説明

自動設定

機器を自動的に設定する方法。この方法は、機器のための設定情報を含む機械可読符号を含む場面の画像を獲得すること、画像を処理して設定情報を抽出すること、および設定情報を使用して機器を設定すること、を含む。画像を獲得するステップは、カメラを使用して画像を取り込むこと、またはカメラによって取り込まれた画像を受け取ること、のうちの少なくとも1つを含む。設定情報は日付または時刻情報を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像を用いた電子機器の設定またはプログラミングに関する。詳細には本発明は、カメラをプログラムすること、またはカメラから画像を受け取るように構成されたコンピュータをプログラムすることに関する。
【背景技術】
【0002】
技術が前進し高品質画像センサのコストが低減されるにつれて、ディジタル写真がますます普及してきている。消費者が入手できるカメラの機種には、ディジタル・スチル・カメラやビデオカメラのみならず、カメラ付き電話機も含まれる。多様なカメラ技術が広範に利用できるようになったことにより以下の2つの問題が生じている。すなわち第1には、ユーザが多種多様なカメラを用いて画像(またはビデオ)を取り込むのを、好ましくは、各カメラをどのように操作すべきか個々に学習して設定を構成するのにあまり長時間を費やさずに、より容易にするにはどのようにすべきかであり、第2には、非常に容易に、迅速に生成される大量の収集画像をどのように管理すべきかである。
【0003】
第1の問題に関しては、複雑なカメラを適正に設定するには時間がかかることが多い。この問題は、1人のユーザが異なるカメラ装置(例えば、カメラ付き電話機と別のディジタル・スチル・カメラなど)を頻繁に使用する場合にはさらに深まる。多様なカメラを設定する必要が生じると、ユーザを混乱させ、時間を無駄にして苛立たせることになりかねない。
【0004】
第2の問題に関しては、画像(またはビデオ)に、その取り込み場所を示す位置メタデータが備わると好都合であることが知られている。場所情報は、収集画像をあとで閲覧し、検索するのに役立つキーである。これらの利点は、衛星測位受信機をカメラと関連付けることにより得ることができる。一例が、全地球測位システム(GPS)のための受信機である。そのような受信機は、カメラに内蔵されていても、カメラに接続されていてもよい。あるいは、そのような受信機はカメラから独立したものとし、GPS受信機によって生成された位置データがあとになって(例えば、カメラとGPS受信機とがコンピュータに接続されるときに)はじめて画像と関連付けられるようにすることもできる。
【0005】
GPS受信機は大きく2つの種類に類別することができる。すなわち、衛星信号を処理して、その信号が衛星から受信されている時点の位置情報を計算するリアルタイム受信機と、あとで処理するために衛星放送をサンプリングし、記憶する「Capture and Process Later(取り込み、あとで処理する)」(以下「Capture−and−Process」という)受信機である。
【0006】
衛星によって送信されるGPS信号は、規則的に絶え間なく繰り返される擬似ランダムコードを用いる、一般に直接シーケンス拡散スペクトルとして知られる形式のものである。衛星は、誰でも自由に利用することのできる粗捕捉(Coarse/Acquisition)すなわちC/Aコードを含む異なる拡散符号を有する複数の信号を送信する。
【0007】
データメッセージは、各衛星によりC/Aコード上で変調され、送信側衛星の詳細な軌道パラメータ(エフェメリス(ephemeris)という)、衛星のクロックにおける誤差に関する情報、衛星の状況(正常または異常)、現在の日付、時刻といった重要な情報を含む。信号のこの部分は、正確な位置を決定するGPS受信機にとって不可欠である。各衛星は、エフェメリスとその衛星自体の詳細なクロック補正パラメータを送信するだけであり、したがって、GPS受信機が単独で、それが位置計算において使おうとする各衛星のデータメッセージの適切な部分を処理しなければならない。従来のGPS受信機は、送信されたデータメッセージを読み取り(すなわち復号し)、エフェメリス、その他のデータを連続使用するために保存する。またこの情報は、GPS受信機内のクロックを設定する(または補正する)ためにも使用することができきる。
【0008】
各衛星からの完全なデータ信号は、37,500ビットのナビゲーションメッセージからなり、これは50bpsで送信するのに12.5分を要する。データ信号は、それぞれが1500ビットを有する25個の30秒フレームに分割され、これらのフレームは5個の6秒サブフレームに分割される。各6秒サブフレームは10個の30ビットワードに分割される。位置決定に必要なすべての情報(エフェメリス、その他の情報)が各フレーム内に含まれ、そのため、従来のGPS受信機は、典型的には、いわゆるコールドスタートから位置決定を行うのに30秒前後を要することになる。
【0009】
そのような従来のリアルタイムGPS受信機は必ず、アンテナと、アナログRF回路と、ディジタル信号処理ハードウェアとを備える。アンテナは、GPS信号を受信するのに適している。アナログRF回路は、所望の信号を、通常は数MHz程度のサンプルレートで適切なアナログ/ディジタル(A/D)変換器を通過できるように、増幅し、フィルタリングし、混合して中間周波数(IF)に落とすように設計される(多くの場合GPSフロントエンドと呼ばれる)。ディジタル信号処理ハードウェアはA/D変換器によって生成されるIFデータサンプルに対して相関プロセスを実行し、通常は、信号処理ハードウェアを制御し、所望の位置決定を計算するのに必要な「より高レベルの」処理を実行する何らかの形のマイクロコントローラと組み合わされる。
【0010】
また、比較的に周知度の低い「Capture−and−Process」という概念も研究されている。これは、(秒、分、時間または日単位の)ある時間が経過してから、また多くの場合、処理リソースがより大きい他の何らかの場所において処理する前に、従来のアンテナおよびアナログRF回路によって収集されたIFデータサンプルを何らかの形のメモリに記憶することを伴う。
【0011】
従来のGPS受信機に優るCapture and Process Laterの手法の主要な利点は、取り込み時にディジタル信号処理が不要であり、取り込みデータを非常に短く(例えば200ミリ秒程度に)することができるため、取り込み機器のコストおよび電力消費が最小限に保たれることである。(エフェメリスを含む)関連する衛星データを他の何らかの方法で得ることができるときに後続の信号処理が行われる場合、この手法では、取り込み機器において衛星(または「宇宙航行体(SV)」)からのデータメッセージを復号する必要もなくなる。多くの場合、この復号ステップにより従来のリアルタイム機器を始動させるのに許容できないほど長時間を要することになる。
【0012】
IFデータサンプルの短い「取り込みデータ」をメモリに記憶する単純な取り込み機器が、これらの取り込みIFデータをあとでコンピュータにアップロードすることができる。コンピュータは、必要な信号処理(相関など)を実行するのみならず、受信したGPSデータメッセージの主要部分を中央コンピュータに中継した1台以上の従来のGPS受信機に接続されていることにより、(エフェメリスを含む)最近の衛星情報のデータベースにアクセスすることもできるはずである。別のソースからのエフェメリスデータを使用することは文献においてしばしば「アシスト型GPS」(A−GPS)と呼ばれ、この種の処理に適する方法は当業者には周知であろう。
【0013】
Capture−and−Process GPSでは、メモリおよび処理の所要量を低減するための可能な限り少ないデータを記憶することが望ましいが、これは位置決定を得ることをより難しくする。短い取り込みデータ(例えば200ミリ秒など)を使用して決定を得るためには、取り込みデータの協定世界時(UTC)を、数分以内の精度に設定することが有益である。GPS信号サンプルが(例えばコンピュータなどにおいて)処理されるとき、このUTC時刻を使用して取り込みの時刻に対応するエフェメリス、その他の衛星データを得ることができる。UTC時刻の正確な初期推定値は相関タスクのためのサーチ空間を大幅に低減し、よって、位置決定を計算するプロセスをより高速に、効率的にし、またはその両方を実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
受信したGPS信号からUTCを計算するには、通常は、約6秒間の取り込みデータが必要とされるはずであるが、しかしこれは、Capture−and−Processシナリオにおける所望の取り込みの長さである数百ミリ秒よりずっと長いことに留意されたい。したがって、Capture−and−Process GPS受信機では、他の何らかの手段により、妥当な精度までUTC時刻を求めることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によれば、機器を自動的に設定する方法が提供され、この方法は、機器のための設定情報を含む機械可読符号を含むシーンの画像を獲得するステップと、画像を処理して設定情報を抽出するステップと、設定情報を使用して機器を設定するステップと、を含み、画像を獲得するステップは、カメラを使用して画像を取り込むステップ、またはカメラによって取り込まれた画像を受け取るステップ、のうちの少なくとも1つを含み、設定情報は日付または時刻情報を含む。
【0016】
この方法は、視覚入力を使用した機器の自動設定を可能にする。機械可読符号の写真を分析して符号の埋め込み設定情報が抽出され、復号情報を使用して機器が設定される。一般に、機械可読符号は多種多様な適合する形で提示され得る。例えば、1次元、2次元バーコードといった従来の機械可読シンボルを使用することができる。同じく、符号は、光学式文字認識に適する人間可読テキストを含んでいてもよい。唯一の要件は、符号の画像を自動的に分析して埋め込み設定情報を復号することができることである。符号の外観は、それが具現化する設定情報に従って変化する。この状況における設定情報とは、目的の機器の動作を変更するのに使用され得る任意の種類の情報を意味する。この情報は、例えば、機器によって実行される方法のためのパラメータや、機器の他の設定を含むことができる。より一般的には、この情報は、方法のための命令(例えば、ソフトウェアやファームウェアプログラムなどとしての)さえも含み得る。この方法は、特にカメラまたは一般にカメラに接続され、もしくは任意の手段によりカメラから画像を受け取る他の機器のために、設定情報を入力するのに好都合な方法を提供することができる。これらの事例では、視覚入力を使用することにより、設定情報を入力するための別のインターフェースを設ける必要をなくすことができる。
【0017】
好ましくは、設定情報は、日付および時刻情報、例えばUTC時刻を含む。
【0018】
設定されるべき機器は、画像を処理して設定情報を抽出することができる。
【0019】
これは、設定することが求められる機器がそれ自体で必要な画像処理を行うことを意味する。よって、機械可読符号の画像を可能な限り遅くに、すなわち、その設定情報を使用することが望まれるときに処理することができる。このようにして、画像の視覚コンテンツは、所与の方法で所与の機器を設定するための移植性のある潜在命令を表す。これは、設定されるべき機器が画像を取り込んだ(すなわち写真を撮影した)カメラでないときに特に有益となり得る。
【0020】
設定されるべき機器は画像を取り込んだカメラとすることもできる。
【0021】
設定情報のカメラへの視覚入力は特に効果的となり得る。というのは、カメラは、単に関連する機械可読符号の写真を撮影するだけで自動的に設定することができるからである。これにより、設定情報の入力のために別の、または追加のインターフェースを設ける必要をなくすことができる。例えば、結果的に、カメラのユーザインターフェースおよびコントローラをずっと単純で使いやすいものにすることもできる。
【0022】
設定情報を使用するステップは、カメラの内部クロックを設定することを含み得る。
【0023】
カメラクロックを設定することは本発明の1つの有利な適用例である。日付および/または時刻情報は機械可読形式で容易に提供することができる。機械可読符号のデータペイロードは小さいが、カメラのユーザから多くの不都合を取り除くことができる。さらに、埋め込まれた正確な時刻を含む写真を撮影することは、瞬時に行われるため、クロックを設定する非常に正確な方法である。これは(例えば、カメラに付いている制御ボタンを押すなどによって)手作業でカメラクロックを設定するのとは対照的である。というのは、ユーザがクロックを正確に同期させることは、正確な基準が利用できる場合でさえも難しいからである。前述のように、正確な時刻情報は、Capture−and−Process法を使用するGPS測位の状況においては有益となり得る。
【0024】
設定情報は、カメラのための写真パラメータをさらに含み得る。
【0025】
写真設定は本発明の特に適切な使用法である。というのは、写真設定は、手動で設定すると時間がかかることがあり、また頻繁に変更されるからである。例えば、(カメラマニュアルの)機械可読符号のセットを使用して、連写モードとマクロモードなど、異なる撮影モードをすばやく切り換えることもできる。入力写真設定は、単なる測定やゆがみの補正とは区別すべきであることに留意されたい。例えば、レンズのゆがみを補正するための較正パターンは設定情報を含む機械可読符号を構成しない。というのは、調整を行うのに必要とされる情報のパターンは固有でも、本質的でもないからである。同じことは、ホワイトバランスを補正するための色較正カードにも当てはまる。このどちらの例でも、較正パターン自体はいかなる設定情報も符号化するものではない。というよりは、較正パターンは、環境条件またはゆがみを測定させるものである。
【0026】
設定されるべき機器は、画像を取り込んだカメラから画像を受け取るように構成されたコンピュータとすることもできる。
【0027】
これは、写真が撮影されるときに設定情報が利用でき、ユーザが収集ディジタル画像を維持するための、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータを設定することが望ましい状況において特に有益となり得る。画像の処理を、画像がコンピュータに転送されるまで遅らせることは特に有利となり得る。これは、設定されるべき機器(すなわちコンピュータ)が画像から設定情報を抽出する前述の方法の変形を実施するものである。コンピュータは、典型的には、カメラと比べて、画像を処理するためのより大きい計算リソースを有する。カメラが設定情報を抽出する必要がない場合には、本発明による方法において使用できるようにカメラを変更する必要が生じない可能性もある。このようにして、既存のカメラを適合させずに使用して、この方法を実施することもできるはずである。
【0028】
好ましくは、画像は、カメラの内部クロックによって生成される取り込み時刻メタデータと関連付けられ、設定情報を使用するステップは、日付または時刻情報をメタデータと比較して、カメラの内部クロックの相対誤差を計算することを含む。
【0029】
この方法を使用すれば、カメラが画像を取り込んだ直後に潜在的設定情報(すなわち時刻情報)を復号しなくても、カメラの内部クロックの誤差またはオフセットをあとで求めることが可能である。同様に、内部クロック自体を実際に補正する必要も生じない。前述のように、正確な時刻情報は、Capture−and−Process法を使用するGPS測位の状況では有益となり得る。好ましくは、時刻情報はUTC時刻の表示を含む。
【0030】
好ましくは、時刻情報の復号およびその取り込み時刻メタデータとの比較は、位置決定が計算されるときに、かつ/または同じ装置において行うことができる。これは可能な限り多くの処理を後刻に延ばすことによるCapture and Process Laterの手法全般と合致する。前述のように、これは本発明が従来のカメラと共に実施されることも可能にし得る。すなわちユーザは、新しい専用に設計され、または適合されたカメラを買わなくとも、本発明を利用することができる。この利点は、Capture−and−Process GPS受信機が外付け付属品として提供される場合には特に当てはまる。
【0031】
この方法は、計算された相対誤差を外挿して、同じカメラによって取り込まれた他の画像の取り込み時刻を計算することをさらに含み得る。
【0032】
機械可読符号において提供される時刻情報は、好ましくは、正確な基準時刻、例えばUTC時刻などを表す。カメラの内部クロックの挙動が知られており、妥当な期間にわたって比較的安定しているものと仮定すると、基準に対する相対誤差を、その期間中にカメラによって取り込まれた他の画像に外挿することができる。例えば、一定の誤差が想定される場合には、任意の画像の取り込みのUTC時刻は、画像のためにカメラの内部クロックによって記録された取り込み時刻メタデータに対して適切なオフセットを加減することによって推定することができる。これは、例えばカメラの内部クロックが不正確に設定されている場合や、UTC以外の時間帯に設定されている場合には、画像の取り込み時刻をより正確に計算することを可能にし得る。
【0033】
またこの方法は、画像のうちの少なくとも1つの計算された取り込み時刻を、衛星測位信号を処理する方法において使用して、取り込み場所を計算することも含み得る。
【0034】
これは、画像コンテンツに含まれる機械可読設定情報の特に有利な使用法を表すものである。UTC推定値と各写真との関連付けを都合よく可能にすることにより、この方法は、写真の取り込みの場所と関連付けられた(例えば)GPS信号サンプルを効率よく処理させることができる。すなわち、画像と関連付けられたGPS信号サンプルのセットを、その画像が撮影された場所を推定するように処理することができる。すでに概説したように、このプロセスではUTC時刻の正確な推定値が非常に有益である。というのは、この推定値は、短いGPSサンプルのシーケンスから位置決定を導出するための計算労力の低減および集中を可能にするからである。
【0035】
機械可読符号を含む場面は機械可読符号を示す表示装置を含んでいてもよく、その表示は、設定情報を検索するために通信ネットワークに接続された機器の表示、衛星測位受信機の表示、およびクロックの表示のうちの少なくとも1つである。
【0036】
機械可読符号は、有利には、ネットワーク(例えば、インターネットや移動通信ネットワークなど)を介してリモートソースから提供され得る。これが特に有益となる一例が、設定情報が時刻情報を含むときである。この場合には、正確な基準クロックを、例えば自動的に更新されるウェブページにおいて中央から提供することができる。その場合符号は、この中央プロバイダ、例えば、携帯電話またはコンピュータのウェブブラウザなどにアクセスする機器の表示画面に表示させることができる。当然ながら、機械可読符号の中央による更新は、例えば、バグを修復するために機器設定またはファームウェアを更新することが求められる場合など、他の多くの状況において有利となる。(GPSなどの)衛星測位受信機は、設定情報、特に時刻情報の別の潜在的に有用なソースである。例えば、GPS受信機の表示上のクロックを写真撮影することもできる。これにより、たとえカメラが写真を撮影するときに受信機に接続されていない場合でさえも、カメラによって撮影された写真のタイミングを受信機による衛星信号の取り込みのタイミングとあとで正確に整合させることができる。いずれの場合にも、表示は人間可読および機械可読とすることもでき、機械可読のみとすることもできることに留意されたい。
【0037】
本発明の別の態様によれば、コンピュータ上で実行されると、本発明の方法のすべてのステップを実行するように適合されたコンピュータ・プログラム・コード手段を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0038】
このコンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体上に具体化され得る。
【0039】
本発明の別の態様によれば、機器の自動設定のための装置が提供され、この装置は、機器の設定情報を含む機械可読符号を含む場面の画像を受け取るための入力手段と、画像を処理して設定情報を抽出するように適合され、設定情報を使用して機器を設定するように適合されたプロセッサと、を備え、設定情報は日付または時刻情報を含む。
【0040】
次に本発明を、例として添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に従って動作する装置を示すブロック図である。
【図2】別の実施形態に従って動作する装置を示すブロック図である。
【図3】一実施形態を実装するように構成されたコンピュータを示す簡単なブロック図である。
【図4】一実施形態による方法を示す流れ図である。
【図5】別の実施形態による方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
発明者らは、ユーザが正確なUTC時刻を写真および/または関連するGPS取り込みデータと関連付けるための迅速で、都合のよい方法を提供することが有益であろうと考えた。前述のように、正確なUTC時刻は、Capture−and−Processシナリオにおいて、短いGPS取り込みデータからの効率のよい位置計算を可能にする。このシナリオは写真用途に特に適する。というのは、Capture−and−Process受信機は、完全なリアルタイムのGPS受信機と比べてずっと単純で、安価な技術だからである。
【0043】
しかし発明者らは、カメラの他の特性を設定することを要する、より広範な必要があることも認めている。この問題に対する特に見事な解決法は、カメラによって撮影された写真を使用してカメラを設定することである。この解決法を考案する際に、発明者らは、カメラのレンズおよびセンサは画像自体のためだけでなく、設定データのためにも役に立つ入力チャネルを表すものであり、設定データは、機械可読形式でレンズの視野内に配置することにより画像に埋め込むことができることに気付いた。その場合、ディジタルカメラまたはカメラ付き電話機にすでに一般に備わっている処理能力を使用して入力設定データを復号することができる。
【0044】
この視覚入力によるプログラミングの方法は、カメラ自体のプログラミングだけに限定されるものではない。カメラは埋め込み設定情報を含む写真を撮影し、他の任意の機器があとで使用するために、それを記憶することができる。そのため、例えば、カメラによって記録された画像を使用して、カメラがその画像をアップロードする相手先であるコンピュータを設定することができる。ひいては、コンピュータがその設定情報を使用して別の接続された周辺機器を設定することもできる。実際、コンピュータは設定情報を復号し、それを使用して、写真を撮影するのに使用されたその同じカメラを設定してもよい。この場合、カメラはその画像の意味を認識している必要はない。すなわち、カメラは単に通常通り写真を撮影し、それをコンピュータにアップロードし、設定情報を受け取るにすぎない。カメラのすべての画像処理設定が画像としてのみ保持され得る極端な事例を考えることも可能である。これらの画像は、あとの処理に際してのみ(例えばコンピュータにおいて)カメラを設定するために解釈され、使用されるはずである。
【0045】
この強力で、汎用性のある設定の方法は、ジオタギング(geo-tagging)の状況において特に有用である。ジオタギングとは、位置メタデータとメディア、特に画像との関連付けをいう。次に本発明を、例として、この用途の状況において詳細に説明する。当然ながら、当業者には理解されるように、本発明の利益はこの用途だけに限定されるものではない。
【0046】
本発明の第1の例示的実施形態においては、設定方法を使用して、カメラによって取り込まれた画像のための正確な時刻基準が、UTCに対して提供される。前述のように、UTC取り込み時刻を知ることは、位置決定を計算するために、取り込まれたGPS信号サンプルの短いシーケンスを処理するときに非常に有用である。やはり前述したように、位置情報を画像と関連付けることが望ましい。この実施形態では、視覚的にカメラに入力された設定情報を使用して、設定情報にUTC時刻情報を含めることにより、位置決定の計算が改善される。その場合、そのような位置決定をそれに対応する画像と関連付けることができる。
【0047】
次に、第1の実施形態を、図1および図4を参照して説明する。図1には、この実施形態に従って動作するシステムが示されている。このシステムは、カメラ100と、Capture and Process Later GPS受信機200aと、パーソナルコンピュータ(PC)300とを備える。PCは、例えばインターネットなどを介してエフェメリスサーバ500に接続されており、エフェメリスサーバ500は、すべてのGPS衛星のためのエフェメリス、その他の衛星情報の履歴データベースを含む。
【0048】
この例示的実施形態では、カメラ100は、カメラが写真を撮影する都度、GPS受信機200aがGPS信号サンプルのスナップショットを取り込むように、受信機に接続されている。これは、カメラ100に外付けGPS受信機200aを装着することによって、またはカメラ自体に受信機200aを組み込むことによって実現され得る。
【0049】
受信機200aは、アンテナ210と、マイクロプロセッサ230およびメモリ240に接続されたGPSフロントエンド220とを備える。フロントエンド220は、衛星信号をIFにダウンコンバートし、続いてアナログ/ディジタル変換を行う機能を果たす。カメラ100が画像を取り込む都度、短いディジタル化IF信号サンプルのシーケンスを含むスナップショットがメモリ240に記憶される。
【0050】
GPS受信機200aがカメラ100に組み込まれている場合には、取り込まれた衛星信号サンプルは、画像ファイルと一緒に、または画像ファイル内にさえも記憶させることができる。GPS受信機200aがカメラの外部にある場合には、カメラのホットシューによりトリガ信号(シャッターリリース)を送ることができる。ホットシュー接続は、普通は、カメラに外付けフラッシュを接続するのに使用される。
【0051】
受信機200aがPC300に接続されると、記憶されたサンプルがアップロードされる。PCは、適切な周知の位置推定技術を使用し、IFデータサンプルを処理して位置決定を計算する。この計算の過程においては、前述のように、各スナップショットの取り込みのUTC時刻の推定値があれば有益である。例えば、これによりPCにエフェメリスサーバ500から正しい対応するエフェメリス、その他の衛星データを検索させることができる。本発明の第1の実施形態による方法は、このUTC時刻推定値を以下のように提供することができる。
【0052】
UTC時刻情報を獲得するために、カメラは機械可読符号を含む場面の写真を撮影する。これは図4のステップ10aに示されている。例えば、カメラのユーザは、カメラ100をウェブページ400に向け、その画像を取り込むことができる。このウェブページ400は、現在のUTC時刻を符号化した、絶えず更新されるバーコードを表示する。
【0053】
次いでカメラは取り込まれた画像を処理してUTC時刻情報を抽出する(ステップ20)。画像中のバーコードを検出し、認識するための画像処理またはマシンビジョンの方法は、当分野では周知である。認識されたあとで、バーコードが復号されてUTC時刻情報が判明する。ステップ30で、抽出されたUTC時刻を使用してカメラ内の内部クロックが正しくUTCに設定される。
【0054】
ディジタルカメラによって作成された画像ファイルに取り込み時刻メタデータを埋め込むことは一般に行われている。例えば、このメタデータは、JPEG画像では、交換可能画像ファイルフォーマット(Exif)の関連フィールドにおいて提供することができる。カメラ100の内部クロックはすでに正確にUTC時刻に設定されているため、カメラによって取り込まれるすべての後続画像は正確なUTCタイムスタンプを含むことになる。任意選択で、バーコードによって提供されるUTC時刻情報と、カメラの内部クロックによってバーコード画像に割り当てられる取り込み時刻メタデータとの測定オフセット(誤差)を使用して、以前に取り込まれた画像のタイムスタンプを補正することも可能なはずである。言い換えると、カメラの内部クロック(補正前)の相対誤差を計算し、この誤差を外挿(extrapolate)してすべての画像の取り込み時刻メタデータをさかのぼって補正することも可能である。
【0055】
前述のように、この実施形態では、GPS受信機は、写真が撮影される都度スナップショットを取り込む。したがって、画像ごとの正確なUTCタイムスタンプはGPSスナップショットの取り込みのUTC時刻と同じである。
【0056】
ステップ40で、カメラはその画像(および画像の埋め込みUTC時刻メタデータ)をPCに転送する。受信機200aがカメラに組み込まれている場合には、スナップショットは同じステップで、同じ通信インターフェースを使用してPCに転送され得る。受信機200aがカメラの外部にある場合には、スナップショットは別個に転送される。
【0057】
ステップ50で、各画像内のUTC時刻メタデータが、PCによって、画像が取り込まれた時刻における衛星についての対応するエフェメリス、その他の衛星情報を検索するのに使用される。この情報は次いで、個々のスナップショットと併せて、画像ごとの位置決定を導出するのに使用することができる。正確な(UTC)時刻推定値とは、時刻における可視衛星の位置および速度を正確に予測することができることを意味する。衛星の位置および速度の推定値が良好であるほど、相関処理の回数を低減することができるため、位置計算は容易になる。このようにして、正確な予測により、全数(総当たり)探索の負担を取り除くことができる。
【0058】
本発明の第2の実施形態は、PC300が設定情報を復号し、使用することを除いて第1の実施形態と同様である。次にこの第2の実施形態を、図1および図5を参照して説明する。
【0059】
ステップ10bで、カメラはバーコードの画像を取り込む。この実施形態では、カメラ100が画像と関連付けられた取り込み時刻メタデータを記録することが要件である。画像はステップ40で(おそらくはカメラ100によって取り込まれた他の画像と一緒に)PC300に転送される。第1の実施形態とは異なり、カメラは画像を転送する前に、画像を処理して設定情報を抽出していないことに留意されたい。代わりにPC300がこのステップ20を実行する。処理は第1の実施形態と同一とすることができる。すなわち、画像処理技術を使用して画像中に存在するバーコードが識別され、復号される。
【0060】
ステップ32で、PC300は次いで、抽出されたUTC時刻情報を、画像と関連付けられた取り込み時刻メタデータ(Exifタグなど)と比較する。この比較により、取り込み時刻メタデータを生成したカメラの内部クロックと、UTC時刻との相対誤差が明らかになる。ステップ34で、相対誤差を使用して、カメラによって取り込まれたその他の画像の取り込みの時刻が外挿される。これは例えば、取り込み時刻メタデータに/から誤差を適宜加算/減算するなどによって行われ得る。
【0061】
仮定されているのは、カメラの内部クロックとUTC時刻とのオフセットが、ある期間にわたりほぼ一定であり、安定しているということである。実際には、カメラのクロックは正確な時刻を保持せず、そのため、誤差が経時的に変化する可能性が高い。これは、過度な誤差が累積しないように、本発明の方法を使用して周期的に再同期する必要があることを意味する。当然ながら、カメラのクロックの特性をより正確にモデル化することができる場合には、相対誤差をより正確に補正することが可能となり得る。例えば、カメラクロックが(毎時または毎日一定の時間誤差を累積する)線形誤差関数を有することが分かっている場合には、線形補正を適用することができる。
【0062】
ステップ50で、外挿された画像ごとのUTC時刻が、PCによって、取り込み時刻ごとに関連するエフェメリスデータにアクセスするのに使用される。このステップは第1の実施形態と同一であり、エフェメリス、その他の関連衛星データを、GPS信号を処理する方法において同様に使用して、各画像の取り込み場所を計算することができる。
【0063】
第2の実施形態は第1の実施形態と同じ利点の多くを達成するが、第2の実施形態によれば、カメラ内の内部クロックを能動的に修正するのではなく、後処理の方法を使用してクロックの誤差がさかのぼって補正されることに留意されたい。
【0064】
第3の実施形態では、本発明の設定法を使用して、カメラによって取り込まれた画像が、独立のCapture−and−Process GPS受信機によって取り込まれた周期的なGPSスナップショットとリンクされる。次にこの実施形態を、図2および図5を参照して説明する。
【0065】
図2には、本発明の第3の実施形態に従って機能する図1の装置の別の実装形態が示されている。第1および第2の実施形態と比べて、第3の実施形態では、カメラ100とGPS受信機200bとは接続されておらず、そのため、カメラが写真を撮影するときには、やりとりしない。カメラが画像を取り込む都度GPS IFデータスナップショットを取り込むのではなく、受信機200bは周期的にスナップショットを取り込む。
【0066】
取り込み間の間隔は、各スナップショットから受信機の経路の適度に正確な軌跡が生成されるように選択される。実際には、使用される実間隔は、好ましくは、ユーザがどれ程の速さで移動すると予期されるかに応じて決定されるべきである。この実施形態では、カメラ100によって取り込まれる画像は、受信機200bによって別個に取り込まれるGPSスナップショットとあとで関連付けられる。これにより、位置決定を画像ごとに設定させることになる。明らかに、受信機200bとカメラ100とは、接続されてはいないが、結果として得られる位置データを最大限に正確にするために、一緒に保持されるべきである。各画像に割り当てられる位置決定は、実際には、画像が取り込まれたのとほぼ同じ時刻における受信機の位置になる。この手法が正確に機能するためには、正確な対応関係を確立することができるように、カメラによって記憶された取り込み時刻メタデータを各GPSスナップショットの時刻と整合させる必要がある。
【0067】
このために、受信機200bは独自の内部クロック250を備えている。また受信機200bはクロックによって決定される現在時刻を表示するディスプレイ260も有する。クロック250はGPSスナップショットごとにタイムスタンプも生成する。これらのタイムスタンプはスナップショットと共にメモリに記憶される。
【0068】
カメラ100とPC300は、第1および第2の実施形態について前述した方法のどちらかに従って動作することができる。唯一の違いは、この第3の実施形態では、ユーザがカメラを使用して(ウェブページ400の写真を撮影するのではなく)GPS受信機200b上のディスプレイ260の画像を取り込むことである。これにより、カメラによる画像取り込みの取り込み時刻メタデータを(Webページ400によって提供されるUTC時刻と整合させるのではなく)GPS受信機200bのクロック250と整合させることが可能になる。
【0069】
第2の実施形態の方法を例にとると、GPSディスプレイ260の画像はPC300にアップロードされる。またPCはGPS受信機200bからタイムスタンプ付きGPSスナップショットも受け取る。前述のように、PCは画像を処理して埋め込み時刻情報を抽出する。図2の例では、GPS受信機のディスプレイ260は(バーコードではなく)通常のテキストを表示している。したがって、時刻情報を抽出するための処理は、この人間可読の時刻表示から時刻設定情報を抽出するための光学式文字認識(OCR)を含むことになる。当然ながら、ディスプレイ260が、前述のウェブサイト400のようなバーコード符号化時刻を示すことも可能である。
【0070】
次いで抽出された時刻情報は、カメラにより画像ファイルに埋め込まれた取り込み時刻メタデータと比較される。これにより(GPS受信機クロック250によって決定された)抽出時刻と(カメラの内部クロックによって決定された)埋め込みメタデータとの相対誤差がもたらされる。この相対誤差を補正することにより、カメラからアップロードされたすべての画像を、受信機200bからのそれらに最も近いGPSスナップショットと正確に整合させることができる。
【0071】
当然ながら、整合されたGPSスナップショットのそれぞれから位置決定を計算するためには、UTC時刻の推定値がやはり有益である。これは様々な手段によって提供することができる。1つの選択肢は、GPS受信機にUTC時刻に設定された正確なクロック250を備えることである。受信機200bをPC300に接続し次第、その精度をチェックし、時刻を補正することができる。
【0072】
別の可能な方法は、本発明の第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて、UTC時刻基準を提供するWebページの1枚の写真と、GPS受信機のクロック250への基準を提供するGPS受信機ディスプレイの別の写真と、をユーザが撮影するものである。
【0073】
完全を期すために、PC300の内部構造を図3にさらに詳細に示す。これには、PCが、プロセッサ301と、ブルートゥースアンテナ302と、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)ポート303と、メモリカード読取装置304とを備えることが示されている。これらの構成要素はすべて完全に標準的なものであり、当業者にはよく知られているはずである。
【0074】
プロセッサは、本発明の各実施形態による処理方法を実行するように構成されることができる。例えば、第2の実施形態によれば、画像から設定情報(UTC時刻情報)を抽出するステップ20を実行するのはプロセッサである。同じ実施形態において、プロセッサ301は、抽出された設定情報を使用して、特に、ステップ32で相対誤差を計算し、ステップ34でこの誤差から補外してその他の画像のUTC取り込み時刻を計算し、ステップ50で、計算された取り込み時刻を、それらの時刻に対応するエフェメリス、その他の衛星データをダウンロードすることにより衛星信号を処理する方法において使用することによって、PC300を設定することもできる。
【0075】
ブルートゥースアンテナ302、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)ポート303、およびメモリカード読取装置302は、単に、カメラから機械可読符号を含む画像を受け取るのに使用され得る適切な入力手段の例にすぎない。同じ、または異なる入力手段を使用してGPS受信機200からGPS信号取り込みを受け取ることができる。
【0076】
当業者にはすでに明らかなように、本発明の異なる実施形態では、画像としてカメラ100に入力される設定データを使用して異なる機器を設定させる。上記の第1の実施形態では、設定情報(例ではUTC時刻情報)がカメラの内部クロックを設定するのに使用されるため、カメラ自体が設定される機器であった。
【0077】
第2の実施形態では、設定情報(やはりUTC時刻情報)がPCによって実行される方法においてパラメータとして使用されるため、PC300が設定された。具体的には、UTC時刻情報から導出される時刻に応じて、エフェメリス、その他の衛星データをダウンロードすることにより衛星信号を処理する方法において、時刻情報はコンピュータによって使用された。
【0078】
第3の実施形態では、やはりPC300が設定される機器であった。この場合もまた、画像中に具体化された潜在的設定情報がPCによって実行される方法を設定し、制御するのに使用された。
【0079】
当然ながら、当業者には容易に明らかになるように、カメラおよびPC以外の機器を、本発明に従って提供される設定情報により設定することもできる。本発明の適用のされ方にはほとんど制限がない。必要とされるのは、設定情報を含む画像を取り込むためのカメラと、設定されるべき機器への通信の連鎖だけである。
【0080】
例えば、カメラを使用して以下のようにプリンタを設定することもできる。カメラはプリンタ設定を表すバーコードの画像を取り込む。次いでプリンタはこれらの設定を、カメラから転送された写真を印刷するときに使用する。このシナリオ例では、カメラが設定情報を復号し、それを命令としてプリンタに伝えてもよい。同じく、カメラは単にバーコードの未処理の画像をプリンタに転送するだけでもよく、その場合にはプリンタ自体が設定情報を抽出する。別の代替例として、以下のようにコンピュータを仲介手段として使用することもできる。カメラは生の画像データをコンピュータに転送する。コンピュータはバーコードを復号し、プリンタを設定する。
【0081】
本発明の別の実施形態は、カメラにおいて完全に実施することもできる。すなわち、カメラは設定画像を取り込み、埋め込み情報を復号し、他の機器を参照せずにそれを使用する。これは、例えば、カメラに写真パラメータのセットを供給するのに役立ち得る。
【0082】
ユーザにとって、コンピュータのグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を使用してカメラ設定を設定する方が、カメラ自体に付いているボタン、その他のコントローラを使用するよりも容易な場合もある。そのような一例では、ユーザは、カメラを設定するための完全なインターフェースを提供するウェブページへナビゲートすることができる。各設定は、編集可能なテキストボックスの使用、パラメータのリストとスクロールホイールとの併用、ラジオボタンの使用などを含む、最も好都合な方法でユーザによって提示され、調整され得る。ユーザがすべての設定の選択に満足すると、ウェブインターフェースは設定データを機械可読符号に変換する。ユーザは、この符号の1つの画像を取り込むことにより、すべての設定をカメラに入力することができる。
【0083】
動的に設定バーコードを生成するための別のユーザインターフェースを提供するのではなく、カメラの様々な動作モードに対応する決められたバーコード選択肢をユーザに提供することもできる。これらは、例えば、印刷されたマニュアルにおいて提供することもできる。バーコードは、同様に、カメラと一緒に使用することのできる付属品に添付することもできる。カメラを付属品と一緒に使用する前に、ユーザは単にバーコードの写真を撮影し、それによってカメラはその付属品に適するように自動的に設定される。これは例えば、特定のフラッシュと一緒に使用するためや、三脚と一緒に使用するためにカメラを設定するのに使用され得る。どの場合にも、シャッタースピード、開口、感度などの設定は、適切な条件に適合させることができる。
【0084】
設定データを視覚的に入力するための専用モードをカメラに提供するのが好都合である。このモードは機械可読符号の鮮明な画像を取り込むのに最適になるようにカメラ設定を設定させるはずであり、それによって設定情報を復号する画像処理の成功を促進するはずである。例えば、ウェブページの写真を撮影する場合には、グレアまたはコントラストの損失を回避するために、フラッシュが作動しないこともある。また専用モードは、情報を復号するために必要な処理および抽出の方法を(カメラがプロセスのこの部分を担っている場合には)適用するようカメラに注意を喚起することもできるはずである。画像があとで処理されるべきである場合には、画像に、それを設定画像として識別するメタデータ項目を与えることもできる。
【0085】
以上の説明では、本発明の実施形態において適用することのできる多くの種類の機械可読符号のうちの2例だけを使用した。第1の例はバーコードであり、第2の例は時刻を示すテキスト表示であった。当業者には容易に明らかになるように、設定情報は、これら2例だけという限定をはるかに超えて、きわめて多種多様な形式で提示することができるはずである。バーコードに関連する他のよくある変種には、クイックレスポンス(QR)コードや、他の類似のマトリックスコードといった2次元コードが含まれる。これらは情報をドットマトリックスとして符号化し、1次元バーコードより高いデータ密度を有するように設計される。また、カラーマトリックスに基づく機械可読符号を提供することも知られている。当然ながら、本発明は静的符号だけに限定されるものでもない。時間的変動を含む符号に大容量の設定情報を埋め込むこともできるはずである。この場合には、カメラは、画像ではなく、機械可読時変符号のビデオを取り込むことが必要になるはずである。
【0086】
OCRが実施可能である限りにおいては、印刷され、または表示されたテキストが適切な機械可読形式を含んでいてもよい。他の人間可読形式の情報には、(アナログ)時計文字盤のような例が含まれる。画像処理技術を使用して、OCRと同様のやり方で、そのような時計文字盤の画像から時刻情報を抽出することもでき、バーコードのバー要素を検出することもできる。それでもなお、全般的には、機械読取り専用に設計されているバーコードやマトリックスコードといった提示形式のものを処理する方が容易であろう。
【0087】
また、カメラと併用するために専用に構成された符号を設計することも可能である。例えば、大部分の既存のディジタル・スチル・カメラはJPEG画像圧縮規格を使用する。この規格は、不可逆の離散コサイン変換(DCT)符号化の方法を指定している。したがって、この種の画像圧縮に適する形式で機械可読符号を提供した方が有利となり得る。例えば、変換の係数によって符号化された情報を有する符号画像をDCT変換領域で設計することもできる。これは、情報コンテンツを、JPEG符号化プロセスによってあまり高率で量子化されない周波数成分に集中させることができるはずである。これは、符号の画像を圧縮するときにカメラによってもたらされるノイズまたはゆがみによる設定データの損失を最小限に抑えるはずである。またこれには複雑さを低減するという利点もある。というのは、画像がJPEG符号化形式で記憶されため、設定は(おそらくは)変換係数から直接読み取ることができるので、設定情報にアクセスするために画像を完全に復号する必要さえない場合もあり得るからである。
【0088】
バーコードを使用して時刻が符号化されるときには、バーコードのペイロードへの時刻の数字の割振りは、用途の要件に従って構成されてもよい。例えば、時刻の精度が10秒間隔以内であることが求められ、ロールオーバ前の時間範囲(すなわち、同じコードの連続する反復間の時間)が3年間である場合には、7個の10進数字(または24個の2進数字、ビット)が必要である。標準バーコードは10個の10進数字をサポートする。ロールオーバは、それがあまり頻繁でない限り、問題にはならない。必要な場合に、処理ソフトウェアは、様々なロールオーバに対応する時刻を試すこともできる。大抵の場合、一貫性がある、または、有効であるものとして、ただ1つのインスタンスだけが突出することになる。例えば、GPS信号サンプルを処理するときに、異なる時刻を使用してエフェメリス、その他の衛星情報がダウンロードされる場合には、ただ1つの時刻だけが有効な位置決定を生じさせるはずである。
【0089】
機械可読符号が十分な容量を有する場合、その符号はより大量の設定データを運ぶのに使用されてもよい。例えば、本発明の方法は、設定されるべき機器へのソフトウェアまたはファームウェア更新を配信するのに使用することもできる。
【0090】
当業者には他の様々な変形が明らかになるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を自動的に設定する方法であって、
前記機器のための設定情報を含む機械可読符号を含むシーンの画像を獲得するステップと、
前記画像を処理して前記設定情報を抽出するステップと、
前記設定情報を使用して前記機器を設定するステップと、を含み、
前記画像を獲得する前記ステップは、
カメラを使用して前記画像を取り込むステップ、または
カメラによって取り込まれた前記画像を受け取るステップ
のうちの少なくとも1つを含み、
前記設定情報は日付または時刻情報を含む方法。
【請求項2】
設定されるべき前記機器が前記画像を処理して前記設定情報を抽出する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
設定されるべき前記機器は、前記画像を取り込んだ前記カメラである請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記設定情報を使用するステップは、前記カメラの内部クロックを設定することを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記設定情報は、前記カメラの写真パラメータをさらに含む請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
設定されるべき前記機器は、前記画像を取り込んだ前記カメラから画像を受け取るように構成されたコンピュータである請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記画像は、前記カメラの内部クロックによって生成された関連する取り込み時刻メタデータを有し、
前記設定情報を使用するステップは、前記日付または時刻情報を前記メタデータと比較して、前記カメラの前記内部クロックの相対誤差を計算することを含む請求項3乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記計算された相対誤差を外挿して、同じカメラによって取り込まれた他の画像の取り込み時刻を計算するステップをさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
衛星測位信号を処理する方法において、前記画像のうちの少なくとも1つの前記計算された取り込み時刻を使用して、取り込み場所を計算するステップを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記機械可読符号を含む前記シーンは、前記機械可読符号を示す表示装置を含み、表示は、
前記設定情報を検索するために通信ネットワークに接続された機器の表示、
衛星測位受信機の表示、および
クロックの表示
のうちの少なくとも1つである請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータ上で実行されると請求項1乃至10のいずれか一項に記載のすべてのステップを実行するように構成されたコンピュータ・プログラム・コード手段を備えるコンピュータプログラム。
【請求項12】
コンピュータ可読媒体上に格納された請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
機器を自動的に設定する装置であって、
前記機器のための設定情報を含む機械可読符号を含むシーンの画像を受け取るための入力手段と、
前記画像を処理して前記設定情報を抽出するように構成され、かつ、
前記設定情報を使用して前記機器を設定するように構成された
プロセッサと、を備え、
前記設定情報は日付または時刻情報を含む装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−518933(P2012−518933A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550656(P2011−550656)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050309
【国際公開番号】WO2010/097618
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(510112671)ユー‐ブロックス、アクチエンゲゼルシャフト (15)
【氏名又は名称原語表記】U−BLOX A.G.
【Fターム(参考)】