説明

自動監視システム、自動監視方法、及びプログラム

【課題】 電話営業における営業員と顧客の通話内容を即時にチェック可能なシステムを提供し、顧客の保護を強化するとともに、取引の公正を図り、企業の社会的信用を守ることを目的としている。
【解決手段】 本自動監視システムは、一以上のキーワードを記憶するためのキーワード記憶手段と、通話内容を録音した音声ファイルを取得する手段と、取得した音声ファイルを基にして、通話内容をテキスト検索可能な形式のデータに変換して、当該テキスト検索可能な形式のデータを含む検索対象ファイルを作成する手段と、作成された検索対象ファイルに対して、キーワード記憶手段に記憶されたキーワード毎に類似度検索を行い、キーワード毎に類似度を算出する手段と、算出した類似度が、予め設定された値より大きいと判定されるキーワードが存在する場合に警告を通知する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話営業等の通話内容を自動監視するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な業種において営業活動が行われている。近年、インターネット等を利用する電子商取引が普及するにつれて、商品の販売・勧誘における顧客の保護強化が一層求められ、営業活動における法令遵守は、企業の社会的信用を守る上でも重要となっている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−30444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、対面型証券会社の株式取引ブローカー業務は、電話による勧誘行為が中心である。一般に、営業員と顧客との通話内容は全て録音されているが、顧客からの申し出がない限り、会話の内容はチェックされない。内部検査でチェックすることもあるが、録音の一部をサンプルチェックするにとどまる。そのため、これまで、営業員がコンプライアンスに違反する勧誘行為を行っていたとしても、多額の損失が発生し顧客が問題を訴えるまで発覚しないことが多い。
【0004】
本発明は、かかる実情に鑑み、電話営業における営業員と顧客の通話内容を即時にチェックして、コンプライアンス違反の勧誘行為をリアルタイムに監視できるシステムを提供し、顧客の保護を強化するとともに、取引の公正を図り、企業の社会的信用を守ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の自動監視システムは、一以上のキーワードを記憶するためのキーワード記憶手段と、通話内容を録音した音声ファイルを取得する音声ファイル取得手段と、取得した音声ファイルを基にして、通話内容をテキスト検索可能な形式のデータに変換して、当該テキスト検索可能な形式のデータを含む検索対象ファイルを作成する検索対象ファイル作成手段と、検索対象ファイル作成手段により作成された検索対象ファイルに対して、キーワード記憶手段に記憶されたキーワード毎に類似度検索を行い、キーワード毎に類似度を算出する類似度検索手段と、類似度検索手段により算出した類似度が、予め設定された値より大きいと判定されるキーワードが存在する場合に警告を通知する通知手段と、を備える。
【0006】
好適には、上記自動監視システムのキーワード記憶手段は、キーワードに関連付けて重要度を記憶してなり、通知手段は、類似度検索手段により算出した類似度が、重要度に応じて予め設定された値より大きいと判定されるキーワードが存在する場合に警告を通知する。
【0007】
好適には、上記自動監視システムの音声ファイル取得手段は、音声ファイルをデータベースから取得する。
【0008】
好適には、上記自動監視システムの音声ファイル取得手段は、さらに、取得する音声ファイルに係る通話がなされた回線の内線番号を取得し、通知手段は、警告を通知する際に、音声ファイルのファイル名と内線番号とを、監視人用端末装置に通知する。
【0009】
また、本発明の自動監視方法は、一以上のキーワードを記憶するためのキーワード記憶手段と、システム全体の動作を制御する制御手段と、を備える自動監視システムにおいて、自動監視を行う方法であって、制御手段は、通話内容を録音した音声ファイルを取得するステップと、取得した音声ファイルを基にして、通話内容をテキスト検索可能な形式のデータに変換して、当該テキスト検索可能な形式のデータを含む検索対象ファイルを作成するステップと、作成された検索対象ファイルに対して、キーワード記憶手段に記憶されたキーワード毎に類似度検索を行い、キーワード毎に類似度を算出するステップと、算出された類似度が、予め設定された値より大きいと判定されるキーワードが存在する場合に警告を通知するステップと、を備える。
【0010】
好適には、上記自動監視方法は、キーワード記憶手段は、キーワードに関連付けて重要度を記憶してなり、通知するステップは、算出された類似度が、重要度に応じて予め設定された値より大きいと判定されるキーワードが存在する場合に警告を通知する。
【0011】
本発明のプログラムは、本発明の自動監視方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。本発明のプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0012】
なお、本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。
【0013】
また、本明細書等において、「電話」とは、いわゆるIP電話を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電話営業における営業員と顧客の通話内容を即時にチェックすることが可能となる。これにより、コンプライアンス違反の勧誘行為をリアルタイムに監視することが可能となるため、顧客の保護を強化するとともに、取引の公正を図り、企業の社会的信用を守るという効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本自動監視システムの実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る自動監視システム10を含むシステム全体の概要を表した図である。図1に示すように、本自動監視システム10は、通話内容録音システム20と、ユーザ端末装置30とがLAN等のネットワーク40を介して相互に接続されることにより構成される。
【0017】
自動監視システム10は、電話営業における通話の中で、営業員が不適切な言葉を発していないかどうかを監視するためのコンピュータ・システムである。通話内容録音システム20から音声ファイルを取得し、当該取得した音声ファイルの音声データをテキストデータ等のテキスト検索可能な形式のデータに変換する。そして、当該データ中に、監視人が予め登録しておいたキーワードが存在するか否かを判断する機能を有する。
【0018】
通話内容録音システム20は、電話営業において営業員が顧客と会話をした全ての通話を録音して保存するためのコンピュータ・システムである。通話内容録音システム20は、1回の通話毎に当該通話の会話音声を録音した音声ファイルを作成し、1回の通話が終わる度に、作成した音声ファイルと当該通話がなされた内線番号とを対応付けて、音声ファイルデータベース22に保存する機能を有する。音声ファイルは、アナログ形式、デジタル形式の何れでも構わないが、好ましくは、wave形式等のデジタル音声フォーマットを使用するとよい。なお、通話内容録音システム20は公知のVoIP録音システムを使用できる。
【0019】
ユーザ端末装置30は、営業員がコンプライアンスに違反する勧誘行為を行っていないかどうかを監視する監視人等が使用する端末装置であって、監視人等がキーワードを登録するための端末装置であり、従来のパーソナルコンピュータや携帯端末装置等を使用できる。
【0020】
ネットワーク40は、自動監視システム10と通話内容録音システム20とユーザ端末装置30との間で情報を送受信するための通信回線である。例えば、LAN、インターネット、専用線、パケット通信網、電話回線、企業内ネットワーク、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0021】
図2は、自動監視システム10のハードウェア構成の概略を示す図である。自動監視システム10は、図2に示すようなCPU11、ROMやRAM等のメモリ12、各種情報を格納する外部記憶装置13、入力インタフェース14、出力インタフェース15、通信インタフェース16及びこれらを結ぶバス17を備える汎用のコンピュータを適用することができる。
【0022】
なお、自動監視システム10は、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成されるものであってもよい。また、単一のコンピュータが複数のサーバ機能を備えてもよい。自動監視システム10は、CPUが、メモリまたは外部記憶装置などに記憶された所定のプログラムを実行することにより、各種機能実現手段として、自動監視システム10を機能させる。
【0023】
図3は、自動監視システム10の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、自動監視システム10は、本実施形態における主な構成として、ネットワーク40と接続され、通話内容録音システム20またはユーザ端末装置30との間でデータ通信を行うための通信手段110と、自動監視システム10の動作ないし処理全体を制御する制御手段120と、各種情報を記憶するための記憶手段130と、を備える。
【0024】
制御手段120は、キーワード登録手段121と、音声ファイル取得手段122と、検索対象ファイル作成手段123と、類似度検索手段124と、通知手段125と、をさらに備える。記憶手段130は、キーワード記憶手段131と、音声ファイル記憶手段132と、検索対象ファイル記憶手段133と、検索結果記憶手段134と、をさらに備える。
【0025】
通信手段110は、ネットワーク40を介して、通話内容録音システム20またはユーザ端末装置30に対して情報を入出力可能に構成されており、例えばTCP/IPドライバ等の通信モジュールを備える。
【0026】
キーワード登録手段121は、監視人がユーザ端末装置30から入力したキーワードと重要度を受信して、キーワード記憶手段131に登録する機能を有する。ここで、キーワードとは、会話の中で使用されるのが不適切な言葉のことであり、証券取引においては、例えば「絶対儲かる」、「元本保証」などの言葉である。また、重要度とは、キーワードの重要さをランク付ける指標であり、各キーワードに関連付けて記憶される。
【0027】
音声ファイル取得手段122は、通話内容録音システム20の音声ファイルデータベース22から音声ファイルをダウンロードして取得して、音声ファイル記憶手段132に格納する機能を有する。ダウンロードの契機は、日時によるバッチ処理で行ってもよいし、通話が終了して音声ファイルデータベース22に新たに音声ファイルが格納されたときにリアルタイム処理で即時取得してもよい。さらに、音声ファイル取得手段122は、取得した音声ファイルに関する属性情報を通話内容録音システム20から取得し、音声ファイルのファイル名と当該属性情報とを対応付けた音声ファイル管理テーブルを作成し、音声ファイル記憶手段132に格納する。ここで、音声ファイルの属性情報とは、例えば、当該音声ファイルに係る通話が行われた回線の内線番号や日時等の情報を示す。
【0028】
検索対象ファイル作成手段123は、音声ファイル記憶手段132に記憶された音声ファイルから、検索用の検索対象ファイルを作成して、検索対象ファイル記憶手段133に格納する機能を有する。検索対象ファイルは、キーワードとのマッチングを取ることのできる形式であれば、如何なるデータ形式を採用してもよい。例えば、音声認識処理により音声ファイルをテキストデータに変換したものを検索対象ファイルとしてもよいし、変換したテキストデータに対してさらに形態素解析等の処理を加え、名詞や動詞のみを抽出して検索対象ファイル作成してもよい。また、既存の音声処理ライブラリを使って、音声ファイルを基にした索引情報を作成して、当該索引情報を検索対象ファイルとして使用してもよい。
【0029】
類似度検索手段124は、検索対象ファイル記憶手段133に格納された検索対象ファイルに対して、キーワード記憶手段131に登録された各キーワードによる類似度検索処理を行い、当該類似度検索処理の結果を検索結果記憶手段134に格納する機能を有する。類似度検索処理においては、検索対象ファイル中にキーワードと類似する言葉が存在するか否かを検索し、類似するものがある場合にはその類似の程度を示す類似度を算出する。
【0030】
通知手段125は、類似度検索手段124が算出した類似度とキーワードの重要度とに基づいて、監視人に通知するか否かを判断し、通知すると判断した場合には、検索結果を監視人へ通知する機能を有する。監視人への通知方法としては、ユーザ端末装置30へ警告ポップアップ画面を表示してもよいし、監視人に対して電子メールを送信してもよい。
【0031】
キーワード記憶手段131は、監視人がユーザ端末装置30から入力したキーワード及び当該キーワードの重要度を、関連付けて格納する機能を有する。音声ファイル記憶手段132は、通話内容録音システム20の音声ファイルデータベース22から取得した音声ファイルを一時的に格納する機能を有する。検索対象ファイル作成手段123により検索対象ファイルが作成された音声ファイルは、音声ファイル記憶手段132から削除してもよい。検索対象ファイル記憶手段133は、検索対象ファイル作成手段123により作成された検索対象ファイルを格納する機能を有する。検索結果記憶手段134は、類似度検索手段124による類似度検索の結果を格納する。検索結果は、算出した類似度、検索日時、音声ファイル名、等を含む。
【0032】
次に、自動監視システム10の記憶手段130が備える各記憶手段のデータ構成について、図4乃至図6を用いて説明する。
【0033】
図4は、キーワード記憶手段131に記憶されるデータ構成の一例を示す図である。キーワード記憶手段131は、監視人がユーザ端末装置30から入力したキーワードを、当該キーワードの重要度と関連付けて格納する。
【0034】
図5は、音声ファイル記憶手段132に記憶される音声ファイル管理テーブルの構成の一例を示す図である。音声ファイル管理テーブルは、音声ファイル取得手段122が通話内容録音システム20の音声ファイルデータベース22からダウンロードして取得した音声ファイルと、当該音声ファイルの属性情報とを対応付けて格納する。図5の例では、属性情報として、音声ファイルに係る通話を行った回線の内線番号を格納している。
【0035】
図6は、検索結果記憶手段134に記憶されるデータ構成の一例を示す図である。検索結果記憶手段134は、類似度検索手段124による類似度検索の結果が格納される。例えば、類似度検索を行った日時、キーワード、検索対象の音声ファイル名、算出された類似度、監視人がチェックしたか否かのフラグ情報であるチェック済みフラグとを対応付けて格納する。
【0036】
また、各記憶手段のデータ管理には、例えばリレーショナルデータベース等の従来のデータベース技術を用いることができる。なお、ここでは、テーブル形式でデータを管理する例を示したが、これに限定されるものではない。XML形式でデータを管理してもよいし、オブジェクト形式で管理してもよい。
【0037】
次に、上記のように構成される自動監視システムの動作の概要について説明する。
【0038】
図7は、自動監視システム10による自動監視処理の流れを示すフローチャートである。まず、監視人は、ユーザ端末装置30を使用して、監視したいキーワードとその重要度を入力して、自動監視システム10に送信する。自動監視システム10のキーワード登録手段121は、受信したキーワードと重要度とを関連付けて、キーワード記憶手段131に登録する(S710)。このように、予めキーワードの登録処理を行う。
【0039】
次に、自動監視システム10による類似度検索について説明する。まず、音声ファイル取得手段122が、既存の通話内容録音システム20から、営業員が通話した電話音声ファイルを、バッチ処理又はリアルタイム処理で自動的にダウンロードして取得する。音声ファイル取得手段122は、取得した音声ファイル名と当該音声ファイルに係る通話がなされた内線番号等の属性情報との紐付け情報を通話内容録音システム20より取得して音声ファイル管理テーブルに登録する(S720)。登録後、検索対象ファイル作成手段123が、取得した音声ファイルに基づいて、当該音声ファイルの検索対象ファイルを作成して、検索対象ファイル記憶手段133に記録する(S730)。
【0040】
その後、類似度検索手段124は、検索対象ファイル記憶手段133に記録されている検索対象ファイルに対して、キーワード記憶手段131に登録されている各キーワードを用いて類似度検索処理を行う。ここでは、類似度検索処理により、キーワードと類似する言葉が検索対象ファイル中に出てくるかどうかを検索する。類似する言葉がある場合は、類似する程度を示す類似度を算出する(S740)。その後、類似度検索手段124は、類似度検索の結果を検索結果記憶手段134に記録する(S750)。例えば、検索したキーワードと、検索対象ファイルに係る音声ファイル名と、算出された類似度とを、検索日時とともに記録する。
【0041】
類似度検索手段124は、キーワード記憶手段131に登録されている全てのキーワードについて検索処理を実行したか否かを判断する(S760)。検索処理を行っていないキーワードがまだ残っている場合(S760NO)は、S740に戻り、残りのキーワードについて類似度検索処理を行う。
【0042】
登録されている全てのキーワードの検索処理を終えた場合(S760YES)、通知手段125は、検索結果記憶手段134に記録された検索結果とキーワード記憶手段131に登録された重要度とに基づいて、監視人への通知が必要か否かを判断する(S770)。このとき、重要度の高いキーワードは、類似度が低くても通知するようにし、重要度が低いキーワードは、類似度が高いときのみ通知するよう予め設定するとよい。例えば、重要度の高いキーワードであれば類似度が50以上であれば通知するが、重要度の低いキーワードであれば類似度が95以上のときのみ通知するというように設定できる。
【0043】
通知手段125は、通知が必要と判断すると(S770YES)と、監視人のユーザ端末装置30に向けて、音声ファイル名を通知して、キーワードに類似する言葉が当該音声ファイルに存在する旨をポップアップ表示する(S780)。一つの音声ファイル中に複数のキーワードが類似している場合、音声ファイルごとにまとめて1回の通知をしてもよいし、キーワード毎に別途通知して、一つの音声ファイルについて複数回通知してもよい。
【0044】
こうして、電話営業における通話内容を録音した音声ファイル中に予め登録したキーワードが存在するかどうかを即時にチェックし、当該キーワードが存在する疑いがある場合、速やかに監視人に通知することが可能となる。これにより、顧客の保護を強化するとともに、取引の公正を図り、企業の社会的信用を守ることが期待できる。
【0045】
なお、各ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【実施例1】
【0046】
上述の実施形態では、キーワード記憶手段131に、キーワードと重要度とを関連付けて記憶する例を示したが、重要度を記憶しないで、キーワードのみをキーワード記憶手段131に登録してもよい。この場合、登録されたキーワードの重要度は全て同じと考えることができる。従って、実施例1において、通知手段125は、類似度検索手段124による検索の結果算出された類似度が、予め設定された値より大きいと判定した場合に監視人に警告を通知する。
【実施例2】
【0047】
上述の実施形態では、類似度検索手段124は、類似度検索の結果を全て検索結果記憶手段134に記憶するものとしたが、検索結果を全て記憶する代わりに、通知が必要なもののみを記憶するものとしてもよい。
【0048】
例えば、類似度検索手段124が類似度検索を行い、キーワードごとの類似度を算出した後、当該キーワードの重要度をキーワード記憶手段131から読み出して、当該重要度に応じて予め設定された値より、算出した類似度が大きい場合には、キーワードと類似度等を検索結果記憶手段134に記録する。通知が必要なもののみ記録するため、記憶資源を有効に活用できる。
【実施例3】
【0049】
上述の実施形態に加えて、検索対象ファイルを作成するときに、通話がなされた時間情報をインデクスとして付加してもよい。これにより、音声ファイル中にキーワードが出現する時間を簡単に特定できるため、監視をさらに効率的に行うことができる。
【実施例4】
【0050】
上述の実施形態に加えて、監視人がユーザ端末装置30に表示されたポップアップ表示を確認して、OKボタンを押す等、所定の操作を行うと、当該ポップアップ表示されたキーワードのチェック済みフラグを「済」更新するものとしてもよい。これにより、監視人が確実にチェックしたかどうかを保障することができる。
【実施例5】
【0051】
上述の実施形態に加えて、重要度に応じて、監視人への通知の仕方を変更してよい。例えば、重要度が高いキーワードについて通知が必要な場合、監視人の携帯電話端末に電話報知し、重要度が低い場合は、電子メールで通知してもよい。また、重要度が高いキーワードについて通知が必要な場合、リアルタイムに即時に通知し、重要度が低いものは1日に1回バッチ処理で通知するものとしてもよい。
【0052】
なお、本発明の自動監視システムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得るものである。例えば、実施形態では、特に証券取引のコンプライアンス違反勧誘の自動チェックを行う例を示したが、本発明はこれに限定されず、電話による通話を監視する一般的な場合にも適用できる。また、例えば、本自動監視システム10に通話内容録音システム20の機能を加え、自動監視システム10が音声ファイルデータベース22を備えるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】自動監視システムを含むシステム全体の概要を表した図である。
【図2】自動監視システム10のハードウェア構成の概略を示す図である。
【図3】自動監視システム10の機能構成を示すブロック図である。
【図4】キーワード記憶手段131に記憶されるデータの構成を示す図である。
【図5】音声ファイル管理テーブルの構成を示す図である。
【図6】検索結果記憶手段134に記憶されるデータの構成を示す図である。
【図7】自動監視システム10による自動監視処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
10 自動監視システム
20 通話内容録音システム
30 ユーザ端末装置
40 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上のキーワードを記憶するためのキーワード記憶手段と、
通話内容を録音した音声ファイルを取得する音声ファイル取得手段と、
前記取得した音声ファイルを基にして、通話内容をテキスト検索可能な形式のデータに変換して、当該テキスト検索可能な形式のデータを含む検索対象ファイルを作成する検索対象ファイル作成手段と、
前記検索対象ファイル作成手段により作成された検索対象ファイルに対して、前記キーワード記憶手段に記憶されたキーワード毎に類似度検索を行い、キーワード毎に類似度を算出する類似度検索手段と、
前記類似度検索手段により算出した類似度が、予め設定された値より大きいと判定されるキーワードが存在する場合に警告を通知する通知手段と、
を備える自動監視システム。
【請求項2】
前記キーワード記憶手段は、キーワードに関連付けて重要度を記憶してなり、
前記通知手段は、前記類似度検索手段により算出した類似度が、重要度に応じて予め設定された値より大きいと判定されるキーワードが存在する場合に警告を通知する、
請求項1記載の自動監視システム。
【請求項3】
前記音声ファイル取得手段は、音声ファイルをデータベースから取得する、請求項1又は2に記載の自動監視システム。
【請求項4】
前記音声ファイル取得手段は、さらに、取得する音声ファイルに係る通話がなされた回線の内線番号を取得し、
前記通知手段は、警告を通知する際に、音声ファイルのファイル名と内線番号とを、監視人に通知する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の自動監視システム。
【請求項5】
一以上のキーワードを記憶するためのキーワード記憶手段と、システム全体の動作を制御する制御手段と、を備える自動監視システムにおいて、自動監視を行う方法であって、
前記制御手段は、通話内容を録音した音声ファイルを取得するステップと、
前記取得した音声ファイルを基にして、通話内容をテキスト検索可能な形式のデータに変換して、当該テキスト検索可能な形式のデータを含む検索対象ファイルを作成するステップと、
前記作成された検索対象ファイルに対して、前記キーワード記憶手段に記憶されたキーワード毎に類似度検索を行い、キーワード毎に類似度を算出するステップと、
前記算出された類似度が、予め設定された値より大きいと判定されるキーワードが存在する場合に警告を通知するステップと、
を備える自動監視方法。
【請求項6】
前記キーワード記憶手段は、キーワードに関連付けて重要度を記憶してなり、
前記通知するステップは、前記算出された類似度が、重要度に応じて予め設定された値より大きいと判定されるキーワードが存在する場合に警告を通知する、
請求項5記載の自動監視方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の自動監視方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−80096(P2007−80096A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269043(P2005−269043)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(393013250)株式会社DTS (4)
【Fターム(参考)】