説明

自動販売機

【課題】決済処理装置が正常動作可能になるまでの立ち上がり時間において、販売情報にずれが生じないようにすることができる自動販売機を提供する。
【解決手段】自動販売機本体に収納された商品の販売動作を制御する自販機主制御部と、前記自販機主制御部と通信可能に設けられ、決済サービス情報が記録された記録媒体が所定の通信可能領域に保持された場合に、該記録媒体との間で決済処理を行う決済処理手段と、前記自販機主制御部と前記決済処理手段とのそれぞれに販売情報を記憶する販売記憶部とを備え、貨幣による商品販売が行われた際に自販機主制御部から決済処理手段に販売情報を送信するようにした自動販売機において、前記自販機主制御部は、電源が投入されてから前記決済処理手段が受付可能状態になるまで貨幣による販売を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーを搭載した非接触式のICカードや携帯電話等の記録媒体との間で決済処理を実施する自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨幣による現金の他、非接触式のICカードや携帯電話等の記録媒体との間で決済処理を実施する自動販売機として、自動販売機本体に決済処理装置(決済処理手段)を備えたものが知られている。このような自動販売機においては、決済処理装置の所定の通信可能領域に保持された記録媒体との間で決済が完了すると、その旨が決済処理装置から自販機主制御部に与えられ、自動販売機本体に収納する商品を搬出するようにしている。
【0003】
また、従前とおり、商品価格以上の貨幣が投入され、その後、商品が選択されると、自動販売機本体に収納する商品を搬出するようにしている。
このような自動販売機では、一販売毎に売上に関する販売情報を自動販売機本体側および決済処理装置側にて記憶し、精算を自動販売機管理者側と決済処理装置管理者側との間で行えるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−334829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記自動販売機本体と上記決済処理装置とでは、電源投入時から正常動作可能になるまでの立ち上がり時間、すなわち起動時間に差がある。
すなわち、決済処理装置は、電子マネー管理サーバと通信を行い、決済処理装置と電子マネー管理サーバとの間で正規の決済処理装置であるかの認証を行うため、自動販売機本体に比べて起動時間が長い傾向にある。
【0006】
また、複数の電子マネーサービスにて決済処理を行える決済処理装置の場合には、各電子マネー管理サーバと認証処理を行う必要があるため、決済処理装置の起動時間がさらに長くなる。
【0007】
このため、現状では、自動販売機本体が正常動作可能となり、貨幣の受付による商品販売が可能となるため、商品の販売を許可しているが、決済処理装置が受付可能状態になるまでに現金による販売が行われると、売上に関する販売情報を決済処理装置に送信できないため、自動販売機本体と決済処理装置との間で販売種別、コラム、金額、日時などの販売情報にずれが生じてしまい、自動販売機管理者側と決済処理装置管理者側との間で精算を行う際に、販売情報の整合性がとれない等の不都合が生ずるという問題があった。
【0008】
このように、販売情報にずれが生じるため、決済処理装置の通信を利用して、自動販売機管理者に情報を送信したいという要望にも応えられないのが現状であった。
本発明は、上記問題に鑑み、決済処理装置が正常動作可能になるまでの立ち上がり時間において、販売情報にずれが生じないようにすることができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、自動販売機本体に収納された商品の販売動作を制御する自販機主制御部と、前記自販機主制御部と通信可能に設けられ、決済サービス情報が記録された記録媒体が所定の通信可能領域に保持された場合に、該記録媒体との間で決済処理を行う決済処理手段と前記自販機主制御部と前記決済処理手段とのそれぞれに販売情報を記憶する販売記憶部とを備え、貨幣による商品販売が行われた際に自販機主制御部から決済処理手段に販売情報を送信するようにした自動販売機を対象とし、以下の構成により達成できる。
【0010】
前記自販機主制御部は、電源が投入されてから前記決済処理手段が受付可能状態になるまで貨幣による販売を禁止することを特徴とする。
前記自販機主制御部は、電源が投入されてから一定時間、貨幣による販売を禁止することを特徴とする。
【0011】
前記自販機主制御部は、電源が投入されてから前記決済処理手段が受付可能状態あるいは電源が投入されてから一定時間のいずれか一方が完了したことを条件に貨幣による販売禁止を解除することを特徴とする。
【0012】
前記自販機主制御部は、電源が投入されてから前記決済処理手段が受付可能状態になるまでに貨幣による販売が行われた際には、自販機主制御部側の販売記憶部に販売情報を記憶し、前記決済処理手段が受付可能状態となった時点で自販機主制御部から決済処理手段に販売情報を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の自動販売機によれば、自販機主制御部が、電源が投入されてから決済処理手段が受付可能状態になるまであるいは電源が投入されてから一定時間、貨幣による販売を禁止することにより、貨幣による販売情報を確実に決済処理手段に送信することが可能となるため、販売情報の整合性が得られる。
【0014】
また、電源が投入されてから決済処理手段が受付可能状態になるまであるいは電源が投入されてから一定時間いずれか一方が完了したことを条件に貨幣による販売禁止を解除するので、仮に決済処理手段の認証が長引いても、自動販売機の販売を開始することが可能となる。
【0015】
さらに、前記自販機主制御部は、電源が投入されてから前記決済処理手段が受付可能状態になるまでに貨幣による販売が行われた際には、自販機主制御部側の販売記憶部に販売情報を記憶し、前記決済処理手段が受付可能状態となった時点で自販機主制御部から決済処理手段に販売情報を送信することにより、貨幣による販売を早めることでき、かつ、決済処理手段に送信することが可能となるため、販売情報の整合性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である自動販売機の制御系を模式的に示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態である自動販売機の正面図である。
【図3】図3は、電子マネー決済サービスの初期設定における処理手順を示すシーケンス図である。
【図4】図4は、電子マネー決済サービスを使用した販売処理手順を示すシーケンス図である。
【図5】図5は、貨幣などの現金を使用した販売処理手順を示すシーケンス図である。
【図6】図6は、初期設定中における貨幣などの現金を使用した販売処理手順を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、初期設定中における貨幣などの現金を使用した販売処理手順の変形例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の実施の形態について詳細に説明する。
まず、図2は、本発明の実施の形態である自動販売機の正面図である。ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売するためのもので、本体キャビネット20を備えている。
【0018】
本体キャビネット20は、前面が開口した直方体状の断熱筐体として形成されたものである。この本体キャビネット20の内部には、図示しないが、複数の独立した商品収容庫が左右に並設してある。これら商品収容庫は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのものである。商品収容庫には、商品収納ラック、搬出機構及び搬出シュータが設けてある。商品収納ラックは、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。搬出機構は、商品収納ラックの下部に設けてあり、この商品収納ラックに収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータは、搬出機構から搬出された商品を後述する商品取出口29に導くためのものである。
【0019】
上記自動販売機には、本体キャビネット20の一側縁部に設けたヒンジ等により図示せぬ内扉及び外扉21がそれぞれ開閉可能となる態様で設けてある。内扉は、本体キャビネット20に設けた商品収容庫の前面を覆うに十分な大きさを有した断熱扉である。
【0020】
外扉21は、本体キャビネット1の前面開口を覆うに十分な大きさを有したものであり、本体キャビネット20の前面開口を閉成する場合には、自動販売機の前面を構成するものである。この外扉21には、その前面側に商品見本展示室22、商品選択ボタン23、硬貨投入口24、紙幣挿入口25、一体表示器26、決済処理装置(決済処理手段)30、返却レバー27、硬貨返却口28、商品取出口29が設けてある。
【0021】
商品見本展示室22は、外扉21の内部に配設された商品見本22aを利用者に視認させるためである。
商品選択ボタン23は、利用者が購入商品を選択するための押ボタンスイッチであり、商品見本展示室22を通じて視認される商品見本22a毎に設けてある。
【0022】
硬貨投入口24は、利用者が硬貨を投入するための開口である。
紙幣挿入口25は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。
一体表示器26は、貨幣の投入金額、販売中であるか否か、釣銭があるか否か等、各種情報を利用者に表示するための表示器である。
【0023】
返却レバー27は、利用者が投入した硬貨、紙幣を返却させるための返却レバー27である。
硬貨返却口28は、上記硬貨処理機において識別できなかった硬貨、あるいは釣銭となる硬貨を利用者に返却するための開口である。
【0024】
商品取出口29は、本体キャビネット20の内部から払い出された商品を利用者が受け取るための開口である。
決済処理装置30は、前面にアンテナ部32、電子マネー選択部33、表示部34を備えている。
【0025】
アンテナ部32は、利用者が所定のアクセス領域(通信可能領域)に電子マネー決済サービス情報が記録されたICカード等の記録媒体をかざすことで、ICカードのICチップに対して情報の読み書きが可能になるものである。
【0026】
電子マネー選択部33は、適用対象となる電子マネー決済サービス毎に例えば3つ設けられ、利用者が決済するマネーブランド選択を行うものである。
表示部34は、電子マネーによる商品の決済金額、利用者応答等を表示するものである。
【0027】
次に、図1の本発明の実施の形態である自動販売機の制御系を模式的に示すブロック図について説明すると、自販機主制御部10は、記憶部10aに記憶されたプログラム、記憶部10bに記憶されたデータにしたがって自動販売機の全体を統括して制御するものである。
【0028】
この自販機主制御部10には、商品搬出及び冷却加熱など制御する本体スレーブ11、各種投入された硬貨を識別する硬貨識別装置12、挿入された紙幣を識別する紙幣識別装置13、各種設定・確認操作を行うリモコン14、商品選択ボタン23、各種情報表示を行う一体表示器26、決済処理装置30、電源15が接続されている。
【0029】
決済処理装置30は、決済制御部31、アンテナ部32、電子マネー選択部33、表示部34、通信端末35からなり、アンテナ部32,電子マネー選択部33、表示部34、通信端末35は、それぞれ決済制御部31に接続されている。
【0030】
決済制御部31は、記憶部31aに記憶されたプログラムや記憶部31bに記憶されたデータにしたがって決済処理装置30の動作を統括的に制御するものである。
ここで複数の電子マネー決済サービスを適用することができる場合には、決済制御部31は、各電子マネーブランドの電子マネー決済サービス毎にマネーブランド制御部(図示せず)を備え、記憶部31aに記憶されたプログラムやデータ、自販機主制御部10から与えられた指令や情報にしたがって、決済処理の統括的な制御を行うものである。
また、決済制御部31は、通信端末35を介して、電子マネー決済サービス毎に設置されている電子マネー管理サーバ40と開局、閉局、締め管理に関する処理を行うものであり、開局処理にて、電子マネー決済サービスが使用可能となるものである。
【0031】
アンテナ部32は、所定のアクセス領域(通信可能領域)に電子マネー決済サービス情報が記録されたICカード50等の記録媒体が保持された場合に、ICカード50のICチップに対して情報の読み書きが可能になるものである。このアンテナ部32は、ICカード50が所定のアクセス領域に保持されると、ICカード50が保持された旨を信号として決済制御部31に与えるものである。本実施の形態においては記録媒体の一例としてICカード50を例示するが、本発明(の他の形態)においては、電子マネー決済サービスの情報が記録された携帯電話を記録媒体として適用しても良い。
【0032】
自販機主制御部10の記憶部10b、決済制御部の記憶部31bには、貨幣並びにICカード50における商品売上に関する販売情報、例えば、販売種別、コラム、金額、日時などを一販売毎に記憶するものである。
【0033】
図3は、電子マネー決済サービスの初期設定における処理手順を示すシーケンス図であり、電源立上げ時の初期設定の処理手順について説明する。
自動販売機の電源15がオンされると(SQ301)、自販機主制御部10からスタンバイ要求を決済制御部31に送信するとともに(SQ302)、自動販売機側では、販売準備のための初期化処理を行う(SQ303)。
【0034】
一方、スタンバイ要求を受けた決済制御部31では、電子マネー管理サーバ40へ電子マネーブランドの開局要求を送信すると(SQ304)、電子マネー管理サーバ40は正当な決済処理装置30であるかをチェックし、電子マネー管理サーバ40から鍵情報などを決済制御部31に送信し、開局状態となる(SQ305)。
【0035】
この開局処理は、電子マネーブランド毎に行うものである。
ここで、自販機主制御部10は、自動販売機側で対応可能な電子マネー決済サービスの電子マネーブランド集計テーブルが「3」であることを決済制御部31に送信する(SQ306)。
【0036】
この状態を受けて、決済制御部31は、利用可能な3種類の電子マネー決済サービスのマネーブランド毎に割り付けられた管理番号と管理番号に対応した電子マネーブランド情報を自販機主制御部10に送信する(SQ307)。
【0037】
自販機主制御部10では、この3種類の電子マネー決済サービスの電子マネーブランドを管理番号と管理番号に対応した電子マネーブランド情報とともに、記憶部10bの集計テーブルに割り当てる(SQ308)。
【0038】
記憶部10bの集計テーブルに正常に割り当てが完了すると、リモコン14により電子マネー決済サービスの価格設定など、電子マネー決済サービス関連するリモコン14の設定操作を行う。
【0039】
一方、自販機主制御部10から決済制御部31に対し、ICカード50の受付可を送信する(SQ309)。
このように、自販機主制御部10と決済制御部31との間で電子マネー決済サービスの電子マネーブランド数の整合を図ることにより、電子マネー決済サービスを利用することが可能となり、電源15が起動されてから決済制御部31が受付可能状態になるまでの間が受付処理中となる。
【0040】
次に、図4は、電子マネー決済サービスを使用した販売処理手順を示すシーケンス図であり、ICカード50を利用して商品を購入する販売処理手順について説明する。
販売待機状態において、商品選択ボタン23が押下されると(SQ401)、自販機主制御部10は、選択コラムと引落額とを決済制御部31に送信する(SQ402)とともに、自販機主制御部10では、選択された商品の商品選択ボタン23に内蔵される販売可能ランプ(図示せず)を点滅させ、一体表示器26にて金額表示を行う(SQ403)。
【0041】
次に、使用する電子マネー決済サービスのマネーブランドに対応する電子マネー選択部33が操作され(SQ404)、アンテナ部32の所定のアクセス領域に所定のICカード50がかざされると(SQ405)、ICカード50の検出、認証、残高の読込みをそれぞれ行うとともに、ICカード50の残高に対し、引落額の決済を行う(SQ406)。正常に決済が行われると、決済制御部31は自販機主制御部10に対し、購入日時、販売種別、金額、商品コラムなどの販売情報、販売依頼を送信するとともに(SQ407)、自販機主制御部10にて正常決済を確認した後、商品取出口28に商品の搬出とともに、残高表示が行われ(SQ408)、記憶部10bに販売情報を記憶させ(SQ409)、処理終了を決済制御部31に送信し(SQ410)、決済制御部31側でも記憶部31bに販売情報を記憶させ(SQ411)、一連の販売処理が終了する。
【0042】
次に、図5は、貨幣などの現金を使用した販売処理手順を示すシーケンス図であり、硬貨を用いて商品を購入する販売処理手順について説明する。
販売待機状態において、商品販売価格以上の硬貨が硬貨投入口24に投入されると(SQ501)、販売可能な商品選択ボタン23に内蔵される販売可能ランプ(図示せず)を点灯させるとともに、一体表示器26にて投入金額表示を行う(SQ502)。
【0043】
次に、商品選択ボタン23が押されると(SQ503)、商品取出口29に商品の搬出を行い、釣銭のある場合には釣銭を硬貨返却口28に払出す(SQ504)。
このときに、自販機主制御部10の記憶部10bに購入日時、販売種別、金額、商品コラムなどの販売情報を記憶させ(SQ505)、自販機主制御部10から決済制御部31にこの販売情報を送信し(SQ506)、この販売情報を決済制御部31の記憶部31bに記憶させて(SQ507)、一連の販売処理を終了する。
【0044】
図6は、初期設定中における貨幣などの現金を使用した販売処理手順を示すシーケンス図であり、上述した処理手順と同じ処理には同一の符号を付している。
初期設定中とは、図3に示すSQ301−SQ309の処理に係る時間であり、図6に示すように、電源15がオンされると(SQ301)、自動販売機側の初期化が完了しても(SQ303)、決済処理装置の初期設定が完了してICカード50受付可となるまでは、貨幣を受け付けないようにする(SQ601)。
【0045】
すなわち、硬貨投入に基づく処理を例にすると、硬貨投入口の硬貨が投入されても、そのまま硬貨返却口に返却し、一方、一体表示器に販売不可などの表示を行う。
その後、自販機主制御部20から決済処理制御部31に対しICカード50の受付可を送信し(SQ309)、決済処理制御部31が受付可能状態となって初期設定が完了した場合には、貨幣受付禁止を解除して貨幣などの販売を可能とする(SQ602)。
【0046】
この初期設定の完了に代えて、タイマにより電源15オンから一定時間を計測し、この一定時間内は貨幣を受け付けないようにし、一定時間経過後に貨幣による販売を許可するようにしてもよい。
【0047】
また、ICカード50受付可あるいは一定時間経過かいずれかの早い処理にて貨幣による販売を許可するようにしてもよい。
なお、一定時間は、初期設定にかかる時間と同等、若しくはそれ以上の長さを有するものである。
【0048】
上記のように、一定時間経過、ICカード50受付可あるいは一定時間経過かいずれかの早い処理にて貨幣による販売を許可することにより、決済処理装置の通信などの不具合が生じた場合でも一定時間が経過すれば、強制的に貨幣のみにて自動販売機の販売を許可することも可能となる。
【0049】
また貨幣による販売禁止は、通常の販売のみならず、テスト販売なども併せて禁止するものであり、この貨幣による販売禁止について、利用者への通常販売のみを禁止し、テスト販売は許可するように選択できるようにしてもよい。
【0050】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下に変形例について説明する。
上述した実施の形態では、自販機主制御部10が、電源が投入されてから決済処理装置30が受付可能状態になるまであるいは一定時間が経過するまで貨幣による販売を禁止していたが、本実施の形態においては、貨幣による販売を許可し、決済処理装置30が受付可能状態になるまであるいは一定時間が経過するまで自販機主制御部10の記憶部10bにて販売情報を記憶し、受付可能状態となった後あるいは一定時間経過後、決済処理装置30に対して記憶した販売情報を送信するものである。
【0051】
図7は、初期設定中における貨幣などの現金を使用した販売処理手順の変形例を示すシーケンス図であり、上述した処理手順と同じものには同一の符号を付している。
初期設定中とは、図3に示すSQ301−SQ309の処理に係る時間であり、図7に示すように、電源15がオンされ(SQ301)、自動販売機側の初期化が完了すると(SQ303)、貨幣による販売を許可する(SQ701)。
【0052】
商品販売価格以上の硬貨が硬貨投入口24に投入されると(SQ702)、販売可能な商品選択ボタン23に内蔵される販売可能ランプ(図示せず)を点灯させるとともに、一体表示器26にて投入金額表示を行う(SQ703)。
【0053】
次に、商品選択ボタン23が押されると(SQ704)、商品取出口29に商品の搬出を行い、釣銭のある場合には釣銭を硬貨返却口28に払出す(SQ705)。
このときに、自販機主制御部10の記憶部10bに購入日時、販売種別、金額、商品コラムなどの販売情報を記憶させる(SQ706)。
【0054】
その後、自販機主制御部10が決済制御部31に対しICカード50の受付可を送信し(SQ309)、決済制御部31が受付可能状態となると、自販機主制御部10の記憶部10aから販売情報を読み出し、決済制御部31に対して販売情報を送信する(SQ707)。
【0055】
決済制御部31では、販売情報を受信し、記憶部31aに記憶させて(SQ708)、今回の処理を終了する。
このように自販機主制御部10が、決済制御部31との初期設定中に、貨幣による商品の販売が行われた場合には、一旦、自販機主制御部10の記憶部10bのみで販売情報を記憶し、初期設定が完了した時点で決済制御部31に送信することにより、これにより自販機主制御部20と決済処理装置30との間で販売情報の整合性を確保することができる。
【0056】
この初期設定の完了に代えて、タイマにより電源15オンから一定時間を計測し、この一定時間内に貨幣による販売があれば、一定時間経過後に販売情報を自販機主制御部10から決済制御部31に送信するようにしてもよい。
【0057】
また、ICカード50受付可あるいは一定時間経過かいずれかの早い処理にて販売情報を自販機主制御部10から決済制御部31に送信するようにしてもよい。
なお、一定時間は、初期設定にかかる時間と同等、若しくはそれ以上の長さを有するものである。
【0058】
一定時間経過して送信できない場合には、リトライ可能とし、その間だけは販売禁止あるいは直近の数回分の販売情報のみを記憶し、送信可能な時点で送信するなど、種々の方式が考えられる。
【0059】
このように、決済処理装置30側に貨幣による販売情報を記憶させることで、決済処理装置30側の通信端末35を利用して自動販売機の管理センターに販売情報を送信するように構成すると、通信端末の共有化が図れ、装置全体として簡略化できる。
【符号の説明】
【0060】
10 自販機主制御部
10a,10b 記憶部
14 リモコン
15 電源
20 本体キャビネット
21 外扉
22 商品見本展示室
23 商品選択ボタン
26 一体表示器
30 決済処理装置
31 決済制御部
31a,31b 記憶部
32 アンテナ部
33 電子マネー選択部
34 表示部
40 電子マネー管理サーバ
50 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機本体に収納された商品の販売動作を制御する自販機主制御部と、前記自販機主制御部と通信可能に設けられ、決済サービス情報が記録された記録媒体が所定の通信可能領域に保持された場合に、該記録媒体との間で決済処理を行う決済処理手段と、前記自販機主制御部と前記決済処理手段とのそれぞれに販売情報を記憶する販売記憶部とを備え、貨幣による商品販売が行われた際に自販機主制御部から決済処理手段に販売情報を送信するようにした自動販売機において、
前記自販機主制御部は、電源が投入されてから前記決済処理手段が受付可能状態になるまで貨幣による販売を禁止することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
自動販売機本体に収納された商品の販売動作を制御する自販機主制御部と、前記自販機主制御部と通信可能に設けられ、決済サービス情報が記録された記録媒体が所定の通信可能領域に保持された場合に、該記録媒体との間で決済処理を行う決済処理手段と、前記自販機主制御部と前記決済処理手段とのそれぞれに販売情報を記憶する販売記憶部とを備え、貨幣による商品販売が行われた際に自販機主制御部から決済処理手段に販売情報を送信するようにした自動販売機において、
前記自販機主制御部は、電源が投入されてから一定時間、貨幣による販売を禁止することを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
自動販売機本体に収納された商品の販売動作を制御する自販機主制御部と、前記自販機主制御部と通信可能に設けられ、決済サービス情報が記録された記録媒体が所定の通信可能領域に保持された場合に、該記録媒体との間で決済処理を行う決済処理手段と、前記自販機主制御部と前記決済処理手段とのそれぞれに販売情報を記憶する販売記憶部とを備え、貨幣による商品販売が行われた際に自販機主制御部から決済処理手段に販売情報を送信するようにした自動販売機において、
前記自販機主制御部は、電源が投入されてから前記決済処理手段が受付可能状態あるいは電源が投入されてから一定時間いずれか一方が完了したことを条件に貨幣による販売禁止を解除することを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
自動販売機本体に収納された商品の販売動作を制御する自販機主制御部と、前記自販機主制御部と通信可能に設けられ、決済サービス情報が記録された記録媒体が所定の通信可能領域に保持された場合に、該記録媒体との間で決済処理を行う決済処理手段と、前記自販機主制御部と前記決済処理手段とのそれぞれに販売情報を記憶する販売記憶部とを備え、貨幣による商品販売が行われた際に自販機主制御部から決済処理手段に販売情報を送信するようにした自動販売機において、
前記自販機主制御部は、電源が投入されてから前記決済処理手段が受付可能状態になるまでに貨幣による販売が行われた際には、自販機主制御部側の販売記憶部に販売情報を記憶し、前記決済処理手段が受付可能状態となった時点で自販機主制御部から決済処理手段に販売情報を送信することを特徴とする自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−164980(P2011−164980A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27722(P2010−27722)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】