説明

自動販売機、電子マネーシステム、及び自動販売機の決済方法

【課題】無駄な操作を防止して操作性を高めると共に、利便性を向上した自動販売機を提供する。
【解決手段】この自動販売機10は、電子決済サービス情報をICカード56から読み取り、電子決済サービス情報に係る残高を更新するリーダライタ5と、電子決済サービス情報に係る入出金を管理する電子マネー管理センタ52との間で電子決済サービス情報の授受を行なう通信部1と、購入する商品毎のメニューボタンを有する選択手段7と、各ICカードを利用した場合の購入価格を表示する表示部2と、選択手段7により選択された商品を利用者に提供する商品処理部6と、決済に使用するICカードに記憶された電子決済サービス情報をリーダライタ5により読み取り、読み取られた電子決済サービス情報に基づいて電子マネー管理センタ52との間で決済を行い、商品処理部6を制御する制御部3と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機、電子マネーシステム、及び自動販売機の決済方法に関し、さらに詳しくは、電子決済サービス情報を記憶しているICカードを利用して商品の販売を可能とした自動販売機の決済方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード等に電子決済サービス情報(ICカードを特定するIDと電子マネー残高)を記憶しておき、ICカード等を使用した決済により物品の購入やサービスの提供を受けることができるようにしたプリペイド型電子マネーシステムが導入されている。このようなプリペイド型電子マネーシステムでは、例えば買い物をする前にICカード等の電子マネー残高が所定の金額に達するようにチャージしておき、商品購入時に購入代金をICカード等に記憶された電子マネー残高から減算する方法がとられている。
また、鉄道等の乗車券を販売する自動券売機における決済には、現金投入後に商品選択を行なう後押し方式と、ICカードによる購入のように商品選択後に決済を行なう先押し方式がある。ICカードを利用した券売機での決済では、上記の先押し方式が一般的に採用されており、商品選択後、選択終了操作として決済ボタンを押してから、ICカードに記憶されている電子決済サービス情報を券売機により読み取らせている。しかし、商品選択中に電子決済サービス情報の残高を自動券売機及び利用者側も把握できないため、残高の多寡に関係なく商品選択の操作を行うことが可能であり、決済時に残高不足のために決済が成立せず、現金で購入するか、ICカードにチャージした後に再度購入する必要があり、利便性が悪く且つ煩わしかった。
【0003】
また、特許文献1には、ICカードをリーダライタに近接することにより、ICカードの認証と残高を読み取って表示すると共にメニューボタンを点灯させ、利用者がメニューボタン押下すると、他のメニューボタンが消灯してICカードによる決済を実行して商品を排出するといった操作手順による自動販売機について開示されている。
【特許文献1】特開2003−228751公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、一つの商品を選択する度に決済が行なわれるため、複数の商品を選択するときには、利用者はICカードをリーダライタにかざしした状態で保持し続けておく必要があり、操作が煩雑であった。また、そのような煩雑な操作を回避するために、リーダライタにICカードを近接させた状態を維持させるための保持具を設けた例もあるが、保持具にICカードをセットしたまま取り外すのを忘れてしまう虞があった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ICカードをリーダライタに近接することにより残高を表示し、メニュー選択後に再度ICカードを近接してメニュー購入後の残高を表示すると共に、同じICカードが続けて使用されているか否かを検証し、同じICカードが使用されている場合に限り決済を実行して商品を排出することにより、商品の購入中に残高を確認することができると共に、1回の決済で複数の商品を購入することができ、無駄な操作を防止して操作性を高めると共に、利便性を向上した自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、取引上の決済に少なくとも一種類のICカードを利用可能な自動販売機であって、前記ICカードに記憶されている電子決済サービス情報を前記ICカードから読み取り、該電子決済サービス情報に係る残高を更新するリーダライタと、前記電子決済サービス情報に係る入出金を管理する電子マネー管理センタとの間で前記電子決済サービス情報の授受を行なう通信部と、購入する商品毎のメニューボタンを有する選択手段と、少なくとも前記ICカードの残高を表示する表示部と、前記選択手段により選択された商品を利用者に提供する商品処理部と、前記決済に使用するICカードに記憶された電子決済サービス情報を前記リーダライタにより読み取り、読み取られた電子決済サービス情報に基づいて前記電子マネー管理センタとの間で決済を行い、前記商品処理部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記リーダライタに近接されたICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると前記複数のメニューボタンを有効とし、該ICカードが再度、前記リーダライタに近接されることにより、前記メニューボタンによる商品の選択が完了したものと見做して該ICカードの認証動作を行なうと共に残高を読み取り、同じICカードであることを確認すると、該ICカードによる決済処理を実行するように制御することを特徴とする。
【0007】
本発明の自動販売機は、電子決済サービス情報を記憶したICカードを利用して商品の販売を可能とするものである。従って、ICカードは非接触により自動販売機に備えられたリーダライタとデータの授受を行なう。また、自動販売機は、電子決済サービス情報の決済処理を行うために、外部の電子マネー管理センタと通信可能な構成を備えている。その他、自動販売機の基本的な機能と、少なくとも残高を表示する表示部と、購入する商品毎のメニューボタンを有する選択手段と、を備えている。そして、制御部は、ICカードがリーダライタに近接されることにより、ICカードの認証動作を行なうと共に残高を読み取って表示部に表示し、ICカードが認証されると選択手段の複数のメニューボタンを有効とし、同一のICカードが再度、リーダライタに近接されることにより、メニューボタンによる商品の選択が完了したものと見做し、ICカードの認証動作を行なうと共に残高を読み取り、同じICカードであることを確認すると、ICカードによる決済処理を実行する。これにより、商品の購入中に残高を確認することができると共に、1回の決済で複数の商品を購入することができる。
【0008】
請求項2は、前記制御部は、前記ICカードが前記リーダライタに近接されることにより、該ICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると、前記残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とすることを特徴とする。
最初にICカードをリーダライタに近接したときに、残高の多寡と関係なく全てのメニューボタンを有効として表示すると、実際には購入できない商品までもが有効として表示されている状態となり、利用者は残高の範囲内で購入可能な商品を判断しながら選択しなければならない。そこで本発明では、ICカードが認証されて、残高が明確になった時点で、その残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とするものである。これにより、購入可能なメニューがどれであるかを事前に判断できるので、利用者は、現在の残高の範囲内で購入可能な商品がどれであるかを判断する手数が不要となる。
【0009】
請求項3は、前記制御部は、前記ICカードが前記リーダライタに近接されることにより、該ICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると前記選択手段の複数のメニューボタンを有効とし、該メニューボタンの何れか一つが押下された場合、前記残高から押下されたメニューボタンに係る商品の購入金額を差し引いた残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とすることを特徴とする。
本発明では、最初にICカードをリーダライタに近接したときは、ICカードの認証動作と残高の表示を行い、複数のメニューボタンを有効としておく。そして、利用者がメニューボタンからメニューを選択すると、現在の残高から押下したメニューの金額を差し引いた残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とするものである。これにより、残高の範囲内でどのメニューが購入可能かをその都度判断することができる。
【0010】
請求項4は、前記制御部は、前記メニューボタンを有効とした場合、該メニューボタンを点灯表示することを特徴とする。
利用者は、どのメニューボタンが有効であるかを容易に分かる必要がある。そこで本発明では、メニューボタンのバックライトを有効なメニューボタンのみに点灯したり、各メニューボタンの近傍にLEDを設けて有効なメニューボタンのみのLEDを点灯する。これにより、利用者は、どのメニューボタンが有効かを一目瞭然に判断することができる。
【0011】
請求項5は、前記制御部は、取引上の決済に利用可能なICカード名、該ICカードに係る残高、前記選択手段により選択されたメニュー名、該メニュー名に係る購入数及び購入金額、及び該ICカードが購入可能な残高を少なくとも表示するように前記表示部を制御することを特徴とする。
表示部は、例えば液晶により構成することにより、ソフト的に表示内容を任意に変更することができる。本発明では、表示内容として、ICカードの種類を示すICカード名と、購入したメニュー名と数量及び購入金額と、このICカードの残高が表示される。これにより、利用者は、残高を知ることができると共に、どのようなメニューを選択したかを明確に把握することができる。
【0012】
請求項6は、前記制御部は、前記リーダライタに近接されたICカードの認証動作を行ない前記残高を読み取った結果、該残高が商品購入するための金額に達していない場合、他の種類のICカードを使用した商品購入を可能とすることを特徴とする。
1種類のICカードで購入しようとした商品の購入代金よりICカードの残高が少ない場合は、商品を購入することができない。そのような時、利用者が複数種類のICカードを所持している場合、他の種類のICカードを利用できれば利便性が高まる。そこで本発明では、複数種類のICカードを利用できるようにしたものである。これにより、商品購入のチャンスを有効に活用することができる。
【0013】
請求項7は、金融機関の貯蓄口座を管理する銀行管理センタと、クレジット決済と与信情報を管理するクレジット管理センタと、取引上の決済をコンピュータ上で実現するための電子決済サービス情報に係る入出金を管理する電子マネー管理センタと、ICカードに記憶されている電子決済サービス情報の残高に金額を加算するチャージ端末と、請求項1乃至5の何れか一項に記載の自動販売機と、前記銀行管理センタ、クレジット管理センタ及び電子マネー管理センタと前記自動販売機及びチャージ端末間を接続するネットワークと、を備えたことを特徴とする。
本発明の電子マネーシステムは、従来のICカードによる電子マネーシステムと基本的な構成は同じである。異なる点は、店舗等に設置された特定の支払端末に替わって店舗に限らず不特定な場所に設置された自動販売機を対象機器としている点と、従来のICカードに替わって、電子決済サービス情報を夫々記憶した複数種類のICカードにより自動販売機から商品を購入する点である。また、チャージ端末は自動販売機に備えても良いが、所定の場所に設置してICカードから行うようにしても良い。これにより、従来の電子マネーシステムの構成を利用して自動販売機を介してICカードにより商品を購入することができる。
【0014】
請求項8は、取引上の決済に少なくとも一種類のICカードを利用可能な自動販売機の決済方法であって、前記ICカードに記憶されている電子決済サービス情報を前記ICカードから読み取り、該電子決済サービス情報に係る残高を更新するリーダライタと、前記電子決済サービス情報に係る入出金を管理する電子マネー管理センタとの間で前記電子決済サービス情報の授受を行なう通信部と、購入する商品毎のメニューボタンを有する選択手段と、少なくとも前記ICカードの残高を表示する表示部と、前記選択手段により選択された商品を利用者に提供する商品処理部と、前記決済に使用するICカードに記憶された電子決済サービス情報を前記リーダライタにより読み取り、読み取られた電子決済サービス情報に基づいて前記電子マネー管理センタとの間で決済を行い、前記商品処理部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記リーダライタに近接されたICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると前記選択手段の複数のメニューボタンを有効とし、該ICカードが再度、前記リーダライタに近接されることにより、前記メニューボタンによる商品の選択が完了したものと見做して該ICカードの認証動作を行なうと共に残高を読み取り、同じICカードであることを確認すると、該ICカードによる決済処理を実行するように制御することを特徴とする。
本発明は請求項1と同様の作用効果を奏する。
【0015】
請求項9は、前記制御部は、前記ICカードが前記リーダライタに近接されることにより、該ICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると、前記残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とすることを特徴とする。
本発明は請求項2と同様の作用効果を奏する。
【0016】
請求項10は、前記制御部は、前記ICカードが前記リーダライタに近接されることにより、該ICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると前記選択手段の複数のメニューボタンを有効とし、該メニューボタンの何れか一つが押下された場合、前記残高から押下されたメニューボタンに係る商品の購入金額を差し引いた残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とすることを特徴とする。
本発明は請求項3と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、商品の購入中に残高を確認することができると共に、1回の決済で複数の商品を購入することができるので、無駄な操作を防止して操作性を高めると共に、利便性を向上することができる。
また、購入可能なメニューがどれであるかを事前に判断できるので、利用者は、現在の残高の範囲内で購入可能な商品がどれであるかを判断する手数が不要となる。
また、利用者がメニューボタンからメニューを選択すると、現在の残高から押下したメニューの金額を差し引いた残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とするので、残高の範囲内でどのメニューが購入可能かをその都度判断することができる。
更に、表示内容として、ICカードの種類を示すICカード名と、購入したメニュー名と数量及び購入金額と、このICカードの残高が表示されるので、利用者は、残高を知ることができると共に、どのようなメニューを選択したかを明確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の一実施形態に係る自動販売機の構成ブロック図である。この自動販売機10は、取引上の決済に係る処理をコンピュータ上で実現する電子決済サービス情報を記憶したICカードを利用して商品の販売を可能とする自動販売機であって、電子決済サービス情報をICカード56から読み取り、電子決済サービス情報に係る残高を更新するリーダライタ(R/W)5と、電子決済サービス情報に係る入出金を管理する電子マネー管理センタ52との間で電子決済サービス情報の授受を行なう通信部1と、購入する商品毎のメニューボタンを有する選択手段7と、少なくともICカード56の残高を表示する表示部2と、選択手段7により選択された商品を利用者に提供する商品処理部6と、決済に使用するICカードに記憶された電子決済サービス情報をリーダライタ5により読み取り、読み取られた電子決済サービス情報に基づいて電子マネー管理センタ52との間で決済を行い、商品処理部6を制御する制御部3と、を備えて構成されている。尚、現金により商品の決済を行なう金銭処理部4を併せて備えても良い。
【0019】
即ち、本発明の自動販売機10は、電子決済サービス情報を記憶したICカード56を利用して商品の販売を可能とするものである。従って、ICカード56は非接触により自動販売機10に備えられたリーダライタ5とデータの授受を行なう。また、自動販売機10は、電子決済サービス情報の決済処理を行うために、外部の電子マネー管理センタ52と通信可能な構成を備えている。その他、自動販売機10の基本的な機能と、少なくともICカード56の残高を表示する表示部2と、購入する商品毎のメニューボタンを有する選択手段7と、を備えている。そして、制御部3は、ICカード56がリーダライタ5に近接されることにより、ICカード56の認証動作を行なうと共に残高を読み取って表示部2に表示し、ICカード56が認証されると選択手段7の全てのメニューボタンを有効とし、ICカード56が再度、リーダライタ5に近接されることにより、メニューボタンによる商品の選択が完了したものと見做してICカード56の認証動作を行なうと共に残高を読み取り、同一のICカード56であることを確認すると、ICカード56による決済処理を実行する。これにより、商品の購入中に残高を確認することができると共に、1回の決済で複数の商品を購入することができる。
【0020】
図2は、本発明の電子マネーシステムの一例を示す図である。この電子マネーシステム70は、金融機関の貯蓄口座を管理する銀行管理センタ50と、クレジット決済と与信情報を管理するクレジット管理センタ51と、取引上の決済をコンピュータ上で実現するための電子決済サービス情報に係る入出金を管理する電子マネー管理センタ52と、ICカードに記憶されている電子決済サービス情報の残高に金額を加算するチャージ端末53と、図1に記載の自動販売機10と、銀行管理センタ50、クレジット管理センタ51及び電子マネー管理センタ52と自動販売機10及びチャージ端末53間を接続するネットワーク58と、を備えて構成されている。尚、本実施形態では、自動販売機10をネットワーク58に接続する形態について説明する。
本発明の電子マネーシステム70は、従来のICカードによる電子マネーシステムと基本的な構成は同じである。異なる点は、店舗等に設置された特定の支払端末に替わって店舗に限らず不特定な場所に設置された自動販売機10を対象機器としている点である。また、チャージ端末53は自動販売機10に備えても良いが、所定の場所に設置してICカード56から行うようにしても良い。これにより、従来の電子マネーシステムの構成を利用して自動販売機10を介してICカード56により商品を購入することができる。
【0021】
図3は、本発明の自動販売機の一例として飲用品を販売する自動券売機の前面パネルを示す外観図である。
この自動販売機10には、紙幣挿入□64、コイン投入ロ66、釣り銭口67が備えられており、現金利用者への対応が可能となっている。図中左上には、利用者がメニューを選択するための商品選択メニューボタン(選択手段)7(この例では2×4の8口座)が用意されている。また、図中下方には商品を排出するための商品取出口(商品処理部)6が配置されている。更に、図中右上には、選択したメニューの一覧と残高を表示する表示部2が設けられており、その下に、近接したICカードから電子決済サービス情報を読み取り、決済処理後の残高を更新するためのリーダライタ5が配置されている。
【0022】
ここで、電子決済サービス情報を記憶したICカードにて、この自動券売機10を利用する場合の基本的な動作について説明する。尚、本実施形態では、1種類のICカードによる商品購入動作について説明する。
まず、利用者はICカード56をリーダライタ5に近接する。制御部3は、ICカード56がリーダライタ5に近接されることにより、このICカード56の認証動作を行なうと共に、ICカード56に記憶されている残高を読み取って表示部2に表示する(詳細は後述する)。そして、ICカード56が認証されると、商品選択メニューボタン7の全てのメニューボタン7a〜7hを有効とるために点灯させる。利用者は、メニューボタン7a〜7hの中から、メニューを選択して、そのメニューボタンを押下する。このとき、利用者は、表示部2に表示されている残高を確認しながら、その残高の範囲内で購入可能なメニューを選択する。即ち、残高内であれば複数のメニューボタンを押下することができる。選択が終了すると、ICカード56を再度、リーダライタ5に近接する。これにより、メニューボタンによる商品の選択が完了したものと見做して、ICカード56の認証動作を行なうと共に残高を読み取り、同じICカード56であることを確認すると、このICカード56による決済処理を実行して、決済が正常に完了すると、選択された商品を商品取出し口6に排出する。
【0023】
図4は、本発明の自動販売機の表示部に表示する内容の一例を示す図である。例えば、ICカードがSuica(登録商標)の場合、表示領域2aには、「カード名:Suica 残高1250円」が表示される。尚、残高はメニューを選択する前の金額が表示される。そして、利用者が複数のメニューを選択すると、表示領域bには、「あなたが選択したメニューは、」その時点でのメニュー名、数量、金額と小計が表示される。この例では、コーヒー、数量2、金額300円、オレンジジュース、数量1、金額120円、ココア、数量1、金額150円と枠内に表示され、その小計金額570円が枠外に表示される。そして、残高1250円から小計570円を差し引いた金額が680円であるので、「あと680円分購入可能です。」と表示される。
また、表示領域2cには、「メニューボタンを選択したら、もう1度カードをタッチしてください。」を表示して、決済することを促す旨の表示を行う。
即ち、表示部2は、例えば液晶により構成することにより、ソフト的に表示内容を任意に変更することができる。本実施形態では、表示内容として、ICカードの種類を示すICカード名と、購入したメニュー名と数量及び購入金額と、このICカードで購入可能な残高が表示される。これにより、利用者は、残高を知ることができると共に、どのようなメニューを選択したかを明確に把握することができる。
【0024】
図5は本発明の一実施形態に係る自動販売機の動作を説明するフローチャートである。まず、利用者はICカード56をリーダライタ5に近接する(S1)。制御部3は、ICカード56がリーダライタ5に近接されることにより、このICカード56の認証動作を行なうと共に、ICカード56に記憶されている残高を読み取って表示部2に表示する(S2)。そして、ICカードを一旦リーダライタから遠ざける(S4)。ICカード56が認証されると、商品選択メニューボタン7の全てのメニューボタン7a〜7hを有効とるために点灯させる(S5)。利用者は、表示部2に表示されている残高を確認しながら、その残高の範囲内で購入可能なメニューをメニューボタン7a〜7hの中から選択して、そのメニューボタンを押下する(S6)。このとき、残高内であれば複数のメニューボタンを押下することができる。選択が終了すると(S7でYES)、ICカード56を再度、リーダライタ5に近接する(S8)。これにより、メニューボタンによる商品の選択が完了したものと見做し、ICカード56の認証動作を行なうと共に残高を読み取り(S9)、同じICカード56であることを確認する(S10)。同じICカードであることを確認すると(S10でYES)、このICカード56による決済処理を実行して(S12)、決済が正常に完了すると、選択された商品を商品取出し口6に排出する(S13)。一方、ステップS10で同じICカードであることが確認されないと(S10でNO)、決済エラーとする(S11)。
【0025】
図6は本発明の他の実施形態に係る自動販売機の動作を説明するフローチャートである。同じ動作は図5と同じステップ番号を付与し、説明を省略する。図6が図5と異なる点は、図5のステップS5で、ICカード56が認証されると、商品選択メニューボタン7の全てのメニューボタン7a〜7hを有効とるために点灯させるが、図6では、メニューボタンの点灯は、残高の範囲内で購入可能なもののみ点灯する(S21)点である。
即ち、最初にICカード56をリーダライタ5に近接したときに、全てのメニュースボタンを有効とすると、残高の範囲内で購入可能な商品を利用者が判断しながら選択しなければならない。そこで本実施形態では、ICカード56が認証されて、残高が明確になった時点で、その残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを点灯するものである。これにより、購入可能なメニューがどれであるかを事前に判断できるので、利用者は、残高の範囲内で購入可能な商品がどれかを判断する必要がなくなる。
【0026】
図7は本発明の他の実施形態に係る自動販売機の動作を説明するフローチャートである。同じ動作は図5と同じステップ番号を付与し、説明を省略する。図7が図5と異なる点は、図5のステップS6でメニューボタンを押下すると、ICカード56の残高から購入金額を差し引いた残りで購入可能なもののメニューボタンを点灯維持する(S22)点である。
即ち、本実施形態では、最初にICカード56をリーダライタ5に近接したときは、ICカード56の認証動作と残高の表示を行い、全てのメニューボタンを有効としておく。そして、利用者がメニューボタンからメニューを選択すると、現在の残高から押下したメニューの金額を差し引いた残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とするものである。これにより、残高の範囲内でどのメニューが購入可能かをその都度判断することができる。
【0027】
また、制御部3は、リーダライタ5に近接されたICカード56の認証動作を行ない残高を読み取った結果、この残高が商品を購入するための金額に達していない場合、他の種類のICカードを使用できるように制御する。
即ち、1種類のICカードで購入しようとした商品の購入代金よりICカードの残高が少ない場合は、商品を購入することができない。そのような時、利用者が複数種類のICカードを所持している場合、他の種類のICカードを利用できれば利便性が高まる。そこで本実施形態では、複数種類のICカードを利用できるようにしたものである。これにより、商品購入のチャンスを有効に活用することができる。
【0028】
例えば、Edy(登録商標)カードで1回目のリーダライタへの近接をしたとき、残高が少ないことを確認したら、今度はSuica(登録商標)カードで1回目のリーダライタへの近接をすると、Edyカードで近接した記録が消去される。即ち、2回目の近接で同じSuicaカードが近接されたときのみ決済できる。そして、1度に複数のメニューを選択した場合、どのメニューを夫々いくつ選択したのかが分からなくなるので、図4の表示部2を設けて、選択したメニューの一覧を表示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動販売機の構成ブロック図である。
【図2】本発明の電子マネーシステムの一例を示す図である。
【図3】本発明の自動販売機の一例として飲用品を販売する自動券売機の前面パネルを示す外観図である。
【図4】本発明の自動販売機の表示部に表示する内容の一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る自動販売機の動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態に係る自動販売機の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に係る自動販売機の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1 通信部、2 表示部、3 制御部、4 金銭処理部、5 リーダライタ、6 商品処理部、7 選択手段、10 自動販売機、50 銀行管理センタ、51 クレジット管理センタ、52 電子マネー管理センタ、53 チャージ端末、56 ICカード、57、58 ネットワーク、70 電子マネーシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引上の決済に少なくとも一種類のICカードを利用可能な自動販売機であって、
前記ICカードに記憶されている電子決済サービス情報を前記ICカードから読み取り、該電子決済サービス情報に係る残高を更新するリーダライタと、
前記電子決済サービス情報に係る入出金を管理する電子マネー管理センタとの間で前記電子決済サービス情報の授受を行なう通信部と、
購入する商品毎のメニューボタンを有する選択手段と、
少なくとも前記ICカードの残高を表示する表示部と、
前記選択手段により選択された商品を利用者に提供する商品処理部と、
前記決済に使用するICカードに記憶された電子決済サービス情報を前記リーダライタにより読み取り、読み取られた電子決済サービス情報に基づいて前記電子マネー管理センタとの間で決済を行い、前記商品処理部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記リーダライタに近接されたICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると前記複数のメニューボタンを有効とし、該ICカードが再度前記リーダライタに近接されることにより、前記メニューボタンによる商品の選択が完了したものと見做して該ICカードの認証動作を行なうと共に残高を読み取り、同じICカードであることを確認すると、該ICカードによる決済処理を実行するように制御することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記制御部は、前記ICカードが前記リーダライタに近接されることにより、該ICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると、前記残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とすることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記制御部は、前記ICカードが前記リーダライタに近接されることにより、該ICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると前記選択手段の複数のメニューボタンを有効とし、該メニューボタンの何れか一つが押下された場合、前記残高から押下されたメニューボタンに係る商品の購入金額を差し引いた残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とすることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記制御部は、前記メニューボタンを有効とした場合、該メニューボタンを点灯表示することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記制御部は、取引上の決済に利用可能なICカード名、該ICカードに係る残高、前記選択手段により選択されたメニュー名、該メニュー名に係る購入数及び購入金額、及び該ICカードが購入可能な残高を少なくとも表示するように前記表示部を制御することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記制御部は、前記リーダライタに近接されたICカードの認証動作を行ない前記残高を読み取った結果、該残高が商品購入するための金額に達していない場合、他の種類のICカードを使用した商品購入を可能とすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の自動販売機。
【請求項7】
金融機関の貯蓄口座を管理する銀行管理センタと、クレジット決済と与信情報を管理するクレジット管理センタと、取引上の決済をコンピュータ上で実現するための電子決済サービス情報に係る入出金を管理する電子マネー管理センタと、ICカードに記憶されている電子決済サービス情報の残高に金額を加算するチャージ端末と、請求項1乃至5の何れか一項に記載の自動販売機と、前記銀行管理センタ、クレジット管理センタ及び電子マネー管理センタと前記自動販売機及びチャージ端末間を接続するネットワークと、を備えたことを特徴とする電子マネーシステム。
【請求項8】
取引上の決済に少なくとも一種類のICカードを利用可能な自動販売機の決済方法であって、
前記ICカードに記憶されている電子決済サービス情報を前記ICカードから読み取り、該電子決済サービス情報に係る残高を更新するリーダライタと、
前記電子決済サービス情報に係る入出金を管理する電子マネー管理センタとの間で前記電子決済サービス情報の授受を行なう通信部と、
購入する商品毎のメニューボタンを有する選択手段と、
少なくとも前記ICカードの残高を表示する表示部と、
前記選択手段により選択された商品を利用者に提供する商品処理部と、
前記決済に使用するICカードに記憶された電子決済サービス情報を前記リーダライタにより読み取り、読み取られた電子決済サービス情報に基づいて前記電子マネー管理センタとの間で決済を行い、前記商品処理部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記リーダライタに近接されたICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると前記複数のメニューボタンを有効とし、該ICカードが再度前記リーダライタに近接されることにより、前記メニューボタンによる商品の選択が完了したものと見做して該ICカードの認証動作を行なうと共に残高を読み取り、同じICカードであることを確認すると、該ICカードによる決済処理を実行するように制御することを特徴とする自動販売機の決済方法。
【請求項9】
前記制御部は、前記ICカードが前記リーダライタに近接されることにより、該ICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると、前記残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とすることを特徴とする請求項8に記載の自動販売機の決済方法。
【請求項10】
前記制御部は、前記ICカードが前記リーダライタに近接されることにより、該ICカードの認証動作を行なうと共に前記残高を読み取って前記表示部に表示し、該ICカードが認証されると前記選択手段の複数のメニューボタンを有効とし、該メニューボタンの何れか一つが押下された場合、前記残高から押下されたメニューボタンに係る商品の購入金額を差し引いた残高の範囲内で購入可能なメニューボタンのみを有効とすることを特徴とする請求項8に記載の自動販売機の決済方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−287682(P2008−287682A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134804(P2007−134804)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(305027456)ネッツエスアイ東洋株式会社 (200)
【Fターム(参考)】