自動車の運転操縦の自動認識方法及びこの方法を含む運転者援助システム
本発明は、自動車の運転操縦特に追越し操縦又は回避操縦の自動認識方法に関し、車両周辺が検出され、これから電子写像が形成され、電子写像が車線及び/又は車道及び車両周辺にある物体(B,C)の認識のために使用され、自動車(A)の縦運動及び横運動情
が、車線認識及び/又は車道認識のデータ(bLane,yLane,θ,co)及び/又は自
から次の指標量、即ち車線標識又は車道標識(L)に対する自動車(A)の横間隔値(LOL,LOR)、走行方向にある物体(B)特に先行車両(B)に対する間隔(d)に関する衝突までの時間値(TTCA,B)、衝突までの時間値の指標量(TTCA,B)及び自動車の加速ペダルの位置(FPS)に相当する値から形成される縦運動追越し指標又は回避指標(I)が形成され、b)これらの指標量(LOL,LOR,TTCA,B,I)のために閾値(Ith,TTCA,B,th)が求められて、追越し過程又は回避過程、特に追従走行、車線変更、静止又は動いている物体(B)のそばの通過走行、追越される物体(B)の車線への入り込みの部分操縦を認識するため、及びこれらの部分操縦の間の移行を認識するための基準として使用される。
が、車線認識及び/又は車道認識のデータ(bLane,yLane,θ,co)及び/又は自
から次の指標量、即ち車線標識又は車道標識(L)に対する自動車(A)の横間隔値(LOL,LOR)、走行方向にある物体(B)特に先行車両(B)に対する間隔(d)に関する衝突までの時間値(TTCA,B)、衝突までの時間値の指標量(TTCA,B)及び自動車の加速ペダルの位置(FPS)に相当する値から形成される縦運動追越し指標又は回避指標(I)が形成され、b)これらの指標量(LOL,LOR,TTCA,B,I)のために閾値(Ith,TTCA,B,th)が求められて、追越し過程又は回避過程、特に追従走行、車線変更、静止又は動いている物体(B)のそばの通過走行、追越される物体(B)の車線への入り込みの部分操縦を認識するため、及びこれらの部分操縦の間の移行を認識するための基準として使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の自動車の運転操縦特に追越し操縦又は回避操縦の自動認識方法に関する。更に本発明は、請求項13に記載のこの本発明による方法を含む運転者援助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102004018681号明細書から、車両と対向車両との衝突を回避する方法が公知であり、現在の速度及び同じ方向に走行する先行車両に対する現在の間隔から、特に計画される追越し過程のための運転勧告が形成される。対向車両は少なくとも1つのレーダ装置により認識され、運転勧告の際考慮される。
【0003】
運転勧告により運転者を効果的に援助するため、運転者の意図を確実に認識し、こうして特に追越し操縦及びその部分操縦及び追越し操縦の開始も、実際の開始前に確実に予想できることが必要である。
【0004】
CAN−Bus−Daten“,Automobiltechnische Zeitschrift,vol.110,no.11/2008,pp.1024−1028に、運転者の意図を確認する方法が記載されており、制動圧力、加速ペダル位置、走行速度及び交差点までの距離の入力データとACC情報から、ファジー論理回路により、運転者の3つの意図“左(右)折する”、“道路に従う”及び“追越す”を知るための手掛かりが求められる。しかしこの方法の欠点は、運転者の意図を知るために、車両の横運動量が使用されず、めんどうなパラメータ化が必要であり、その際使用される量が複雑なファジー論理システムにより解釈するのがめんどうなことである。
【0005】
Sicherheit durch Fahrerassistenz,Garching,2006から、運転者の意図を知る別の方法が公知であり、追越し操縦を確認するために、かじ取り角、かじ取り角速度、車両速度、縦加速度、GPSデータ及びディジタルカードから求められる道路かじ取り角(曲折)、先行車両に対する間隔及び相対速度、及び車両の側方ずれのような車両量及び周辺量が使用される。しかしこの方法の欠点は、高精度のGPS受信機及びディジタルカードが必要なことである。
【0006】
更に最後に説明した両方法では、追越し過程の開始及び対向車線への進入の時点の予想が不可能なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の課題は、最初に述べた種類の運転操縦特に追越し操縦及び回避操縦の確認方法を提示し、それにより前記の欠点を回避し、この方法を簡単にかつ少ないパラメータで実施可能にし、この方法により追越し操縦の確認及び予想を確実に可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は請求項1の特徴を持つ方法によって解決される。
【0009】
本発明による方法は次の特徴を持っている。
a)自動車(A)の評価された位置データ(X)から次の指標量、即ち
車線標識又は車道標識(L)に対する自動車(A)の横間隔値(LOL,LOR)、走行方向にある物体(B)特に先行車両(B)に対する間隔(d)に関する衝突までの時間値(TTCA,B)、
衝突までの時間値の指標量(TTCA,B)及び自動車の加速ペダルの位置(FPS)に相当する値から形成される縦運動追越し指標又は回避指標(I)
が形成され、
b)これらの指標量(LOL,LOR,TTCA,B,I)のために閾値(Ith,TTCA,B,th)が求められて、追越し過程又は回避過程、特に追従走行、車線変更、静止又は動いている物体(B)のそばの通過走行、追越される物体(B)の車線への入り込みの部分操縦を認識するため、及びこれらの部分操縦の間の移行を認識するための基準として使用される。
【0010】
本発明によるこの方法の利点は、走行距離測定装置から評価される量、及び追越すべき車両又は回避すべき物体例えば障害物に関する周辺データが、縦及び横運動の指標量に圧縮され、それにより特に行われる操縦及び追越し操縦の予想に関して容易に解釈可能になることである。
【0011】
本発明による方法のために、走行距離測定装置へ供給される縦及び横の運動情報が必要であり、少なくとも1つの縦運動量例えば車両速度及び/又は車両加速度が車輪の回転数から求められる。横運動情報は、ヨーレイトセンサ及び/又は横加速度センサにより求めることができる。横運動情報を、左の車輪と右の車輪の車輪回転数の差のみから誘導して求めることも可能である。
【0012】
運転操縦を確認するため、従来技術に比べて少ない数のこのような指標量が利用され、本発明によるこれらの指標量は、パラメータ化の費用が少なく、よく解釈できるという利点を持っている。
【0013】
確認すべき運転操縦は、運転操縦が状態としてモデル化され、これらの運転操縦間の移行が本発明によるこれらの指標量に関係してモデル化される状態線図により、確認することができる。
【0014】
先行車両の後の追跡走行を求めるため、又は自由走行を求めるため、本発明の展開によれば、走行方向に存在する静止又は運動物体特に先行車両に対する時間間隔及びその閾値が用いられる。
【0015】
本発明の有利な展開によれば、別の指標量が、境界線横断までの時間値として、車線認識及び/又は車道認識のデータ及び自動車の運動情報から求められ、指標量の閾値が基準として求められ、この閾値が、縦運動追越し指標及びその閾値の基準と共に、追越し過程又は回避操縦の開始の予想のために使用される。これにより追越し操縦の開始が早期に確認され、従って運転者援助システムの範囲内で、場合によっては運転者に早期に警告できるようにするため、危険状態に関する状況分析も早期に可能である。路線横断までの時間値の指標量の基準としての閾値が、縦運動追越し指標に関係して形成されるのがよく、路線横断までの時間値の指標量は、横切るまでの期間又は対向車線に対する標識を形成する車両走行帯境界線までの期間を示す。境界線横断までの時間値の指標量は、車両の横運動情報により求められ、従って例えば車両のヨーレイト及び/又は横加速度により求められる。なぜならば、これからまず車道の湾曲が求められるからである。車道湾曲の湾曲評価は、車両の車輪回転数の差に基いて又はかじ取りハンドル角から行うことができる。
【0016】
動く物体の後特に先行車両の後の追従走行の運転操縦状態は、時間間隔の指標量によりモデル化され、時間間隔の指標量がその閾値を下回ると、先行車両の後の追従走行が認識される。他の場合車両の自由走行が前提となる。
【0017】
更に本発明の有利な展開では、対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線に対する車両の横間隔の指標量の負の値では、車線変更又は近接車線への離脱が追越し過程の部分操縦として認識され、従って追越し過程の開始と解釈される。
【0018】
本発明の別の有利な構成によれば、自動車の運動情報のデータ及び走行方向にあって静止しているか又は動いている物体に対する自動車の間隔値に基いて、衝突までの時間値の指標量が求められず、従って例えば車両が制動され、それにより先行車両へもはや到達せず、かつ/又は対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線に対する車両の横間隔の指標量が正になり、即ち車両が再び先行車両の後へ割り込むと、このような部分操縦の中止が認識される。
【0019】
部分操縦状態“通過走行”は、走行方向にあって静止しているか又は動いている物体に対する自動車の間隔値の負の値によりモデル化され、即ちその場合開始される追越し過程の続行が認識される。
【0020】
この部分操縦状態“通過走行”から、衝突までの時間値の指標量を求めることが可能であることによって、即ち先行車両のそばを通過中に運転者が制動過程を開始する場合に、追越し過程の中止段階への移行がモデル化される。衝突までの時間値の指標量(TTCA,B)を求めることが可能である場合、この指標量がその閾値を下回ると、通過走行の中止が認識される。
【0021】
本発明の有利な展開によれば、対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線に対する車両の横間隔値の指標量が、正の値をとり、追越される物体特に先行車両に対する自動車の間隔値の指標量が、自動車と追越される物体従って例えば先行車両の長さの負の和より小さいと、割込みが追越し過程を終了する部分操縦であると認識される。
【0022】
有利なように割り込みを認識するため、対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線に対する車両の横間隔値の指標量として、自動車の前右隅からの間隔の値が使用され、一方隣接車線への車線変更又は離脱の認識のため、車両通行帯境界線に対する車両の横間隔値の指標量として、自動車の前左隅からの間隔の値が使用される。
【0023】
本発明の第2の課題は、請求項13の特徴によって解決される。
【0024】
即ち 自動車用運転者援助システム、特に追越し又は回避の援助装置は、
車線及び車道を認識しかつ自動車の周辺にある物体の位置を求める周辺センサ装置、
自動車の周辺の電子写像を形成するセンサ評価装置、
運動情報を検出する車両センサ装置、
追越し過程又は回避過程、特に先行車両の追従走行、車線変更、動いているか又は静止している物体のそばの通過走行、及び追越される物体の車線への割込みの部分操縦を認識するため、及びこれらの部分操縦の間の移行を認識するため、本発明による方法を実施する運転操縦認識装置、
周辺センサ装置に基いて対面交通の認識される車両又は物体を追跡するための物体追跡装置、
対面交通の認識される車両及び/又は物体に関して認識される運転操縦及び/又は部分操縦の実行可能性を評価しかつ求め、予想される追越し過程の際又は認識される追越し過程中に、認識される運転操縦及び/又は部分操縦が危険であるか又は実行不可能であると評価される時、運転者に警報を与えるため警報装置を制御し、かつ/又は対面交通の認識される車両及び/又は物体との衝突が認識される場合、車両の重要な機能の1つ又は複数の操作素子特に制動装置及び/又はかじ取り装置及び/又は動力伝達系を操作する評価装置
を含んでいる。
【0025】
本発明による方法を使用するこのような運転者援助システムでは、追越し状況又は回避状況を認識すると、追従走行状態から開始される追越し操縦が危険なしに実行可能であるか又は終了可能であるかが、持続して評価される。場合によっては運転者が警告され、更に制動又は先行車両の後への割込みによって対面交通との衝突が防止可能であるか否かを評価する。その場合運転者援助システムは、最後の可能な時点に車両を自動的に制動するので、運転者は再び先行車両の後へ割込むことができる。その際制動介入の強さは、なるべく介入の時点における加速ベダル位置に関係させることができる。
【0026】
本発明による援助システムの有利な構成によれば、評価装置が、予想されるか又は認識される追越し過程を評価するための指標量を求めるように構成され、この指標量が、車両センサ装置及び物体追跡装置のデータに基いて、予想されるか又は認識される追越し過程の終わりの予想される時点に、対面交通の認識される車両及び/又は物体に対する衝突までの時間値として求められると、特に有利である。これに基いて、関与する車両の相対運動が追越し操縦の終わりまで予測されるように、追越し予想を行うことができる。従って対面交通の認識される車両及び/又は物体に対する衝突までの時間値の指標量は、追越し開始の前に既に評価可能であり、追越し過程の終了後、対面交通に対する十分な安全間隔がまだ残っているように、指標量の閾値を定めることができる。この閾値を下回ると、対面交通が既に近すぎ、追越し操縦をやめるか又は中止すべきであることが、運転者に通報される。
【0027】
運転者への警告は、音で例えば言語により、光により又は触覚により行うことができる。
【0028】
図面を参照して、本発明が以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】 本発明による運転者援助システムの実施例の概略図を示す。
【図2】 図1による運転者援助システムの部分システムの概略ブロック線図を示す。
【図3】 車両位置の走行距離測定による算定を示すブロック線図を示す。
【図4】 指標量LOR及びLOLを説明するため車両上の車両状態の概略図を示す。
【図5】 追越し過程の検出を説明するためのブロック線図を示す。
【図6】 追越し過程の部分操縦を求めるための状態図を示す。
【図7】 指標量TLCを求めるため車道上の車両状態の概略図を示す。
【図8】 対面交通を含む追越し過程の場合における交通状況の概略図を示す。
【図9】 追越し状況の例を含む表を示す。
【図10】 中止を含む追越し過程の交通状況の概略図を示す。
【図11】 中止を含む追越し過程の別の交通状況の概略図を示す。
【図12】 中止操縦のために重要な期間を求めるため対面交通を含む交通状況の概略図を示す。
【図13】 本発明による運転者援助システムの警告及び制動介入に関する時間関係を示す時間図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1による運転者援助システム1の概略図は、車両周辺を検出する周辺センサ装置10を持つ自動車A、及び例えば加速ペダルの位置のようなその他の必要な量として車両運動量を検出する付属の車両センサ装置20を示す。周辺センサ装置10は、レーダセンサ装置11及びビデオセンサ装置12を備え、これらのセンサ装置のデータは、車両周辺の電子写像を発生するセンサ評価装置30において検出されかつ評価される。このためまずビデオセンサ装置12のビデオデータに基いて、画像処理装置31により物体及び空き地の認識が行われ、続いてセンサ融合装置12においてこれらの融合情報が、レーダセンサ装置11のレーダデータと融合されるので、これから車両周辺の電子写像を作成することができる。
【0031】
このような電子写像の発生に必要な方法は当業者に周知なので、原理的な説明は十分であり、従って以下に詳細な説明は行わない。
【0032】
例えばビデオ画像を街路、車両、側帯又は近接範囲(約50mまで)にある茂み又は森のようなクラスに画素状に区分すること、画像に基く光景理解、従って緊急な状況における回避操縦及び制動操縦のための障害物及び行動空間の計算が可能になる。画像区分の詳細な表示は、”A dynamic conditional random field model for joint labeling of object and scene classes”,European Conference on Computer Vision(ECCV),Marseille,2008,p.733−747からわかる。センサ融合装置32における継続処理のために、ビデオ画像の全光景の区分及び画像に基く物体検出器からの物体検出が使用される。前述した画像区分は選択的である。なぜならば、他の公知の画像評価方法も同様に適しているからである。このような画像区分は、特に回避操縦を決定するのに適している。
【0033】
対面交通の物体を認識するため、レーダセンサ装置11が用いられ、そのデータが、センサ融合装置32において、画像処理装置31からの画像に基く物体検出と融合されて、物体追跡を行う。自動車Aのヨーイング運動が考慮される場合、物体形跡を失うことなく連続的な物体追跡が可能である。なぜならば、自動車Aの予想される横ずれが考慮されるからである。
【0034】
車両周辺の電子写像は、状況分析モジュール40において状況分析を受け、このために車両センサ装置20のデータも使用される。この状況分析により、現在の運転操縦が運転者の追越し操縦又は相応する意図として認識されると、追越し操縦の予測により、認識される対向車両との衝突の危険が評価される。この評価に関係して、運転者への警告の送出又は操作装置の始動例えば自動車Aの制動機の操作のため、警告−介入モジュール50が始動される。
【0035】
次に運転者援助システム1のこの状況分析モジュール40及び警告−介入モジュール50の動作が、図2等に関連して詳細に説明される。
【0036】
危険な場合運転者援助システム1が、警告又は積極的な介入により回避操作の中止に作用を及ぼすことができるようにするため、状況分析において、一方では現在の運転操縦の実施を認識し、他方では危険状況の存在を認識せねばならない。
【0037】
運転操縦は、大体において車線に沿うか車線に対して横向きの車両の運動によって規定されるので、まず車線に対する車両の位置、向き及び運動が求められる。そのため図3による走行距離測定装置において、車両センサ装置20のデータとビデオセンサ装置のデータに基く車線認識のデータが融合される。
【0038】
走行距離測定装置は、車道上の車両の位置、速度及び向きとその他の状態量を評価するのを可能にする。これらの評価量は、操縦認識、他の状況分析アルゴリズムを制御のために使用可能にする。
【0039】
状況評価のため拡張カルマンフィルタEKFが使用される。そのため車道に対する車両の運動と、使用される車両センサ装置20及び周辺センサ装置10の観察が、状態図において、
y=h(x,u)(Beobachtungsmodell)
の形でモデル化され、車両モデル及び車道モデルの結合によって、車両センサ装置20及びカメラに基く車線認識のデータが、図3によるビデオセンサ装置12のデータに基いて融合される。
【0040】
カメラに基く車線認識は、相対ヨーイング角θ、車道の湾曲co、車線幅bLane及び車線中心に対する車両の横ずれyLane(偏心率)の評価を供給する。
【0041】
車両センサ装置20は、車両Aの必要な横及び縦の運動情報、図3により量として、ヨ
RRを供給し、これらの量は車両又は車道の評価ベクトルの最適な評価を可能にする。本発明による方法の機能のために、縦運動情報例えば少なくとも1つの車輪回転数からの縦速度、及び例えばヨーレイト及び/又は横加速度としての横運動情報を求めれば十分である。
横運動情報は、左車輪及び右車輪の車輪回転数の差から評価によって、また車両のかじ取りハンドル角の検出によっても、求めることができる。
【0042】
拡張されたカルマンフィルタEKFにおいて使用される車線幅bLane及び偏心率用の観察モデルは、車線認識の基準車線が変わる時、動的に合わされる。正しいモデル式の選択は、車線認識からの測定量yと拡張されたカルマンフィルタEKFの予想段階に応じて予想される値h(x*,u)との比較によって行われる。車線認識の短時間中止があると、対応する観察モデル式が省略され、評価が一時的に車両センサ装置に基いてのみ続行される。それにより車線にわたる自己位置測定に成功し、車線認識の短時間中止を走行距離計で切り抜けることができる。拡張されたカルマンフィルタEKF従って走行距離計の出力として、図3により状態ベクトル
ここでvx及びvyは車両の縦方向及び横方向における重心速度を示し、xR及びyRは車道座標系における車両の位置を示し、
θは相対ヨーイング角を示し、
yRMR及びyRMLは、車道座標系に関して中央及び左の車線標識の横方向位置を示し、
coは車道湾曲を示す。
【0043】
走行距離計の評価される量及び追越すべき車両に関する周辺データに基いて、横運動及び縦運動の指標量が形成される。異なる操縦の固有の認識は、異なる操縦の間の移行が指標量に関係してモデル化される状態線図を介して行われる。
【0044】
横運動に関して、車道上の横位置yR及び相対ヨーイング角θが、中心量として使用される。車道の推移に関係なく、これらの評価量は表出可能であり、車線変更の検出を可能にする。指標量として図4によれば、車両通行帯境界線に対する車両前面の横間隔LOL及びLORが形成され、LOLは車両通行帯境界線Lに対する車両Aの前左隅の間隔を示しLORはその前右隅の間隔を示す。
【0045】
例えば曲がるために車両が左のみへ動くか否か、又は追越しの意図で離脱が実際にあるか否かを確認するために、更に縦運動が考慮される。自己の車両Aの前に他の車両Bが存在する時にのみ、追越し可能性がある。速度とは無関係に解釈可能な間隔として、先行車両Bに対する時間間隔τが、別の指標量として使用される。
τ=d/ν
ここでdは先行車両Bとの間隔を示し、νは車両Aの車両速度を示す。
【0046】
先行車両に対する小さい間隔d、高い相対速度及び高い相対加速度が、追越しの開始を示す。これに反し大きい間隔d、小さいが負の相対速度及び加速度は、追越し操縦を起こりそうもなくする。なぜならば、これは長く続きそうであるか、又は運動状態の維持は先行車両への追いつきを起こさないだろうからである。
【0047】
従って別の縦運動指標として、現在の状況から行われる追越し操縦の予想される期間が用いられる。しかし先行車両Bの長さLobjは、追越し操縦の早い段階では評価困難なので、操縦認識の際予想される追越し期間の代わりに、量として衝突までの時間(TTCA,B)の計算が使用され(図7参照)、両方の車両AとBとの相対加速度arelが考慮される。
【0048】
この指標量TTCA,Bにおいて、量として間隔d、相対速度νrel及び相対加速度arelがただ1つの指標で表され、一定な行程要素(車両A及びBの長さlago及びlobj)を無視するにもかかわらず、指標の解釈は依然として存在する。計算は例外なくかつ衝突進路が存在するか否かに関係なく行われる。
【0049】
指標量TTCA,Bも、走行状況において追越し開始のため先行車両Bへ接近する意向があるか否かについての説明を与えない。一方では、接近が行われているけれども、この接近は意図されず、先行車両Bの制動の結果生じる、ということがあり得る。他方では、先行車両Bへの接近が意図されているけれども、加速能力の不足のため車両A従って指標量TTCA,Bが運転者の希望に強く反応しないことが、あり得る。しかしこれら両方の事例は、加速ペダル位置を見ることによって認識される。即ち指標量TTCA,Bが小さいけれども、運転者が加速ペダルを踏むと、第1の事例が起こる。指標量TTCA,Bが先行車両Bへの中位の接近しか示していないけれども、加速ペダルが十分踏み込まれていると、第2の事例が起こる。このような制御により指標量TTCA,Bとペダル位置の値FPSが、ファジー論理により新しい指標量1にまとめられ、この指標量が単独に考察された指標量TTCA,Bの不足をなくす。ファジー論理により形成され続いて平滑にされる特性曲線図Kが、図5に概略的に示されている。
【0050】
走行距離計の評価された量及び追越すべき先行車両Bに関する周辺データから今や誘導されて圧縮されかつ容易に解釈可能な指標量は、行われた操縦即ち追越し操縦及び車線離脱、通過及び割込みのような部分操縦を認識し、追越し操縦の予想を行うために使用される。
【0051】
要約すれば、次の指標量が使用される。
LOR・・・車線の車両通行帯境界線Lと車両Aの前右隅との横間隔
LOL・・・車線の車両通行帯境界線Lと車両Aの前左隅との横間隔
d・・・・先行車両Bに対する間隔
TTCA,B・衝突までの時間値
I・・・・・縦運動の追越し指標
τ・・・・・先行車両Bに対する時間間隔
【0052】
異なる操縦の実際の認識は図による状態線図について行われ、この線図において操縦は、状態及び操縦状態の間の移行として、指標量に関係してモデル化される。
“自由走行”状態で初期化後、場合によっては先行車両Bに対して時間間隔閾値τrtを下回ると、状態“追従走行”が仮定される。左の間隔LOLにより車両通行帯境界線Lの乗越えが確認され、Ithの超過により追越し指標Iが追越し意図を表示すると、状態“離脱”への移行により、追越し開始が検出される。追越し続行の際、車両Aの車両前面が追越すべき車両B(先行車両)の後部を追越すと、即ちd<0になると、部分操縦“通過走行”への移行が行われる。続いて車両Aが追越される先行車両Bのそばを完全に通過し、従って図4によるd<−(lobj+lego)が成立し(lobj及びlegoは車両A及び先行車両Bの長さ)、車両Aが自己の車線へ戻り、即ちLOR>0が成立すると、部分操縦“割込み”が認識される。追越し過程の終了は、LOL<0となる割込み過程の終了により認識され、それにより再び“自由走行”状態へ変えられ、場合によっては新しい基準車両への変更が行われる。
【0053】
離脱中又は通過走行中に追越し操縦が中止されると、これが指標量TTCA,Bにより検出される。指標量TTCA,Bは、車両Aが運動状態を維持する際、車両全面が追越すべき先行車両Bの後部の高さにどれ位の期間後に達するかを示す。部分操縦“離脱“中に車両Aが減速し、指標量TTCA,Bが求められないと、先行車両Bが追いつかれず、即ち相対速度τrelが小さすぎ、従って“中止”が存在することが確認される。車両Aが“通過走行”状態にあり、従って追越すべき先行車両Bの後部に既に追いついていると、指標量TTCA,Bは異なる解釈をされる。即ち追越し操縦を続行すると、指標量TTCA,Bはもはや求められない。なぜならば、車両Aの車両前面と追越される先行車両Bの後部は、もはや1つの高さにないからである。しかし通過走行中に指標量TTCA,Bが求められると、これは、車両Aが減速していることを示唆する。図6によれば、この場合指標量TTCA,Bが求められて限界値TTCA,Bthを下回ると、“中止”が検出される。追越し操縦が短い減速後もなお続行される場合、更に状態移行が行われて、部分操縦“中止”から始まって追越し過程の続行を確認する。
【0054】
危険な場合事故を回避する手段を早期に開始できるようにするため、車両Aの車線の車両通行帯境界線Lを乗越える前に既に、追越し開始が予想されるようにする。この目的のため図7によれば、別の指標量として、車両Aの現在の走行運動に基いて車両通行帯境界線Lを乗越えるまでの期間を示す境界線横断までの時間TLCが形成される。
【0055】
図5によれば、この指標量TLCは、縦運動追越し指標IとANDゲートGにより論理演算されるので、縦運動追越し指標Iが閾値TLCthの指標量TLSを下回りかつ閾値Ithを上回ると、追越し開始が予想され、即ちゲートGの出力端で信号OTDが論理1にある。
【0056】
通常の走行状態で十分なたくましさを得るけれども、実際の追越し開始の場合早期の確認を行うため、TLCth閾値が走行状況に動的に合わされる。図5の特性曲線Kによる縦運動追越し指標Iが追越しを明確に示唆するほど、車両通行帯境界線Lへの観察される進入が離脱過程の開始に起因するという前提からよく出発することができる。従って1つの値から始まってTLCth閾値がそれだけ大きく低下される。TLCth閾値の適応は直線的に行われ、縦運動追越し指標Iが最大になると、TLCth閾値は最小になる。
【0057】
追越し状況を認識すると、“追従走行”状態から開始されるか又は既に開始された追越し操縦が危険なしに実行又は終了可能であるか否かが、連続的に評価される。このため加速挙動のモデルに基いて、追越し予想が行われ、関与する車両AとBの相対運動(図8参照)が追越し操縦の終わりまで予測される。追越し操縦が既に開始されていると、車両Aの実際の加速挙動が考慮される。
【0058】
追越しの終わりに左の車線を完全に離れた時点に、図8によれば、ここでは車両Cにより示される対面交通の衝突までの時間TLCpredが、式
により評価され、ここでdgegは対向車両Cに対する間隔、νAは追越す車両Aの速度、νCは対向車両Cの速度である。
【0059】
この量TLCpredは、追越しの終わりに対面交通に対する余裕間隔を再現し、時間単位としてよく解釈可能である。
【0060】
予想されるTLCpredにより、既に追越し前又は追越し開始中に、追越し過程の終了の際対面交通に対する十分な安全間隔dが残るか否かを評価することができる。それが閾値TLCpred,thを下回っていると、対向交通が既に近すぎでおり、追越し操縦をしないか又は中止せねばならない。
【0061】
図1及び2による運転者援助システムでは運転操縦認識は運転操縦認識装置41において行われ、例えば車両Cの物体追跡は、状況分析モジュール40の物体追跡装置42により行われる。状況解釈は、状況分析モジュール40の評価装置43が行う。
【0062】
評価装置43が危険な追越し操縦を通報すると、運転者援助システム1が、評価装置43により始動される警告装置51によって運転者に知らせ、警告は光、音及び/又は触覚で行うことができ、同時に運転者援助システムが事故を回避する中止操縦の計画を開始する。追越し開始の際対向車両Cの距離及び相対速度に応じて、早いか又は遅い中止操縦が必要である。
【0063】
このため図9による表は、追越し状況の3つの例、即ち中止なしの追越し状況、及び早い中止を伴う追越し状況及び遅い中止を伴う追越し状況を示している。
【0064】
第1の場合、指標量TTCpredの値がその閾値TLCpred,thより大きいので、追越し過程を危険なく終了することができる。
【0065】
他の両方の場合の状況が図10及び11に示され、指標量TLCpredに対してそれぞれ
TLCpred<TLCpred,th
が成立し、従って追越しが危険であるか、又は対向車両に対して予想される距離のため可能でなく、先行車両Bの後に着くことが必要である。
【0066】
このような事例が状況分析モジュール40により認識されると、先行車両の速度以下へ一定の減速度で制動が行われるが、動的な戻しかじ取りを可能にするため最小速度までにのみ制動される。
【0067】
このため状況分析モジュール40の評価装置43が車両Aの制動システムの操作器52を始動して、制動過程を開始し、それにより運転者が再び先行車両Bの後へ割込むようにさせる。追越し過程の臨界が増大すると、段階づけられる警告例えば段階1、段階2等が、警告−介入モジュール50により開始される制動介入による中止まで行われる。
【0068】
図10は早い中止の状況を示し、車両Aの速度νAが、評価装置43により開始される制動過程によって、時点tbrakeに先行車両Bの速度に合わされると、先行車両Bの後への車両Aの直接割込みが可能であり、同じ時点tsteerに、先行車両Bの後の車線への戻しかじ取りも始まる。
【0069】
図11による車両Aは、既に先行車両Bのそばを通る状態にあるので、車両Aは先行車両Bの後へ逆戻りするまで制動されねばならず、それから図11の線図2aに示すように、時点tsteerに再び割込むことができる。
【0070】
これに反し、図11の線図2bによれば、車両は速度νminまで制動されるので、時点tsteerに先行車両Bの後の車線へ戻しかじ取りできるまで一層長く持続する。
【0071】
車両A及びBの現在の間隔及び速度から、事故を回避する中止操縦のために利用可能な時間τreqも利用可能な時間τavailも計算される。必要な時間は、車両Aが左の車線を再び出て先行車両Bの後の車線へ再び割込むまで、経過する(と予測される)時間である。
しかし追越す車両Aが戻りかじ取り前に初めて先行車両Bの後へ逆戻りせねばならない場合、必要な時間がそれに応じて長くなる。先行車両Bが前方へ向けられる周辺センサ10の検出範囲を既に離れている時にも、この期間を求めることができるようにするため、車両Aは、走行操縦を認識する方法により、モデルに基いて続行される。利用可能な時間τavailは、中止される追越し状況を示す図12からわかるように、先行車両Bの後部に対向車両Cが達するまでに多分経過する時間である。
【0072】
これによれば、追越し中止のために必要な時間τreqは
τreq=τNoSteer+τ
であり、ここでτNoSteerは車両Aの逆戻り時間の期間、従って先行車両Bの後へ逆戻りし、その後再び割込むまで、追越し車線上で必要とする時間であり、τSteerは先行車両Bの車線への戻りかじ取りの期間であり、後者の値τSteerに対して例えば3Sの一定値が仮定される。
【0073】
追越し中止のために利用可能な期間は、先行車両Bの後部に対する対向車両Cの前面の間隔dBCの量と、車両B及びCの速度νB及びνCから得られ、衝突までの時間値TTCBCとして次のように計算される。
【0074】
運転者援助の経過のための基礎として、追越し中止の予想される期間τreqとこのために利用可能な時間τavailとの差が使用される。この差Δτdif=τavail−τreqは、閾値τdiff,th,i(i=1,2,・・・)を介して、段付けされる警告を、図13に示すように、事故を回避する制動介入まで発生する。
【0075】
この図13によれば、t−τ線図a)は、追越し中止のために必要な期間τreqとこのために利用可能な時間τavailとの時間差の推移と、運転者への情報、警告及び制動介入の対応を示す。
【0076】
t−OTD線図b)は追越し過程の認識を示し、OTD値は指標量Iと図5による指標TLCとのAND演算から形成される。
【0077】
最後の線図c)は、指標TTCpredの評価により、この指標TTCpredにより示される追越し過程の終わりに時間的安全間隔がその閾値TTCpred、th以下に低下する時、追越し過程が危険になる時点t1を示す。
【0078】
時点t2に、図1による運転者援助システム1の状況分析モジュール40の評価装置43により、追越し過程の開始が認識され、同時にこの評価装置43によって、必要な時間τreq及び利用可能なτavilが、時間差Δτdif(t)として、時間tに関係して計算される。この時点t2に、車線上で先行車両Bの後へ再び割込むために、期間(τNoSteer=0)は必要でないであろう。なぜならば、この時点に開始される制動過程は、車両の通過走行状態の要求が達せられるのを妨げるからである。
【0079】
時点t2の前に、1つの通報だけが、例えば光により、追越し過程の危険性について、図1による援助システム1の警告装置51により行われ、時点t2から、更に音及び/又は触覚によっても、自動制動過程が開始される最後の可能な中止時点t4まで、増大する強さで警告が行われる。
【0080】
時点t3に、制動過程は、車両Aの通過走行状態が行われるのを妨げないので、この車両Aの制動により、初めて先行車両Bの後へ逆戻りせねばならず、即ちτNoSteer>0である。この必要な制動のため、期間τreqも増大する。
【0081】
運転操縦特に追越し過程及びその部分操縦例えば離脱、通過走行及び割込みの認識のために構成されている図1の運転者援助システム1は、静止している物体例えば車道縁に停止している車両を回避するためにも有利に使用可能であり、対向車両の場合にも警告され、又は静止物体に到達する前に自動的に制動が行われる。
【0082】
低い速度範囲においても、本発明による援助システムは有利に使用可能である。なぜならば、そこでは例えば交通を安定化される道路部分では、保護柱又は植木鉢等である障害物のような静止物体も同様に回避されねばならず、対面交通では他の車両、自転車乗り及び歩行者が警告されるか、又は自動的な制動が行われ、それにより特に有効な歩行者保護を実現することができるからである。
【符号の説明】
【0083】
1 運転者援助システム
10 周辺センサ装置
11 レーダセンサ装置
12 ビデオセンサ装置
20 車両センサ装置
30 センサ評価装置
31 画像処理装置
32 センサ融合装置
40 状況分析モジュール
41 運転操縦認識装置
42 物体追跡装置
43 評価装置
50 警告−介入モジュール
51 警告装置
52 制動システム用操作器
A 運転者援助システムを持つ車両
B 先行車両
C 対向交通の車両
EKF 走行距離計
G ANDゲート
K 指標量を求めるための特性曲線図
L 車線限界、車両通行帯境界線
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の自動車の運転操縦特に追越し操縦又は回避操縦の自動認識方法に関する。更に本発明は、請求項13に記載のこの本発明による方法を含む運転者援助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102004018681号明細書から、車両と対向車両との衝突を回避する方法が公知であり、現在の速度及び同じ方向に走行する先行車両に対する現在の間隔から、特に計画される追越し過程のための運転勧告が形成される。対向車両は少なくとも1つのレーダ装置により認識され、運転勧告の際考慮される。
【0003】
運転勧告により運転者を効果的に援助するため、運転者の意図を確実に認識し、こうして特に追越し操縦及びその部分操縦及び追越し操縦の開始も、実際の開始前に確実に予想できることが必要である。
【0004】
CAN−Bus−Daten“,Automobiltechnische Zeitschrift,vol.110,no.11/2008,pp.1024−1028に、運転者の意図を確認する方法が記載されており、制動圧力、加速ペダル位置、走行速度及び交差点までの距離の入力データとACC情報から、ファジー論理回路により、運転者の3つの意図“左(右)折する”、“道路に従う”及び“追越す”を知るための手掛かりが求められる。しかしこの方法の欠点は、運転者の意図を知るために、車両の横運動量が使用されず、めんどうなパラメータ化が必要であり、その際使用される量が複雑なファジー論理システムにより解釈するのがめんどうなことである。
【0005】
Sicherheit durch Fahrerassistenz,Garching,2006から、運転者の意図を知る別の方法が公知であり、追越し操縦を確認するために、かじ取り角、かじ取り角速度、車両速度、縦加速度、GPSデータ及びディジタルカードから求められる道路かじ取り角(曲折)、先行車両に対する間隔及び相対速度、及び車両の側方ずれのような車両量及び周辺量が使用される。しかしこの方法の欠点は、高精度のGPS受信機及びディジタルカードが必要なことである。
【0006】
更に最後に説明した両方法では、追越し過程の開始及び対向車線への進入の時点の予想が不可能なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の課題は、最初に述べた種類の運転操縦特に追越し操縦及び回避操縦の確認方法を提示し、それにより前記の欠点を回避し、この方法を簡単にかつ少ないパラメータで実施可能にし、この方法により追越し操縦の確認及び予想を確実に可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は請求項1の特徴を持つ方法によって解決される。
【0009】
本発明による方法は次の特徴を持っている。
a)自動車(A)の評価された位置データ(X)から次の指標量、即ち
車線標識又は車道標識(L)に対する自動車(A)の横間隔値(LOL,LOR)、走行方向にある物体(B)特に先行車両(B)に対する間隔(d)に関する衝突までの時間値(TTCA,B)、
衝突までの時間値の指標量(TTCA,B)及び自動車の加速ペダルの位置(FPS)に相当する値から形成される縦運動追越し指標又は回避指標(I)
が形成され、
b)これらの指標量(LOL,LOR,TTCA,B,I)のために閾値(Ith,TTCA,B,th)が求められて、追越し過程又は回避過程、特に追従走行、車線変更、静止又は動いている物体(B)のそばの通過走行、追越される物体(B)の車線への入り込みの部分操縦を認識するため、及びこれらの部分操縦の間の移行を認識するための基準として使用される。
【0010】
本発明によるこの方法の利点は、走行距離測定装置から評価される量、及び追越すべき車両又は回避すべき物体例えば障害物に関する周辺データが、縦及び横運動の指標量に圧縮され、それにより特に行われる操縦及び追越し操縦の予想に関して容易に解釈可能になることである。
【0011】
本発明による方法のために、走行距離測定装置へ供給される縦及び横の運動情報が必要であり、少なくとも1つの縦運動量例えば車両速度及び/又は車両加速度が車輪の回転数から求められる。横運動情報は、ヨーレイトセンサ及び/又は横加速度センサにより求めることができる。横運動情報を、左の車輪と右の車輪の車輪回転数の差のみから誘導して求めることも可能である。
【0012】
運転操縦を確認するため、従来技術に比べて少ない数のこのような指標量が利用され、本発明によるこれらの指標量は、パラメータ化の費用が少なく、よく解釈できるという利点を持っている。
【0013】
確認すべき運転操縦は、運転操縦が状態としてモデル化され、これらの運転操縦間の移行が本発明によるこれらの指標量に関係してモデル化される状態線図により、確認することができる。
【0014】
先行車両の後の追跡走行を求めるため、又は自由走行を求めるため、本発明の展開によれば、走行方向に存在する静止又は運動物体特に先行車両に対する時間間隔及びその閾値が用いられる。
【0015】
本発明の有利な展開によれば、別の指標量が、境界線横断までの時間値として、車線認識及び/又は車道認識のデータ及び自動車の運動情報から求められ、指標量の閾値が基準として求められ、この閾値が、縦運動追越し指標及びその閾値の基準と共に、追越し過程又は回避操縦の開始の予想のために使用される。これにより追越し操縦の開始が早期に確認され、従って運転者援助システムの範囲内で、場合によっては運転者に早期に警告できるようにするため、危険状態に関する状況分析も早期に可能である。路線横断までの時間値の指標量の基準としての閾値が、縦運動追越し指標に関係して形成されるのがよく、路線横断までの時間値の指標量は、横切るまでの期間又は対向車線に対する標識を形成する車両走行帯境界線までの期間を示す。境界線横断までの時間値の指標量は、車両の横運動情報により求められ、従って例えば車両のヨーレイト及び/又は横加速度により求められる。なぜならば、これからまず車道の湾曲が求められるからである。車道湾曲の湾曲評価は、車両の車輪回転数の差に基いて又はかじ取りハンドル角から行うことができる。
【0016】
動く物体の後特に先行車両の後の追従走行の運転操縦状態は、時間間隔の指標量によりモデル化され、時間間隔の指標量がその閾値を下回ると、先行車両の後の追従走行が認識される。他の場合車両の自由走行が前提となる。
【0017】
更に本発明の有利な展開では、対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線に対する車両の横間隔の指標量の負の値では、車線変更又は近接車線への離脱が追越し過程の部分操縦として認識され、従って追越し過程の開始と解釈される。
【0018】
本発明の別の有利な構成によれば、自動車の運動情報のデータ及び走行方向にあって静止しているか又は動いている物体に対する自動車の間隔値に基いて、衝突までの時間値の指標量が求められず、従って例えば車両が制動され、それにより先行車両へもはや到達せず、かつ/又は対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線に対する車両の横間隔の指標量が正になり、即ち車両が再び先行車両の後へ割り込むと、このような部分操縦の中止が認識される。
【0019】
部分操縦状態“通過走行”は、走行方向にあって静止しているか又は動いている物体に対する自動車の間隔値の負の値によりモデル化され、即ちその場合開始される追越し過程の続行が認識される。
【0020】
この部分操縦状態“通過走行”から、衝突までの時間値の指標量を求めることが可能であることによって、即ち先行車両のそばを通過中に運転者が制動過程を開始する場合に、追越し過程の中止段階への移行がモデル化される。衝突までの時間値の指標量(TTCA,B)を求めることが可能である場合、この指標量がその閾値を下回ると、通過走行の中止が認識される。
【0021】
本発明の有利な展開によれば、対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線に対する車両の横間隔値の指標量が、正の値をとり、追越される物体特に先行車両に対する自動車の間隔値の指標量が、自動車と追越される物体従って例えば先行車両の長さの負の和より小さいと、割込みが追越し過程を終了する部分操縦であると認識される。
【0022】
有利なように割り込みを認識するため、対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線に対する車両の横間隔値の指標量として、自動車の前右隅からの間隔の値が使用され、一方隣接車線への車線変更又は離脱の認識のため、車両通行帯境界線に対する車両の横間隔値の指標量として、自動車の前左隅からの間隔の値が使用される。
【0023】
本発明の第2の課題は、請求項13の特徴によって解決される。
【0024】
即ち 自動車用運転者援助システム、特に追越し又は回避の援助装置は、
車線及び車道を認識しかつ自動車の周辺にある物体の位置を求める周辺センサ装置、
自動車の周辺の電子写像を形成するセンサ評価装置、
運動情報を検出する車両センサ装置、
追越し過程又は回避過程、特に先行車両の追従走行、車線変更、動いているか又は静止している物体のそばの通過走行、及び追越される物体の車線への割込みの部分操縦を認識するため、及びこれらの部分操縦の間の移行を認識するため、本発明による方法を実施する運転操縦認識装置、
周辺センサ装置に基いて対面交通の認識される車両又は物体を追跡するための物体追跡装置、
対面交通の認識される車両及び/又は物体に関して認識される運転操縦及び/又は部分操縦の実行可能性を評価しかつ求め、予想される追越し過程の際又は認識される追越し過程中に、認識される運転操縦及び/又は部分操縦が危険であるか又は実行不可能であると評価される時、運転者に警報を与えるため警報装置を制御し、かつ/又は対面交通の認識される車両及び/又は物体との衝突が認識される場合、車両の重要な機能の1つ又は複数の操作素子特に制動装置及び/又はかじ取り装置及び/又は動力伝達系を操作する評価装置
を含んでいる。
【0025】
本発明による方法を使用するこのような運転者援助システムでは、追越し状況又は回避状況を認識すると、追従走行状態から開始される追越し操縦が危険なしに実行可能であるか又は終了可能であるかが、持続して評価される。場合によっては運転者が警告され、更に制動又は先行車両の後への割込みによって対面交通との衝突が防止可能であるか否かを評価する。その場合運転者援助システムは、最後の可能な時点に車両を自動的に制動するので、運転者は再び先行車両の後へ割込むことができる。その際制動介入の強さは、なるべく介入の時点における加速ベダル位置に関係させることができる。
【0026】
本発明による援助システムの有利な構成によれば、評価装置が、予想されるか又は認識される追越し過程を評価するための指標量を求めるように構成され、この指標量が、車両センサ装置及び物体追跡装置のデータに基いて、予想されるか又は認識される追越し過程の終わりの予想される時点に、対面交通の認識される車両及び/又は物体に対する衝突までの時間値として求められると、特に有利である。これに基いて、関与する車両の相対運動が追越し操縦の終わりまで予測されるように、追越し予想を行うことができる。従って対面交通の認識される車両及び/又は物体に対する衝突までの時間値の指標量は、追越し開始の前に既に評価可能であり、追越し過程の終了後、対面交通に対する十分な安全間隔がまだ残っているように、指標量の閾値を定めることができる。この閾値を下回ると、対面交通が既に近すぎ、追越し操縦をやめるか又は中止すべきであることが、運転者に通報される。
【0027】
運転者への警告は、音で例えば言語により、光により又は触覚により行うことができる。
【0028】
図面を参照して、本発明が以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】 本発明による運転者援助システムの実施例の概略図を示す。
【図2】 図1による運転者援助システムの部分システムの概略ブロック線図を示す。
【図3】 車両位置の走行距離測定による算定を示すブロック線図を示す。
【図4】 指標量LOR及びLOLを説明するため車両上の車両状態の概略図を示す。
【図5】 追越し過程の検出を説明するためのブロック線図を示す。
【図6】 追越し過程の部分操縦を求めるための状態図を示す。
【図7】 指標量TLCを求めるため車道上の車両状態の概略図を示す。
【図8】 対面交通を含む追越し過程の場合における交通状況の概略図を示す。
【図9】 追越し状況の例を含む表を示す。
【図10】 中止を含む追越し過程の交通状況の概略図を示す。
【図11】 中止を含む追越し過程の別の交通状況の概略図を示す。
【図12】 中止操縦のために重要な期間を求めるため対面交通を含む交通状況の概略図を示す。
【図13】 本発明による運転者援助システムの警告及び制動介入に関する時間関係を示す時間図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1による運転者援助システム1の概略図は、車両周辺を検出する周辺センサ装置10を持つ自動車A、及び例えば加速ペダルの位置のようなその他の必要な量として車両運動量を検出する付属の車両センサ装置20を示す。周辺センサ装置10は、レーダセンサ装置11及びビデオセンサ装置12を備え、これらのセンサ装置のデータは、車両周辺の電子写像を発生するセンサ評価装置30において検出されかつ評価される。このためまずビデオセンサ装置12のビデオデータに基いて、画像処理装置31により物体及び空き地の認識が行われ、続いてセンサ融合装置12においてこれらの融合情報が、レーダセンサ装置11のレーダデータと融合されるので、これから車両周辺の電子写像を作成することができる。
【0031】
このような電子写像の発生に必要な方法は当業者に周知なので、原理的な説明は十分であり、従って以下に詳細な説明は行わない。
【0032】
例えばビデオ画像を街路、車両、側帯又は近接範囲(約50mまで)にある茂み又は森のようなクラスに画素状に区分すること、画像に基く光景理解、従って緊急な状況における回避操縦及び制動操縦のための障害物及び行動空間の計算が可能になる。画像区分の詳細な表示は、”A dynamic conditional random field model for joint labeling of object and scene classes”,European Conference on Computer Vision(ECCV),Marseille,2008,p.733−747からわかる。センサ融合装置32における継続処理のために、ビデオ画像の全光景の区分及び画像に基く物体検出器からの物体検出が使用される。前述した画像区分は選択的である。なぜならば、他の公知の画像評価方法も同様に適しているからである。このような画像区分は、特に回避操縦を決定するのに適している。
【0033】
対面交通の物体を認識するため、レーダセンサ装置11が用いられ、そのデータが、センサ融合装置32において、画像処理装置31からの画像に基く物体検出と融合されて、物体追跡を行う。自動車Aのヨーイング運動が考慮される場合、物体形跡を失うことなく連続的な物体追跡が可能である。なぜならば、自動車Aの予想される横ずれが考慮されるからである。
【0034】
車両周辺の電子写像は、状況分析モジュール40において状況分析を受け、このために車両センサ装置20のデータも使用される。この状況分析により、現在の運転操縦が運転者の追越し操縦又は相応する意図として認識されると、追越し操縦の予測により、認識される対向車両との衝突の危険が評価される。この評価に関係して、運転者への警告の送出又は操作装置の始動例えば自動車Aの制動機の操作のため、警告−介入モジュール50が始動される。
【0035】
次に運転者援助システム1のこの状況分析モジュール40及び警告−介入モジュール50の動作が、図2等に関連して詳細に説明される。
【0036】
危険な場合運転者援助システム1が、警告又は積極的な介入により回避操作の中止に作用を及ぼすことができるようにするため、状況分析において、一方では現在の運転操縦の実施を認識し、他方では危険状況の存在を認識せねばならない。
【0037】
運転操縦は、大体において車線に沿うか車線に対して横向きの車両の運動によって規定されるので、まず車線に対する車両の位置、向き及び運動が求められる。そのため図3による走行距離測定装置において、車両センサ装置20のデータとビデオセンサ装置のデータに基く車線認識のデータが融合される。
【0038】
走行距離測定装置は、車道上の車両の位置、速度及び向きとその他の状態量を評価するのを可能にする。これらの評価量は、操縦認識、他の状況分析アルゴリズムを制御のために使用可能にする。
【0039】
状況評価のため拡張カルマンフィルタEKFが使用される。そのため車道に対する車両の運動と、使用される車両センサ装置20及び周辺センサ装置10の観察が、状態図において、
y=h(x,u)(Beobachtungsmodell)
の形でモデル化され、車両モデル及び車道モデルの結合によって、車両センサ装置20及びカメラに基く車線認識のデータが、図3によるビデオセンサ装置12のデータに基いて融合される。
【0040】
カメラに基く車線認識は、相対ヨーイング角θ、車道の湾曲co、車線幅bLane及び車線中心に対する車両の横ずれyLane(偏心率)の評価を供給する。
【0041】
車両センサ装置20は、車両Aの必要な横及び縦の運動情報、図3により量として、ヨ
RRを供給し、これらの量は車両又は車道の評価ベクトルの最適な評価を可能にする。本発明による方法の機能のために、縦運動情報例えば少なくとも1つの車輪回転数からの縦速度、及び例えばヨーレイト及び/又は横加速度としての横運動情報を求めれば十分である。
横運動情報は、左車輪及び右車輪の車輪回転数の差から評価によって、また車両のかじ取りハンドル角の検出によっても、求めることができる。
【0042】
拡張されたカルマンフィルタEKFにおいて使用される車線幅bLane及び偏心率用の観察モデルは、車線認識の基準車線が変わる時、動的に合わされる。正しいモデル式の選択は、車線認識からの測定量yと拡張されたカルマンフィルタEKFの予想段階に応じて予想される値h(x*,u)との比較によって行われる。車線認識の短時間中止があると、対応する観察モデル式が省略され、評価が一時的に車両センサ装置に基いてのみ続行される。それにより車線にわたる自己位置測定に成功し、車線認識の短時間中止を走行距離計で切り抜けることができる。拡張されたカルマンフィルタEKF従って走行距離計の出力として、図3により状態ベクトル
ここでvx及びvyは車両の縦方向及び横方向における重心速度を示し、xR及びyRは車道座標系における車両の位置を示し、
θは相対ヨーイング角を示し、
yRMR及びyRMLは、車道座標系に関して中央及び左の車線標識の横方向位置を示し、
coは車道湾曲を示す。
【0043】
走行距離計の評価される量及び追越すべき車両に関する周辺データに基いて、横運動及び縦運動の指標量が形成される。異なる操縦の固有の認識は、異なる操縦の間の移行が指標量に関係してモデル化される状態線図を介して行われる。
【0044】
横運動に関して、車道上の横位置yR及び相対ヨーイング角θが、中心量として使用される。車道の推移に関係なく、これらの評価量は表出可能であり、車線変更の検出を可能にする。指標量として図4によれば、車両通行帯境界線に対する車両前面の横間隔LOL及びLORが形成され、LOLは車両通行帯境界線Lに対する車両Aの前左隅の間隔を示しLORはその前右隅の間隔を示す。
【0045】
例えば曲がるために車両が左のみへ動くか否か、又は追越しの意図で離脱が実際にあるか否かを確認するために、更に縦運動が考慮される。自己の車両Aの前に他の車両Bが存在する時にのみ、追越し可能性がある。速度とは無関係に解釈可能な間隔として、先行車両Bに対する時間間隔τが、別の指標量として使用される。
τ=d/ν
ここでdは先行車両Bとの間隔を示し、νは車両Aの車両速度を示す。
【0046】
先行車両に対する小さい間隔d、高い相対速度及び高い相対加速度が、追越しの開始を示す。これに反し大きい間隔d、小さいが負の相対速度及び加速度は、追越し操縦を起こりそうもなくする。なぜならば、これは長く続きそうであるか、又は運動状態の維持は先行車両への追いつきを起こさないだろうからである。
【0047】
従って別の縦運動指標として、現在の状況から行われる追越し操縦の予想される期間が用いられる。しかし先行車両Bの長さLobjは、追越し操縦の早い段階では評価困難なので、操縦認識の際予想される追越し期間の代わりに、量として衝突までの時間(TTCA,B)の計算が使用され(図7参照)、両方の車両AとBとの相対加速度arelが考慮される。
【0048】
この指標量TTCA,Bにおいて、量として間隔d、相対速度νrel及び相対加速度arelがただ1つの指標で表され、一定な行程要素(車両A及びBの長さlago及びlobj)を無視するにもかかわらず、指標の解釈は依然として存在する。計算は例外なくかつ衝突進路が存在するか否かに関係なく行われる。
【0049】
指標量TTCA,Bも、走行状況において追越し開始のため先行車両Bへ接近する意向があるか否かについての説明を与えない。一方では、接近が行われているけれども、この接近は意図されず、先行車両Bの制動の結果生じる、ということがあり得る。他方では、先行車両Bへの接近が意図されているけれども、加速能力の不足のため車両A従って指標量TTCA,Bが運転者の希望に強く反応しないことが、あり得る。しかしこれら両方の事例は、加速ペダル位置を見ることによって認識される。即ち指標量TTCA,Bが小さいけれども、運転者が加速ペダルを踏むと、第1の事例が起こる。指標量TTCA,Bが先行車両Bへの中位の接近しか示していないけれども、加速ペダルが十分踏み込まれていると、第2の事例が起こる。このような制御により指標量TTCA,Bとペダル位置の値FPSが、ファジー論理により新しい指標量1にまとめられ、この指標量が単独に考察された指標量TTCA,Bの不足をなくす。ファジー論理により形成され続いて平滑にされる特性曲線図Kが、図5に概略的に示されている。
【0050】
走行距離計の評価された量及び追越すべき先行車両Bに関する周辺データから今や誘導されて圧縮されかつ容易に解釈可能な指標量は、行われた操縦即ち追越し操縦及び車線離脱、通過及び割込みのような部分操縦を認識し、追越し操縦の予想を行うために使用される。
【0051】
要約すれば、次の指標量が使用される。
LOR・・・車線の車両通行帯境界線Lと車両Aの前右隅との横間隔
LOL・・・車線の車両通行帯境界線Lと車両Aの前左隅との横間隔
d・・・・先行車両Bに対する間隔
TTCA,B・衝突までの時間値
I・・・・・縦運動の追越し指標
τ・・・・・先行車両Bに対する時間間隔
【0052】
異なる操縦の実際の認識は図による状態線図について行われ、この線図において操縦は、状態及び操縦状態の間の移行として、指標量に関係してモデル化される。
“自由走行”状態で初期化後、場合によっては先行車両Bに対して時間間隔閾値τrtを下回ると、状態“追従走行”が仮定される。左の間隔LOLにより車両通行帯境界線Lの乗越えが確認され、Ithの超過により追越し指標Iが追越し意図を表示すると、状態“離脱”への移行により、追越し開始が検出される。追越し続行の際、車両Aの車両前面が追越すべき車両B(先行車両)の後部を追越すと、即ちd<0になると、部分操縦“通過走行”への移行が行われる。続いて車両Aが追越される先行車両Bのそばを完全に通過し、従って図4によるd<−(lobj+lego)が成立し(lobj及びlegoは車両A及び先行車両Bの長さ)、車両Aが自己の車線へ戻り、即ちLOR>0が成立すると、部分操縦“割込み”が認識される。追越し過程の終了は、LOL<0となる割込み過程の終了により認識され、それにより再び“自由走行”状態へ変えられ、場合によっては新しい基準車両への変更が行われる。
【0053】
離脱中又は通過走行中に追越し操縦が中止されると、これが指標量TTCA,Bにより検出される。指標量TTCA,Bは、車両Aが運動状態を維持する際、車両全面が追越すべき先行車両Bの後部の高さにどれ位の期間後に達するかを示す。部分操縦“離脱“中に車両Aが減速し、指標量TTCA,Bが求められないと、先行車両Bが追いつかれず、即ち相対速度τrelが小さすぎ、従って“中止”が存在することが確認される。車両Aが“通過走行”状態にあり、従って追越すべき先行車両Bの後部に既に追いついていると、指標量TTCA,Bは異なる解釈をされる。即ち追越し操縦を続行すると、指標量TTCA,Bはもはや求められない。なぜならば、車両Aの車両前面と追越される先行車両Bの後部は、もはや1つの高さにないからである。しかし通過走行中に指標量TTCA,Bが求められると、これは、車両Aが減速していることを示唆する。図6によれば、この場合指標量TTCA,Bが求められて限界値TTCA,Bthを下回ると、“中止”が検出される。追越し操縦が短い減速後もなお続行される場合、更に状態移行が行われて、部分操縦“中止”から始まって追越し過程の続行を確認する。
【0054】
危険な場合事故を回避する手段を早期に開始できるようにするため、車両Aの車線の車両通行帯境界線Lを乗越える前に既に、追越し開始が予想されるようにする。この目的のため図7によれば、別の指標量として、車両Aの現在の走行運動に基いて車両通行帯境界線Lを乗越えるまでの期間を示す境界線横断までの時間TLCが形成される。
【0055】
図5によれば、この指標量TLCは、縦運動追越し指標IとANDゲートGにより論理演算されるので、縦運動追越し指標Iが閾値TLCthの指標量TLSを下回りかつ閾値Ithを上回ると、追越し開始が予想され、即ちゲートGの出力端で信号OTDが論理1にある。
【0056】
通常の走行状態で十分なたくましさを得るけれども、実際の追越し開始の場合早期の確認を行うため、TLCth閾値が走行状況に動的に合わされる。図5の特性曲線Kによる縦運動追越し指標Iが追越しを明確に示唆するほど、車両通行帯境界線Lへの観察される進入が離脱過程の開始に起因するという前提からよく出発することができる。従って1つの値から始まってTLCth閾値がそれだけ大きく低下される。TLCth閾値の適応は直線的に行われ、縦運動追越し指標Iが最大になると、TLCth閾値は最小になる。
【0057】
追越し状況を認識すると、“追従走行”状態から開始されるか又は既に開始された追越し操縦が危険なしに実行又は終了可能であるか否かが、連続的に評価される。このため加速挙動のモデルに基いて、追越し予想が行われ、関与する車両AとBの相対運動(図8参照)が追越し操縦の終わりまで予測される。追越し操縦が既に開始されていると、車両Aの実際の加速挙動が考慮される。
【0058】
追越しの終わりに左の車線を完全に離れた時点に、図8によれば、ここでは車両Cにより示される対面交通の衝突までの時間TLCpredが、式
により評価され、ここでdgegは対向車両Cに対する間隔、νAは追越す車両Aの速度、νCは対向車両Cの速度である。
【0059】
この量TLCpredは、追越しの終わりに対面交通に対する余裕間隔を再現し、時間単位としてよく解釈可能である。
【0060】
予想されるTLCpredにより、既に追越し前又は追越し開始中に、追越し過程の終了の際対面交通に対する十分な安全間隔dが残るか否かを評価することができる。それが閾値TLCpred,thを下回っていると、対向交通が既に近すぎでおり、追越し操縦をしないか又は中止せねばならない。
【0061】
図1及び2による運転者援助システムでは運転操縦認識は運転操縦認識装置41において行われ、例えば車両Cの物体追跡は、状況分析モジュール40の物体追跡装置42により行われる。状況解釈は、状況分析モジュール40の評価装置43が行う。
【0062】
評価装置43が危険な追越し操縦を通報すると、運転者援助システム1が、評価装置43により始動される警告装置51によって運転者に知らせ、警告は光、音及び/又は触覚で行うことができ、同時に運転者援助システムが事故を回避する中止操縦の計画を開始する。追越し開始の際対向車両Cの距離及び相対速度に応じて、早いか又は遅い中止操縦が必要である。
【0063】
このため図9による表は、追越し状況の3つの例、即ち中止なしの追越し状況、及び早い中止を伴う追越し状況及び遅い中止を伴う追越し状況を示している。
【0064】
第1の場合、指標量TTCpredの値がその閾値TLCpred,thより大きいので、追越し過程を危険なく終了することができる。
【0065】
他の両方の場合の状況が図10及び11に示され、指標量TLCpredに対してそれぞれ
TLCpred<TLCpred,th
が成立し、従って追越しが危険であるか、又は対向車両に対して予想される距離のため可能でなく、先行車両Bの後に着くことが必要である。
【0066】
このような事例が状況分析モジュール40により認識されると、先行車両の速度以下へ一定の減速度で制動が行われるが、動的な戻しかじ取りを可能にするため最小速度までにのみ制動される。
【0067】
このため状況分析モジュール40の評価装置43が車両Aの制動システムの操作器52を始動して、制動過程を開始し、それにより運転者が再び先行車両Bの後へ割込むようにさせる。追越し過程の臨界が増大すると、段階づけられる警告例えば段階1、段階2等が、警告−介入モジュール50により開始される制動介入による中止まで行われる。
【0068】
図10は早い中止の状況を示し、車両Aの速度νAが、評価装置43により開始される制動過程によって、時点tbrakeに先行車両Bの速度に合わされると、先行車両Bの後への車両Aの直接割込みが可能であり、同じ時点tsteerに、先行車両Bの後の車線への戻しかじ取りも始まる。
【0069】
図11による車両Aは、既に先行車両Bのそばを通る状態にあるので、車両Aは先行車両Bの後へ逆戻りするまで制動されねばならず、それから図11の線図2aに示すように、時点tsteerに再び割込むことができる。
【0070】
これに反し、図11の線図2bによれば、車両は速度νminまで制動されるので、時点tsteerに先行車両Bの後の車線へ戻しかじ取りできるまで一層長く持続する。
【0071】
車両A及びBの現在の間隔及び速度から、事故を回避する中止操縦のために利用可能な時間τreqも利用可能な時間τavailも計算される。必要な時間は、車両Aが左の車線を再び出て先行車両Bの後の車線へ再び割込むまで、経過する(と予測される)時間である。
しかし追越す車両Aが戻りかじ取り前に初めて先行車両Bの後へ逆戻りせねばならない場合、必要な時間がそれに応じて長くなる。先行車両Bが前方へ向けられる周辺センサ10の検出範囲を既に離れている時にも、この期間を求めることができるようにするため、車両Aは、走行操縦を認識する方法により、モデルに基いて続行される。利用可能な時間τavailは、中止される追越し状況を示す図12からわかるように、先行車両Bの後部に対向車両Cが達するまでに多分経過する時間である。
【0072】
これによれば、追越し中止のために必要な時間τreqは
τreq=τNoSteer+τ
であり、ここでτNoSteerは車両Aの逆戻り時間の期間、従って先行車両Bの後へ逆戻りし、その後再び割込むまで、追越し車線上で必要とする時間であり、τSteerは先行車両Bの車線への戻りかじ取りの期間であり、後者の値τSteerに対して例えば3Sの一定値が仮定される。
【0073】
追越し中止のために利用可能な期間は、先行車両Bの後部に対する対向車両Cの前面の間隔dBCの量と、車両B及びCの速度νB及びνCから得られ、衝突までの時間値TTCBCとして次のように計算される。
【0074】
運転者援助の経過のための基礎として、追越し中止の予想される期間τreqとこのために利用可能な時間τavailとの差が使用される。この差Δτdif=τavail−τreqは、閾値τdiff,th,i(i=1,2,・・・)を介して、段付けされる警告を、図13に示すように、事故を回避する制動介入まで発生する。
【0075】
この図13によれば、t−τ線図a)は、追越し中止のために必要な期間τreqとこのために利用可能な時間τavailとの時間差の推移と、運転者への情報、警告及び制動介入の対応を示す。
【0076】
t−OTD線図b)は追越し過程の認識を示し、OTD値は指標量Iと図5による指標TLCとのAND演算から形成される。
【0077】
最後の線図c)は、指標TTCpredの評価により、この指標TTCpredにより示される追越し過程の終わりに時間的安全間隔がその閾値TTCpred、th以下に低下する時、追越し過程が危険になる時点t1を示す。
【0078】
時点t2に、図1による運転者援助システム1の状況分析モジュール40の評価装置43により、追越し過程の開始が認識され、同時にこの評価装置43によって、必要な時間τreq及び利用可能なτavilが、時間差Δτdif(t)として、時間tに関係して計算される。この時点t2に、車線上で先行車両Bの後へ再び割込むために、期間(τNoSteer=0)は必要でないであろう。なぜならば、この時点に開始される制動過程は、車両の通過走行状態の要求が達せられるのを妨げるからである。
【0079】
時点t2の前に、1つの通報だけが、例えば光により、追越し過程の危険性について、図1による援助システム1の警告装置51により行われ、時点t2から、更に音及び/又は触覚によっても、自動制動過程が開始される最後の可能な中止時点t4まで、増大する強さで警告が行われる。
【0080】
時点t3に、制動過程は、車両Aの通過走行状態が行われるのを妨げないので、この車両Aの制動により、初めて先行車両Bの後へ逆戻りせねばならず、即ちτNoSteer>0である。この必要な制動のため、期間τreqも増大する。
【0081】
運転操縦特に追越し過程及びその部分操縦例えば離脱、通過走行及び割込みの認識のために構成されている図1の運転者援助システム1は、静止している物体例えば車道縁に停止している車両を回避するためにも有利に使用可能であり、対向車両の場合にも警告され、又は静止物体に到達する前に自動的に制動が行われる。
【0082】
低い速度範囲においても、本発明による援助システムは有利に使用可能である。なぜならば、そこでは例えば交通を安定化される道路部分では、保護柱又は植木鉢等である障害物のような静止物体も同様に回避されねばならず、対面交通では他の車両、自転車乗り及び歩行者が警告されるか、又は自動的な制動が行われ、それにより特に有効な歩行者保護を実現することができるからである。
【符号の説明】
【0083】
1 運転者援助システム
10 周辺センサ装置
11 レーダセンサ装置
12 ビデオセンサ装置
20 車両センサ装置
30 センサ評価装置
31 画像処理装置
32 センサ融合装置
40 状況分析モジュール
41 運転操縦認識装置
42 物体追跡装置
43 評価装置
50 警告−介入モジュール
51 警告装置
52 制動システム用操作器
A 運転者援助システムを持つ車両
B 先行車両
C 対向交通の車両
EKF 走行距離計
G ANDゲート
K 指標量を求めるための特性曲線図
L 車線限界、車両通行帯境界線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の運転操縦特に追越し操縦又は回避操縦の自動認識方法であって、
車両周辺が検出され、これから電子写像が形成され、
電子写像が車線及び/又は車道及び車両周辺にある物体(B,C)の認識のために使用され、
が求められ、
ωRR)に基いて走行距離計により評価される
ものにおいて、
車線標識又は車道標識(L)に対する自動車(A)の横間隔値(LOL,LOR)、走行方向にある物体(B)特に先行車両(B)に対する間隔(d)に関する衝突までの時間値(TTCA,B)、
衝突までの時間値の指標量(TTCA,B)及び自動車の加速ペダルの位置(FPS)に相当する値から形成される縦運動追越し指標又は回避指標(I)
が形成され、
b)これらの指標量(LOL,LOR,TTCA,B,I)のために閾値(Ith,TTCA,B,th)が求められて、追越し過程又は回避過程、特に追従走行、車線変更、静止又は動いている物体(B)のそばの通過走行、追越される物体(B)の車線への割込みの部分操縦を認識するため、及びこれらの部分操縦の間の移行を認識するための基準として使用される
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
別の指標量として、走行方向に存在する静止又は運動物体(B)特に先行車両(B)に対する時間間隔(τ)及び先行車両(B)に関する追従走行の状態又は自動車(A)の自由走行の状態を求めるための時間間隔の閾値(τth)が求められることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
別の指標量(TLC)が、境界線横断までの時間値として、車線認識及び/又は車道認
ωFL,ωFR,ωRL,ωRR)から求められ、指標量の閾値(TLCth)が基準として求められ、この閾値(TLCth)が、縦運動追越し指標(I)及びその閾値(Ith)の基準と共に、追越し過程又は回避操縦の開始の予想のために使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
境界線横断までの時間値の指標量(TLC)の基準としての閾値(TLCth)が、縦運動追越し指標(I)に関係して形成されることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
時間間隔の指標量(τ)がその閾値(τth)を下回ると、動く物体(B)特に先行車両(B)の後の追従走行が認識されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項6】
対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線(L)に対する車両(A)の横間隔の指標量(LO,LOR,LOL)の負の値では、車線変更又は近接車線への離脱が認識され、追越し過程の開始と解釈されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項7】
走行方向にあって静止しているか又は動いている物体(B)に対する自動車(A)の間隔値(d)に基いて、衝突までの時間値(TTCA,B)の指標量が求められず、かつ/又は対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線(L)に対する車両(A)の横間隔の指標量(LO,LOR,LOL)が正になると、車線変更又は車線離脱の中止が認識されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
走行方向にあって静止しているか又は動いている物体(B)に対する自動車(A)の間隔値(LO,LOR,LOL)の負の値では、通過走行特に開始される追越し過程の続行が認識されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
先行車両(B)のそばを通過走行中に、衝突までの時間値の指標量(TTCA,B)を求めることが可能である場合、この指標量(TTCA,B)がその閾値(TTCA,B、th)を下回ると、通過走行の中止が認識されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線(L)に対する車両(A)の横間隔値の指標量(LO,LOR,LOL)が、正の値をとり、追越される物体(B)特に先行車両(B)に対する自動車(A)の間隔値の指標量(LO,LOR,LOL)が、自動車(A)と追越される物体(B)の長さ(lago,lobj)の負の和より小さいと、割込みが追越し過程を終了する部分操縦であると認識されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項11】
割り込みを認識するため、対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線(L)に対する車両(A)の横間隔値の指標量(LO,LOR)として、自動車(A)の前右隅からの間隔の値が使用されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
隣接車線への車線変更又は離脱の認識のため、対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線(L)に対する車両(A)の横間隔値の指標量(LO,LOL)として、自動車の前左隅からの間隔の値が使用されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項13】
自動車(A)用運転者援助システム(1)、特に追越し又は回避の援助装置であって、
車線及び車道を認識しかつ自動車(A)の周辺にある物体(B,C)の位置を求める周辺センサ装置(10)、
自動車(A)の周辺の電子写像を形成するセンサ評価装置(30)、
運動情報を検出する車両センサ装置(20)、
R,ωRL,ωRR)、車線変更、動いているか又は静止している物体(B)のそばの通過走行、及び追越される物体(B)の車線への割込みの部分操縦を認識するため、及びこれらの部分操縦の間の移行を認識するため、先行する請求項の1つに記載の方法を実施する運転操縦認識装置(40,41)、
周辺センサ装置(10)に基いて対面交通の認識される車両(C)又は物体(C)を追跡するための物体追跡装置(40,42)、
対面交通の認識される車両(C)及び/又は物体(C)に関して認識される運転操縦及び/又は部分操縦の実行可能性を評価しかつ求め、予想される追越し過程の際又は認識される追越し過程中に、認識される運転操縦及び/又は部分操縦が危険であるか又は実行不可能であると評価される時、運転者に警報を与えるため警報装置(50,51)を制御し、かつ/又は対面交通の認識される車両(C)及び/又は物体(C)との衝突が認識される場合、車両の重要な機能の1つ又は複数の操作素子特に制動装置及び/又はかじ取り装置及び/又は動力伝達系を操作する評価装置(40,43)、
を含んでいる運転者援助システム。
【請求項14】
評価装置(43)が、予想されるか又は認識される追越し過程を評価するための指標量(TTCpred)を求めるように構成され、この指標量(TTCpred)が、車両センサ装置(20)及び物体追跡装置(42)のデータに基いて、予想されるか又は認識される追越し過程の終わりの予想される時点に、対面交通の認識される車両(C)及び/又は物体(C)に対する衝突までの時間値として求められ、その閾値(TTCpred、th)が求められることを特徴とする、請求項13に記載の運転者援助システム。
【請求項1】
自動車の運転操縦特に追越し操縦又は回避操縦の自動認識方法であって、
車両周辺が検出され、これから電子写像が形成され、
電子写像が車線及び/又は車道及び車両周辺にある物体(B,C)の認識のために使用され、
が求められ、
ωRR)に基いて走行距離計により評価される
ものにおいて、
車線標識又は車道標識(L)に対する自動車(A)の横間隔値(LOL,LOR)、走行方向にある物体(B)特に先行車両(B)に対する間隔(d)に関する衝突までの時間値(TTCA,B)、
衝突までの時間値の指標量(TTCA,B)及び自動車の加速ペダルの位置(FPS)に相当する値から形成される縦運動追越し指標又は回避指標(I)
が形成され、
b)これらの指標量(LOL,LOR,TTCA,B,I)のために閾値(Ith,TTCA,B,th)が求められて、追越し過程又は回避過程、特に追従走行、車線変更、静止又は動いている物体(B)のそばの通過走行、追越される物体(B)の車線への割込みの部分操縦を認識するため、及びこれらの部分操縦の間の移行を認識するための基準として使用される
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
別の指標量として、走行方向に存在する静止又は運動物体(B)特に先行車両(B)に対する時間間隔(τ)及び先行車両(B)に関する追従走行の状態又は自動車(A)の自由走行の状態を求めるための時間間隔の閾値(τth)が求められることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
別の指標量(TLC)が、境界線横断までの時間値として、車線認識及び/又は車道認
ωFL,ωFR,ωRL,ωRR)から求められ、指標量の閾値(TLCth)が基準として求められ、この閾値(TLCth)が、縦運動追越し指標(I)及びその閾値(Ith)の基準と共に、追越し過程又は回避操縦の開始の予想のために使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
境界線横断までの時間値の指標量(TLC)の基準としての閾値(TLCth)が、縦運動追越し指標(I)に関係して形成されることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
時間間隔の指標量(τ)がその閾値(τth)を下回ると、動く物体(B)特に先行車両(B)の後の追従走行が認識されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項6】
対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線(L)に対する車両(A)の横間隔の指標量(LO,LOR,LOL)の負の値では、車線変更又は近接車線への離脱が認識され、追越し過程の開始と解釈されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項7】
走行方向にあって静止しているか又は動いている物体(B)に対する自動車(A)の間隔値(d)に基いて、衝突までの時間値(TTCA,B)の指標量が求められず、かつ/又は対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線(L)に対する車両(A)の横間隔の指標量(LO,LOR,LOL)が正になると、車線変更又は車線離脱の中止が認識されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
走行方向にあって静止しているか又は動いている物体(B)に対する自動車(A)の間隔値(LO,LOR,LOL)の負の値では、通過走行特に開始される追越し過程の続行が認識されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
先行車両(B)のそばを通過走行中に、衝突までの時間値の指標量(TTCA,B)を求めることが可能である場合、この指標量(TTCA,B)がその閾値(TTCA,B、th)を下回ると、通過走行の中止が認識されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線(L)に対する車両(A)の横間隔値の指標量(LO,LOR,LOL)が、正の値をとり、追越される物体(B)特に先行車両(B)に対する自動車(A)の間隔値の指標量(LO,LOR,LOL)が、自動車(A)と追越される物体(B)の長さ(lago,lobj)の負の和より小さいと、割込みが追越し過程を終了する部分操縦であると認識されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項11】
割り込みを認識するため、対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線(L)に対する車両(A)の横間隔値の指標量(LO,LOR)として、自動車(A)の前右隅からの間隔の値が使用されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
隣接車線への車線変更又は離脱の認識のため、対向車線を際立たせる車道の車両通行帯境界線(L)に対する車両(A)の横間隔値の指標量(LO,LOL)として、自動車の前左隅からの間隔の値が使用されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項13】
自動車(A)用運転者援助システム(1)、特に追越し又は回避の援助装置であって、
車線及び車道を認識しかつ自動車(A)の周辺にある物体(B,C)の位置を求める周辺センサ装置(10)、
自動車(A)の周辺の電子写像を形成するセンサ評価装置(30)、
運動情報を検出する車両センサ装置(20)、
R,ωRL,ωRR)、車線変更、動いているか又は静止している物体(B)のそばの通過走行、及び追越される物体(B)の車線への割込みの部分操縦を認識するため、及びこれらの部分操縦の間の移行を認識するため、先行する請求項の1つに記載の方法を実施する運転操縦認識装置(40,41)、
周辺センサ装置(10)に基いて対面交通の認識される車両(C)又は物体(C)を追跡するための物体追跡装置(40,42)、
対面交通の認識される車両(C)及び/又は物体(C)に関して認識される運転操縦及び/又は部分操縦の実行可能性を評価しかつ求め、予想される追越し過程の際又は認識される追越し過程中に、認識される運転操縦及び/又は部分操縦が危険であるか又は実行不可能であると評価される時、運転者に警報を与えるため警報装置(50,51)を制御し、かつ/又は対面交通の認識される車両(C)及び/又は物体(C)との衝突が認識される場合、車両の重要な機能の1つ又は複数の操作素子特に制動装置及び/又はかじ取り装置及び/又は動力伝達系を操作する評価装置(40,43)、
を含んでいる運転者援助システム。
【請求項14】
評価装置(43)が、予想されるか又は認識される追越し過程を評価するための指標量(TTCpred)を求めるように構成され、この指標量(TTCpred)が、車両センサ装置(20)及び物体追跡装置(42)のデータに基いて、予想されるか又は認識される追越し過程の終わりの予想される時点に、対面交通の認識される車両(C)及び/又は物体(C)に対する衝突までの時間値として求められ、その閾値(TTCpred、th)が求められることを特徴とする、請求項13に記載の運転者援助システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−519346(P2012−519346A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500063(P2012−500063)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/DE2010/000233
【国際公開番号】WO2010/099789
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(509343699)コンチネンタル・テーヴエス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オツフエネハンデルスゲゼルシヤフト (9)
【出願人】(504087204)アーデーツエー・オートモテイブ・デイスタンス・コントロール・システムズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (33)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/DE2010/000233
【国際公開番号】WO2010/099789
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(509343699)コンチネンタル・テーヴエス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オツフエネハンデルスゲゼルシヤフト (9)
【出願人】(504087204)アーデーツエー・オートモテイブ・デイスタンス・コントロール・システムズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (33)
【Fターム(参考)】
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