説明

自動車用の床敷材

【課題】自動車の荷室の床面を構成するフロアパネルに設置される床敷材のコストを低減すると共に、床敷材の設置された荷室に荷物を出し入れするとき、その荷物に傷が付けられることを阻止することを目的とする。
【解決手段】熱可塑性樹脂製の複合板6と、その複合板6に熱溶着された熱可塑性樹脂製の可撓性シート7とを具備し、複合板6は、平行に配置された熱可塑性樹脂より成る一対の板材8,9と、両板材8,9に固着されていると共に、両板材8,9の間に空間が残されるように形成されている熱可塑性樹脂より成る中間材10と、板材8の表面に貼着された熱可塑性樹脂より成る表皮材12とを有し、可撓性シート7は、複合板6の表皮材12上に載せられた状態で、該複合板6に熱溶着されていて、複合板6は、その表皮材12が上を向いた状態で、フロアパネルに形成された凹部の上部開口を塞ぐように設置され、可撓性シート7は、凹部以外のフロアパネル上に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の荷室の床面を構成するフロアパネル上に設置される床敷材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワゴンタイプやバンタイプの自動車においては、その座席後方に荷室が区画され、セダンタイプの自動車などには、その後部又は前部にトランクルームとも称せられる荷室が設けられている。かかる荷室の床面を構成するフロアパネルには、一般に床敷材が設置されている。荷室のフロアパネルには、工具又はスペアタイヤなどを収納するための凹部が形成されており、床敷材は、その凹部の上部開口の上と、凹部以外のフロアパネルの上に亘って設置される。このとき、凹部の上部開口に設置される床敷材の上に物を置いても、その床敷材が凹部に落ち込まないように、当該床敷材には高い剛性が要求される。
【0003】
そこで、従来より、凹部の上部開口の上にだけ高剛性床敷材を設置し、他のフロアパネル上には可撓性の床敷材を設置して、凹部の上部開口に設置された高剛性床敷材の上に物を置いても、その高剛性床敷材が大きく凹部内に落ち込むように変形することを阻止している。かかる床敷材の一例として、特許文献1には、プラスチック段ボールとその表面に貼着された不織布より成る高剛性床敷材と、不織布と雑フェルトにより構成された可撓性の床敷材とを、縫製加工又はステープルにより連結した床敷材が開示されている。高剛性床敷材は、フロアパネルに形成された凹部の上部開口上に設置され、可撓性の床敷材は、凹部以外のフロアパネル上に載置される。
【0004】
ところが、高剛性床敷材と可撓性の床敷材を縫製加工によって連結するには、ミシンのふところに可撓性の床敷材を丸めた状態にして、高剛性床敷材と可撓性の床敷材を縫製する必要があるため、可撓性の床敷材が大きなものは、高剛性床敷材と可撓性の床敷材を縫製することができない。また、高剛性床敷材と可撓性の床敷材をステープルで連結した場合には、ステープルが床敷材の表面に出てしまうため、荷物の出し入れ時に、ステープルが荷物に当って該ステープルが外れてしまったり、ステープルによって荷物に傷が付けられるおそれがある。
【0005】
また高剛性床敷材と可撓性の床敷材を接着剤によって接続することも考えられるが、このように接着剤を用いて両者を接続すると、その接続作業時に、接着剤を塗布するための時間のほか、接着剤を乾燥させるための時間が必要となり、これにより床敷材全体のコストが上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2601712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述した従来の欠点を除去した自動車の床敷材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、凹部が形成された自動車荷室のフロアパネル上に設置される床敷材であって、熱可塑性樹脂製の複合板と、該複合板に熱溶着された熱可塑性樹脂製の可撓性シートとを具備し、前記複合板は、平行に配置された熱可塑性樹脂より成る一対の板材と、両板材に固着されていると共に、両板材の間に空間が残されるように形成されている熱可塑性樹脂より成る中間材と、前記一対の板材のうちの少なくとも一方の板材の表面に貼着された熱可塑性樹脂より成る表皮材とを有し、前記可撓性シートは、前記複合板の表皮材上に載せられた状態で、該複合板に熱溶着されていて、該複合板は、その表皮材が上を向いた状態で、フロアパネルに形成された凹部の上部開口を塞ぐように設置され、前記可撓性シートは、前記凹部以外のフロアパネル上に設置される床敷材を提案する(請求項1)。
【0009】
また、上記請求項1に記載の床敷材において、前記可撓性シートは、前記複合板の表皮材上に載せられた状態で、該可撓性シートの上から加熱バーで加圧されることにより、複合板に熱溶着されていて、熱溶着された可撓性シートは、表裏が反転するように熱溶着部に沿って折り返された状態でフロアパネルに設置されるように構成されていると有利である(請求項2)。
【0010】
さらに、上記請求項2に記載の床敷材において、前記可撓性シートは、その表面が前記複合板に対向する向きで該複合板上に載せられて当該複合板に熱溶着され、熱溶着された可撓性シートが反転されたとき、その表面が上を向いているように構成されていると有利である(請求項3)。
【0011】
また、上記請求項2又は3に記載の床敷材において、前記加熱バーにより押し潰されて形成された可撓性シートと複合板の熱溶着部の凹溝の横断面形状が、その凹溝の上部開口に向けて開拡した台形又はV字形に形成されていると有利である(請求項4)。
【0012】
さらに、上記請求項2乃至4のいずれかに記載の床敷材において、折り返された可撓性シートの厚さとその下方に位置する複合板部分の厚さの合計の厚さが、可撓性シートの重ね合されていない複合板部分の厚さと等しくなるように、折り返された可撓性シートの下方に位置する複合板部分の厚さの方が、可撓性シートの重ね合されていない複合板部分の厚さよりも薄く形成されていると有利である(請求項5)。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る床敷材は、フロアパネルに形成された凹部の上部開口に設置される複合板と、凹部以外のフロアパネル面に設置される可撓性シートが熱溶着によって接合されているので、可撓性シートのサイズが大きい場合も、支障なく複合板と可撓性シートを連結することができる。しかも、可撓性シートと複合板がステープルにより連結されているのではないため、床敷材の敷設された荷室への荷物の出し入れ時に、荷物に傷が付けられる不具合は発生しない。さらに、床敷材の製造時に短時間で簡単に複合板と可撓性シートの接合作業を行うことができるので、床敷材全体のコストを低減することができる。また、複合板を構成する両板材の間には空間が残されていて、かかる複合板と、可撓性シートを熱溶着するので、その熱溶着部を確実に押し潰すことができる。しかも、その押し潰された熱溶着部の近傍の複合板部分に、溶けた複合板材料がはみ出すように押し出されて、当該複合板部分が押し出された材料によって膨出してしまうことを防止でき、完成した床敷材の見栄えが低下する不具合を阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】座席後方の荷室を示す概略斜視図である。
【図2】荷室のフロアパネルの断面図である。
【図3】床敷材の製造工程を示す斜視図である。
【図4】床敷材の製造工程を示す斜視図である。
【図5】複合板の一対の板材と中間材と表皮材を分離して示す斜視図である。
【図6】複合板の断面図である。
【図7】熱溶着された複合板と可撓性シートを示す断面図である。
【図8】可撓性シートと複合板が加熱バーによって押し潰されて形成された熱溶着部の凹溝の形態と、その作用を説明する断面図である。
【図9】図3に示した形態とは異なる形態の加熱バーによって可撓性シートと複合板を熱溶着するときの様子を示した斜視図である。
【図10】図9に示した加熱バーで熱溶着された可撓性シートと複合板を有する床敷材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0016】
図1の(a)及び(b)は、ワゴンタイプ又はバンタイプの自動車の車室内に配置された後部座席1と、その後方に位置する荷室を示す斜視図である。また、図1の(a)は、荷室のフロアパネル2上に床敷材が敷かれる前の様子を示し、図1の(b)は、フロアパネル2上に床敷材3が敷かれた後の様子を示している。
【0017】
図1の(a)及びそのII−II線断面図である図2の(a)に示すように、荷室のフロアパネル2には、図示していない工具やスペアタイヤなどを収納しておくための凹部4が形成されている。図1の(b)及びそのII−II線断面図である図2の(b)に示すように、本発明の対象としている床敷材3は、このような凹部4が形成された自動車荷室のフロアパネル上に設置されるものである。図1及び図2に示した例では、凹部4内に、上部の開口したボックス5が収められ、そのボックス5内に工具などを収納するように構成されている。
【0018】
ここで、本発明に係る床敷材の製造方法の一例を説明しながら、その床敷材の構成と作用を明らかにする。
【0019】
図3の(a)に示すように、熱可塑性樹脂製の複合板6と、同じく熱可塑性樹脂製の可撓性シート7を用意し、その可撓性シート7を複合板6の上に載置する。複合板6は、図5及び図6の(a)に示すように、平行に配置された熱可塑性樹脂より成る一対の板材8,9と、これら板材8,9の間に配置され、かつその両板材8,9に固着されている熱可塑性樹脂製の中間材10と、一方の板材8の表面に貼着された表皮材12より成る。かかる複合板6は可撓性シート7よりも高い剛性を有している。
【0020】
本例の中間材10は、図5及び図6の(a)に示すように、熱可塑性樹脂製の平坦な板材を、真空成形法によって多数の突部11を有する板材に成形したものであって、かかる中間材10が、両板材8,9の間に挟まれて両板材8,9に固着されている。その際、中間材10は、互いに離間して位置する多数の突部11を有しているので、中間材10を挟んだ両板材8,9の間には、空間が残されている。このように、熱可塑性樹脂製の中間材10は、両板材8,9の間に空間が残されるように形成されたものである。かかる空間が残されるのであれば、図示した形態以外の形態の中間材を用いることもできる。
【0021】
板材8,9及び中間材10は、例えば、ポリプロピレンなどのオレフィン系熱可塑性樹脂により構成される。また、可撓性シート7は、例えば、50%のポリプロピレン繊維と50%のポリエチレンテレフタレート繊維より成る不織布、又はその他の熱可塑性樹脂製のシートにより構成されている。同じく、表皮材12も、例えば熱可塑性樹脂より成る不織布、又はその他の熱可塑性樹脂のシートにより構成されている。また、図6の(b)に示すように、もう一方の板材9の表面にも、表皮材12と同じく構成された表皮材13を貼着することもできる。或いは、板材9の表面にのみ表皮材13が貼着された複合板を用いることもできる。このように、複合板6は、一対の板材8,9のうちの少なくとも一方の板材の表面に貼着された熱可塑性樹脂より成る表皮材を有しているのである。表皮材12,13は、板材8,9の表面に、例えば熱溶着又は接着剤などによって一体に貼着されている。
【0022】
次に、図3の(a)に示したように、複合板6の表皮材12の上に可撓性シート7を載せた状態で、図3の(b)に示すように、その可撓性シート7の上から、該シート7の端縁14と複合板6の端縁20に沿って、加熱バー15押し当てる。加熱バー15は、熱溶着治具とも称せられている加熱されたバーであって、かかる加熱バー15によって可撓性シート7の上から、その可撓性シート7と複合板6を加圧することにより、熱可塑性樹脂より成る可撓性シート7と、同じく熱可塑性樹脂より成る複合板6を図4の(a)に示すように熱溶着することができる。図7の(a)は、熱溶着された可撓性シート7と複合板6の拡大断面図である。
【0023】
図6の(b)に示したように、複合板6が、もう一方の板材9の表面に貼着された熱可塑性樹脂製の表皮材13を有しているときは、その表皮材13の上に可撓性シート7を載せた状態で、その可撓性シート7の上から加熱バー15によって可撓性シート7を複合板6に熱溶着することもできる。このように、可撓性シート7は、複合板6の表皮材12又は13の上に載せられた状態で、可撓性シート7の上から加熱バー15で加圧されることにより、複合板6に熱溶着されているのである。
【0024】
次いで、複合板6に熱溶着された可撓性シート7を、図4の(b)に矢印Aで示したように、該シート7の表裏が反転するように、熱溶着部(溶着跡)Wに沿って折り返す。このとき、熱溶着部Wは、折り返された可撓性シート7によって覆い隠される。図7の(b)は、熱溶着部Wに沿って折り返された可撓性シート7と複合板6の拡大断面図である。
【0025】
上述のようにして、熱可塑性樹脂製の複合板6と、その複合板6に熱溶着された熱可塑性樹脂製の可撓性シート7を具備する床敷材3が完成し、その床敷材3は、図4の(b)に示した状態で、図1の(b)及び図2の(b)に示すように、自動車の荷室のフロアパネル2上に設置される。その際、床敷材3のうちの高い剛性を備えた複合板6は、その表皮材12が上を向いた状態で、荷室のフロアパネル2に形成された凹部4の上部開口を塞ぐように設置され、可撓性シート7は、表裏が反転するように、熱溶着部Wに沿って折り返された状態で、凹部4以外のフロアパネル上に設置される。
【0026】
複合板6は高い剛性を有する高剛性床敷材として構成されているので、その上に荷物が置かれても、複合板6が凹部4に入り込むように大きく変形することはない。凹部4以外のフロアパネル上には、可撓性シート7として構成された可撓性の床敷材が敷設されるので、そのフロアパネル2に多少凹凸があっても、可撓性シート7は、その凹凸に倣って変形することができる。また、凹部4以外のフロアパネル2上に敷かれた可撓性シート7を、例えば接着剤やクリップなどによってフロアパネル2に接合することもできる。なお、図1の(b)に示したように、図示した例では、床敷材3の両側のフロアパネル部分2Aには床敷材は設置されていないが、このフロアパネル部分2Aにも、他の可撓性シート、或いは複合板6に熱溶着された他の可撓性シートを折り返して設置することもできる。
【0027】
また、図2の(b)に示すように、本例の床敷材3の複合板6は、フロアパネル2の凹部4に収容されたボックス5の上端縁19上に載置され、その上端縁19が、凹部4以外のフロアパネル2の上面よりもわずかに下方に位置しているので、複合板6と、可撓性シート7の全体がほぼ面一状となり、その見栄えが高められる。
【0028】
ところで、前述のように、熱溶着部(溶着跡)Wは、折り返された可撓性シート7によって覆い隠されるので、床敷材3を荷室に敷いたとき、その見栄えが低下することはない。また、複合板6と可撓性シート7は、縫製加工によって接合されるのではなく、熱溶着によって接合されるので、可撓性シート7のサイズがいかなるときも、その可撓性シート7と複合板6を連結することができる。また、複合板6と可撓性シート7がステープルにより連結されるのではないため、床敷材が敷設された荷室に荷物を出し入れするとき、荷物に傷が付けられたり、荷物により加えられた外力によって、複合板6と可撓性シート7が分離することはない。しかも、複合板6と可撓性シート7は、接着剤により接合されるのではないため、短時間で簡単にその接合作業を行うことができる。
【0029】
また、複合板6の両板材8,9の間には空間が残されており、かかる複合板6と可撓性シート7を熱溶着するので、その熱溶着部を確実に押し潰し、しかもその押し潰された熱溶着部の近傍の複合板部分に溶けた複合板材料が、はみ出るようにして多量に押し出され、その複合板部分が押し出された材料によって大きく膨出してしまうこともない。これにより完成した床敷材の見栄えを一層向上させることができる。
【0030】
表面と裏面のある可撓性シート7を使用したときは、図3の(a)に示したように可撓性シート7を複合板6の上に載置する際、その可撓性シート7の表面7Aが複合板6に対向する向きに該可撓性シート7を複合板6の上に載せることが好ましい。このようにすれば、図4の(b)に示したように可撓性シート7を反転させたとき、該可撓性シート7の表面が上を向く。これにより、美しく仕上がった可撓性シート7の表面7Aを表に向けて床敷材3を使用することができる。このように、可撓性シート7は、その表面7Aが複合板6に対向する向きでその複合板6上に載せられて当該複合板6に熱溶着され、熱溶着された可撓性シート7が反転されたとき、その表面7Aが上を向いているように構成することが好ましい。
【0031】
図8は、可撓性シート7と複合板6が加熱バー15により押し潰されて形成された熱溶着部Wの凹溝の横断面形状を示す概略断面図である。図8の(a),(b)は、その凹溝の横断面形状が四角形に形成された例を示し、図8の(c),(d)は、その凹溝の横断面形状が、該凹溝の上部開口に向けて開拡した台形に形成された例を示している。また図8の(e),(f)は、凹溝の横断面形状が、その凹溝の上部開口に向けて開拡したV字形に形成された例を示している。
【0032】
ここで、図8の(a)に示すように、凹溝の横断面形状が四角形となるように、加熱バー15によって可撓性シート7と複合板6を加圧すると、その凹溝の側面16に加えられる圧力は比較的低いため、可撓性シート7と複合板6との接合強さが局部的に弱くなり、完全に接合されない部分ができるおそれがある。このため、図8の(b)に示したように、可撓性シート7を反転させたとき、その可撓性シート7の折り返し個所17が直線状ではなく、蛇行した状態で延びるおそれがあり、これによって床敷材の見栄えが低下する。
【0033】
これに対し、図8の(c)及び(e)に示したように、加熱バー15によって、台形又はV字形の凹溝が形成されるようにすると、その側面16に大きな圧力が加えられ、可撓性シート7と複合板6が強固に接合される。このため、図8の(d)及び(f)に示したように、可撓性シート7を反転させたとき、その折り返し個所17が全長に亘って直線状に延び、その見栄えが低下することはない。
【0034】
上述したところから判るように、加熱バー15により押し潰された可撓性シート7と複合板6の熱溶着部の凹溝の横断面形状は、いずれの形態であってもよいが、特にその横断面形状が、凹溝の上部開口に向けて開拡した台形又はV字形に形成されていることが好ましい。
【0035】
ところで、図10に示した床敷材3は、折り返された可撓性シート7の厚さtと、その下方に位置する複合板部分6Aの厚さtの合計の厚さtが、可撓性シート7の重ね合されていない複合板部分6Bの厚さTと等しくなるように、折り返された可撓性シート7の下方に位置する複合板部分6Aの厚さtの方が、可撓性シート7の重ね合されていない複合板部分6Bの厚さTより薄く形成されている。かかる床敷材3によれば、熱溶着部Wを境として、各側の厚さt,Tが互いに等しくなるので、その見栄えを一層向上させることができる。
【0036】
上述のように、複合板6の各部分の厚さt,Tを変えるには、図9に示すように、図3の(a)に示した加熱バー15に水平部18を一体に付加した加熱バー15Aを用い、その水平部18によって、複合板部分6Aを加圧しながら加熱して、その厚さが、他の複合板部分6Bよりも薄くなるようにすればよい。
【符号の説明】
【0037】
2 フロアパネル
3 床敷材
4 凹部
6 複合板
6A,6B 複合板部分
7 可撓性シート
7A 表面
8,9 板材
10 中間材
12,13 表皮材
15,15A 加熱バー
,t,t,T 厚さ
W 熱溶着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が形成された自動車荷室のフロアパネル上に設置される床敷材であって、熱可塑性樹脂製の複合板と、該複合板に熱溶着された熱可塑性樹脂製の可撓性シートとを具備し、前記複合板は、平行に配置された熱可塑性樹脂より成る一対の板材と、両板材に固着されていると共に、両板材の間に空間が残されるように形成されている熱可塑性樹脂より成る中間材と、前記一対の板材のうちの少なくとも一方の板材の表面に貼着された熱可塑性樹脂より成る表皮材とを有し、前記可撓性シートは、前記複合板の表皮材上に載せられた状態で、該複合板に熱溶着されていて、該複合板は、その表皮材が上を向いた状態で、フロアパネルに形成された凹部の上部開口を塞ぐように設置され、前記可撓性シートは、前記凹部以外のフロアパネル上に設置される床敷材。
【請求項2】
前記可撓性シートは、前記複合板の表皮材上に載せられた状態で、該可撓性シートの上から加熱バーで加圧されることにより、複合板に熱溶着されていて、熱溶着された可撓性シートは、表裏が反転するように熱溶着部に沿って折り返された状態でフロアパネルに設置される請求項1に記載の床敷材。
【請求項3】
前記可撓性シートは、その表面が前記複合板に対向する向きで該複合板上に載せられて当該複合板に熱溶着され、熱溶着された可撓性シートが反転されたとき、その表面が上を向いている請求項2に記載の床敷材。
【請求項4】
前記加熱バーにより押し潰されて形成された可撓性シートと複合板の熱溶着部の凹溝の横断面形状が、その凹溝の上部開口に向けて開拡した台形又はV字形に形成されている請求項2又は3に記載の床敷材。
【請求項5】
折り返された可撓性シートの厚さとその下方に位置する複合板部分の厚さの合計の厚さが、可撓性シートの重ね合されていない複合板部分の厚さと等しくなるように、折り返された可撓性シートの下方に位置する複合板部分の厚さの方が、可撓性シートの重ね合されていない複合板部分の厚さよりも薄く形成されている請求項2乃至4のいずれかに記載の床敷材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−251673(P2011−251673A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128849(P2010−128849)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000244280)盟和産業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】