説明

自動販売機

【課題】 商品を確実に搬送し、当該商品の収納量の大きな自動販売機を提供する。
【解決手段】 商品列を先頭商品側へ搬送する複数の商品搬送ユニットと、前記複数の商品搬送ユニットが前記商品列の搬送方向に対して直交方向へ所定間隔で装着される商品棚と、前記商品棚に装着される前記複数の商品搬送ユニットと選択的に対向する商品取得口を有し、前記直交方向に移動して前記商品列の先頭商品を取得するバケットと、前記バケットを保持して前記直交方向へ移動させる案内レールと、を備えた自動販売機において、前記バケットは、駆動モータと、前記駆動モータの駆動力が伝達されるピニオン機構部と、を有し、前記案内レールは、前記ピニオン機構部の駆動力が伝達されるラック機構部を有する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品列からバケットによって商品を取得して商品払出口まで搬送し、当該商品を販売する自動販売機、特にシースルー型の自動販売機に適用するときに有効となる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機には、列をなした商品を収納し搬送する商品搬送ユニットが並設された商品棚を上下方向に例えば複数段備えたものがある。また、このような自動販売機には、商品搬送ユニットから商品を取得し、当該商品を商品払出口まで搬送するバケットを更に備えたものがある。このバケットは商品取得口を有し、当該商品取得口が各商品搬送ユニットの開口部及び商品払出口に対向するように、当該バケットは待機位置を起点として適宜な移動機構によって移動するものである。例えば、商品搬送ユニットが1つの商品棚の中で並設される方向をX方向とし、当該商品棚が配置される上下方向をY方向とし、商品搬送方向をZ方向とする。Y方向に移動可能な適宜な機構に支持されX方向に延在する案内レールに保持されたバケットが、当該案内レールに沿って適宜な駆動手段により移動すれば、当該バケットはXY方向に移動可能となる。これにより、自動販売機の利用者が購入したい商品を選択すると、当該商品が収納された商品搬送ユニットの商品棚における位置としてのX座標位置及びY座標位置にバケットが移動できる。
【0003】
商品搬送ユニットには、その開口部に、商品列の先頭商品の搬送を停止させるためのストッパ、及び/又は、商品列を搬送するための駆動力を伝達するための固定ギアを有するものがある。また、このような商品搬送ユニットに対して、バケットには、前記のストッパを解除するための可動アーム、及び/又は、前記の固定ギアに噛合して前記の駆動力を伝達するための可動ギアを備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−113306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動販売機のバケットを保持する適宜な機構には、当該バケットをX方向に移動させるための駆動手段を備えているものがある。このような機構は、主として、バケットを下部及び上部にて保持するものである。このような自動販売機においては、バケットの上部を保持する部材等に阻害されて、当該バケットが待機する位置とY座標位置を同じくする棚を商品棚とできない。従って、この棚の分だけ、自動販売機の商品収納量が減少する。
【0005】
そこで、本発明は、商品を確実に搬送し、当該商品の収納量の大きな自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための発明は、商品列を先頭商品側へ搬送する複数の商品搬送ユニットと、前記複数の商品搬送ユニットが前記商品列の搬送方向に対して直交方向へ所定間隔で装着される商品棚と、前記商品棚に装着される前記複数の商品搬送ユニットと選択的に対向する商品取得口を有し、前記直交方向に移動して前記商品列の先頭商品を取得するバケットと、前記バケットを保持して前記直交方向へ移動させる案内レールと、を備えた自動販売機において、前記バケットは、駆動モータと、前記駆動モータの駆動力が伝達されるピニオン機構部と、を有し、前記案内レールは、前記ピニオン機構部の駆動力が伝達されるラック機構部を有する、ことを特徴とする。
【0007】
また、かかる自動販売機において、前記バケットは、取得した商品が載置される載置台を有し、前記駆動モータ及び前記ピニオン機構部は、前記載置台の下部に配設されることを特徴とする。
【0008】
更に、かかる自動販売機において、前記駆動モータは、ステッピングモータ、又は、パルスエンコーダに駆動力を伝達するモータであることを特徴とする。
【0009】
この自動販売機によれば、駆動モータ及びピニオン機構部がバケットの下部に配設されていることにより、当該バケットの重心は下部寄りとなる。よって、バケットは安定して直交方向に移動可能であり、商品の搬送が円滑となる。また、バケットと案内レールとの間の構造が簡単なものとなり、自動販売機の製造コストが低下し、メインテナンス等が容易となる。更に、例えば、バケットは、案内レールによって当該バケットの下部を保持されるだけで安定して直交方向に移動可能であるため、特に当該バケットの上部を保持する部材等を必要としない。よって、この部材等によって阻害されない空間分だけ自動販売機の商品収納量を大きくできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、商品を確実に搬送し、当該商品の収納量の大きな自動販売機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
===シースルー型自動販売機の構成===
図1乃至図7を参照しつつ、本実施の形態の自動販売機の構成例を説明する。本実施の形態の自動販売機は、販売商品の実物を扉パネル13越しに透視させて利用者に購買選択させるようにしたシースルー型自動販売機であるものとする。
【0012】
以下、このシースルー型自動販売機の概要を述べる。
図1に示されるように、本実施の形態の自動販売機は、複数の商品収納搬出コラム400(商品搬送ユニット)にそれぞれ一列に整列収納された商品11を、水平方向(図1のX方向)及び垂直方向(図1のY方向)に移動駆動されるバケット90によって選択的に受け取って、商品払出口16まで搬送するように構成されている。
【0013】
商品収納搬出コラム400は、自動販売機の前後方向(図1のZ方向であり、以後、奥行方向又は商品の搬送方向とする)に商品11を一列に並べて収納するとともに、バケット90側からの動力伝達により商品11をコラムのZ方向前方へ順次繰り出し搬出するように構成されている。
【0014】
バケット90は、商品収納搬出コラム400と扉パネル13間の空間部に沿ってXY方向に移動するように構成されている。バケット90は、その商品取得口が、利用者により購買選択された商品11が収納されている商品収納搬出コラム400の開口部と対向するように移動して商品11を受け取り、商品払出口16へ搬送するものである。商品収納搬出コラム400からバケット90へ商品11が適切に搬送されたか否かは、バケット90に設けられた光学式の商品検知センサ91(図4)により検知される。
【0015】
以下、本実施の形態の自動販売機について図毎に更に具体的に説明する。
図1は、本実施の形態のシースルー型自動販売機を正面から見た外観構成例を示す図である。図1において、自動販売機の筐体10には、前面解放型の商品収納部12が形成されている。商品収納部12の下部に設けられた機械室10aには、冷却や加温等のためのシステムが収納されている。この筐体10の前面は、扉パネル13により開閉可能に塞がれている。ここで、扉パネル13は商品収納部12のほぼ全体を見通せるほどの広い透視窓を有する。この透視窓以外の部分には、購買商品選択用の操作パネル14、紙幣や硬貨の収受装置15、商品払出口16、釣銭や返金の払出部17、施錠装置(鍵穴のみ図示)18等が配設されている。
【0016】
ここで、本実施の形態の商品払出口16は、図1に示されるバケット90の待機位置の上部、即ち、利用者が無理な姿勢を強いられることなく商品を容易に受け取れる位置に配設されている。ここで、本実施の形態におけるバケット90の待機位置は、図1に示されるように、商品収納部12の最下部且つ扉パネル13の透視窓以外の部分の背面側とする。また、本実施の形態の自動販売機には、前記の商品払出口16の背面側に、例えば作業員が商品収納搬出コラム400に補充するための商品11を収納するストッカ300が設けられている。更に、3つのストッカ301、302、303(図10)が、扉パネル13の透視窓以外の部分の背面側に設けられている。
【0017】
図1に示されるように、商品収納部12には、複数の引き出し式の商品棚30が上下方向(Y方向)に一定間隔で装着されている。各商品棚30には、複数の商品収納搬出コラム400が、仕切板65で互いに仕切られて並設されている。各商品収納搬出コラム400には、商品11が搬送方向(Z方向)に一列に並んだ状態で収納されるようになっている。商品収納搬出コラム400内の商品11は、当該商品収納搬出コラム400の開口部まで繰り出されるようになっているとともに、扉パネル13を透して視認されるようになっている。
【0018】
商品収納搬出コラム400の開口部に繰り出された商品11は、利用者の選択に基づき、キャッチャーと呼ばれる可動搬出装置により選択されて商品払出口16へ搬出される。キャッチャーは、商品収納搬出コラム400から商品11を受け取るバケット90と、このバケット90をXY方向に移動させるXY駆動機構とにより構成される。
【0019】
XY駆動機構は、上下方向(Y方向)に移動駆動される可動架台81を有し、この可動架台81上でバケット90を水平方向(X方向)に移動させることにより、バケット90を所望の位置まで移動させるようになっている。商品収納搬出コラム400と扉パネル13との間には、バケット90をXY方向に移動させるための空間部(不図示)が確保されている。ここで、後述するように、本実施の形態のバケット90は、可動架台81に設けられた案内レール81a(図5及び図6)上をX方向に自走すべく駆動モータ910等を備えている。
【0020】
バケット90は、商品収納搬出コラム400の開口部と扉パネル13との間の空間部に沿ってXY方向に移動し、利用者の操作により選択された商品11が収納されている商品収納搬出コラム400の開口部から商品11を受け取るものである。バケット90は、更に、商品収納搬出コラム400から受け取った商品11を商品払出口16へ搬出するものである。
【0021】
各商品収納搬出コラム400の開口部には、Z方向前方へ送り出す商品11を1個ずつ区切る可動ストッパ70が設けられている。この可動ストッパ70は、商品収納搬出コラム400の開口部の商品11に当接する位置に常時バネ(不図示)付勢されているが、当該商品収納搬出コラム400のZ方向前方にバケット90が位置したときに、バケット90側からの操作により非当接位置へ後退させられてストッパ機能が解除されるようになっている。これにより、商品収納搬出コラム400の開口部の商品11が1個ずつZ方向前方へ押し出されてバケット90へ移送されるようになっている。
【0022】
ところで、本実施の形態の自動販売機には、例えば、8段の商品棚30に合計48個の商品収納搬出コラム400が収納されている。具体的には、Y方向に上から数えて第1段目の商品棚30にはX方向に8列の商品収納搬出コラム411、412、413、414、415、416、417、418が並設され、Y方向に上から数えて第2段目の商品棚30にはX方向に8列の商品収納搬出コラム421、422、423、424、425、426、427、428が並設され、Y方向に上から数えて第3段目の商品棚30にはX方向に7列の商品収納搬出コラム431、432、433、434、435、436、437が並設され、Y方向に上から数えて第4段目の商品棚30にはX方向に5列の商品収納搬出コラム441、442、443、444、445が並設され、Y方向に上から数えて第5段目の商品棚30にはX方向に5列の商品収納搬出コラム451、452、453、454、455が並設され、Y方向に上から数えて第6段目の商品棚30にはX方向に5列の商品収納搬出コラム461、462、463、464、465が並設され、Y方向に上から数えて第7段目の商品棚30にはX方向に5列の商品収納搬出コラム471、472、473、474、475が並設され、Y方向に上から数えて第8段目の商品棚30にはX方向に5列の商品収納搬出コラム481、482、483、484、485が並設されている。
【0023】
図2は、引き出し式の商品棚30及び商品収納搬出コラム400の要部構成例を示す分解斜視図である。図2に示されるように、本実施の形態の商品収納搬出コラム400は、一定方向(Z方向)に駆動されるコンベア・ベルト43を有する。このコンベア・ベルト43上に商品11を一列に並べて収納するとともに、そのコンベア・ベルト43の駆動により商品11を商品収納搬出コラム400のZ方向前方へ順次繰り出すように構成されている。コンベア・ベルト43は合成繊維の帯状織布をループ状に繋げたエンドレスベルトであって、その両幅端に沿ってスプロケット穴44が一定ピッチで設けられている。このコンベア・ベルト43は、商品棚30に着脱可能なコンベア基台45に張架状態で装着及び保持されている。即ち、商品収納搬出コラム400の商品搬出機構は商品棚30から独立したコンベアユニット41として構成されている。このコンベアユニット41はY方向下部に張り出したL字状の係止カギ部42を有し、この係止カギ部42を商品棚30のスリット35に嵌入係止させることにより、その商品棚30上の任意位置に装着されるようになっている。
【0024】
商品棚30は、矩形底板31の3辺から背板32と側面板33を立ち上げた3方壁のトレー状であって、底板31と背板32にはそれぞれ係止カギ部42を嵌入係止させるスリット35が多数平行に並んで穿設されている。各スリット35,34は商品収納搬出コラム400の幅よりも十分に狭い間隔ピッチで設けられている。コンベアユニット41は、底板31に形成された多数のスリット35の何れかに係止カギ部42を嵌入係止させることにより、商品棚30上の任意位置に装着させることができるようになっている。
【0025】
商品棚30には、商品収納搬出コラム400を区画する仕切板65も着脱可能に装着されるようになっている。この仕切板65は商品棚30の奥行長とほぼ同じ長さを有する略長方形の扁平板状であって、底板31のスリット35に嵌入係合するL字状カギ部66と背板32のスリット34に嵌入係合する突板部67を一体に有する。この仕切板65は、底板31と背板32にそれぞれ形成された多数のスリット35,34の何れかにL字状カギ部66と突板部67とを嵌入係止させることにより、コンベアユニット41と同様、商品棚30上の任意位置に装着して立設させることができるようになっている。
【0026】
前述の構成により、商品収納搬出コラム400は、商品棚30毎にその商品棚30の幅内で任意の数(列数)だけ設置することができるとともに、各商品収納搬出コラム400の幅もそれぞれ任意に設定することができる。その商品収納搬出コラム400の幅は収納搬出する商品11の幅サイズに応じて過不足無く最適に可変設定することができる。これにより、サイズの異なる複数種類の商品11に柔軟に対応できるとともに、その商品11の収納スペースを効率良く利用することができる。また、上記スリット35,34は商品11を保冷又は保温するための良好な通気孔としても機能することができる。
【0027】
上記コンベアユニット41の先端には、バケット90側からコンベア・ベルト43を駆動させるための固定ギア53と、商品収納搬出コラム400の開口部まで搬送されて来た商品11をその商品収納搬出コラム400の開口部位置に留め置くための可動ストッパ70が設置されている。また、コンベア・ベルト43上には、当該コンベア・ベルト43上の商品11が搬送方向(Z方向)後方へ倒れるのを阻止するための背凭れ板60が立設・固定されている。
【0028】
図3は、斜め上方から見たストッカ300の構成例を示す斜視図である。図1及び図3に示されるように、このストッカ300は、商品収納部12内にて上から数えて第7段目及び第8段目の商品棚30の紙面右隣、且つ商品払出口16の背面側となるように配設されたものである。本実施の形態のストッカ300は、例えば、矩形底板の3辺から背板と側面板を設けた3方壁のトレー状であって、上下方向(Y方向)の適宜な位置に、通気孔300dが穿設された中仕切板300cを有している。また、ストッカ300には、適宜な蝶番300bを介して回動自在な開閉扉300aが設けられている。この開閉扉300aの外方面の適宜な位置には、開閉動作の便宜のための取手300eが設けられている。本実施の形態のストッカ300は、例えば、商品収納搬出コラム400に補充すべき予備の商品11を保冷又は保温しつつ保管するものである。これにより、例えば作業員による自動販売機の商品11の補充等の作業が容易となる。
【0029】
尚、図3に示されるストッカ300の側面板のY方向の高さは、商品収納部12における商品棚30どうしのY方向の間隔2つ分に相当し、図1及び図10に示される他のストッカ301、302、303の側面板の高さは、商品収納部12における商品棚30どうしのY方向の間隔1つ分に相当する。また、本実施の形態のストッカ300、301、302、303の底板にも通気孔300dが同様に穿設されているものとする。但し、ストッカの高さは図3の例に限定されるものではなく、例えば、商品棚30どうしのY方向の間隔の3つ分以上でもよいし、1つ分未満でもよい。また、中仕切板の位置及び数も図3の例に限定されるものではなく、例えば、1つのストッカがN個(Nは0以上の整数)の中仕切板で(N+1)分割されていてもよい。
【0030】
図4は、バケット90及び商品収納搬出コラム400の開口部の要部構成例を示す側面図である。図4に示されるように、バケット90は、商品検知センサ91、第1位置検知センサ902、可動アーム92、可動ギア93、コンベア85(載置台)等を備えている。尚、図4(b)は、図4(a)におけるバケット90の下部にて省略された部分の詳細を示す図である。
【0031】
商品検知センサ91は、適宜な駆動手段(不図示)によって、バケット90の商品取得口において両側壁部から商品搬送方向(Z方向)に進退移動可能に保持されている。商品検知センサ91は、バケット90において図4に示される一側壁部に設けられた受光部91aと、当該一側壁部と相対する他側壁部に設けられた投光部91b(図5)とから構成されている。この受光部91aと投光部91bとの間の光路が遮断されたか否かによって商品11の通過を検知するために、受光部91aと投光部91bとはそれぞれの光軸が互いに一致するように対向配設されている。商品検知センサ91(91a、91b)は、バケット90が商品収納搬出コラム400から商品11を受け取るときに限って、バケット90の商品取得口よりも外側、即ち商品収納搬出コラム400側へ張り出した位置へ移動させられる(図4(b)の実線)。これ以外のときは、商品検知センサ91は、バケット90の商品取得口よりも内側、即ちバケット90側に後退移動させられるように可動保持されている(図4の(b)点線)。これにより、バケット90は、商品収納搬出コラム400から搬送された商品11を収容できるだけ奥行スペースのみを持てばよく、商品検知センサ91による検知動作(商品11の通過検知)を行わせるための奥行スペースを持つ必要がない。尚、本実施の形態においては、商品検知センサ91は可動であるとしたが、これに限定されるものではなく、バケット90の商品取得口に固定して設けられてもよい。
【0032】
図4に示されるように、第1位置検知センサ902(第1センサ)は、第2位置検知センサ903(第2センサ:図5)とともに、バケット90の商品取得口において両側壁部のそれぞれに設けられている。第1位置検知センサ902は、図4に示されるバケット90の側壁部に設けられ、発光素子902aと、当該発光素子902aからの反射光を受光する受光素子902bとから構成されている。この発光素子902a及び受光素子902bは、バケット90の商品取得口が商品収納搬出コラム400の開口部に略対向する位置にあるとき、当該開口部における可動ストッパ70の外方面を検知するように配設されている。具体的には、発光素子902a及び受光素子902bは、同一のX座標位置において互いに異なるY座標位置に並設されている。ここで、発光素子902aから投光された光(図4(b)中のIL)が可動ストッパ70の外方面にて反射され、且つ当該反射された光(図4(b)中のRL)が受光素子902bに受光されたときに、第1位置検知センサ902は検知信号を出力する。ここで、第1位置検知センサ902が可動ストッパ70のみを選択的に検知するために、発光素子902a及び受光素子902bの対は、当該可動ストッパ70側に傾斜して配設されている。これにより、第1位置検知センサ902が、例えば商品11を可動ストッパ70と誤認することが防止され、商品収納搬出コラム400を確実に検知できる。
【0033】
第1位置検知センサ902によって検知信号が出力されたときの当該第1位置検知センサ902のX座標位置が、可動ストッパ70のX方向の幅の中にあると識別される。換言すれば、第1位置検知センサ902は、可動ストッパ70の位置を検知することとなり、よって、第1位置検知センサ902は、当該可動ストッパ70が開口部に設けられた商品収納搬出コラム400の商品棚30における位置を検知することとなる。尚、本実施の形態においては、発光素子902aから投光される光は赤外光であるとする。また、本実施の形態においては、受光素子902bの受光強度に対して、例えば発光素子902aから投光された赤外光が図4(b)の光路RLによって減衰する程度を閾値としている。このようにすれば、第1位置検知センサ902が可動ストッパ70以外のものを当該可動ストッパ70と誤認する恐れが防止される。また、このような発光素子902a及び受光素子902bによる光学検知は、比較的安価であるにもかかわらず信頼性の高いものである。
【0034】
第2位置検知センサ903(図5)も、上記の第1位置検知センサ902と同様に、図4に示されるバケット90の側壁部と相対する側壁部(図5)に設けられ、発光素子903aと、当該発光素子903aからの反射光を受光する受光素子903bとから構成されている。但し、本実施の形態においては、第1位置検知センサ902と第2位置検知センサ903とは、バケット90における商品取得口のおよそX方向幅分だけ異なるX座標位置をもって設けられている。第2位置検知センサ903も、第1位置検知センサ902と同様に、検知信号を出力することにより、商品収納搬出コラム400の商品棚30における位置を検知するものである。
【0035】
可動アーム92は、バケット90側の適宜な駆動手段(不図示)によって回動駆動される可動部材であって、前述した可動ストッパ70を押し下げ操作するものである。本実施の形態の可動アーム92は、2つの可動アーム92a、92bから構成されている。この2つの可動アーム92a、92bは、バケット90の両側壁部側に振り分けられ、商品11が載置されるコンベア85の下部に設けられている。ここで、可動ストッパ70は、図4(b)の点線で示された状態にて、商品収納搬出コラム400に収納された商品列の先頭商品11をバケット90に搬送することを停止するものであり、図4(b)の実線で示された状態にて、当該搬送停止を解除すべく、可動アーム92によって押し下げられるものである。
【0036】
可動ギア93は、バケット90側の適宜な駆動手段(不図示)によって回転駆動され、商品収納搬出コラム400上の商品11を取り出し搬出させる際に、その商品収納搬出コラム400側のベルト駆動用の固定ギア53に噛合して回転伝達を行うものである。更に、可動ギア93は、バケット90側の適宜な駆動手段(不図示)によって、図4(b)に示されるバケット90の側壁部に設けられた軸支部93cを中心に回動駆動されるものである。このような回転駆動及び回動駆動により、商品収納搬出コラム400に収納された商品列の先頭商品11をバケット90に搬送するとき、可動ギア93は、固定ギア53のY方向下部に対してY方向下方から噛合し(図4(b)の実線)、当該搬送停止時にはバケット90内に収納されるものである(図4(b)の点線)。本実施の形態の可動ギア93は、2つの可動ギア93a、93bから構成されている。この2つの可動ギア93a、93bは、バケット90の両側壁部側に振り分けられ、商品11が載置されるコンベア85の下部に設けられている。
【0037】
後述するように、本実施の形態においては、可動アーム92aが可動ストッパ70を押し下げるべく回動するとき、可動ギア93aはY方向下方から固定ギア53の下部に噛合すべく回動するようになっている。また、可動アーム92bが可動ストッパ70を押し下げるべく回動するとき、可動ギア93bはY方向下方から固定ギア53の下部に噛合すべく回動するようになっている。例えば、本実施の形態のバケット90の商品取得口が、1つのコンベアユニット41を有する商品収納搬出コラム400と対向する場合を考える。このとき、バケット90の有する2つの可動アーム92a、92bのうちの何れかがコンベアユニット41の可動ストッパ70を押し下げればよい。よって、2つの可動アーム92a、92bは別々に回動駆動されるものであってよい。また、例えば、本実施の形態のバケット90の商品取得口が、2つのコンベアユニット41を有する商品収納搬出コラム400と対向する場合を考える。例えば、比較的大きな商品11は、この2つのコンベアユニット41にまたがって載置される。このとき、バケット90の有する2つの可動アーム92a、92bが2つのコンベアユニット41の可動ストッパを同時に押し下げ、両コンベアユニット41を駆動する。よって、2つの可動アーム92a、92bは同時に回動駆動されるものである。上記と同様に、2つの可動ギア93a、93bも、別々に回動駆動されるものであってもよいし、同時に回動駆動されるものであってもよい。
【0038】
バケット90内には、商品収納搬出コラム400の開口部から繰り出された商品11をバケット90内に引き込むためのベルト式のコンベア85が設けられている。このコンベア85は、バケット90のZ方向前方から受けた商品11をZ方向前方(バケットの奥方)へ搬送する。また、このコンベア85は、商品11を商品払出口16へ搬出する際に、バケット90のZ方向前方に傾斜させられるようになっている。商品11は、バケット90の背部(導入口の反対側)に設けられた跳ね上げ式扉86を自重で押し開いて商品払出口16へ排出される。跳ね上げ式扉86は常時閉じるようにバネ(不図示)付勢されており、コンベア85がバケット90のZ方向前方へ傾斜させられたときに、そのコンベア85上の商品11の自重により押し開かれるようになっている。
【0039】
図5及び図6は、それぞれ、バケット90及び当該バケット90を保持する案内レール81aを斜め上方から見た斜視図と、バケット90及び当該バケット90を保持する案内レール81aを斜め下方から見た斜視図とである。尚、図5(b)は、図5(a)におけるバケット90の下部の詳細を示す図である。図5に示されるように、本実施の形態の自動販売機は、バケット90の下部のみを案内レール81aによって保持しており、バケット90のY方向上部を保持する部材等を有さない。尚、案内レール81aは、前述した可動架台81(図1)に設けられている。バケット90のY方向下部は、ローラ950、駆動モータ910、ギア912、914、916、918a、ピニオン918bからなるピニオン機構部、ラック810(ラック機構部)等を介して案内レール81aに保持されている。
【0040】
図5及び図6に示されるように、バケット90は、当該バケット90に設けられた回転自在の4つのローラ950が案内レール81aにおいて転がることにより、X方向移動可能となっている。
【0041】
また、図5(b)に示されるように、バケット90には、コンベア85のY方向下部に駆動モータ910が設けられている。駆動モータ910の回転駆動力は、同じくコンベア85のY方向下部に設けられ互いに噛合するピニオン機構部によってギア912からギア918aまで伝達される。ここで、図6に示されるピニオン918bは、図5(b)に示されるギア918aと軸を同じくし、伴に回転するものである。よって、駆動モータ910の回転駆動力はピニオン918bまで伝達される。図6に示されるように、ピニオン918bは案内レール81aに敷設されたラック810と噛合している。これにより、本実施の形態においては、駆動モータ910が所定回数だけ回転すると、上記した駆動力伝達によってピニオン918bも所定回数だけ回転し、バケット90が案内レール81aに対してX方向に所定距離だけ移動するようになっている。
【0042】
更に、図5(b)に示されるように、バケット90には、ギア914と対向してパルスエンコーダ920(パルス発生器)が設けられている。このパルスエンコーダ920は、放射状をなしてエンコーダ用スリット920bが穿設された回転子920aと、当該エンコーダ用スリット920bを通過する光を検知する毎にパルス信号を発生するエンコーダ用光検知器920cとから構成されている。尚、本実施の形態の駆動モータ910の回転量に応じた数をもってパルス信号はパルスエンコーダ920によって出力されるが、これに限定されるものではない。例えば、図5(b)に示される駆動モータ910がステッピングモータであれば、当該ステッピングモータが自身の回転量に応じた数をもってパルス信号を出力する機能を有することとなる。よって、パルス用エンコーダ920を特に設ける必要はない。
【0043】
以上の構成により、バケット90は、可動架台81(図1)上に敷設された案内レール81aの上をX方向に前記のパルス信号数に相当する距離だけ移動可能となる。
【0044】
図7は、本実施の形態における商品収納搬出コラム400の位置を識別するための制御手段の一例を説明するブロック図である。
【0045】
図7に示される制御部200は、第1位置検知センサ902及び第2位置検知センサ903から前述の検知信号を受信し、パルスエンコーダ920から前述のパルス信号を受信し、バケット90のX方向の移動等を制御するものである。尚、本実施の形態の制御部200は、バケット90を移動させて商品棚30における商品収納搬出コラム400の位置を識別する識別制御を行うとともに、商品11を販売するために当該バケット90の商品取得口を商品収納搬出コラム400の開口部まで移動させて販売機構202を制御する販売制御を行うものである。
【0046】
RAM204は、前記の識別制御時に商品収納搬出コラム400の位置に対応するパルス信号数等を記憶するものであり、ROM206は、上記した制御部200を動作させる適宜なプログラムを記憶するものである。
【0047】
リモコン210は、例えば、自動販売機の出荷時や商品変更時等に商品収納搬出コラム400の位置が変更になったとき、作業員が、当該変更された位置に関するデータを制御部200に入力するための端末をなすものである。リモコン210は、制御部200に対して上記した識別制御を要求する要求信号を入力するための識別釦212を備えている。
【0048】
===シースルー型自動販売機の動作===
<<<商品収納搬出コラムの位置識別>>>
前述した構成を有するシースルー型自動販売機の制御手段が、バケット90を移動させて商品収納搬出コラム400の位置を識別する動作について、図8乃至図11を参照しつつ説明する。
【0049】
図8は、本実施の形態の自動販売機の上から数えて第1段目の商品棚30とバケット90との関係を説明するための平面図である。図8に示される商品棚30には、X方向に8列の商品収納搬出コラム411、412、413、414、415、416、417、418が並設されている。本実施の形態においては、各商品収納搬出コラム411乃至418がX方向に一定の幅を有するように、商品棚30が仕切板65にて仕切られている。バケット90の商品取得口は、隣接する2つの商品収納搬出コラム(例えば414、415)に対向し得るものである。可動架台81におけるバケット90のX座標位置は、バケット90の図8における左端(BL)から右側に向かって増大するパルスエンコーダ920からのパルス信号数によって表される。ここで、例えば、バケット90が可動架台81上に設けられた左限スイッチ81bを押下することによって、前記の左端(BL)にてバケット90のX方向の移動を停止させるものとする。同様に、例えば、バケット90が可動架台81上に設けられた右限スイッチ81cを押下することによって、前記の右端(BR)にてバケット90のX方向の移動を停止させるものとする。前記のBLからBRの範囲内でバケット90がX方向に移動するとき、前述した第1位置検知センサ902及び第2位置検知センサ903は、それぞれの位置検知センサ902、903が備える受光素子902b、903bが前述した所定の閾値以上の受光強度をもって光を感知したとき、検知信号を制御部200(図7)に出力する。
【0050】
図8の“BC”に示される例においては、バケット90は、当該バケット90の商品取得口が商品収納搬出コラム415の開口部と対向する位置にある。このとき、第1位置検知センサ902は、受光素子902bが商品収納搬出コラム414の可動ストッパ70の外方面からの反射光を受光することによって、検知信号を制御部200に出力する。これと同時に、第2位置検知センサ903は、受光素子903bが商品収納搬出コラム416の可動ストッパ70の外方面からの反射光を受光することによって、検知信号を制御部200に出力する。これらの検知信号の何れかを受信した制御部200は、パルスエンコーダ920からの駆動モータ910の回転数に相当するパルス信号数をRAM204に記憶させる。
【0051】
図9は、図8に示される商品収納搬出コラム411から商品収納搬出コラム418までバケット90が移動するときの位置検知センサ902、903からの検知信号と、パルスエンコーダ920からのパルス信号とを示す図である。
【0052】
先ず、バケット90が左端(BL)からX方向に移動し、パルスエンコーダ920からのパルス信号が4パルス目に達したときに、第1位置検知センサ902が商品収納搬出コラム411を検知し、矩形状をなす検知信号C1を出力する。一方、第2位置検知センサ903は商品収納搬出コラム411を検知することができない。図9によれば、検知信号C1は、パルス信号が4パルス目でローレベル(low level、以後、L−レベルと言う)からハイレベル(high level、以後、H−レベルと言う)となり、パルス信号が5パルス目でH−レベルからL−レベルとなる。制御部200は、ROM206に記憶された適宜なプログラムに基づいて、例えば前記の“4パルス”を、商品収納搬出コラム411が図8における商品棚30の左端から“1番目”に装着されたものであることと関連付けて、RAM204に例えば“(1、Sen(1):4、Sen(2):NONE)”と記憶させる。ここで、“Sen(1)”及び“Sen(2)”は、それぞれ第1位置検知センサ902及び第2位置検知センサ903を表し、“NONE”はパルス信号数のデータが無いことを表すものとする。
【0053】
バケット90が更にX方向に移動し、パルスエンコーダ920からのパルス信号が7パルス目に達したときに、第1位置検知センサ902が商品収納搬出コラム412を検知し、矩形状をなす検知信号C2を出力する。図9によれば、検知信号C2は、パルス信号が7パルス目でL−レベルからH−レベルとなり、パルス信号が9パルス目でH−レベルからL−レベルとなる。一方、第2位置検知センサ903も商品収納搬出コラム412を検知し、略矩形状をなす検知信号D2を出力するが、図9によれば、検知信号D2のL−レベルからH−レベルへの遷移は検知されていない。制御部200は、ROM206に記憶された適宜なプログラムに基づいて、例えば前記の“7パルス”を、商品収納搬出コラム412が図8における商品棚30の左端から“2番目”に装着されたものであることと関連付けて、RAM204に例えば“(2、Sen(1):7、Sen(2):NONE)”と記憶させる。
【0054】
バケット90が更にX方向に移動し、パルスエンコーダ920からのパルス信号が11パルス目に達したときに、第1位置検知センサ902が商品収納搬出コラム413を検知し、矩形状をなす検知信号C3を出力する。図9によれば、検知信号C3は、パルス信号が11パルス目でL−レベルからH−レベルとなり、パルス信号が12パルス目でH−レベルからL−レベルとなる。一方、第2位置検知センサ903も商品収納搬出コラム413を検知し、矩形状をなす検知信号D3を出力する。検知信号D3は、パルス信号が4パルス(11パルス−7パルス)目でL−レベルからH−レベルとなり、パルス信号が5パルス(12パルス−7パルス)目でH−レベルからL−レベルとなる。このように、以後、検知信号D3乃至D8においては、検知信号D2のH−レベルが検知されたときの7パルス目までがリセットされるものとする。制御部200は、ROM206に記憶された適宜なプログラムに基づいて、例えば前記の“11パルス”及び“4パルス”を、商品収納搬出コラム413が図8における商品棚30の左端から“3番目”に装着されたものであることと関連付けて、RAM204に例えば“(3、Sen(1):11、Sen(2):4)”と記憶させる。
【0055】
このような動作は、商品収納搬出コラム416の位置を識別するまで繰り返される。商品収納搬出コラム414に対しては、例えば“(4、Sen(1):14、Sen(2):7)”がRAM204に記憶され、商品収納搬出コラム415に対しては、例えば“(5、Sen(1):18、Sen(2):11)”がRAM204に記憶され、商品収納搬出コラム416に対しては、例えば“(6、Sen(1):21、Sen(2):14)”がRAM204に記憶される。
【0056】
バケット90が更にX方向に移動し、パルスエンコーダ920からのパルス信号が25パルス目に達したときに、第1位置検知センサ902は商品収納搬出コラム417を検知し、略矩形状をなす検知信号C7を出力するが、図9によれば、検知信号C7のH−レベルからL−レベルへの遷移は検知されていない。一方、第2位置検知センサ903は商品収納搬出コラム417を検知し、矩形状をなす検知信号D7を出力する。検知信号D7は、パルス信号が18パルス(25パルス−7パルス)目でL−レベルからH−レベルとなり、パルス信号が19(26パルス−7パルス)パルス目でH−レベルからL−レベルとなる。制御部200は、ROM206に記憶された適宜なプログラムに基づいて、例えば前記の“18パルス”を、商品収納搬出コラム417が図8における商品棚30の左端から“7番目”に装着されたものであることと関連付けて、RAM204に例えば“(7、Sen(1):NONE、Sen(2):18)”と記憶させる。
【0057】
バケット90が更にX方向に移動し、パルスエンコーダ920からのパルス信号が28パルス目に達したときに、第1位置検知センサ902は何も検知しないが、第2位置検知センサ903は商品収納搬出コラム418を検知し、矩形状をなす検知信号D8を出力する。検知信号D8は、パルス信号が21パルス(28パルス−7パルス)目でL−レベルからH−レベルとなり、パルス信号が30パルス目でH−レベルからL−レベルとなる。制御部200は、ROM206に記憶された適宜なプログラムに基づいて、例えば前記の“21パルス”を、商品収納搬出コラム418が図8における商品棚30の左端から“8番目”に装着されたものであることと関連付けて、RAM204に例えば“(8、Sen(1):NONE、Sen(2):21)”と記憶させる。
【0058】
図10において、より具体的に示されるように、商品収納搬出コラム400の位置に関するデータは、8段分の商品棚30について取得される。ここで、図10は、本実施の形態の自動販売機による商品収納搬出コラム400の識別動作におけるバケット90の移動経路の一例を示す図である。例えば作業員によって扉パネル13が解放され、例えば当該扉パネル13の背面側に設けられたリモコン210の識別釦212が押下されたものとする。
【0059】
待機位置にあったバケット90は、先ず商品収納搬出コラム411に対角移動し、商品収納搬出コラム411乃至418の位置に関するデータを取得する。次に、バケット90は、商品収納搬出コラム418から商品収納搬出コラム421に対角移動し、商品収納搬出コラム421乃至428の位置に関するデータを取得する。次に、バケット90は、商品収納搬出コラム428から商品収納搬出コラム431に対角移動し、商品収納搬出コラム431乃至437の位置に関するデータを取得する。次に、バケット90は、商品収納搬出コラム437から商品収納搬出コラム441に対角移動し、商品収納搬出コラム441乃至445の位置に関するデータを取得する。次に、バケット90は、商品収納搬出コラム445から商品収納搬出コラム451に対角移動し、商品収納搬出コラム451乃至455の位置に関するデータを取得する。次に、バケット90は、商品収納搬出コラム455から商品収納搬出コラム461に対角移動し、商品収納搬出コラム461乃至465の位置に関するデータを取得する。次に、バケット90は、商品収納搬出コラム465から商品収納搬出コラム471に対角移動し、商品収納搬出コラム471乃至475の位置に関するデータを取得する。次に、バケット90は、商品収納搬出コラム475から商品収納搬出コラム481に対角移動し、商品収納搬出コラム481乃至485の位置に関するデータを取得する。
【0060】
前述した対角移動は、例えば適宜なステッピングモータ(不図示)等の駆動手段による可動架台81のY方向の移動と、駆動モータ910(図5)によるバケット90のX方向の移動によって実現される。よって、上から数えて第1段目から第8段目の商品棚30のY座標位置には、このステッピングモータ(不図示)の出力するパルス信号数が対応し得る。従って、商品収納搬出コラム400をX座標位置及びY座標位置で特定した位置に関するデータがRAM204上に記憶される。
【0061】
図11は、商品収納搬出コラム400をX座標位置及びY座標位置で特定した位置に関するデータの一例を示す図である。このデータはRAM204に記憶される。一例として、商品収納搬出コラム411を特定する識別データは、当該商品収納搬出コラム411が図10において上から数えて第1段目の商品棚30の左端から1番目に位置するために、“11”とされる。これに対して、X座標位置に相当するパルスエンコーダ920からのパルス信号数は、例えば前述した“Sen(1):4”である。図11に示されるように、本実施の形態においては、Y座標位置に相当するステッピングモータ(不図示)からのパルス信号数は“70”としている。これは、可動架台81がバケット90の待機位置から商品収納搬出コラム411まで移動するためにステッピングモータ(不図示)が出力するパルス信号数が70であることに相当する。よって、商品収納搬出コラム411を特定するバケット90の位置データは、“(Sen(1):4、70)”である。
【0062】
もう一例として、商品収納搬出コラム475を特定する識別データは、当該商品収納搬出コラム475が図10において上から数えて第7段目の商品棚30の左端から5番目に位置するために、“75”とされる。これに対して、X座標位置に相当するパルスエンコーダ920からのパルス信号数は、例えば前述した商品収納搬出コラム415の場合と同様に“Sen(1):18”である。図11に示されるように、本実施の形態においては、Y座標位置に相当するステッピングモータ(不図示)からのパルス信号数は“10”としている。これは、可動架台81がバケット90の待機位置から商品収納搬出コラム475まで移動するためにステッピングモータ(不図示)が出力するパルス信号数が10であることに相当する。よって、商品収納搬出コラム475を特定するバケット90の位置データは、“(Sen(1):18、10)”である。
【0063】
利用者の選択に基づいて、自動販売機が当該選択された商品収納搬出コラム400の商品11をバケット90にて受け取るときは、例えば、バケット90は待機位置から対角移動して図10における左端まで移動するものとする。このとき、可動架台81のY方向の移動距離には、図11に示される位置データを用いることができる。この後、この位置データに基づいて、バケット90は可動架台81上をX方向に移動する。
【0064】
本実施の形態の自動販売機によれば、例えば商品収納搬出コラム411乃至418のX座標位置を第1位置検知センサ902が検知するためのバケット90の商品取得口の移動範囲は、図9におけるC1乃至C6に相当する。一方、当該X座標位置を第2位置検知センサ903が検知するためのバケット90の商品取得口の移動範囲は、図9におけるD3乃至D8に相当する。図9において、C3乃至C6と、D3乃至D6とは共通の移動範囲に相当するため、この範囲においては、第1位置検知センサ902又は第2位置検知センサ903が商品収納搬出コラム413乃至416の位置を検知すればよい。これに対して、C1及びC2に相当する左端(BL)側については、本実施の形態ではバケット90の左端側に設けられた第1位置検知センサ902が商品収納搬出コラム411及び412を検知している。また、D7及びD8に相当する右端(BR)側については、本実施の形態ではバケット90の右端側に設けられた第2位置検知センサ903が商品収納搬出コラム417及び418を検知している。これにより、商品取得口が、商品棚30の両端部に装着される商品収納搬出コラム411及び418と対向する範囲内で移動するバケット90が、自動販売機内を占有するX方向の距離が小さくて済む。よって、自動販売機の幅を商品棚30の幅と略同等とできる。また、第1位置検知センサ902及び第2位置検知センサ903によって、商品棚30に対する商品収納搬出コラム400の位置は確実に検知される。
【0065】
<<<可動アーム、可動ギア、及び案内レール>>
図12に示されるように、本実施の形態の2つの可動アーム92a、92bと、2つの可動ギア93a、93bとは、バケット90の商品11が載置されるコンベア85の下部に設けられている。
【0066】
図13においては、商品11販売時に、可動アーム92(92a、92b)が商品収納搬出コラム400の可動ストッパ70を押し下げるべく回動するとき、可動ギア93(93a、93b)はY方向下方から固定ギア53の下部に噛合すべく回動する。よって、図13に示されるように、可動ストッパ70に対して可動アーム92が及ぼす力は、Y方向に上方から下方に向かう力(“F’”)である。従って、可動ストッパ70が可動アーム92に及ぼす反力もY方向に沿った力であり、この反力のZ方向の成分は発生しないと言える。また、図13に示されるように、固定ギア53に対して可動ギア92が及ぼす力は、Y方向に下方から上方に向かう力(“F”)である。従って、固定ギア53が可動ギア93に及ぼす反力もY方向に沿った力であり、この反力のZ方向の成分は発生しないと言える。また、力F及び力F’は互いに反対向きの力であるため、バケット90に作用する力は、2つの反対向きの力が相殺されたものとなり、当該F及びF’よりも小さい力となる。
【0067】
以上から、バケット90に作用する力は概ねY方向に沿ったものであり、当該力自身も小さいと言える。よって、バケット90が保持される案内レール81a(図4及び図5)を支点としてバケット90をZ方向に倒す向きに作用するモーメントは発生しないと言える。従って、本実施の形態におけるバケット90は、案内レール81aで下部を保持されるだけで、商品収納搬出コラム400からの商品11を安定して受け取ることができる。
【0068】
また、上記したように、本実施の形態の自動販売機は、バケット90の下部を案内レール81aによって保持するだけで安定してX方向に移動可能であるため、特に当該バケット90の上部を保持する部材等を必要としない。よって、この部材等によって阻害されない空間分だけ自動販売機の商品収納量を大きくできる。例えば、図1に示されるように、バケット90の待機位置の紙面左隣に商品棚30を設けることができる。従って、バケット90の待機位置の上部に商品払出口16を備え、これにより当該商品払出口16に商品棚30を備えることができなくなっても、本実施の形態の自動販売機は、バケット90の待機位置の図1における紙面左隣に商品棚30を備えた分だけ、商品11の収納量を保持することができる。
【0069】
更に、本実施の形態のシースルー型自動販売機は、商品払出口16を従来のシースルー型自動販売機の場合に比べてより上部に備えているため、利用者は、無理な姿勢を強いられることなく商品11を容易に受け取れる。
【0070】
尚、本実施の形態においては、固定ギア53は図13において時計回りに回転し、可動ギア93は図13において反時計回りに回転する。これは、固定ギア53及び可動ギア93がお互いに食いつく方向への回転である。よって、例えば、本実施の形態によるバネ(付図示)付勢によって可動ギア93をY方向に下方から上方に回動させる程度で、固定ギア53及び可動ギア93の噛合は良好となる。
【0071】
<<<ピニオン機構部及びラック機構部>>>
図5及び図6に示されるように、バケット90には、コンベア85のY方向下部に駆動モータ910及びピニオン機構部912、914、916、918a、918bが設けられている。よって、バケット90の重心が低下し、Z方向に倒れ難くなる。従って、本実施の形態におけるバケット90は、案内レール81aで下部を保持しただけで、商品収納搬出コラム400から安定して商品11を受け取ることができる。
【0072】
また、本実施の形態の自動販売機は、内部に駆動モータやギア等を有する所謂自走式のバケット90を用いているため、可動架台81とバケット90とは、例えばローラ950及び案内レール81aを介するのみでよい。よって、可動架台81とバケット90との間の構造が簡単なものとなり、従って、自動販売機の製造コストが下がり、メインテナンスも容易である。
【0073】
更に、本実施の形態の自動販売機は、バケット90の自走のために、パルスエンコーダ920に駆動力を伝達する駆動モータ910を用いている。よって、バケット90が自身のX座標位置を識別し得るパルス信号を発生できる。従って、可動架台81とバケット90との間の構造が簡単なものとなり、自動販売機の製造コストが下がり、メインテナンスも容易となる。
【0074】
<<<ストッカ>>>
図14を参照しつつ、本実施の形態のストッカ300の有する開閉扉300aが、商品11を商品払出口16へ案内する案内板として機能することを説明する。バケット90に保持された商品11は、図14における“A”状態で商品払出口16まで搬送される。バケット90は商品払出口16の上部に位置すると、コンベア85を当該商品11を払い出す向きに回転させる。このとき、商品11は、前記の“A”状態から“B”状態を経て“C”状態に遷移する。図14に示されるように、もし商品11の背が高い場合は、当該商品11は“C”状態において開閉扉300aに上部が当たる。これにより、商品11には、開閉扉300aから払い出し方向に力を受けることとなる。即ち、案内板としての開閉扉300aによって、背の高い商品11でも商品払出口16へ円滑に案内される。
【0075】
===その他の実施の形態===
前述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0076】
前述した実施の形態の商品収納搬出コラム400は、X方向に一定の幅を有するものとしたが、これに限定されるものではない。商品収納搬出コラム400の幅は互いに異なるものでもよい。例えば、図15に示される商品収納搬出コラム4011乃至4016を用いてもよい。図15に示される商品棚30は、図8に示される商品棚30と同一のものであるが、以下に述べる点においてその全体構成が異なる。
【0077】
図15に示される2つの商品収納搬出コラム4011及び4016は、例えば図8に示される商品収納搬出コラム411及び418と同一のものである。また、図15に示される商品収納搬出コラム4012は、例えば図8に示される2つの商品収納搬出コラム412及び413の間の仕切板65を取り除いたものに相当する。商品収納搬出コラム4012は2個のコンベア・ベルト43を有し、商品11は当該2個のコンベア・ベルト43にまたがって載置される。更に、図15に示される3つの商品収納搬出コラム4013乃至4015は同一のものであるが、図8に示される商品収納搬出コラム411乃至418の場合に比べて仕切板65間の幅が広く設定されている。
【0078】
前述した第1位置検知センサ902及び第2位置検知センサ903を用いれば、このような商品収納搬出コラム4011乃至4016のX座標位置を識別し、当該商品収納搬出コラム4011乃至4016の開口部とバケット90の商品取得口とを対向させることができる。第1位置検知センサ902及び第2位置検知センサ903からの出力は、例えば図9に示されるC1乃至C7及びD2乃至D8の個数と、H−レベル及びL−レベルの時間幅とが異なったものとなる。
【0079】
ここで、例えば、図8における2つの商品収納搬出コラム412及び413を合わせたものが図15における1つの商品収納搬出コラム4012であるとして図9に示される出力を処理すれば、商品収納搬出コラム4012のX座標位置を識別したこととなる。このような処理は、ROM206(図7)に記憶された適宜なプログラムに基づき、制御部200(図7)によって行われてもよい。また、このような処理の有無は、前述したリモコン210(図7)の識別釦212(図7)の押下とともに、2つの商品収納搬出コラムで1つの商品を搬送する旨を例えば作業員が当該リモコン210に入力することにより設定される。上記X座標位置の具体的な識別に関して、図8の場合と図15の場合とでは、例えば以下の点が異なる。バケット90と伴にX方向を移動する第1位置検知センサ902及び第2位置検知センサ903により、図8における2つの商品収納搬出コラム412及び413に対応して、図9に示される検知信号の出力C2に相当するX座標位置がRAM204(図7)に記憶され、図9に示される検知信号の出力(C3、D3)に相当するX座標位置がRAM204(図7)に記憶される。前述したように、これらの検知信号は商品収納搬出コラム412及び413の各ベルト43に対して出力される。一方、図15の場合、図15の左から2番目のベルト43(左側ベルト)に対しては、図9に示される検知信号の出力C2に相当するX座標位置がRAM204(図7)に記憶されるが、図15の左から3番目のベルト43(右側ベルト)に対しては、図9に示される検知信号の出力(C3、D3)に相当するX座標位置はRAM204(図7)に記憶されないようにリモコン210(図7)において予め設定される。これにより、商品販売時にバケット90が商品収納搬出コラム4012に移動する際には、当該バケット90は、前記の左側ベルトに対応するX座標位置に停止する。従って、バケット90の商品取得口は、商品収納搬出コラム4012の2つのベルト43に対向できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施の形態のシースルー型自動販売機の外観構成例を示す正面図である。
【図2】本実施の形態の商品棚及び商品収納搬出コラムの要部構成例を示す分解斜視図である。
【図3】本実施の形態のストッカの構成例を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態のバケット及び商品収納搬出コラムの開口部の要部構成例を示す側面図である。
【図5】本実施の形態のバケット及び案内レールの斜視図である。
【図6】本実施の形態のバケット及び案内レールのもう一つの斜視図である。
【図7】本実施の形態の商品収納搬出コラムの位置を識別するための制御手段の一例を説明するブロック図である。
【図8】本実施の形態の商品収納搬出コラムとバケットとの関係を説明するための平面図である。
【図9】本実施の形態のバケット移動時の位置検知センサからの検知信号とパルスエンコーダからのパルス信号とを示す図である。
【図10】本実施の形態の自動販売機による商品収納搬出コラムの識別動作におけるバケットの移動経路の一例を示す図である。
【図11】本実施の形態の商品収納搬出コラムの位置に関するデータの一例を示す図である。
【図12】本実施の形態のバケットの斜視図である。
【図13】本実施の形態のバケット及び商品収納搬出コラムの開口部の要部構成例を示すもう1つの側面図である。
【図14】本実施の形態のバケット及びストッカの側面図である。
【図15】本実施の形態の商品収納搬出コラムの平面図である。
【符号の説明】
【0081】
10 筐体
12 商品収納部
30 商品棚
65 仕切板
70 可動ストッパ
81 可動架台
81b 左限スイッチ
81c 右限スイッチ
90 バケット
411〜418 商品収納搬出コラム
810 ラック
902 第1位置検知センサ
903 第2位置検知センサ
902a、903a 発光素子
902b、903b 受光素子
918b ピニオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品列を先頭商品側へ搬送する複数の商品搬送ユニットと、前記複数の商品搬送ユニットが前記商品列の搬送方向に対して直交方向へ所定間隔で装着される商品棚と、前記商品棚に装着される前記複数の商品搬送ユニットと選択的に対向する商品取得口を有し、前記直交方向に移動して前記商品列の先頭商品を取得するバケットと、前記バケットを保持して前記直交方向へ移動させる案内レールと、を備えた自動販売機において、
前記バケットは、駆動モータと、前記駆動モータの駆動力が伝達されるピニオン機構部と、を有し、
前記案内レールは、前記ピニオン機構部の駆動力が伝達されるラック機構部を有する、
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記バケットは、取得した商品が載置される載置台を有し、前記駆動モータ及び前記ピニオン機構部は、前記載置台の下部に配設されることを特徴とする請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
前記駆動モータは、ステッピングモータ、又は、パルスエンコーダに駆動力を伝達するモータであることを特徴とする請求項1又は2記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−183993(P2007−183993A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76269(P2007−76269)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【分割の表示】特願2003−171910(P2003−171910)の分割
【原出願日】平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】