説明

自動販売機

【課題】缶飲料などの商品を冷却する際の廃熱を用いて加温する自動販売機に関し、冷却運転において余剰な冷媒を貯留することで、加温運転との冷媒量差を解消する自動販売機を提供することを目的とする。
【解決手段】第1のホット/コールド切換室1を冷却する場合に、圧縮機8が停止し、高低圧をバランスさせている間、所定の時間電磁弁28を開放して室内凝縮器20と圧縮機8の吸入配管とを接続して、室内凝縮器20へと冷媒を流入させてから電磁弁28を閉塞することで余剰な冷媒を冷却運転では使用しない室内凝縮器20へと貯留することができ、冷却運転と加温運転における最適冷媒量差を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶飲料などの商品を加温または冷却して販売する自動販売機において、冷却によって生じる廃熱を利用して同時に加温を行う冷却加温システムを有した自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動販売機に対する消費電力量削減の要求が高まってきており、消費電力量削減手段として、冷却によって生じる廃熱あるいは外気の熱を利用して商品が保管された貯蔵庫を加温するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら従来の自動販売機を説明する。
【0004】
図8は従来の自動販売機の冷媒回路図、図9は従来の自動販売機の機械室の模式図である。図8において、1はホット/コールド切換室、2はコールド専用室、3は第2のコールド専用室、4はホット/コールド切換室1内に設置された第1の蒸発器、5はコールド専用室2内に設置された第2の蒸発器、6は第2のコールド専用室3内に設置された第3の蒸発器、7は自動販売機下部の機械室(図示せず)に設置された室外凝縮器、8は圧縮機である。また、9、10、11、はそれぞれ通過する冷媒の圧力を低下するとともに閉塞機能を有した膨張弁、12は室外凝縮器7を空冷する冷却ファンである。また、20はホット/コールド切換室1内に設置された室内凝縮器であり、21、22は圧縮機8の吐出冷媒の流路を切換える電磁弁、23は室内凝縮器20の出口に設けられた三方弁である。
【0005】
また、図9において、24は自動販売機下部の機械室(図示せず)に設置され、室外凝縮器7や圧縮機8をその上に配置したユニットベース、25は第1の蒸発器4および第2の蒸発器5、第3の蒸発器6の除霜水を貯める蒸発皿、13は冷却ファン12から排出される外気を導いて圧縮機8を冷却する空冷ダクトである。ここで、室外凝縮器7あるいは圧縮機8の廃熱によってユニットベース24全体が外気よりも暖められることで、蒸発皿25に貯められた除霜水は自然に蒸発する。
【0006】
以上のように構成された従来の自動販売機について、以下その動作を説明する。
【0007】
ホット/コールド切換室1を冷却する場合、電磁弁21を開、電磁弁22を閉とし、三方弁23を圧縮機8の吸入側配管へ接続して、圧縮機8と冷却ファン12を駆動する。圧縮機8から吐出された冷媒は、室外凝縮器7で凝縮された後、それぞれ膨張弁9、膨張弁10、膨張弁11で減圧されて、第1の蒸発器4、第2の蒸発器5、第3の蒸発器6へ供給される。そして、第1の蒸発器4、第2の蒸発器5、第3の蒸発器6で蒸発した冷媒が圧縮機8へ還流する。
【0008】
このとき、ホット/コールド切換室1、コールド専用室2、第2のコールド専用室3の内所定の温度に達した貯蔵室は、当該する膨張弁9、膨張弁10、膨張弁11を閉塞して冷媒の供給を停止する。さらに、すべての貯蔵室が所定の温度に達すると圧縮機8と冷却ファン12の運転を停止する。
【0009】
次に、ホット/コールド切換室1を加温する場合、電磁弁21を閉、電磁弁22を開とし、三方弁23を室外凝縮器7に繋がる配管へ接続して、圧縮機8と冷却ファン12を駆動する。圧縮機8から吐出された冷媒は、室内凝縮器20で一部が凝縮した後、さらに再
度室外凝縮器7で凝縮された後、それぞれ膨張弁10、膨張弁11で減圧されて、第2の蒸発器5、第3の蒸発器6へ供給される。そして、第2の蒸発器5、第3の蒸発器6で蒸発した冷媒が圧縮機8へ還流する。また、コールド専用室2、第2のコールド専用室3の内所定の温度に達した貯蔵室は、当該する膨張弁10、膨張弁11を閉塞して冷媒の供給を停止する。さらに、すべての貯蔵室が所定の温度に達すると圧縮機8と冷却ファン12の運転を停止する。
【0010】
なお、図8に示した従来例では第1の蒸発器4とは独立してホット/コールド切換室1内に室に凝縮器20を設置したが、冷媒流路を切換えて第1の蒸発器4を室内凝縮器20として使用しても同様の効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5−233941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の構成では、ホット/コールド切換室を加温する際と冷却する際とで室外凝縮器を共用しているために、室内凝縮器と室外凝縮器を使用する加温運転と室外凝縮器のみを使用する冷却運転との間で冷媒量に差が生じ、冷却運転時に冷媒量が過多となる。この結果、液冷媒の圧縮機への流入が生じて、圧縮機の耐久性が低下することが懸念される。
【0013】
本発明は、従来の課題を解決するもので、ホット/コールド切換室を加温する際と冷却する際の冷媒量差を解消し、冷却運転時にける圧縮機の耐久性低下を防止する自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来の課題を解決するために、本発明の自動販売機は、前記ホット/コールド切換室を冷却する場合に、圧縮機の停止中に所定の時間凝縮器と圧縮機吸入側とを接続する電磁弁を開放した後に閉塞するものである。
【0015】
これによって、ホット/コールド切換室を冷却する際に使用しない凝縮器へ余剰な冷媒を貯留することができ、冷媒量過多による圧縮機の耐久性低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自動販売機は、冷却運転時において使用しない凝縮器へと余剰な冷媒を貯留することで、加温運転時と冷却運転時における冷媒量差を解消し、冷却運転時における圧縮機の耐久性低下を防止するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における自動販売機の冷媒回路図
【図2】本発明の実施の形態1における自動販売機の機械室の模式図
【図3】本発明の実施の形態1における自動販売機の圧縮機、電磁弁の動作図
【図4】本発明の実施の形態2における自動販売機の冷媒回路図
【図5】本発明の実施の形態2における自動販売機の機械室の模式図
【図6】本発明の実施の形態2における自動販売機の圧縮機、電磁弁の動作図
【図7】本発明の実施の形態2における圧縮機、四方向切替弁、四方弁の動作図
【図8】従来の自動販売機の冷媒回路図
【図9】従来の自動販売機の機械室の模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
請求項1に記載の発明は、複数の商品収納庫を有し、前記商品収納庫の内少なくとも1室をコールド専用室とし、前記商品収納庫の内少なくとも1室をホット/コールド切換室とした自動販売機において、圧縮機と、前記ホット/コールド切換室内に設置された第1の蒸発器および室内凝縮器と、前記コールド専用室内に設置された第2の蒸発器と、前記商品収納庫の外に設置された室外凝縮器と、圧縮機から吐出される冷媒の流路切換機構と、前記室内凝縮器と前記圧縮機の吸入配管とを接続する配管経路内に設けた電磁弁とを備え、前記ホット/コールド切換室を冷却する場合には、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外凝縮器で凝縮させた後、前記第1の蒸発器と前記第2の蒸発器に供給するとともに、前記ホット/コールド切換室を加温する場合には、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室内凝縮器で一部を凝縮させた後、前記第2の蒸発器に冷媒を供給する自動販売機であり、前記ホット/コールド切換室を冷却する場合に、前記圧縮機の停止中に所定の時間前記電磁弁を開放した後に閉塞するものであるので、ホット/コールド切換室を冷却する場合に使用しない凝縮器へと冷媒を貯留することで冷媒量過多を防止することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ホット/コールド切換室の温度が所定の温度よりも高い場合は、凝縮器と圧縮機の吸入配管とを接続する配管経路内に設けた電磁弁を常に開放するものであるので、例えばホット/コールド切換室を加温から冷却に切換えた場合や高外気温度におけるイニシャルプルダウン時などにおいて、余剰な冷媒を冷却に利用できるので冷却能力を高める事ができ、プルダウン時間を短縮することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、凝縮器と圧縮機から吐出される冷媒の流路切換機構とを接続する配管経路内に設けた細径管からなる抵抗器を用いることで、膨張弁を用いる場合と比較してホット/コールド切換室を加温する際の冷媒量を削減することができるので、ホット/コールド切換室を冷却する際との冷媒量差を減少することが可能となり、また、膨張弁をユニットベース上に配置する必要がなくなることからユニットベースをよりコンパクトにすることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、蒸発器ならびに第二の蒸発器からの除霜水を一時的に貯める蒸発皿と室外凝縮器を空冷しながら、その廃熱で前記蒸発皿に貯めた除霜水を蒸発させる空冷ファンとを備え、圧縮機ならびに室外凝縮器を商品収納庫下方に設けた機械室内に設置したユニットベース上の中心に配置し、前記蒸発皿をユニットベースの外郭側に配置し、前記蒸発皿と反対側の前記ユニットベースの外郭寄りに圧縮機から吐出される冷媒の流路切換機構、電磁弁を配置することで、空冷ファンの風を圧縮機の吐出配管に当てずに蒸発皿へと導くことができるので、吐出配管が冷却されることによる加温効率の低下を防止できる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、ホット/コールド切換室を冷却する場合に、流路切替機構を所定の間切替えて室内凝縮器で冷媒の一部を凝縮させるものであり、室内凝縮器へと貯留できる冷媒量が増えるので加温運転と冷却運転との最適冷媒量差が大きい場合においてもその冷媒量差を解消することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、流路切替機構を切替えている間はホット/コールド切換室に設置している第1の蒸発器へと冷媒を流入させるものであり、室内凝縮器の熱交換能力が高まることからさらに大量に冷媒を貯留することができると共に、流路切替機構を切替えている間にホット/コールド切換室の温度が上昇することを防ぐことができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、ホット/コールド切換室に設置した室内凝縮器と第1の蒸発器とをフィンを共有した一体型熱交換器としたものであり、第1の蒸発器の室内凝縮器との熱交換量を増大させると共に2つの熱交換器を1つの熱交換器として取り扱うことができるのでユニットの組み込み時などの作業性を高めることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項5から7のいずれか一項に記載の発明において、室外凝縮器に温度検知センサを取り付け、前記温度検知センサ温度が所定の温度よりも低い場合は、電磁弁を開放した後に、流路切替機構を前回よりも短い時間切替え、前記温度検知センサ温度が所定の温度よりも高い場合は、流路切替機構を再度所定の時間切替えるものであり、室内凝縮器へと冷媒を滞留させすぎることによる冷媒不足状態もしくは冷媒滞留量が少なすぎることによる液冷媒の圧縮機への流入を防ぐことができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における自動販売機の冷媒回路図、図2は同実施の形態1の自動販売機の機械室の模式図、図3は冷却運転時における圧縮機、膨張弁、開閉弁の動作を示す図である。
【0028】
図1において、1はホット/コールド切換室、2はコールド専用室、3は第二のコールド専用室、4はホット/コールド切換室1内に設置された蒸発器、5はコールド専用室2内に設置された第二の蒸発器、6は第二のコールド専用室2内に設置された第二の蒸発器、7は自動販売機下部の機械室に設置された室外凝縮器、8は圧縮機である。また、9、10、11、はそれぞれ通過する冷媒の圧力を低下するとともに閉塞機能を有した膨張弁である。また、20はホット/コールド切換室1内に設置された凝縮器であり、26は圧縮機から吐出される冷媒の流路切換機構である四方弁、27は凝縮器20と四方弁26とをつなぐ配管経路内に設置され、通過する冷媒の圧力を低下させる細径管からなる抵抗器、28は凝縮器20と圧縮機8の吸入側とを接続する配管経路内に設置した開閉弁である。
【0029】
また、図2において、24は自動販売機下部の機械室に設置され、室外凝縮器7や圧縮機8をその上に配置したユニットベース、25は蒸発器4および第二の蒸発器5、第二の蒸発器6の除霜水を貯める蒸発皿、29は室外凝縮器7と膨張弁9、膨張弁10、膨張弁11とを接続する配管経路内に設け、冷媒の流路を切換える4方向切換弁、33は第一冷却ファン30から排出される外気を導いて圧縮機8を冷却するとともに、第二冷却ファン31から排出される外気を蒸発皿25内へと導く空冷ダクトである。ここで、室外凝縮器7、圧縮機8をユニットベース24の中央に配置し、蒸発皿25と反対側の外郭側に四方弁26ならびに開閉弁28、4方向切換弁29を配置している。
【0030】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における自動販売機について、以下その動作を説明する。
【0031】
ホット/コールド切換室1を冷却する場合、圧縮機8の吐出配管と室外凝縮器7とが連通するとともに凝縮器20の出入口が連通して閉ループとなるように四方弁26を動作して、圧縮機8を駆動する。圧縮機8から吐出された冷媒は、室外凝縮器7で凝縮された後、それぞれ膨張弁9、膨張弁10、膨張弁11で減圧されて、蒸発器4、第二の蒸発器5
、第二の蒸発器6へ供給される。そして、蒸発器4、第二の蒸発器5、第二の蒸発器6で蒸発した冷媒が圧縮機8へ還流する。
【0032】
このとき、ホット/コールド切換室1、コールド専用室2、第二のコールド専用室3の内、所定の温度に達した貯蔵室は、当該する膨張弁9、膨張弁10、膨張弁11を閉塞して冷媒の供給を停止する。
【0033】
このとき、図3に示すように圧縮機8を停止し、高低圧のバランスのために膨張弁9、膨張弁10、膨張弁11を開放する際に開閉弁28を開放して凝縮器20と圧縮機吸入配管とを接続し、高低圧がバランスした後に膨張弁9、膨張弁10、膨張弁11を閉塞する際に開閉弁28も閉塞する。このことによって、圧縮機8の停止中に冷却運転で使用しない凝縮器20へと余剰な冷媒を貯留する事ができるので、冷却運転中における冷媒量過多を防止することが可能となる。また、圧縮機8が停止するたびに毎回開閉弁28を開放することで、四方弁26で冷媒が漏れることによって凝縮器20へと冷媒が貯留され続けて冷媒不足状態に陥ることを防ぐことができる。
【0034】
なお、ホット/コールド切換室1を加温運転から冷却運転に切換えた時や高外気温度でのイニシャルプルダウン時など庫内の温度が高く、大きな冷凍能力を必要とする場合においては、圧縮機8の運転・停止にかかわらず常に開閉弁28を開放して、凝縮器20と圧縮機8の吸入側とを接続することで、全冷媒も冷却運転に利用できるので大きな冷凍能力を得る事ができ、プルダウン時間を短縮することが可能となる。
【0035】
また、ここで、空冷ダクト33を用いて、第二冷却ファン31の風を蒸発皿へと導くことで蒸発皿での蒸発能力を促進することができ、高湿度条件において除霜水が蒸発皿25から溢れることを防止することができる。
【0036】
次に、ホット/コールド切換室1を加温する場合、圧縮機8の吐出配管と凝縮器20とが連通し、凝縮器20と室外凝縮器7とが連通するよう四方弁26を動作し、圧縮機8を駆動する。圧縮機8から吐出された冷媒は、凝縮器20で一部が凝縮した後、抵抗器27で減圧された後にさらに再度室外凝縮器7で凝縮され、その後それぞれ膨張弁10、膨張弁11で減圧されて、第二の蒸発器5、第二の蒸発器6へ供給される。そして、第二の蒸発器5、第二の蒸発器6で蒸発した冷媒が圧縮機8へ還流する。また、コールド専用室2、第二のコールド専用室3の内所定の温度に達した貯蔵室は、当該する膨張弁10、膨張弁11を閉塞して冷媒の供給を停止する。さらに、すべての貯蔵室が所定の温度に達すると圧縮機8の運転を停止する。
【0037】
ここで、凝縮器20と室外凝縮器7との間に抵抗器27を設けて冷媒を減圧することで、凝縮器20と室外凝縮器7の凝縮温度に差をつけることができ、低外気時において室外凝縮器7の凝縮温度や凝縮圧力が下がった場合でも、凝縮器20は高い凝縮温度を維持することができ、ホット/コールド切換室1を効率よく加温する事ができるので、冬場に低外気温となる地域でも効率の高い加温運転を実施できる。
【0038】
さらに、抵抗器27として膨張弁を用いると、膨張弁以降の配管温度が庫内温度よりも低くなり熱負荷となることから、膨張弁を庫外のユニットベース24上に配置する必要があるので、凝縮器20と膨張弁とを接続する配管内に液冷媒が滞留し、冷媒量が増加するが、抵抗器27として細径管を用いることで凝縮器20以降の液冷媒が滞留する配管内容積を減少する事ができ、加温運転時の冷媒量を減少する事ができるので、冷却運転との冷媒量差を減少することが可能となる。さらに、膨張弁をユニットベース24上に設置する必要がなくなることからユニットベース24のコンパクト化が可能となる。
【0039】
ここで、第一冷却ファン30を停止しながら、圧縮機8の運転と同期して第二冷却ファン31のみを運転する。第二冷却ファン31からの風は空冷ダクト33によって圧縮機8に当たらずに蒸発皿25へと導かれるので、特にホット/コールド切換室1の加温負荷が大きい低外気温時に圧縮機8の冷却を停止して、圧縮機8から吐出される冷媒の温度をできるだけ高く保つことで凝縮器20の加温能力を高めることができるとともに、室外熱交換器7の凝縮能力を抑制することで冷媒量を少なくすることができ、冷却運転との冷媒量差を減少することができる。
【0040】
また、ユニットベース24上の中央に圧縮機8、室外凝縮器7を設置し、蒸発皿25と反対の外郭側に四方弁26、4方向切換弁29、開閉弁28を配置することで、第二冷却ファン31の風が空冷ダクト33によって蒸発皿25へと導かれるので、蒸発皿25と反対側の外郭に配置した四方弁26や圧縮機25の吐出配管に当たらないので、吐出配管が冷却されことによる加温効率の低下を防止できる。
【0041】
以上のように、本発明の自動販売機においては、ホット/コールド切換室を冷却する場合に圧縮機を停止し、高低圧をバランスさせる間に凝縮器と圧縮機の吸入側配管とを接続することにより、過剰な冷媒を凝縮器に貯留することが可能となり、加温運転との冷媒量差を解消することで、冷却運転時における冷媒量過多による圧縮機の信頼性低下を防ぐことができる。
【0042】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における自動販売機の冷媒回路図、図5は同実施の形態2の自動販売機の機械室の模式図、図6は冷却運転時における圧縮機、電磁弁の動作を示す図である。
【0043】
図4において、101は第1のホット/コールド切換室、102は第2のホット/コールド切換室、103はコールド専用室、104は第1のホット/コールド切換室内に設置された第1の蒸発器、105は第2のホット/コールド切換室内に設置された第2の蒸発器、106はコールド専用室3内に設置された第3の蒸発器、107は自動販売機下部の機械室に設置された室外凝縮器、108は圧縮機である。また、113は第1のキャピラリーチューブ、114は第2のキャピラリーチューブ、115は第3のキャピラリーチューブであり、通過する冷媒の圧力を低下させる機能を有する。また、129は室外凝縮器107の出口配管と各蒸発器とを接続する配管経路内に設けられ、冷媒を流入させる蒸発器を切替える四方向切替弁であり、120はホット/コールド切換室1内に設置された室内凝縮器であり、126は圧縮機から吐出される冷媒の流路切換機構である四方弁、127は室内凝縮器120と四方弁126とをつなぐ配管経路内に設置され、通過する冷媒の圧力を低下させる細径管からなる抵抗器、128は凝縮器120と圧縮機108の吸入側とを接続する配管経路内に設置した開閉可能な電磁弁である。
【0044】
また、図5において、124は自動販売機下部の機械室に設置され、室外凝縮器107、圧縮機108をその上に配置したユニットベース、125は第1の蒸発器104および第2の蒸発器105、第3の蒸発器106の除霜水を貯める蒸発皿、133は第一冷却ファン130から排出される外気を導いて圧縮機108を冷却するとともに、第二冷却ファン131から排出される外気を蒸発皿125内へと導く空冷ダクトである。ここで、室外凝縮器107、圧縮機108をユニットベース124の中央に配置し、蒸発皿125と反対側の外郭側に四方弁126ならびに電磁弁128、四方向切替弁129を配置している。
【0045】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における自動販売機について、以下その動作を説明する。
【0046】
第1のホット/コールド切換室101、第2のホット/コールド切換室102を冷却する場合、圧縮機108の吐出配管と室外凝縮器107とが連通するとともに室内凝縮器120の出入口が連通して閉ループとなるように四方弁126を動作して、圧縮機108を駆動する。圧縮機108から吐出された冷媒は、室外凝縮器107で凝縮された後、四方向切替弁129を通過して第1のキャピラリーチューブ113、第2のキャピラリーチューブ114、第3のキャピラリーチューブ115にて減圧され、第1の蒸発器104、第2の蒸発器105、第3の蒸発器106へと供給され、蒸発気化しそれぞれの貯蔵室を冷却した後に圧縮機108へ還流する。
【0047】
このとき、図6に示すように圧縮機108を停止し、高低圧をバランスさせている際に電磁弁128を開放して凝縮器120と圧縮機108の吸入配管とを連通し、高低圧がバランスした後に電磁弁128を閉塞する。このことによって、圧縮機108の停止中に冷却運転で使用しない室内凝縮器120へと余剰な冷媒を貯留する事ができるので、冷却運転中における冷媒量過多を防止することが可能となる。また、圧縮機108が停止するごとに毎回電磁弁128を開放してから閉塞することで、四方弁126で冷媒が漏れることによって室内凝縮器120へと冷媒が貯留され続けて冷媒不足状態に陥ることを防ぐことができる。
【0048】
なお、第1のホット/コールド切換室101を加温運転から冷却運転に切換えた時や高外気温度でのイニシャルプルダウン時など庫内の温度が高く、大きな冷凍能力を必要とする場合においては、圧縮機108の運転・停止にかかわらず常に電磁弁128を開放して、凝縮器120と圧縮機108の吸入側とを連通することで、封入した冷媒を全て冷却運転に利用できるので大きな冷凍能力を得る事ができ、プルダウン時間を短縮することが可能となる。また、この際には冷媒の蒸発温度とそれぞれの蒸発器で熱交換を行う庫内を循環する空気との温度差が大きくなることから通常運転時と比較して蒸発器の熱交換能力が高くなり、全冷媒を利用しても液冷媒が圧縮機へと還流するといった信頼性に関わる問題は発生しにくくなる。
【0049】
また、ここで、空冷ダクト133を用いて、第二冷却ファン131の風を蒸発皿へと導くことで蒸発皿での蒸発能力を促進することができ、高湿度条件において除霜水が蒸発皿125から溢れることを防止することができる。
【0050】
次に、第1のホット/コールド切換室101を加温し、第2のホット/コールド切換室102を冷却する場合、圧縮機108の吐出配管と室内凝縮器120とが連通し、室内凝縮器120と室外凝縮器107とが連通するよう四方弁126を動作し、圧縮機108を駆動する。圧縮機108から吐出された冷媒は、四方弁126を通過して室内凝縮器120へと向かい、室内凝縮器120で一部が凝縮した後、抵抗器127で減圧された後にさらに再度室外凝縮器107で凝縮され、その後四方向切替弁129を通過して第2の蒸発器105、第3の蒸発器106で蒸発気化し、庫内を冷却する。その後冷媒は圧縮機108へと還流する。
【0051】
ここで、室内凝縮器120と室外凝縮器107との間に抵抗器127を設けて冷媒を減圧することで、室内凝縮器120と室外凝縮器107の凝縮温度に差をつけることができ、低外気時において室外凝縮器7の凝縮温度や凝縮圧力が下がった場合でも、室内凝縮器120は高い凝縮温度を維持することができ、第1のホット/コールド切換室101を効率よく加温する事ができるので、冬場に低外気温となる地域でも効率の高い加温運転を実施できる。
【0052】
さらに、抵抗器127として膨張弁を用いると、膨張弁以降の配管温度が庫内温度より
も低くなり熱負荷となることから、膨張弁を庫外のユニットベース124上に配置する必要があるので、凝縮器120と膨張弁とを接続する配管内に液冷媒が滞留し、第1のホット/コールド切換室101を加温運転するときの冷媒量が増加し、冷却運転との冷媒量差は拡大するが、抵抗器127として細径管を用いることで室内凝縮器120以降の液冷媒が滞留する配管内容積を減少する事ができ、加温運転時の冷媒量を減少する事ができるので、冷却運転との冷媒量差を減少することが可能となる。さらに、膨張弁をユニットベース124上に設置する必要がなくなることからユニットベース124のコンパクト化が可能となる。
【0053】
ここで、第一冷却ファン130を停止しながら、圧縮機108の運転と同期して第二冷却ファン131のみを運転する。第二冷却ファン131からの風は空冷ダクト133によって圧縮機108に当たらずに蒸発皿125へと導かれるので、特にホット/コールド切換室101の加温負荷が大きい低外気温時に圧縮機108の冷却を停止して、圧縮機108から吐出される冷媒の温度をできるだけ高く保つことで凝縮器120の加温能力を高めることができるとともに、室外熱交換器107の凝縮能力を抑制することで冷媒量を少なくすることができ、冷却運転との冷媒量差を減少することができる。
【0054】
また、ユニットベース124上の中央に圧縮機108、室外凝縮器107を設置し、蒸発皿125と反対の外郭側に四方弁126、四方向切替弁129、電磁弁128を配置することで、第二冷却ファン131の風が空冷ダクト133によって蒸発皿125へと導かれるので、蒸発皿125と反対側の外郭に配置した四方弁126や圧縮機108の吐出配管に当たらないので、吐出配管が冷却されことによる加温効率の低下を防止できる。
【0055】
また、室外凝縮器107の出口配管に温度検知センサ135を設け、温度検知センサ135が所定の温度以上を検知すると、冷媒の循環量が多いと判断し、次回の圧縮機108停止時における開閉弁128の開放時間を前回よりも長くし、温度検知センサ135が所定の温度以下を検知すると冷媒不足と判断して、開閉弁128を開放すると共に次回の圧縮機108停止中における電磁弁128の開放時間を前回の時間よりも短くすることで室内凝縮器120へと貯留する冷媒量を適切な量へと制御することができる。
【0056】
以上のように、本発明の自動販売機においては、ホット/コールド切換室を冷却する場合に圧縮機を停止し、高低圧をバランスさせる間に凝縮器と圧縮機の吸入側配管とを接続することにより、過剰な冷媒を凝縮器に貯留することが可能となり、加温運転との冷媒量差を解消することで、冷却運転時における冷媒量過多による圧縮機の信頼性低下を防ぐことができる。
【0057】
(実施の形態3)
図7に実施の形態3における第1のホット/コールド切換室、第2のホット/コールド切換室を冷却する際の四方弁126、圧縮機108、四方向切替弁129の動作を示す。
【0058】
図7において、通常の冷却運転は実施の形態2と同じ動作で各貯蔵室の冷却を行い、各貯蔵室がそれぞれ冷却終了温度に達した時点で電磁弁128を閉じて四方弁126を圧縮機108の吐出配管と室内凝縮器120とが連通し、室内凝縮器120と室外凝縮器107とが連通するよう動作し、さらに第1の蒸発器104と室外凝縮器107とが連通するよう四方向切替弁129を切替える。そうすることで圧縮機108から吐出された冷媒は四方弁126を通過して室内凝縮器120へと向かい凝縮し、その後抵抗器127で減圧され四方弁126を通過した後に、室外凝縮器107にて再度凝縮され、四方向切替弁129を通過して第1の蒸発器104にて蒸発気化し、その後圧縮機108へと還流する。このように冷却運転の途中で四方弁126を切り替えて第1のホット/コールド切換室101を加温する際と同じ運転を行い、室内凝縮器120にて冷媒を凝縮させることで、実
施の形態2の高低圧バランス圧での貯留よりもより多量の冷媒を室内凝縮器120へと貯留することができることから加温運転と冷却運転との冷媒量差がさらに広くても冷却運転時における冷媒過多を防ぐことができる。そのことによって加温運転時に封入できる冷媒量を増加させることができ、冷媒量が増加することでより加温運転時における室内凝縮器120での凝縮温度を高めることができるので、室内凝縮器120での熱交換量を増大させることが可能となり、加温運転を行う際の効率を高めることができる。
【0059】
また、図4に示す室外凝縮器107と四方向切替弁129とを接続する配管上に設けた温度検知センサ135が所定の温度よりも高いと冷媒循環量が多いと判断し、次回冷却運転中に四方弁126を切り替えて加温運転を行うときの加温運転の時間を前回よりも長く行い、温度検知センサ135の温度が所定の温度よりも低い場合は貯留過多による冷媒不足と判断し、電磁弁128を即座に開放して室内凝縮器120へと貯留している冷媒を圧縮機108へと戻すと共に次回冷却運転中に四方弁126を切り替えて室内凝縮器120へと冷媒を貯留する時間を前回よりも短くすることで、適切な貯留量になるようコントロールすることが可能となる。
【0060】
図7において冷却運転中に四方弁126を切替えて加温運転を行う際に第1の蒸発器104にて冷媒を蒸発させるとしたが、その他の蒸発器で蒸発しても、室内凝縮器120へと冷媒を貯留させることは可能である。ただし、加温運転を行う時は室内凝縮器120で冷媒が凝縮することで第1のホット/コールド切換室101を加温することになり、熱負荷となるのでその影響を減少させるためにも第1の蒸発器104で蒸発させることが望ましい。
【0061】
さらに、室内凝縮器120と第1の蒸発器104をフィンを共有化させた一体型熱交換器にすると第1の蒸発器104で冷媒を蒸発することでフィンを共有する室内凝縮器120の熱交換能力が増大することから第1の凝縮器120での冷媒貯留量をさらに増大させることができると共に、2つの熱交換器を1つの熱交換器として取り扱うことができるのでユニット組み込み時や交換時における作業性を高めることができる。
【0062】
なお、四方弁126の代替として、圧縮機108の吐出配管と接続する室内凝縮器120と室外凝縮器107とを切替える2つの電磁弁と、室内凝縮器120と室外凝縮器107とを接続する配管経路内に設けた1つの電磁弁もしくは室内凝縮器120から室外凝縮器107方向のみへと冷媒が流れるように設けた逆止弁の構成であっても良い。
【0063】
また、室外凝縮器107の出口配管上に設けた温度検知センサ135の代替として各蒸発器に温度検知センサを設けて蒸発温度を検知しても良い。但し、蒸発器を切替えて冷却するために蒸発器の個数だけ温度検知センサが必要になることから、故障する確率やコストの面でも室外凝縮器107の出口配管に設けた方が良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかる自動販売機は、冷却運転時に凝縮器に冷媒を滞留することにより、加温運転との冷媒量差を解消することができるので、ホット飲料とコールド飲料を切換えて保存するショーケースなどで冷却と同時に加温運転するシステムにも適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1、101 第1のホット/コールド切換室
4、104 第1の蒸発器
5、105 第2の蒸発器
6、106 第3の蒸発器
7、107 室外凝縮器
8、108 圧縮機
20、102 室内凝縮器
24、124 ユニットベース
25、125 蒸発皿
26、126 四方弁
27、127 抵抗器
28、127 電磁弁
129 四方向切替弁
135 温度検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品収納庫を有し、前記商品収納庫の内少なくとも1室をコールド専用室とし、前記商品収納庫の内少なくとも1室をホット/コールド切換室とした自動販売機において、圧縮機と、前記ホット/コールド切換室内に設置された第1の蒸発器および室内凝縮器と、前記コールド専用室内に設置された第2の蒸発器と、前記商品収納庫の外に設置された室外凝縮器と、圧縮機から吐出される冷媒の流路切換機構と、前記室内凝縮器と前記圧縮機の吸入配管とを接続する配管経路内に設けた電磁弁とを備え、前記ホット/コールド切換室を冷却する場合には、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外凝縮器で凝縮させた後、前記第1の蒸発器と前記第2の蒸発器に供給するとともに、前記ホット/コールド切換室を加温する場合には、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室内凝縮器で一部を凝縮させた後、前記第2の蒸発器に冷媒を供給する自動販売機であり、前記ホット/コールド切換室を冷却する場合に、前記圧縮機の停止中に所定の時間前記電磁弁を開放した後に閉塞することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
ホット/コールド切換室の温度が所定の温度よりも高い場合は、凝縮器と圧縮機の吸入配管とを接続する配管経路内に設けた電磁弁を常に開放していることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
凝縮器と圧縮機から吐出される冷媒の流路切換機構とを接続する配管経路内に設けた細径管からなる抵抗器を用いたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機。
【請求項4】
第1の蒸発器ならびに第2の蒸発器からの除霜水を一時的に貯める蒸発皿と、室外凝縮器を空冷しながらその廃熱で前記蒸発皿に貯めた除霜水を蒸発させる空冷ファンとを備え、圧縮機ならびに室外凝縮器を商品収納庫下方に設けた機械室内に設置したユニットベース上の中心に配置し、前記蒸発皿をユニットベースの外郭側に配置し、前記蒸発皿と反対側の前記ユニットベースの外郭寄りに圧縮機から吐出される冷媒の流路切換機構、電磁弁を配置することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自動販売機。
【請求項5】
ホット/コールド切換室を冷却する場合に、流路切替機構を所定の間切替えて室内凝縮器で冷媒の一部を凝縮させることを特徴とした請求項1から4のいずれか一項に記載の自動販売機
【請求項6】
流路切替機構を切替えている間はホット/コールド切換室に設置している第1の蒸発器へと冷媒を流入させることを特徴とする請求項5に記載の自動販売機。
【請求項7】
ホット/コールド切換室に設置した室内凝縮器と第1の蒸発器とをフィンを共有した一体型熱交換器としたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の自動販売機。
【請求項8】
室外凝縮器に温度検知センサを取り付け、前記温度検知センサ温度が所定の温度よりも低い場合は、電磁弁を開放した後に、流路切替機構を前回よりも短い時間切替え、前記温度検知センサ温度が所定の温度よりも高い場合は、流路切替機構を再度所定の時間切替えることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−79881(P2010−79881A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170942(P2009−170942)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】