説明

自動車のジャッキ配設構造

【課題】リヤシート後方のデッドスペースを有効利用しつつ、クロスメンバおよびトランクボードを利用して、後突時のジャッキ取付け部のフロア変形の抑制とジャッキ飛散防止との両立を図ることができ、安全性を向上することができる自動車のジャッキ配設構造の提供を目的とする。
【解決手段】車体後部にジャッキ34を配設する自動車のジャッキ配設構造であって、リヤシート21と、リヤシート21後方に近接してリヤフロア1上部に設けられたクロスメンバ10と、前部がクロスメンバ10上に橋渡されるように設けられたトランクボード6,7とを備え、トンラクボード6の前端をクロスメンバ10より前方に延出6Aさせ、延出されたトランクボード6の下方で、かつリヤシート21とクロスメンバ10との間にジャッキ34を配設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体後部にジャッキを配設したような自動車のジャッキ配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にタイヤ交換時等に用いられるジャッキは、トランクルーム内のスペアタイヤパン側部などの車体後部に配設されるが、このジャッキは比較的大型であり、またスペアタイヤパン側部にはその他の工具が配設される関係上、このジャッキをスペアタイヤパン側部以外に配設することが要請されている。
【0003】
特許文献1には、シートとフロアパネルとの間のデッドスペースを有効利用して、ジャッキを配設したものが開示されているが、ジャッキの使用時には該ジャッキをフロアパネルとシートクッションとの間から取出す必要があるため、ジャッキの取出し操作性が悪い問題点があった。
【特許文献1】特開2002−160589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明は、リヤシート後方に近接してリヤフロア上部にクロスメンバを設け、前部がクロスメンバ上に橋渡されるトランクボードを有し、このトランクボードの前端をクロスメンバよりも前方に延出させ、延出させたトランクボードの下方で、かつリヤシートとクロスメンバとの間にジャッキを配設することにより、リヤシート後方のデッドスペースを有効利用しつつ、クロスメンバおよびトランクボードを利用して、後突時のジャッキ取付け部のフロア変形の抑制とジャッキ飛散防止との両立を図ることができ、安全性を向上することができる自動車のジャッキ配設構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明による自動車のジャッキ配設構造は、車体後部にジャッキを配設する自動車のジャッキ配設構造であって、リヤシートと、該リヤシート後方に近接してリヤフロア上部に設けられたクロスメンバと、前部が上記クロスメンバ上に橋渡されるように設けられたトランクボードとを備え、上記トンラクボードの前端をクロスメンバより前方に延出させ、延出されたトランクボードの下方で、かつリヤシートとクロスメンバとの間に上記ジャッキを配設したものである。
【0006】
上記構成によれば、リヤシート後方のデッドスペースを有効利用してジャッキを配設することができ、しかも、上述のクロスメンバは後突荷重に対する耐力が大きく、後突時に仮にクロスメンバよりもリヤ側が変形したとしても、該クロスメンバおよびそれよりもフロント側の変形が防止できるので、クロスメンバおよびトランクボードを利用して、後突時のジャッキ取付け部のフロア変形の抑制とジャッキ飛散防止との両立を図ることができ、安全性を向上することができる。
【0007】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの前部に対してその後部がオーバラップするようにリヤフロア下部に第2クロスメンバを設け、該第2クロスメンバ上のリヤフロアに上記ジャッキを固定するものである。
【0008】
上記構成によれば、リヤフロア上部のクロスメンバにより、サスペンション支持部の倒れ防止を図りつつ、リヤフロア上下両部の各クロスメンバにより、クロスメンバ全体の大型化を図ることができ、また第2クロスメンバによりジャッキ配設部の剛性向上を図ることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記リヤシートの中央後部から後方下部に傾斜して延び、上記第2クロスメンバ上のリヤフロアに取り付けられるセンタシートブラケットと、上記ジャッキをリヤフロア面から所定距離上方に離間して取付けられるジャッキ取付けブラケットとを備え、上記ジャッキのハンドルジョイントを、上記センタシートブラケットの傾斜部上方から、該センタシートブラケットを隔てたジャッキ取付けブラケットと反対側に突出させたものである。
【0010】
上記構成によれば、センタシートブラケットとジャッキとを平面視においてオーバラップさせ、ジャッキのコンパクトなレイアウトが可能になると共に、該ジャッキの着脱時にハンドルジョイントを操作して、ジャッキをリフトアップ、リフトダウンさせる際、センタシートブラケットよりも内方側(つまりジャッキ取付けブラケット側)に作業者が手を入れる必要がなく、作業時の安全性を確保することができる。またセンタシートブラケットは第2クロスメンバ上のリヤフロアに取付けられているので、該センタシートブラケットの支持剛性を確保することができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記ジャッキ取付けブラケットは、ジャッキが取付けられるリヤフロア面から所定距離上方に離間した取付け面と、ジャッキベースが当接させる縦壁面とを備えたものである。
【0012】
上記構成によれば、ジャッキ取付けブラケットの取付け面により、ハンドルジョイントのセンタシートブラケット傾斜部に対する確実なオーバラップ構造を確保することができ、また縦壁面によりジャッキの取付け構造の簡素化を図ることができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記ジャッキのハンドルジョイント位置を、センタシートブラケットの取付け部に対して前後方向にオフセットさせたものである。
上記構成によれば、シートの着脱時には、ジャッキを取外すことなく、シートブラケットの着脱が可能となるため、シートの着脱作業の容易化を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記ジャッキのハンドルジョイント位置を、センタシートブラケットの取付け部に対して車幅方向にオフセットさせたものである。
上記構成によれば、ジャッキのハンドルジョイント位置がセンタシートブラケットの取付け部に対して前後方向のみならず車幅方向にもオフセットしているので、センタシートブラケットをリヤフロアから取外す時、工具とハンドルジョイントとの干渉がなく、シートの着脱作業性をより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、リヤシート後方に近接してリヤフロア上部にクロスメンバを設け、前部がクロスメンバ上に橋渡されるトランクボードを有し、このトランクボードの前端をクロスメンバよりも前方に延出させ、延出させたトランクボードの下方で、かつリヤシートとクロスメンバとの間にジャッキを配設したので、リヤシート後方のデッドスペースを有効利用しつつ、クロスメンバおよびトランクボードを利用して、後突時のジャッキ取付け部のフロア変形の抑制とジャッキ飛散防止との両立を図ることができ、安全性を向上することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
クロスメンバおよびトランクボードを利用して、後突時のジャッキ取付け部のフロア変形の抑制と、ジャッキの飛散防止との両立を図るという目的を、車体後部にジャッキを配設する自動車のジャッキ配設構造であって、リヤシートと、リヤシート後方に近接してリヤフロア上部に設けられたクロスメンバと、前部がクロスメンバ上に橋渡されるように設けられたトランクボードとを備え、トンラクボードの前端をクロスメンバより前方に延出させ、延出されたトランクボードの下方で、かつリヤシートとクロスメンバとの間にジャッキを配設するという構成にて実現した。
【実施例】
【0017】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車のジャッキ配設構造を示すが、まず、図1、図2を参照して後部車体構造およびリヤシートの配設構造について説明する。
リヤシートの配設部から後端にかけて略水平に延びるリヤフロア1を設け、このリヤフロア1の後部にはスペアタイヤパン2を凹設している。
【0018】
上述のリヤフロア1の左右両側下部には車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのリヤサイドフレーム3,3を接合固定し、このリヤサイドフレーム3とリヤフロア1との間には同方向に延びる閉断面4を形成している。
【0019】
上述のリヤフロア1の上部には、スペアタイヤを格納するトランクボックス5を配設し、このトランクボックス5の上面側を、前後2分割構造のトランクボード6,7で開閉可能に覆っている。
【0020】
前側のトランクボード6と、後側のトランクボード7との上面はフルフラットになるように構成され、これらのトランクボード6,7の上方には荷室8が形成されている。なお、図中、9はリヤエンドトリムである。
【0021】
図1、図2に示すように、リヤシート後方に近接してリヤフロア1の上部には車幅方向に延びるクロスメンバ10が設けられている。このクロスメンバ10は車体剛性部材であって、該クロスメンバ10とリヤフロア1との間には車幅方向に延びる閉断面11が形成されている。
【0022】
上述のクロスメンバ10はその両端部にサイド部12を有し、サスペンション支持部の倒れ防止を図るものであるから、図3を参照して、その構造について説明する。
ホイールハウスアウタ13とホイールハウスインナ14とを接合してホイールハウス部を形成する一方、ホイールハウスインナ14の車室側にはサスタワー補強部材15を設けている。
【0023】
このサスタワー補強部材15の上部15aはホイールハウスアウタ13の縦壁部に接合され、中間部15bはホイールハウスインナ14の上面部に接合され、下部15cはホイールハウスインナ14の車室側に設けられたレインフォースメント16に接合されている。
【0024】
また、リヤフロア1とレインフォースメント16との間に斜交状に接合したコーナガセット17を設け、上述のクロスメンバ10のサイド部12を、コーナガセット17およびリヤフロア1に接合している。
【0025】
ここで、上述のホイールハウスインナ14の上面部とサスタワー補強部材15の中間部15bとの重合部には、リヤサスペンションのダンパ部材18の上端部が取付けられ、リヤフロア1の上部つまり車室側に設けたクロスメンバ10により、サスペンション支持部の倒れ防止を図るように構成している。
【0026】
さらに、上述のリヤフロア1の下部には、図1に示すように、クロスメンバ10の前部に対してその後部がオーバラップするように第2クロスメンバ19を設け、リヤフロア1の下面と第2クロスメンバ19との間には車幅方向に延びる閉断面20を形成している。この第2クロスメンバ19は左右のリヤサイドフレーム3,3間において車幅方向に延びる車体剛性部材である。
【0027】
ところで、図1に示すように、リヤフロア1上には左右のリヤシート21(但し、図面では右側のリヤシートのみを図示)が設けられている。このリヤシート21はシートクッション22と、シートバック23と、ヘッドレスト24とを備えている。シートバック23はパイプ状のシートバックフレーム25と、板状のシートバックフレーム26とで支持されている。
【0028】
また、上述の左右のリヤシート21は図2、図4に示すサイドシートブラケット27、センタシートブラケット28、サイドシートブラケット29の合計3個のブラケットにより、リヤフロア1に支持されるものである。
【0029】
左右両側に位置するサイドシートブラケット27,29は、リヤシート21の左右両側部から斜め下方に延び、剛性が高いリヤサイドフレーム3上のリヤフロア1に取付けられるものであり、中間部に位置するセンタシートブラケット28は、リヤシート21の中央後部から後方下方に傾斜して延び、剛性が高い上述の第2クロスメンバ19上のリヤフロア1に取付けられるものである。
【0030】
サイドシートブラケット29は図5に示すように、リヤフロア1に取付けられる取付け片29aと、この取付け片29aから斜め上方前方に立上るシート支持片29bとを一体形成したものである。なお、図5では右側のサイドシートブラケット29を図示したが、左側のサイドシートブラケット27はこの右側のサイドシートブラケット29と左右対称に形成されている。
【0031】
センタシートブラケット28は、取付け片30aとシート支持片30bとを有するメインブラケット30と、このメインブラケット30の上端部に一体的に取付けられたL字状断面の2つのサブブラケット31,32との合計3部材から構成されており、取付け片30aの前後2箇所をボルト、ナット等の取付け部材33,33を用いて、リヤフロア1に固定している。
【0032】
次に、ジャッキ配設構造について詳述する。
図6は図1の要部拡大側面図であって、前側のトランクボード6はその前部がクロスメンバ10上に橋渡されるように設けられており、この前側のトランクボード6の前端をクロスメンバ10よりも前方に延出させて、延出部6Aを一体形成している。
【0033】
そして、この延出部6Aの下方で、かつリヤシート21とクロスメンバ10との間にはジャッキ34を配設している。このジャッキ34は第2クロスメンバ19上のリヤフロア1にジャッキ取付けブラケット35を介して着脱可能に取付けられるものである。
【0034】
上述のジャッキ34は図7に平面図で示すように、ジャッキヘッド36と、ジャッキベース37(リフトアップしたジャッキ下端部となる部位)と、合計4つのリンク部材38,39,40,41と、一方のリンク部材38,39をジャッキヘッド36に枢支する枢軸42,42と、他方のリンク部材40,41をジャッキベース37に枢支する枢軸43,43と、各リンク部材の外端間を枢着つまり、リンク部材38,40の外端間、並びにリンク部材39,41の外端間を枢着するピン軸44,44と、ネジ棒45(図6参照)を回転させて、ジャッキ34をリフトアップ、リフトダウンさせるためのハンドルジョイント46とを備えている。
【0035】
上述のジャッキ取付けブラケット35はリヤフロア1に溶接固定されたもので、このジャッキ取付けブラケット35は図8に示すように、左右の側片35a,35bと、側片35a,35bの下端に屈曲形成されリヤフロア1に接合される下片35c,35dと、左右の側片35a,35b上端間を連結する上片35eと、この上片35eに膨出形成され上面がフラットに形成された取付け面35fと、上片35eの前部から上方に立上げ形成されジャッキベース37が当接させる縦壁面35gとを一体形成した剛性部材である。
【0036】
ここで、上述の取付け面35fはリヤフロア1の面から所定距離上方に離間するものであり、また該ジャッキ取付けブラケット35には、その機械的強度を向上させる目的で、複数のリブ47、段差部48、ビード49が一体形成されている。なお、上述の縦壁面35gには図9に示すように複数のビード49,49を一体形成してもよい。
【0037】
また上述の取付け面35fには開口部50を形成すると共に、この開口部50と対応して取付け面35fの下面には図6に示すようにナット51を予め溶接固定している。
【0038】
上述のジャッキ34におけるジャッキヘッド36には、図6に示すように、該ジャッキ34を横向きにしてジャッキ取付けブラケット35に取付けるために、ハンドル52および鍔53付きのボルト54を挿通する凹部36aが形成されており、ジャッキ34を取付けブラケット35に取付ける場合には、まず、ジャッキ34を横向きにし、この状態のジャッキ34を取付けブラケット35の取付け面35fに上載し、次にハンドル52付きのボルト54を該ブラケット35のナット51に締付け、次にハンドルジョイント46を操作して、ジャッキ34のパンタグラフ機構を伸長させてジャッキベース37のテンションを縦壁面35gに付勢すると、ジャッキ34を、取付けブラケット35に固定することができる。
【0039】
ジャッキ34が取付けブラケット35に固定された状態下において、図7に平面図で示すように、該ジャッキ34のハンドルジョイント46は、センタシートブラケット28の傾斜部上方から、該センタシートブラケット28を隔てたジャッキ取付けブラケット35と反対側つまり車幅方向の内方側へ突出するものである。
【0040】
また、上述のジャッキ固定状態下において、ジャッキ34のハンドルジョイント46の位置は、センタシートブラケット28の取付け部(取付け部材33,33の位置参照)に対して車両の前後方向および車幅方向の双方にオフセットさせており、センタシートブラケット28をリヤフロア1から取外して、シート21を取出す時、トルクレンチなどの工具がハンドルジョイント46と干渉しないように構成している。
【0041】
このように、上記実施例の自動車のジャッキ配設構造は、車体後部にジャッキ34を配設する自動車のジャッキ配設構造であって、リヤシート21と、該リヤシート21の後方に近接してリヤフロア1上部に設けられたクロスメンバ10と、前部が上記クロスメンバ10上に橋渡されるように設けられたトランクボード6,7とを備え、上記トンラクボード6,7の前端をクロスメンバ10より前方に延出させ、延出されたトランクボード(延出部6A参照)の下方で、かつリヤシート21とクロスメンバ10との間に上記ジャッキ34を配設したものである。
【0042】
この構成によれば、リヤシート21後方のデッドスペースを有効利用してジャッキ34を配設することができ、しかも、上述のクロスメンバ10は後突荷重に対する耐力が大きく、後突時に仮にクロスメンバ10よりもリヤ側が変形したとしても、該クロスメンバ10およびそれよりもフロント側の変形が防止できるので、クロスメンバ10およびトランクボード6を利用して、後突時のジャッキ取付け部のフロア変形の抑制とジャッキ飛散防止との両立を図ることができ、安全性を向上することができる。
【0043】
また、上記クロスメンバ10の前部に対してその後部がオーバラップするようにリヤフロア1の下部に第2クロスメンバ19を設け、該第2クロスメンバ19上のリヤフロア1に上記ジャッキ34を固定するものである。
【0044】
この構成によれば、リヤフロア1上部のクロスメンバ10により、サスペンション支持部の倒れ防止を図りつつ、リヤフロア1の上下両部の各クロスメンバ10,19により、クロスメンバ全体の大型化を図ることができ、また第2クロスメンバ19によりジャッキ34配設部の剛性向上を図ることができる。
【0045】
さらに、上記リヤシート21の中央後部から後方下部に傾斜して延び、上記第2クロスメンバ19上のリヤフロア1に取り付けられるセンタシートブラケット28と、上記ジャッキ34をリヤフロア1面から所定距離上方に離間して取付けるジャッキ取付けブラケット35とを備え、上記ジャッキ34のハンドルジョイント46を、上記センタシートブラケット28の傾斜部上方から、該センタシートブラケット28を隔てたジャッキ取付けブラケット35を反対側に突出させたものである。
【0046】
この構成によれば、センタシートブラケット28とジャッキ34とを平面視においてオーバラップさせ、ジャッキ34のコンパクトなレイアウトが可能になると共に、該ジャッキ34の着脱時にハンドルジョイント46を操作して、ジャッキ34をリフトアップ、リフトダウンさせる際、センタシートブラケット28よりも内方側(つまりジャッキ取付けブラケット35側)に作業者が手を入れる必要がなく、作業時の安全性を確保することができる。またセンタシートブラケット28は第2クロスメンバ19上のリヤフロア1に取付けられているので、該センタシートブラケット28の支持剛性を確保することができる。
【0047】
加えて、上記ジャッキ取付けブラケット35は、ジャッキ34が取付けられるリヤフロア1面から所定距離上方に離間した取付け面35fと、ジャッキベース37が当接させる縦壁面35gとを備えたものである。
【0048】
この構成によれば、ジャッキ取付けブラケット35の取付け面35fにより、ハンドルジョイント46のセンタシートブラケット28傾斜部に対する確実なオーバラップ構造を確保することができ、また縦壁面35gによりジャッキ34の取付け構造の簡素化を図ることができる。
【0049】
また、上記ジャッキ34のハンドルジョイント46の位置を、センタシートブラケット28の取付け部(取付け部材33,33の位置参照)に対して前後方向にオフセットさせたものである。
【0050】
この構成によれば、リヤシート21の着脱時には、ジャッキ34を取外すことなく、シートブラケット27,28,29の着脱が可能となるため、リヤシート21の着脱作業の容易化を図ることができる。
【0051】
さらに、上記ジャッキ34のハンドルジョイント46の位置を、センタシートブラケット28の取付け部に対して車幅方向にオフセットさせたものである。
【0052】
この構成によれば、ジャッキ34のハンドルジョイント46の位置がセンタシートブラケット28の取付け部に対して前後方向のみならず車幅方向にもオフセットしているので、センタシートブラケット28をリヤフロア1から取外す時、工具とハンドルジョイント46との干渉がなく、リヤシート21の着脱作業性をより一層向上させることができる。
【0053】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のセンタシートブラケット28の取付け部は、実施例の取付け部材33,33による取付け部に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の自動車のジャッキ配設構造を示す側面図
【図2】トランクボードおよびトランクボックスを取外した状態で示す図1の斜視図
【図3】クロスメンバによるサスペンション支持部の倒れ防止構造を示す断面図
【図4】トランクボードを取付けた状態で示す要部の平面図
【図5】図4の要部の斜視図
【図6】図1の要部拡大側面図
【図7】ジャッキを取付けた状態で示す要部の平面図
【図8】ジャッキ取付けブラケットの斜視図
【図9】ジャッキ取付けブラケットの他の実施例を示す斜視図
【符号の説明】
【0055】
1…リヤフロア
6,7…トランクボード
10…クロスメンバ
19…第2クロスメンバ
21…リヤシート
28…センタシートブラケット
34…ジャッキ
35…ジャッキ取付けブラケット
35f…取付け面
35g…縦壁面
37…ジャッキベース
46…ハンドルジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部にジャッキを配設する自動車のジャッキ配設構造であって、
リヤシートと、
該リヤシート後方に近接してリヤフロア上部に設けられたクロスメンバと、
前部が上記クロスメンバ上に橋渡されるように設けられたトランクボードとを備え、
上記トンラクボードの前端をクロスメンバより前方に延出させ、延出されたトランクボードの下方で、
かつリヤシートとクロスメンバとの間に上記ジャッキを配設した
自動車のジャッキ配設構造。
【請求項2】
上記クロスメンバの前部に対してその後部がオーバラップするようにリヤフロア下部に第2クロスメンバを設け、
該第2クロスメンバ上のリヤフロアに上記ジャッキを固定する
請求項1記載の自動車のジャッキ配設構造。
【請求項3】
上記リヤシートの中央後部から後方下部に傾斜して延び、上記第2クロスメンバ上のリヤフロアに取り付けられるセンタシートブラケットと、
上記ジャッキをリヤフロア面から所定距離上方に離間して取付けるジャッキ取付けブラケットとを備え、
上記ジャッキのハンドルジョイントを、上記センタシートブラケットの傾斜部上方から、該センタシートブラケットを隔てたジャッキ取付けブラケットと反対側に突出させた
請求項2記載の自動車のジャッキ配設構造。
【請求項4】
上記ジャッキ取付けブラケットは、ジャッキが取付けられるリヤフロア面から所定距離上方に離間した取付け面と、
ジャッキベースが当接させる縦壁面とを備えた
請求項3記載の自動車のジャッキ配設構造。
【請求項5】
上記ジャッキのハンドルジョイント位置を、センタシートブラケットの取付け部に対して前後方向にオフセットさせた
請求項3または4記載の自動車のジャッキ配設構造。
【請求項6】
上記ジャッキのハンドルジョイント位置を、センタシートブラケットの取付け部に対して車幅方向にオフセットさせた
請求項5記載の自動車のジャッキ配設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−131080(P2007−131080A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324521(P2005−324521)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】