説明

自動略称作成装置及び自動略称作成プログラム

【課題】正式名称12から各利用者に対応した略称13を簡単に短時間で自動的に作成する。
【解決手段】各単語に対する1種類又は複数種類の略称ルール10を記憶する略称ルールデータベース8を設け、利用者の指示に基づいて略称ルールデータベース8に記憶された略称ルール10を指定する。この状態において、利用者を特定した正式名称12が入力されると、この正式名称12を複数の単語に分解する。そして、分解された複数の単語を略称ルールデータベース8に記憶された当該利用者(利用者ID)に指定された略称ルール10に基づいて単語単位の単位略称を作成する。最後に、この作成された各単位略称を結合して正式名称12の略称13とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業や団体等の組織の名称、商品の名称、役職、肩書等の文字数の多い正式名称から文字数の少ない略称を自動的に作成する自動略称作成装置、及び自動略称作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業や団体等の組織の名称、商品の名称、役職、肩書等の文字数の多い場合、この文字数の多い正式名称でなく、略称で呼ぶことがある。この場合、記載されたり、呼ばれた略称から、一つの正式名称を正確に特定できることが最低条件である。
【0003】
従来においては、管理部門が、経験と勘で正式名称が重複しないように略称を決めて、従業員に連絡したり、又は該当組織に所属する従業員が勝手に自己が所属する組織の正式名称の略称を名乗っていた。
【0004】
しかし、このような状態は、略称に対して、統一した基準がないので、混乱を招く懸念がある。そこで、特許文献1においては、略称対象の名称表示文字列を、単語辞書を用いて、複数の単語に分割し、分割された各単語の意味を、単語単体ではなくて、前後に隣接する単語の意味との関連において定める。そして、略称対象の名称表示文字列の中心的意味を示す単語から略注記表示文字列を得ている。
【特許文献1】特開2002−183118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような手法においては、一つの略称対象の名称表示文字列に対して、当該名称表示文字列に対して、この名称表示文字列の意味を最も正確に表す1個の略注記表示文字列が一義的に定まる。
【0006】
しかし、大企業や団体等においては、組織も大型化、複雑化して、組織の正式名称も長くなり、類似した正式名称が多く、差異は、営業第一部第一課、営業第一部第二課のように数字のみの場合が多い。
【0007】
さらに、企業や団体のおいては、組織の正式名称を略称する場合に、独自の基本方針を持っており、この基本方針を維持した状態で、複雑なかつ互いに類似した多くの正式名称を短時間で、正式名称が重複しないように略称を決めることが要求されている。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、例えば企業や団体等で代表される利用者毎に、正式名称から略称を作成する場合の略称ルールを設定可能であり、各利用者に対応した略称を簡単に短時間で自動的に作成できる自動略称作成装置、及び自動略称作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、数文字で構成された正式名称からこの正式名称の文字数の数より少ない文字数からなる略称を作成する自動略称作成装置において、各単語に対する1種類又は複数種類の略称ルールを記憶する略称ルールデータベースと、利用者の指示に基づいて略称ルールデータベースに記憶された略称ルールを指定する略称ルール指定手段と、利用者を特定した正式名称が入力されると、この正式名称を複数の単語に分解する分解手段と、この分解された複数の単語を略称ルールデータベースに記憶された当該利用者に指定された略称ルールに基づいて単語単位の単位略称を作成する単位略称作成手段と、この作成された各単位略称を結合して正式名称の略称とする略称作成手段とを備えている。
【0010】
このように構成された自動略称作成装置においては、略称ルールデータベース内には、各単語に対する1種類又は複数種類の略称ルールが記憶されている。そして、略称の作成依頼を出す例えば企業や団体の利用者は自己の基本方針に対応した略称ルールを略称ルールデータベース内で指定する。
【0011】
その後、利用者は、自己の利用者を特定した正式名称を自動略称作成装置へ入力すると、入力した正式名称は複数の単語に分解され、分解された複数の単語が利用者に指定された略称ルールに基づいて単語単位の単位略称が作成され、これらが結合されて、利用者の基本方針に対応した略称が得られる。
【0012】
また別の発明においては、上記発明の自動略称作成装置において、過去に作成された各単語と単位略称及び利用者特定情報を記憶する辞書データベースが設けられている。そして、単位略称作成手段は、分解手段で分解された単語のうち辞書データベースに記憶された単語に対しては、この辞書データベースに記憶された単位略称を用いている。さらに、単位略称作成手段で略称ルールデータベースに記憶された略称ルールを用いて作成された単位略称を、単語及び利用者情報を付して辞書データベースに追加書込する。
【0013】
このように構成された自動略称作成装置においては、一旦作成された単位略称は単語と利用者情報とが付されて辞書データベースに登録されるので、次回に入力される正式名称から略称を作成する場合の処理負担が軽減する。
【0014】
また、別の発明は、上記発明の自動略称作成装置において、各利用者にて指定された各利用者独自の各単語に対する独自略称ルールを記憶する独自略称ルールデータベースを設け、単位略称作成手段は、一般の略称ルールデータベースの略称ルールに対して独自略称ルールデータベースの略称ルールを優先して単位略称を作成する。
【0015】
このように構成された自動略称作成装置においては、各利用者は略称ルールデータベースでこの自動略称作成装置に予め準備されている略称ルールを選択指定できると共に利用者が独自に独自略称ルールを独自略称ルールデータベースに登録可能であるので、各利用者は一層自己に対してカスタマイズされた略称を得ることが可能である。
【0016】
また、別の発明は自動略称作成プログラムである。この自動略称作成プログラムは、複数文字で構成された正式名称からこの正式名称の文字数の数より少ない文字数からなる略称を作成するコンピュータを、各単語に対する1種類又は複数種類の略称ルールを記憶する略称ルールデータベースに記憶された略称ルールを利用者の指示に基づいて指定する略称ルール指定手段、利用者を特定した正式名称が入力されると、この正式名称を複数の単語に分解する分解手段、この分解された複数の単語を略称ルールデータベースに記憶された当該利用者に指定された略称ルールに基づいて単語単位の単位略称を作成する単位略称作成手段、この作成された各単位略称を結合して正式名称に略称とする略称作成手段として機能させる。
【0017】
このように構成された自動略称作成プログラムにおいても、先の発明の自動略称作装置とほぼ同様の作用効果を奏することが可能である。
【0018】
さらに、別の発明の自動略称プログラムは、コンピュータを、独自略称ルールデータベースに、各利用者にて指定された各利用者独自の各単語に対する独自の略称ルールを記憶する手段として機能させている。さらに、記コンピュータが機能させる単位略称作成手段は、略称ルールデータベースの略称ルールに対して独自略称ルールデータベースの略称ルールを優先して単位略称を作成する。
【0019】
このように構成された自動略称プログラムにおいても、先に説明した自動略称作成とほぼ同様の作用効果を奏することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、例えば企業や団体等で代表される利用者毎に、正式名称から略称を作成する場合の略称ルールを設定可能であり、各利用者に対応した略称を簡単に短時間で自動的に作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係わる自動略称作成プログラムが組込まれた自動略称作成装置が組込まれたネットワークシステムを示す模式図である。
【0023】
インターネット1に対して実施形態の1台の自動略称作成装置2、及び複数の利用者装置3a、3b、3cが接続されている。例えば、利用者装置3aは各企業や団体のコンピュータシステム4に人事給与システム5a、生産管理システム5b、営業システム5cと共に組込まれており、自己が所属する企業や団体の組織が変更になって新たに多数の各部署を示す正式名称が生じた場合にインターネット1を介して自動略称作成装置2へ正式名称に対応する略称の作成依頼を送出する。
【0024】
他の利用者装置3b、3cも先の利用者装置3aと同様に企業や団体のコンピュータシステムに組込まれている。そして、自動略称作成装置2に略称の作成依頼を送出する。各利用者装置3a〜3cは利用者を特定する利用者IDが付されている。
【0025】
図2は例えばコンピュータシステムで構成された第1実施形態に係わる自動略称作成装置2の概略構成を示すブロック図である。この自動略称作成装置2は、インターネット1を介して各利用者装置3a〜3cに接続されるクライアント6と、名称管理サーバ7と、略称ルールデータベース8と、名称データベース9とで構成されている。
【0026】
クライアント6においては、インターフェース、表示器、操作部が組込まれており、利用者装置3a〜3cから正式名称、略称を入力したり、登録された正式名称、略称を表示させるソフトウェアを実装するコンピュータで構成されたPC端末などが考えられる。
【0027】
一方、名称管理サーバ7は、クライアント6と接続されているコンピュータであり、PCサーバ等が考えられる。名称管理サーバ7内には、アプリケーションプログラム上に形成されたプログラムモジュールとしての略称ルール設定・参照部14、略称作成・参照部15、正式名称入力・参照部16が設けられている。
【0028】
略称ルールデータベース8内には、図3に示すように、各正式名称に一般的に含まれる各単語から当該単語に対応する単位略称を作成するための複数の略称ルール10がこの自動略称作成装置2の設計者又は管理者にて予め設定されている。具体的には、各ルール番号に対して略称ルール10、文字区分、適用対象、優先度、設定、利用者IDが記憶されている。
【0029】
文字区分とは、当該略称ルール10が適用される単語の文字区分を示し、漢字[漢]、カタカナ[カナ]、ひらかな[かな]、英数[英]、全文字[全]等がこの自動略称作成装置2の設計者にて予め設定される。さらに、適用対象とは、この略称ルールが適用される正式名称の種別を示す。例えば、組織、商品、個人(役職名)等が設定されている。
【0030】
優先度とは、一つの単語に対して複数の略称ルール10が適用可能となった場合を想定して、重要な略称ルール10を優先して、使用することを意味する。設定とは、前述した企業や団体等の各利用者が自己の利用者装置3a〜3cで、自己の正式名称12から略称13を作成する場合に用いることを示す。利用者ID11は、当該略称ルール10を選択した利用者である。したがって、一つの略称ルール10に対して、複数の利用者ID11が設定される場合もある。
【0031】
例えば、ルール番号1の「単語の文頭のX文字で省略する。」の略称ルール10は、X=2の場合、「システム」の単語は、文頭の2文字「シス」で表現し、この「シス」が単語「システム」に対して作成された単位略称となる。
【0032】
また、ルール番号2の「漢字は、よみがなに修正後、略す」の略称ルール10は、例えば「営業」の単語を「エイギョウ」のカナ文字に変換した後、「エイ」の2文字の単位略称となる。ルール番号3の「数字はアラビア数字になおす」の略称ルール10、及びルール番号4の「課、部は省略する」の略称ルール10は、例えば、「第一課」は「1」の単位略称となる。
【0033】
したがって、ルール番号1〜4の4個の略称ルール10を用いることによって、例えば、「システム営業第1課」の正式名称12は、3個の単語「システム」、「営業」、「第1課」の単語に分解され、各単語に対する単位略称「シス」、「エイ」、「1」を合成した「シスエイ1」の略称13が得られる。
【0034】
名称データベース9には、図4に示すように、この自動略称作成装置2で作成され、登録された、データIDが付された正式名称12、略称13、利用者の利用者ID11とが記憶されている。
【0035】
次に管理サーバ7の各部14、15、16の動作を図5の流れ図を用いて説明する。各利用者装置3a〜3cから自己の利用者ID11を指定した略称ルール設定参照要求がネットワーク1及びクライアント6を介して入力されると(ステップS1)、略称ルール設定・参照部14が図6に示すルール設定参照処理を実行する(S2)。
【0036】
そして、ルール設定参照処理が開始されると、略称ルールの参照要求の場合(S2―1)、略称ルールデータベース8内の指定された利用者ID11の略称ルール10を読出して、クライアント6を介して要求元の利用者装置3a〜3cへ送信する(S2―2)。
【0037】
略称ルールの設定要求の場合(S2―1)、利用者装置3a〜3cから指定された略称ルール10に対して要求元の利用者の利用者ID11を設定する(S2―3)。なお、略称ルールデータベース8内に記憶されている全部の略称ルール10を要求元の利用者装置3a〜3cへ送信して、利用者に選択させることも可能である。
【0038】
図5のS3にて、各利用者装置3a〜3cから自己の利用者ID11を指定した正式名称参照入力要求が入力されると、正式名称入力・参照部16が図7に示す正式名称入力参照処理を行う(S4)。正式名称入力参照処理が開始されると、各利用者装置3a〜3cからの正式名称の参照要求の場合(S4―1)、名称データベース9に記憶されている指定された利用者ID11が設定されている全部の正式名称12を読出して要求元の利用者装置3a〜3cへ送出する(S4−2)。また、各利用者装置3a〜3cからの新規の正式名称12に対する登録要求の場合(S4―1)、入力された正式名称12を新たなデータID、利用者IDを付して名称データベース9に登録する。なお、この新規登録された正式名称12には、まだ略称13は設定されていない。
【0039】
図5のS5にて、各利用者装置3a〜3cから自己の利用者ID11を指定した略称の作成参照要求が入力されると、略称作成・参照部15が図8に示す略称作成参照処理を実施する(S6)。略称作成参照処理が開始されると、各利用者装置3a〜3cからの略称参照要求の場合(S6―1)、名称データベース9に記憶されている指定された利用者ID11が設定されている全部の略称13を読出して要求元の利用者装置3a〜3cへ送出する(S6−2)。略称作成要求の場合(S6―1)、名称データベース9に記憶されているまだ略称13が作成されていない該当利用者IDの正式名称12を読出す(S6―3)。
【0040】
次に、読出した正式名称12を複数の単語に分割する(S6−4)。この複数文字で構成された一連の文字列を、それぞれ意味を有した複数の単語に分割する手法は既に種々の手法が実用化されているが、ここでは、正式名称12を頭から1文字ずつ文字数を増やしていき、辞書で検索し、該当する単語が辞書に記載されていた場合に該当文字列を1単語とする。該当しない場合は語が終了した時点、カナ漢字の区分が変わった時点で1単語とする。また、単語単位で、文字区分(漢字、カタカナ、ひらがな)を判定する。
【0041】
例えば、正式名称「システム営業第一課」は「システム」、「営業」、「第一課」の3つの単語に分割できる。なお、最後の「第一課」は辞書に登録されていない場合もある。
【0042】
次に、得られた各単語に対して、作成要求元の利用者IDが付された略称ルール10を略称ルールデータベース8から読み出して、この読出した各略称ルール10を用いて各単語から対応する単位略称を作成する(S6−5)。より、具体的には、略称ルールデータベース8から、対応する文字区分、適用範囲の略称ルール10を呼び出し、さらに優先度数の順に適用する。
【0043】
例えば、正式名称「システム営業第一課」を構成する「システム」、「営業」、「第一課」の3つの単語のうちの「システム」の単語は、ルール番号1の「最初の2文字で要約する」、適用対象「組織」、文字区分「全」、優先度「100」を用いて、「シス」の単位略称を得る。同様に、「営業」の単語は「営」の単位略称となり、さらに、「第一課」は、「課、部は省略する」の略称ルール10用いて、「1」の単位略略称となる。
【0044】
このようにして得られた各単語に対する各単位略称を合成して正式名称12に対する略称13とする。そして、この新規の作成した略称13を名称データベース9の該当する正式名称12の欄に書き込む(S6−6)
例えば、正式名称「システム営業第一課」においては、3つの単位略称「シス」、「営」、「1」を合成して正式名称「システム営業第一課」の正式名称12に対する「シス営1」の略称13する。
【0045】
また、図5のS7にて、各利用者装置3a〜3cから自己の利用者ID11を指定した正式名称12が入力されると、名称データベース9内に記憶されている当該正式名称12に対応する略称13を読出して要求元の利用者装置3a〜3cに返信する(S8)。
【0046】
また、図5のS9にて、各利用者装置3a〜3cから自己の利用者ID11を指定した略称13が入力されると、名称データベース9内に記憶されている当該略称13に対応する正式名称12を読出して要求元の利用者装置3a〜3cに返信する。
【0047】
このように構成された第1実施形態の自動略称作成装置2においては、略称ルールデータベース8内には、図3に示すように、正式名称12を構成する各単語に対する1種類又は複数種類の略称ルール10が記憶されている。
【0048】
そして、略称13の作成依頼を出す利用者は自己の利用者装置3a〜3cを操作して、自己の基本方針に対応した略称ルール10を略称ルールデータベース8内で指定する。その後、利用者は、自己の利用者を特定した正式名称12に対する略称13の作成要求を指示すると、正式名称12は複数の単語に分解され、分解された複数の単語が利用者に指定された略称ルールに基づいて単語単位の単位略称が作成され、これらが結合されて、利用者の基本方針に対応した略称13が得られる。
【0049】
このように、第1実施形態の自動略称作成装置2においては、例えば企業や団体等で代表される利用者毎に、正式名称12から略称13を作成する場合の略称ルール10を任意に選択設定可能となり、各利用者毎に当該利用者に対するサービスを大幅に向上できる。
【0050】
(第2実施形態)
図9は本発明の第2実施形態に係わる自動略称作成装置2aの概略構成を示すブロック図である。図2に示す第1実施形態の自動略称作成装置2と同一部分には同一符号が付してある。したがって、重複する部分の詳細説明は省略する。
【0051】
この第2実施形態の自動略称作成装置2aは、インターネット1を介して各利用者装置3a〜3cに接続されるクライアント6と、名称管理サーバ7aと、略称ルールデータベース8と、名称データベース9と、辞書データベース17とで構成されている。
【0052】
辞書データベース17内には、図10に示すように、この自動略称作成装置2aで作成された各単語19の単位略称20が、利用者ID11が付されて記憶されている。例えば、「営業」の単語19は、「営」の単位略称20と「エイ」の単位略称20との2種類の単位略称20が設定されている。この理由は、当該単語19に適用する略称ルール10が異なるからである。したがって、各単位略称20には、異なる利用者ID11が付されている。
【0053】
また、名称管理サーバ7a内には、アプリケーションプログラム上に形成されたプログラムモジュールとしての略称ルール設定・参照部14、略称作成・参照部15a、辞書登録・参照部18、正式名称入力・参照部16が設けられている。
【0054】
次に管理サーバ7aの各部14、15a、16、18の動作を図11の流れ図を用いて説明する。図11の流れ図のうち図5に示す第1実施形態の管理サーバ7の流れ図と同一部分には、同一符号を付して、重複する部分の詳細説明は省略する。
【0055】
図11のステップS5にて、各利用者装置3a〜3cから自己の利用者ID11を指定した略称の作成参照要求が入力すると、略称作成・参照部15aが図12に示す略称作成参照処理を実施する(S6A)。略称作成参照処理が開始されると、各利用者装置3a〜3cからの略称参照要求の場合(S6A―1)、名称データベース9に記憶されている指定された利用者ID11が設定されている全部の略称13を読出して要求元の利用者装置3a〜3cへ送出する(S6A−2)。
【0056】
略称作成要求の場合(S6A―1)、名称データベース9に記憶されているまだ略称13が作成されていない該当利用者IDの正式名称12を読出す(S6A―3)。
【0057】
次に、正式名称12を複数の単語に分割する(S6A−4)。この第2実施形態においては、正式名称12を頭から1文字ずつ文字数を増やしていき、辞書データベース17の各単語19で検索し、該当する場合に該当単語19を1単語とする。辞書データベース17内の単語19が存在しない場合は語が終了した時点、カナ漢字の区分が変わった時点で1単語とする。単語単位で、文字区分(漢字、カタカナ、ひらがな)を判定する。
【0058】
例えば、図13に示すように、「システム営業第一課」の正式名称12の「システム」、「営業」の各単語19は、辞書データベース17に登録されているが、「第一課」は、辞書データベース17に登録されていない。
【0059】
次に、得られた各単語に対して、辞書データベース17に作成要求元の利用者ID11が付された単語19に一致するかを判定して、一致する単語19に対して、この辞書データベース17に記憶されている単位略称20を読出す。
【0060】
この辞書データベース17に登録されていない単語に対しては、登録作成要求元の利用者IDが付された略称ルール10を略称ルールデータベース8から読出して、この読出した各略称ルール10を用いて各単語から対応する単位略称を作成する(S6A−5)。より具体的には、略称ルールデータベース8から、対応する文字区分、適用範囲の略称ルール10を呼び出し、さらに優先度数の順に適用する。
【0061】
例えば、図13に示すように、正式名称「システム営業第一課」を構成する「システム」、「営業」、「第一課」の3つの単語のうちの「システム」、「営業」の単語の単位略称は辞書データベース17に既に設定されている単位略称20を採用し、「第一課」の単語については、略称ルールデータベース8の略称ルール10を用いて単位略称を作成する。
【0062】
このようにして得られた各単語19に対する各単位略称20を合成して正式名称12に対する略称13とする。そして、この新規の作成した略称13を名称データベース9の該当する正式名称12の欄に書き込む(S6A−6)。
【0063】
例えば、正式名称「システム営業第一課」においては、3つの単位略称「シス」、「営」、「1」を合成して正式名称「システム営業第一課」の正式名称12に対する「シス営1」の略称13とする。
【0064】
また、図11のS11にて、各利用者装置3a〜3cから自己の利用者ID11を指定した辞書登録参照要求が入力されると、辞書登録・参照部18が図14に示す辞書登録参照処理を行う(S12)。辞書登録参照処理が開始されると、各利用者装置3a〜3cからの単語19及び単位略称20の参照要求の場合(S12―1)、辞書データベース17に記憶されている指定された利用者ID11が設定されている全部の単語19及び単位略称20を読出して要求元の利用者装置3a〜3cへ送出する(S12−2)。また、各利用者装置3a〜3cからの新規の正式名称12に対する登録要求の場合(S12―1)、先の図12のS6A―5で略称ルール10を用いて作成した単語に対する単位略称を利用者ID11を付して辞書データベース17に新規登録する(S12−3)。
【0065】
このように構成された第2実施形態の自動略称作成装置2aにおいては、この自動略称作成装置2aで作成された各単語19の単位略称20は利用者ID11が付されて辞書データベース17に記憶されている。したがって、一旦、作成された単位略称20は単語19と利用者ID情報とが付されて登録されるので、次回に入力される正式名称12から略称13を作成する場合の処理負担が軽減する。
【0066】
(第3実施形態)
図15は本発明の第3実施形態に係わる自動略称作成装置2bの概略構成を示すブロック図である。図2に示す第1実施形態の自動略称作成装置2と同一部分には同一符号が付してある。したがって、重複する部分の詳細説明は省略する。
【0067】
この第3実施形態の自動略称作成装置2bは、インターネット1を介して各利用者装置3a〜3cに接続されるクライアント6と、名称管理サーバ7baと、略称ルールデータベース8と、独自略称ルールデータベース21と、名称データベース9とで構成されている。
【0068】
独自略称ルールデータベース21内には、図16に示すように、各利用者が自己の利用者装置3a〜3cを用いて設定した略称ルールに係わる利用者独自の独自略称ルール22が、独自ルール番号、適用対象、文字区分、利用者IDが付されて記憶保持されている。この独自略称ルール22は、略称ルールデータベース8に設定されているこの自動略称作成装置2bの設計者や、技術者が作成した略称ルール10では、補いきれない利用者独自の詳細な略称ルールである。
【0069】
例えば、独自ルール番号=1の「変換後の文字種→カナ」の独自略称ルール22は、略称ルールデータベース8の略称ルール10のかわりに分割した単語文字列に適用され、単語文字列をカナ文字に変換することを意味する。独自ルール番号=3の「変換後の文字数→3」の独自略称ルール22は、略称ルールデータベース8の略称ルール10のかわりに分割した単語文字列に適用され、文字数を3に変更することを意味する。
【0070】
例えば、略称ルールデータベース8の略称ルール10における「単語の文頭の2文字で省略する」を適用すると、「ソフトウェア」の単語は「ソフ」の2文字の単位略称20となるが、「変換後の文字数→3」の独自略称ルール22を採用することによって、誰もが意味を理解できる「ソフト」の3文字の単位略称20とすることが可能である。
【0071】
したがって、この独自略称ルール22は、利用者IDを指定して、単語を単位略称に変換するときに、互いに相反するルールが選択されたときに最優先度に設定される。
【0072】
また、名称管理サーバ7b内には、アプリケーションプログラム上に形成されたプログラムモジュールとしての独自ルール作成・参照部23、略称ルール設定・参照部14、略称作成・参照部15b、正式名称入力・参照部16が設けられている。
【0073】
略称ルール設定・参照部14、正式名称入力・参照部16の具体的処理内容は、第1実施形態の図6に示すルール設定参照処理、図7に示す正式名称入力処理と同じであるので説明を省略する。
【0074】
独自ルール作成・参照部23は、各利用者装置3a〜3cから自己の利用者ID11を指定した独自ルール作成・参照要求が入力されると、図17に示す独自ルール作成参照処理を行う。独自ルール作成参照処理が開始されると、各利用者装置3a〜3cからの独自略称ルール22の参照要求の場合(S13)、独自略称ルールデータベース21内における該当利用者の利用者ID11の全部の独自略称ルール22を読出して、要求元の利用者装置3a〜3cへ送出する(S14)。
【0075】
また、各利用者装置3a〜3cからの独自略称ルール22の設定要求の場合(S13)、利用者によって、自己の利用者装置3a〜3cから入力された、自己の利用者ID11が付された独自略称ルール22を独自略称ルールデータベース21内の新規領域に書き込む(S15)。
【0076】
略称作成・参照部15bは、各利用者装置3a〜3cから自己の利用者ID11を指定した略称作成参照要求が入力されると、図18に示す略称作成参照処理を実行する。略称作成参照処理が開始されると、各利用者装置3a〜3cからの略称参照要求の場合(S16)、名称データベース9に記憶されている指定された利用者ID11が設定されている全部の略称13を読出して要求元の利用者装置3a〜3cへ送出する(S17)。
【0077】
略称作成要求の場合(S16)、名称データベース9に記憶されているまだ略称13が作成されていない該当利用者IDの正式名称12を読出す。この正式名称12を複数の単語に分割し、各単語を、略称ルールデータベース8に記憶されている該当利用者IDの略称ルール10、及び独自略称ルールデータベース21に記憶されている該当利用者IDの独自略称ルール22を用いて、単位略称を作成する。このようにして得られた各単語に対する各単位略称を合成して正式名称12に対する略称13とする。そして、この新規に作成した略称13を名称データベース9の該当する正式名称12の欄に書込む(S18)。
【0078】
このように構成された第3実施形態の自動略称作成装置2bにおいては、独自略称ルールデータベース21内には、図16に示すように、各利用者が自己の利用者装置3a〜3cを用いて設定した略称ルールに係わる利用者独自の独自略称ルール22が、独自ルール番号、適用対象、利用者IDが付されて記憶保持されている。
【0079】
したがって、各利用者は、自己の正式名称12に対して、目的に応じた自己専用の略称13を作成することが可能であるので、顧客としての利用客に対するサービスをより一層向上できる。
【0080】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。各実施形態においては、各利用者が新規の正式名称12の略称13の作成依頼を行う場合に、この正式名称12を一旦名称データベース9に登録した後、改めて略称の作成要求を自動略称作成装置2、2a,2bに入力したが、例えば、正式名称12と略称作成要求とを同時に自動略称作成装置2、2a,2bに入力することも可能である。この場合、名称データベース9には、作成された後において、正式名称12と略称13とのセットが同時に書込まれる。
【0081】
さらに、各実施形態においては、自動略称作成装置2、2a、2bはインターネット1を介して各利用者装置3a〜3cに接続したが、各利用者の要求を担当者が例えば電話等で受けて、クライアント6にマニュアル操作で入力することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる自動略称プログラムが組込まれた自動略称作成装置が組込まれたネットワークシステムを示す模式図。
【図2】同自動略称作成装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】同自動略称作成装置内に設けられた略称ルールデータベースの記憶内容を示す図。
【図4】同自動略称作成装置内に設けられた名称データベースの記憶内容を示す図。
【図5】同自動略称作成装置の全体動作を示す流れ図。
【図6】同自動略称作成装置の略称ルール設定・参照部の動作を示す流れ図。
【図7】同自動略称作成装置の正式名称入力・参照部の動作を示す流れ図。
【図8】同自動略称作成装置の略称作成・参照部の動作を示す流れ図。
【図9】本発明の第2実施形態に係わる自動略称作成装置の概略構成を示すブロック図。
【図10】同自動略称作成装置内に設けられた辞書データベースの記憶内容を示す図。
【図11】同自動略称作成装置の全体動作を示す流れ図。
【図12】同自動略称作成装置の略称作成・参照部の動作を示す流れ図。
【図13】同自動略称作成装置の略称作成・参照部の動作を説明するための模式図。
【図14】同自動略称作成装置の辞書登録・参照部の動作を示す流れ図。
【図15】本発明の第3実施形態に係わる自動略称作成装置の概略構成を示すブロック図。
【図16】同自動略称作成装置内に設けられた独自略称ルールデータベースの記憶内容を示す図。
【図17】同自動略称作成装置の独自ルール作成・参照部の動作を示す流れ図。
【図18】同自動略称作成装置の略称作成・参照部の動作を示す流れ図。
【符号の説明】
【0083】
1…インターネット、2,2a,2b…自動略称作成装置、3a,3b,3c…利用者処理装置、6…クライアント、7,7a,7b…名称管理サーバ、8…略称ルールデータベース、9…名称データベース、10…略称ルール、11…利用者ID、12…正式名称、13…略称、14…略称ルール設定・参照部、15…略称作成・参照部、16…正式名称入力・参照部、17…辞書データベース、18…辞書登録・酸勝部、19…単語、20…単位略称、21…独自略称ルールデータベース、22…独自略称ルール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数文字で構成された正式名称からこの正式名称の文字数の数より少ない文字数からなる略称を作成する自動略称作成装置において、
各単語に対する1種類又は複数種類の略称ルールを記憶する略称ルールデータベースと、
利用者の指示に基づいて前記略称ルールデータベースに記憶された略称ルールを指定する略称ルール指定手段と、
利用者を特定した正式名称が入力されると、この正式名称を複数の単語に分解する分解手段と、
この分解された複数の単語を前記略称ルールデータベースに記憶された当該利用者に指定された略称ルールに基づいて単語単位の単位略称を作成する単位略称作成手段と、
この作成された各単位略称を結合して前記正式名称の略称とする略称作成手段と
を備えたことを特徴とする自動略称作成装置。
【請求項2】
過去に作成された各単語と単位略称と利用者特定情報とを記憶する辞書データベースを有し、
前記単位略称作成手段は、前記分解手段で分解された単語のうち前記辞書データベースに記憶された単語に対しては、この辞書データベースに記憶された単位略称を用い、
前記単位略称作成手段で前記略称ルールデータベースに記憶された略称ルールを用いて作成された単位略称に、対応する単語及び利用者情報を付して前記辞書データベースに追加書込する辞書データベース更新手段を有した
ことを特徴とする請求項1記載の自動略称作成装置。
【請求項3】
各利用者により指定された各利用者独自の各単語に対する独自略称ルールを記憶する独自略称ルールデータベースを設け、
前記単位略称作成手段は、前記略称ルールデータベースの略称ルールに対して独自略称ルールデータベースの独自略称ルールを優先して単位略称を作成する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の自動略称作成装置。
【請求項4】
複数文字で構成された正式名称からこの正式名称の文字数の数より少ない文字数からなる略称を作成するコンピュータを、
各単語に対する1種類又は複数種類の略称ルールを記憶する略称ルールデータベースに記憶された略称ルールを利用者の指示に基づいて指定する略称ルール指定手段、
利用者を特定した正式名称が入力されると、この正式名称を複数の単語に分解する分解手段、
この分解された複数の単語を前記略称ルールデータベースに記憶された当該利用者に指定された略称ルールに基づいて単語単位の単位略称を作成する単位略称作成手段、
この作成された各単位略称を結合して前記正式名称の略称とする略称作成手段
として機能させるための自動略称作成プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、独自略称ルールデータベースに、各利用者にて指定された各利用者独自の各単語に対する独自略称ルールを記憶する手段として機能させ、
前記コンピュータが機能させる前記単位略称作成手段は、前記略称ルールデータベースの略称ルールに対して独自略称ルールデータベースの独自略称ルールを優先して単位略称を作成する
ことを特徴とする請求項4記載の自動略称作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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