説明

自動車用フロアーマット

【課題】敷設下地面に対して優れた防滑性を発揮して位置ずれを生じ難く安全性に優れると共に、僅かにずれ移動した場合には適正位置に戻す作業を短時間でスムーズに容易に行うことができる自動車用フロアーマットを提供する。
【解決手段】本発明の自動車用フロアーマット1は、マット本体8の下面8aに多数個の防滑用突起2が相互に間隔をあけて設けられてなり、防滑用突起2は、マット本体8の下面8aに設けられた台座部3と、該台座部3の下面3aに突設された1ないし複数の小突起4とを備え、小突起4は、マット本体8の下面8aに平行な平面内における略同一方向に向けて傾斜して突設され、小突起4の軸線方向21と、マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度θが3°〜30°の範囲であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車室内における例えば運転者や同乗者の足元に敷いて用いられる自動車用フロアーマットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車室内のフロアーには予めカーペット等の表皮材が貼り付け施工されているが、この表皮材の汚れを防止すること等を目的として、この表皮材の上に更に取り外し可能なフロアーマットを載置することが広く行われている。このフロアーマットに、足で踏む、蹴る等の外力が加わると、フロアーマットは位置ずれを生じる。このような位置ずれを生じると、使用者が滑ったりすることが懸念されるのみならず、位置ずれによってフロアーマットがアクセル、ブレーキ、クラッチの上に覆いかぶさるようなことがあると、安全運転を行う上で支障を来すことから、この自動車用フロアーマットには位置ずれを生じ難いものであることが強く求められている。
【0003】
このような位置ずれを防止するものとして、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなるマット本体の裏面に、多数個の防滑用突起が互いに間隔を置いて、一体的に設けられてなる自動車用フロアーマットにおいて、前記防滑用突起が、盤状台座部と、該台座部の下面に垂下状に一体的に突設された複数個のスパイク状小突起とからなることを特徴とする自動車用フロアーマットが公知である(特許文献1参照)。このような構成の防滑用突起を裏面側に設けることで、足で踏む、蹴る等の外力が加わった際の位置ずれを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−213214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車用フロアーマットが、自動車室内の例えば運転者の足元に敷設された状態において、ブレーキ等が配置されている前方方向に僅かにずれることが生じた場合には、後方に引き戻して適正位置に配置させる必要が生じる。この時、上記防滑用突起を備えた自動車用フロアーマットでは、盤状台座部の下面に垂下状に突設された小突起のスパイク効果により、敷設されたそのままの状態で後方に引き戻す(ずれ移動させる)ことは困難であった。この場合、自動車のフロアーの表皮材から自動車用フロアーマットを一旦引き剥がして離間させた後、再度フロアーマットを適正位置に敷設し直さなければならず、このように上記防滑用突起を備えた自動車用フロアーマットでは、僅かにずれ移動した場合に元の適正位置に戻す作業が煩雑で手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、敷設下地面に対して優れた防滑性を発揮して位置ずれを生じ難く安全性に優れると共に、僅かにずれ移動した場合には適正位置に戻す作業を短時間でスムーズに容易に行うことができる自動車用フロアーマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1]マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、前記マット本体の下面に平行な平面内における略同一方向に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が3°〜30°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【0009】
[2]前記台座部の高さは、前記小突起の傾斜方向と略同じ方向に向けて漸減し、
前記台座部の下面と前記マット本体の下面とがなす角度(鋭角)が3°〜30°の範囲である前項1に記載の自動車用フロアーマット。
【0010】
[3]前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が5°〜18°の範囲である前項1または2に記載の自動車用フロアーマット。
【0011】
[4]前記マット本体の少なくとも下面側部及び前記防滑用突起が、熱可塑性エラストマーで形成されている前項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【0012】
[5]前記熱可塑性エラストマーがSBSエラストマーである前項4に記載の自動車用フロアーマット。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明では、小突起は、マット本体の下面に平行な平面内における略同一方向に向けて傾斜して突設され、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であるから、本マットを自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、小突起が傾斜した方向へのマットのずれ移動に対して優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向と、小突起が傾斜した方向とが略一致する態様で、マットを敷設すれば、マットが前方方向へずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れる。一方、敷設されたマットが、前方方向に僅かにずれ移動した場合には、敷設されたそのままの状態で後方にスライドさせる(後方に引き戻す)だけでマットを元の適正位置に戻すことができ、このように適正位置に戻す作業を短時間でスムーズに容易に行うことができる。
【0014】
[2]の発明では、台座部の高さは、小突起の傾斜方向と略同じ方向に向けて漸減し、台座部の下面とマット本体の下面とがなす角度が3°〜30°の範囲である構成であるから、即ち台座部が小突起の傾斜方向と略同じ方向に向けて3°〜30°の角度で傾斜しているから、小突起が傾斜した方向へのマットのずれ移動に対してさらに優れた防滑性が発揮される。
【0015】
[3]の発明では、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が5°〜18°の範囲であるから、小突起が傾斜した方向へのマットのずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、ずれ移動に多数回抵抗することにより生じ得る小突起の折損、欠損を十分に防止できて耐久性を向上させることができる。
【0016】
[4]の発明では、マット本体の少なくとも下面側部及び防滑用突起が、熱可塑性エラストマーで形成されているから、小突起が傾斜した方向へのマットのずれ移動に対してより優れた防滑性が発揮される。
【0017】
[5]の発明では、熱可塑性エラストマーがSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマーであるから、小突起が傾斜した方向へのマットのずれ移動に対してより一層優れた防滑性が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマットを裏面側から見た平面図である。
【図2】図1におけるX−X線の断面図である。
【図3】図1の自動車用フロアーマットの一部を拡大して示す裏面側斜視図である。
【図4】本発明に係る自動車用フロアーマットの他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマット1を図1〜3に示す。この自動車用フロアーマット1は、表材10の下面側に裏側樹脂層9が積層一体化されてなるマット本体8と、前記マット本体8の下面8a(裏側樹脂層9の下面)に相互に間隔をあけて縦横に整列状態に設けられた多数個の防滑用突起2とを備えている。
【0020】
前記防滑用突起2は、図2、3に示すように、マット本体8の下面8aに一体的に突設された台座部3と、該台座部3の下面3aに一体的に突設された1ないし複数の略柱状の小突起4とからなる。本実施形態では、図2、3に示すように、1つの台座部3に対して3つの小突起4が一体的に突設されている。また、前記小突起4は、略円柱形状に形成されている。
【0021】
前記小突起4は、前記マット本体8の下面8aに平行な平面内における同一方向(図2、3でA方向)に向けて傾斜して突設されている。前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、3°〜30°の範囲に設定されている(図2参照)。
【0022】
上記構成に係る自動車用フロアーマット1を自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、小突起4が傾斜した方向(図2、3でA方向)へのマット1のずれ移動に対して優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向と、小突起4が傾斜した方向(図2、3でA方向)とが略一致する態様で、マット1を敷設すれば、マット1が前方方向へずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れる。一方、自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に敷設されたマット1が、前方方向に僅かにずれ移動した場合には、敷設されたそのままの状態で後方に(図2、3でB方向に)スライドさせる(後方に引き戻す)だけでマット1を元の適正位置に戻すことができ、このように本発明の自動車用フロアーマット1では適正位置に戻す作業を短時間でスムーズに容易に行うことができる。
【0023】
更に、本実施形態では、図2、3に示すように、台座部3の高さdは、小突起4の傾斜方向(図2、3でA方向)と略同じ方向に向けて漸減している上に、台座部3の下面3aとマット本体8の下面8aとがなす角度(鋭角)αが3°〜30°の範囲に設定されているから、小突起4が傾斜した方向(図2、3でA方向)へのマット1のずれ移動に対してさらに優れた防滑性が発揮される。
【0024】
本発明において、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、3°〜30°の範囲に設定される。3°未満では、小突起4が傾斜した方向へのマット1のずれ移動に対して十分な防滑性が得られなくなる。一方、30°を超えると、小突起4と下地表皮材の繊維との係合性が強くなり過ぎるので、ずれ移動に多数回抵抗すると、小突起4の折損、欠損を生じやすく、十分な耐久性が得られない。中でも、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、5°〜18°の範囲に設定されるのが好ましい。θが5°以上であることで、小突起4が傾斜した方向へのマット1のずれ移動に対して優れた防滑性が得られると共に、θが18°以下であることで、ずれ移動に多数回抵抗しても小突起4の折損、欠損を生じ難く、優れた耐久性を確保することができる。特に好適なのはθが8°〜17°の範囲に設定された構成である。
【0025】
本発明において、前記マット本体8の少なくとも下面側部(裏側樹脂層9等)及び前記防滑用突起2は、通常、熱可塑性エラストマー等の樹脂、ゴム等で構成される。中でも、マット本体8の少なくとも下面側部(裏側樹脂層9等)及び防滑用突起2は、熱可塑性エラストマー(熱可塑性エラストマーの発泡体を含む)で形成されるのが好ましい。前記熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマー、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)エラストマー等のスチレン系エラストマー、アタクチックポリプロピレン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)等のオレフィン系エラストマー等が挙げられる。これらの中でもスチレン系エラストマーを用いるのが好ましく、さらにはSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマーを用いるのが特に好ましい。
【0026】
なお、熱可塑性エラストマー発泡体を用いる場合には、独立気泡構造のものを用いて形成するのがよい。前記発泡のための発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱膨張マイクロカプセル、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)等が挙げられる。
【0027】
前記裏側樹脂層9及び防滑用突起2には、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、色剤、無機充填剤等の各種添加剤を必要に応じて含有せしめても良い。
【0028】
前記防滑用突起2の配置密度は、平面視(図1参照)において10cm2当たり3個〜20個とするのが好ましい。3個以上とすることで位置ずれ防止性を十分に確保できると共に、20個以下とすることで目付量を抑制できてマット1としての軽量性を十分に確保できる。
【0029】
前記台座部3の最大高さdは、0.5〜2.0mmに設定されるのが好ましい。前記台座部3の下面3aの面積は、7〜30mm2に設定されるのが好ましい。最大高さdが0.5mm以上又は面積が7mm2以上であることで位置ずれ防止性を十分に確保できると共に、最大高さが2.0mm以下又は面積が30mm2以下であることで目付量を抑制できてマット1としての軽量性を十分に確保できる。
【0030】
前記台座部3の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、平面視円形、平面視楕円形、平面視四角形、平面視三角形等が挙げられる。
【0031】
前記小突起4の高さt(台座部の下面3aからの高さt)は、0.7〜2.0mmに設定されるのが好ましい。前記小突起4の径mは、0.7〜1.5mmに設定されるのが好ましい。高さが2.0mm以下又は径が0.7mm以上であることで小突起4が曲がりやすくなり過ぎて下地表皮材の繊維との係合性が低下するのを十分に防止できる。また、高さが0.7mm以上又は径が1.5mm以下であることで小突起4の変形が起こり難くなり過ぎて下地表皮材の繊維との係合性が低下するのを十分に防止できる。
【0032】
前記小突起4の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、略円柱形状、先端が略半球状に形成された略円柱形状、略六角柱形状等が挙げられる。前記小突起4の先端形状も特に限定されず、例えば、半球状であってもよいし、平坦状であってもよい。また、1つの台座部3に対して設けられる小突起4の数は、特に限定されず、1個であっても良いし、複数個であっても良い。
【0033】
前記表材10としては、特に限定されるものではないが、例えばポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン等の合成繊維あるいは天然繊維等の繊維からなるカーペット原反等が挙げられ、その種類は限定されず例えばタフトカーペット、ニードルパンチカーペット等が挙げられ、そのパイル形状も限定されずループパイル、カットパイル等が挙げられる。
【0034】
なお、上記実施形態では、マット本体8としては、表層に表材10を有する構成を採用しているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば図4に示すような表材10を設けない構成(即ちマット本体8が樹脂層9のみからなる構成)を採用することもできる。
【実施例】
【0035】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0036】
<実施例1>
SBSエラストマー50質量部、炭酸カルシウム30質量部を混合せしめた樹脂組成物を口径135mmの押出機で溶融状態でシート状に押出成形しながら、これの上に、タフトカーペット原反(表材)10をそのパイル面を上にして重ね合わせ、次いで加圧ロールを用いて両者を圧接させて一体化して、図1〜3に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。なお、加圧ロールの樹脂組成物接触面には、台座部3及び小突起4成型用の凹面加工が施されており、ロール部通過後に裏側樹脂層9の下面に、1つの台座部3及び3個の小突起4からなる防滑用突起2が多数個形成される。
【0037】
前記タフトカーペット原反(表材)10は、目付120g/m2のPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維製スパンボンド不織布からなるカーペット基材にナイロンBCF糸からなるパイルが目付610g/m2でタフトされてなるタフトカーペット原反である。
【0038】
なお、得られた自動車用フロアーマット1において、裏側樹脂層9の厚さは1.7mm、台座部3の直径nは4mm、台座部3の最大高さdは0.8mm、台座部3の下面3aの面積は12.56mm2、小突起4の径mは1mm、小突起4の高さtは1.5mm、防滑用突起2の配置密度は平面視で10cm2当たり9個であった。また、小突起4の軸線方向21と、マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度θは10°であり、台座部3の下面3aとマット本体8の下面8aとがなす角度αは10°であった。
【0039】
<実施例2>
角度θを15°に設定し、角度αを15°に設定した以外は、実施例1と同様にして図1〜3に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0040】
<実施例3>
角度θを20°に設定し、角度αを20°に設定した以外は、実施例1と同様にして図1〜3に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0041】
<比較例1>
角度θを0°に設定し、角度αを0°に設定した以外は、実施例1と同様にして自動車用フロアーマット(特許文献1に記載の従来構成)を得た。
【0042】
上記のようにして得られた各自動車用フロアーマットに対して下記評価法により性能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0043】
<位置ずれ防止性(滑り防止性)評価法>
各フロアーマットを切り出して試験片とし、該試験片の縁部にグロメットを取り付け、このグロメットにプッシュ・プルスケールを連結して、各試験片を、1000gの荷重を加えた状態(試験片の上に1000gの錘を載せた状態)で自動車の床面カーペット上を滑らせ、その時の最大抵抗値(N)を測定した(測定温度条件:23℃)。なお、測定は、A方向(小突起の傾斜方向Aに向けて引っ張る)及びB方向(小突起の傾斜方向と正反対方向Bに向けて引っ張る)についてそれぞれ3回づつ行い(図2参照)、その平均値を測定値とした。
【0044】
【表1】

【0045】
表1から明らかなように、実施例1〜3の自動車用フロアーマットは、小突起の傾斜方向に向けて滑り移動し難いものであり優れた位置ずれ防止性を備えている一方、小突起の傾斜方向と逆の方向に向けては比較的移動が容易である。従って、ブレーキ等が存在する前方方向と小突起が傾斜した方向とが略一致する態様でマットを敷設すれば、マットが前方方向へずれ移動することを効果的に防止できる。一方、敷設されたマットが前方方向に僅かにずれ移動した場合には、敷設されたそのままの状態で後方にスライドさせる(後方に引き戻す)だけでマットを元の適正位置に戻すことができる。
【0046】
これに対し、比較例1の自動車用フロアーマットでは、A方向及びB方向ともにほぼ同等の最大抵抗値を示しており、小突起の傾斜方向に向けて滑り移動し難いし、小突起の傾斜方向と逆の方向に向けても滑り移動し難い。従って、ブレーキ等が存在する前方方向と小突起が傾斜した方向とが略一致する態様でマットを敷設すれば、マットが前方方向へずれ移動することを効果的に防止できるものの、敷設されたマットが前方方向に僅かにずれ移動した場合には、敷設されたそのままの状態で後方にスライドさせてマットを元の適正位置に戻すのは困難である(即ちマットを一旦引き剥がして離間させた後マットを再度適正位置に敷設し直すという煩雑な作業を要する)。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の自動車用フロアーマットは、例えば、自動車室内における運転者や同乗者の足元に敷いて用いられるフロアーマットとして、あるいは自動車の荷台マットや荷室マット等として用いられる。
【符号の説明】
【0048】
1…自動車用フロアーマット
2…防滑用突起
3…台座部
3a…台座部の下面
4…小突起
8…マット本体
8a…マット本体の下面
9…裏側樹脂層(マット本体の下面側部)
10…表材
21…小突起の軸線方向
22…マット本体の下面に対する垂線
A…小突起が傾斜した方向
B…小突起の傾斜方向と逆の方向
θ…小突起の軸線方向とマット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)
α…台座部の下面とマット本体の下面とがなす角度(鋭角)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、前記マット本体の下面に平行な平面内における略同一方向に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【請求項2】
前記台座部の高さは、前記小突起の傾斜方向と略同じ方向に向けて漸減し、
前記台座部の下面と前記マット本体の下面とがなす角度が3°〜30°の範囲である請求項1に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項3】
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が5°〜18°の範囲である請求項1または2に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項4】
前記マット本体の少なくとも下面側部及び前記防滑用突起が、熱可塑性エラストマーで形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項5】
前記熱可塑性エラストマーがSBSエラストマーである請求項4に記載の自動車用フロアーマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−76615(P2012−76615A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224019(P2010−224019)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000120696)永大化工株式会社 (22)
【Fターム(参考)】