説明

自動車の警報装置

【課題】 ホーンでの聴覚による警報に視覚による報知を加えることで危険警報をより確実に伝え、かつ警報報知のための複数の操作を1つの操作で行うようにしてドライバーの操作負荷の軽減を図る。
【解決手段】 ホーンスイッチ(1)から駐車検出手段(SW1、SW2)を介してヘッドライトのハイビーム(5、5)に接続し、ホーンスイッチ(1)の作動時に非駐車時であればヘッドライトのハイビーム(5、5)を点灯するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の警報装置、特に、警笛での聴覚による報知に、視覚による報知を加えた警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車の警報装置としてはホーン(警笛)が採用されているが、このような警笛による警報手段では、周囲の騒音に影響されて老人や子供、または注意力が散漫な状態の歩行者に伝わらない、あるいは、他の車両内の運転者はその発音源を明確に特定することが容易でないなどの問題点がある。そこで、ホーンの吹鳴に連動してヘッドライトを点灯することが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、対向車に対しては、ビームの切換えを行っているが、危険回避で瞬時の行動が要求されている場合においては、運転操作と同時に警笛とビーム切換えとを行うことは困難な場合が多い。
一方、前記のようにホーンとヘッドライトとを連動させた場合は、駐車中にホーンを鳴らすと点灯し、駐車場の近辺(あるいは駐車中の他の車)が眩しく迷惑であるという問題がある。
【特許文献1】実開平7−2145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点に対処するものであり、ホーンでの聴覚による警報に視覚による報知をも加えることで危険警報をより確実に伝え、かつ複数の操作を1つの操作で行うようにしてドライバーの操作負担の軽減を図るために、ホーンの吹鳴とライトの点灯による警報とを同時に行うことができる自動車の警報装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
圧縮エアでブレーキ力を補助する(エア倍力装置、あるいはフルエアブレーキ)ブレーキシステムを有する大型の商用車においては、通常、駐車ブレーキ(スプリングブレーキ)を作動するハンドコントロールバルブを設けており、駐車中にはそのハンドコントールバルブを作動して駐車ブレーキを掛けている。そして、そのブレーキ作動中は、このハンドコントロールバルブにエアを供給する配管内は低圧となっており、これを検出することで駐車中であるか否かの判定をすることが可能である。
【0006】
本発明によれば、ホーンスイッチによって作動する自動車の警報装置において、ホーンスイッチ(1)から駐車検出手段(SW1、SW2)を介してヘッドライトのハイビーム(5、5)へ配線し、その駐車検出手段(SW2)は非駐車が検出されればONとなってホーンスイッチ(1)作動時にヘッドライトのハイビーム(5、5)を点灯するように構成したことを特徴とする(請求項1)。
【0007】
また、本発明によれば、ホーンスイッチによって作動する自動車の警報装置において、ホーンスイッチ(1)からホーン(2)に至る回路(L2A)にリレー(8)を設け、駐車検出手段(SW1、SW2)とそのリレー(8)とを直列に接続してヘッドライトのハイビーム(5、5)へ配線し、前記駐車検出手段(SW2)は非駐車が検出されればONとなり、ホーンスイッチ(1)作動時には前記リレー(8)がONとなってヘッドライトのハイビーム(5、5)を点灯するように構成したことを特徴とする(請求項2)。
【0008】
そして、前記駐車検出手段は、ブレーキ装置のハンドコントロールバルブ(4)に連通するエア配管(La)に介装されその配管(La)が低圧時に作動するプレッシャスイッチ(SW1)によって断接するリレー(3)である(請求項3)。
【0009】
前記駐車検出手段(SW2)からヘッドライトのハイビーム(5)への配線(L2)と並列にストップランプ(6)またはハザードランプ(7)のいずれかに配線し、ホーンスイッチ(1)作動時に非駐車と検出されれば前記ヘッドランプのハイビーム(5)の点灯と共に前記ストップランプ(6)またはハザードランプ(7)のいずれかを点滅するように構成する(請求項4)。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成による本発明の作用効果を下記に示す。
(a) ホーンスイッチの作動によってホーンの吹鳴とヘッドランプのハイビーム点灯とが同時に行われ、聴覚と視覚とによって警報が発せられるので、より確実に危険報知がなされ、安全性が高まる。特に、ハンディキャップのある人に対する警報として有効である。
(b) ストップランプあるいはハザードランプを連動させて点滅することで、後続車の注意を喚起し、さらに安全性が高められる。
(c) 駐車時には、ランプ(ハイビーム、ストップランプ、あるいはハザードランプ)が点灯されることはなく、他者に迷惑を掛けない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
図1において、バッテリBからステアリングハンドルのホーンスイッチ1に接続され、そのホーンスイッチ1からはホーン2に接続されると共にリレー3の第2のスイッチSW2を介して左右のヘッドランプのハイビーム5、5に配線L2が接続されている。なお、この第2のスイッチSW2は、後記する第1のスイッチSW1と共に駐車検出手段を構成している。
【0012】
一方、ブレーキ装置において、エアタンク22からハンドコントロールバルブ4を介してスプリングブレーキ21へ圧縮エアを供給する配管Laには、コントロールバルブ4とスプリングブレーキ21間に第1のスイッチSW1が設けられている。そしてそのスイッチSW1はバッテリBから配線されており、配管La内の圧力が所定値以下でONとなるプレッシャスイッチである。その第1のスイッチSW1からは前記第2のスイッチSW2を作動するリレー3に配線L1が接続されており、リレー3の先は接地され、このリレー3に通電時には第2のスイッチSW2はOFFとなる。
【0013】
上記の構成により、ホーンボタンを押すとホーンスイッチ1がONとなってホーン2の吹鳴と共に第2のスイッチSW2を介してハイビーム5、5が点灯される。
また、駐車時には、ハンドコントロールバルブ2が作動されて配管Laは低圧となっているので、第1のスイッチSW1はONとなってリレー3の第2のスイッチSW2はOFFとなる。したがって、ホーンボタンが押されてホーンスイッチ1がONとなってもホーン2の吹鳴のみでハイビーム5は点灯されない。
なお、図中の符号11は、配線L1に介装され駐車中を示すパーキング・インジケータ、符号12は配線L2に接続されたハイ/ロービームを切り換えるハイビームスイッチをそれぞれ示している。
【0014】
次に、図2に示す第2実施形態では、ホーン2への回路とハイビーム5への回路とを分離し並列に構成している。すなわち、ホーンスイッチ1から第2のリレー8を介してホーン2に配線(L2A)し、一方、ハイビーム5へは、バッテリBから第1のスイッチSW1により作動するリレー3(この回路は前例と同様)を介して第2のリレー8に接続し、その第2のリレー8は前記ホーン回路L2Aの通電によって第3のスイッチSW3がONし、そしてスイッチSW3からハイビーム5、5に接続されている。
【0015】
この構成によれば、ホーンスイッチ1がONされると、第2のリレー8を介してホーン2を作動すると共に第2のリレー8の第3のスイッチSW3がONし、ハイビーム5、5は、バッテリB、第2のスイッチSW2,そして第3のスイッチSW3を経由して点灯される。もちろん、駐車中は第1のスイッチSW1がONとなって、リレー3の第2のスイッチSW2がOFFされるので点灯されない。
【0016】
次に、図3〜図6に示す実施形態は、前記の構成にさらにストップランプ6あるいはハザードランプ7を加え、それを点灯(点滅)して注意を喚起するように構成されている。
以下、図1の構成(第1実施形態)に対してストップランプまたはハザードランプの点滅を付加した構成にて説明するが、図2の構成(第2実施形態)についても同様な構成であり、説明は省略する。
【0017】
図において、配線L2の第2のスイッチSW2のハイビーム側から配線L3が分岐し、ハイビーム5とは並列にストップランプあるいはハザードランプが接続されている。図3に示す例では、第2のスイッチSW2からストップランプ6、6に配線され、スイッチSW2のONによってストップランプ6、6が点滅する。
【0018】
また、図4に示す例では配線L2の第2のスイッチSW2のハイビーム側から配線L3が分岐し、ハイビーム5とは並列にハザードランプ7、7に接続され、スイッチSW2がONによってハザードランプ7、7が点滅する。
なお、図中の符号13はブレーキスイッチ、14はハザードスイッチ、そして15はクラスメータに設けられた駐車中を示すインジケータランプをそれぞれ示している。
【0019】
次の図5に示す実施形態は左右のハザードランプ7、7が交互に点滅し、また、図6では左右のストップランプ6、6が交互に点滅するような構成とした例である。
【0020】
このような構成により、ホーンスイッチ1を作動させるとホーン2の吹鳴し、非駐車であればリレー3がONし、ヘッドランプのハイビーム5、5が点灯すると共に、ストップランプ6、6(図3、図6)あるいはハザードランプ7、7(図4、図5)が点滅し、後続車にホーンを鳴らすような事態が生じたというメッセージを出し、注意を喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の警報装置の第1実施形態を示す構成図。
【図2】本発明の警報装置の第2実施形態を示す構成図。
【図3】図1の構成にストップランプの点滅を付加した実施形態を示す構成図。
【図4】図1の構成にハザードランプの点滅を付加した実施形態を示す構成図。
【図5】図4の実施形態でハザードランプを左右交互に点滅する構成を示す。
【図6】図3の実施形態でストップランプを左右交互に点滅する構成を示す。
【符号の説明】
【0022】
1・・・ホーンスイッチ
2・・・ホーン
3・・・リレー
4・・・ハンドコントロールバルブ
5・・・ハイビーム
6・・・ストップランプ
7・・・ハザードランプ
8・・・第2のリレー
21・・・スプリングブレーキ
22・・・エアタンク
B・・・バッテリ
SW1、SW2、SW3・・・第1、第2、第3のスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホーンスイッチによって作動する自動車の警報装置において、ホーンスイッチから駐車検出手段を介してヘッドライトのハイビームへ配線し、その駐車検出手段は非駐車が検出されればONとなってホーンスイッチ作動時にヘッドライトのハイビームを点灯するように構成したことを特徴とする自動車の警報装置。
【請求項2】
ホーンスイッチによって作動する自動車の警報装置において、ホーンスイッチからホーンに至る回路にリレーを設け、駐車検出手段とそのリレーとを直列に接続してヘッドライトのハイビームへ配線し、前記駐車検出手段は非駐車が検出されればONとなり、ホーンスイッチ作動時には前記リレーがONとなってヘッドライトのハイビームを点灯するように構成したことを特徴とする自動車の警報装置。
【請求項3】
前記駐車検出手段は、ブレーキ装置のハンドコントロールバルブに連通するエア配管に介装されその配管が低圧時に作動するプレッシャスイッチによって断接するリレーである請求項1または2の自動車の警報装置。
【請求項4】
前記駐車検出手段からヘッドライトのハイビームへの配線と並列にストップランプまたはハザードランプのいずれかに配線し、ホーンスイッチ作動時に非駐車と検出されれば前記ヘッドランプの点灯と共に前記ストップランプまたはハザードランプのいずれかを点滅するように構成した請求項1〜3のいずれかの自動車の警報装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate