説明

自動車用カーペットおよびその製造方法、

【課題】本発明の課題は、通気性があり、吸音性に優れた自動車用カーペットを安価に提供することである。
【解決手段】本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、Tダイ押出し機によって熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出し、多数の凹形状を有する冷却ロールと加圧ロールとの間で、該熱可塑性樹脂と表皮材層とを共に狭圧して多数の凸形状部分を有する接着樹脂層を形成させることにより、生産性に優れ、吸音性のある自動車用カーペットの得られることを見出し本発明に到達した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車内に敷いて用いられるカーペットで、自動車の床面形状に成型して使用される自動車用カーペットに関するものである。なお、この明細書において「通気度」とは、JIS 1096−1999の827.1のA法により測定された通気度である。
【背景技術】
【0002】
自動車内のフロアーには、人体が直接金属床に触れないようにしたり、足踏み感を良好にすると共に床側からの振動や騒音が伝わらないようにすること等を目的として、フロアーカーペットが敷設されている。
【0003】
一方、最近では、自動車内での快適性を向上させるために、自動車の室内空間における静粛性を高めることも強く求められるようになってきており、カーペット地等の表皮材の裏面側に不織布を通気性のある接着樹脂層によって貼り合わせた構成のものが多く用いられるようになってきいる。騒音等の音は主に不織布層を通過する際に吸音され、十分な吸音性能を発揮するものとして公開されている。また、特許文献2のフロアーカーペットでは、カーペットの部位によって異なる通気度を有する車両用フロアカーペットが公開されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−219989号公報
【特許文献2】特開2007−91019号公報
【0005】
しかしながら、特許文献1のフロアーカーペットでは、十分な吸音性能が得られるものの、生産性が不十分で、さらなる改善が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたもので、吸音性に優れ、さらには生産性も良好な自動車用カーペットを安価に提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、熱可塑性樹脂粉体を加熱した通気性のある接着樹脂層によって吸音層を貼り合わせる従来方法に替えて、Tダイ押出し機によって熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出し、多数の凹形状を有する冷却ロールと加圧ロールとの間で、該熱可塑性樹脂と表皮材層とを共に狭圧して多数の凸形状部分を有する接着樹脂層を形成させることにより、生産性に優れた自動車用カーペットの得られることを見出し本発明に到達した。また、通気性については、本自動車用カーペットを加熱成型したときに、厚さに斑のある前記接着樹脂層に亀裂を生じて通気性が発現し、吸音性能を有するようになるものである。本発明は、以下の手段を提供する。
【0008】
[1]表皮材層の下面側に熱可塑性樹脂をフィルム状に塗布した接着樹脂層を有する自動車用カーペットにおいて、前記表皮材層側と反対側の接着樹脂層面に、多数の凸形状部分を有しており、前記凸形状部分の高さが0.1〜2.0mmであって、前記熱可塑性樹脂の塗布量が50〜300g/m2であることを特徴とする自動車用カーペット。
【0009】
[2]前記自動車用カーペットにおいて、不織布からなる吸音層が前記接着樹脂層を介して前記表皮材層と一体化していることを特徴とする前項1に記載の自動車用カーペット。
【0010】
[3]前記自動車用カーペットの厚さ方向の通気度は0〜0.1(cm/cm・秒)であって、自動車の床形状に合わせて加熱成型したときに、カーペットの厚さ方向の通気度が0〜15(cm/cm・秒)であることを特徴とする前項1または2に記載の自動車用カーペット。
【0011】
[4]Tダイ押出し機によって熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出し、多数の凹形状を有する冷却ロールと加圧ロールとの間で、該熱可塑性樹脂を表皮材層と共に狭圧して多数の凸形状部分を有する接着樹脂層を形成することを特徴とする前項1に記載の自動車用カーペットの製造方法。
【0012】
[5]Tダイ押出し機によって熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出し、多数の凹形状を有する冷却ロールと加圧ロールとの間で、該熱可塑性樹脂を表皮材層と共に狭圧して多数の凸形状部分を有する接着樹脂層を形成した後、前記接着樹脂層を加熱し、前記接着樹脂層側に不織布からなる吸音層を重ねて加圧し、表皮材層と吸音層を接着一体化することを特徴とする前項2に記載の自動車用カーペットの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明では、表皮材層側と反対側の接着樹脂層面に、多数の凸形状部分を有しており、前記凸形状部分の高さが0.1〜2.0mmであるので、接着樹脂層面に接着樹脂層の厚さ斑を生じせしめ、塗布量が50〜300g/m2と薄塗りであるので、自動車の床形状に合わせて加熱成型したときに、接着樹脂層の厚さの薄い部分から亀裂を生じやすく、通気性が発現され、吸音性能のある自動車用カーペットを得ることができる。
【0014】
[2]の発明では、不織布からなる吸音層が前記接着樹脂層を介して前記表皮材層と一体化しているので、自動車の床形状に合わせて加熱成型したときに、接着樹脂層の厚さの薄い部分から亀裂を生じ、通気性が発現され、吸音性能のある自動車用カーペットとすることができる。
【0015】
[3]の発明では、自動車用カーペットの厚さ方向の通気度は0〜0.1(cm/cm・秒)であるので、加熱成型する前では、通気性はほとんどなく、遮水性能のある自動車用カーペットとすることができる。自動車の床形状に合わせて加熱成型したときに、接着樹脂層の厚さの薄い部分から亀裂を生じ、通気性が発現するので、加熱成型時に強く引き伸ばされる部分は、カーペットの厚さ方向の通気度が多くなり、引き伸ばされない部分は、通気性が発現しないので遮水性能は維持される。即ち加熱成型時に引き伸ばされ方の少ない自動車用カーペットは遮水性能があり、強く引き伸ばされた部分では、吸音性能のある自動車用カーペットとすることができる。
【0016】
[4]の発明では、Tダイ押出し機によって熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出し、多数の凹形状を有する冷却ロールと加圧ロールとの間で、該熱可塑性樹脂を表皮材層と共に狭圧するので、多数の凸形状部分を有する接着樹脂層を形成することができ、均一な厚みに押し出されたフィルムに、厚さ斑を生じせしめた接着樹脂層を有する自動車用カーペットの製造方法とすることができる。
【0017】
[5]の発明では、Tダイ押出し機によって熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出し、多数の凹形状を有する冷却ロールと加圧ロールとの間で、該熱可塑性樹脂を表皮材層と共に狭圧して多数の凸形状部分を有する接着樹脂層を形成した後、前記接着樹脂層を加熱し、該接着樹脂層に不織布からなる吸音層を重ねて加圧し、表皮材層と吸音層を接着一体化するので、接着樹脂層に厚さ斑を有し、吸音層を有する自動車用カーペットの製造方法とすることができる。また、自動車の床形状に合わせて加熱成型したときに、吸音性能を有する自動車用カーペットの製造方法とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
吸音性能を有する自動車用カーペットとして、表皮材の裏面側に不織布からなる吸音層を、粉体の熱可塑性樹脂を溶融した通気性のある接着樹脂層によって貼り合わせた構成のものが多く用いられるようになってきている。騒音等の音は主に不織布層を通過する際に吸音され、十分な吸音性能を発揮するものとして使用されている。しかしながら、この方法による自動車用カーペットの製造方法では、生産性が劣り改善が求められていた。
【0019】
本発明による自動車用カーペット1は、図1〜3に示すように表皮材層2の下面側に、熱可塑性樹脂3を、Tダイ押出し機6によってフィルム状に溶融押出し、多数の凹形状(4−1)を有する冷却ロール4と加圧ロール5との間で、該熱可塑性樹脂3を表皮材層2と共に狭圧して多数の凸形状部分3−2を有する接着樹脂層3を形成した自動車用カーペット1を得る。
【0020】
また、別の発明では、図4図5に示すように、前記自動車用カーペット1の接着樹脂層3を加熱し、不織布からなる吸音層7を重ねて加圧し、表皮材層2と吸音層7を接着一体化するものである。
【0021】
表皮材層2に用いるカーペットとしては、特に限定されるものではなく、ニードルパンチカーペット、タフテッドカーペット、織カーペット、編カーペット、電着カーペット等を例示できる。中でも、図1に示すような基材部分(2−1)の上面にパイル部分(2−2)を有するニードルパンチカーペットやタフテッドカーペットが好ましい。また、前記基材部分(2−1)の下面にプレコート処理がなされたニードルパンチカーペットやタフテッドカーペットが用いられるのが好ましい。プレコート処理によって、カーペットとしての抜糸強度や摩擦強度が確保される。また、表皮材層2の素材としては、特に限定されるものではなく、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等の合成繊維、あるいは、麻、綿、羊毛等の天然繊維等の繊維を例示できる。リサイクル性と安全性の観点からは、オレフィン系の繊維からなるのが好ましい。
【0022】
接着樹脂層3としては、熱可塑性樹脂であって、流動性が高く、メルトフローレートが200以上であることが望ましい。メルトフローレートが200以上であれば、熱可塑性樹脂の種類は問はないが、一般的に自動車用カーペットの接着樹脂層として多く使用されているポリエチレンが好適である。また、熱可塑性樹脂の塗布量は、50〜300g/m2であるのが好ましい。塗布量が50g/m2よりも少ないと、遮水性能を有するフィルム状の接着樹脂層が形成されにくく、塗布量が300g/m2よりも多くなると、加熱成型したときに接着樹脂層に亀裂が生じにくく、通気性が発現せず、吸音性能を有する自動車用カーペットとすることができない。
【0023】
つぎに、吸音性能を有する不織布からなる吸音層7としては、その厚さが1〜15mm、目付けが10〜1000g/m2、構成繊維の繊度が0.1〜30デシテックスのものを用いるのが好ましい。また、構成する繊維の種類としては、特に限定されるものではなく、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等の合成繊維をあげることができる。リサイクル性と安全性の観点からは、オレフィン系の繊維からなるのが好ましい。
【0024】
本発明の自動車用カーペットの接着樹脂層面には、図3のように多数の凸形状部分(3−2)を有している。この凸形状部分は、例えば図2のようにTダイ押出し機6によってフィルム状に溶融押出しされた流動性の高い接着樹脂層3が、多数の凹形状部(4−1)を有する冷却ロール4と加圧ロール5との間で、表皮材層2と共に狭圧されて形成される。前記凸形状部分(3−2)は、冷却ロール4の凹形状部分(4−1)に対応し、冷却ロール4と加圧ロール5間の圧力が直接かからないため、高さが0.1〜2.0mmに、平坦部(3−1)より盛り上がったように基材層部分(2−3)と接着樹脂層部分(3−2)とで形成される。(図1参照)さらに、この凸形状部分の接着樹脂層(3−2)の厚さは、(3−1)部よりも薄く形成され、接着樹脂層の厚さに斑を生じせしめるものである。
【0025】
また、多数の凹形状を有する冷却ロール4は、特に特殊なものではなく、冷却構造を有したロールで、例えば、図3のような自動車用カーペットでは、ロール表面に直径5mmの円筒状の穴を40コ/100cm彫ったロールを使用している。必要とされる通気度に応じて、円筒状の穴の数や形状を変えてやればよい。また、凹形状としては、円錐形状、三角錐形状、四角錐形状、台錐形状等を例示できる。
【0026】
生産性については、粉体の熱可塑性樹脂を加熱溶融して通気性のある接着樹脂層を形成する従来の製造方法に比べ、2〜3倍の生産性向上となる。
【0027】
通気度は、本発明の場合、加熱成型したときに始めて発現するもので、接着樹脂層が加熱され、引き伸ばされて接着樹脂層に亀裂が生じ、0.1〜15(cm/cm・秒)の通気性が発現し吸音性能を得る。引き伸ばされない部分は、通気性が発現しないので、遮水性能が維持される。
【実施例】
【0028】
つぎに本発明の自動車用カーペットについて具体的な実施例について説明する。なお、この発明の自動車用カーペットは、実施例に限定されるものではない。
【0029】
<実施例1>
表皮層2として、タフテッドカーペット表皮層(1/10ゲージ、パイル長6mm、ステッチ36/10cm、パイル糸1200dtex原着ポリプロピレン糸、目付600g/m、基布、ポリエステルスパンボンド不織布100g/m、SBRラテックスエマルジョンをロールコーターで200g/m(乾燥重量)塗布しプレコート処理した。)を用意した。接着樹脂層3として、メルトフローレートが350のポリエチレン樹脂を用い塗布量120g/mで、図2に示す加工方法で自動車用カーペットを作製した。なお、冷却ロールの表面には、直径5mm深さ5mmの円筒状の穴が40コ/100cmの割合で彫られた冷却ロールを使用した。このときの自動車用カーペットの凸形状部分の高さは、1.5mm盛り上がっているのが観測された。またこの自動車用カーペットの通気性は0(cm/cm・秒)であった。次に、この自動車用カーペットを、150度10分間加熱し、15%伸張して通気性を測定したところ10(cm/cm・秒)であった。また、遮水性試験において、自動車用カーペットの加熱前では「◎」、加熱伸張後では、「○」の評価を得た。
【0030】
<実施例2>
吸音層7として、ニードルパンチ不織布(繊度6.7dtex、繊維長51mmのポリプロピレン繊維80%、繊度14dtex、繊維長64mmのポリプロピレン繊維15%、繊度4.4dtex低融点繊維5%、厚さ4mm、目付200g/m。)を用意し、図5に示す加工方法で接着樹脂層3を過熱し、実施例1において作製した自動車用カーペットと、吸音層7を接着一体化した自動車用カーペットを得た。この自動車用カーペットの通気性は0(cm/cm・秒)で、150度12分間加熱し、15%伸張してから通気性を測定したところ8(cm/cm・秒)の通気性を確認することができた。また、遮水性試験において、自動車用カーペットの加熱前では「◎」、加熱伸張後では、「○」の評価を得た。
【0031】
<実施例3>
表皮層2として、ニードルパンチカーペット表皮層(ポリエステル繊維製、厚さ3mm、目付250g/m、SBRラテックスエマルジョンをロールコーターで100g/m(乾燥重量)塗布しプレコート処理した。)を用意した。接着樹脂層3として、メルトフローレートが250のポリエチレン樹脂を用い塗布量70g/mで、実施例1と同様な加工方法で自動車用カーペットを作製した。このときの自動車用カーペットの凸形状部分の高さは、0.5mm盛り上がっていた。またこの自動車用カーペットの通気性は0.05(cm/cm・秒)で、150度10分間加熱、15%伸張後の通気性は、5(cm/cm・秒)であった。また、遮水性試験において、自動車用カーペットの加熱前では「◎」、加熱伸張後では、「○」の評価を得た。
【0032】
<実施例4>
実施例3において、ポリエチレン樹脂の塗布量を250g/mとした以外は、実施例3と同様にして自動車用カーペットを作製した。このときの自動車用カーペットの凸形状部分の高さは、0.7mmで、通気性は0(cm/cm・秒)で、150度10分間加熱、15%伸張後の通気性は、3(cm/cm・秒)であった。遮水性試験では、自動車用カーペットの加熱前では「◎」、加熱伸張後では、「○」の評価であった。
【0033】
<比較例1>
実施例1において、冷却ロールの表面に穴が彫られていない冷却ロールを使用した以外は実施例1と同様にして、自動車用カーペットを得た。このときの自動車用カーペットの接着樹脂層3には、凸形状部分はなく、平面状の接着樹脂層となっていた。またこの自動車用カーペットの通気性は0(cm/cm・秒)で、150度10分間加熱し、15%伸張したときの通気性も0(cm/cm・秒)であった。遮水性試験では、自動車用カーペットの加熱前では「◎」、加熱伸張後では、「◎」であった。
【0034】
<比較例2>
実施例1において、接着樹脂層3の塗布量を45g/mとした以外は、実施例1と同様にして自動車用カーペットを作製した。このときの自動車用カーペットの凸形状部分の高さは、1.5mmであったが、樹脂層がフィルム状にならず、通気性はあるものの、遮水性能は得られなかった。遮水性試験では、自動車用カーペットの加熱前では「×」、加熱伸張後では、「×」であった。
【0035】
<比較例3>
実施例1において、接着樹脂層3の塗布量を320g/mとした以外は、実施例1と同様にして自動車用カーペットを作製した。このときの自動車用カーペットの凸形状部分の高さは、2mmであったが、接着樹脂層が厚く、加熱後15%伸張したときの通気性が得られなかった。遮水性試験では、加熱前も、加熱伸張後いずれも、「◎」であった。
【0036】
<参考例1>
実施例1において、接着樹脂層3として、メルトフローレートが120のポリエチレン樹脂を用い塗布量120g/mとした以外は実施例1と同様にして、自動車用カーペットを得た。この時の接着樹脂層における凸形状部分の高さは、2mm盛り上がっているのが観測された。またこの自動車用カーペットの通気性は0(cm/cm・秒)で、150度10分間加熱し、15%伸張したときの通気性も同様に0(cm/cm・秒)であった。遮水性試験では、自動車用カーペットの加熱前では「◎」、加熱伸張後では、「◎」であった。
【0037】
これらのことから、冷却ロールの表面に穴が彫られていない比較例1では、接着樹脂層と基材層部分の盛り上がりがなく、接着樹脂層に厚さ斑ができず、加熱伸長しても通気性は得られなかった。メルトフローレートの低い参考例1では、通気性を確保することができず、接着樹脂層の塗布量の少ない比較例2では、接着樹脂層をフィルム状にすることができずに、遮水性能を得ることができなかった。また、接着樹脂層の塗布量の多い比較例3では、通気性能を得ることができなかった。
【0038】
<遮水性評価方法>
自動車用カーペットの上面(パイル面)に常温の水を100mL静かに載せ、この状態で10分間放置した。10分経過後にカーペット裏面への透水状態を調べた。
【0039】
(評価基準)
「◎」…カーペット裏面への透水が全くなく、裏面がドライな状態であった。
「○」…カーペット裏面への透水はなかったが、裏面が半乾き状態のような湿った状態であった。
「△」…カーペット裏面への透水は殆どなかったが、裏面が水で濡れていた。
「×」…カーペット裏面へ透水した。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係わる自動車用カーペットの概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わる自動車用カーペットの製造工程を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わる自動車用カーペットを接着樹脂層側からみた概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わる自動車用カーペットの概略断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係わる自動車用カーペットの製造工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・自動車用カーペット
2・・・表皮材層
2−1・・・基材層
2−2・・・パイル層
2−3・・・基材層の盛り上がり部
3・・・接着樹脂層
3−1・・・接着樹脂層の平坦部分
3−2・・・接着樹脂層の凸形状部分
4・・・冷却ロール
4−1・・・冷却ロールの凹形状部
5・・・加圧ロール
6・・・Tダイ押出し機
7・・・吸音層
8・・・加熱装置
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、カーペットのような厚みのある、繊維集合体にフィルム状に熱可塑性樹脂を貼り、二次加工(加熱伸長)で通気性能を持つように加工するもので、従来の樹脂粉体による加工に比べ、大幅な生産性の向上が図れる。自動車用カーペットに限らず、一般の布帛にも応用できるので二次加工で通気性を付与する技術としても広く利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮材層の下面側に熱可塑性樹脂をフィルム状に塗布した接着樹脂層を有する自動車用カーペットにおいて、前記表皮材層側と反対側の接着樹脂層面に、多数の凸形状部分を有しており、前記凸形状部分の高さが0.1〜2.0mmであって、前記熱可塑性樹脂の塗布量が50〜300g/m2であることを特徴とする自動車用カーペット。
【請求項2】
前記自動車用カーペットにおいて、不織布からなる吸音層が前記接着樹脂層を介して前記表皮材層と一体化していることを特徴とする請求項1に記載の自動車用カーペット。
【請求項3】
前記自動車用カーペットの厚さ方向の通気度は0〜0.1(cm/cm・秒)であって、自動車の床形状に合わせて加熱成型したときに、カーペットの厚さ方向の通気度が0〜15(cm/cm・秒)であることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用カーペット。
【請求項4】
Tダイ押出し機によって熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出し、多数の凹形状を有する冷却ロールと加圧ロールとの間で、該熱可塑性樹脂を表皮材層と共に狭圧して多数の凸形状部分を有する接着樹脂層を形成することを特徴とする請求項1に記載の自動車用カーペットの製造方法。
【請求項5】
Tダイ押出し機によって熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出し、多数の凹形状を有する冷却ロールと加圧ロールとの間で、該熱可塑性樹脂を表皮材層と共に狭圧して多数の凸形状部分を有する接着樹脂層を形成した後、前記接着樹脂層を加熱し、前記接着樹脂層側に不織布からなる吸音層を重ねて加圧し、表皮材層と吸音層を接着一体化することを特徴とする請求項2に記載の自動車用カーペットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−192894(P2012−192894A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59962(P2011−59962)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【Fターム(参考)】