説明

自動車のガラスを清浄化するためのノズル装置

【課題】ノズル装置が廉価に製作可能であり、ほぼ任意の噴霧パターンをガラスに発生させることができるようにする。
【解決手段】通路溝23における底部27が、ノズル開口22から出発して、洗浄液の設定された流れ方向と逆方向で、通路溝23の、ノズルホルダ5の収容部21に隣接した側から離れる方向に所定の角度αだけ傾けられているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のガラスを清浄化するためのノズル装置であって、ノズルホルダの収容部内に取り付けられた、シールされたノズルボディと、ポイントジェットノズルとして形成された、液体の噴流を噴出するための少なくとも1つの洗浄ノズルとが設けられており、該洗浄ノズルが、通路溝と、該通路溝の一方の端部によって形成されたノズル開口とを有しており、通路溝が、ノズルボディ内に配置されていて、ノズルホルダの収容部の壁によって仕切られている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなノズル装置は、今日の自動車において、自動車の前照灯のレンズまたはフロントガラスおよびリヤガラスを清浄化するために頻繁に使用され、実際の使用から知られている。実際の使用から知られているノズル装置では、それぞれ1つのノズル開口に通じる、たとえば3つの通路溝がノズルボディ内に配置されている。これらの通路溝は、平面図で見て、ほぼ拡開されて配置されており、これによって、ガラスに対する洗浄液噴流の衝突点が一列に位置している。
【0003】
しかし、既知のノズル装置では、洗浄液噴流によってガラスに発生させられる噴霧パターンが、一列に位置する衝突点に制限されていることが欠点である。したがって、設定された面状の噴霧パターンは、通路溝の上方にまたは下方に別の列の通路溝を有する第2のノズルボディによってしか発生させることができない。しかし、このことは、既知のノズル装置の極めて高い製造コストに繋がる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のノズル装置を改良して、ノズル装置が廉価に製作可能であり、ほぼ任意の噴霧パターンをガラスに発生させることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために本発明の構成では、通路溝における底部が、ノズル開口から出発して、洗浄液の設定された流れ方向と逆方向で、通路溝の、ノズルホルダの収容部に隣接した側から離れる方向に所定の角度αだけ傾けられているようにした。
【発明の効果】
【0006】
この構成によって、通路溝が、ノズル開口に向かって減少する深さを有している。洗浄液噴流は通路溝の底部によっても変位させられるので、複数の洗浄ノズルの場合、ガラスに対する個々の洗浄液噴流の衝突点を、別の洗浄液噴流の衝突点の列から変位させることができる。これにより、本発明によるノズル装置によって、ほぼ任意の噴霧パターンを発生させることができる。さらに、本発明によるノズル装置は、噴霧パターンに適合された通路溝は別として、付加的な構成部材を要求しない。したがって、本発明によるノズル装置は特に廉価に製作することができる。
【0007】
ガラスに対する噴霧パターンの特に大きな多様性は、本発明の別の有利な構成によれば、2つのノズル開口の通路溝の底部が、それぞれ異なる大きさで傾けられていると簡単に発生させることができる。
【0008】
本発明によるノズル装置は、ノズルボディが、槽を有しており、複数の通路溝の底部が、槽に案内されていると構造的に特に簡単に形成されていて、極めて廉価に製造することができる。さらに、これによって、洗浄ノズルに均一に洗浄液が供給されることが確保される。
【0009】
洗浄液の流れにおける渦流発生は、本発明の別の有利な構成によれば、ノズルボディが、槽に案内された斜面を有していると簡単に回避することができる。
【0010】
個々の洗浄ノズルへの洗浄液の案内のさらなる均一化には、本発明の別の有利な構成によれば、ノズルホルダ内に配置された、洗浄液をノズルボディに案内するための通路が、槽にまで案内されていることが寄与する。
【0011】
本発明によるノズル装置内での渦流発生のさらなる減少には、ノズルボディにおける通路の角度αが、斜面の傾角にほぼ相当していることが寄与する。
【0012】
本発明によるノズル装置の組付けは、収容部が、ノズルボディを保持するための係止手段を有していると特に簡単にひいては廉価に行われる。
【0013】
洗浄液の凍結を回避するためには、ノズルボディが加熱エレメントを有していてもよい。しかし、このことは、ノズルボディの、手間のかかる電気的なコンタクティングを要求する。ノズルボディの、手間ひいてはコストのかかるコンタクティングは、本発明の別の有利な構成によれば、洗浄液を加熱するために設けられた加熱エレメントが、ノズルホルダ内に配置されていると簡単に回避することができる。
【0014】
本発明は数多くの構成を許容する。これらの構成の基本原理をさらに明確にするために、そのうちの1つを図面に示し、以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
【0016】
図1には、自動車に用いられるガラス洗浄装置1が示してある。このガラス洗浄装置1は、ガラス2の前方に配置された、洗浄液噴流4をガラス2に噴霧するためのノズル装置3を備えている。ガラス2は、前照灯のレンズまたはフロントガラスまたはリヤガラスであってよい。ノズル装置3は、洗浄液管路7に対する接続管片6を備えたノズルホルダ5を有している。洗浄液を洗浄液容器8から吸い込むポンプ9は、洗浄液をノズルホルダ5に圧送する。このノズルホルダ5は支承部10を介して、自動車のボディ部分11に取り付けられた保持部材12に枢着されている。さらに、ノズルホルダ5と保持部材12とは調整ねじ13を介して互いに結合されている。これによって、ノズルホルダ5の傾角ひいてはガラス2に対する洗浄液噴流4の衝突点を調整することができる。さらに、ノズルホルダ5は接続コンタクト14を有している。この接続コンタクト14は電気的な線路15を介して自動車のバッテリ16に接続されている。
【0017】
図2には、図1に示したノズル装置3が著しく拡大して斜視図で示してある。この場合、接続管片6が通路17を介して、図3および図4に詳しく示したノズルボディ18に接続されていることを認めることができる。接続コンタクト14に接続された加熱エレメント19は通路17に配置されていて、ノズルボディ18に供給された洗浄液を加熱するために働く。さらに、ノズルホルダ5が調整アーム20を有していることを認めることができる。この調整アーム20には、図1に示した調整ねじ13が枢着されている。
【0018】
図3には、図2に示したIII−III線に沿った、収容部21内に配置されたノズルボディ18を備えたノズルホルダの断面図が示してある。ノズルボディ18は、ノズル開口22に通じる複数の通路溝23を有している。これらの通路溝23は互いに異なる角度を成して配置されており、これによって、ノズル装置3から流出した、図1に示した洗浄液噴流4がガラス2のそれぞれ異なる箇所に衝突する。さらに、ノズルボディ18はシール縁部24を有している。このシール縁部24でノズルボディ18はノズルホルダ5の収容部21内にシールされている。通路溝23は、ノズル開口22から離れた端部に、フローボディ26を備えた槽25を有している。
【0019】
図4には、図3に示したノズルホルダ5の一部領域の断面図が、通路溝23の1つに沿ったIV−IV線に沿った断面図で示してある。この場合、通路溝23における底部27が、ノズル開口22から出発して、洗浄液の設定された流れ方向と逆方向で、通路溝23の、ノズルホルダ5の収容部21に隣接した側から離れる方向に所定の角度αだけ傾けられていることを認めることができる。ノズルホルダ5内に配置された通路17は、ノズルボディ18内に配置された槽25に開口している。この槽25から離れる方向に通路溝23が案内されている。洗浄液を案内するためには、槽が斜面28を有している。通路溝23の底部27の傾きは、図1に示した各洗浄液噴流4の傾角を規定する。図3に示した通路溝23はそれぞれ異なる角度αを有していて、これによって、図1に示したガラス2に対する設定された噴霧パターンを発生させる。ノズルボディ18は、このノズルボディ18における縁部29に背後から係合する係止手段30によってノズルホルダ5の収容部21内に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ガラスの前方に配置された本発明によるノズル装置を備えた、自動車に用いられるガラス洗浄装置を示す図である。
【図2】図1に示した本発明によるノズル装置を著しく拡大した斜視図である。
【図3】図2に示したIII−III線に沿ったノズル装置の断面図である。
【図4】図3に示したIV−IV線に沿ったノズル装置の断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ガラス洗浄装置、 2 ガラス、 3 ノズル装置、 4 洗浄液噴流、 5 ノズルホルダ、 6 接続管片、 7 洗浄液管路、 8 洗浄液容器、 9 ポンプ、 10 支承部、 11 ボディ部分、 12 保持部材、 13 調整ねじ、 14 接続コンタクト、 15 線路、 16 バッテリ、 17 通路、 18 ノズルボディ、 19 加熱エレメント、 20 調整アーム、 21 収容部、 22 ノズル開口、 23 通路溝、 24 シール縁部、 25 槽、 26 フローボディ、 27 底部、 28 斜面、 29 縁部、 30 係止手段、 α 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のガラスを清浄化するためのノズル装置であって、ノズルホルダの収容部内に取り付けられた、シールされたノズルボディと、ポイントジェットノズルとして形成された、液体の噴流を噴出するための少なくとも1つの洗浄ノズルとが設けられており、該洗浄ノズルが、通路溝と、該通路溝の一方の端部によって形成されたノズル開口とを有しており、通路溝が、ノズルボディ内に配置されていて、ノズルホルダの収容部の壁によって仕切られている形式のものにおいて、通路溝(23)における底部(27)が、ノズル開口(22)から出発して、洗浄液の設定された流れ方向と逆方向で、通路溝(23)の、ノズルホルダ(5)の収容部(21)に隣接した側から離れる方向に所定の角度αだけ傾けられていることを特徴とする、自動車のガラスを清浄化するためのノズル装置。
【請求項2】
2つのノズル開口(22)の通路溝(23)の底部(27)が、それぞれ異なる大きさで傾けられている、請求項1記載のノズル装置。
【請求項3】
ノズルボディ(18)が、槽(25)を有しており、複数の通路溝(23)の底部(27)が、槽(25)に案内されている、請求項1または2記載のノズル装置。
【請求項4】
ノズルボディ(18)が、槽(25)に案内された斜面(28)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のノズル装置。
【請求項5】
ノズルホルダ(5)内に配置された、洗浄液をノズルボディ(18)に案内するための通路(17)が、槽(25)にまで案内されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のノズル装置。
【請求項6】
ノズルボディ(18)における通路(17)の角度αが、斜面(28)の傾角にほぼ相当している、請求項1から5までのいずれか1項記載のノズル装置。
【請求項7】
収容部(21)が、ノズルボディ(18)を保持するための係止手段(30)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のノズル装置。
【請求項8】
洗浄液を加熱するために設けられた加熱エレメント(19)が、ノズルホルダ(5)内に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のノズル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−55594(P2007−55594A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221240(P2006−221240)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】