説明

自動車ハーネス用梱包箱

【課題】 ハーネスの幹線部にループ状の癖が付きづらく、1セット収納時にコネクタが幹線部にからまず、2セット収納時にハーネス同士がからみ合わない自動車ハーネス用梱包箱を提供する。
【解決手段】 梱包箱8がハーネス3の幹線部5における直線状配索部5aの半分以上の長さLを有しているため、ハーネス3をループ状に複数回巻いて収納する必要がなく、ハーネス3の幹線部5における直線状配索部5aにループ状の癖が付きづらい。従って、自動車メーカーでは、搬入された梱包箱8からハーネス3を取り出し、ファスナー15を切断して保持板14を外した後、ステアリングメンバ1に配索する際に従来のような加温工程を設ける必要がなく、作業能率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ハーネス用梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のインストルメントパネル内には、ステアリングメンバが車幅方向に沿って配されている。ステアリングメンバには、各種電装品に給電や信号伝達するハーネスが配索されている。ハーネスは、1本の幹線部から複数の枝線部を分岐形成した構造で、幹線部の両端部及び枝線部の先端部には、それぞれコネクタが設けられている。
【0003】
このようなハーネスは、ハーネスメーカーから梱包箱に入れられて自動車メーカーに輸送される。梱包箱は上部が開放した容器状で、長さが幅よりも少し長い角形をしている。そして、ハーネスはその梱包箱内に、ループ状に複数回巻かれた状態で1セットづつ収納されて搬送される(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−322939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、ハーネスを梱包箱内にループ状に複数回巻いた状態で収納するため、納入された自動車メーカーでハーネスを梱包箱から取り出した際に、ハーネスの特に太い部分である幹線部の直線状配索部(ステアリングメンバに沿って直線状に配索される部分)に、収納状態のままループ状の癖が付いてしまい、その後のステアリングメンバへの配索作業が困難になる。そのため、自動車メーカーでは、ハーネスを配索する前に加温して軟化させ、ハーネスのループ状の癖を直して直線状にする工程が必要となり、作業効率の低下を招いていた。
【0006】
また、ハーネスをループ状に複数回巻いて梱包箱に収納するため、ハーネスの幹線部や枝線部の端末に設けられているコネクタが、ハーネスの幹線部とからみ合って、ハーネス全体がひとかたまりになってしまうおそれがあり、ハーネスを梱包箱から取り出した後の取り扱いが困難になる。
【0007】
更に、梱包箱が単なる上部開放型の角形容器形状のため、梱包箱内に例えば細いタイプのハーネスを2セット収納すると、ハーネス同士がからみ合ってひとかたまりになってしまうこともある。
【0008】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、ハーネスの幹線部にループ状の癖が付きづらく、1セット収納時にコネクタが幹線部にからまず、2セット収納時にハーネス同士がからみ合わない自動車ハーネス用梱包箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、両端部にコネクタを有する幹線部から先端部にコネクタを有する複数の枝線部を分岐した構造で且つ幹線部の直線状配索部がステアリングメンバに沿って略直線状に配索されるたハーネスを収納するものであって、底面部の周囲に側壁部を有する上部開放型の角形容器形状で、ハーネスの幹線部における略直線状配索部の半分以上の長さを有し、幅方向中央に長手方向に沿う仕切壁を有し、該仕切壁の両端部に切欠部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、梱包箱がハーネスの幹線部における直線状配索部の半分以上の長さを有しているため、ハーネスをループ状に複数回巻いた状態で収納する必要がなく、ハーネスの幹線部における直線状配索部にループ状の癖が付きづらい。また、ハーネスが仕切壁により2つの空間に区切られており、それらの空間が仕切壁の両端部の切欠部により連結されているため、一方の空間に幹線部を収納し、幹線部の両端部のコネクタや、コネクタ付きの枝線部は、切欠部を介して他方の空間側に収納することができる。従って、コネクタと幹線部とがからみ合ってひとかたまりになることはない。更に、2セットの収納が可能な細いタイプのハーネスの場合は、仕切壁で区切られた2つの空間にそれぞれ収納することで、ハーネス同士のからまりを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、ハーネスの幹線部にループ状の癖が付きづらく、1セット収納時にコネクタが幹線部にからまず、2セット収納時にハーネス同士がからみ合わない自動車ハーネス用梱包箱を提供するという目的を、両端部にコネクタを有する幹線部から先端部にコネクタを有する複数の枝線部を分岐した構造で且つ幹線部の直線状配索部がステアリングメンバに沿って略直線状に配索されるたハーネスを収納するものであって、底面部の周囲に側壁部を有する上部開放型の角形容器形状で、ハーネスの幹線部における略直線状配索部の半分以上の長さを有し、幅方向中央に長手方向に沿う仕切壁を有し、該仕切壁の両端部に切欠部を形成したことで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
図1〜図7は、本発明の一実施例を示す図である。図1は、自動車の車室内前方に配置されるステアリングメンバ1を上から見た図である。ステアリングメンバ1はステアリングホイール2のコラム等を支持する強度部材で、車幅方向に沿って配されている。
【0013】
このステアリングメンバ1に沿ってハーネス3が配索されている。ハーネス3は、インストルメントパネル4内に装備される電装機器(空調、オーディオ機器、計器、エアバッグ装置等)に給電や信号伝達するためのものである。ハーネス3は、太い1本の幹線部5から、細い複数の枝線部6を分岐した構造をしている。幹線部5の両端部及び枝線部6の先端部には電装機器に接続するためのコネクタ7がそれぞれ設けられている。幹線部5の大部分は、ステアリングメンバ1に沿って略直線状に配される直線状配索部5aとなっている。
【0014】
このハーネス3を収納して搬送・保管する梱包箱8は樹脂製で、図2及び図3に示すように、長方形の底面部9の周囲に側壁部10を有する上部開放型の角形容器形状で、その長さLはハーネス3の幹線部5における直線状配索部5aの半分よりも長く設定されている。
【0015】
この梱包箱8の幅方向中央には、長手方向に沿う仕切壁11が底面部9から一体成形されている。仕切壁11により梱包箱8内は第1空間Aと第2空間Bに区切られる。仕切壁11は側壁部10と略同じ高さで、その長手方向両端には、側壁部10との間に切欠部12がそれぞれ形成されている。この切欠部12により、第1空間Aと第2空間Bとは両端部で連通する。また、この切欠部12には、底面部9から側壁部10にかけて高さの低いL形のリブ13が形成されている。
【0016】
ハーネス3は、図4及び図5に示すように、コネクタ7を有する枝線部6を、コネクタ7を有する幹線部5の両端部と共に、幹線部5の直線状配索部5aに対して折り返した状態で、梱包箱8内に収納される。幹線部5の直線状配索部5aの大部分は、ファスナー15により直線状の保持板14が取付けられた状態で、第1空間A側に収納される。
【0017】
それぞれコネクタ7を有する幹線部5の両端部と枝線部6とは、仕切壁11の両側の切欠部12から第2空間B側へ入り、第2空間B内に収納される。
【0018】
この実施例によれば、梱包箱8がハーネス3の幹線部5における直線状配索部5aの半分以上の長さLを有しているため、ハーネス3をループ状に複数回巻いて収納する必要がなく、ハーネス3の幹線部5における直線状配索部5aにループ状の癖が付きづらい。従って、自動車メーカーでは、搬入された梱包箱8からハーネス3を取り出し、ファスナー15を切断して保持板14を外した後、ステアリングメンバ1に配索する際に従来のような加温工程を設ける必要がなく、作業能率が向上する。
【0019】
また、ハーネス3が仕切壁11により第1空間A及び第2空間Bに区切られているため、一方の第1空間Aに幹線部5の直線状配索部5aを収納し、他方の第2空間Bに、それぞれコネクタ7を有する幹線部5の両端部や枝線部6を収納することができ、コネクタ7と幹線部5とがからみ合ってひとかたまりになることはない。
【0020】
更に、種類によっては、図6に示すように、幹線部16が細いタイプのハーネス17もある。このようなハーネス17はスペースを採らないため、図7に示すように、梱包箱8における第1空間A及び第2空間Bに、それぞれ1セットづつ収納することができる。幹線部16の直線状配索部16aには同様に保持板14がファスナー5により取付けられる。
【0021】
第1空間A及び第2空間Bは仕切壁11で区切られているため、収納状態で両方のハーネス17がからまり合うことはない。また、第1空間Aと第2空間Bは切欠部12で連通しているが、切欠部12には底面部9から側壁部10にかけてL形のリブ13が形成されているため、一方の空間のハーネス17におけるコネクタ7が、リブ13を乗り越えて他方の空間へ侵入することはなく、からまりの原因になることはない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上の実施例では、仕切壁11を梱包箱8に樹脂で一体成形する例を示したが、仕切壁11は梱包箱8と別体でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るハーネスをステアリングメンバに配索した状態を示す平面図。
【図2】梱包箱を示す斜視図。
【図3】梱包箱を示す断面図。
【図4】ハーネスを示す平面図。
【図5】ハーネスを収納した梱包箱を示す平面図。
【図6】幹線部が細いタイプのハーネスを示す平面図。
【図7】幹線部が細いタイプのハーネスを収納した梱包箱を示す平面図。
【符号の説明】
【0024】
1 ステアリングメンバ
2 ステアリングホイール
3、17 ハーネス
4 インストルメントパネル
5、16 幹線部
5a、16a 直線状配索部
6 枝線部
7 コネクタ
8 梱包箱
9 底面部
10 側壁部
11 仕切壁
12 切欠部
13 リブ
14 保持板
15 ファスナー
A 第1空間
B 第2空間
L 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部にコネクタ(7)を有する幹線部(5)から先端部にコネクタ(7)を有する複数の枝線部(6)を分岐した構造で且つ幹線部(5)の直線状配索部(5a)がステアリングメンバ(1)に沿って略直線状に配索されるたハーネス(3)を収納するものであって、
底面部(9)の周囲に側壁部(10)を有する上部開放型の角形容器形状で、ハーネス(3)の幹線部(5)における略直線状配索部(5a)の半分以上の長さ(L)を有し、幅方向中央に長手方向に沿う仕切壁(11)を有し、該仕切壁(11)の両端部に切欠部(12)を形成したことを特徴とする自動車ハーネス用梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−176591(P2007−176591A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379853(P2005−379853)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】