説明

自動車用の燃料タンク

【課題】保護部材の製造と取り付けが容易で確実に燃料タンクを保護することのできる自動車用の燃料タンクの保護構造を提供する。
【解決手段】自動車用の燃料タンク10の保護構造において、自動車の車体の下面に形成された突部に対応した燃料タンク10の上面の部分に保護部材20を取り付ける。保護部材20は、金属板部30と、金属板部30の上面に接合された平板状のゴム部40と、金属板部30の下面に取り付けられた両面接着部50とを有する。金属板部30は、複数の孔部32、33が形成され、孔部に嵌合する複数の凸部42、43をゴム部40の下面に形成し、金属板部30の下面とゴム部40の凸部42、43を両面接着部50により燃料タンク10に接着した自動車用の燃料タンクの保護構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロアパネルの下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用の燃料タンクは、スペースの関係上、フロアパネルの下に取付けられることが多い。この場合は、フロアパネルの下には補強部材等の突部が設けられているため、燃料タンクとその突部との間に接触が生じることがある。このため、燃料タンクとその突部との干渉を防止するために、隙間等を設けていた。
【0003】
例えば、図6に示すように、フロアパネル4の下側の左右にフレーム111を設けて、その間に燃料タンク110を保持している(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、車両の構造上、このようにフレーム111と燃料タンク110との間に充分な空間を設けることが困難な場合がある。特に、燃料タンク110を車両の中心付近の下面に設置する場合には、スペースが限られており、また、突部も多いため、空間をとりにくいことがある。
【0004】
また、図7に示すように、燃料タンク210を取付バンド130で車体1に取付け、取付バンド130に断熱カバー220を取付けるものがある(例えば、特許文献2参照。)。この場合は、取付バンド130の一方の先端を車体1の係合孔に係止して、他方の端を車体1に係止したフックボルト133にネジ止めして燃料タンク210の下面を保持して取り付けている。その取付バンド130の中央付近に、連結部材131を介して断熱カバー220がネジ132で装着されている。
【0005】
この場合は、車両の振動により、燃料タンク210と車体1やフロアパネル4との接触のため、燃料タンク210および車体1やフロアパネル4の塗装の剥がれが生じたり、車両の衝突時には、燃料タンク210との接触が生じたりしていた。
このため、フロアパネル4や車体1との接触部分には、燃料タンク210の上面でゴムシート7をブチルテープ等により張り付けて、塗装の剥がれや、衝突時の燃料タンク210の傷付きを防止していた。
【0006】
また、衝突時に、車体1の突部等が燃料タンク210に当接する恐れのある場合には、ゴムシート7の厚さを厚くしたり、車体との空間を大きくしたりしていた。
しかしながら、燃料タンクと車体やフロアパネル4との間の空間が取れない場合には、車体の突部と燃料タンクの接触部分に、剛性の大きな鉄板等を張り付けることが考えられるが、この場合には、鉄板と車体の突部やフロアパネルとが接触して、塗装剥がれが生じることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−199072号公報
【特許文献2】実開平5−22137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、保護部材の製造と取り付けが容易で確実に燃料タンクを保護することのできる自動車用の燃料タンクの保護構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、自動車のフロアパネルの下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造において、
自動車の車体の下面に形成された突部に対応した燃料タンクの上面の部分に保護部材を取り付け、
保護部材は、金属板部と、金属板部の上面に接合された平板状のゴム部と、金属板部の下面に取り付けられた両面接着部とを有し、
金属板部は、複数の孔部が形成され、孔部に嵌合する複数の凸部をゴム部の下面に形成し、金属板部の下面とゴム部の凸部を両面接着部により燃料タンクに接着したことを特徴とする自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0010】
請求項1の本発明では、自動車の車体の下面に形成された突部に対応した燃料タンクの上面の部分に保護部材を取り付けたため、車体の振動等で車体の突部と燃料タンクとの摩擦が生じても、或いは、衝突等で燃料タンクが車体の突部の端部と当接しても、保護部材により、燃料タンクに損傷を生じることがない。
【0011】
保護部材は、金属板部と、金属板部の上面に接合された平板状のゴム部と、金属板部の下面に取り付けられた両面接着部とを有する。このため、金属板部で車体の突部からの強い衝撃に対して燃料タンクを保護することができる。また、ゴム部で金属板部と車体の突部との直接的な接触を防止して、車体の傷付きと塗装剥がれを防止することができる。さらに、両面接着部により強固に保護部材を燃料タンクに取り付けることができるとともに、金属板部による燃料タンクの損傷を防止することができる。
【0012】
金属板部は、複数の孔部が形成され、孔部に嵌合する複数の凸部をゴム部の下面に形成し、金属板部の下面とゴム部の凸部を両面接着部により燃料タンクに接着した。このため、金属板部とゴム部が孔部にゴム部の凸部が嵌合してゴム部と金属板部とがずれることなく、一体的に形成されるとともに、両面接着部により金属板部とゴム部の凸部が同時に接着されて、燃料タンクに取り付けられることができ、金属板部とゴム部との間の接着に両面接着テープを使用することなく、金属板部とゴム部が燃料タンクに対して強固に接着されることができる。
【0013】
請求項2の本発明は、金属板部に下方に突出する凸部を形成し、凸部を燃料タンクに形成された凹部に挿入して、保護部材を燃料タンクに接着した自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0014】
請求項2の本発明では、金属板部に下方に突出する凸部を形成し、凸部を燃料タンクに形成された凹部に挿入して、保護部材を燃料タンクに接着した。このため、外気温が高くなって、両面接着部が柔軟化した場合において、燃料タンクから保護部材のずれが生じるような場合に、保護部材の金属板部の凸部が、燃料タンクの凹部に係合して、ずれを生じなくすることができる。
【0015】
請求項3の本発明は、保護部材は、金属板部の周囲がゴム部で囲まれるようにゴム部周縁部を形成し、ゴム部周縁部、ゴム部の凸部及び金属板部の下面とを同時に両面接着部により燃料タンクに接着した自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0016】
請求項3の本発明では、保護部材は、金属板部の周囲がゴム部で囲まれるようにゴム部周縁部を形成したため、保護部材の前後左右方向のずれによる金属板部と燃料タンクとの干渉防止と、金属板部と車体の突部との干渉を防止することができる。
ゴム部周縁部、ゴム部の凸部及び金属板部とを同時に両面接着部により燃料タンクに接着したため、保護部材における金属板部への水等の侵入を防止してさびの発生を防止するとともに、ゴム部と金属板部との接着をより強固にすることができる。
【0017】
請求項4の本発明は、両面接着部は、ブチルゴムテープで形成された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0018】
請求項4の本発明では、両面接着部は、ブチルゴムテープで形成されたため、1枚のブチルゴムテープが両面接着テープとクッション材の両方の機能を果たすことができ、保護部材の金属板部と燃料タンクとの干渉を防止するとともに、保護部材を強硬に接着することができる。
【0019】
請求項5の本発明は、保護部材のゴム部周縁部の少なくとも一方の端面に傾斜面が形成された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0020】
請求項5の本発明では、保護部材のゴム部周縁部の少なくとも一方の端面に傾斜面が形成されたため、保護部材を燃料タンクに接着するときに、傾斜面が形成された部分の離型紙と接着テープとの間に隙間が生じて、両面接着部の離型紙を剥がすことが容易にでき、接着作業の作業性の向上を図ることができる。
【0021】
請求項6の本発明は、自動車の車体の下面に形成された突部は、車体のフロアパネルの補強部材であり、保護部材は、フロアパネルの補強部材の端面に対応する部分取り付けられた自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0022】
請求項6の本発明では、自動車の車体の下面に形成された突部は、車体のフロアパネルの補強部材であり、保護部材は、フロアパネルの補強部材の端面に対応する部分取り付けられたものである。このため、車体の衝突等により、フロアパネルが変形して、フロアパネルの補強部材の端面に燃料タンクが当接しても、保護部材により燃料タンクを保護して、燃料タンクの損傷を防止することができる。
【0023】
請求項7の本発明は、燃料タンクは、車体下面の中央部付近に取り付けられた請自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0024】
請求項7の本発明では、燃料タンクは、車体下面の中央部付近に取り付けられたため、車体の衝突等により、車体下面の中央部付近が変形しても、車体下面に取り付けられた突部による燃料タンクの損傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本件発明の保護部材は、金属板部と、金属板部の上面に接合された平板状のゴム部と、金属板部の下面に取り付けられた両面接着部とを有するため、金属板部で車体の突部からの強い衝撃に対して燃料タンクを保護することができ、ゴム部で金属板部と車体の突部との直接的な接触を防止して、車体の傷付きと塗装剥がれを防止することができる
金属板部は、複数の孔部が形成され、孔部に嵌合する複数の凸部をゴム部の下面に形成し、金属板部とゴム部の凸部を両面接着部により燃料タンクに接着したため、金属板部の孔部にゴム部の凸部が嵌合してゴム部と金属板部とがずれることなく、両面接着部により金属板部の下面とゴム部の突部が同時に接着されて、燃料タンクに取り付けられることができ、燃料タンクに対して強固に接着されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態である燃料タンクに保護部材を取付け、補強部材の下に取り付けた状態の平面図である。
【図2】本発明に使用する保護部材の図であり、(a)は保護部材の底面図であり、(b)は、保護部材の図2(a)のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明に使用する金属板部の図であり、(a)は金属板部の平面図であり、(b)は、金属板部の図3(a)のB−B線に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施の形態である燃料タンクに保護部材を取付け、補強部材の下に取り付けた状態の図1のC−C線に沿った断面図である。
【図5】本発明の実施の形態である燃料タンクに保護部材を取付け、補強部材の下に取り付けた状態の図1のD−D線に沿った断面図である。
【図6】従来の燃料タンクをフロアパネルに取付けた状態の断面図である。
【図7】従来の他の燃料タンクと断熱部材をフロアパネルに取付けた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態である自動車用の燃料タンク10の保護構造について、図1〜図5に基づき説明する。
本発明の実施の形態に使用する燃料タンク10は、図1に示すように、その燃料タンク10に燃料ポンプ(図示せず)等を出し入れするためにポンプユニット取付孔16が上面に形成されて、ポンプユニット取付孔16を塞ぎ、燃料ポンプを燃料タンク10内に取付けるポンプユニット取付蓋17が取付けられている。
【0028】
さらに、燃料タンク10には車体1に設けられた給油口(図示せず)から燃料を燃料タンク10内に注入するインレットパイプ(図示せず)と接続するインレットパイプ接続部14が取付けられている。また、上記燃料ポンプからエンジンに燃料を送付する燃料パイプ15も取付けられている。さらに、燃料ポンプを駆動する電気コードや燃料タンク10内の蒸発燃料を調整する各種のパイプが取付けられている。
【0029】
燃料タンク10は、金属製や合成樹脂製のものがあるが、本件発明においては、いずれの燃料タンク10も使用することができる。本実施の形態においては、合成樹脂製の燃料タンク10を例にとり説明する。
金属製の燃料タンク10の場合には、スチール又はステンレススチール等を使用することができる。
【0030】
合成樹脂製の燃料タンク10の場合は、車体の取り付け部分の空間に合わせた形状に形成され、高密度ポリエチレン(HDPE)や、高密度ポリエチレン(HDPE)の一層で形成されたものや、表皮層、バリヤ層と本体層の多層構造で形成されたものを使用することができる。多層構造の場合は、表皮層、本体層は、耐衝撃性が大きく、燃料油に対しても剛性が維持される熱可塑性合成樹脂から形成され、高密度ポリエチレン(HDPE)から形成されることが好ましい。バリヤ層を構成する熱可塑性合成樹脂は、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を使用することが好ましい。
【0031】
次に、自動車の車体の下部に形成された突部について説明する。この突部は、自動車の車体の下部に形成されて燃料タンク10と接触する可能性のある突部をいうが、本実施の形態においては、車体の下部の中央付近に取り付けられた車体のフロアパネル4の車体補強部材2である。図1に示すように、フロアパネル4の車体補強部材2は長尺状に2本形成され、その先端部3は、図4に示すように、燃料タンク10の上壁11付近に位置している。
後述する保護部材20は、この補強部材の先端部3に対応する部分の燃料タンク10に取り付けられる。
【0032】
次に、本実施の形態において使用する保護部材20について、図2と図3に基づき説明する。図2においては、図2(a)は保護部材20の底面図であるため、図2(b)は保護部材20の上下が逆に記載されており、金属板部30の上面が下方に記載されている。
図2に示すように、保護部材20は、金属板部30と、金属板部30の上面(図2(b)においては下側面)に一体的に接合されたゴム部40と、金属板部30の下面(図2(b)においては上側面)に取り付けられた両面接着部50とを有する。
【0033】
金属板部30は、図3(a)に示すように、金属の長方形の板状に形成されている。金属板部30の図3(a)における左側には長円形の金属板第1孔部32が形成され、図3(a)における右側には長円形で下部が膨らんだ金属板第2孔部33が形成されている。金属板第2孔部33に近接して図3(a)における上部には、金属板凸部35が下方((図3(b)においては上側面)に突出するように形成されている。金属板凸部35は、図3(b)に示すように、金属板部30から山状に膨らんで形成されている。
【0034】
なお、金属板第2孔部33の横で金属板凸部35の図3(a)における下方にはハンガー孔34が形成されている。ハンガー孔34は、金属板部30を防錆処理のため金属板部30を吊るすハンガーに金属板部30を取り付けるための孔である。防錆処理ため塗装する場合には、塗装のためのハンガーに金属板部30のハンガー孔34を掛け、金属メッキをする場合には、金属板部30は、メッキ槽のハンガーに掛けられる。
【0035】
金属板部30の上面には、ゴム部40が形成されている。ゴム部40は平板状に形成され金属板部30を覆うような大きさで形成されている。
ゴム部40の上面(図2(b)の下面)は、金属板部30を覆うように平面上に形成されている。このため、燃料タンク10に取り付けられたときに、車体の突部が直接金属板部30に接触することがない。
【0036】
ゴム部40の下面(図2(b)の上面)には、上記の金属板部30の金属板第1孔部32と金属板第2孔部33に対応した形状のゴム部第1凸部42とゴム部第2凸部43が形成されている。ゴム部第1凸部42とゴム部第2凸部43の高さは、金属板部30の厚さと略同じか若干大きく形成されている。
【0037】
ゴム部40の下面の周囲には、金属板部30の周囲をゴム部40で囲むことができるようにゴム部周縁部46が形成されている。このため、ゴム部40の下面に金属板部30を嵌めこむと、ゴム部40のゴム部第1凸部42が金属板部30の金属板第1孔部32に挿入され、ゴム部第2凸部43が金属板部30の金属板第2孔部33に挿入される。そして、金属板部30の周囲をゴム部周縁部46が囲むことができる。
【0038】
そうすると、保護部材20の裏面は、図2(a)に示すように、金属板部30の裏面と、ゴム部第1凸部42と、ゴム部第2凸部43、ゴム部周縁部46が配置される。
ゴム部40のゴム部周縁部46の少なくとも一方の端面に傾斜面が形成される。本実施の形態では、図2における左側の端面にゴム部傾斜面47される。
【0039】
保護部材20の裏面には両面接着部50が貼着されている。両面接着部50は、金属板部30の裏面と、ゴム部第1凸部42と、ゴム部第2凸部43、ゴム部周縁部46を完全に覆い同時に接着することができる。このため、金属板部30とゴム部40とを強固に接着することができる。また、金属板部30への水等の侵入を防止してさびの発生を防止することができる。
【0040】
両面接着部50は、ブチルゴムテープで形成することが好ましい。この場合には、1枚のブチルゴムテープが両面接着テープとクッション材の両方の機能を果たすことができ、保護部材20の金属板部30と燃料タンク10の表面との干渉を防止するとともに、保護部材20を強硬に接着することができる。
【0041】
上記のように構成された保護部材20を、燃料タンク10に接着する。保護部材20を燃料タンク10に接着するには、保護部材20の両面接着部50の表面に貼着された離型紙を剥がす。このとき、ゴム部周縁部46の一部にゴム部傾斜面47が形成されているため、その部分に離型紙との間の隙間ができて、ゴム部傾斜面47から離型紙を剥がすことが容易にでき、接着作業の作業性の向上を図ることができる。
【0042】
保護部材20は、自動車の車体1の下面に形成された突部である車体補強部材2に対応した燃料タンク10の上面の部分に取り付けられる。本実施の形態においては、図1、図4、図5に示すように、車体1のフロアパネルの下面に取り付けられた2本の長尺状の車体補強部材2の先端部3に対応した燃料タンク10の上壁11に取り付けられる。このため、車体1の振動等で車体1の車体補強部材2と燃料タンク10との摩擦が生じても、或いは、衝突等で燃料タンク10が車体1の車体補強部材2の先端部3と当接しても、保護部材20により、燃料タンク10に損傷を生じることがない。
【0043】
本実施の形態では、保護部材20は、フロアパネルの下面に取り付けられた車体補強部材2の先端部3に対応する部分取り付けられたものである。この保護部材20の金属板部30の平面上の中央部分(金属板第1孔部32と金属板第2孔部33が形成されていない部分)に先端部3が位置するように取り付ける。このため、車体の衝突等により、車体補強部材2の先端部3に燃料タンク10が当接しても、車体補強部材2の先端部3のエッジは、金属板部30の中央部分に当接するため、保護部材20により燃料タンク10を保護して、燃料タンク10の損傷を防止することができる。
【0044】
なお、燃料タンク10が、車体下面の中央部付近に取り付けられ場合には、車両の衝突等により、車体下面の中央部付近が変形して、車体下面に取り付けられた車体補強部材2に対して、燃料タンク10が当接しても、車体補強部材2の先端部3に保護部材20が確実に当接して、燃料タンク10の損傷を防止することができる。
【0045】
保護部材20を燃料タンク10に接着するときに、図4と図5に示すように、保護部材20の金属板凸部35を、燃料タンク10の上壁11に形成された凹部12に挿入して保護部材20を取り付ける。このため、外気温が高くなって、両面接着部50が柔軟化した場合において、燃料タンク10から保護部材20のずれが生じるような場合に、保護部材20の金属板凸部35が、燃料タンク10の凹部12に係合して、ずれを生じなくすることができる。
【0046】
燃料タンク10に接着された保護部材20は、金属板部30と、金属板部30の上面に一体的に接合されたゴム部40とを有する。このため、車輛の振動や衝突において、剛性の高い金属板部30で車体補強部材2からの強い衝撃に対して燃料タンク10を保護することができる。また、表面にゴム部40を有するため、金属板部30と車体補強部材2との直接的な接触をしないようにすることができ、車体1の傷付きと塗装剥がれを防止することができる。
【0047】
金属板部30は、複数の孔部が形成され、孔部に嵌合する複数の凸部をゴム部40に形成し、金属板部30とゴム部40の突部を両面接着部50により燃料タンク10に接着した。このため、金属板部30の孔部にゴム部40の凸部が嵌合してゴム部40と金属板部30とがずれることなく、一体的に形成されるとともに、両面接着部50により金属板部30とゴム部40の凸部が同時に接着されて、燃料タンク10に取り付けられることができ、金属板部30とゴム部40との間の接着に両面接着テープを使用することなく、金属板部30とゴム部40が燃料タンク10に対して強固に接着されることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 車体
2 車体補強部材
10 燃料タンク
12 凹部
20 保護部材
30 金属板部
32 金属板第1孔部
33 金属板第2孔部
35 金属板凸部
36 金属板周縁部
40 ゴム部
42 ゴム部第1凸部
43 ゴム部第2凸部
47 ゴム部傾斜面
50 両面接着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフロアパネルの下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造において、
上記自動車の車体の下面に形成された突部に対応した上記燃料タンクの上面の部分に保護部材を取り付け、
該保護部材は、金属板部と、該金属板部の上面に接合された平板状のゴム部と、上記金属板部の下面に取り付けられた両面接着部とを有し、
上記金属板部は、複数の孔部が形成され、該孔部に嵌合する複数の凸部を上記ゴム部の下面に形成し、上記金属板部の下面と上記ゴム部の凸部を上記両面接着部により上記燃料タンクに接着したことを特徴とする自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項2】
上記金属板部に下方に突出する凸部を形成し、該凸部を上記燃料タンクに形成された凹部に挿入して、上記保護部材を上記燃料タンクに接着した請求項1に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項3】
上記保護部材は、上記金属板部の周囲が上記ゴム部で囲まれるようにゴム部周縁部を形成し、該ゴム部周縁部、上記ゴム部の凸部及びと上記金属板部の下面とを同時に上記両面接着部により上記燃料タンクに接着した請求項1又は請求項2に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項4】
上記両面接着部は、ブチルゴムテープで形成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項5】
上記保護部材のゴム部周縁部の少なくとも一方の端面に傾斜面が形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項6】
上記自動車の車体の下面に形成された突部は、車体のフロアパネルの補強部材であり、上記保護部材は、上記フロアパネルの補強部材の端面に対応する部分取り付けられた請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項7】
上記燃料タンクは、上記車体下面の中央部付近に取り付けられた請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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