説明

自動標準品サンプリング

自動標準品サンプリング装置(50)及び当該装置を用いる方法が記載される。本装置は、液体分析計と統合されて小型の総合液体分析ユニットを形成することができる。特別に適合された標準液のバイアルセットと組み合わせて用いられる場合、本装置は、オンラインTOC分析計(52)の自動化された実質的にエラーのない定期的な校正及び精度検証を行うためのシステムを提供する。本発明の自動標準品サンプリング装置は、規定遵守(regulatory compliance)、校正、及びバリデーション要件を満たすために、既知の濃度の標準液及び「グラブ」サンプルをオンラインTOC分析計に容易に導入できるようにする。本発明の自動標準品サンプリング装置はまた、重要且つ規制主導型のシステム適合性試験の実行時に、いかなる従来のサンプリング機器よりも実質的に高い信頼性、高い生産性、及び優れた性能を提供し、製薬業界での主な使用目的以外に様々な産業用途で広く用いられる可能性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、製薬業界において用いられるもの等のオンライン全有機炭素(TOC)分析計による包装された標準液のサンプリングを、容易にする方法及び装置に関する。このような方法及び装置は、校正手順及びシステム適合性試験の実施等において、性能及び/又は規制主導型である試験の生産性及び信頼性を向上させる。本発明の方法及び装置は、概して、連続分析用に液体をサンプリングする様々なタイプの分析計を用いての複数の標準液の関連試験及び/又は校正手順の生産性を向上させるために、適用することもできる。
【背景技術】
【0002】
米国薬局方(USP)及び欧州薬局方(EP)は、製薬用水の品質適格における使用に対する適合性を証明するために、TOC分析計システムを試験する様々な要件を設けてきた。本発明の方法及び装置に関連するそれらの具体的要件の1つは、システム適合性試験(SST)として知られている。しかしながら、本発明は、連続プロセス分析に用いられる分析計における、複数の標準液を伴う他の試験及び/又は複数の標準液の使用を必要とする校正手順に関連しても一般的に有用である。
【0003】
SSTは、以下のようなサンプルR、R、及びRSSを入れた3つの異なるサンプルバイアルの内容物の多重分析から成る。Rは、他の2つの標準品の作製にも用いられる試薬水であり、Rは、試薬水中の比較的酸化しやすい有機化合物であり、RSSは、試薬水中の比較的酸化し難い有機化合物である。各サンプルバイアルには、約30ccの溶液が入っており、各バイアルから多重測定が行われる。3つのバイアルの全てが連続して分析され、分析計がオンライン動作に戻されて、結果報告書が自動的に生成される。本分野の技術の現状(すなわち、本発明を除く)では、試験中に分析計に各バイアルを手動で出し入れし、続いて分析計をオンライン動作に戻すようにハードウェア(例えば、動作弁)を手動で再設定する。各バイアルの分析は30〜40分かかるため、1つのバイアルから次のバイアルに切り替えるため又は最後のバイアルからオンライン動作に切り替え戻すために、少なくとも3回分析計に戻らなければならないユーザ/オペレータに、長時間の拘束をもたらす。
【0004】
米国特許第5,837,203号、同第5,976,468号、及び同第6,271,043号に少なくとも一部記載されているように、現在の製薬TOC分析計の中でも主力と一般に見なされる、現用されているサンプリングデバイスは、総合オンラインサンプラ(IOS)と呼ばれる。このデバイスは、ユーザがオンライン水分析からサンプル/校正バイアルのグラブサンプル分析に容易に切り替えることを可能にする。しかしながら、IOS装置は、完全に受動的な無動力デバイスであり、ユーザが弁を手動操作する必要があり、いかなる情報管理機能も組み込んでいない。さらに、上記特許は、弁調整によって汚染が加わることがあり、低レベルTOC測定の実施時にエラーをもたらすことを教示している。
【0005】
連続的な人間の介入を伴わずに複数の標準品又はサンプルに順序付けする能力に関するような、或る程度のレベルの自動化を提供するために、液体オートサンプラがTOC分析計と併用されてきた。しかしながら、このようなオートサンプラは、費用、適合、インタフェース、及びロジスティクス上の諸問題により、オンライン分析計とは一般的に併用されない。1つの簡単な例として、オンライン分析計が通常は工場の壁に取り付けられることが、オートサンプラへのインタフェースを非実用的にする。SSTプロトコルの実施の頻度は比較的低いため、オートサンプラシステム全体(概して極めて高価である)を所与のオンラインTOC分析計専用にすることは、経済的でも実用的でもない。
【0006】
流体サンプリング用途のためのメモリ制御システム及びベンティングシステム等、流体サンプリング分野及び関連の技術分野における関連の従来技術を代表するものは、それぞれが参照により本明細書に援用される以下の米国特許である:米国特許第5,837,203号(Godecの‘203)、同第5,976,468号(Godecの‘468)、同第6,271,043号(Godecの‘043)、同第5,869,006号(Fanningの‘006)、同第6,135,172号(Fereの‘172)、同第6,152,327号(Rhineの‘327)、同第6,330,977号(Hassの‘977)、同第6,564,655号(Austenの‘655)、同第6,613,224号(Strandの‘224)、同第6,649,829号(Garberの‘829)、同第6,743,202号(Hirschmanの‘202)、及び同第6,841,774号(Weissの‘774)。
【0007】
例えば、Austenの‘655特許は、情報読み取り及び制御システムと組み合わせた、自動的に供給源から既知量の液体を得てサンプルから固相抽出ユニットに液体を渡す「分析サンプリングデバイス」を示す。このシステムは、後続の試験のために地下水サンプルを試験室に凍結搬送しなければならない代わりに、現場でのバッチ地下水分析を行う携帯用機器を提供することを意図している。この発明は、複数の標準液の使用を伴う規定の試験プロトコルに従って流動液体の純度を連続的に監視しているオンライン分析計の精度を定期的に試験する自動標準品サンプリング装置を、教示も示唆もしていない。
【0008】
Godecの‘203特許、Godecの‘468特許、及びGodecの‘043特許は、先に説明したように流体流の一部と、既知の組成及び濃度の流体とを交互に分析計に供給する装置及び方法を含む総合オンラインサンプリングを示す。流体流は、サンプリングニードルを収容しているハウジング内の流路に沿って導かれ、サンプリングニードルは、流体流路の入口及び分析計と流体連通する出口を有する。所望されるときに、既知の流体を入れた管又はバイアルをサンプリングニードルを収容しているハウジングに挿入することができるため、サンプリングニードルの入口が既知の流体に入ることで既知の流体が分析計に供給されるようになる。既知の流体がバイアルから抜かれるときの真空の形成を防止するために、第2のニードルが既知の流体のバイアルへの通気を提供する。
【0009】
本発明に匹敵して、これらのGodec特許は、関連の分析計ユニットの定期的な校正/検証と併せたオンラインサンプリングを教示している。しかしながら、本発明とは対照的に、参照されるGodec特許は、自動弁を用いてオンラインサンプリング/分析計校正を自動調節すること、メモリストレージデバイス、制御された一連の複数の異なる標準液の分析計への送達を要求する標準プロトコルを満たすこと、使用中の標準品の自動監視及び関連する情報の記録、又はバイアルセットをサンプリング装置に挿入する際の向きのエラーをなくすために対応された(keyed)バイアルセット組立体を用いること、のいずれも教示していない。
【0010】
Fanningの‘006特許は、「カード」のウェルを充填してから複数のカードの各ウェルを光学的に分析するデバイスに関する。このデバイスは、微生物学的サンプルの充填及び分析、インキュベーション、及び分析用に特別に設計される。このデバイスは、分析計の性能の校正又は検証には用いられない。これは、カードから流体を取り出す方法を提供するのではなく、内容物をカードから取り出さずに内容物の光学分析を行う。しかしながら、この発明は、「機械読み取り可能なメモリストレージデバイス」を用いて機械内のカードを追跡する。個別のカード上でバーコードが用いられ、カセット内の全カードを追跡するために「メモリボタン」又は「タッチボタン」(Dallas Semiconductor製)を用いる「カセット」内にカードのセットが保持される。この装置は、サンプルの自動希釈も提供する。しかしながら、この装置は、オンラインサンプリングには関連しない。
【0011】
Hassの‘977特許は、シリンジによってサンプリングされた1本の管の液体内容物を各トークンを用いて識別することができる、電子トークンシステム(「iButtons(登録商標)」又はトークンの何らかの同等の物理学的実現を用いる)の医学的用途を教示している。医学的用途では、サンプリングされた液体は、血液又は治療薬であり得る。この特許には、例えば管の内容物に関する情報を得るために、コンピュータを用いてRS−232ポートを介してトークンと通信することができる方法も記載されている。しかしながら、この発明は、流体サンプル(単独又は集合)を識別するためのこのような電子トークンの使用可能性についてはさらに詳述しておらず、特に、この特許は、複数の標準液の使用を伴う規定の試験プロトコルに従って流動液体の純度を連続的に監視しているオンライン分析計の精度を定期的に試験する自動標準品サンプリング装置を、教示も示唆もしていない。
【0012】
Strandの‘224特許は、特定の分析法のためにカラムを識別する内蔵メモリストレージデバイスを有する液体クロマトグラフィカラムを記載している。このような用途は、カートリッジの製造中のメモリストレージデバイス上のデータのバリデーションを含む。しかしながら、この特許は、複数のサンプルに、又はこの特定の場合では複数のカラムに、関するものではない。この特許は、カートリッジ内に格納されたデータの暗号化には言及しているが、オンラインサンプリングにも校正用途にも関連していない。本質的に、この特許は、「スマートな」分析物のセットを提供するよりむしろ、分析システム用の「スマートな」構成要素を提供することを教示している。
【0013】
Garberの‘829特許は、RFIDを備えた流体結合器を記載している。「スマートな」結合器は接続することができ、流体の流れに適合することが意図される場合に(例えば、ソレノイド弁又はポンプによって)使用可能にされ得る。しかしながら、この特許は、オンラインサンプリング、校正、単回使用標準品、又は複数の標準品の内容物を識別する単一のメモリストレージデバイスのいずれにも関連していない。
【0014】
Garberの‘829特許は、機械的に対になる流体結合器に組み込まれる短距離無線通信システムの使用に関しても教示している。このようなシステムは、流体結合器同士が合致するか否かに関して流体制御デバイスに知らせることができ、組成の点で又は有効期限に従って等、或る意味で流体が許容可能であると判断された場合にのみ流体が送られることを確実にする。しかしながら、この発明は、流体結合が完成する前に不一致が遠隔で感知されることを確実にするための、無線通信手段(RFIDモジュール等)の使用に関してのみ教示している。この特許は、本発明のような流体結合が完成した後で行われる結合器の片方(halves)同士の直接電気接続の使用に関しては、教示も示唆もしていない。さらに、Garberの‘829特許は、複数の標準液の使用を伴う規定の試験プロトコルに従って流動液体の純度を連続的に監視しているオンライン分析計の精度を定期的に試験する自動標準品サンプリング装置を、教示も示唆もしていない。
【0015】
Hirschmanの‘202特許は、造影剤等の流体を被験者に注入するためのシリンジに関する。この発明のシリンジは、有効量、流速、圧力、及びピストン移動の限度等のシリンジの内容物に関する情報を保持するようにプログラムすることのできる、メモリストレージデバイスを備える。この「スマートな」シリンジは、シリンジのメモリストレージデバイスから情報を読んでそのデータに従って内容物を注入する(deliver)注入器内に設置されることになる。しかしながら、この発明は、オンラインサンプリング用途に関するものではない。
【0016】
Weissの‘774特許は、質量分析計入口用の多流弁(multi-stream valve)を記載している。この弁は、流動する気体分析物の流れを選択する。しかしながら、この発明は、液体サンプリングにもメモリストレージデバイスにも関連していない。
【0017】
Fereの‘172特許は、全体的に、特に内部が真空になっているVacutainer型(Vacutainerは、BD Diagnostics Corporationの商標名である)の、抽出すべきサンプルを入れてある試験管の上部にあるゴムストッパ又はセプタ(septa)を穿刺するためのニードルの設計に関する。このニードル設計は、セプタのコアリング及びニードルの閉塞を防止する新規の形状を提供する。この特許のニードルは、外部に切り込まれた溝を有し、これらの溝は、ニードルが試験管に完全に挿入されると差圧を低下させる一体型「ベントニードル」の役割を果たす。このニードル設計は、例えば内部が準大気圧になっている試験管から血液サンプルを取り出すために用いられる。しかしながら、この特許は、オンラインサンプリング、メモリストレージデバイス、流れ選択又は校正のいずれにも関連していない。
【0018】
Rhineの‘327特許は、校正標準品の送達ではなく、試薬、化学薬品、洗剤等の送達にのみ関する。この特許は、液体漏れを伴わずに液体を保持する密閉容器内への空気交換を可能にする新規のシール機構を開示している。しかしながら、この特許は、メモリストレージデバイスに関しても、分析が必要な液体流のオンラインサンプリングに関しても全く教示していない。
【0019】
従来の液体オートサンプラとは対照的に、本発明の自動標準品サンプリング装置は、自動情報管理の特徴を提供し、バイアルサンプリングとオンラインサンプリングとを容易に切り替えることができ、全液体サンプリング機能を実行するためにTOC分析計に完全に統合される。例えばバイアル情報のバーコード走査及びオンライン測定に切り替え戻すための自動弁調整を行わせるために、かなりの費用をかけて追加のハードウェア及びソフトウェアが従来のオートサンプラシステムに追加される場合もあるが、得られるシステムは依然として、例えば産業工場環境における好都合で信頼性の高いシステム適合性試験に必要とされるような高度で一貫したシステム統合度を欠いていると考えられる。
【0020】
利点の中でも特に、本発明は、多段階SST全体を開始させる1回の相互作用にかかわるオペレータ時間を減らし、SSTの終わりに(SSTにうまく合格した場合)分析計がオンライン分析に自動的に戻されることにより、分析計がオフラインであると共にプロセス液体品質が監視されていない時間量が最小になる。
【0021】
人間及び機器の時間節約に加えて、本発明は、システム適合性試験の信頼性も向上させる。本発明がなければ、ユーザは、各標準液が有効であること、言い換えればその有効期限がまだ過ぎていないことを確認しなければならない。ユーザは、特定の情報をバイアルから試験の報告書記録に転記して、適切な標準品のセットが試験に用いられていること及び標準品が適切な順序で分析されることを確実にする必要もある。従来のSSTを実施する際にエラーを生じさせる可能性のあるこれらの原因は、SSTの不合格につながる場合があり、その時点でプロセス全体を繰り返さなければならない。一方、本発明は、バイアル情報を分析計に自動的に転送し、分析計に関連するソフトウェアが、分析のためのバイアルの適切な順序付けを確実にすると共に、期限切れの標準品が分析されるのを防止する。
【0022】
本発明は、実質的に不活性な材料を用いて作製されることが好ましい自動弁(valving)も組み込んでおり、これは、以前のサンプラ弁設計とは異なり、正確な低レベルTOC測定を妨害するほど十分に高いレベルの汚染を分析中のサンプルにもたらすことがない。
【0023】
高い信頼性、材料の不活性、本発明の利便性及び生産性は、精度/正確性(precision)/検証、校正、及び線形性に関する試験を含む、複数の標準品を用いて実施され得る他の試験にも当てはまる。いずれの場合も、本発明を用いて、TOC分析計に電子的にバイアル情報が与えられることにより、バイアルの適切な順序付け及びバイアルに関する情報の記録が確実になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、本発明の主な目的は、TOC分析計をオンラインサンプリングモードから複数の標準液の処理に自動的に切り替え、続いてTOC分析計をオンラインサンプリングモードに戻すための方法及び関連の自動標準品サンプリング装置を提供することである。
【0025】
本発明の別の目的は、個別の標準及び標準品のセットに関する情報を管理するシステムを提供し、サンプルバイアル上のラベルから報告書への識別情報及び他のそのような情報の手動転記、期限切れの標準品の分析、及び/又は所与のプロトコルに対して不適切な順序でのバイアルセットの分析の結果としてもたらされ得るエラーの可能性を最小限に抑えることである。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、任意の分析源から「グラブ」サンプルを得る方法及び関連の装置の提供であって、そのような「グラブ」サンプルは、TOC分析計をオンラインサンプリングモードから複数の標準液の処理に自動的に切り替え、次いでTOC分析計をオンラインサンプリングモードに戻すための自動標準品サンプリングシステムと完全に統合される、方法及び関連の装置を提供することである。
【0027】
本発明のさらに別の目的は、本発明の自動標準品サンプリング装置と結合するように対応される、対応されたバイアルセット組立体の提供であり、これにより、「対応された」組立体の物理的機構、例えば2つの隣接するバイアル間(第1のバイアルと第2のバイアルとの間等)の拡大された間隔が、バイアルセット組立体の逆向きの挿入等の過失を防止する。
【0028】
本発明のさらに別の目的は、本発明のサンプリングシステムに汚染がもたらされることをさらになくすか又は少なくとも最低限に抑えるために、実質的に不活性な材料で作製されることが好ましい自動弁調整システムを提供することである。
【0029】
本発明のこれら及び他の目的及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の好適な実施の形態である自動標準品サンプリング装置は、オンラインTOC分析計と組み合わせた総合サンプリングシステムを備える。このような小型の総合システムの外観図を図5に示す。図6及び図7に概略的に示すように、個別のバイアルをサンプリングしてもよく、又は包装済みであり電子情報を含むバイアルのセットを、システム適合性試験又は別のそのようなサンプリングプロトコルに従って、自動的にサンプリングしてもよい。本発明のサンプリングシステムと共に用いられるバイアルセットの製造中、メモリストレージシステム、例えばiButton(登録商標)ベースシステム又は他の不揮発性メモリストレージデバイスにプログラムされた電子データが正確であることを確実にするために、複数の品質保証ステップが取られ得る。本発明で用いられるバイアルセットの好適な実施の形態の物理的設計は、ユーザによる本発明の自動標準品サンプリング装置への標準品バイアルの不適切な挿入が防止されるような設計である。
【0031】
概して、本発明に従って所与のプロトコルを実施するためには、ユーザがTOC分析計に所望の試験プロトコルを開始するよう指示し、続いてユーザが関連のサンプリング装置に適当なバイアルセットを挿入する。ユーザはそれ以上サンプリング装置と相互作用する必要がない。分析計及び関連の自動標準品サンプリング装置は、協働して適切な順序で且つバイアルの有効性も確保しながらバイアルの内容物それぞれを分析し、次いで(システムが試験プロトコルに送る場合)、ユーザがオプションとして予め選択している場合はオンライン液体品質の監視に戻る。ユーザは、例えば製造業者のロット又はバッチ指示子、有効期限、バイアル内容、及び分析結果を含む、分析された標準品バイアルそれぞれの詳細を明確に列挙する試験結果(複数可)の正式な報告書を出力するようにシステムに命令することもできる。バイアルサンプリングが完了した後、ユーザは、都合のよいときに、サンプリングニードル付近で生じる生体成長の可能性を抑えるために、通常はバイアル又はバイアルセットとサンプリング装置との接続を解除するべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、本発明による自動標準品サンプリング装置の好適な一実施形態の概略正面図である。図1に示すサンプリング装置は、本明細書で後述するような標準品バイアルを受け入れるサイズ、形状、間隔、及び向きになっているバイアルセット受け入れ構造11を含む。図1に示す実施形態では、バイアルセット受け入れ構造は、それぞれが標準品バイアルを受け入れるための、直線状に向いて中心軸同士がほぼ平行であるような、複数の相互接続された開口管状要素又はバイアルチャンバ(図2の参照符号26)を備える。
【0033】
バイアルセット受け入れ構造の隣接するバイアルチャンバ間の間隔は、好ましくは完全に均一ではない。したがって、図1において見られるように、第1の(左端の)バイアルチャンバと第2の(左から2番目の)バイアルチャンバとの間の間隔は、第2のバイアルチャンバと第3のバイアルチャンバとの間の間隔よりも大きく、且つ第3のバイアルチャンバと第4の(右端の)バイアルチャンバとの間の間隔よりも大きい。バイアルチャンバのこの構成は、バイアルセットがバイアルセット受け入れ構造に正しく挿入されることを確実にするための物理的な「キー」特徴を提供する。
【0034】
バイアルチャンバの上端は、標準品バイアルセットを構成する複数のバイアルを受け入れるために開いたままである。バイアルチャンバの数は、この装置と共に用いられることが意図されるバイアルセットのバイアルの数と少なくとも同じ程度であるべきである。本明細書でさらに後述するように、各バイアルチャンバの下端には、ニードルホルダ組立体12に取り付けられており、ニードルホルダ組立体12は、ほぼ垂直な向きの同軸構成で先端部分を有するサンプルニードル18及びベントニードル18aを保持し、先端部分は、各標準品バイアルの端をシールする穿刺可能なセプタムを穿刺するように構成される。
【0035】
情報認識、格納、及び通信能力を有する電子メモリストレージデバイス又は類似の要素とのインタフェースを提供するように設計される、電気接点等の接点要素10も、第1のバイアルチャンバと第2のバイアルチャンバとの間の意図的に拡大された空間において、図1に示すようなバイアルセット受け入れ構造内に位置付けられる。好適な発明の実施形態では、接点要素10は、電気接点であり、電子メモリストレージデバイスは、本明細書で後述するような標準品バイアルセットに組み込まれる市販のiButton(登録商標)要素である。
【0036】
サンプルニードル管22が、各サンプルニードル18の下側出口端と流れ選択弁14等の中央弁又はハブ弁への入口との間で延在する。本明細書でさらに後述するように、流れ選択弁14から、流体サンプルがオンラインサンプリングブロック24に移される。
【0037】
図1は、インタフェースボードと、シングルボードコンピュータと、バイアルセット組立体がバイアルセット受け入れ構造内に配置されるとインタフェースボードをバイアルセット組立体の電子メモリストレージデバイスに接続するインタフェース要素とを備える、組立体16も示す。本明細書で後述するように、インタフェースボードは、バイアルセットからの関連情報のダウンロード及び解読と、TOC分析計へのこのような情報の通信とを容易にする。
【0038】
図1に示すようなバイアルチャンバドレイン20の機能は、誤ってこぼれる場合があるバイアル内容物を図2に示すような廃棄物/排液コネクタ49に渡すことである。
【0039】
図2は、右端のバイアルチャンバ26(図3A、図3B、及び図4に示すような4つの標準品バイアルの4番目を受け入れる)を示す、図1に示す組立体の概略右側面図である。図2は、本発明の自動標準品サンプリング装置の特定の付加的な要素もより良く示している。したがって、図2は、分析計入口ライン34、分析計から来る廃棄物用の廃棄物ライン32、及びベントドレインコネクタ36を示す。(好ましくは磁気的な)流れスイッチ38、流れ制御ニードル弁28、オンラインサンプル入口30、及び廃棄物/排液コネクタ49も、図2において見られ、これらの目的及び機能は本明細書で後述する。
【0040】
図3A、図3B、及び図4に示すもの等の、本発明による1つ又は複数の組み立てられたバイアルセット(複数可)には、所与のプロトコル、例えばシステム適合性試験を実施するのに必要な標準液の全てが入っている。標準品バイアルは、順序の整合性を保証するためにバイアルセット組立体40(バイアル及びバイアルセットハウジングを備える)内に永久的に入れられる。個別の標準品バイアルのそれぞれに関する全関連情報と、セット全体に関する情報とが、バイアルセット組立体40に組み込まれる適当な電子メモリストレージデバイスに格納されることが好ましい。しかしながら、代替的な発明の実施形態では、他のタイプの電子的及び/又は磁気的及び/又は光学的読み取り(light reading)、符号化、感知、又は他の情報認識及び通信システム、例えばバーコードリーダと組み合わせたバーコードを、本発明のメモリストレージデバイスの代用にしてもよい。本発明の好適な一実施形態では、メモリストレージデバイスは、iButton(登録商標)として知られている市販のデバイス、つまりDallas Semiconductor製の不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)を収容する堅牢なパッケージである。
【0041】
本発明の別の好適な実施形態では、バイアルセット組立体40は、バイアル間の不規則な間隔等の物理的な特徴を用いて自動標準品サンプリング装置に「対応させられ(keyed)」、サンプリング装置へのバイアルセット組立体の挿入中の向きのエラー又は同様のエラーを防止する。例えば、図1、図3A、図3B、及び図4に示すように、第1のバイアルと第2のバイアルとの間の間隔を、他の隣接するバイアル間の間隔よりも大きくすることで、サンプリング装置にバイアルセットが誤って逆向きに(すなわち第1のバイアルがあるべき位置に第4のバイアルがある状態で)挿入されるのを防止することができる。
【0042】
iButton(登録商標)メモリストレージデバイスは、本発明の実施に関してユーザに大きな利益を与える。これは、バイアルセット全体に関する情報(例えば、下記の表1に示す情報)及びバイアルセット内の個別のバイアルそれぞれに関する情報(例えば、下記の表2に示す情報)も含むようにプログラムすることができる。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
iButton(登録商標)等の電子メモリストレージデバイスを備えるバイアルセットが、本発明による総合分析システムに挿入されると、システムの分析ユニットが、iButton(登録商標)からの情報を分析計に読み込む。これにより、分析計は、選択されたプロトコルに対して適切なバイアルセットが装着されていることを検証することができる。分析計は、有効期限も検査することができ、バイアルのいずれかが有効期限を過ぎている場合にはユーザに警告することができる。この検査/検証プロセスは、誤ったバイアルセットが装着された場合に生じかねない時間及び費用の浪費を防止する。
【0046】
iButton(登録商標)からの情報は、分析計での分析の結果と共に格納される。分析計からのその後の報告書で、その結果及びiButton(登録商標)から得られた情報を表示することができる。これにより、報告書のデータを生成するのに適切な標準品が用いられたことを独立した評価者が検証することができる。iButton(登録商標)に含まれるデータは暗号化されるため、分析計はその正当性を検証することができる。このシステムは、工場から分析計への、そして最終的に報告書への追跡可能なリンクも提供する。
【0047】
図6は、図1及び図2で可能であったよりもさらに詳細に流体流路を示すための、本発明による自動標準品サンプリング装置内の流体回路を表す概略図である。図6は、図1及び図2のバイアルチャンバ26に全体的に対応する4つのバイアルチャンバ61a、61b、61c、及び61dを概略的に示すが、図6は、これらのチャンバ間の不規則な間隔を図示していない。このような物理的「対応(key)」機構は、流体流れの図には関連しないためである。
【0048】
バイアルチャンバ61a、61b、61c、及び61dはそれぞれ、同軸のサンプルニードル及びベントニードルの組み合わせ(図1の18/18aに全体的に対応する)を有する。すなわち、バイアルセット組立体が所定位置に設置されると、対応する標準品バイアルの穿刺可能なセプタムを穿刺するようにバイアルチャンバ内の中央にそれぞれ配置される、62a、62b、62c、及び62dを有する。ニードル62a、62b、62c、及び62dからそれぞれ通じる流体サンプルライン63a、63b、63c、及び63dが、流れ選択弁(図1の14)の複数の流体入口の1つにそれぞれ接続する。バイアルチャンバ61a、61b、61c、及び61dの底部からそれぞれ通じる流体廃棄物ライン64a、64b、64c、及び64dが、オンラインサンプリングブロック(図1の24)内又はそれに隣接して位置する排液チャンバ25と接続する。そして、排液チャンバ25から、廃液が廃棄物/排液コネクタ49によって廃棄物ドレイン27に移される。オンライン流体ライン15aが、流れ選択弁14とサンプリングブロック24とを接続する。サンプル流体ライン17が、流れ選択弁14から関連のTOC分析計の入口(図6には図示せず)に流体サンプルを運ぶ。
【0049】
通常の動作中、オンライン流体サンプルは、流動している一次流体の流れから連続的に抜き取られ、オンラインサンプル入口65によってフィルタ66を通り、オンラインサンプリングブロック24に入り、サンプリングブロック24内のニードル弁28を通り、その後に流れコントローラ又はスイッチ38に移される。流れコントローラ38から、オンライン流体サンプルは、ライン15aを経て流れ選択弁14に移され、一次流体の連続オンライン監視のために、そこからライン17を経てTOC分析計に移される。(TOC分析計によって必要とされない)過剰な一次流体は、廃棄物ライン15bを通って排液チャンバ25に流れてから、廃棄物/排液コネクタ49を通って廃棄物ドレイン27に流れる。
【0050】
しかしながら、TOC分析計の定期校正中、オンライン流体サンプルは、流れコントローラ38から廃棄物ライン15bを通して流れ選択弁14に導かれる代わりに排液チャンバ25に導かれる。このような校正又はシステム適合性試験中は、オンライン流体サンプルの代わりに標準サンプルが、バイアルチャンバ61a、61b、61c、及び61d内に配置される標準品バイアルのセットから順次抜き取られ、流れ選択弁14を経て関連のTOC分析計に移される。このような校正又はシステム適合性試験の終わりに、流れコントローラ38から流れ選択弁14へのオンライン流体サンプルの流れが再開される。本発明によるプログラム可能なソフトウェアを用いて、全関連情報を同時に記録しながら、この一連のステップの全てを自動的に定期的に実行することができる。
【0051】
図7は、図1及び図2で可能であったよりもさらに詳細に電気的相互接続を示すために、本発明による自動標準品サンプリング装置の電気回路の相互接続構成要素を表す概略図である。図7は、本発明の自動標準品サンプリング装置(図5の50)の様々な構成要素間、及びサンプリング装置50と関連のTOC分析計(図5の52)との間の、主要な電気接続を概略的に示す。
【0052】
図7において見られるように、シングルボードコンピュータ71が、通信バス72によってインタフェースボード73に電気的に接続される(図1では、これら3つの要素は参照符号16で示す1つのパッケージ内で組み合わせられている)。インタフェースボード73は、メモリストレージデバイスを含むバイアルセット組立体がバイアルセット受け入れ構造(図1の11)内に配置されると電子メモリストレージデバイス(図4の44)の電気接点(図1及び図3Aの10)、好ましくはiButton(登録商標)ユニットのiButton(登録商標)接点への、電気接続を確立する電線73aを含む。
【0053】
第2の通信バス74が、インタフェースボード73を流れ選択弁(図1の14)に電気的に接続し、24VDC電力線75も、インタフェースボード73から流れ選択弁14まで延びる。図7の電気回路図に示すサンプリング装置50は、流れコントローラ又はスイッチ(図6の38)をさらに示す。
【0054】
図7に示すように、自動標準品サンプリング装置50とTOC分析計52との間には複数の電気接続部がある。24VDC電力線78a及びパワーオン信号線78bが、TOC分析計50をインタフェースボード73に接続する。さらに、スイッチケーブル線76が、流れスイッチ38をTOC分析計50に接続する。同じく、RS−232ケーブル79が、シングルボードコンピュータ71とTOC分析計50を接続する。これらの様々な要素の協働の仕方についてのより詳細な説明は、本明細書の以下で示す。
【0055】
したがって、好適な発明の実施形態では、本発明の自動標準品サンプリング装置の一部であるシングルボードコンピュータ(SBC)71が、適当な情報読み取り/格納、順序付け、及び制御動作を行うように設計又は適合される適当なソフトウェアと組み合わせて、分析計52とサンプリング装置50との間の(例えば、図7に示す電子回路によって示されるような)通信を処理するために用いられる。SBCは、分析計からのRS−232コマンドに応答する。コマンドは、電気信号に変換されてインタフェースボード73に送られ、そこでサンプリング装置のハードウェア構成要素を制御する。SBCは、iButton(登録商標)情報を読み取り、サンプリング装置の1つ又は複数の弁/流体流れ制御デバイス、例えば流れ選択弁14(図1)に新たな位置に変わるよう命令する。流れ選択弁14は、サンプリング装置の標準品バイアルの1つ又は外部水流を、関連のTOC分析計の液体源として選択する。本発明の必要な情報読み取り/格納、順序付け、及び制御動作を行うように、特注のソフトウェアを設計するか又は既製のソフトウェアを適合させることは、本発明の教示を用いて作業する当業者の通常の開発業務に関わる事柄である。
【0056】
バイアルセットがバイアルチャンバ26(図2)に挿入されると、iButton(登録商標)は、1線インタフェースとして知られる要素によって、(図7において見られるような)インタフェースボードに配線される金被覆されたばね付勢接点10(図1)に電気接触する。この電気接続は、TOC分析計がインタフェースボード及びSBC16(図1)を通してバイアルセットからの関連情報の全てをダウンロード及び解読することを可能にする。
【0057】
バイアルセット組立体40のバイアルがバイアルチャンバ26(図2)に挿入されると、同軸のサンプルニードル及びベントニードル18/18a(図1)のセットが、複数のサンプルバイアルの口をシールすることにより液密シールを形成しているそれぞれのセプタ(図3Bにおいて見られるような)を穿刺する。TOC分析計内のポンプユニットが、流れ選択弁14(図1)のロータの位置によって選択される特定のバイアルから、その特定のバイアルに関連するサンプルニードルを経て流体を抜き取る。その特定のバイアルに関連するベントニードルは、ベントドレインコネクタ36(図2)に接続している導管を経てバイアル内で生じている真空を解除することができる。
【0058】
サンプルバイアルの内容物の1つ又は複数が関連のバイアルチャンバ26内に誤ってこぼれた場合(これは例えば、ユーザがバイアルをシールするねじキャップの1つ又は複数を不注意に緩めた場合に生じる場合がある)、この流体は、バイアルチャンバドレイン20(図1)を通して導かれて、廃棄物/排液コネクタ49(図2)を経てシステムから出る。この特徴は、定期的な保守及び洗浄の過程でバイアルチャンバ26に侵入し得る液体を排出するのにも有用である。
【0059】
オンライン分析中、サンプル液体は、オンラインサンプル入口30(図2)を経てオンラインサンプリングブロック24(図1)に入る。オンラインサンプリングブロック24を通る総流量は、流れ制御ニードル弁28(図2)又は適当な流れ制御デバイスを用いて手動で調整することができる。弁28の下流には、液体が流れているときに上昇する磁気ピストンがある。流れスイッチ38(図2)は、サンプル液体がシステム内を流れていることを示す上昇位置にピストンがあることを検出し、この情報は、ユーザに適宜警告を提供するためにTOC分析計によって用いられる。
【0060】
分析前に任意のサンプルと接触する、管及び弁等の本発明の装置要素の内面は、汚染を最小限に抑えるために実質的に不活性な材料から作製されることが好ましい。例えば、管、好ましくはステンレス鋼の管が、サンプル液体をオンラインサンプリングブロック24から流れ選択弁14を通して分析計入口34に導く。本発明の目的のために、管、弁構成要素等を作製する材料として、ステンレス鋼が選択されることが好ましいが、それはサンプル液体に対する全有機炭素、無機炭素、及び導電種の寄与が非常に少ないからであり、これはTOC分析計を高感度及び高精度の用途、例えば製薬用水システムで用いるときに正確さを期するために重要である。他方、プラスチック管は、システムから廃棄流を導き出すために用いることができる。
【0061】
流れ選択弁14は、5つの入口接続部の1つに選択的に接続される1つの共通ポートを備えることにより、システムがTOC分析計による分析のために4つのサンプルバイアルの1つ又はオンライン液体のいずれかを選択することを可能にする。弁14は、動作時の湿潤条件下で導かれる水に対する炭素の寄与及び導電種の寄与を極めて低くするために選択される材料を用いることが好ましい。
【0062】
さらに別の発明の実施形態では、上述の(且つ図面に示すような)方法及び装置は、オンライン分析モード又は標準液分析モードで動作する代わりに任意の分析源から「グラブ」サンプルを定期的に得るように容易に適合させ利用することもできることが、当業者には明らかとなるであろう。
【0063】
本発明をその好適な実施形態を参照して詳細に説明し、本発明の説明に具体的な用語を用いているが、これらの用語は、限定のためでなく包括的且つ説明的な意味でのみ用いられており、そのように解釈されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載の本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、形態並びに詳細の、様々な変更、置換、及び修正を行ってもよいことが、当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】キー機能構成要素を示す、本発明による自動標準品サンプリング装置の好適な実施形態の概略正面図である。
【図2】図1に示す同じ組立体の概略右側面図である。
【図3A】本発明による「対応された(keyed)」バイアルセット組立体(セットの第1のバイアルと第2のバイアルの間に拡大間隔がある)の好適な実施形態を概略的に示す図であり、この組立体は、図1及び図2に示すもの等の自動標準品サンプリング装置との使用に適応される。
【図3B】図3Aにおいて見られるバイアルセット組立体の底面図を概略的に示す図であり、各標準品バイアルの一端にある穿刺可能なセプタムを具体的に示す。
【図4】図3Aに示すのと同様にバイアルセット組立体を概略的に示す図であるが、内部領域を露出させると共に複数のバイアルの上端、バイアルとハウジングとの係合の仕方、及びメモリストレージデバイスの配置を示すために、バイアルセットハウジングの前方部分、例えば2つの射出成形(通常はプラスチックの)シェルを備える部分が除去されている。
【図5】好適な発明の実施形態を概略的に示す図であり、本発明による自動標準品サンプリング装置50がオンラインTOC分析計52と統合されて、工業生産環境で用いられる1つの容易に搬送可能なユニットとしての小型分析システムを形成している。
【図6】本発明による自動標準品サンプリング装置内の流体回路を表す概略図である。
【図7】例えば図5に示す総合分析システムユニットにおけるような、本発明による自動標準品サンプリング装置の構成要素間、及び自動標準品サンプリング装置と関連のオンラインTOC分析計との間の電気的相互接続を表す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動標準品サンプリング装置であって、
バイアルセット組立体内の複数の標準品バイアル、若しくはオンライン流動液体サンプル、又は別の液体サンプルを、流体分析計に交互に流体的且つ電子的に結合する接続システムを備え、
前記接続システムが、前記オンライン液体サンプル又は前記標準品バイアルからの一連のサンプルを、所定の順序で前記分析計に送るように、又は任意に別の液体サンプルを前記分析計に定期的に送るように、前記接続システムを操作するコンピュータ情報読み取り及び制御システムと組み合わされる、自動標準品サンプリング装置。
【請求項2】
前記オンライン流動液体サンプル又は前記標準品バイアルの1つからのサンプルを、ハブ弁に運ぶと共に前記ハブ弁から前記分析計に運ぶ流体導管と、
前記ハブ弁及び前記分析計への液体の前記流れを制御するように、前記コンピュータ制御システムによって操作される流体弁を共に備える、請求項1に記載の自動標準品サンプリング装置。
【請求項3】
前記接続システムは、システム制御に必要なデータを提供すると共に相互接続された、流体の感知要素、情報読み取り要素、順序付け要素、及び流れ制御要素を備える、請求項1に記載の自動標準品サンプリング装置。
【請求項4】
前記感知要素、前記情報読み取り要素、前記順序付け要素、及び前記流れ制御要素のそれぞれを接続する電気接続ネットワークをさらに備える、請求項3に記載の自動標準品サンプリング装置。
【請求項5】
前記接続システムは、バイアルセット組立体の各標準品バイアルに関連する、少なくとも1つのサンプルニードル及び少なくとも1つのベントニードルをさらに備える、請求項1に記載の自動標準品サンプリング装置。
【請求項6】
前記サンプルニードル及び前記ベントニードルは、単一の同軸ニードル構造で構成される、請求項5に記載の自動標準品サンプリング装置。
【請求項7】
サンプルと分析前に接触する全ての装置構成要素及び表面は、実質的に不活性な材料から作製される、請求項1に記載の自動標準品サンプリング装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の自動標準品サンプリング装置を、液体分析計と組み合わせて備える、総合液体分析ユニット。
【請求項9】
前記液体分析計はTOC分析計である、請求項8に記載の総合液体分析ユニット。
【請求項10】
自動標準品サンプリングのためのシステムであって、
請求項8に記載の総合液体分析ユニットを、1つ又は複数のバイアルセット組立体と組み合わせて備え、
前記各バイアルセット組立体は、複数の個別の標準品バイアルと、前記個別のバイアルを互いに固定関係で保持するバイアルハウジングとを備え、
前記各バイアルセット組立体は、前記接続システムのニードル組立体を備えるニードルのセットと結合するようにサイズ決定及び適合される、システム。
【請求項11】
自動標準品サンプリングのためのシステムであって、
請求項8に記載の総合液体分析ユニットを、1つ又は複数のバイアルセット組立体と組み合わせて備え、
前記各バイアルセット組立体は、複数の個別の標準品バイアルと、前記個別のバイアルを互いに固定関係で保持するバイアルハウジングとを備え、
前記各バイアルセット組立体は、前記自動標準品サンプリング装置のバイアルチャンバのセットと結合するようにサイズ決定及び適合され、
各バイアルチャンバに、サンプルニードル及びベントニードルが取り付けられる、システム。
【請求項12】
前記各バイアルセット組立体は、前記バイアルセット組立体全体に関する情報及び前記バイアルセット組立体内の各個別の標準品バイアルに関する情報を含む、情報認識及び通信システムをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記各バイアルセット組立体は、前記バイアルセット組立体全体に関する情報及び前記バイアルセット組立体内の各個別の標準品バイアルに関する情報を含む、情報認識及び通信システムをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記情報認識及び通信システムは電子メモリストレージデバイスである、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記情報認識及び通信システムは電子メモリストレージデバイスである、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記情報認識及び通信システムはバーコード読み取りデバイスである、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記情報認識及び通信システムはバーコード読み取りデバイスである、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
バイアルセット組立体の各標準品バイアルに異なる標準液が入っている、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
バイアルセット組立体の各標準品バイアルに異なる標準液が入っている、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
バイアルセット組立体が、物理的機構によって自動標準品サンプリング装置に対応させられる、請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
バイアルセット組立体が、物理的機構によって自動標準品サンプリング装置に適合させられる、請求項11に記載のシステム。
【請求項22】
バイアルセット組立体の2つの隣接する標準品バイアル間の間隔が、前記バイアルセット組立体の他の隣接するバイアル間の間隔とは異なる間隔であり、
さらに、前記バイアルセット組立体の前記異なる間隔は、前記自動標準品サンプリング装置の対応するバイアルチャンバ間の異なる間隔に対応する、請求項11に記載のシステム。
【請求項23】
正しい流体サンプルをオンライン流体分析計に移すのに備えて前記流体サンプルをハブ弁に送ることにより、前記分析計の定期的試験に関連して自動標準品サンプリングを実行する準備をする方法であって、
(a)ニードル組立体部分を少なくとも部分的に備える接続システムを設けるステップであって、前記ニードル組立体部分が、バイアルセット組立体内の複数の標準品バイアル、若しくはオンライン流動液体サンプル、又は別の液体サンプルを、ハブ弁に交互に流体的且つ電子的に結合する、ステップと、
(b)前記オンライン液体サンプル又は前記標準品バイアルからの一連のサンプルを所定の順序で前記ハブ弁に送るように、又は任意に別の液体サンプルを前記ハブ弁に定期的に送るように、前記接続システムを操作する、コンピュータ情報読み取り及び制御システムを設けるステップと、
(c)前記接続システムの前記ニードル組立体部分を、バイアルハウジング内に前記複数の標準品バイアルを備えるバイアルセット組立体に結合するステップであって、各標準品バイアルに対して、前記ニードル組立体のサンプルニードル及びベントニードルが前記標準品バイアルの口を横断する穿刺可能なセプタムを穿刺することによって、必要に応じて前記バイアルから前記ハブ弁にサンプル部分を提供する、ステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記接続システムは、前記オンライン流動液体サンプル、又は前記標準品バイアルの1つからのサンプルを、ハブ弁に運ぶと共に前記ハブ弁から前記分析計に運ぶ流体導管と、
前記ハブ弁及び前記分析計への液体の前記流れを制御するように、前記コンピュータ制御システムによって操作される流体弁を共に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コンピュータ情報読み取り及び制御システムは、システム制御に必要なデータを提供すると共に相互接続された、流体の感知要素、情報読み取り要素、順序付け要素、及び流れ制御要素を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記コンピュータ情報読み取り及び制御システムは、前記感知要素、前記情報読み取り要素、前記順序付け要素、及び前記流れ制御要素のそれぞれを接続する電気接続ネットワークをさらに備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ニードル組立体部分は、バイアルセット組立体の各標準品バイアルに関連する、少なくとも1つのサンプルニードル及び少なくとも1つのベントニードルを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記サンプルニードル及び前記ベントニードルは、単一の同軸ニードル構造で構成される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
分析前においてはサンプルを実質的に不活性な材料から作製された表面にのみ接触させるステップをさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記バイアルハウジングは、前記個別のバイアルを互いに固定関係で保持する、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
さらに、前記各バイアルセット組立体は、前記バイアルセット組立体全体に関する情報及び前記バイアルセット組立体内の各個別の標準品バイアルに関する情報を含む、情報認識及び通信システムを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記情報認識及び通信システムは電子メモリストレージデバイスである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記情報認識及び通信システムはバーコード読み取りデバイスである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
バイアルセット組立体の各標準品バイアルに異なる標準液が入っている、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
バイアルセット組立体が、物理的機構によって自動標準品サンプリング装置に対応させられる、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
バイアルセット組立体の2つの隣接する標準品バイアル間の間隔が、前記バイアルセット組立体の他の隣接するバイアル間の間隔とは異なる間隔であり、
さらに、前記バイアルセット組立体の前記異なる間隔は、前記自動標準品サンプリング装置の対応するバイアルチャンバ間の異なる間隔に対応し、
前記バイアルチャンバは、前記対応する標準品バイアルを受け入れるようにサイズ決定及び適合される、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記流体サンプルを前記ハブ弁から流体分析計に移すステップをさらに含む、請求項23ないし36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記分析計はTOC分析計である、請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−510472(P2009−510472A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534576(P2008−534576)
【出願日】平成18年9月30日(2006.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/038254
【国際公開番号】WO2007/041400
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508102244)ジーイー アナリティカル インスツルメンツ, インク. (2)
【Fターム(参考)】