説明

自動排尿便処理装置

【課題】排尿便及び洗浄水を排尿便処理体内及びホース内に蓄積することなく素早く排泄物収容部に収容できる自動排尿便処理装置を提供。
【解決手段】寝具用ベッドの中央に装着孔を穿設すると共に装着孔から寝具ベッドの端部までパイプ通路を形成し、装着孔に装着した排尿便処理体51とパイプ通路に嵌着した排出パイプ103とを連通し、排尿便処理体により排尿便を排出パイプを介して寝具ベッド外に搬送可能に構成した自動排尿便処理装置において、排尿便処理体の内部から排出パイプ終端に至る排尿便通路の一部に屈曲部を形成して排尿便の搬送時に渦流を発生させるべく構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝たきりの患者や老人等が寝たままで他人の介助無しに排尿便を処理できる自動排尿便処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寝たきりの患者や老人等が寝たままで他人の介助無しに排尿便をしてその処理をも行えるようにするオムツや装置は種々考案されている。例えば、特許文献1には側面視略L字状の排尿便処理体に大便検知センサーと共に各種ノズルを備えた技術が開示されている。
【0003】
この技術は、排尿便する場合は、まず患者等が排尿便処理体の立ち上がり部を人体股間で挟圧しながら腰臀部を排尿便処理体上に載置するものであり、用便後は近接センサーから成る大便検知センサーで大便を感知して自動的に各種ノズルから洗浄水を噴出して局所を洗浄し、また排尿便処理体内も洗浄するものであり、大便は汚物吸入ホースから外部に排出し、このように自動的に寝たきりの患者の排便処理が行えるようにしたものである。
【0004】
その他に本願発明者により、寝たきりの患者に装着して排尿便処理が行える自動排便処理装置が開発されており、この自動排便処理装置では、排尿便処理体1051内に排泄された排尿便及び洗浄水をホース1073を介して吸引して排泄物収容部に収容するようになっていた(図30参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−322868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した自動排便処理装置では、排尿便処理体1051内の排尿便及び洗浄水Zをホース1073を介して排泄物収容部に吸引する際に、図31に示すように、(1)排尿便処理体1051内の排出通路1081の排出口1102a近傍において押し流された排尿便及び洗浄水Zが排出通路1081の下方領域にしか貯留されないために排出口1102aに向って排出通路1081の上方領域に大量の空気Yが流入してしまい真空状態を形成できず、前記排尿便及び洗浄水Zを円滑に吸引できない虞があった。
【0007】
また、(2)排尿便処理体1051に連通連結されたホース1073内において、排尿便処理体1051から排出された排尿便及び洗浄水Zがホース1073内の空間の下方領域にしか貯留されていないためにホース1073の管断面における上方領域を大量の空気Yが流入してしまい真空状態を形成できず、前記排尿便及び洗浄水Zをホース1073の始端から終端まで円滑に吸引できない虞があった。
【0008】
結果的に排尿便処理体1051の排出通路1081或はホース1073内壁に排尿便及び洗浄水が付着蓄積して臭気を生起してしまう虞があった。
【0009】
本発明は、排尿便及び洗浄水を排尿便処理体内及びホース内に蓄積させることなく素早く排泄物収容部に収容できる自動排尿便処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、寝具用ベッドの中央に装着孔を穿設すると共に装着孔から寝具ベッドの端部までパイプ通路を形成し、装着孔に装着した排尿便処理体とパイプ通路に嵌着した排出パイプとを連通し、排尿便処理体により排尿便を排出パイプを介して寝具ベッド外に搬送可能に構成した自動排尿便処理装置において、排尿便処理体の内部から排出パイプ終端に至る排尿便通路の一部に屈曲部を形成して排尿便の搬送時に渦流を発生させるべく構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動排尿便処理装置において、屈曲部は排尿便処理体における処理部本体の排尿便受け部に形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の自動排尿便処理装置において、屈曲部は排出パイプの中途に形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の自動排尿便処理装置において、屈曲部は排出パイプの始端近傍に形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の自動排尿便処理装置において、屈曲部は排出パイプの終端近傍に形成したことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の自動排尿便処理装置において、屈曲部は排尿便通路を上方へ屈曲させたことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の自動排尿便処理装置において、屈曲部は排尿便通路を下方へ屈曲させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、自動排尿便処理装置の内部から排出パイプ終端に至る排尿便通路の一部に屈曲部を形成すると、排尿便処理体内に排出された排尿便及び洗浄水を排出パイプを介して寝具ベッド外に搬送する際に、排尿便通路の屈曲部において排尿便及び洗浄水が堰き止められることにより排尿便通路の空間が密閉或は狭められ、この状態で吸引がなされると堰き止められた箇所より下手側の排尿便通路内は負圧状態となり、同排尿便通路の屈曲部を排尿便及び洗浄水が流れる際に、排尿便通路の管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水には、屈曲部の曲率により遠心力が生起され屈曲部の下部から上部(或は上部から下部)に向う第1流れが発生し、また、排尿便通路の屈曲部における上部と下部では圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、屈曲部の上部から下部(或は下部から上部)に第2流れが発生し、これら第1流れと第2流れによる渦流が発生することとなる。渦流をともなった排尿便及び洗浄水が排尿便通路外に素早く排出されることが可能となる。そして、排尿便通路において排尿便及び洗浄水が付着して蓄積することがなくなり、排尿便通路から発生する臭気を防止でき、常に清潔に使用することが可能となる効果がある。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、排尿便処理体における処理部本体の排尿便受け部に屈曲部を形成したので、排尿便及び洗浄水が排尿便処理体内に排出されると、屈曲部において排尿便及び洗浄水を堰き止められることにより排尿便受け部の空間が密閉或は狭められ、この状態で吸引がなされると屈曲部より下手側の排尿便受け部内は負圧状態となり排尿便及び洗浄水が排尿便処理体外に素早く搬送される。さらに、同排尿便受け部の屈曲部を排尿便及び洗浄水が流れる際に、排尿便受け部の管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水には、屈曲部の曲率により遠心力が生起され屈曲部の下部から上部(或は上部から下部)に向う第1流れが発生し、また、排尿便受け部における屈曲部の上部と下部では圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、屈曲部の上部から下部(或は下部から上部)に第2流れが発生し、これら第1流れと第2流れによる渦流が発生することとなる。渦流をともなった排尿便及び洗浄水が排尿便通処理体外に素早く排出されることが可能となる。このとき、排尿便及び洗浄水が強力な吸引作用で吸い出されるために排尿便処理体内に排尿便及び洗浄水が付着して蓄積することがなくなる効果がある。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、排出パイプの中途に屈曲部を形成したので、中容量の排尿便及び洗浄水が屈曲部において堰き止められことにより排出パイプの管断面の空間が密閉或は狭められ、この状態で吸引がなされると屈曲部より下手側の排出パイプ内は負圧状態となり排尿便及び洗浄水が排出パイプの終端側に向って素早く搬送される。さらに、同排出パイプの屈曲部を排尿便及び洗浄水が流れる際に、排出パイプの管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水には、屈曲部の曲率により遠心力が生起され屈曲部の下部から上部(或は上部から下部)に向う第1流れが発生し、また、排出パイプにおける屈曲部の上部と下部では圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、屈曲部の上部から下部(或は下部から上部)に第2流れが発生し、これら第1流れと第2流れによる渦流が発生することとなる。渦流をともなった排尿便及び洗浄水が排出パイプ外に素早く排出されることが可能となる。このとき、排尿便及び洗浄水を強力な吸引作用で吸い出すために排出パイプ内に排尿便及び洗浄水が付着して蓄積することがなくなる効果がある。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、排出パイプの始端近傍に屈曲部を形成したので、小容量の排尿便及び洗浄水が屈曲部において堰き止められことにより排出パイプの管断面の空間が密閉或は狭められ、この状態で吸引がなされると屈曲部より下手側の排出パイプ内は負圧状態となり排尿便及び洗浄水が排出パイプの終端側に向って素早く搬送される。さらに、同排出パイプの屈曲部を排尿便及び洗浄水が流れる際に、排出パイプの管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水には、屈曲部の曲率により遠心力が生起され屈曲部の下部から上部(或は上部から下部)に向う第1流れが発生し、また、排出パイプにおける屈曲部の上部と下部では圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、屈曲部の上部から下部(或は下部から上部)に第2流れが発生し、これら第1流れと第2流れによる渦流が発生することとなる。渦流をともなった排尿便及び洗浄水が排出パイプ外に素早く排出されることが可能となる。このとき、小容量の排尿便及び洗浄水を強力な吸引作用で吸い出すために排出パイプ内に排尿便及び洗浄水が付着して蓄積することがなくなる効果がある。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、排出パイプの終端近傍に屈曲部を形成したので、大容量の排尿便及び洗浄水が屈曲部において堰き止められことにより排出パイプの管断面の空間が密閉或は狭められ、この状態で吸引がなされると屈曲部より下手側の排出パイプ内は負圧状態となり排尿便及び洗浄水が排出パイプの終端の外方に向って素早く搬送される。さらに、同排出パイプの屈曲部を排尿便及び洗浄水が流れる際に、排出パイプの管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水には、屈曲部の曲率により遠心力が生起され屈曲部の下部から上部(或は上部から下部)に向う第1流れが発生し、また、排出パイプにおける屈曲部の上部と下部では圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、屈曲部の上部から下部(或は下部から上部)に第2流れが発生し、これら第1流れと第2流れによる渦流が発生することとなる。渦流をともなった排尿便及び洗浄水が排出パイプ外に素早く排出されることが可能となる。このとき、大容量の排尿便及び洗浄水を強力な吸引作用で吸い出すために排出パイプ内に排尿便及び洗浄水が付着して蓄積することがなくなる効果がある。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、屈曲部は排尿便通路を上方へ屈曲させたので、排出パイプに形成した屈曲部の山部により排尿便及び洗浄水が堰き止められることにより排尿便通路の空間が密閉或は狭められ、この状態で吸引がなされると屈曲部より下手側の排尿便通路内は負圧状態となり排尿便及び洗浄水が排出パイプの終端側に向って素早く搬送される。さらに、同排出パイプの屈曲部を排尿便及び洗浄水が流れる際に、排尿便通路の管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水には、屈曲部の曲率により遠心力が生起され屈曲部の下部から上部に向う第1流れが発生し、また、排尿便通路における屈曲部の上部と下部では圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、屈曲部の上部から下部に第2流れが発生し、これら第1流れと第2流れによる渦流が発生することとなる。渦流をともなった排尿便及び洗浄水が排尿便通路外に素早く排出されることが可能となる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、屈曲部は排尿便通路を下方へ屈曲させたので、排出パイプに形成した屈曲部の谷部に排尿便及び洗浄水が貯留されることにより排尿便通路の空間が密閉或は狭められ、この状態で吸引がなされると屈曲部より下手側の排尿便通路内は負圧状態となり排尿便及び洗浄水が排出パイプの終端側に向って素早く搬送される。さらに、同排出パイプの屈曲部を排尿便及び洗浄水が流れる際に、排尿便通路の管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水には、屈曲部の曲率により遠心力が生起され屈曲部の上部から下部に向う第1流れが発生し、また、排尿便通路における屈曲部の上部と下部では圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、屈曲部の下部から上部に第2流れが発生し、これら第1流れと第2流れによる渦流が発生することとなる。渦流をともなった排尿便及び洗浄水が排尿便通路外に素早く排出されることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0025】
図1に示すように、Kは、本発明の実施例である自動排尿便処理装置を示すものであり、この自動排尿便処理装置Kの概要は次のように構成されている。
【0026】
すなわち、先ず患者が仰臥できるだけの面積を有したウレタン製の寝具ベッド11を用い中央に装着孔12を形成し、装着孔12の一側は、寝具ベッド11に形成したパイプ通路13と連通させている。
【0027】
装着孔12は、略矩形状に形成し、この装着孔12の周辺には、中央に装着孔12に対応した孔22を有したおしめ21を敷く。その際に、その孔22と装着孔12とを対応させて、おしめ21の下手側に延設した折返し被覆部23と上手側に延設した腰周り部24とが装着孔12の外周からはみ出した状態とする。
【0028】
装着孔12(図1参照)には、図2に示すように、矩形状の台座310を嵌着しており、台座310の上表面は凹状半円弧とした揺動受面311を形成しており、揺動受面311の先端縁部には後述する支持枠体31の揺動範囲を規制するための調整ストッパー手段312が設けられている。
【0029】
また、図2及び図3に示すように、台座310上には、以下に述べる略矩形状の支持枠体31を揺動自在に載置している。すなわち、支持枠体31の外底面38aは、凸状半円弧とした揺動底部38(図3参照)を形成し、支持枠体31には、ウレタン製の略U字型の尻載せパッド41(図1参照)を載置し、尻載せパッド41の中央のU字状切欠空間42には、略L字形状の排尿便処理体51の横部材52(図7参照)を遊嵌する。従って、支持枠体31上に尻載せパッド41及び略L字形状の排尿便処理体51を装着した状態では略L字形状の排尿便処理体51の縦部材53(図7参照)は尻載せパッド41上面より上方に突出した状態となる。
【0030】
患者が本発明の自動排尿便処理装置Kを使用する際には、寝具ベッド11に仰臥し尻部を尻載せパッド41上に載置し、図9に示すように、排尿便処理体51の略L字状の縦部材53を股間に挟んで略L字状の横部材52の舟型内部に排尿、排便を行い、横部材52の頭部に設けた射水ノズル105からの排水により、尿便を排尿便処理体51外に排出し、排尿便処理体51の縦部材53に設けた洗浄ノズル203、ビデノズル202から洗浄水により尻部や局部を洗浄し、また、排尿便処理体51の横部材52に設けた尻ノズル104から洗浄水により尻部を洗浄し、その後、乾燥ノズル204、送気ノズル205からの送風により尻部や局部を乾燥するものである。
【0031】
次に、自動排尿便処理装置Kを構成する各構成部材について説明する。
【0032】
(i)装着孔12の周辺に敷設するおしめ21について説明する。
【0033】
おしめ21は、中央部分に寝具ベッド11の装着孔12に対応した孔22を形成する。孔22の裏側には、方形状の箱型袋26が垂設されており、この箱型袋26は、寝具ベッド11周辺におしめ21を敷くときに中央の装着孔12中に嵌入されて、さらにその中には、後述する台座310が嵌入される。その孔22の下手側には、左右に露出した股間を覆うための折返し被覆部23を延設し、同孔22の上手側には、左右に張出した腰周り部24を延設した形状としている。
【0034】
(ii)台座310について説明する。
【0035】
図2及び図3に示すように、台座310は、寝具ベッド11(図1参照)の装着孔12に嵌着しうる一定厚みの矩形状に形成されており、その上表面は凹状半円弧の揺動受面311を形成している。しかも、揺動受面311の先端縁部には揺動受面311上に揺動自在に載置する支持枠体31の揺動範囲を規制するための調整ストッパー手段312を設けている。
【0036】
すなわち、調整ストッパー手段312は、揺動受面311の先端縁部の半円弧面の左右に突起313,313を突設して、該突起313,313に後述する支持枠体31の構成部材が当接することにより、それ以上の左右揺動が行えないようにしている。
【0037】
あるいは調整ストッパー手段312は、図4及び図5に示すように、一方の係合片320の突出作動により、この一方の係合片320と後述する支持枠体31の構成部材とが当接係合して、揺動範囲が規制されるものであり、この際に他方の係合片320の埋没作動により、他方の係合片320と支持枠体31の構成部材とが干渉することなく、支持枠体31は、揺動を行うことができる。
【0038】
(iii)支持枠体31について説明する。
【0039】
図2から図4に示すように、台座310上に載置される支持枠体31は、外底面38a(図2参照)を凸状半円弧に形成した底板32を有する矩形ケース39よりなり、上方開口の箱型としている。
【0040】
すなわち、底板32の外周縁には外周壁33が少なくとも後述する尻載せパッド41(図1参照)の厚みより低い状態で立設されている。更に底板32の中央には、長手方向に沿って帯状のガイド通路34が設けられており、両側にはガイド壁35が設けられている。
【0041】
ガイド通路34は、下手側の枠体前壁33aを突き抜けて底板32の下手終端より突出し、突出部36の終端は開放状態としており、従って、支持枠体31を寝具ベッド11(図1参照)の装着孔12に装着した台座310上に載置する場合は、ガイド通路34の突出部36を装着孔12と連通したパイプ通路13内に嵌め込んでおく。
【0042】
以上のように構成された支持枠体31は、外周壁33と帯状のガイド通路34との間に略U字状のU字空間37を形成しており、U字空間37の内底面は、凹状半円弧に形成している。このU字空間37に後述する略U字状の尻載せパッド41(図1参照)が嵌着される。
【0043】
このように外底面38a(図2参照)を凸状半円弧とした支持枠体31は、内底面が凹状半円弧の台座310上に左右揺動自在に載置されて、後述するように患者の尻部や腰部の動きに応じて左右に揺動して尻部のずれを吸収する。
【0044】
しかも、図2に示すように、支持枠体31は、台座310上で患者の尻部のずれや動きに応じて揺動するものの、その揺動範囲と一定の角度に規制するために台座310の調整ストッパー手段312と協働するための構造を設けている。
【0045】
すなわち、支持枠体31の中央には、帯状のガイド通路34が設けられ、このガイド通路34は前述の如く枠体前壁33aを突き抜けて支持枠体31の枠外に突出しており、当然にその両側のガイド壁35も枠体前壁33aより突出している。
【0046】
かかる構造の支持枠体31を台座310上に載置した場合、台座310の前壁315の左右に配設した突起313,313がガイド壁35の外側面と対向する状態となる。
【0047】
従って、支持枠体31を一方向に揺動させると台座310の突起313,313先端が当接して、それ以上は揺動できない。
【0048】
なお、かかる一定範囲内の揺動ができるためには、凸状半円弧に形成した底板32の前端部の一部のみ、すなわち、底板32より前方に突出したガイド壁35の横側方において凸状半円弧の底板32の前端部のみを切欠して平坦面32aを形成しておく必要がある。
【0049】
すなわち、図5に示すように、支持枠体31が揺動していない中立位置にある場合には、この平坦面32aにより形成された空間32bは、台座310の係合片320が位置して支持枠体31の底板32と干渉せずに支持枠体31の揺動を可能とする。
【0050】
このように揺動範囲は、突出状の突起313,313がガイド壁35に当接する範囲に限定される。
【0051】
(iv)尻載せパッド41について説明する。
【0052】
尻載せパッド41(図1参照)は、支持枠体31に形成された略U字状のU字空間37に嵌着できるように同じく略U字状に形成しており、中央のU字状切欠空間42に支持枠体31のガイド通路34のガイド壁35が嵌着できる構成としている。
【0053】
かかる尻載せパッド41を支持枠体31のU字空間37に嵌着した装着孔12に嵌入装着した場合に、尻載せパッド41の略U字状中央のU字状切欠空間42には、支持枠体31のガイド通路34のガイド壁35が嵌着されるため略U字状の尻載せパッド41はガイド通路34を囲繞する状態となる。
【0054】
また、尻載せパッド41の底面は、凸状半円弧の形状としており、従って、支持枠体31内のU字空間37中に尻載せパッド41を装着する場合に支持枠体31の凹状半円弧の内底面と一致して密着した装着が可能となる。
【0055】
また、支持枠体31のU字空間37は、排尿便処理体51内より漏洩した洗浄水が尻載せパッド41の周面より浸透しても漏水を貯留させ、寝具ベッド11裏面を濡らすことを防止する効果がある。
【0056】
(v)排尿便処理体51について説明する。
【0057】
図7に示すように、排尿便処理体51は、外底面を凸状半円弧に形成した支持枠体31(図2参照)のガイド通路34に嵌着する略長手楕円形状とした支持ケース55と、同支持ケース55中に嵌入して内蔵される略L字形状の処理部本体56とより構成される。
【0058】
図8及び図9に示すように、支持ケース55は、周辺に周壁を形成し、その内部に後述する処理部本体56の横部材52が収納されるように長方形に形成している。同支持ケース55の左右両側壁は、中央部分を山型に隆起させ、この隆起部55a及び支持ケース55の後半部開口縁には、更に縦ケース57を嵌着連設可能に構成しており、縦ケース57は、後述する略L字状の処理部本体56の縦部材後方と処理部本体56の上面の一部をケーシングすることができるように横断面半円弧状で側面視略L字状に形成している。
【0059】
更には、支持ケース55と縦ケース57との組付けで形成される下手側端部開口には、筒状のカップリング58が連結されており、該カップリング58内には、後述する処理部本体56の下手端部に設けられた尿便の排出通路81(図9参照)及びそれに連通した排出パイプ103(図1参照)が挿入される。
【0060】
なお、排尿便処理体51の支持ケース55は支持枠体31と共に台座310上で左右に揺動するため、排尿便処理体51の排出通路81と排出パイプ103の連結部分とは、カップリング58内で回転自在となるように構成されており、従って、台座310上で揺動する排尿便処理体51の回動中心線は、排出通路81と排出パイプ103との回転連結部分の回転中心線と一致させておく必要がある。
【0061】
また、図9に示すように、処理部本体56の縦部材80後方をケーシングする縦ケース57の上端縁には、患者の局部を上方から覆うための覆体59が開閉自在に枢着されている。
【0062】
かかる処理部本体56は、図8及び図9に示すように、内部を舟型に形成した排尿便受け部82と、その下手端部に立設した洗浄ノズル保持体61とにより略L字状に形成されている。
【0063】
図8及び図12に示すように、排尿便受け部82の前端には、前端ノズルブラケット60が設けられており、該前端ノズルブラケット60には、排尿便受け部82に貯留された尿便を下手側方向に押しやるべく射水するための射水ノズル105が設けられており、該射水ノズル105の近傍には隣接して患者尻部下面及び腰部を乾燥するための送気ノズル205が配設されている。
【0064】
図9に示すように、排尿便受け部82の下手側終端には、排出口102aが設けられており、同排尿便受け部82に貯留された排尿便及び洗浄水を外部の貯留タンク300に排出パイプ103を介して排出する。
【0065】
また、図9及び図11に示すように、洗浄ノズル保持体61には、洗浄ノズル203、ビデノズル202、乾燥ノズル204が設けられており、何れも患者の局部あるいは肛門に向って、水や空気を送ることができるように構成されている。
【0066】
これらの各ノズルに通じるパイプ基端は、図8から図10に示すように、洗浄ノズル保持体61の裏面に突出し、洗浄ノズル保持体61の裏面に装着した分配器62の分岐パイプ62aに連通されている。更に、分配器62の裏側においては、処理部本体56の洗浄ノズル保持体61上面にヒーター部63を装着しており、分配器62に通じるエアパイプをヒーター部63を介して加熱するように構成している。
【0067】
また、図9に示すように、支持ケース55の底面の略中央部には、断面山型の係合爪67を突設すると共に、支持ケース55を嵌着する支持枠体31のガイド通路34内の底面の下手部には多段の断面山型の係合溝68(図2参照)を形成している。71は排尿便処理体51の上手側の底面を押上げる略Z形状の板ばね(図8参照)、72は板ばね71の上面に載置した略半円状の押上受板である。
【0068】
(vi)排尿便処理体51の各種ノズル及び各種センサーについて説明する。
【0069】
図6及び図9に示すように、排尿便処理体51には、人体の各部位を洗浄するため洗浄水を噴射する尻ノズル104,射水ノズル105,ビデノズル202,洗浄ノズル203と、洗浄後に人体の局部及び外部尻部を乾燥するため空気を噴射する乾燥ノズル204、送気ノズル205、さらに、着用センサーI、大便センサーG、小便センサーH、水位センサーJが各所に配置されている。
【0070】
(vi−1)各種ノズルについて詳細に説明する。
【0071】
図9及び図11に示すように、排尿便処理体51は、前面凹部113の底面の下端部に配設された洗浄ノズル203と、前面凹部113の底面の、洗浄ノズル203より上方の位置に配設されたビデノズル202を有している。また、排尿便処理体51は、排出通路81の排出部102と反対側の端部に配設された射水ノズル105と、排出通路81の排出部102と反対側の端部における射水ノズル105より上方の位置に配設された尻ノズル104を有している。
【0072】
また、これら各種パイプは、束ねて外観ホース73内に挿入される。
【0073】
患者が排便、排尿すると、排尿便処理体51は、大便センサーG、小便センサーHにより大便、小便を検知し、その検出信号を処理操作部C(図6参照)へと送信する。かかる検出信号を受信した処理操作部Cは、ビデノズルパイプ602b、洗浄ノズルパイプ603、射水ノズルパイプ605、尻ノズルパイプ602cに洗浄水を供給し、ビデノズル202、洗浄ノズル203、射水ノズル105、尻ノズル104の各々から洗浄水が排尿便処理体51内へ噴射される。
【0074】
(vii)外部処理構成としての処理操作部Cについて説明する。
【0075】
図6に示すように、処理操作部Cは、排尿便処理体51の排尿便及び洗浄水を収容する排泄物収容部Dと、排尿便処理体51から股間部と同排尿便処理体51との一定圧の密着状態を示す着用信号や排便及び/又は排尿の検出信号や排尿便受け部の水位上昇を示す水位信号を受信し、その後の洗浄動作や空気袋ポンプ160の膨張収縮などの各種動作を遂行するノズル操作部Fと、排尿便処理体51に洗浄水を供給する洗浄水供給部Eとよりなる。
【0076】
(vii−1)
排泄物収容部Dは、貯留タンク300を有しており、貯留タンク300は、排出パイプ103を介して、排尿便処理体51の排出口102aと接続されている。
【0077】
また、ホース連結部303には、排出パイプ103と隣り合うように吸気パイプ401aが接続されている。
【0078】
(vii−2)
洗浄水供給部Eは、洗浄水としての原水を供給する原水タンク500と、排尿便処理体51内に供給する洗浄水を所定温度に加熱するための温水タンク501と、原水タンク500から温水タンク501への給水を制御するソレノイドバルブ503を備えている。温水タンク501は、原水タンク500からソレノイドバルブ503を介して供給された原水を加熱する管ヒーター502と、水位を感知する水位センサー505と、水温を感知する温度センサー506とを備えている。
【0079】
洗浄水供給部Eは、温水タンク501内の原水の温度を温度センサー506で検知して、原水を管ヒーター502で加熱して温水とする。
【0080】
(vii−3)
ノズル操作部Fは、上述のように、排泄物収容部Dに吸気パイプ401aを介して接続されており、また、洗浄水供給部Eに送水パイプ504aを介して接続されている。さらに、後述するが排尿便通路に設けた空気袋151を膨張収縮する機能も備えている。図中の401aは吸気パイプ、409は弁としての吸気バルブ、408は減圧部としての真空タンク、401bは吸気パイプ、407aは悪臭除去フィルタ、413は圧力スイッチ、401cは吸気パイプ、401dは吸気パイプ、400は吸入ポンプ、402は吸気口、405は排気口、414はエア排出パイプ、407bは消音器である。
【0081】
一方、送水パイプ504aは、フィルタ507、送水パイプ504b、加圧ポンプ600、ノズルパイプ601a、各種ソレノイドバルブ91,92,93、三方弁74、各種ノズルパイプ602a,602b,602c,603,605を経て、排尿便処理体51内の尻ノズル104,射水ノズル105,ビデノズル202,洗浄ノズル203に接続されている。
【0082】
真空タンク408内に真空状態を形成することにより、より強い負圧を発生させて排尿便処理体51内の排尿便及び洗浄水を効率良く吸引することができる構成となっている。
【0083】
また、ソレノイドバルブ95,96、消音器404、2基の悪臭除去フィルタ407a,407a、消音器407bは1ユニット化されてフィルタアセンブリ607を構成している。
【0084】
(viii)排尿便通路の屈曲部について説明する。
上述した本実施形態の自動排尿便処理装置Kにおける排尿便処理体51は、寝具ベッド11上に仰臥した状態の患者Pの股間に装着されて、排尿便処理体51内に排出した排尿便及び洗浄水は円滑に排泄物収容部Dに収容されるものであり、かかる排尿便及び洗浄水は排尿便処理体51の内部から排出パイプ103の終端に至る排尿便通路によって貯留タンク300内に排出貯留される。
【0085】
本発明の特徴とするものは、かかる排尿便通路の一部に屈曲部を形成したことにある。
【0086】
すなわち、患者Pより排尿便処理体51内に排出された排尿便及び洗浄水を排出パイプ103を介して寝具ベッド11外に搬送する際に、排尿便通路の一部に屈曲部150を設けることにより、排尿便及び洗浄水が堰き止められ水位が上昇して排尿便通路の管断面方向の上方の空間が密閉或は狭められることとなる。そして、この状態で吸引がなされると排尿便通路の管断面方向の上方空間が密閉されているために堰き止められた箇所より下手側の排尿便通路内は負圧状態となり、排尿便及び洗浄水が排尿便処理体51の排出通路81、逆止弁ケース66、排出パイプ103を通過して素早く排泄物収容部Dの貯留タンク300に向って搬送される。
【0087】
さらに、排尿便及び洗浄水が同排尿便通路に設けた屈曲部150を流れる際に、排尿便通路の管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水には、屈曲部150の曲率により遠心力が生起され屈曲部150の下部150bから上部150a(或は上部150aから下部150b)に向う第1流れF1が発生し、また、排尿便通路の屈曲部150における上部150aと下部150bでは圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、屈曲部150の上部150aから下部150b(或は下部150bから上部150a)に第2流れF2が発生し、これら第1流れF1と第2流れF2による渦流F3が発生することとなる。渦流F3をともなった排尿便及び洗浄水が排尿便通路外に素早く排出されることが可能となる。
【0088】
そして、排尿便通路において排尿便及び洗浄水が付着して蓄積することがなくなり、排尿便通路から発生する臭気を防止でき、常に清潔に使用することが可能となる効果がある。
【0089】
屈曲部150は、上記排尿便通路の何れかの位置に1箇所設けるようにしたが、複数箇所に設けるようにしてもよい。かかる構成によれば、排尿便処理体51及び排出パイプの始端側から終端側までの排尿便通路内における排尿便及び洗浄水の搬送を効率よく確実に実行することが可能となる。
【0090】
以下に、屈曲部を排尿便通路の一部に形成した実施例を示す。
【0091】
[実施例1]
実施例1は、屈曲部150を排尿便処理体51の排尿便受け部82内に設けた例について説明する。上述したように排尿便処理体51には、処理部本体56に排尿便受け部82が形成されており、排尿便受け部82には、排尿便及び洗浄水を貯留排出する排出通路81が設けられている。この排出通路81の下手側の底部81aには、膨張伸縮自在の空気袋151が配設されている。そして、空気袋151を膨張させると排出通路81に屈曲部150が形成される。すなわち、空気袋ポンプ160から第3空気パイプ161を介して空気が注入されると空気袋151が膨らんだ状態となり、排出通路81の空間Sを狭めることとなる。
【0092】
そして、排尿便受け部82の排出通路81に排尿便が排出されたのち、射水ノズル105から排尿便に洗浄水が射出されると、排尿便及び洗浄水Zが膨らんだ状態の空気袋151に堰き止められた状態となる(図14参照)。このとき、排出通路81は、排尿便及び洗浄水Zと空気袋151により同排出通路81の空間Sは、下方から上方に向って狭められ密閉状態となる。
【0093】
次いで、図16及び図17に示すように、排出通路81が狭められて密閉状態となると同時に、真空タンク408で真空に引いた状態から吸気バルブ409を開き、吸気パイプ401a、排出パイプ103を介し吸引すると、堰き止められた箇所より下手側の排尿便処理体51内の排出通路81は負圧状態となり、強い負圧が発生して上手側から下手側に排尿便及び洗浄水Zを流すと共に、さらに、排出通路81の屈曲部150を通過する排尿便及び洗浄水Zに渦流F3を発生させることとなる。すなわち、排出通路81の管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水Z1には、屈曲部150の曲率により遠心力が生起され屈曲部150の下部150bから上部150aに向う第1流れF1が発生し、また、排出通路81における屈曲部150の上部150aと下部150bでは圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、屈曲部150の上部150aから下部150bに第2流れF2が発生し、これら第1流れF1と第2流F2による渦流F3が発生することとなる。渦流F3を伴った排尿便及び洗浄水Zは排出口102aから逆止弁ケース66を介し排尿便処理体51外に吸引され、さらに排出パイプ103を介して貯留タンク300に収容される(図6参照)。
【0094】
かかる排尿便通路の排出通路81において排尿便及び洗浄水が付着して蓄積することがなくなり、排出通路81から発生する臭気を防止でき、常に清潔に使用することが可能となる効果がある。
【0095】
空気袋151は、例えば、膨らませた状態において蒲鉾形状とすることで、排尿便及び洗浄水Zを効率よく堰き止めることが可能となる効果がある。
【0096】
空気袋151の高さを調節することで、排尿便処理体51内の排出通路81を流れる排尿便及び洗浄水Zに渦流F3を効率よく発生させることができる。
【0097】
なお、排尿便及び洗浄水を堰き止める際には、空気袋151の高さを高くし(図14参照)、排尿便処理体51外に排出する際には、図17に示すように空気袋151の高さを低くすることにより排尿便及び洗浄水Zが排出通路81を流れ易くする効果もある。
【0098】
上記空気袋151の高さを低くするために空気袋151を萎ますタイミングとしては、排出通路81内の排尿便及び洗浄水を吸引したのちとしてもよいし、また、水位センサーJが排出通路81内の水位を検知したときとしてもよいし、或は大便センサーGが大便を検知して射水ノズル105より洗浄水を所定時間射出したのちとしてもよい。
【0099】
次いで、実施例2から実施例6は、屈曲部150を寝具ベッド11のパイプ通路13に挿通した排出パイプ103の始端から終端までに設けた例について説明する。
【0100】
[実施例2]
図18に示すように、空気袋151は、寝具ベッド11のパイプ通路13の始端から終端までの中間位置13mにおける同パイプ通路13の底部13aに設けられる。このとき空気袋151を膨らませると、パイプ通路13内の外観ホース73を所定高さh1だけ上方へ押上げることにより、同外観ホース73内に挿通した排出パイプ103に山部103aを有する屈曲部150が形成される。
【0101】
この屈曲した排出パイプ103において、排尿便処理体51外に排出された排尿便及び洗浄水Zが同排出パイプ103の山部103aで堰き止められる(図23参照)。このとき、山部103aより始端側において、同排出パイプ103の内部空間に貯留された排尿便及び洗浄水Zが、同排出パイプ103の管断面の下方から上方まで狭めて密閉状態を形成する。
【0102】
そして、真空タンク408で真空に引いた状態から吸気バルブ409を開き吸気パイプ401a、排出パイプ103を介し吸引する。この状態で吸引がなされると屈曲部150より下手側の排出パイプ103内は負圧状態となり排尿便及び洗浄水が貯留タンク300に向って素早く搬送される。このとき、同排出パイプ103の屈曲部150を流れる排尿便及び洗浄水Zに渦流F3が生起する。すなわち、図24及び図25に示すように、排出パイプ103の管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水Z1には、屈曲部150の曲率により遠心力が生起され、屈曲部150の下部150bから上部150aに向う第1流れF1が発生し、また、排出パイプ103の屈曲部150の上部150aと下部150bでは圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、排出パイプ103の上部150aから下部150bに向う第2流れF2が発生し、これら第1流れF1と第2流れF2による渦流F3が発生することとなる。渦流F3をともなった排尿便及び洗浄水Zは、素早く排出パイプ103の終端側に吸引され貯留タンク300に収容される。
【0103】
[実施例3]
図19に示すように、空気袋151は、パイプ通路13の始端の位置13sにおける同パイプ通路13の底部13aに設けられる。この空気袋151を膨らませると、パイプ通路13内の外観ホース73を所定高さh1だけ上方へ押上げることにより、同外観ホース73内に挿通した排出パイプ103に山部103aを有する屈曲部150が形成される。
【0104】
排出パイプ103内における排尿便及び洗浄水の排出作用については、上記図24及び図25を用いた説明と同様のため重複説明を省略する。
【0105】
[実施例4]
図20に示すように、空気袋151は、パイプ通路13の始端の位置13sにおける同パイプ通路13の上部13bに設けられる。この空気袋151を膨らませると、パイプ通路13内の外観ホース73を所定深さh2だけ下方へ押上げることにより、同外観ホース73内に挿通した排出パイプ103に谷部103bを有する屈曲部150が形成される。このとき、外観ホース73の一部がパイプ通路13の底面に沈み込んだ状態となる。
【0106】
図26及び図27に示すように、この下方に屈曲した排出パイプ103において、排尿便処理体51外に排出された排尿便及び洗浄水Zが同排出パイプ103の谷部103bに貯留される。このとき、谷部103bにおいて、同排出パイプ103に排尿便及び洗浄水Zが貯留されて、排出パイプ103内の管断面の下方から上方まで狭めて密閉状態を形成する。
【0107】
そして、真空タンク408を真空に引いた状態から吸気バルブ409を開き吸気パイプ401a、排出パイプ103を介し吸引する。この状態で吸引がなされると屈曲部150より下手側の排出パイプ103内は負圧状態となり排尿便及び洗浄水が貯留タンク300に向って素早く搬送される。このとき、同排出パイプ103の屈曲部150を流れる排尿便及び洗浄水Zに渦流F3が生起する。すなわち、排出パイプ103の管断面における中心位置の排尿便及び洗浄水Z1には、屈曲部150の曲率により遠心力が生起され、屈曲部150の下部150bから上部150aに向う第1流れF1が発生し、また、排出パイプ103の屈曲部150の上部150aと下部150bでは圧力分布が異なるために圧力勾配力が作用することにより、排出パイプ103の上部150aから下部150bに向う第2流れF2が発生し、これら第1流れF1と第2流れF2による渦流F3が発生することとなる。渦流F3をともなった排尿便及び洗浄水Zは、素早く排出パイプ103の終端側に吸引され貯留タンク300に収容される。
【0108】
[実施例5]
図21に示すように、空気袋151は、パイプ通路13の終端の位置13eにおける同パイプ通路13内の底部13aに設けられる。この空気袋151を膨らませると、パイプ通路13内の外観ホース73を所定高さh1だけ上方へ押上げることにより、同外観ホース73内に挿通した排出パイプ103に山部103aを有する屈曲部が形成される。
【0109】
排出パイプ103内における排尿便及び洗浄水の排出作用については、上記図24及び図25を用いた説明と同様のため重複説明を省略する。
【0110】
[実施例6]
図22に示すように、空気袋151は、パイプ通路13の終端の位置13eにおける同パイプ通路13内の上部13bに設けられる。この空気袋151を膨らませると、パイプ通路13内の外観ホース73を所定深さh2だけ下方へ押上げることにより、同外観ホース73内に挿通した排出パイプ103に谷部103bを有する屈曲部150が形成される。
【0111】
排出パイプ103内における排尿便及び洗浄水Zの排出作用については、上記図26及び図27を用いた説明と同様のため重複説明を省略する。
【0112】
上記ノズル操作部Fには、上述した各種機能(図6の説明参照)の他に、さらに、空気袋151を膨張伸縮する機能を備える。図28及び図29は、空気袋を膨張収縮させる作動状態を示す構成図である。
【0113】
空気袋151は、第3空気パイプ161を介してノズル操作部Fに連通連結されており、ノズル操作部Fには、上述した構成の他にさらに空気袋151に空気を供給吸引する空気袋ポンプ160と、同空気袋ポンプ160の供給口と吸入口にそれぞれ接続した第1空気パイプ162及び第2空気パイプ163と、両パイプ162,163に接続した第1ソレノイドバルブ164及び第2ソレノイドバルブ165を備えている。
【0114】
そしてノズル操作部Fの第1ソレノイドバルブ164を開とし、他方の第2ソレノイドバルブ165を閉としたのちに、空気袋ポンプ160の供給口から空気が供給され、第1空気パイプ162、第3空気パイプ161を介して空気袋151に注入されると同空気袋151が膨らんだ状態となる(図28参照)。
【0115】
また、ノズル操作部Fの第1ソレノイドバルブ164を閉とし、他方の第2ソレノイドバルブ165を開としたのちに、空気袋ポンプ160の吸引口から空気を吸引すると、この空気袋151内に貯留された空気が第3空気パイプ161、第2空気パイプ163を介して空気袋ポンプ160に吸引されると空気袋151が萎んだ状態となる(図29参照)。
【0116】
このように空気袋151が膨らんだ状態となることにより、排出通路81或は排出パイプ103の管断面方向(径方向)を狭めるために真空状態を形成し易くする効果がある。
【0117】
なお、空気袋151は、排尿便処理体51内の排出通路81の底部81a或はパイプ通路13の始端位置13sから終端位置13eまでの所定箇所の何れか一方に設けるようにしたが、さらに、排尿便処理体51内の排出通路81の底部81a及びパイプ通路13の始端位置13sから終端位置13eまでの所定箇所にそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0118】
すなわち、排尿便処理体51内及び排出パイプ103内のそれぞれの箇所おいて、膨らんだ空気袋151で排尿便及び洗浄水が貯留され、吸引すると真空状態が形成されるために、排出された排尿便及び洗浄水を円滑に排泄物収容部Dに収容することが可能となる。このとき真空状態で吸引することにより、排尿便処理体51内及び排出パイプ103内では排尿便及び洗浄水の蓄積がなくなり、臭気の発生を防止できる効果がある。
【0119】
なお、空気袋151を膨張収縮するために、空気袋ポンプ160を別体でノズル操作部Fに設けたが、空気袋ポンプ160の機能を吸入ポンプ400で行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本実施形態の自動排尿便処理装置を示す分解斜視図である。
【図2】支持枠体及び台座を示す分解斜視図である。
【図3】支持枠体を台座に載置した状態を示す斜視図である。
【図4】他の形態の台座に支持枠体を載置した状態を示す斜視図である。
【図5】他の形態の台座に支持枠体を載置した状態を示す正面図である。
【図6】本実施形態の自動排尿便処理装置を示す構成図である。
【図7】排尿便処理体を支持枠体に装着した状態を示す構成図である。
【図8】排尿便処理体の分解斜視図である。
【図9】排尿便処理体の断面図である。
【図10】処理部本体の斜視図である。
【図11】各種ノズルの正面図である。
【図12】(a)前端ノズルブラケットの斜視図である。(b)前端ノズルブラケットの正面図である。(c)前端ノズルブラケットの背面図である。
【図13】本実施形態の自動排尿便処理装置の使用状態を示す説明図である。
【図14】排尿便処理体内の排尿便及び洗浄水の処理状態を示す説明図である。
【図15】排尿便処理体内の排尿便及び洗浄水の処理状態を示す説明図である。
【図16】排尿便処理体内の排尿便及び洗浄水の処理状態を示す説明図である。
【図17】図16の排尿便処理体をA−A線で切断した状態を示す断面図である。
【図18】屈曲部をパイプ通路の中間の位置に設けた状態を示す側面図である。
【図19】屈曲部をパイプ通路の始端の位置に設けた状態を示す側面図である。
【図20】屈曲部をパイプ通路の始端の位置に設けた状態を示す側面図である。
【図21】屈曲部をパイプ通路の終端の位置に設けた状態を示す側面図である。
【図22】屈曲部をパイプ通路の終端の位置に設けた状態を示す側面図である。
【図23】排出パイプ内の排尿便及び洗浄水の状態を示す側面図である。
【図24】排出パイプ内の排尿便及び洗浄水の状態を示す側面図である。
【図25】図24の排出パイプをB−B線で切断した状態を示す側面図である。
【図26】排出パイプ内の排尿便及び洗浄水の状態を示す側面図である。
【図27】図26の排出パイプをC−C線で切断した状態を示す側面図である。
【図28】ノズル操作部を作動して空気袋を膨らました状態を示す構成図である。
【図29】ノズル操作部を作動して空気袋を萎ませた状態を示す構成図である。
【図30】従来の自動排尿便処理装置を示す構成図である。
【図31】従来の排尿便処理体からパイプにおける排尿便及び洗浄水の処理状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0121】
C 処理操作部
D 排泄物収容部
E 洗浄水供給部
F ノズル操作部
G 大便センサー
H 小便センサー
I 着用センサー
J 水位センサー
K 自動排尿便処理装置
11 寝具ベッド
12 装着孔
21 おしめ
22 孔
31 支持枠体
32 底板
33 外周壁
34 ガイド通路
35 ガイド壁
41 尻載せパッド
42 U字状切欠空間
51 排尿便処理体
52 横部材
53 縦部材
55 支持ケース
57 縦ケース
58 カップリング
59 覆体
60 前端ノズルブラケット
64 縁部モール体
66 逆止弁ケース
74 三方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具用ベッドの中央に装着孔を穿設すると共に装着孔から寝具ベッドの端部までパイプ通路を形成し、装着孔に装着した排尿便処理体とパイプ通路に嵌着した排出パイプとを連通し、排尿便処理体により排尿便を排出パイプを介して寝具ベッド外に搬送可能に構成した自動排尿便処理装置において、
排尿便処理体の内部から排出パイプ終端に至る排尿便通路の一部に屈曲部を形成して排尿便の搬送時に渦流を発生させるべく構成した
ことを特徴とする自動排尿便処理装置。
【請求項2】
屈曲部は、排尿便処理体における処理部本体の排尿便受け部に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の自動排尿便処理装置。
【請求項3】
屈曲部は、排出パイプの中途に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の自動排尿便処理装置。
【請求項4】
屈曲部は排出パイプの始端近傍に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の自動排尿便処理装置。
【請求項5】
屈曲部は排出パイプの終端近傍に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の自動排尿便処理装置。
【請求項6】
屈曲部は排尿便通路を上方へ屈曲させた
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の自動排尿便処理装置。
【請求項7】
屈曲部は排尿便通路を下方へ屈曲させた
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の自動排尿便処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−148724(P2010−148724A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331281(P2008−331281)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(506230219)
【出願人】(506262380)株式会社サンヨーテック (15)
【Fターム(参考)】