説明

自動認識処理システム、情報処理端末、自動認識処理方法、及びプログラム

【課題】コストをかけずに、数多くの種類の対象物を精度よく自動認識することが可能な自動認識処理システム等を提供する。
【解決手段】撮影部25であるカメラを起動すると、情報処理端末3は発光体11の明滅周期をサーバ5から受信、設定し、対象物9の動画撮影を開始する。情報処理端末3は、前後の撮影画像31から差分画像32を生成してシンボル認識処理を行い、差分画像32内にシンボル候補が4点あるか判定する。シンボル認識処理の認識結果が成功すると、情報処理端末3は差分画像32から認識領域33を抽出し、サーバ5に送信する。サーバ5は、情報処理端末3から受信した認識領域33のデータベース照会処理を行う。情報処理端末3は、サーバ5からデータベース照会の結果を受信し、データの表示等を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の対象物を自動で認識する自動認識処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
任意の対象物をコンピュータによって自動的に認識するため、従来から様々な手法が考案されている。
【0003】
特許文献1の自動目標検知識別処理方法は、可視画像撮像手段と不可視画像撮像手段を備え、不可視画像中から得られた目標位置情報を可視画像に転送し、画像処理する範囲を特定限定して絞り込むことにより、画像処理量を少なくする。
【0004】
また、特許文献2には、赤外線光等の光を用いて対象物を検知する方法として、赤外線信号送信デバイスを用いてタグ付けされた対象物を検出、識別し、空間的局所化を行うという方法が開示されている。この方法では、予め設定された赤外線光の明滅パターンを検出すると、対象物であると認識する。
【0005】
また、特許文献3には、スポーツ中継等においてサッカー選手、ボール等のオブジェクトを検出する方法として、各オブジェクトの固定位置のそれぞれが送信機を取り付け、送信機の赤外線LEDが特定のパターンで点滅させ、受信機が送信機からの点滅光を受光して座標位置を検出し、撮像信号を出力するという方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、被写体等の対象物の位置を確実に特定する方法が開示されている。この方法では、被写体の一部に取り付ける識別情報出力部から出力される赤外線などの光データを被写体の画像信号と共に撮像手段1で受光し、赤外帯域成分のみを抽出し、画面上での位置を特定して位置情報で出力する。
【0007】
また、特許文献5の光学マーカシステムは、予め定められた位置にLEDマーカを取り付け、一意的に割り付けられた固有の点滅パターンで点滅させる。カメラによりLEDマーカの発光点及び特徴点を含む画像を撮影し、撮影された画像に含まれる発光点及び特徴点を候補点として検出して各候補点を追跡して点滅パターンを検出し、LEDマーカを特定し、LEDマーカの3次元位置等からカメラの位置及び姿勢を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−298144号公報
【特許文献2】特開平10−83454号公報
【特許文献3】特開2003−348424号公報
【特許文献4】特開2005−229494号公報
【特許文献5】特開2009−33366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示す方法では、自動目標検知識別装置が可視画像撮像手段と不可視画像撮像手段の両方を備える必要があり、実装が複雑となり、コストが高くなる。また、特許文献2、3、5に示す方法では、赤外線やLEDの明滅パターンの違いにより複数の対象物を識別する為、識別可能な対象物の数が、明滅パターンの数に限定される。また、特許文献4に示す方法では、対象物の位置をトラッキングするだけであり、対象物の領域を判定ができない。また、特許文献4に示す方法では、特殊なフィルタを用いるため、コストが高くなる。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コストをかけずに、数多くの種類の対象物を精度よく自動認識することが可能な自動認識処理システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、情報処理端末と、前記情報処理端末とネットワークを介して接続されるサーバから構成され、対象物を自動認識する自動認識処理システムであって、前記サーバは、前記対象物が有する発光体の一定の明滅周期を保持する手段、を有し、前記情報処理端末は、前記発光体の前記明滅周期を前記サーバから受信する手段と、前記対象物を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により得た撮影画像から差分画像を生成し、前記明滅周期に基づいて前記差分画像から点灯状態の前記発光体をシンボルとして認識する手段と、前記差分画像から前記シンボルに囲まれる認識領域を抽出する手段と、を有することを特徴とする自動認識処理システムである。第1の発明によって、コストをかけずに、数多くの種類の対象物を精度よく自動認識することができる。特に、発光体を既知の一定の明滅周期で明滅させることによって、対象物の周辺に無作為に存在する光源と区別し易くなり、シンボルとして精度良く特定することができる。また、明滅の周期を比較的長くすることにより、フレームレートが低いカメラでも使用可能となる。
【0012】
第1の発明における前記情報処理端末は、前記認識領域を前記サーバに送信する手段、を更に有し、前記サーバは、同一の絵柄であって、所定の画像サイズを有する1又は複数の基準領域画像を含む基準領域画像群と、前記基準領域画像群に紐付けられるデータを保持するデータベースと、前記情報処理端末から受信した前記認識領域を前記所定の画像サイズに変換していき、一致する前記基準領域画像があるか、前記データベースに照会する手段と、前記認識領域と一致した前記基準領域画像群に紐付けられるデータを前記情報処理端末に送信する手段と、を有することが望ましい。例えば、対象物が店舗の看板の場合、店舗の情報を基準領域画像群ごとに紐付けておくことによって、消費者は、店舗内に入店することなく、店舗の情報を得ることができる。また、例えば、対象物が商品の場合、商品の情報を基準領域画像群ごとに紐付けておくことによって、消費者は、商品の実物を見ながら、商品の情報をリアルタイムに得ることができる。更に、問い合わせるデータベースには、所定の画像サイズを有する複数の基準領域画像が用意されているため、遠方からでも認識対象の読み取りが可能である。これは、遠方の場合には認識領域が小さい画像として取得されるところ、データベース上に小さい基準領域画像が登録されていることによって、照合が可能となるからである。
【0013】
また、第1の発明における前記発光体は、不可視光を点灯することが望ましい。不可視光を用いることによって、景観を損なわないからである。
【0014】
第2の発明は、対象物を自動認識する情報処理端末であって、前記対象物が有する発光体の一定の明滅周期を保持する手段と、前記対象物を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により得た撮影画像から差分画像を生成し、前記明滅周期に基づいて前記差分画像から点灯状態の前記発光体をシンボルとして認識する手段と、前記差分画像から前記シンボルに囲まれる認識領域を抽出する手段と、を有することを特徴とする情報処理端末である。第2の発明によって、コストをかけずに、数多くの種類の対象物を精度よく自動認識することができる。特に、発光体を既知の一定の明滅周期で明滅させることによって、対象物の周辺に無作為に存在する光源と区別し易くなり、シンボルとして精度良く特定することができる。また、明滅の周期を比較的長くすることにより、フレームレートが低いカメラでも使用可能となる。
【0015】
第2の発明は、同一の絵柄であって、所定の画像サイズを有する1又は複数の基準領域画像を含む基準領域画像群と、前記基準領域画像群に紐付けられるデータを保持するデータベースと、前記認識領域を前記所定の画像サイズに変換していき、一致する前記基準領域画像があるか、前記データベースに照会する手段と、前記認識領域と一致した前記基準領域画像群に紐付けられるデータを出力する手段と、を更に有することが望ましい。例えば、対象物が店舗の看板の場合、店舗の情報を基準領域画像群ごとに紐付けておくことによって、消費者は、店舗内に入店することなく、店舗の情報を得ることができる。また、例えば、対象物が商品の場合、商品の情報を基準領域画像群ごとに紐付けておくことによって、消費者は、商品の実物を見ながら、商品の情報をリアルタイムに得ることができる。更に、問い合わせるデータベースには、所定の画像サイズを有する複数の基準領域画像が用意されているため、遠方からでも認識対象の読み取りが可能である。これは、遠方の場合には認識領域が小さい画像として取得されるところ、データベース上に小さい基準領域画像が登録されていることによって、照合が可能となるからである。
【0016】
また、第2の発明における前記発光体は、不可視光を点灯することが望ましい。不可視光を用いることによって、景観を損なわないからである。
【0017】
第3の発明は、対象物を自動認識する自動認識処理方法であって、前記対象物を撮影する撮影ステップと、前記撮影ステップにより得た撮影画像から差分画像を生成し、前記対象物が有する発光体の一定の明滅周期に基づいて前記差分画像から点灯状態の前記発光体をシンボルとして認識するステップと、前記差分画像から前記シンボルに囲まれる認識領域を抽出するステップと、を含むことを特徴とする自動認識処理方法である。第3の発明によって、コストをかけずに、数多くの種類の対象物を精度よく自動認識することができる。
【0018】
第4の発明は、コンピュータを、対象物が有する発光体の一定の明滅周期を保持する手段と、前記対象物を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により得た撮影画像から差分画像を生成し、前記明滅周期に基づいて前記差分画像から点灯状態の前記発光体をシンボルとして認識する手段と、前記差分画像から前記シンボルに囲まれる認識領域を抽出する手段と、して機能させるためのプログラムである。第4の発明をコンピュータにインストールすることによって、第2の発明の情報処理端末を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、コストをかけずに、数多くの種類の対象物を精度よく自動認識することが可能な自動認識処理システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動認識処理システムの概要を示す図
【図2】情報処理端末を実現するコンピュータのハードウエア構成図
【図3】基準領域画像を説明する図
【図4】差分画像を説明する図
【図5】自動認識処理の詳細を示すフローチャート
【図6】認識領域を説明する図
【図7】シンボル認識処理の詳細を示すフローチャート
【図8】データベース照会処理の詳細を示すフローチャート
【図9】照合処理を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、以下の説明および添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0022】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施の形態に係る自動認識処理システム1について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る自動認識処理システムの概要を示す図である。自動認識処理システム1は、動画像撮影手段を有する情報処理端末3を用いて対象物9を認識し、認識した対象物9に関連する情報を取得する。情報処理端末3は、ネットワーク7を介してサーバ5に接続する。
【0023】
対象物9は、一部あるいは全体に矩形の認識領域を有し、領域の左上、左下、右上、右下の四隅に、一定周期で赤外線光のような不可視光の点灯を繰り返す発光体11を有する。発光体11の明滅する周期は、情報処理端末3により撮影可能なフレームレートより低い値とする。
【0024】
情報処理端末3は、動画像撮影手段を有する携帯端末であり、撮影した動画像から明滅する発光体11をシンボルとして抽出し、対象物9の認識領域を特定し、認識領域内の静止画像をサーバ5に送信する。
【0025】
サーバ5は、認識処理の基準領域となる画像(以下、「基準領域画像」という。)群をデータベースに予め保持する。また、サーバ5は、認識対象の名前や商品のホームページのURL(Uniform Resource Locator)等、基準領域画像群と紐付けられる情報をデータベースに予め保持する。サーバ5は、情報処理端末3から受信する静止画像と、データベース内で保有する基準領域画像との照合を行い、該当する基準領域画像群と紐付けられた情報を情報処理端末3に送信する。
【0026】
図2は、情報処理端末3を実現するコンピュータのハードウエア構成図である。尚、図2のハードウエア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。また、サーバ5のハードウエア構成は、撮影部25が不要な点を除き、情報処理端末3のハードウエア構成と同様である。
【0027】
情報処理端末3は、制御部21、記憶部22、入力部23、表示部24、撮影部25、通信部26等が、バス27を介して接続される。
【0028】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。CPUは、記憶部22、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス27を介して接続された各装置を駆動制御し、情報処理端末3が行う後述する処理を実現する。ROMは、不揮発性メモリであり、プログラムやデータ等を恒久的に保持している。RAMは、揮発性メモリであり、記憶部22、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部21が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0029】
記憶部22は、フラッシュメモリ等であり、制御部21が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ等が格納される。これらの各プログラムコードは、制御部21のCPUにより必要に応じて読み出されてRAMに移され、各種の手段として実行される。
【0030】
入力部23は、データの入力を行い、例えば、タッチパネル、キー等の入力装置を有する。入力部23を介して、情報処理端末3に対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。表示部24は、液晶パネル等のディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。尚、入力部23及び表示部24は、タッチパネル付きディスプレイのように、一体であっても良い。
【0031】
撮影部25は、動画像を撮影可能なカメラ等である。撮影部25は、明滅する不可視光(例えば、赤外光)を検出することができる。通信部26は、情報処理端末3とネットワーク7間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク7を介して、サーバ5等と通信を行う。ネットワーク7は、有線、無線を問わない。バス27は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0032】
次に、図3を参照しながら、基準領域画像等を保持するデータベースの詳細について説明する。図3は、基準領域画像を説明する図である。図3には、基準領域画像群13a、13b、・・・等が図示されている。基準領域画像群13aは、基準領域画像15−1a、15−2a、・・・からなり、情報Aに紐付けられている。また、基準領域画像群13bは、基準領域画像15−1b、15−2b、・・・からなり、情報Bに紐付けられている。
【0033】
説明を分かり易くする為に、基準領域画像群13aの図柄はアルファベットの大文字「A」、基準領域画像群13bの図柄はアルファベットの大文字「B」としている。以下、基準領域画像群13a、13b、・・・を総称する場合には、「基準領域画像群13」と表記する。同様に、基準領域画像15−1a、15−2a、・・・、15−1b、15−2b、・・・を総称する場合には、「基準領域画像15」と表記する。
【0034】
サーバ5は、データベース上に、単一の情報に対して、同一の絵柄であって、縦横比が固定された複数の大きさの基準領域画像15を含む基準領域画像群13を紐付けて記憶する。各情報間において、基準領域画像群13の縦横比が重複しても構わない。また、各情報間において、基準領域画像群13に含まれる基準領域画像15の大きさが重複しても構わない。基準領域画像15の形状は矩形とする。
【0035】
図3の例では、基準領域画像群13aは縦横比が3:4で固定され、基準領域画像群13bは縦横比が1:1で固定されている。基準領域画像群13aには、縦が30pixel、横が40pixelの大きさを有する基準領域画像15−1a、縦が45pixel、横が60pixelの大きさを有する基準領域画像15−2a等が含まれている。基準領域画像群13bには、縦が40pixel、横が40pixelの大きさを有する基準領域画像15−1b、縦が60pixel、横が60pixelの大きさを有する基準領域画像15−2b等が含まれている。
【0036】
サーバ5は、情報処理端末3から受信した認識領域を、基準領域画像15に合わせて変換し、一致するかどうか判定する。図3の例では、サーバ5は、認識領域を少なくとも4種類以上の画像サイズに変換していき、いずれかの基準領域画像15に一致するかどうかを判定することになる。複数種類の大きさにリサイズされた基準領域画像15を保持しておくことによって、発光体11の設置位置の自由度が高くなるとともに、撮影時の歪みなどにも対応し易くなる。
【0037】
次に、図4を参照しながら、情報処理端末3が撮影した動画像から差分画像を取得する処理について説明する。図4は、差分画像を説明する図である。尚、図4には、撮影画像31−1〜31−4が図示されているが、総称する場合には「撮影画像31」と表記する。同様に、図4には、差分画像32−1〜32−3が図示されているが、総称する場合には「差分画像32」と表記する。
【0038】
情報処理端末3の撮影部25は、動画像として撮影画像31を連続的に撮影する。撮影画像31には、対象物9が含まれている。対象物9の発光体11は、明滅間隔tcで点灯し、それ以外は消灯状態である。情報処理端末3の制御部21は、画像処理におけるフィルタ処理等を施した後、前後の撮影画像31から差分画像32を生成する。差分画像32には、発光体11の明滅間隔tcの時間間隔で点灯する発光体11が含まれる。
【0039】
図4に示す例では、差分画像32−1、32−3に発光体11が含まれている。一方、差分画像32−2には発光体11が含まれていない。後述するように、情報処理端末3の制御部21は、所定枚数の差分画像32に発光体11が含まれていることを認識すると、差分画像32の認識領域内の静止画像をサーバ5に送信する。
【0040】
次に、図5〜9を参照しながら、自動認識処理システム1における対象物の自動認識処理について説明する。図5は自動認識処理の詳細を示すフローチャート、図6は認識領域を説明する図、図7はシンボル認識処理の詳細を示すフローチャート、図8はデータベース照会処理の詳細を示すフローチャート、図9は照合処理を説明する図である。
【0041】
図5に示すように、ユーザが、情報処理端末3の撮影部25であるカメラを起動すると(ステップS101)、情報処理端末3の制御部21は、発光体11の明滅周期をサーバ5から受信し、RAM等に明滅周期を設定する(ステップS102)。情報処理端末3の制御部21は、撮影部25により対象物9の動画撮影を開始する(ステップS103)。
【0042】
情報処理端末3の制御部21は、撮影画像31から差分画像32を生成してシンボル認識処理を行い、差分画像32内にシンボル候補が4点あるか判定する(ステップS104)。
【0043】
図7は、ステップS104のシンボル認識処理の詳細を示している。図7に示すように、情報処理端末3の制御部21は、撮影部25により撮影した撮影画像31と、直前に撮影した撮影画像31との差分画像32を生成し、対象物9の発光体11の明滅によるシンボル候補が4点以上抽出されたか判定する。尚、図1に示すように、対象物9には4つの発光体11が設置されるが、ノイズ等がシンボル候補として抽出されることも考えられる為、4点「以上」という条件にしている。
【0044】
4点以上抽出されない場合(ステップS201のNo)、シンボルの認識処理は失敗であるため、「認識結果は失敗」とする(ステップS208)。
【0045】
一方、差分画像32からシンボル候補が4点以上抽出された場合(ステップS201のYes)、情報処理端末3の制御部21は、シンボル認識のためのループ処理を開始し、ループカウンタiを1に設定し(ステップS202)、所定枚数nの差分画像32からシンボル候補が4点以上抽出されるまで、ループ処理を繰り返す(ステップS205)。つまり、ループカウンタiは、シンボル候補が4点以上抽出された差分画像32の枚数を示している。尚、このループ処理は必須ではなく、1枚の差分画像32からシンボル候補が4点以上抽出されたら、認識結果は成功と判定しても良い。
【0046】
ループ処理内では、情報処理端末3の制御部21は、前回の処理からtc×i後の撮影画像31と、その前後の撮影画像31の差分画像32を生成し、差分画像32内にシンボル候補が4点以上存在するか判定する(ステップS203)。
【0047】
差分画像32内にシンボル候補が4点以上存在しない場合(ステップS203のNo)、シンボルの認識処理は失敗であるため、「認識結果は失敗」とする(ステップS208)。例えば、対象物9が途中からフレームアウトした場合などが考えられる。
【0048】
差分画像32内にシンボル候補が4点以上存在する場合(ステップS203のYes)、情報処理端末3の制御部21はループカウンタiを1増分する(ステップS204)。
【0049】
ループ処理終了後、情報処理端末3の制御部21は、現在の差分画像32内にシンボル候補が4点のみ存在するか判定し(ステップS206)、4点のみ存在する場合(ステップS206のYes)、シンボルの「認識処理は成功」とする(ステップS207)。前述のステップS201やステップS203では、ノイズ等がシンボル候補として抽出されることを許容したが、ステップS206では、ノイズ等がシンボル候補として抽出されることを許容しない。これは、ノイズ等がシンボル候補として抽出されたままでは、認識領域が確定しないからである。
【0050】
情報処理端末3の制御部21は、現在の差分画像32内に存在するシンボル候補が4点のみではない場合(ステップS206のNo)、シンボル認識処理は失敗であるため、「認識結果は失敗」とする(ステップS208)。
【0051】
図5の説明に戻る。シンボル認識処理の認識結果が失敗の場合(ステップS104のNo)、情報処理端末3の制御部21は、撮影部25による動画撮影を続ける(ステップS103)。
【0052】
シンボル認識処理の認識結果が成功の場合(ステップS104のYes)、情報処理端末3の制御部21は差分画像32から認識領域33を抽出し(ステップS105)、抽出した認識領域33をサーバ5に送信する(ステップS106)。認識領域33は、図6に示すように、差分画像32の一部分である。既に、4つの発光体11の位置がシンボルとして抽出されているので、情報処理端末3の制御部21は、容易に認識領域33を抽出することができる。
【0053】
尚、4つのシンボルの位置が長方形の頂点の位置ではなく、図6に示すように歪んでいる場合、情報処理端末3の制御部21は、線形変換等を施して、4つのシンボルの位置を長方形の頂点の位置となるように差分画像32を変換した後、認識領域33を抽出する。
【0054】
サーバ5は、情報処理端末3から受信した認識領域33を、サーバ5が保持する基準領域画像15と比較し、データベース照会処理を行う(ステップS107)。
【0055】
図8は、ステップS107のサーバ5によるデータベース照会処理の詳細を示している。サーバ5は、情報処理端末3からの照会要求を受信すると(ステップS301のYes)、ループ処理を開始し、ループカウンタjを1に設定し(ステップS302)、ループカウンタjがm以上となるまでループ処理を繰り返す(ステップS306)。mは、基準領域画像15として保持する縦横比・大きさ(=画像サイズ)の種類を示している。図3に示す例であれば、少なくともm=4以上である。
【0056】
サーバ5は、認識領域33をj番目の縦横比・大きさ(=画像サイズ)に変換し(ステップS303)、データベース内の基準領域画像15の中に同一のものが存在するか判定する(ステップS304)。
サーバ5は、認識領域33と同一の基準領域画像15が存在する場合(ステップS304のYes)、該当する基準領域画像15に紐付けられたデータを情報処理端末3に送信し(ステップS305)、処理を終了する。
認識領域33と同一の基準領域画像15が存在しない場合(ステップS304のNo)、サーバ5は情報処理端末3に「該当データなし」のメッセージを送信する(ステップS307)。
【0057】
図9に示すように、サーバ5は、認識領域33の画像サイズを30×40、45×60、・・・に変換して、基準領域画像群13aに含まれる基準領域画像15−1a、15−2a、・・・と照合処理を行う。同様に、サーバ5は、認識領域33の画像サイズを40×40、60×60、・・・に変換して、基準領域画像群13bに含まれる基準領域画像15−1b、15−2b、・・・と照合処理を行う。このように、サーバ5は、データベースに保持されている全ての基準領域画像15と照合処理を行う。そして、サーバ5は、一致した基準領域画像15を含む基準領域画像群13と紐付けられている情報を、情報処理端末3に送信する。
【0058】
図5の説明に戻る。情報処理端末3の制御部21は、サーバ5からデータベース照会の結果を受信、データの表示等を行う(ステップS108)。
【0059】
以上説明したように、本発明に係る自動認識処理システムでは、対象物を含む撮影画像から差分画像を生成し、予め定義された明滅周期に基づいて差分画像から点灯状態の発光体をシンボルとして認識し、差分画像からシンボルに囲まれる認識領域を抽出する。これによって、対象物を精度良く自動認識することができる。特に、発光体を既知の一定の明滅周期で明滅させることによって、対象物の周辺に無作為に存在する光源と区別し易くなり、シンボルとして精度良く特定することができる。
【0060】
また、不可視光をシンボルとして用いることによって、遠方からでも認識対象の読み取りが可能である。また、明滅の周期を比較的長くすることにより、フレームレートが低いカメラでも使用可能となる。また、シンボルとして不可視光を用いているため、景観を損なわない。ただし、可視光をシンボルとして用いることも、もちろん可能である。可視光であっても、前述した通り、発光体を既知の一定の明滅周期で明滅させることによって、対象物の周辺に無作為に存在する光源と区別することができる。
【0061】
また、自動認識処理システムでは、同一の絵柄であって、所定の画像サイズを有する1又は複数の基準領域画像を含む基準領域画像群と、基準領域画像群に紐付けられるデータを保持するデータベースを備え、認識領域を所定の画像サイズに変換していき、認識領域と基準領域画像との照合を行うことによって、基準領域画像群ごとに紐付けられるデータを表示することができる。例えば、対象物が店舗の看板の場合、店舗の情報を基準領域画像群ごとに紐付けておくことによって、消費者は、店舗内に入店することなく、店舗の情報を得ることができる。また、例えば、対象物が商品の場合、商品の情報を基準領域画像群ごとに紐付けておくことによって、消費者は、商品の実物を見ながら、商品の情報をリアルタイムに得ることができる。更に、問い合わせるデータベースには、所定の画像サイズを有する複数の基準領域画像が用意されているため、遠方からでも認識対象の読み取りが可能である。これは、遠方の場合には認識領域が小さい画像として取得されるところ、データベース上に小さい基準領域画像が登録されていることによって、照合が可能となるからである。
【0062】
前述の説明では、サーバに対象物の静止画像のデータベースを保持するとしたが、情報処理端末の内部に対象物の静止画像のデータベースを保持し、図8に示すデータベース照会処理を情報処理端末内で行うようにしてもよい。つまり、情報処理端末は、対象物が有する発光体の一定の明滅周期を保持し、対象物を撮影し、撮影により得た撮影画像から差分画像を生成し、明滅周期に基づいて差分画像から点灯状態の発光体をシンボルとして認識し、差分画像からシンボルに囲まれる認識領域を抽出する。更に、情報処理端末は、同一の絵柄であって、所定の画像サイズを有する1又は複数の基準領域画像を含む基準領域画像群と、基準領域画像群に紐付けられるデータを保持するデータベースを備え、認識領域を所定の画像サイズに変換していき、一致する基準領域画像があるか、データベースに照会し、認識領域と一致した基準領域画像群に紐付けられるデータを出力する。これによって、情報処理端末は、ネットワークを介さずにデータベース照会処理を行うことができる。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る自動認識処理システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0064】
1………自動認識処理システム
3………情報処理端末
5………サーバ
7………ネットワーク
9………対象物
11………発光体
13………基準領域画像群
15………基準領域画像
31………撮影画像
32………差分画像
33………認識領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末と、前記情報処理端末とネットワークを介して接続されるサーバから構成され、対象物を自動認識する自動認識処理システムであって、
前記サーバは、
前記対象物が有する発光体の一定の明滅周期を保持する手段、
を有し、
前記情報処理端末は、
前記発光体の前記明滅周期を前記サーバから受信する手段と、
前記対象物を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により得た撮影画像から差分画像を生成し、前記明滅周期に基づいて前記差分画像から点灯状態の前記発光体をシンボルとして認識する手段と、
前記差分画像から前記シンボルに囲まれる認識領域を抽出する手段と、
を有することを特徴とする自動認識処理システム。
【請求項2】
前記情報処理端末は、
前記認識領域を前記サーバに送信する手段、
を更に有し、
前記サーバは、
同一の絵柄であって、所定の画像サイズを有する1又は複数の基準領域画像を含む基準領域画像群と、前記基準領域画像群に紐付けられるデータを保持するデータベースと、
前記情報処理端末から受信した前記認識領域を前記所定の画像サイズに変換していき、一致する前記基準領域画像があるか、前記データベースに照会する手段と、
前記認識領域と一致した前記基準領域画像群に紐付けられるデータを前記情報処理端末に送信する手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の自動認識処理システム。
【請求項3】
前記発光体は、不可視光を点灯することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動認識処理システム。
【請求項4】
対象物を自動認識する情報処理端末であって、
前記対象物が有する発光体の一定の明滅周期を保持する手段と、
前記対象物を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により得た撮影画像から差分画像を生成し、前記明滅周期に基づいて前記差分画像から点灯状態の前記発光体をシンボルとして認識する手段と、
前記差分画像から前記シンボルに囲まれる認識領域を抽出する手段と、
を有することを特徴とする情報処理端末。
【請求項5】
同一の絵柄であって、所定の画像サイズを有する1又は複数の基準領域画像を含む基準領域画像群と、前記基準領域画像群に紐付けられるデータを保持するデータベースと、
前記認識領域を前記所定の画像サイズに変換していき、一致する前記基準領域画像があるか、前記データベースに照会する手段と、
前記認識領域と一致した前記基準領域画像群に紐付けられるデータを出力する手段と、
を更に有することを特徴とする請求項4に記載の情報処理端末。
【請求項6】
前記発光体は、不可視光を点灯することを特徴とする請求項4又は5に記載の情報処理端末。
【請求項7】
対象物を自動認識する自動認識処理方法であって、
前記対象物を撮影する撮影ステップと、
前記撮影ステップにより得た撮影画像から差分画像を生成し、前記対象物が有する発光体の一定の明滅周期に基づいて前記差分画像から点灯状態の前記発光体をシンボルとして認識するステップと、
前記差分画像から前記シンボルに囲まれる認識領域を抽出するステップと、
を含むことを特徴とする自動認識処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
対象物が有する発光体の一定の明滅周期を保持する手段と、
前記対象物を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により得た撮影画像から差分画像を生成し、前記明滅周期に基づいて前記差分画像から点灯状態の前記発光体をシンボルとして認識する手段と、
前記差分画像から前記シンボルに囲まれる認識領域を抽出する手段と、
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−73467(P2013−73467A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212861(P2011−212861)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】