説明

自動販売機の選択釦取付装置

【課題】商品選択釦を自由にレイアウト可能とし、作業効率を改善でき、前面パネルにかかる応力を軽減できる自動販売機の選択釦取付装置を提供することを目的とする。
【解決手段】透明な前面パネル50に選択商品釦41の一部を個別に挿通させる挿通孔51を形成し、横一列の複数の選択商品釦41を選択商品釦41同士が横方向に対して互いに離れた状態で前面パネル50に取り付ける取付金具53を設け、前面パネル50に設けた挿通孔51と取付金具53に設けた位置決め挿通孔54とに、選択商品釦41の一部を挿通させた状態でねじ61を用いて取付金具53に取り付け、前面パネル50の挿通孔51とこの挿通孔51に挿通させる選択商品釦41の一部との間に、取付金具53と前面パネル50との熱膨張率差に応じた隙間が形成されるように、前面パネル50の挿通孔51を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の選択釦取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタバコなどの箱型商品を販売する自動販売機の一例を、図8〜図11を用いて説明する。
前面扉1が自動販売機本体2に開閉自在に取り付けられており、この前面扉1の前面には、販売するタバコなどの商品3の複数の商品サンプル11、各商品サンプル11に対応して配置された商品選択釦12、商品3を購入するときに硬貨を投入する硬貨投入口13、同じく紙幣を投入する紙幣投入口14、利用者が投入したコインなどの金額を表示する投入金額表示部15、釣銭や投入金を返却させるための返却レバー16、コイン返却口17、および購入した商品3を取り出す商品取出口18が設けられている。
【0003】
また自動販売機本体2内に上下に複数段(例えば上段、中段、下段の3段)の商品収納部21が設けられ、各商品収納部21は、上下に延びる仕切板(図示せず)により左右方向に分割されて横方向に複数列並ぶように配設されている。また各商品収納部21の下端部には、商品3を所定方向に押し出すプッシャ23を備えた商品搬送機構24が配設され、商品3はこの商品搬送機構24上に、上下に直積みして収納されている。
【0004】
また、この自動販売機においては、自動販売機本体2内の商品収納部21が、手前側と奥側との2つに分けられて配設されており、奥側の商品収納部21Aは自動販売機本体2内の奥部に取り付けられ、また、手前側の商品収納部21Bは前面扉1の裏面に取り付けられている。そして、これらの奥側の商品収納部21Aと手前側の商品収納部21Bとの間に、商品収納部21(21A、21B)から払い出された商品を落下させる商品用落下通路25が設けられ、この商品用落下通路25に払い出された商品3を受けて、前面扉1の下部に設けられた前記商品取出口18に導く払出用シュート26が設けられている。
【0005】
また図9において、27は、払い出されるべきでない商品3が、商品用落下通路25側へ落下することを防止する落下防止紐を示している。
上記商品選択釦12は複数個(例えば4個)毎に、商品選択スイッチユニット(選択釦取付装置)としてまとめられ(ユニット化され)、この商品選択スイッチユニットが商品サンプル11の前面を覆うアクリルの透明な前面パネル19に密接した状態で取り付けられている。このような商品選択スイッチユニットは、例えば特許文献1に開示されている。
【0006】
図10に示すように、特許文献1に開示されている商品選択スイッチユニット30は、自動販売機の前面パネル19に密接した状態で、前面パネル19の背面側に配設された取付金具39に内側からねじ止めされるベース31と、ベース31に凹凸係合により取り付けられたケース32からなり、4個の商品選択釦12が、ケース32の開口を貫通して内部から突出して設けられている。
【0007】
また前記ベース31は、前面パネル19の挿通孔および挿入孔(図示せず)にそれぞれ通される挿通部33および挿入部34を有し、前記挿通部33内には、コネクタ37が設けられている。
【0008】
また各商品選択スイッチユニット30のベース31間を接続するジョインタ38が設けられ、ベース31の挿入部34およびジョインタ38には、固定用のねじ40が挿入されてねじ止めされるねじ孔34aおよび38aを有している。またジョインタ38に対応して前面パネル19に挿入孔(図示せず)が設けられている。
【0009】
そして、ベース31の挿入部34およびジョインタ38を自動販売機の前面パネル19の挿入孔に通し、前面パネル19の背面側に配設された取付金具39にベース31の挿通部33および挿入部34の背面部を密接させた状態で、ベース31の挿入部34のねじ孔34a、およびジョインタ38のねじ孔38aにねじ40を通すことによりベース31を前面パネル19に密接した状態で取り付けている。
【特許文献1】特開2001−52242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の商品選択スイッチユニット(選択釦取付装置)30では、複数個の商品選択釦12をユニット化した状態で取り付けていることにより、隣り合う商品選択釦12同士が良好に配列された姿勢で配置される利点が有る一方で、ユニット化されているために商品選択釦12の数が固定され、かつ間隔が固定されているために商品サンプル11や商品選択釦12を自由にレイアウトできないという問題があった。
【0011】
そこで、レイアウトを自由に行えるようにするために、商品選択釦12をそれぞれ単独で前面パネル19に嵌め込んだ状態で取り付けることが考えられ、この場合には、商品選択釦12のベース31の挿入部34を、前面パネル19に形成した挿入孔を通して、挿入部34のねじ孔34aなどにねじ40をねじ込んで取り付けることになるが、前面パネル19に形成した商品選択釦12を嵌め込む挿入部の精度が悪いと、商品選択釦12の姿勢が傾き(がたつき)、不揃いになる恐れがある。ここで、前面パネル19は一般にアクリル板などの透光性を有する部材で製造されるが、がたつきのないように高精度に孔(挿入部)を形成することは極めて困難であり、製造コストも大幅に増加してしまう。また自動販売機が太陽光の影響を受ける道路等に設置されると、太陽光の照射により前面パネル19が暖められて熱膨張するが、一般に前面パネル19の膨張率が取付金具の膨張率より大きいので、商品選択釦12の取付間隔が広がり、商品選択釦12により前面パネル19に圧縮応力がかかり、前面パネル19が変形する恐れがあった。
【0012】
そこで、本発明は、商品選択釦を自由にレイアウト可能に構成しながら、前面パネルにかかる応力を軽減でき、かつ商品選択釦が不揃いにならないような自動販売機の選択釦取付装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、前面扉に設けた前面パネルに対して、複数の選択釦をこれらの選択釦同士が横方向に対して互いに離れた状態で横並びにかつ個別に取り付ける自動販売機の選択釦取付装置であって、前記前面パネルに、前記選択釦の一部を個別に挿通させる挿通孔を形成し、横一列の複数の前記選択釦を、選択釦同士が横方向に対して互いに離れた状態で前記前面パネルに取り付ける取付金具を設け、この取付金具に、前記選択釦の一部が挿入されるとともに前記取付金具に対する選択釦の位置決め孔としても兼用される位置決め挿通孔を、各選択釦毎に設け、前記前面パネルに設けた挿通孔と前記取付金具に設けた位置決め挿通孔とに、前記選択釦の一部を挿通させた状態で、前記選択釦を取付用部品を用いて取付金具に取り付けることにより、前面パネルを選択釦と取付金具とにより前後から挟んだ状態で取り付けるように構成したことを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、前面パネルに選択釦の一部を挿通させる挿通孔を形成しただけでなく、取付金具にも選択釦の一部を挿通させる挿通孔を形成し、この挿通孔を選択釦の位置決め孔として兼用させることにより、選択釦を取り付けた際に、選択釦は取付金具の挿通孔により位置決めされる。したがって、取付金具の挿通孔を精度よく形成することで、取付金具の挿通孔に選択釦を挿入して組み付けるだけで、選択釦同士の姿勢が傾いて不揃いになることはなく、選択釦を良好に配列させた状態で配設することができ、また取付金具に挿通孔を精度よく形成することは比較的容易に行うことができることから、製造コストの増加も最小限に抑えることができる。
【0015】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記前面パネルの挿通孔とこの挿通孔に挿通させる選択釦の一部との間に、前記取付金具と前面パネルとの熱膨張率差に応じた隙間が形成されるように、前面パネルの挿通孔を形成したことを特徴とするものである。
【0016】
上記構成によれば、前面パネルの挿通孔とこの挿通孔に挿通させる選択釦の一部との間に、取付金具と前面パネルとの熱膨張率差に応じた隙間が形成されるように、前面パネルの挿通孔を形成したことにより、取付金具と前面パネルが熱膨張したときに、取付金具に固定された選択釦が前記隙間を移動し、前面パネルが選択釦より受ける圧縮応力が緩和され、また取付金具が選択釦より受ける引張応力が緩和される。
【0017】
また請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明であって、前記前面パネルの中央部に設けた挿通孔の大きさと比較して、この中央部の挿通孔より左右外方部に設けた挿通孔の大きさを大としたことを特徴とするものである。
【0018】
上記構成によれば、前面パネルの中央部に設けた挿通孔に一部が挿通される選択釦を基準として、取付金具と前面パネルが熱膨張したとき、その左右外方に位置する選択釦が隙間を移動し、前面パネルの左右方向への熱膨張が許容される。
【0019】
また請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、前記取付金具を、側面断面視がコ字形状の長尺体で形成して、この取付金具を前記選択釦に接続される配線の配線ダクトとして使用し、前記取付金具の開放部を覆うカバーを設けたことを特徴とするものである。
【0020】
上記構成によれば、取付金具が側面断面視がコ字形状の長尺体で形成されていることにより、取付金具を、選択釦の裏面に接続される配線のダクトとして利用でき、また前面パネルの裏面に取り付けられた取付金具の開放部がカバーにて覆われることにより、選択釦の裏面にゴミや埃が付くことが回避される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の自動販売機の選択釦取付装置は、選択釦のレイアウトの自由を保障することができ、さらに取付金具に形成した挿通孔を選択釦の位置決め孔として兼用させることにより、選択釦を取り付ける際に、選択釦をこの取付金具の挿通孔により位置決めでき、選択釦を不揃いとならずに良好に配列させた状態で配設することができる。また取付金具に挿通孔を精度よく形成することは比較的容易に行うことができることから、製造コストの増加も最小限に抑えることができる、という効果を有している。
【0022】
また自動販売機の選択釦取付装置は、取付金具と前面パネルが熱膨張したときに取付金具に固定された選択釦が隙間を移動することにより、前面パネルが選択釦より受ける圧縮応力を緩和でき、また取付金具が選択釦より受ける引張応力を緩和でき、熱膨張時に前面パネルと取付金具に発生する変形を抑えることができる、という効果を有している。
【0023】
また本発明の自動販売機の選択釦取付装置は、取付金具と前面パネルが熱膨張したときに前面パネルの左右方向への熱膨張が許容されることにより、選択釦の取付位置の左右のバランスが維持され、美観が維持される、という効果を有している。
【0024】
また本発明の自動販売機の選択釦取付装置は、取付金具が側面断面視がコ字形状の長尺体で形成されていることにより、取付金具を、選択釦の裏面に接続される配線のダクトとして利用でき、また前面パネルの裏面に取り付けられた取付金具の開放部がカバーにて覆われることにより、選択釦の裏面にゴミや埃が付くことを回避できる、という効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、背景の技術で説明した自動販売機と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図1は本発明の実施の形態における自動販売機の正面図であり、本発明では、透明な前面パネル50に、前面から見て、複数(1列12個で7段)の商品選択釦(押釦スイッチ)(選択釦の一例)41がそれぞれ単独で、且つ商品選択釦41同士が横方向に対して互いに離れた状態で、前面パネル50の背面に設けられる取付金具53(詳細は後述する)に取り付けられている。
【0026】
本発明の商品選択釦41は、図2に示すように、自動販売機の前面パネル50に内側から、ねじ止めされるベース42と、ベース42に凹凸係合により取り付けられ前面パネル50の表面に表れるケース43からなり、ケース43に支持されて、照光される表示部(商品3を購入可能なことを示すランプ部と売切れを示すランプ部)44を有するスイッチ部45が設けられている。またベース42には、裏面側に、コネクタ46と、ねじ孔47を有す取付部48と、コネクタ46の外周(詳しくはコネクタ46の上下および外側面)において突出する突出部(選択釦の挿通される一部に相当する)49とが設けられている。突出部49および取付部48の回りには、シリコーン製のパッキン42Aが設けてある。
【0027】
また本発明の前面パネル50には、図3に示すように、1列12個の商品選択釦41が、上下7段に渡って取り付けられるように、ベース42の突出部49が挿通される挿通孔51が設けられている。また前面パネル50は、アクリル板で形成されている。
【0028】
各挿通孔51は角孔からなり、図3、図4に示すように、各列の中央部の2個の挿通孔51Aは、基準の取付孔となっており、略ベース42の突出部49の寸法に合わせてあり、突出部49との間の隙間として横の余裕値(例えば、左右合わせて0.4mm)と縦の余裕値(例えば、上下合わせて0.8mm)を有している。また各列の左右端の2個の挿通孔51Bは、基準の中央部の挿通孔51Aと比較し、隙間として横の余裕値を大きく取り(例えば左右にL=1.1mmずつ大きい)、逆に縦の余裕値を少なくしている(例えば上下にK=0.25mmずつ中央部の挿通孔51Aが大きい)。また残りの挿通孔51Cは、基準の中央挿通孔51Aと比較し、隙間として横の余裕値を大きく取り(例えば左右にL=1.1mm大きい)、縦の余裕値は同じとしている。
【0029】
また前面パネル50には、図3および図4に示すように、1列12個の商品選択釦41が取り付けられる箇所の裏面に、遮光性を有する白色の帯体52が印刷され、商品選択釦41の裏側の取り付けが見えないように遮光するとともに、美観を良くしている。
【0030】
前記取付金具53を図5に示す。
取付金具53は、側面断面視がコ字形状で薄い(たとえば、0.8mm)鉄製の長尺体であり、コ字形状の3つの面のうちの中央の面に、等間隔で長手方向に、商品選択釦41の一部として突出部49が挿入されるとともに取付金具53に対する商品選択釦41の位置決め孔としても兼用される位置決め挿通孔54が、各商品選択釦41毎に設けられている。すなわち、12個の位置決め挿通孔54が設けられている。なお、取付金具53は前面扉1の裏面の枠体部分にねじで固定される。
【0031】
また各位置決め挿通孔54は、商品選択釦41のコネクタ46、このコネクタ46に接続される商品選択釦駆動用の基板63のコネクタ62(図7参照)、および商品選択釦41のコネクタ46の外周に突出する突出部49が挿通される挿通孔55と、取付部48のねじ孔47に対向し、ねじが挿通される挿通孔56を有する凸部57と、この凸部57を形成するために設けられた挿入部58から構成されている。そして、挿通孔55に商品選択釦41の突出部49が上下方向にも幅方向にも殆ど隙間がない状態で挿入されることで、商品選択釦41が位置決めされるようになっている。なお、前記凸部57の挿通孔56は、少し大き目に形成され、商品選択釦41の位置を規制しないように図られている。また基板63には、複数(実施の形態では12個)の商品選択釦41が横に並べた状態で組み付けられる。
【0032】
また商品選択釦41の裏面側を保護し、取付金具53内に設置された基板63とこの基板63に接続される外部配線束を覆うカバー60を、図6に示す。
カバー60は、側面断面視がコ字形状で薄い(たとえば、0.8mm)鉄製の長尺体であり、取付金具53の開放部、すなわちコ字形状の3つの面のうち対向する面の先端部に挿入することで、商品選択釦41の裏面側を保護し、取付金具53内に設置された基板63とこの基板63に接続される外部配線束を覆う。
【0033】
上記構成による商品選択釦41の組立手順を説明する(図7参照)。
前面パネル50を垂直に支持し、一列毎に商品選択釦41を取り付ける。すなわち、まず前面扉1の裏面側の枠体部分に前面パネル50を嵌め込んだ後に、前記枠体部分の両側部分に各取付金具53を水平に取り付ける。次に、表側から商品選択釦41の突出部49を前面パネル50の挿通孔51へ挿入し、この突出部49の取付部48と取付金具53の凸部57を対向させ、ねじ(取付用部品の一例)61を凸部57の挿通孔56から取付部48のねじ孔47へ捩じ込むことで、商品選択釦41を前面パネル50を介して取付金具53に固定する。すなわち、商品選択釦41が、前面パネル50を商品選択釦41と取付金具53とにより前後から挟んだ状態で取り付けられる。
【0034】
この場合に、図5(d)や図7(a)に示すように、取付金具53の挿通孔55を精度よく形成することで、取付金具53の挿通孔55に商品選択釦41を挿入して組み付けるだけで、商品選択釦41同士の姿勢が傾いて不揃いになることはなく、商品選択釦41を良好に配列させた状態で配設することができる。
【0035】
このようにして、商品選択釦41が全て前面パネル50に取り付けられると、商品選択釦41のコネクタ46に基板63のコネクタ62を接続し、取付金具53内を這わせた外部配線を基板63に接続する。このように、取付金具53は配線ダクトを兼ねている。その後、カバー60を取付金具53の開放部に挿入し(被せて)終了する。
【0036】
次に、自動販売機が太陽光の影響を受ける道路等に設置され、太陽光の照射を受けたときの作用を説明する。
太陽光の照射を受けると、前面パネル50と取付金具53は膨張する。このとき、アクリル板製である前面パネル50の熱膨張率が、鉄製である取付金具53の熱膨張率より大きいので、前面パネル50のほうが大きく膨張する。
【0037】
このとき、上記前面パネル50の挿通孔51A,51B,51Cの寸法により、前面パネル50は、中央部の2個の商品選択釦41を基準に、2Lの余裕値で左右方向に膨張することが許容されており、前面パネル50が太陽の光を受けて取付金具53より大きく膨張したときに、取付金具53に取り付けられた商品選択釦41が挿通孔51の隙間を移動することにより、前面パネル50が商品選択釦41より受ける水平方向の圧縮応力が軽減し、取付金具53が商品選択釦41より受ける引張応力が軽減される。また商品選択釦41の位置の左右のバランスが維持されて美観が維持されている。
【0038】
また前面パネル50の上下方向の膨張は、各列の左右端の挿通孔51Bの縦方向の余裕値が少ないことにより、左右端で抑えられ、前面パネル50が太陽の光を受けて膨張したとき、前面パネル50が商品選択釦41より垂直方向の圧縮応力がかかる。
【0039】
なお、挿通孔51A,51B,51Cの縦横の余裕値は、前面パネル50の温度が、たとえば20℃から70℃に上昇したときの熱膨張と、同時に膨張する取付金具53の熱膨張との差により求めている。このことは、たとえば外気温度が20℃から−30℃に下降したときの熱収縮による影響も同様であるが、この場合は圧縮応力と引張応力が逆に作用する。
【0040】
以上のように、本実施の形態によれば、商品選択釦41を単独で取り付けることが可能な構成としたことにより、一列の商品選択釦41の個数および間隔を自由に選択でき、商品サンプル11のレイアウトを自由に設計でき、ユーザーの要求に自由に対応できる。
【0041】
また本実施の形態によれば、商品選択釦41の一列毎に取付金具53を設けることにより、商品選択釦41の組立作業時の不揃いが発生することがないので作業効率を改善できる。
【0042】
また本実施の形態によれば、取付金具53と前面パネル50が熱膨張したときに、取付金具53に固定された商品選択釦41が挿通孔51の隙間を移動することにより、前面パネル50が商品選択釦41より受ける圧縮応力を緩和でき、取付金具53が商品選択釦41より受ける引張応力を緩和でき、よって前面パネル50と取付金具53に発生する変形を抑えることができる。
【0043】
また本実施の形態によれば、取付金具53と前面パネル50が熱膨張したときに前面パネル50の左右への熱膨張が許容されることにより、商品選択釦41の取付位置の左右のバランスを維持でき、美観を維持できる。
【0044】
また本実施の形態によれば、取付金具53が側面断面視がコ字形状の長尺体で形成されていることにより、取付金具53を、商品選択釦41の裏面に接続される配線のダクトとして利用できる。
【0045】
また本実施の形態によれば、前面パネル50の裏面に取り付けられた取付金具53の開放部がカバー60にて覆われることにより、商品選択釦41の裏面にゴミや埃が付くことを回避できる。
【0046】
なお、本実施の形態では、商品選択釦41のコネクタ46に基板63のコネクタ62を接続しているが、基板63のコネクタ62に限ることはなく、外部配線のコネクタを直接、商品選択釦41のコネクタ46に接続する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態における自動販売機の選択釦取付装置を備えた自動販売機の正面図である。
【図2】同自動販売機の選択釦取付装置の商品選択釦の図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)はA−A’矢視断面図、(d)は裏面図である。
【図3】同自動販売機の選択釦取付装置の前面パネルの正面図である。
【図4】同自動販売機の選択釦取付装置の前面パネルに設けた挿通孔の図であり、(a)は中央の挿通孔の拡大図、(b)は左右端の挿通孔の拡大図、(c)は中央の挿通孔の左右に位置する挿通孔の拡大図である。
【図5】同自動販売機の選択釦取付装置の取付金具の図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はA−A’断面図、(d)は位置決め挿通孔の拡大図である。
【図6】同自動販売機の選択釦取付装置のカバーの図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図7】同自動販売機の選択釦取付装置の取付図である。
【図8】従来の自動販売機の正面図である。
【図9】従来の自動販売機の内部構成図である。
【図10】従来の自動販売機の商品選択スイッチユニットの図であり、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は裏面図である。
【図11】従来の自動販売機の商品選択スイッチユニットの図であり、(a)は挿入部の中心を通る断面図、(b)はジョインタの中心を通る断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 前面扉
2 自動販売機本体
3 商品
11 商品サンプル
41 商品選択釦
42 ベース
43 ケース
46 商品選択釦のコネクタ
47 ねじ孔
48 取付部
49 突出部
50 前面パネル
51 挿通孔
53 取付金具
54 位置決め挿通孔
55 挿通孔
56 ねじ孔
57 凸部
60 カバー
61 ねじ
62 基板のコネクタ
63 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面扉に設けた前面パネルに対して、複数の選択釦をこれらの選択釦同士が横方向に対して互いに離れた状態で横並びにかつ個別に取り付ける自動販売機の選択釦取付装置であって、
前記前面パネルに、前記選択釦の一部を個別に挿通させる挿通孔を形成し、
横一列の複数の前記選択釦を、選択釦同士が横方向に対して互いに離れた状態で前記前面パネルに取り付ける取付金具を設け、
この取付金具に、前記選択釦の一部が挿入されるとともに前記取付金具に対する選択釦の位置決め孔としても兼用される位置決め挿通孔を、各選択釦毎に設け、
前記前面パネルに設けた挿通孔と前記取付金具に設けた位置決め挿通孔とに、前記選択釦の一部を挿通させた状態で、前記選択釦を取付用部品を用いて取付金具に取り付けることにより、前面パネルを選択釦と取付金具とにより前後から挟んだ状態で取り付けるように構成したこと
を特徴とする自動販売機の選択釦取付装置。
【請求項2】
前記前面パネルの挿通孔とこの挿通孔に挿通させる選択釦の一部との間に、前記取付金具と前面パネルとの熱膨張率差に応じた隙間が形成されるように、前面パネルの挿通孔を形成したこと
を特徴とする請求項1に記載の自動販売機の選択釦取付装置。
【請求項3】
前記前面パネルの中央部に設けた挿通孔の大きさと比較して、この中央部の挿通孔より左右外方部に設けた挿通孔の大きさを大としたこと
を特徴とする請求項2に記載の自動販売機の選択釦取付装置。
【請求項4】
前記取付金具を、側面断面視がコ字形状の長尺体で形成して、この取付金具を前記選択釦に接続される配線の配線ダクトとして使用し、
前記取付金具の開放部を覆うカバーを設けたこと
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の自動販売機の選択釦取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−316680(P2007−316680A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142186(P2006−142186)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】