説明

自動封緘装置

【課題】フラップ部の反発力が大きな封筒であっても自動的に封緘することができる自動封緘装置を提供する。
【解決手段】自動封緘装置は、搬送部3と、接着剤噴射部51と、折り返し部6と、押圧ローラ部7とを備える。搬送部3は、封筒100を搬送する。接着剤噴射部51は、搬送部3によって搬送されている封筒100のフラップ部102に向けてホットメルト接着剤を噴射する。折り返し部6は、封筒100の搬送方向において接着剤噴射部51より下流側に配置され、搬送部3によって搬送されている封筒100のフラップ部102を折り返す。押圧ローラ部7は、封筒100の搬送方向において折り返し部6より下流側に配置され、折り返し部6によって折り返されたフラップ部102を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動封緘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷物が入れられた封筒を自動的に封緘するための自動封緘装置が利用されている。例えば、特許文献1には、テープを用いて封緘を行う装置が開示されている。この装置では、クランパがテープを挟持した状態で移動することによりテープがロールから引き出される。そして、封筒にテープが貼り付けられた後に、テープ切断機構が移動してテープを切断する。その後、封筒のフラップ部を折り返すことにより、封筒の封緘が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-183555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、封筒の素材としては様々なものが利用されるようになっている。例えば、ダイレクトメールでは、開封率を高めるために受け取り手の目を引くような封筒を用いることが望まれている。このため、一般的な薄い紙製の封筒や薄いプラスチックフィルム製の封筒ではなく、厚紙製の封筒が用いられるようになっている。厚紙製の封筒であれば、表面に光沢があるものや発色に優れた素材などを用いることができ、受け取り手に強くアピールすることができるからである。
【0005】
しかし、従来の封緘装置では、薄い紙やプラスチックフィルム製の封筒に対しては有効であるとしても、厚紙製の封筒の封緘には適していない。厚紙製の封筒は、薄い紙製の封筒よりも、折り曲げたフラップ部の反発力が大きいため、フラップ部をきれいに封緘することが困難だからである。このため、厚紙製の封筒の封緘については、従来、手作業で行われることが一般的である。しかし、手作業では、人件費が高くなりコストが増大してしまう。
【0006】
本発明の課題は、フラップ部の反発力が大きな封筒であっても自動的に封緘することができる自動封緘装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る自動封緘装置は、搬送部と、接着剤噴射部と、折り返し部と、押圧ローラ部とを備える。搬送部は、封筒を搬送する。接着剤噴射部は、搬送部によって搬送されている封筒のフラップ部に向けてホットメルト接着剤を噴射する。折り返し部は、封筒の搬送方向において接着剤噴射部より下流側に配置され、搬送部によって搬送されている封筒のフラップ部を折り返す。押圧ローラ部は、封筒の搬送方向において折り返し部より下流側に配置され、折り返し部によって折り返されたフラップ部を押圧する。
【0008】
この自動封緘装置では、搬送部によって搬送されている封筒のフラップ部に向けて接着剤噴射部からホットメルト接着剤が噴射される。次に、封筒は、折り返し部に搬送され、折り返し部において、フラップ部が折り返される。そして、封筒は、押圧ローラ部に搬送され、押圧ローラ部によってフラップ部が押圧される。
【0009】
ホットメルト接着剤は接着力が高いため、フラップ部の反発力が大きくても、フラップ部を強固に接着することができる。また、接着剤噴射部から噴射されることによってフラップ部に貼付されるため、装置の構造を簡易なものにすることができる。さらに、押圧ローラ部によってフラップ部が押圧されるため、フラップ部に貼付されたホットメルト接着剤の貼付面積が広がり、これにより、フラップ部をより強固に接着することができる。
【0010】
第2発明に係る自動封緘装置は、第1発明の自動封緘装置であって、封筒検知部と、制御部とを備える。封筒検知部は、封筒の搬送方向において接着剤噴射部より上流側に配置され、搬送部によって搬送される封筒を検知する。制御部は、検封筒知部によって封筒が検知されてから所定時間経過後に、ホットメルト接着剤を噴射するように接着剤噴射部を制御する。
【0011】
この自動封緘装置では、封筒検知部によって封筒が検知されてからホットメルト接着剤が噴射されるまでの時間を適切に調整することにより、フラップ部にホットメルト接着剤を命中させることができる。このため、簡易な構成でフラップ部にホットメルト接着剤を貼付することができる。
【0012】
第3発明に係る自動封緘装置は、第1発明または第2発明の自動封緘装置であって、押圧ローラ部は、封筒のフラップ部を挟み込んで押圧する一対のローラを有し、駆動部をさらに備える。駆動部は、一対のローラの少なくとも一方を回転駆動する。
【0013】
この自動封緘装置では、駆動部によって一対のローラの少なくとも一方が回転駆動される。このため、ローラによるフラップ部への押圧力を強くしても、封筒を円滑に搬送することができる。一方、ホットメルト接着剤はフラップ部への貼付後に温度が低下すると直ちに固化し始めるが、ローラによって強くフラップ部を押圧することによって、フラップ部を強固に接着することができる。従って、この自動封緘装置では、フラップ部を押圧ローラによって強く押圧することによるフラップ部の強固な接着と、封筒の円滑な搬送とを両立させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、フラップ部の反発力が大きな封筒であっても自動的に封緘することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】自動封緘装置の外観側面図。
【図2】封緘前の封筒を示す図。
【図3】供給装置の概略構成を示す側面図。
【図4】供給装置の概略構成を示す上面図。
【図5】主搬送装置の概略構成を示す側面図。
【図6】主搬送装置の概略構成を示す上面図。
【図7】折り返し部の拡大図。
【図8】図7におけるA−A,B−B,C−C,D−D断面図。
【図9】押圧ローラ部の拡大図。
【図10】封筒の封緘手順および封筒の状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る自動封緘装置1について説明する。図1は自動封緘装置1の外観側面図である。この自動封緘装置1によって封緘される封筒の一例を図2に示す。図2(a)は、封緘前の封筒であり、図2(b)は封緘後の封筒である。この封筒100は、厚紙から形成されており、例えば、四六判(788×1091mm)で135kg以上の厚紙が用いられる。図2(a)に示すように、封筒100は、袋状の本体部101と、フラップ部102とを有しており、フラップ部102のうち本体部101との接続部分には、ミシン目103,104が刻まれている。図2(b)に示すように、封緘後の封筒100は、ミシン目103,104の間の帯状の部分をめくることによって容易に開封することができる。なお、図2(b)において符号105は、フラップ部102の裏面において後述するホットメルト接着剤が塗布された部分を示している。
【0017】
図1に示すように、自動封緘装置1は、本体フレーム2と、搬送部3と、封筒検知部4と、接着剤噴射装置5と、折り返し部6と、押圧ローラ部7と、コントローラ8とを備える。この自動封緘装置1では、搬送部3によって搬送されている封筒100が封筒検知部4によって検知されると、封筒100が接着剤噴射装置5を通過する際に、接着剤噴射装置5の接着剤噴射部51から封筒100のフラップ部102へ向けてホットメルト接着剤が噴射される。次に、封筒100は折り返し部6を通過し、その際に、封筒100のフラップ部102が折り返される。そして、封筒100が押圧ローラ部7を通過することによって、折り返されたフラップ部102が押圧される。これにより、フラップ部102が接着され、封筒100が封緘される。図1において、矢印A1は封筒100の搬送経路を模式的に示している。以下、自動封緘装置1の構造について詳細に説明する。なお、図面では、理解を容易にするために、封筒100が通過する隙間や封筒のサイズなどの構成の一部を他の部分とは異なる縮尺で強調して示すことがある。
【0018】
本体フレーム2は、搬送部3、接着剤噴射装置5の接着剤噴射部51、折り返し部6、押圧ローラ部7などを支持している。
【0019】
搬送部3は、封筒100を搬送するためのものであって、供給装置9と、主搬送装置10とを有する。
【0020】
供給装置9は、フラップ部102が閉じられていない状態の封筒100を主搬送装置10まで搬送して供給する装置である。供給装置9は、例えば、封筒100内に印刷物などの内容物を自動的に挿入する封入装置の下流側に配置され、封入装置から封筒100の供給を受ける。供給装置9は、図3及び図4に示すように、テーブル12と、複数の供給ローラ13と、押さえ部14,15と、供給ベルト16を有する。
【0021】
テーブル12は、供給ローラ13、押さえ部14,15、供給ベルト16を支持している。テーブル12は、上述した本体フレーム2に支持されており、本体フレーム2に設けられたハンドル17(図1参照)を回転させることにより、本体フレーム2や搬送部3に対して、水平且つ封筒100の搬送方向に垂直な方向(以下、「幅方向」と呼ぶ)に移動する。
【0022】
複数の供給ローラ13は、封筒100の搬送方向に並んで配置されており、テーブル12に回転可能に支持されている。なお、図3,4では、1つの供給ローラ13にのみ符号13を付して、他の供給ローラの符号は省略している。供給ローラ13の一部は、図示しない駆動モータからの駆動力によって回転駆動される。他の供給ローラ13は、供給ローラ13上の封筒100の移動に伴って、従動回転する。以下の説明において、幅方向のうち図4の下側に相当する方向を「先端側」と呼び、その反対側すなわち図4の上側に相当する方向を「基端側」と呼ぶものとする。供給ローラ13上の封筒100は、本体部101が基端側、フラップ部102が先端側に位置する姿勢で搬送される。
【0023】
押さえ部14,15は、封筒100の搬送方向に沿って延びる板状の部材であり、供給ローラ13の基端側端部の上方に僅かな隙間を隔てて配置されている。供給ローラ13上を移動する封筒100は、供給ローラ13の基端側端部と押さえ部14,15との間を通過する。この際、封筒100の基端側端部の跳ね上がりが、押さえ部14,15によって抑えられる。
【0024】
供給ベルト16は、供給ローラ13の基端側の側方に配置されている。供給ベルト16は、供給ローラ13と共通の駆動モータによって循環駆動される(図3および図4の矢印A7参照)。供給ローラ13上を移動する封筒100の基端側端部は、供給ベルト16に当接するように配置され、供給ベルト16が駆動されることにより封筒100が移動する。なお、封筒100が供給ベルト16に当接した状態では、封筒100のフラップ部102(又は本体部101の一部)がテーブル12の上面の先端側端部17から幅方向先端側に突出した状態となり、封筒100はこの状態のまま供給装置9上を移動する(図4の二点鎖線で示す封筒100参照)。
【0025】
図1に示す主搬送装置10は供給装置9から接着剤噴射部51、折り返し部6、押圧ローラ部7を通って、本体フレーム2の排出口18から排出されるように、封筒100を搬送する。主搬送装置10は、図5および図6に示すように、第1搬送機構21と、第2搬送機構22と、駆動モータ23(図1参照)とを有する。なお、図5は、主搬送装置10の概略構成を示す側面図である。図6は、第1搬送機構21の概略構成と、接着剤噴射部51、折り返し部6、押圧ローラ部7との位置関係を示す上面図である。
【0026】
図5に示すように、第1搬送機構21は、第1駆動プーリ24と、第2駆動プーリ25と、複数の従動プーリ26〜29と、第1搬送ベルト30と、複数の搬送ローラ31とを有する。第1駆動プーリ24と第2駆動プーリ25とは、搬送方向に互いに距離を隔てて配置されている。第1駆動プーリ24と第2駆動プーリ25とは、共通の駆動モータ23によって回転駆動される。従動プーリ26〜29は、搬送方向において第1駆動プーリ24と第2駆動プーリ25との間に配置され、本体フレーム2に対して回転可能に設けられている。従動プーリ26〜29は、第1搬送ベルト30の循環駆動に伴って、従動回転する。第1搬送ベルト30は、第1駆動プーリ24、従動プーリ26〜29、第2駆動プーリ25、および、搬送ローラ31に掛け渡されている。第1搬送ベルト30は、第1駆動プーリ24および第2駆動プーリ25が駆動モータ23によって回転駆動されることにより、循環駆動される(図5の矢印A2参照)。搬送ローラ31は、搬送方向に沿って概ね直線上に並んで配置されており、第1搬送ベルト30に上方から接触するように配置されている。搬送ローラ31は、本体フレーム2に対して回転可能に設けられており、第1搬送ベルト30が循環駆動されることにより、従動回転する。また、搬送ローラ31は、上下方向に揺動可能に配置されており、第1搬送ベルト30を軽く下方に押圧しながら、第1搬送ベルト30の下方を通過する封筒100の形状に合わせて上下に揺動することができる。なお、図5においては、1つの搬送ローラ31にのみ符号を付して、他の搬送ローラの符号は省略している。また、図6に示すように、上述した第1駆動プーリ24と、第2駆動プーリ25と、複数の従動プーリ26〜29とは、幅方向に距離を隔てて対になって設けられており、それぞれシャフト32〜37によって連結されている。また、第1搬送ベルト30も同様に対になって設けられており、幅方向に互いに距離を隔てて配置されている。図6では図示されていないが、複数の搬送ローラ31も同様に幅方向に対になって設けられており、互いにシャフトによって連結されている。
【0027】
第2搬送機構22は、第3駆動プーリ37と、第4駆動プーリ38と、レール部39と、複数の従動プーリ41,42と、第2搬送ベルト40を有する。第3駆動プーリ37と第4駆動プーリ38とは、搬送方向に互いに距離を隔てて配置されている。第3駆動プーリ37と第4駆動プーリ38とは、第1駆動プーリ24および第2プーリ25と共通の駆動モータ23によって回転駆動される。レール部39は、第3駆動プーリ37と第4駆動プーリ38との間に配置されており、搬送方向に沿って設けられている。レール部39は、第2搬送ベルト40を下方から支持する。従動プーリ41,42は、本体フレーム2に対して回転可能に設けられており、第2搬送ベルト40の循環駆動に伴って従動回転する。第2搬送ベルト40は、第3駆動プーリ37と第4駆動プーリ38と従動プーリ41,42とに掛け渡されている。第2搬送ベルト40は、上述した第1搬送ベルト30の下方に位置しており、レール部39と第1搬送ベルト30との間を通る。第2搬送ベルト40は、第3駆動プーリ37および第4駆動プーリ38が回転駆動されることにより、循環駆動される(図5の矢印A3参照)。第1搬送機構21と同様に、第3駆動プーリ37と、第4駆動プーリ38と、レール部39と、第2搬送ベルト40とは、幅方向に距離を隔てて対に設けられており(図示せず)、一対の第2搬送ベルト40は、上述した一対の第1搬送ベルト30の下方に配置されている。そして、第1搬送ベルト30の下面部と、第2搬送ベルト40の上面部とは微小な隙間を隔てて対向して配置されており、この隙間を封筒100が通る。封筒100は、一対の第1搬送ベルト30と一対の第2搬送ベルト40との間に挟まれて、搬送方向に移動する。
【0028】
図1及び図4に示す封筒検知部4は、封筒100の搬送方向において接着剤噴射部51より上流側に配置され、搬送部3によって搬送される封筒100を検知する。具体的には、封筒検知部4は、供給装置9のテーブル12の幅方向先端側の側方に配置されている。封筒検知部4は、例えば光学センサであり、封筒検知部4の上方を封筒100が横切ることにより検知信号を出力する。封筒検知部4からの検知信号は、後述する接着剤噴射装置5の制御部52に送られる。
【0029】
図1に示す接着剤噴射装置5は、搬送部3によって搬送されている封筒100のフラップ部102に向けてホットメルト接着剤を噴射する装置である。接着剤噴射装置5は、アプリケータ50と、ホース53と、接着剤噴射部51とを有する。アプリケータ50は、ホットメルト接着剤を溶解して蓄えると共に、所要量のホットメルト接着剤をホース53に送り出す装置である。図10に示すように、アプリケータ50は、固体のホットメルト接着剤を加熱して溶かすヒータ54と、ホットメルト接着剤を貯留するタンク55と、タンク55内のホットメルト接着剤をホース53へと吐出するポンプ56とを有する。また、アプリケータ50には、ポンプ56を制御することにより、ホットメルト接着剤の噴射のタイミング、噴射速度、噴射時間などを制御する制御部52が内蔵されている。制御部52は、封筒検知部4によって封筒100が検知されてから所定時間経過後にホットメルト接着剤の噴射を開始し、所定の噴射速度で所定の噴射時間の間、噴射するように接着剤噴射装置5を制御する。上記の所定時間は、封筒検知部4から接着剤噴射装置5までの搬送経路長L1と、封筒100の搬送速度Vfから、フラップ部102にホットメルト接着剤が命中するように適切な値が予め算出されて制御部52に設定されている。また、上記の所定の噴射速度および噴射時間は、フラップ部102に貼付されるホットメルト接着剤の幅および長さが所望の寸法となるように、予め適切な値が求められて制御部52に設定されている。
【0030】
ホース53は、アプリケータ50に接続されており、アプリケータ50から吐出されたホットメルト接着剤を接着剤噴射部51に送る。
【0031】
接着剤噴射部51は、ホース53の先端に接続されており、接着剤を噴射するノズルを有している。接着剤噴射部51は、搬送方向において主搬送装置10の入口付近に配置されている。具体的には、上述した主搬送装置10の第4駆動プーリ38の幅方向先端側の側方に配置されている。接着剤噴射部51は、噴射方向を上向きにして配置されており、接着剤噴射部51の上方を封筒100のフラップ部102が通過するように配置されている。従って、接着剤噴射装置5は、封筒100のフラップ部102の下方からフラップ部102へ向けてホットメルト接着剤を噴射する。
【0032】
折り返し部6は、封筒100の搬送方向において接着剤噴射部51より下流側に配置され、搬送部3によって搬送されている封筒100のフラップ部102を折り返す部材である。折り返し部6は、上述した第1搬送ローラ30と第2搬送ローラ40との間の隙間の幅方向先端側の側方に配置されている。折り返し部6の拡大図を図7に示す。また、図7におけるA−A断面、B−B断面、C−C断面、D−D断面を図8に示す。折り返し部6は、第1ガイド部材61と、第1当接部材62と、第2ガイド部材63と、第2当接部材64とを有する。
【0033】
第1ガイド部材61は、搬送方向に沿って配置された平坦な部材である。第1ガイド部材61は、封筒100の本体部101を下方から支持する。なお、封筒100の搬送位置は、第1ガイド部材61の幅方向先端側端部が、封筒100の本体部101とフラップ部102との境界線上に位置するように事前に調整され、第1ガイド部材61の幅方向先端側端部から幅方向先端側へフラップ部102が突出した状態で封筒100が搬送される。
【0034】
第1当接部材62は、上下方向に延びる板状の部材であり、第1ガイド部材61に対して、幅方向先端側に封筒100のフラップ部102が通過可能な微小な隙間を隔てて配置されている。第1当接部材62の搬送方向上流側の端面65は、搬送方向下流側ほど下方に位置するように傾斜した形状となっており、第1ガイド部材61よりも上方の位置から下方の位置まで渡って配置されている。図8(a)に示すように、封筒100は、第1当接部材62の端面65に当接することにより下方に折り曲げられる。そして、封筒100がさらに搬送方向に進むことにより、フラップ部102がさらに折り曲げられ、第1当接部材62を通過した際には、フラップ部102が本体部101に対して概ね90度に折り曲げられた状態となる。
【0035】
第2ガイド部材63は、90度の角度で繋がった第1板部63aと第2板部63bとを有する。図8(b)に示すように、第1板部63aは、上下方向に沿って設けられており、第1ガイド部材61に対して、幅方向先端側に、フラップ部102が通過可能な微小な隙間を隔てて配置されている。第2板部63bは、水平方向に沿って配置されており、第1ガイド部材61に対して上方に、封筒100の本体部101が通過可能な微小な隙間を隔てて配置されている。封筒100は、第2ガイド部材63と第1ガイド部材61との間を通ることにより、フラップ部102が約90度に折り曲げられた状態で搬送される。
【0036】
第2当接部材64は、第1板部63aの搬送方向下流側部分に取り付けられており、第3板部64aを有する。第3板部64aは、搬送方向下流側ほど上方に位置するように傾斜して配置された板状の部分であり、第1ガイド部材61の下方に配置されている。図8(c)に示すように、封筒100のフラップ部102は、第3板部64aに当接することにより、幅方向基端側へ向けて折り返される。また、第3板部64aは、上記のように傾斜して配置されているため、図8(d)に示すように、下流側ほど第3板部64aと第1ガイド部材61との間隔は小さくなる。このため、封筒100のフラップ部102は、第3板部64aに当接した状態でさらに下流側に搬送されることにより、封筒100の本体部101に近接するように折り返される。
【0037】
以上のように、封筒100は、第1当接部材62と第2当接部材64とに当接しながら折り返し部6を通過することにより、フラップ部102が本体部101側に近接するように折り返される、
押圧ローラ部7は、封筒100の搬送方向において折り返し部6より下流側に配置されており、折り返し部6によって折り返されたフラップ部102を押圧する。押圧ローラ部7の拡大図を図9に示す。押圧ローラ部7は、封筒100のフラップ部102を挟み込んで押圧する一対のローラ71,72を有する。一対のローラ71,72は、上述した第1搬送ベルト30および第2搬送ベルト40の間の隙間の幅方向先端側の側方に配置されており、封筒100のフラップ部102が一対のローラ71,72の間を通過するように配置されている。
【0038】
一対のローラ71,72のうち上側に配置された第1ローラ71は、本体フレーム2に対して回転可能に設けられている。第1ローラ71は、駆動プーリ75と駆動ベルト76によって連結されている。駆動プーリ75は、上述した第1駆動プーリ24と連結されたシャフト32(図6参照)に連結されており、第1駆動プーリ24と共通の駆動モータ23によって回転駆動される。第1ローラ71は、ローラ支持部材73によって支持されている。ローラ支持部材73は、支点73aを中心に回動可能に本体フレーム2に取り付けられている。ローラ支持部材73の一端は、ローラ支持部材73が支点73aを中心に回動することにより(図9の矢印A4参照)、上下に揺動可能となっており、第1ローラ71を回転可能に支持している。このため、第1ローラ71は、上下に揺動可能に設けられている(図9の矢印A5,A6参照)。ローラ支持部材73の他端は、コイルスプリングなどの弾性部材74を介して本体フレーム2に連結されている。この弾性部材74の弾性力により、第1ローラ71は下方へ向けて付勢されている。
【0039】
一対のローラ71,72のうち下側に配置された第2ローラ72は、第1ローラ71に当接するように配置されている。第2ローラ72は、本体フレーム2に対して回転可能に設けられている。第2ローラ72は、駆動プーリ77と駆動ベルト78によって連結されている。駆動プーリ77は、上述した第3駆動プーリ37と連結されたシャフト(図示せず)に連結されており、上述した第3駆動プーリ37と共通の駆動モータ23によって回転駆動される。ただし、第1ローラ71とは異なり、第2ローラ72は上下方向に移動不能に設けられている。従って、第2ローラ72は、第1ローラ71によって下方に押し付けられるフラップ部102を下方から支持する。
【0040】
なお、接着剤噴射部51、折り返し部6、押圧ローラ部7と、フラップ部102との幅方向の位置合わせは、上述したテーブル12の位置を調整することにより行われる。
【0041】
コントローラ8は、駆動モータ23の回転速度を調整することにより、封筒100の搬送速度を調整することができる。この自動封緘装置1のオペレータは、コントローラ8を操作することにより、封筒100の搬送速度を任意に設定することができる。コントローラ8は、設定された一定の搬送速度で封筒100が搬送されるように、駆動モータ23を制御する。
【0042】
次に、図10に基づいて、自動封緘装置1による封緘工程の手順について説明する。図10は、自動封緘装置1による封緘工程の手順と、各工程での封筒100の状態を模式的に示している。
【0043】
まず、封筒100が搬送部3によって搬送され、封筒検知部4の上方を通過すると、封筒検知部4から接着剤噴射装置5の制御部52へ検知信号が送られる。このとき、封筒100は、図10(a)に示すようにフラップ部102が開いた状態である。
【0044】
制御部52は、検知信号の受信後、所定時間後に接着剤噴射部51からホットメルト接着剤を噴射する。これにより、図10(b)に示すように、細い線状のホットメルト接着剤105がフラップ部102に付着する。ここでの所定時間は、ホットメルト接着剤が封筒100のフラップ部102に命中するように、封筒検知部4と接着剤噴射部51との間の搬送距離L1と搬送速度Vfとから予め算出されて設定されている。ホットメルト接着剤は、接着剤噴射部51から噴射された瞬間は液状であるが、フラップ部102に付着して温度が低下することにより直ちに固化し始める。
【0045】
次に、封筒100は、折り返し部6に送られ、停止することなく折り返し部6を通過する。このとき、図10(c)に示すように、封筒100が折り返し部6を通過することにより、フラップ部102が、本体側へ向けて180度折り返された状態となる。
【0046】
次に、封筒100は押圧ローラ部7に送られる。ここでは、封筒100のフラップ部102と本体部101とが第1ローラ71と第2ローラ72との間を通過することにより押圧される。これにより、フラップ部102に付着したホットメルト接着剤105は、押圧前の細い線状の状態から、図10(d)に示すような幅の広い帯状の状態に延ばされる。例えば、幅が数ミリ程度の線状から幅が10ミリ以上の帯状に広げられる。これにより、接着面積が拡大して、より強固にフラップ部102が接着される。また、上述したように、第1ローラ71と第2ローラ72とは駆動モータ23によって駆動されている。このため、第1ローラ71と第2ローラ72とを強く押圧させても、封筒100を円滑に搬送させることができる。また、第1ローラ71は搬送部3と共通の駆動モータ23によって駆動されているため、搬送部3による封筒100の搬送と、押圧ローラ部7によるフラップ部102の送りとを容易に同期させることができる。
【0047】
押圧ローラ部7を通過した封筒100は、フラップ部102が接着されて封緘された状態となり、排出口18(図1参照)から排出される。なお、自動封緘装置1の下流側には、封筒100の検査装置や、封筒100を集めてパッケージするパッケージ装置などが配置されてもよい。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る自動封緘装置1では、ホットメルト接着剤を用いてフラップ部102が接着される。ホットメルト接着剤は接着力が高いため、フラップ部102の反発力が大きくても、フラップ部102を強固に接着することができる。このため、厚紙などの反発力の大きな素材からなる封筒100であっても、きれいに封緘することができ、封緘を自動化することができる。
【0049】
なお、この自動封緘装置1では、紙以外の他の素材で形成された封筒の封緘も可能である。例えば、クリアファイルなどに用いられる厚さ0.1mm以上のポリプロピレンシートからなる封筒などもフラップ部の反発力が大きいが、このような封筒であっても自動的に封緘することができる。また、上記ではミシン目が設けられた封筒が封緘されているが、ミシン目が無い封筒の封緘も可能である。
【0050】
また、上記のように封筒100が停止することなく接着剤噴射部51、折り返し部6、押圧ローラ部7を通過することにより、接着剤の塗布、フラップ部102の折り返し、フラップ部102の押圧の各工程を行うことができる。このため、封緘作業の高速化が可能であり、それにより生産性を向上させることができる。また、ホットメルト接着剤はフラップ部102への付着後に直ちに固化し始めるという性質を有しているため、封緘作業の高速化により効果的である。
【0051】
以上、本発明の一実施形態に係る自動封緘装置について説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、フラップ部の反発力が大きな封筒であっても自動的に封緘することができる効果を有し、自動封緘装置として有用である。
【符号の説明】
【0053】
3 搬送部
4 封筒検知部
6 折り返し部
7 押圧ローラ部
51 接着剤噴射部
52 制御部
62 第1当接部材(当接部)
64 第2当接部材(当接部)
71 第1ローラ
72 第2ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されている封筒のフラップ部に向けてホットメルト接着剤を噴射する接着剤噴射部と、
封筒の搬送方向において前記接着剤噴射部より下流側に配置され、前記搬送部によって搬送されている封筒のフラップ部を折り返す折り返し部と、
封筒の搬送方向において前記折り返し部より下流側に配置され、前記折り返し部によって折り返されたフラップ部を押圧する押圧ローラ部と、
を備える自動封緘装置。
【請求項2】
封筒の搬送方向において前記接着剤噴射部より上流側に配置され、前記搬送部によって搬送される封筒を検知する封筒検知部と、
前記封筒検知部によって封筒が検知されてから所定時間経過後に、前記ホットメルト接着剤を噴射するように前記接着剤噴射部を制御する制御部と、
をさらに備える、
請求項1に記載の自動封緘装置。
【請求項3】
前記押圧ローラ部は、封筒のフラップ部を挟み込んで押圧する一対のローラを有し、
一対の前記ローラの少なくとも一方を回転駆動する駆動部をさらに備える、
請求項1または2に記載の自動封緘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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