説明

自動車の後部構造

【課題】水濡れ荷物の乾燥を促進しつつ、その水濡れ荷物から落下した水雫によりトランクルーム8のフロアが濡れるのを防止する。
【解決手段】自動車1の後部のトランクルーム8に配設され、乗員室10及びトランクルーム8内の空気を車外へ排出するエキストラクタと、上下方向に貫通する網目状の貫通孔を有する網目状部(ネット部材47)を含むトノボード9と、トノボード9の網目状部の下方でかつトランクルーム8のフロアの上方に配設され、該網目状部に置かれた水濡れ荷物から網目状部を通って落下する水雫を受ける水受け部材51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車後部のトランクルームと乗員室とを区画するトノボードを備えた自動車の後部構造に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車後部のトランクルームと乗員室との間にトノボードを設けることは、よく知られている。また、このトノボードに、上下方向に貫通する網目状の貫通孔を有する網目状部を設けるようにすることも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、例えば特許文献2には、トランクルームのフロアに下方に凹むように設けた収納凹部を開閉可能に覆うフロアボードを立ち上げて、トノボードの機能を持たせるように構成し、このトノボードとして機能するフロアボードに網目状部を設けることが開示されている。
【0004】
さらに、例えば特許文献3には、車両の後部に、車内の空気を車外へ排出するエキストラクタを配設することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−8339号公報
【特許文献2】特開2008−87503号公報
【特許文献3】特開2006−96216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近時においてはSUV(Sport Utility Vehicle:スポーツ多目的車)等の自動車が増えつつあり、このような自動車のトランクには、水に濡れた荷物(スイムウエアやマリンスポーツ用品等)が積まれる場合が多くある。
【0007】
そこで、トノボードに上記のような網目状部を設けて、その網目状部に水濡れ荷物を置くようにすれば、その水濡れ荷物の乾燥を促進することができるようになる。すなわち、トランクルームに、乗員室及びトランクルーム内の空気を車外へ排出するエキストラクタを配設すれば、乗員室へ吹き出された空調空気は、上記網目状部を通って、トランクルームに流入し、そこからエキストラクタを介して車外へ排出される。このように空気が網目状部を通って流れるので、その空気流により水濡れ荷物を早期に乾燥させることができるようになる。
【0008】
しかし、水濡れ荷物を網目状部に置くと、水濡れ荷物から網目状部を通って水雫がトランクルームのフロアに落下するため、該フロアが濡れてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水濡れ荷物の乾燥を促進しつつ、その水濡れ荷物から落下した水雫によりトランクルームのフロアが濡れるのを防止しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、自動車の後部構造として、自動車後部のトランクルームに配設され、乗員室及び該トランクルーム内の空気を車外へ排出するエキストラクタと、上記トランクルームの上方に位置して該トランクルームと上記乗員室とを区画するとともに、上下方向に貫通する網目状の貫通孔を有する網目状部を含むトノボードと、上記トノボードの網目状部の下方でかつ上記トランクルームのフロアの上方に配設され、該網目状部に置かれた水濡れ荷物から網目状部を通って落下する水雫を受ける水受け部材と、を備える構成とした。
【0011】
上記の構成により、水濡れ荷物を網目状部に置く(但し、全ての貫通孔を塞がないようにする)ことで、その網目状部を乗員室側からトランクルーム側へ通過してエキストラクタを介して車外へ排出される空気流によって、その水濡れ荷物を早期に乾燥させることが可能になる。一方、水濡れ荷物から落下した水雫は、網目状部を通ってトランクルーム側へ落下していくが、トランクルームのフロアに到達する前に、水受け部材により受け止められる。したがって、水濡れ荷物から落下した水雫によりトランクルームのフロアが濡れるようなことはない。
【0012】
上記水受け部材には、該水受け部材を上記トノボードに取り付けるための取付部材が設けられていることが好ましい。
【0013】
すなわち、水濡れ荷物を網目状部に置いている際には、網目状部から水雫が落ちてくるため、水受け部材と網目状部との間に、水に濡れていない通常の荷物を置くことができなくなる。ここで、水受け部材を例えばトランクルームのフロアの上面に置けば、水受け部材と網目状部との間のスペース、つまり水濡れ荷物を網目状部に置いている際に通常の荷物を置くことができないスペースが大きくなって、その分だけ、通常の荷物を置くことができるスペースが小さくなってしまう。しかし、水受け部材をトノボードに取り付るようにすれば、水濡れ荷物を網目状部に置いている際に、水受け部材とトランクルームのフロアとの間に、通常の荷物を収容するための大きなスペースを確保することができる。
【0014】
上記取付部材は、上記水受け部材を上記トノボードに対して隙間をあけて取り付けるように構成されていることが好ましい。
【0015】
このことにより、水受け部材をトノボードに取り付けたときにおいて、水受け部材とトノボードとの間に隙間が存在することで、網目状部を空気が確実に流れるようになる。また、隙間の大きさを調整して、網目状部を流れる空気流の速度を高速にすることができ、水濡れ荷物の乾燥性能を向上させることができる。
【0016】
上記水受け部材は、上記トノボードに取り付けられた状態と、荷物を収容するトランクボックスとして上記トランクルームのフロアに設置された状態とに切り替え可能に構成されていることが好ましい。
【0017】
これにより、網目状部に水濡れ荷物を置かないときには、水受け部材を、トランクルームのフロアに設置されたトランクボックスとして使用することが可能になる。このトランクボックスには、水濡れ荷物を置くことも可能であり、水に濡れていない通常の荷物を置くことも可能である。よって、水受け部材の多様な利用パターンを許容して、乗員の利便性を向上させることができる。
【0018】
上記水受け部材は、上記トランクルームの左右両側の側壁、又は、該トランクルームの前方に位置するシートのシートバックの背面に支持されるようにしてもよい。
【0019】
こうすることで、多量の水が溜まった場合の水受け部材の支持性能を、水受け部材をトノボードに取り付ける場合に比べて向上させることができる。また、水受け部材の支持高さ位置の自由度が向上する。特に、水受け部材をトノボードの近傍に配設することで、水受け部材をトノボードに取り付ける場合と同様に、水濡れ荷物を網目状部に置いている際に、通常の荷物を収容するための大きなスペースを確保することができる。
【0020】
上記自動車の後部構造においては、上記水受け部材は、上側に開口を有するボックス状をなしていることが好ましい。
【0021】
このことで、水受け部材により、水濡れ荷物から落下した水雫を確実に受けて溜めておくことができる。また、自動車の加減速時やカーブ走行時における前方や後方、側方への加速度により、水受け部材に溜めた水が水受け部材の外側へ流れ出ようとしても、その流出を防止することができる。また、自動車を上り斜面や下り斜面、横斜面に駐車したとしても、水受け部材に溜めた水がこぼれるようなことはない。
【0022】
上記自動車の後部構造においては、上記水受け部材は、上方から見て、上記網目状部の全領域と重なっていることが好ましい。
【0023】
このことにより、水濡れ荷物を網目状部のどこに置いても、その下方に水受け部材が存在するので、水濡れ荷物から落下した水雫によりトランクルームのフロアが濡れるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の自動車の後部構造によると、自動車後部のトランクルームに配設されたエキストラクタと、網目状部を含むトノボードと、このトノボードの網目状部の下方でかつトランクルームのフロアの上方に配設され、該網目状部に置かれた水濡れ荷物から網目状部を通って落下する水雫を受ける水受け部材とを備えたことにより、水濡れ荷物を網目状部に置くことで該水濡れ荷物の乾燥を促進しつつ、その水濡れ荷物から落下した水雫によりトランクルームのフロアが濡れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態1に係る後部構造が適用された自動車の後部を示す概略断面図である。
【図2】上記自動車の後部の車体及びトリム類の構成を示す分解斜視図である。
【図3】上記自動車の後部を示す斜視図である。
【図4】トノボード及び水受け部材の構成を示す分解斜視図である。
【図5】蓋部材を開状態にしたときの蝶番周辺の構成を示す断面斜視図である。
【図6】図4のVI−VI線相当の断面図である。
【図7】トノボードの変形例を示す断面図である。
【図8】実施形態2を示す図1相当図である。
【図9】実施形態2における自動車の後部を示す斜視図である。
【図10】実施形態2におけるトノボードを示す斜視図である。
【図11】図9のXI−XI線断面図である。
【図12】実施形態3を示す図1相当図である。
【図13】実施形態3における自動車の後部を示す分解斜視図である。
【図14】図13のXIV−XIV線相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る後部構造が適用された自動車1の後部を示す。この自動車1は、ハッチバックタイプであって、該自動車1の後面の開口部2(図2参照)を閉じるリフトゲート3が設けられている。このリフトゲート3は、その上端部において、ヒンジ軸4回りに回動可能に支持されている。このヒンジ軸4は、ルーフパネル5の後端部におけるリヤヘッダー6の後端部に相当する部分に設けられている。このようにリフトゲート3は、ヒンジ軸4回りの回動により、上記開口部2を開閉する。このリフトゲート3は、上部にウインド開口3bを有する本体部3aと、該ウインド開口3bに設けられたウインドガラス3cと、ウインド開口3bの上縁に設けられたリヤスポイラー3dとを有している。本発明が適用される自動車1はハッチバックタイプに限らず、トランクルームを備えた自動車1であれば、どのようなタイプであってもよい。尚、本明細書でいう前、後、左及び右は、それぞれ自動車1の前、後、左及び右のことである。
【0028】
上記自動車1の後部における後席シート7の後側にトランクルーム8が配設されている。そして、上記リフトゲート3を開くことによって、トランクルーム8が上記開口部2を通じて後方に開放され、トランクルーム8に対して開口部2を介して荷物の出し入れが可能になる。トランクルーム8の上方には、トランクルーム8と乗員室10とを区画するトノボード9(図1及び図3参照)が配設されている。このトノボード9の左右両端部は、後述の左右のホイルハウストリム25の上部に形成された段部25a(図2及び図3参照)にそれぞれ載置されるようになっている。
【0029】
図2に示すように、上記トランクルーム8の左右両側の側壁は、左右のホイールハウスインナパネル11(後述のホイルハウストリム25を含む)でそれぞれ構成されている。各ホイールハウスインナパネル11は、その車幅方向外側に配設されたホイールハウスアウタパネル12と共に、後輪13のホイールハウスを構成する。各ホイールハウスアウタパネル12の車幅方向外側が、自動車1の車体の側部を構成するサイドアウタパネル14により覆われ、このサイドアウタパネル14のホイールハウスに対応する部分とホイールハウスアウタパネル12との下端部が互いに結合されている。
【0030】
上記トランクルーム8の後壁の下部は、リヤエンドパネル15(図1及び図2参照)により構成されている。このリヤエンドパネル15の上端は、上記開口部2の下縁とされていて、リフトゲート3の本体部3aの下端部に設けられた不図示のラッチ機構と係合するストライカー16を有している。このリヤエンドパネル15の上端及びその近傍部は、リヤエンドメンバ17により補強されている。また、トランクルーム8の後壁の上部は、リフトゲート3の本体部3aにおけるウインド開口3bよりも下側部分により構成されている。
【0031】
上記リヤエンドパネル15の後方には、リヤバンパー19が配設されている。このリヤバンパー19のレインフォースメント19a(図1にのみ示す)が、左右のリヤサイドフレーム20(図1及び図2参照)に、該各リヤサイドフレーム20の後端に設けたクラッシュカン21(図1にのみ示す)を介して固定されている。
【0032】
左側のサイドアウタパネル14の後端部における下部(リヤバンパー19の左側端部により覆われる部分)には、乗員室10及びトランクルーム8内の空気を車外へ排出するエキストラクタ81(図2及び図3参照)を取り付けるためのエキストラクタ取付孔22(図1及び図2参照)が形成されている。このエキストラクタ取付孔22はトランクルーム8と連通しており、このことで、エキストラクタ81はトランクルーム8に配設されることになる。このエキストラクタ81は、図2に示すように、エキストラクタ取付孔22に嵌め込まれる樹脂製の枠状部材82と、この枠状部材82の内側部分に相当する開口を覆うように枠状部材82に取り付けられた、可撓性のシート部材からなる遮断弁83とを有している。この遮断弁83は、枠状部材82の開口及びエキストラクタ取付孔22を介して車内から車外への空気の排出を許容する一方、車外から車内への空気の流入を遮断するワンウェイ構造(逆止弁)に構成されている。
【0033】
図2に示すように、上記各ホイールハウスインナパネル11の車幅方向内側(トランクルーム8側)には、ホイールハウスインナパネル11を覆うホイルハウストリム25が取り付けられている。左側のホイルハウストリム25は、上記エキストラクタ取付孔22を覆うが、ホイルハウストリム25におけるエキストラクタ取付孔22(エキストラクタ81)に対向する部分には、複数の通気用スリット孔25cが形成されていて、トランクルーム8からエキストラクタ取付孔22(エキストラクタ81)への空気の流通は可能になされている。また、上記リヤエンドパネル15の前側(トランクルーム8側)には、リヤエンドパネル15を覆うトランクエンドトリム26(図1参照)が取り付けられている。さらに、リフトゲート3の本体部3aにおけるウインド開口3bよりも下側部分の前側(トランクルーム8側)には、当該部分を覆うリフトゲートトリム27(図1参照)が取り付けられている。尚、図2では、リフトゲート3、トノボード9、後述のカーペット43等の記載を省略している。
【0034】
上記左右のリヤサイドフレーム20の上面には、トランクルーム8のフロアを構成するフロアパネル30が固定されている。このフロアパネル30の下面における、後席シート7の前端部及び下端部並びにトランクルーム8の前後方向中央部に対応する部分には、それぞれ車幅方向に延びるクロスメンバー31が固定されている。これらクロスメンバー31の両端部は、ぞれぞれ左右のリヤサイドフレーム20に固定されている。フロアパネル30の後端部における、左右のリヤサイドフレーム20と最後部のクロスメンバー31とで囲まれる部分は、下側に凹んでいて、上記リヤエンドパネル15と共に、平面視で略矩形状のリヤフロアパン32を構成している。尚、フロアパネル30は1枚の板材で構成されている必要はなく、複数枚の板材で構成されていてもよい。特にリヤフロアパン32を構成する部分は、他の部分と別の板材で構成されていてもよい。
【0035】
上記フロアパネル30の下方における後席シート7に対応する部分には、上下2分割構造の燃料タンク33が配設され、リヤフロアパン32に対応する部分には、排気管の後部に設けられた上下2分割構造のサイレンサー34が配設されている。このサイレンサー34に排気管のテールパイプ35が接続されている。また、フロアパネル30の下方における燃料タンク33とサイレンサー34との間の部分には、不図示の後輪サスペンション(E型マルチリンクサスペンション)を支持するための2つのサブフレーム36が車幅方向に延びた状態で前後に並んで配設されている。これらサブフレーム36の両端部は、ぞれぞれ左右のリヤサイドフレーム20にボルトにより締結固定されている。
【0036】
上記後席シート7は、上記フロアパネル30の上面に固定された1つのシートクッション7aと、シートクッション7aの後側に車幅方向に並ぶように設けられた2つのシートバック7bとを有している。各シートバック7bは、フロアパネル30の上面におけるシートクッション3aの後側でかつ各シートバック7bの左右両側に設けた支持ブラケット38に回動可能に支持されている。すなわち、各シートバック7b内の周縁部全周に亘って設けられたシートバックフレーム7cの左右両側側部の下部に固定された支持部材7dが、上記左右の支持ブラケット38の上端部にそれぞれ回動可能に連結されている。後席シート7の使用状態では、シートバック7bが上下方向に延びるように起立した状態にある。そして、シートバック7bをシートクッション7a側に前倒してシートバック7bの背もたれ面をシートクッション7aの座面に当接することで、後席シート7を使用状態から折り畳み状態にすることができる(図1に二点鎖線で示す)。
【0037】
上記リヤフロアパン32内の底面には、発泡スチロールからなるボトム部材39(図1及び図2参照)が固定されている。このボトム部材39の後側部分は、後述の水受け部材51をセット可能な形状に形成されている。
【0038】
リヤフロアパン32の上側開口は、樹脂製(例えばポリプロピレン製)の開閉ボード41(図1及び図2参照)により閉塞されるようになっている。この開閉ボード41の下面には、リヤフロアパン32の前側及び左右両側の側面の上端部に当接して開閉ボード41の位置決めを行う位置決め用突出部41a(図2参照)が形成されている。開閉ボード41はリヤフロアパン32の上側に置かれているだけであり、自動車1の乗員が開閉ボード41を外してリヤフロアパン32の開口を開放することで、リヤフロアパン32に対する荷物の出し入れを行うことができる。
【0039】
トランクルーム8におけるフロアパネル30の上面には、カーペット43が敷設されている。このカーペット43は開閉ボード41の上側も覆っており、これにより、トランクルーム8のフロア全体にカーペット43が敷設されて、該フロアの見栄えの向上化を図っている。本実施形態では、このカーペット43の上面が、実質的にトランクルーム8のフロアとなる。尚、カーペット43の前端部は、弛んだ状態で、使用状態にある後席シート7の各シートバック7bの背面下部に固定されている。そして、後席シート7が折り畳み状態になると、カーペット43の前端部は、弛みなく延びた状態になる。
【0040】
図4に示すように、上記トノボード9は、上下に貫通する矩形状孔45aが後側部分に形成された樹脂製(例えばポリプロピレン製)のトノボード本体45と、この矩形状孔45aの上側を開閉自在に覆う樹脂製(例えばポリプロピレン製)の蓋部材46と、矩形状孔45a全体に掛け渡されたネット部材47とを有している。このネット部材47は、上下方向に貫通する網目状の貫通孔を有する網目状部に相当する。
【0041】
上記トノボード本体45の前端部は、他の部分よりも左右方向の長さが短くなっており、その前端部の左右両側の端面に、ヒンジ軸45bがそれぞれ突出形成されている。この両ヒンジ軸45bは、左右両側のホイルハウストリム25における段部25aの前端部に設けた軸受部25bにそれぞれ嵌合して係合される。これにより、トノボード本体45(延いては、トノボード9の全体)がヒンジ45b軸回りに回動可能となる。そして、トノボード9は、リフトゲート3が閉じられているときに、水平に延びた状態でトランクルーム8の上方を覆うことで、トランクルーム8と乗員室10(詳しくは、乗員室10の上側部分であって後席シートの後側へ延長された部分)とを区画する。一方、リフトゲート3を開くと、不図示の連動部材を介して、トノボード9が上記ヒンジ軸45b回りに回動しながら持ち上げられる。これにより、トランクルーム8に対する荷物の出し入れが容易になる。
【0042】
上記トノボード本体45の肉厚は比較的薄く、強度を向上させるために、トノボード本体45の下面には多数の補強リブ45cが格子状に形成されている。また、トノボード本体45における矩形状孔45aの周縁部には、肉厚が厚くされた複数の厚肉部45d(図4〜図6参照)が周方向に所定間隔をあけて形成されている。
【0043】
上記蓋部材46は、2枚の板材46aを上下に重ね合わせてなるものである(図5及び図6参照)。図4に示すように、蓋部材46の前端面(2箇所)には、ヒンジ部材48がそれぞれ取付固定されている。図5に詳細に示すように、各ヒンジ部材48は、回動軸48c回りに互いに回動可能に構成された2枚の回動片48a,48bを有している。一方の回動片48aが、タッピングネジ49により蓋部材46の前端部(図5では、蓋部材46が後述の開状態となっており、この開状態では蓋部材46の後端部となる)に取付固定され、他方の回動片48bが、トノボード本体45における矩形状孔45aの前側縁部に設けられた上記厚肉部45dにタッピングネジ49により取付固定されている。2つのヒンジ部材48により、蓋部材46は、矩形状孔45aの上側を覆った閉状態から、回動軸48c回りに図1で反時計回りに回動し、最終的には、蓋部材46上面(厳密には、後述のつまみ部46b)がトノボード本体45上面の前側部分に接触する。こうして矩形状孔45aを開放する開状態にすることができる(図1の二点鎖線、図3及び図5参照)。尚、閉状態にある蓋部材46の上面の後端部には、その蓋部材46を持ち上げて回動させるためのつまみ部46bが突出形成されている。
【0044】
上記ネット部材47は、網目状に編んだ紐部材47aと、紐部材47aを支持する外枠ケーブル47bとからなる。この外枠ケーブル47bは、上記各厚肉部45dにタッピングネジ49により取付固定されたハンガー50に吊されている。
【0045】
上記蓋部材46を開状態にすれば、ネット部材47上に荷物を置くことが可能であり、特に水に濡れた荷物(スイムウエアやマリンスポーツ用品等)を置くことで、その水濡れ荷物の乾燥を促進することができる。すなわち、乗員室10へ吹き出された空調空気は、ネット部材47、及び、乗員室10とトランクルーム8との間における後席シート7の側方に形成された空気流路を通って、トランクルーム8に流入し、トランクルーム8から上記エキストラクタ81を介して車外へ排出される。このように空気がネット部材47を通って流れるので、その空気流により、ネット部材47に置かれた水濡れ荷物を早期に乾燥させることができるようになる。このような水濡れ荷物の早期乾燥性と水濡れ荷物の大きさとを考慮して、ネット部材47の網目の大きさを設定すればよい。
【0046】
上記ネット部材47の紐部材47aは、伸縮性を有する材料で構成することが好ましい。こうすれば、ネット部材47上に水濡れ荷物が置かれたときに、その水濡れ荷物の重量で紐部材47aが下側に撓み、これにより、水濡れ荷物の広い範囲に上記空気流が当接し易くなる。
【0047】
尚、図7に示すように、トノボード本体45における矩形状孔45aが形成された部分に、矩形状孔45aに代えて、上下方向に貫通する網目状の貫通孔45f(スリット孔)を有する網目状部45eを形成し、ネット部材47をなくすようにしてもよい。この網目状部45eが、ネット部材47と同様の役割を有し、トノボード本体45の網目状部45e上に水濡れ荷物を置くことで、その水濡れ荷物を早期に乾燥させることができるようになる。貫通孔45f(網目)の形状及び大きさは、ネット部材47の網目と同様に、水濡れ荷物の早期乾燥性と水濡れ荷物の大きさとを考慮して、適宜設定すればよい。
【0048】
上記ネット部材47上に水濡れ荷物を置いた場合、その水濡れ荷物から落下した水雫が、ネット部材47を通過する。本実施形態では、この水雫でトランクルーム8のフロア(カーペット43)が濡れないように、ネット部材47の下方でかつトランクルーム8のフロアの上方に、ネット部材47上に置かれた水濡れ荷物からネット部材47を通って落下する水雫を受ける樹脂製(例えばポリプロピレン製)の水受け部材51が配設されている。
【0049】
上記水受け部材51は、上側に開口を有する矩形のボックス状をなしている。つまり、水受け部材51は、水平に延びる矩形状の底壁部51aと、この底壁部51aの周縁全周から底壁部51aに対して略垂直に立ち上がる前側側壁部51b、後側側壁部51c、左側側壁部51d及び右側側壁部51eとで構成されている。これら各部51a〜51eの内側面は防水加工が施されており、これにより、水受け部材51は、その上方から落下してくる水雫を受け止めて内部に溜めておくことができるようになっている。
【0050】
そして、水受け部材51は、トノボード9のトノボード本体45に取り付けられた状態(図1に実線で示す状態)と、上記リヤフロアパン32内のボトム部材39にセットした状態(図1に二点鎖線で示す状態)とに切り替え可能に構成されている。ネット部材47上に水濡れ荷物を置かないときには、水受け部材51をボトム部材39にセットして、荷物(水濡れ荷物であってもよい)を収容するトランクボックスとして使用することができる。
【0051】
水受け部材51には、該水受け部材51をトノボード9のトノボード本体45に取り付けるための取付部材51f,51gが一体に設けられている。すなわち、左側側壁部51d及び右側側壁部51eの上端に、それぞれ、左側及び右側へ水平に突出した後に下側に折れ曲がる左側取付部材51f及び右側取付部材51gが、水受け部材51と一体形成されている。これら左側及び右側取付部材51f,51gは、トノボード本体45の下面における矩形状孔45aの左右両側に前後方向に延びるように設けた一対のレール部材55とそれぞれ係合しかつレール部材55の長さ方向(前後方向)にスライド可能になっている(図4及び図6参照)。左側のレール部材55は、矩形状孔45aの左側縁部に位置する3つの上記厚肉部45dに、タッピングネジ49により取付固定され、右側のレール部材55は、矩形状孔45aの右側縁部に位置する3つの上記厚肉部45dに、タッピングネジ49により取付固定されている。
【0052】
水受け部材51をトノボード9(トノボード本体45)に取り付ける際には、左側及び右側取付部材51f,51gを両レール部材55の後側からそれぞれ係合させて、両取付部材51f,51g(水受け部材51)を両レール部材55に対し前側へそれぞれスライド移動させる。そして、上方から見て、水受け部材51がネット部材47の全領域と重なる位置に達すると、両取付部材51f,51gの前端が、両レール部材の前端部に設けたストッパ56(図4参照)に当接して、両取付部材51f,51gの前側への移動が阻止され、この時点で水受け部材51のトノボード9への取付けが完了する。
【0053】
一方、水受け部材51をトノボード9から外す際には、取付時とは逆に、両取付部材51f,51g(水受け部材51)を両レール部材55に対して後側へ移動させる。ここで、水受け部材51の後側側壁部51cの上端には、後側へ水平に突出する突出部51hが形成されている。この突出部51hの左右方向中央部には、乗員が指を引っ掛けて水受け部材51をトノボード9に対して後側へ移動させるための指掛用孔51iが形成されている。
【0054】
水受け部材51をトノボード9に取り付けた状態において、トノボード本体45の下面と前側側壁部51bの上端との間、及び、トノボード本体45の下面と後側側壁部51cの上端及び突出部51hの上面との間に隙間がそれぞれ形成されるようになっている。特に前側側壁部51bの上端の左右方向中間部の高さが低くされて、トノボード本体45の下面との間の隙間が大きくなるようになされている。この結果、乗員室の空気が、ネット部材47を通過した後に上記両隙間の少なくとも一方を通過して、トランクルーム8内へと流れることになる。この結果、水受け部材51をトノボード9に取り付けても、水受け部材51が上記空気の流れを遮るようなことはなく、水濡れ荷物の乾燥を促進させることができる。
【0055】
ここで、上記両隙間のうちのいずれか一方をなくしてもよいが、こうすると、空気が、隙間のある前側又は後側に偏って流れるために、水濡れ荷物を均一に乾燥させることができなくなる可能性がある。したがって、水濡れ荷物の均一な乾燥の観点から上記の如く前後両方に隙間を形成することが好ましい。また、左側及び右側側壁部51d,51eの上端近傍に空気流通孔を形成して、空気が前後だけでなく左右にも流れるようにすることがより一層好ましい。さらに、上記両隙間に代えて、又は追加で、前側及び後側側壁部51b,51cの上端近傍に、空気流通孔を形成するようにしてもよい。
【0056】
したがって、本実施形態では、トノボード9にネット部材47を設けたので、このネット部材47上に水濡れ荷物を置くことで、エキストラクタ81による空気流によって水濡れ荷物の早期乾燥を図ることができる。そして、ネット部材47上に水濡れ荷物を置く前に、トノボード本体45の下面に水受け部材51を取り付けておくことで、水濡れ荷物から落下した水雫によりトランクルーム8のフロア(カーペット43)が濡れるのを防止することができる。
【0057】
また、トノボード本体45の下面に水受け部材51を取り付けるようにしたので、水受け部材51とトランクルーム8のフロアとの間のスペースに、水に濡れていない通常の荷物を置くことができるようになる。この結果、ネット部材47上に水濡れ荷物を置いている際に、通常の荷物を収容するための大きなスペースを確保することができる。
【0058】
(実施形態2)
図8〜図11は、本発明の実施形態2を示し、水受け部材51をトランクルーム8の左右両側の側壁(ホイルハウストリム25)に支持させるようにしたものである。尚、図9では、リフトゲート3、トノボード9等の記載を省略している。
【0059】
具体的には、本実施形態では、トノボード9のトノボード本体45に、図7で例示したものと同様に、上下方向に貫通する網目状の貫通孔45f(スリット孔)を有する網目状部45eが形成されており、ネット部材47は存在しない。その網目状部45eはトノボード9の前側部分に形成されており、その上側を蓋部材46が覆っている。この蓋部材46は、上記実施形態1のものと同様の構成であるが、前後関係が上記実施形態1のものと逆であり、網目状部45eの上側を覆った閉状態から、蓋部材46の後端面に設けたヒンジ部材48の回動軸48c(図8では記載を省略)回りに図8で時計回りに回動し、最終的には、蓋部材46上面(厳密には、つまみ部46b)がトノボード本体45上面の後側部分に接触する。こうして蓋部材46は、網目状部45eを開放する開状態となる(図8の二点鎖線及び図10参照)。
【0060】
このように蓋部材46を開状態にして、網目状部45e上に水濡れ荷物を置く(但し、全ての貫通孔を塞がないようにする)ことで、その網目状部45eの貫通孔45fを乗員室10側からトランクルーム8側へ通過してエキストラクタ81を介して車外へ排出される空気流によって、その水濡れ荷物の乾燥を促進することができる。
【0061】
上記網目状部45eの下方でかつトランクルーム8のフロアの上方に、水受け部材51が配設される。本実施形態では、水受け部材51は、トノボード9に取り付けるのではなくて、左右のホイルハウストリム25の前側上部にそれぞれ設けた支持部材61に取り付けるようになっている。
【0062】
上記各支持部材61は、断面円形の棒状部材を折り曲げてなるものであって、前後方向に延びる支持部61aと、その両側にて左右方向(車幅方向)に延びる2つのスライド部61bとからなる。図11に示すように、各スライド部61bは、ホイルハウストリム25にタッピングネジ63により取付固定されたガイド部材62のガイド孔62aに挿通されていて、ガイド孔62aに対して左右方向にスライド可能に支持されている。これにより、各支持部材61は、ホイルハウストリム25からトランクルーム8に突出した状態と、トランクルーム8から退避した状態とに切り替えることが可能になっている。スライド部61bの、支持部61aとは反対側の端部には、ガイド孔62aよりも径が大きいストッパ部61cが設けられており、乗員は、支持部材61を、退避状態から、ストッパ部61cがガイド部材62の端面に当接するまで引き出して、突出状態とする。
【0063】
上記水受け部材51は、上記実施形態1と同様に、上側に開口を有する矩形のボックス状をなしていて、底壁部51aと、この底壁部51aの周縁全周から底壁部51aに対して略垂直に立ち上がる前側側壁部51b、後側側壁部51c、左側側壁部51d及び右側側壁部51eとで構成されている。
【0064】
上記水受け部材51における左側側壁部51d及び右側側壁部51eの上端には、上記実施形態1と同様の左側取付部材51f及び右側取付部材51gがそれぞれ一体に設けられている。本実施形態では、図11に示すように、取付部材51f,51gが逆U字状に曲げられていて、左右の支持部材61の支持部61aにそれぞれ引っ掛けることが可能になっている。取付部材51f,51gを左右の支持部材61の支持部61aにそれぞれ引っ掛けることで、水受け部材51が、網目状部45eの下方でかつトランクルーム8のフロアの上方(本実施形態では、網目状部45eに近い高さ位置)に支持されることになる。この支持状態で、上方から見て、水受け部材51が網目状部45eの全領域と重なる。
【0065】
尚、支持部材61により支持される水受け部材51の高さ位置は、網目状部45eに近い高さ位置に限らず、網目状部45eの下方でかつトランクルーム8のフロアの上方であればどこでもよい。但し、水濡れ荷物を網目状部45eに置いている際には、網目状部45eから水雫が落ちてくるため、水受け部材51と網目状部45eとの間に、水に濡れていない通常の荷物を置くことができなくなるため、通常の荷物を収容するためのスペースを確保する観点からは、水受け部材51を網目状部45eに出来る限り近付けることが好ましい(後述の実施形態3においても同様)。
【0066】
水受け部材51の後側側壁部51cの上端には、上記実施形態1と同様に、突出部51hが形成され、この突出部51hの左右方向中央部には、乗員が指を引っ掛けて水受け部材51の後端部を持ち上げながら取付部材51f,51gを左右の支持部材61の支持部61aから外すための指掛用孔51iが形成されている。
【0067】
こうして支持部材61から外した水受け部材51は、上記実施形態1と同様に、リヤフロアパン32内のボトム部材39にセットして、荷物(水濡れ荷物であってもよい)を収容するトランクボックスとして使用することができる。このとき、各支持部材61を退避状態にしておけば、各支持部材61が、トランクルーム8へ荷物を収容する際に邪魔になるようなことがない。
【0068】
したがって、本実施形態においても、上記実施形態1と同様に、水濡れ荷物の乾燥を促進しつつ、その水濡れ荷物から落下した水雫によりトランクルーム8のフロアが濡れるのを防止することができる。また、水受け部材51をトランクルーム8の左右両側の側壁(ホイルハウストリム25)に支持させるようにしたので、多量の水で重くなった場合の水受け部材51の支持性を、水受け部材51をトノボード9に取り付ける場合に比べて向上させることができる。
【0069】
(実施形態3)
図12〜図14は、本発明の実施形態3を示し、水受け部材51を、トランクルーム8の前方に位置する後席シート7のシートバック7bの背面に支持させるようにしたものである。尚、図13では、リフトゲート3、トノボード9等の記載を省略している。
【0070】
具体的には、本実施形態では、後席シート7の各シートバック7bの背面に、水受け部材51を支持する支持部材71がそれぞれ設けられている。この各支持部材71は、シートバック7bの内側(後席シート7の使用状態で前側)に凹む凹部72aを有する本体部72と、支持棒73とで構成されている。
【0071】
ここで、各シートバック7b内の背面近傍(表皮7fの直ぐ内側)には、該背面の略全体に亘ってバックプレート7e(図14参照)が設けられている。このバックプレート7eは鉄製であって、シートバックフレーム7cの左右両側側部に固定されている。各シートバック7bのバックプレート7eに、上記本体部72が固定されている。尚、図14中、符号7gで示すものはパッドである。
【0072】
上記本体部72における凹部72aの上部は、下部に比べてシートバック7bの内側に大きく凹んでいる。この凹部72a内の上部に、断面円形の上記支持棒73が左右方向に延びるように固定されている。また、凹部72aの下部における底面に相当する面(後方を向いている面)は、後述のフック部材76が当接部76bが当接する当接面72bとされている。
【0073】
水受け部材51は、上記実施形態1及び2と同様に、上側に開口を有する矩形のボックス状をなしていて、底壁部51aと、この底壁部51aの周縁全周から底壁部51aに対して略垂直に立ち上がる前側側壁部51b、後側側壁部51c、左側側壁部51d及び右側側壁部51eとで構成されている。本実施形態では、図13に示すように、前側側壁部51bにおいて、上記支持部材71に対応する2箇所に、水受け部材51をシートバック7b(支持部材71)に取り付けるための取付部材に相当するフック部材76がそれぞれ固定されている。各フック部材76は3つのタッピングネジ77により前側側壁部51bの前面に取付固定されている。この前側側壁部51bの前面におけるタッピングネジ77がねじ込まれる箇所は、肉厚が厚くされた厚肉部51j(図13及び図14参照)とされている。
【0074】
上記フック部材76は、上下方向に延びる板材で構成されている。フック部材76の上端部が逆U字状に曲げられたフック部76aとされ、このフック部76aが上記支持部材71の支持棒73に引っ掛けられる。また、フック部材76の下部には、前方に突出するように略C字状に曲げられた突出部76bが設けられている。フック部76aが支持棒73に引っ掛けられた状態では、フック部材76(水受け部材51)は、水受け部材51の自重により、支持棒73の回りに、図14で時計回りに回動しようとするが、突出部76bの先端面(前面)が本体部72の当接面72bに当接することで、上記回動は阻止されて、水受け部材51の底壁部51aが水平に延びるようになっている。こうして、水受け部材51が、使用状態にあるシートバック7bの背面に支持されることになる。この支持状態で、水受け部材51が、網目状部45eの下方でかつトランクルーム8のフロアの上方(網目状部45eに近い高さ位置)に位置するとともに、上方から見て網目状部45eの全領域と重なる。
【0075】
水受け部材51の後側側壁部51cの上端には、上記実施形態1及び2と同様に、突出部51hが形成され、この突出部51hの左右方向中央部には、乗員が指を引っ掛けて水受け部材51の後端部を持ち上げながらフック部材76を支持部材71の支持棒73から外すための指掛用孔51iが形成されている。
【0076】
こうして支持部材71から外した水受け部材51は、上記実施形態1及び2と同様に、リヤフロアパン32内のボトム部材39にセットして、荷物(水濡れ荷物であってもよい)を収容するトランクボックスとして使用することができる。
【0077】
したがって、本実施形態においても、上記実施形態1及び2と同様に、水濡れ荷物の乾燥を促進しつつ、その水濡れ荷物から落下した水雫によりトランクルーム8のフロアが濡れるのを防止することができる。また、水受け部材51をホイルハウストリム25に支持させる場合と同様に、水受け部材51の支持性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、自動車後部のトランクルームと乗員室とを区画するトノボードを備えた自動車の後部構造に有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 自動車
7 後席シート
7b シートバック
8 トランクルーム
9 トノボード
10 乗員室
45e 網目状部
47 ネット部材(網目状部)
51 水受け部材
51f 左側取付部材
51g 右側取付部材
81 エキストラクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車後部のトランクルームに配設され、乗員室及び該トランクルーム内の空気を車外へ排出するエキストラクタと、
上記トランクルームの上方に位置して該トランクルームと上記乗員室とを区画するとともに、上下方向に貫通する網目状の貫通孔を有する網目状部を含むトノボードと、
上記トノボードの網目状部の下方でかつ上記トランクルームのフロアの上方に配設され、該網目状部に置かれた水濡れ荷物から網目状部を通って落下する水雫を受ける水受け部材と、
を備えた、自動車の後部構造。
【請求項2】
上記水受け部材には、該水受け部材を上記トノボードに取り付けるための取付部材が設けられている、請求項1記載の自動車の後部構造。
【請求項3】
上記取付部材は、上記水受け部材を上記トノボードに対して隙間をあけて取り付けるように構成されている、請求項2記載の自動車の後部構造。
【請求項4】
上記水受け部材は、上記トノボードに取り付けられた状態と、荷物を収容するトランクボックスとして上記トランクルームのフロアに設置された状態とに切り替え可能に構成されている、請求項2又は3記載の自動車の後部構造。
【請求項5】
上記水受け部材は、上記トランクルームの左右両側の側壁、又は、該トランクルームの前方に位置するシートのシートバックの背面に支持される、請求項1記載の自動車の後部構造。
【請求項6】
上記水受け部材は、上側に開口を有するボックス状をなしている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の自動車の後部構造。
【請求項7】
上記水受け部材は、上方から見て、上記網目状部の全領域と重なっている、請求項1〜6のいずれか1つに記載の自動車の後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−93507(P2011−93507A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269254(P2009−269254)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】