説明

自動車バンパーの梱包箱

【課題】内部のデッドスペースを削減して、製造コストを抑制できると共に、密閉性や強度に優れた自動車バンパーの梱包箱を提供する。
【解決手段】バンパーの中間部分を包み込む中箱部1と、バンパーの両側部分を包み込む一対の側箱部2とを、基板3、対向する縁板4及び蓋板5から形成した自動車バンパーの梱包箱において、中箱部1から一対の側箱部2へかけて、縁板4をバンパーの中間部分と両側部分のなす角度に応じて屈曲させ、中箱部1では、基板3に縁板4を直接繋ぎ、側箱部2では、バンパーの両側部分の形状に応じて基板3をテーパ状とし、基板3と縁板4との間に折込片6を介在させ、中箱部1と側箱部2の境界の罫線8に沿って基板3及び縁板4を折り曲げつつ、折込片6をその中央の谷折線7に沿って折り込むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車ボディーの端面から両側面に回り込む形状のバンパーを収納する梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のバンパーを輸送する際に使用する段ボール製梱包箱として、図4に示すようなものが使用されている。この梱包箱は、バンパーの中間部分を包み込む中箱部51と、バンパーの両側部分を包み込む一対の側箱部52とから構成される。
【0003】
中箱部51は、基板53、対向する縁板54及び蓋板55から角筒状に形成され、側箱部52は、中箱部51とは別体として、基板56、対向する縁板57及び蓋板58から角筒状に形成されている。
【0004】
そして、中箱部51と側箱部52とは、バンパーの中間部分と両側部分のなす角度に応じて互いに傾くように、側箱部52から延びる継代59,60を中箱部51に貼着して接合され、側箱部52の端面は、端板61により閉じられている。
【0005】
また、下記特許文献1には、上記従来例の名称で表現した場合、バンパーの中間部分及び両側部分を、基板のみで繋がった中箱部と側箱部によりそれぞれ包み込むようにしたものが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−91026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、バンパーの両側部分は、車輪の外周に沿ってアーチ状に切り欠かれた形状となっているため、上記図4に示す梱包箱では、側箱部の内部にデッドスペースが生じ、収納する物品の体積に対する段ボールの使用量が多くなるほか、材料の継ぎ貼り工程が必要となり、製造にコストがかかるという問題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載の梱包箱では、中箱部と側箱部の屈曲部分に隙間が生じ、砂漠地域に輸送される四輪駆動車用のバンパーを梱包すると、箱内に塵埃や異物が侵入して、バンパーが傷付くおそれがあるほか、強度も不足するという問題がある。
【0009】
そこで、この発明は、内部のデッドスペースを削減して、製造コストを抑制できると共に、密閉性や強度に優れた自動車バンパーの梱包箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するため、この発明は、バンパーの中間部分を包み込む中箱部と、バンパーの両側部分を包み込む一対の側箱部とを、基板、対向する縁板及び蓋板から形成した自動車バンパーの梱包箱において、中箱部から一対の側箱部へかけて、縁板をバンパーの中間部分と両側部分のなす角度に応じて屈曲させ、中箱部では、基板に縁板を直接繋ぎ、側箱部では、バンパーの両側部分の形状に応じて基板をテーパ状とし、基板と縁板との間に折込片を介在させ、中箱部と側箱部の境界の罫線に沿って基板及び縁板を折り曲げつつ、折込片をその中央の谷折線に沿って折り込むようにしたのである。
【0011】
また、中箱部から一対の側箱部へかけて基板及び縁板を連続させ、1枚のブランクを折り曲げて形成するようにしたのである。
【0012】
また、側箱部の端面を閉止する端板のロック片をロック穴に差し込んで、側箱部を保形するようにしたのである。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る梱包箱では、一対の側箱部がバンパーの両側部分に沿った形状となるので、内部のデッドスペースが削減されて、段ボールの使用量が少なくなり、1枚のブランクから形成すれば、継ぎ貼り工程も不要となるので、製造コストを抑制できる。
【0014】
また、中箱部と側箱部の屈曲部分に隙間が生じない密閉構造とすることができ、塵埃等の異物侵入に伴うバンパーの損傷を防止できるほか、中箱部と側箱部とが所定の角度で一体化されて、強度にも優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
この発明に係る梱包箱は、図1に示すような1枚の段ボール製のブランクから形成される。このブランクは、バンパーの中間部分を包み込む中箱部1と、バンパーの両側部分を包み込む一対の側箱部2とから形成される。
【0017】
中箱部1及び各側箱部2は、基板3、対向する縁板4及び蓋板5から形成され、中箱部1から一対の側箱部2へかけて、基板3及び縁板4は連続している。縁板4は、バンパーの中間部分と両側部分のなす角度に応じて、両側が跳ね上がるように屈曲している。
【0018】
側箱部2では、バンパーの両側部分の形状に応じて、基板3が一方の縁板4との対向縁が斜めに切断された先細りテーパ状とされ、V字状をなす基板3と縁板4との間には折込片6が介在し、折込片6の中央には谷折線7が入れられている。
【0019】
中箱部1と側箱部2の境界において、蓋板5は切り離され、基板3及び一方の縁板4には罫線8が入れられている。一方の縁板4から延びる蓋板5の端縁には、差込片9が設けられ、他方の縁板4と各蓋板5の境界には差込穴10が設けられている。
【0020】
基板3、各縁板4及び両側の蓋板5の端縁には、それぞれ端板11が連設され、基板3に繋がる端板11には差込片12が、一方の縁板4とこれに繋がる端板11の境界には差込穴13がそれぞれ設けられている。
【0021】
他方の縁板4に繋がる端板11にはロック片14が設けられ、基板3の両端部には、ロック片14より幅が狭いロック穴15が設けられている。各縁板4の中央部には、運搬用の取手穴16が設けられ、一方の縁板4から延びる各蓋板5には、開蓋用の手掛穴17が設けられている。
【0022】
上記のようなブランクを組み立てて自動車のバンパーを梱包するには、図2及び図3に示すように、バンパーBを中箱部1の基板3に表面側が下方へ向くように置いて、中箱部1の基板3から両方の縁板4を起こし、蓋板5を重なり合うように閉じて、差込片9を差込穴10に差し込み、バンパーBの中間部分を中箱部1で包み込む。
【0023】
次に、中箱部1と側箱部2の境界の罫線8に沿って基板3及び縁板4を折り曲げつつ、折込片6を谷折線7に沿って折り込み、蓋板5を重なり合うように閉じて、差込片9を差込穴10に差し込み、バンパーBの両側部分を側箱部2で包み込んだ後、端板11を閉じて、差込片12を差込穴13に差し込み、ロック片14をロック穴15に差し込む。
【0024】
このような梱包箱では、一対の側箱部2がバンパーBの両側部分に沿った形状となるので、内部のデッドスペースが削減されて、段ボールの使用量が少なくなるほか、中箱部1及び一対の側箱部2を1枚のブランクから形成していることから、継ぎ貼り工程も不要となり、製造コストを抑制できる。
【0025】
また、中箱部1と側箱部2の屈曲部分に隙間が生じない密閉構造となるので、塵埃等の異物侵入に伴うバンパーBの損傷を防止できるほか、中箱部1と側箱部2とが所定の角度で一体化されて、強度にも優れたものとなり、複数の梱包箱を積み上げて、効率的に輸送することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施形態に係る自動車バンパー梱包箱のブランクを示す図
【図2】同上の組立過程を示す斜視図
【図3】同上の組立状態を示す斜視図
【図4】従来の梱包箱の組立状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0027】
1 中箱部
2 側箱部
3 基板
4 縁板
5 蓋板
6 折込片
7 谷折線
8 罫線
9 差込片
10 差込穴
11 端板
12 差込片
13 差込穴
14 ロック片
15 ロック穴
16 取手穴
17 手掛穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパーの中間部分を包み込む中箱部1と、バンパーの両側部分を包み込む一対の側箱部2とを、基板3、対向する縁板4及び蓋板5から形成した自動車バンパーの梱包箱において、中箱部1から一対の側箱部2へかけて、縁板4をバンパーの中間部分と両側部分のなす角度に応じて屈曲させ、中箱部1では、基板3に縁板4を直接繋ぎ、側箱部2では、バンパーの両側部分の形状に応じて基板3をテーパ状とし、基板3と縁板4との間に折込片6を介在させ、中箱部1と側箱部2の境界の罫線8に沿って基板3及び縁板4を折り曲げつつ、折込片6をその中央の谷折線7に沿って折り込むようにしたことを特徴とする自動車バンパーの梱包箱。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車バンパーの梱包箱において、中箱部1から一対の側箱部2へかけて基板3及び縁板4を連続させ、1枚のブランクを折り曲げて形成するようにしたことを特徴とする自動車バンパーの梱包箱。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動車バンパーの梱包箱において、側箱部2の端面を閉止する端板11のロック片14をロック穴15に差し込んで、側箱部2を保形するようにしたことを特徴とする自動車バンパーの梱包箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−50920(P2007−50920A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238520(P2005−238520)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】