクロコンピュータを含んで構成されている。
TCUの電子部品は、図18(b)に示したように、ホールIC214〜216の出力側リード端子より出力される電気信号(センサ信号S1〜S3)を検出するセンサ信号検出回路(電圧検出回路)241、ホールIC214〜216の出力(センサ信号S1〜S3)に基づいてレンジ位置を特定するセンサ信号処理演算回路242、およびレンジ位置に応じて自動変速機の変速制御を行う電子制御回路(マイクロコンピュータ)243等の機能を有している。
上述したように、本実施例では、磁石パターン211〜213の仮想基準平面B上における磁極の組み合わせが可動部のスライダ221の移動位置に応じて変化するので、TCUの電子部品は、当該組み合わせを監視することでレンジ位置を特定することができる。
【実施例4】
【0128】
図19および図20は本発明の実施例4を示したもので、図19は接触式のインヒビタスイッチの可動部を示した図で、図20(a)は導電体、絶縁体パターンを示した図で、図20(b)はシフトレンジ検出回路を示した図である。
【0129】
本実施例の可動部のスライダ221には、実施例3の磁石パターン211〜213の代わりに、4つのターミナル251〜254が装着されている。
各ターミナル251〜254は、図19(a)、(b)に示したように、センサハウジング4に一体的に形成されるベース231と向き合うスライダ221の板面に基端部側を固着しており、鉛直方向に互いに間隔を開けて並んでいる。各ターミナル251〜254の先端部は、スライダ221の移動方向の軸線に対して垂直となるようにスライダ221に固定して定義された仮想基準平面B上に位置している。
【0130】
ここで、可動部に直接接触してスライダ221の移動位置を検出する接触式の位置センサは、その一部が露出するようにベース231に埋設されて支持されている。具体的に位置センサは、4つの電極パターン261〜264を有している。各電極パターン261〜264は、スライダ221の移動方向の軸線に沿って延伸しており、鉛直方向に互いに間隔を開けて並んでいる。ここで、電極パターン261〜263は、導電体パターン(導電部)Cと絶縁体パターン(絶縁部)Iとから構成され、スライダ221の移動方向における各導電部C、各絶縁部Iの長さおよび位置は図20(a)に示したように設定されている。また、一方、電極パターン264は、導電部Cのみから構成され、図20(a)に示したように、スライダ221の移動方向に応じて連続的に延びている。
【0131】
4つの電極パターン261〜264は、それぞれターミナル251〜254の先端部と接触している。つまり各ターミナル251〜254は、スライダ221に固定して定義された仮想基準平面B上において電極パターン261〜264と接触するように構成されている。このような接触により電極パターン261〜263の各出力は、対応するターミナル251〜253が絶縁部Iに接触するときOFF(オフ)電圧となる。
ここで、本実施例の電極パターン261〜264は、図20(a)に示したように、仮想基準平面B上における各導電部C、各絶縁部Iの組み合わせがスライダ221の移動位置に応じて変化するように形成されている。このため、各電極パターン261〜264の出力の組み合わせは、スライダ221の移動位置に応じて変化する。したがって、各電極パターン261〜264の出力は、スライダ221の移動位置の検出結果を表していると考えることができる。
【0132】
TCUの電子部品は、図20(b)に示したように、センサ信号検出回路(電圧検出回路)271、各電極パターン261〜264の出力(センサ信号S1〜S3)に基づいてレンジ位置を特定するセンサ信号処理演算回路272、およびレンジ位置に応じて自動変速機の変速制御を行う電子制御回路(マイクロコンピュータ)273等の機能を有するように構成されている。
本実施例では、電極パターン261〜264の仮想基準平面B上における各導電部C、各絶縁部Iの組み合わせがスライダ221の移動位置に応じて変化するので、TCUの電子部品は、当該組み合わせを監視することでレンジ位置を特定することができる。
【0133】
[変形例]
本実施例では、複数のターミナル11と複数のターミナル12との各レーザ溶接部15の露出面、複数のターミナル11の各第1接続端子41の表面および複数のターミナル12の各露出部43を各々相互に隔離する複数の隔壁76を、センサハウジング4の上面に設けているが、複数のターミナル11と複数のターミナル12との各レーザ溶接部15の露出面、複数のターミナル11の各第1接続端子41の表面および複数のターミナル12の各露出部43を各々相互に隔離する複数の隔壁76を、複数の端子収容室75の上方開口部を閉鎖する蓋体8の下面に設けても良い。
本実施例では、封止材73、80、87として絶縁性樹脂であるエポキシ樹脂を用いているが、封止材73、80、87として絶縁性樹脂であるシリコーン樹脂を用いても良い。
【符号の説明】
【0134】
A TCUと第1配線ユニット(配線ユニット)との接合体
B 金属プレートと第2配線ユニット(センサユニット)との接合体
1 TCU(電子制御ユニット)のモールド樹脂(モールド材)
2 金属プレート(放熱部材)
3 配線ユニットの樹脂ハウジング(第1ハウジング)
4 センサユニットのセンサハウジング(第2ハウジング)
5 締結ボルト(締結部材)
7 回路基板
8 蓋体
9 リードフレーム
10 ターミナル(第3ターミナル)
11 ターミナル(第1ターミナル)
12 ターミナル(第2ターミナル)
13 レーザ溶接部(リード端子と第3ターミナルとの導通接合部)
14 レーザ溶接部(リード端子と第1ターミナルとの導通接合部)
15 レーザ溶接部(第1ターミナルと第2ターミナルとの導通接合部)
16 外部コネクタ部
31 リードフレームのリード端子
33 ターミナル(第1、第3ターミナル)の露出部(第1、第3露出部)
36 絶縁材
37 コネクタ端子
41 ターミナル(第1ターミナル)の第1接続端子
43 ターミナル(第2ターミナル)の露出部(第2露出部)
46 絶縁材
47 ターミナル(第2ターミナル)の第2接続端子
48 回路基板のスルーホール
55 樹脂ハウジングの端子収容室(収容凹部)
56 樹脂ハウジングの隔壁
57 ガイドリブ
71 センサハウジングの基板収容凹部
72 センサハウジングの樹脂壁(壁体)
73 封止材
75 センサハウジングの端子収容室(収容凹部)
76 センサハウジングの隔壁
77 センサハウジングの外側壁(壁体)
79 蓋体の対向部
80 封止材
81 切欠き部
82 切欠き部
84 蓋体の突条部
84a 突条リブ
85 樹脂ハウジングの対向部(第1対向部)
86 センサハウジングの対向部(第2対向部)
87 封止材
88 樹脂ハウジングの突条リブ(凸部)
89 センサハウジングの凹溝部(凹部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動変速機の内部に搭載された自動変速機の制御装置であって、
(a)前記自動変速機を制御する電子部品、この電子部品から外側に向けて延設されて、前記電子部品に導通接合されるリードフレーム、および前記電子部品と前記リードフレームを封止するモールド材を有する電子制御ユニットと、
(b)この電子制御ユニットで発生した熱を外部に放熱する放熱部材と、
(c)前記電子制御ユニットと前記放熱部材とが接触するように、前記電子制御ユニットと前記放熱部材とを締結する締結部材と、
(d)前記リードフレームにそれぞれ導通接合される複数の第1ターミナル、およびこれらの第1ターミナルを成形して保持する第1ハウジングを有する第1配線ユニットと、 (e)前記電子部品に対して信号を出力する半導体素子、この半導体素子が搭載される回路基板、前記複数の第1ターミナルにそれぞれ導通接合される複数の第2ターミナル、およびこれらの第2ターミナルを成形して保持する第2ハウジングを有する第2配線ユニットと
を備え、
前記リードフレームは、前記モールド材の表面から突出して外部に露出した複数のリード端子を有し、
前記複数の第1ターミナルは、前記第1ハウジングの表面から露出した第1露出部、前記リード端子と前記第1露出部との導通接合部、および前記第1ハウジングの表面から外部に突出して露出した第1接続端子を有し、
前記複数の第2ターミナルは、前記第2ハウジングの表面から露出した第2露出部、前記第1接続端子と前記第2露出部との導通接合部、および前記第2ハウジングの表面から外部に突出して露出した第2接続端子を有し、
前記リード端子と前記第1露出部との導通接合部、前記リード端子の表面および前記第1露出部の表面に絶縁材を施し、
前記回路基板は、前記半導体素子に導通接合される導体パターン、および前記第2接続端子が挿入されるスルーホールを有し、
前記第2接続端子は、前記導体パターンに導通接合されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動変速機の制御装置において、
前記リード端子と前記第1露出部との導通接合部は、前記リード端子と前記第1露出部とを重ね合わせてレーザ溶接することで形成されることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、
前記第1接続端子と前記第2露出部との導通接合部は、前記第1接続端子と前記第2露出部とを重ね合わせてレーザ溶接することで形成されることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第1ターミナルは、前記第1ハウジングの表面からの突出境界と、前記第1接続端子と前記第2露出部との導通接合部との間の部位が、少なくとも1箇所以上で屈曲した屈曲形状を有するように形成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第2ターミナルは、前記第2ハウジングの表面からの突出境界と、前記第1接続端子と前記第2露出部との導通接合部との間の部位が、少なくとも1箇所以上で屈曲した屈曲形状を有するように形成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第2ハウジングは、前記回路基板を収容する収容凹部、およびこの収容凹部の周囲を取り囲む有底筒状の壁体を有し、
前記収容凹部の内部に封止材を充填したことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第2接続端子は、前記導体パターンに半田付けで導通接合されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第1ハウジングは、絶縁性樹脂によって形成されており、前記リード端子と前記第1露出部との導通接合部を各々相互に隔離する隔壁を有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第2ハウジングは、絶縁性樹脂によって形成されており、前記第1接続端子と前記第2露出部との導通接合部を各々相互に隔離する隔壁を有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第1配線ユニットは、前記第1ターミナルに対して別途設けられて、前記リードフレームにそれぞれ導通接合される複数の第3ターミナル、およびこれらの第3ターミナルを成形して保持する第3ハウジングを有し、
前記第3ハウジングは、前記自動変速機の外部と電気的に接続する電気接続部として形成した外部コネクタ部を有し、
前記リードフレームは、前記モールド材の表面から突出して外部に露出した複数のリード端子を有し、
前記複数の第3ターミナルは、前記第3ハウジングの表面から露出した第3露出部、前記リード端子と前記第3露出部との導通接合部、および前記第3露出部側に対して反対側に、前記外部コネクタ部内に突出するコネクタ端子を有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の自動変速機の制御装置において、
前記リード端子と前記第3露出部との導通接合部、前記リード端子の表面および前記第3露出部の表面に絶縁材を施したことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の自動変速機の制御装置において、
前記第3ハウジングは、絶縁性樹脂によって形成されており、前記リード端子と前記第3露出部との導通接合部を各々相互に隔離する隔壁を有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記半導体素子とは、磁気検出素子のことであることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記締結部材は、前記放熱部材と前記第2配線ユニットとを締結する第1締結部材、および前記電子制御ユニットと前記第1配線ユニットとの接合体を、前記電子制御ユニットと前記放熱部材とが接触するように、前記放熱部材と前記第2配線ユニットとの接合体に締結する第2締結部材を有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第1接続端子と前記第2露出部との導通接合部、前記第1接続端子の表面および前記第2露出部の表面に絶縁材を施したことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第1ハウジングは、前記自動変速機の内部の電気部品と電気的に接続する電気接続部として形成した筒状のコネクタハウジングを有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項17】
請求項16に記載の自動変速機の制御装置において、
前記電気部品とは、電磁油圧制御弁または油温検出手段または油圧検出手段のことであることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項18】
請求項1ないし請求項17のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第2ハウジングは、前記自動変速機の内部の電気部品と電気的に接続する電気接続部として形成した筒状のコネクタハウジングを有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項19】
請求項18に記載の自動変速機の制御装置において、
前記電気部品とは、電磁油圧制御弁または油温検出手段または油圧検出手段のことであることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項20】
請求項1ないし請求項19のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第1ハウジングまたは前記第2ハウジングは、前記第1接続端子と前記第2露出部との導通接合部を収容する収容凹部、およびこの収容凹部の周囲を取り囲む有底筒状の壁体を有し、
前記壁体は、前記収容凹部の上面の開口部を塞ぐ蓋体を有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項21】
請求項20に記載の自動変速機の制御装置において、
前記蓋体は、絶縁性樹脂によって形成されており、前記第1接続端子と前記第2露出部との導通接合部を各々相互に隔離する隔壁を有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項22】
請求項20または請求項21に記載の自動変速機の制御装置において、
前記蓋体は、前記第1ハウジングの表面との間に隙間を隔てて対向する対向部を有し、 前記第1ハウジングの表面および前記対向部の表面に封止材を塗布したことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項23】
請求項22に記載の自動変速機の制御装置において、
前記対向部の表面には、前記封止材が塗布される封止材塗布面が形成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項24】
請求項22に記載の自動変速機の制御装置において、
前記対向部は、前記蓋体の外面から前記蓋体の外部側に向けて突出した突条部を有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項25】
請求項24に記載の自動変速機の制御装置において、
前記突条部は、前記蓋体の外面から前記蓋体の外部側に向けて突出するに従って、前記第1ハウジングとの隙間の開口断面積が小さくなる形状に形成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項26】
請求項24または請求項25に記載の自動変速機の制御装置において、
前記突条部の表面には、前記封止材が塗布される封止材塗布面が形成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項27】
請求項26に記載の自動変速機の制御装置において、
前記突条部は、前記封止材塗布面から前記蓋体の外部側に向けて離間するに従って前記第1ハウジング側に近接する形状に形成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項28】
請求項26または請求項27に記載の自動変速機の制御装置において、
前記突条部は、前記封止材塗布面から前記第1ハウジング側に向けて突出する突条リブを有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項29】
請求項22ないし請求項28のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記蓋体は、前記対向部の延長方向の両側に切欠き部を有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項30】
請求項29に記載の自動変速機の制御装置において、
前記切欠き部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの境界位置に設けられていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項31】
請求項1ないし請求項30のうちのいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
前記第1ハウジングは、前記第1接続端子と前記第2露出部との導通接合部よりも前記電子制御ユニット側に、前記第2ハウジングとの間に隙間を隔てて対向する第1対向部を有し、
前記第2ハウジングは、前記第1対向部との間に前記隙間を隔てて対向する第2対向部を有し、
前記第1対向部の表面および前記第2対向部の表面に封止材を塗布したことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項32】
請求項31に記載の自動変速機の制御装置において、
前記第1対向部または前記第2対向部は、前記第2対向部側または前記第1対向部側に向けて突出する凸部を有し、
前記第2対向部または前記第1対向部は、前記凸部との間に少なくとも1箇所以上で屈曲した屈曲形状の前記隙間を形成する凹部を有していることを特徴とする自動変速機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−2242(P2012−2242A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135086(P2010−135086)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】