説明

自動販売機

【課題】複数の成人認証装置を一つの自動販売機内に内蔵して制御することができる自動販売機を提供する。
【解決手段】非接触型カードのリードライタ12と第1制御部42及び運転免許証のリーダ部14と第2制御部44を有し、各制御部42,44は互いの動作状態を確認し、一つの制御部が動作中の場合には他方の制御部は待機状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成人認証装置を搭載した自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、タバコ、酒等の成人のみを対象とした商品を販売する自動販売機においては、成人認証装置が搭載されている。
【0003】
例えば、この成人認証装置としては、年齢確認を行うための非接触型カードを用いたものや(例えば、特許文献1参照)、運転免許証を読み取り年齢確認を行うものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−285283号公報
【特許文献2】特開2002−342817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように成人認証装置には、複数存在し、自動販売機はこれら複数の成人認証装置を搭載したほうが客も商品を購入し易い。また、複数の成人認証装置を一つの自販機に搭載する場合に、各成人認証装置により必要とするデータの内容が異なるため、一つの制御部で管理することが困難であり、また、各成人認証装置を制御する制御部をそれぞれ持つほうがセキュリティーを保ち易い。
【0006】
しかしながら、一つの自動販売機内に複数の制御部を搭載した場合には、自動販売機の中にある金銭処理部、接客部及び商品搬出部の制御が、各制御部で競合してしまい、制御が成立しなくなるか、又は、制御部同士の接続に異常を発生させるという問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、複数の成人認証装置を一つの自動販売機内に内蔵して制御することができる自動販売機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、金銭処理部と、接客部と、商品搬出部と、複数の成人認証装置と、前記各成人認証装置のそれぞれの制御部と、を有し、複数の前記制御部は互いに接続され、かつ、複数の前記制御部の中の一つの前記制御部が動作状態の場合には、他の前記制御部は待機状態となり、前記一つの制御部が、前記金銭処理部、前記接客部及び前記商品搬出部を販売制御する、ことを特徴とする自動販売機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各成人認証装置はそれぞれの制御部が制御し、また、一つの制御部が動作している場合には他の制御部は待機状態であるため、販売制御が競合することなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の自動販売機の正面図である。
【図2】同じく自動販売機のブロック図である。
【図3】同じく自動販売機の第1の動作を示すフローチャートである。
【図4】同じく自動販売機の第2の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態の自動販売機10について、図1〜図3に基づいて説明する。本実施形態の自動販売機は、成人以上のみが購入することができるタバコの自動販売機である。
【0012】
この自動販売機10は、二つの成人認証装置を搭載している。第1の成人認証装置は、年齢を検出するために利用する非接触型カードを読み取るための非接触型カードリードライタ(以下、「リードライタ」という)12であり、この非接触型カードとしては、例えば、非接触ICカードがある。第2の成人認証装置は、運転免許証から年齢を判別する運転免許証リーダ部(以下、単に「リーダ部」という)14である。
【0013】
(1)自動販売機10の構成
図1に基づいて、自動販売機10の構造について説明する。図1は、自動販売機10の正面図である。
【0014】
自動販売機10の本体16の上部には、タバコのサンプル11の陳列棚18が2列設けられ、各タバコのサンプル11の下方には、値段表示部20、販売ボタン22が設けられている。販売ボタン22の内部には、販売可能時に点灯する販売可能ランプと、売り切れ時に点灯する売り切れランプが内蔵されている。
【0015】
2列の陳列棚18の下方には、硬貨処理装置24、紙幣識別装置26、返却レバー28、金額表示部30が設けられている。また、リードライタ12の読取り面32、リーダ部14における運転免許証の挿入口34も設けられている。さらに、客に対し年齢が確認されたか否かなどの情報を表示する案内表示部36が設けられている。
【0016】
本体16の下部には、釣り銭取出口38、商品取り出し口40が設けられている。
【0017】
(2)自動販売機10の電気的構造
次に、図2のブロック図に基づいて、自動販売機10の電気的構造について説明する。
【0018】
自動販売機10は、マイクロコンピュータよりなる第1制御部42、第2制御部44を有し、第1制御部42には、リードライタ12が接続され、第2制御部44にはリーダ部14が接続されている。また、自動販売機10は、マイクロコンピュータよりなる商品搬出部46、接客部48、金銭処理部50を有している。
【0019】
第1制御部42、第2制御部44、商品搬出部46、接客部48、金銭処理部50は、自動販売機10内部に設けられたバスライン52によって信号の送受信を行う。
【0020】
商品搬出部46は、自動販売機10内部に設けられたn個のコラム54に収納されているタバコを順番に搬出する搬出機構56を制御している。また、この商品搬出部46において、各コラム54における売り切れなどを検出する。すなわち、各搬出機構56は、搬出手段としてモータを有し、また、売り切れ検出のためにスイッチを有している。
【0021】
接客部48には、コラム54毎に設けられている販売ボタン22、値段表示部20及び案内表示部36が接続されている。
【0022】
金銭処理部50には、硬貨処理装置24、紙幣識別装置26、返却レバー28、金額表示部30が接続されている。
【0023】
(3)自動販売機10の第1の動作状態
次に、図3のフローチャートに基づいて、自動販売機10の第1の動作状態について説明する。
【0024】
まず、初期状態においては、第1制御部42を初期制御部として動作状態としておき、第2制御部44を待機状態と設定する。なお、この初期制御部とするのは、第1制御部42でなく、第2制御部44であってもよいが、少なくともどちらか一つの制御部のみを初期制御部としておく。
【0025】
ステップ1において、硬貨処理装置24又は紙幣識別装置26が、入金を検出するとステップ2に進む。
【0026】
ステップ2において、リードライタ12が非接触型カードを検出した場合にはステップ3に進み、所定時間検出しなかった場合にはステップ8に進む。
【0027】
ステップ3において、この非接触型カードの内容がタバコを販売するのに適合している内容か否か、すなわち、成人年齢に達しているか否かをリードライタ12が判定し、適合している場合にはステップ4に進み、適合していない場合にはステップ6に進む。
【0028】
ステップ4において、客が成人であるため、第1制御部42は、商品搬出部46、接客部48、金銭処理部50から各データを入手する。この入手するデータとしては、商品搬出部46からは現在売り切れ中の商品のデータであり、金銭処理部50からは現在投入されている金額などのデータを入手する。そしてステップ5に進む。
【0029】
ステップ5において、客に対し年齢が確認されたことを案内表示部36によって表示し、ステップ14に進んで販売を開始する。
【0030】
ステップ6において、リードライタ12が読み取ったデータが成人に達していないと判断したため(ステップ3)、その旨を案内表示部36で表示し、ステップ7に進む。
【0031】
ステップ7において、第1制御部42は金銭処理部50を介して、投入されたお金を返却し、販売を終了する。
【0032】
ステップ8において、リーダ部14の挿入口34に運転免許証が挿入されるか否かを検出する。運転免許証が検出された場合にはステップ9に進み、所定時間検出されなかった場合にはステップ12に進む。
【0033】
ステップ9において、検出した運転免許証から客の年齢を確認し、成人であればステップ10に進み、成人でなければステップ12に進む。
【0034】
ステップ10において、第2制御部44が第1制御部42に対しバスライン52を通して、待機状態から動作を開始する旨を知らせる開始信号を送信し、動作状態となる。動作状態となった第2制御部44は、商品搬出部46、接客部48、金銭処理部50からステップ4と同様の各データを入手する。一方、第1制御部42は開始信号を受信すると待機状態となる。そして、ステップ11に進む。
【0035】
ステップ11において、第2制御部44は、案内表示部36によって年齢が確認された旨を客に表示する。そしてステップ14に進む。
【0036】
ステップ12において、運転免許証が検出されず(ステップ8)、また、運転免許証の年齢が成人でない場合には(ステップ9)、案内表示部36によって販売できない旨を通知し、金銭処理部50を介して投入されたお金を返却して、販売を終了する。
【0037】
ステップ14において、現在動作中の第1制御部42又は第2制御部44が、入手したデータに基づいて、販売判定を行う。すなわち、投入された金額及び品切れになっている商品以外の販売ランプを点灯するように接客部48を制御する。そしてステップ15に進む。
【0038】
ステップ15において、接客部48は販売ボタン22の販売可能ランプ及び品切れランプを点灯させ、ステップ16に進む。
【0039】
ステップ16において、客が販売ボタン22をオン状態にするとステップ17に進む。
【0040】
ステップ17において、商品搬出部46が、現在動作中の第1制御部42又は第2制御部44の制御に基づいて商品を搬出し、ステップ18に進む。
【0041】
ステップ18において、現在動作中の第1制御部42又は第2制御部44の制御に基づいて、金銭処理部50が釣り銭を返却する。そして、初期制御部として、第1制御部42に再び設定し、販売を終了する。
【0042】
(3)自動販売機10の第2の動作状態
次に、図4のフローチャートに基づいて、自動販売機10の第2の動作状態について説明する。この第2の動作状態は、上記第1の動作状態の変更例であって、入金検出が、認証動作の後に行うことが第1の動作状態と異なる。
【0043】
まず、初期状態においては、第1制御部42を初期制御部として動作状態としておき、第2制御部44を待機状態と設定する。なお、この初期制御部とするのは、第1制御部42でなく、第2制御部44であってもよいが、少なくともどちらか一つの制御部のみを初期制御部としておく。
【0044】
ステップ21において、リードライタ12が非接触型カードを検出した場合にはステップ22に進み、所定時間検出しなかった場合にはステップ26に進む。
【0045】
ステップ22において、この非接触型カードの内容がタバコを販売するのに適合している内容か否か、すなわち、成人年齢に達しているか否かをリードライタ12が判定し、適合している場合にはステップ23に進み、適合していない場合にはステップ25に進む。
【0046】
ステップ23において、客が成人であるため、第1制御部42は、商品搬出部46、接客部48、金銭処理部50から各データを入手する。この入手するデータとしては、商品搬出部46からは現在売り切れ中の商品のデータであり、金銭処理部50からは現在投入されている金額などのデータを入手する。そしてステップ24に進む。
【0047】
ステップ24において、客に対し年齢が確認されたことを案内表示部36によって表示し、ステップ31に進んで販売を開始する。
【0048】
ステップ25において、リードライタ12が読み取ったデータが成人に達していないと判断したため(ステップ22)、その旨を案内表示部36で表示し、販売制御を終了する。
【0049】
ステップ26において、リーダ部14の挿入口34に運転免許証が挿入されるか否かを検出する。運転免許証が検出された場合にはステップ27に進み、所定時間検出されなかった場合にはステップ21に戻る。
【0050】
ステップ27において、検出した運転免許証から客の年齢を確認し、成人であればステップ28に進み、成人でなければステップ30に進む。
【0051】
ステップ28において、第2制御部44が第1制御部42に対しバスライン52を通して、待機状態から動作を開始する旨を知らせる開始信号を送信し、動作状態となる。動作状態となった第2制御部44は、商品搬出部46、接客部48、金銭処理部50からステップ23と同様の各データを入手する。一方、第1制御部42は開始信号を受信すると待機状態となる。そして、ステップ29に進む。
【0052】
ステップ29において、第2制御部44は、案内表示部36によって年齢が確認された旨を客に表示する。そしてステップ31に進む。
【0053】
ステップ30において、運転免許証が検出されず(ステップ26)、また、運転免許証の年齢が成人でない場合には(ステップ27)、案内表示部36によって販売できない旨を通知し、販売制御を終了する。
【0054】
ステップ31において、硬貨処理装置24又は紙幣識別装置26が、入金を検出するとステップ32に進む。
【0055】
ステップ32において、現在動作中の第1制御部42又は第2制御部44が、入手したデータに基づいて、販売判定を行う。すなわち、投入された金額及び品切れになっている商品以外の販売ランプを点灯するように接客部48を制御する。そしてステップ33に進む。
【0056】
ステップ33において、接客部48は販売ボタン22の販売可能ランプ及び品切れランプを点灯させ、ステップ34に進む。
【0057】
ステップ34において、客が販売ボタン22をオン状態にするとステップ35に進む。
【0058】
ステップ35において、商品搬出部46が、現在動作中の第1制御部42又は第2制御部44の制御に基づいて商品を搬出し、ステップ36に進む。
【0059】
ステップ36において、現在動作中の第1制御部42又は第2制御部44の制御に基づいて、金銭処理部50が釣り銭を返却する。そして、初期制御部として、第1制御部42に再び設定し、販売制御を終了する。
【0060】
(4)効果
本実施形態の自動販売機10によれば、2つの成人認証装置を制御する制御部42,44をそれぞれ有していても、第2制御部44がバスライン52を介して動作を開始する開始信号を送信し、この開始信号を受信した第1制御部42は待機状態に変更となるため、2つの制御部42,44が競合することなく、販売制御を行うことができる。
【0061】
そして、この動作の確認により、金銭処理部50、商品搬出部46、接客部48は正常に動作することができる。
【0062】
(5)変更例
本発明は上記各実施形態に限らず、その主旨を逸脱しない限り種々に変更することができる。
【0063】
上記実施形態では、成人認証装置として、非接触型カードを読み取るリードライタ12と運転免許証を検出するリーダ部14を設けたが、これに加えて、顔認証によって成人か否かを確認する成人認証装置を設けてもよい。この場合には、第3の制御部を搭載する。
【0064】
また、上記実施形態では、タバコの自動販売機で説明したが、これに限らず販売が年齢によって制限されているアルコール類などのお酒の自動販売機に設けてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、第1制御部42と第2制御部44とを自動販売機のバスライン52を介して接続していたが、これに限らず専用の信号線を用いて接続してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、初期状態において、第1制御部22を初期制御部としたが、これに限らず、例えば、初期状態においては第1制御部22と第2制御部24を両方共に待機状態に設定する。そして、どちらかの制御部の成人認証装置が認証状態になると、その制御部は、待機状態から動作を開始する旨を知らせる開始信号を他の制御部に送信し、動作信号を受信した他の前記制御部は待機状態を維持する。
【符号の説明】
【0067】
10 自動販売機
12 リードライタ
14 リーダ部
42 第1制御部
44 第2制御部
46 商品搬出部
48 接客部
50 金銭処理部
52 バスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金銭処理部と、
接客部と、
商品搬出部と、
複数の成人認証装置と、
前記各成人認証装置のそれぞれの制御部と、
を有し、
複数の前記制御部は互いに接続され、かつ、複数の前記制御部の中の一つの前記制御部が動作状態の場合には、他の前記制御部は待機状態となり、前記一つの制御部が、前記金銭処理部、前記接客部及び前記商品搬出部を販売制御する、
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記各制御部は、前記自動販売機内のバスラインで接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記各制御部は、専用の信号線で接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項4】
複数の前記制御部の中の一つの前記制御部が、初期状態において動作を行う初期制御部に設定され、
前記初期状態において前記初期制御部以外の他の前記制御部は待機状態に設定され、
前記他の制御部の中の一つの前記制御部の前記成人認証装置が認証状態になると、一つの前記制御部は、待機状態から動作を開始する旨を知らせる開始信号を前記初期制御部に送信し、
前記動作信号を受信した前記初期制御部は待機状態となる、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項5】
複数の前記制御部が、いずれも初期状態においては待機状態に設定され、
一つの前記制御部の前記成人認証装置が認証状態になると、一つの前記制御部は、待機状態から動作を開始する旨を知らせる開始信号を他の前記制御部に送信し、
前記動作信号を受信した他の前記制御部は待機状態を維持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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