自動車用ブレーキ
【課題】マスタシリンダの不作用移動は感じさせないで、運転者は直ちにブレーキ掛けしているとの印象を持たせ、運転者の操作フィーリングを向上させる。
【解決手段】空気圧式ピストンが所定の移動距離Cを移動したとき、スリーブ54を空気圧式ピストン12と軸方向に接続することのできる固定手段とを備え、ブレーキブースタにおいて、三方弁は、第一及び、又は第二の弁座48、50に対して押し付けることを目的とする弁シャッタ46とを備え、第二の弁座50は、分配装置−プランジャ32の第一の長手方向端部により支持され、第一の弁座は、スリーブ54の第一の長手方向端部により支持され、固定手段は、前記ピストンの動きに従ってスリーブを漸進的に動かす。
【解決手段】空気圧式ピストンが所定の移動距離Cを移動したとき、スリーブ54を空気圧式ピストン12と軸方向に接続することのできる固定手段とを備え、ブレーキブースタにおいて、三方弁は、第一及び、又は第二の弁座48、50に対して押し付けることを目的とする弁シャッタ46とを備え、第二の弁座50は、分配装置−プランジャ32の第一の長手方向端部により支持され、第一の弁座は、スリーブ54の第一の長手方向端部により支持され、固定手段は、前記ピストンの動きに従ってスリーブを漸進的に動かす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキブースタ、より詳細には、特に自動車に適用することのできる急速作動型ブレーキブースタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のブレーキ装置において、全体として、ブレーキペダルが作動されたとき、その間、運転者がブレーキペダルを踏むが、何らの液圧が車のブレーキ回路に効果的に導入されない、ブレーキの開始時に感得可能な不作用走行状態となる。
【0003】
この不作用走行を少なくするための装置が存在する。かかる装置の1つは、仏国特許出願第2 856 363号明細書に記載されたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
該装置は、図1及び図2に示したように、スカート6を保持する長手方向軸線Xのケーシング2であって、該スカート6は、ケーシング内にて漏洩密の態様にて軸方向に摺動することができ、また、前面室として知られた低圧の第一の室8と、後側室として知られた可変圧力の第二の室10との限界を画するように取り付けられた、上記ケーシング2と、
スカート6に固定されたピストン12と、制御ロッド28の制御の下、前面室及び後側室を互いに隔離し、これらの室を互いに連通する位置に配置し、又は、後側室を雰囲気圧力のような低い圧力に比して高い圧力に置くため使用することのできる三方弁26と、ピストン12内にて軸方向に摺動するスリーブ54であって、このスリーブの環状面48が三方弁26に対する、等分配弁座として知られた第一の弁座として作用する上記スリーブ54と、三方弁26に対する、入口弁座として知られた、第二の弁座として作用する環状面50を有する分配装置−プランジャ32と、ピストンの2つの直径方向に対向した開口部86、及びスリーブ54の2つの直径方向に対向したスロット88を通って軸線Xに対して直角に伸びる第一のキー84であって、空気圧式ピストン12内に固定状態に取り付けられた上記第一のキー84と、ピストン及びスリーブ54を通って軸線Xに対して直角に伸びる第二のキー90であって、分配装置−プランジャ32に対する戻り軸方向端部停止部として作用する上記第二のキー90と、を備えている。
【0005】
このようなブースタが作用する仕方は、次の通りである。
【0006】
休止位置(図1及び図2)において、弁シャッタ46は、第一の弁座又は等分配弁座48(スリーブ54により支持されている)から離れており且つ、前面室8を後側室10と連通する位置に配置する。弁シャッタ46は、第二の入口弁座50に対して休止し、このため、後側室を雰囲気圧力から隔離する。
【0007】
ブレーキ相の開始時、運転者がブレーキペダルを踏むと、制御ロッド28は、軸方向前方に動かされて、次に、弁シャッタ46は第一の弁座48に対して押して、後側室を前面室から隔離し且つ、第二の座部から動いて離れ、後側室に雰囲気圧力の空気を供給することを許容する。前面室と後側室との間の圧力差のため、スカート6及びピストン12は、前方に動かされる。スリーブ54により支持された第一の弁座48は、キー84と第二のスロット88の前端との間の隙間Cが無くならない限り、静止したままである。
【0008】
ばね58は、ピストン12が所定の移動距離Cを移動しない限り、スリーブ54をブースタのケーシングに対して所定の軸方向位置に維持する。マスタシリンダの液圧ピストンは、空気圧式ピストンにより押され、この空気圧式ピストン自体は、センサから離れる方向に動く補助ピストン126に沿って移動する。マスタシリング内の圧力が所定の圧力を上回り、補助ピストン126がジャンプばね138の力を上回るのに十分高い場合、補助ピストンはセンサと接触し且つ、次に、液圧回路の反動によりブレーキペダルまで進む迄、センサに向けて押し戻される。
【0009】
空気圧ピストン12が移動距離Cを移動したとき(図2参照)、空気圧式ピストンに対して固定されたキー84の前面100は、スリーブのスロット88の前端に対して休止する。次に、スリーブは、ピストンの動きと軸方向に連結される。弁シャッタ46は、入口弁座50と接触し且つ、雰囲気圧力の空気の後側室への供給を遮断する。次に、運転者は、ブレーキ力の強さを増大させるためには、ブレーキペダルを更に踏み込まなければならない。
【0010】
移動距離Cは、マスタシリンダの不作用移動距離、すなわち、ブレーキ内のブレーキ液体圧力を上昇させ始めるため、液圧ピストンがマスタシリンダ内にて移動する必要のある移動距離に相応するよう選ぶことが好ましい。その結果、運転者は、等分配弁を閉じ且つ、入口弁を開くのに必要な移動のみをペダルを通して感じ、マスタシリンダの不作用移動は感じない。このため、運転者は直ちにブレーキ掛けしているとの印象を持つため、運転者の安楽さは増す。
【0011】
その後、装置は、本来のブレーキ相に入る。運転者がブレーキレベルを所定の強さに維持するとき、等分配が実現される。次に、弁シャッタ46は、等分配弁座48及び入口座部50と接触し、このため、雰囲気圧力の空気の後側室への供給を遮断する。
【0012】
次に、ブースタは、ブースタがもはや、何ら追加的なブースト力を提供せず、後側室内にて得られる圧力は雰囲気圧力である瞬間に相応する飽和相に入る。空気圧式ピストンは、もはや、スカート6の動く動作の下、軸方向に前方に動くことはできない。その結果、スリーブ54及び等分配弁座48は不可動である。運転者により加えられた何らかの追加的なブレーキ力は、制御ロッド28及び入口座部を弁シャッタ46から離れる方向に動かすが、この追加的な力は、もはや倍力されることはない。マスタシリンダ内の圧力上昇は、運転者により提供された追加的な力をマスタシリンダピストンの断面積にて割った値に等しい。
【0013】
ブレーキ作用の終了時、運転者は、ブレーキペダルを少なくとも部分的に解放する。次に、分配装置−プランジャは、制御ロッドにより後方に動かされる。入口座部50は、弁シャッタ46と接触し、雰囲気圧力の空気の後側室への供給を遮断し、また、シャッタ46を等分配弁座48から離れる方向に動かし、前面室8及び後側室10を連通する状態に置く。次に、スカート6をわたる圧力は等分配され、このスカートは、戻りばねの作用の下、休止位置に戻る。空気圧式ピストン12の休止位置は、ケーシング2の環状の支持面119に対して休止する第二のキー90により設定される。分配装置−プランジャは、また、休止位置に戻り、キー90に対して当接する状態となる。スロット88の前端とキー84の前面100との間の移動距離Cは、スリーブの戻りばね58の作用の下、再確立される。ブースタは、再度、最小の作動移動距離にて直ちに作動可能な位置となる。
【0014】
このような装置において、キー84が移動距離Cを移動し且つ、スリーブ54のスロット88の前端と接触するとき、最高荷重がペダルに付与されるようにする必要があることが分った。本発明の目的は、ブレーキペダルにて認識されるこの遷移を遅くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため、本発明は、所定の長手方向軸線のケーシングと、スカートと、長手方向軸線に沿ってケーシング内にて漏洩密の態様で摺動するように取り付けられた空気圧式ピストンとを備えるアセンブリであって、ケーシングの内部空間を低圧の前面室と、可変圧力の後側室とに分割する上記スカート−ピストンアセンブリと、空気圧式ピストン内に突き通した長手方向通路内に取り付けられた制御ロッドにより作動される三方弁であって、上記制御ロッドは、第一の長手方向端部を介してブレーキペダルと接続された、上記三方弁と、上記制御ロッドの第二の端部の制御の下、上記長手方向軸線に沿って、上記ピストン内にて動くことのできる分配装置−プランジャであって、制御ロッドの力を反動装置を介してマスタシリンダの液圧ピストンに付与するセンサを備え、上記スカート−ピストンアセンブリが空気圧倍力をマスタシリンダの液圧ピストンに伝達する、上記分配装置−プランジャと、所定の第一の移動距離をわたって上記長手方向軸線に沿って空気圧式ピストン内にて漏洩密の態様で摺動するよう取り付けられたスリーブと、上記空気圧式ピストンが所定の移動距離を移動したとき、上記スリーブを空気圧式ピストンと軸方向に接続することのできる固定手段とを備える、ブレーキブースタに関する。
【0016】
三方弁は、第一の弁座と、第二の弁座と、第一及び(又は)第二の弁座に対して押し付けることを目的とする弁シャッタとを備えている。第二の弁座は、分配装置−プランジャの第一の長手方向端部により支持される。第一の弁座は、上記スリーブの第一の長手方向端部により支持される。
【0017】
本発明によれば、固定手段は、ピストンの動きに従ってスリーブを漸進的に動かす装置を備えている。
【0018】
好ましくは、漸進的な移動装置は、上記長手方向軸線に対して傾斜した面を備えており、ピストンにより供給される長手方向軸線に沿った移動力を上記スリーブまで伝達することを目的とする。
【0019】
本発明の1つの実施の形態に従い、上記傾斜面は、キーの前面に属する。このキーは、ピストンに対して又はピストン自体に対して休止する第一の端部と、ブースタのケーシングに対して、又はそれ自体、ブースタのケーシングに対して休止する部分に対して休止する第二の端部とを有している。
【0020】
この実施の形態において、キーの第一の端部又は第二の端部は、該端部が休止する部分に関節接続部により固定されている。
【0021】
次に、上記関節接続部により第一の端部をピストンに固定し、また、第二の端部がブースタのケーシングに対し、又は、それ自体がブースタのケーシングに対して休止する部分に対して休止する湾曲部分を有するようにするための措置を望ましいように為すことができる。
【0022】
好ましくは、キーは、スロットを介してスリーブの壁を通って上記軸線に対して横方向に進み、該キーの傾斜面は、スリーブのスロットの前端に対して休止することを目的とするものとする。
【0023】
ブレーキを掛けた状態にて、キーの傾斜面がスリーブの2つのスロットの前端に対して休止するような措置を為すことが望ましい。
【0024】
本発明は、スリーブの壁を通して上記長手方向軸線に対し直角に進む少なくとも1つのロッドが存在し、該スリーブの開口部を介して、少なくとも1つの壁が上記長手方向軸線に対して傾斜している、1つの代替的な実施の形態にも関する。制御手段がロッドの傾斜壁に沿った長手方向への動きを制御し且つ、ピストンの軸方向への動きが上記ロッドを介してスリーブに伝達されることを許容する。
【0025】
この代替的な実施の形態に従って、上記制御手段は、スリーブの開口部の傾斜壁と同一方向に向けて上記の長手方向軸線に対して傾斜した少なくとも1つの面を有する留め継ぎ(mitered)部分を備えている。
【0026】
次に、スリーブの開口部の傾斜壁が長手方向軸線(X)に対して第一の角度(X)を形成するようにするための措置が為されることが望ましい。留め継ぎ部分(79)の傾斜面は、長手方向軸線に対して第二の角度(β)を形成する。かかる場合、第一の角度(X)は第二の角度(β)よりも大きいようにする措置が為されよう。
【0027】
更に、本発明に従った装置は、互いに平行であり且つ、長手方向軸線に対して対称である2つのロッドを備えるようにする措置を為すこともできる。この場合、留め継ぎ部分は上記の軸線の回りにて対称である形状を有する。
【0028】
この代替的な1つの実施の形態に従い、2つのロッドは、単一部品として形成し且つ、ばね継手により互いに接続される。
【0029】
本発明は、キーが開口を介してスリーブを通って横方向に進む、本発明による実施の形態の別の代替的な形態にも関する。これらの開口は、上記の長手方向軸線に対して傾斜した面を有する。この傾斜面は、上記開口の前端に対して休止する。この場合、ピストンの動きにより引き起こされた、上記キーの軸方向への動きによって、キーは垂直方向に動く。
【0030】
望ましくは、この場合、この代替的な実施の形態は、キーの一端(81)が休止する傾斜面を有する軸受部分を提供するようにする。
【0031】
望ましくは、軸受部分の傾斜面は、上記キーの傾斜面に対して実質的に平行であるようにする。
【0032】
本発明は、スリーブが上記長手方向軸線に対して傾斜した開口と、ピンとを有する、追加の代替的な実施の形態にも関する。ピンの第一の端部は、この開口内にて動くことができ、また、第二の端部は、ピストンのキャビティ内にて摺動することができる。
【0033】
次に、スリーブが回転して、ピンの第一の端部が開口内にて摺動するのを許容するのを可能にする措置が為されるであろう。
【0034】
本発明の色々な目的及び特徴は、以下に記載し、また、添付図面に示した説明からより明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】当該技術にて既知であり且つ上述した型式のブレーキブースタの図である。
【図2】同様に上述した、図1のブレーキブースタのより詳細な図である。
【図3】空気圧式ブレーキブースタに適用されたときの、本発明に従った装置の一例としての実施の形態を示す図である。
【図4】空気圧式ブレーキブースタに適用されたときの、本発明に従った装置の一例としての実施の形態を示す図である。
【図5a】図5aから図5dは、図3の装置が作用する仕方を示す、該装置の色々な状態の図である。
【図5b】図5aから図5dは、図3の装置が作用する仕方を示す、該装置の色々な状態の図である。
【図5c】図5aから図5dは、図3の装置が作用する仕方を示す、該装置の色々な状態の図である。
【図5d】図5aから図5dは、図3の装置が作用する仕方を示す、該装置の色々な状態の図である。
【図6】本発明に従った装置の実施の形態の1つの代替的な形態を示す図である。
【図7】図7aから図7cは、図6の装置が作用する仕方を示す、該装置の色々な状態の図である。
【図8a】図8aから図8cは、図6の装置の詳細図である。
【図8b】図8aから図8cは、図6の装置の詳細図である。
【図8c】図8aから図8cは、図6の装置の詳細図である。
【図9】図9aから図9cは、本発明に従った装置の実施の形態の代替的な形態を示す図である。
【図10】図10aから図10bは、本発明に従った装置の別の代替的な形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、本発明の一例としての実施の形態について図3及び図4を参照して説明する。
【0037】
この装置は、図1のものと同様のブレーキブースタに適用される。図3には、本発明の装置を保持するブースタの部分のみが示されている。図3及び図4に示した構成要素は、同一の機能を果たす図1及び図2の構成要素と同一の参照番号にて示してある。
【0038】
このため、図3及び図4は、図1に示したブレーキブースタの例に関して説明する。
【0039】
このため、図3には、スカート6が(低圧の)前面室8と該前面室と同一の圧力又は雰囲気圧力の何れかにて配置することのできる後側室10との限界を画するケーシング2が部分的に示されている。
【0040】
空気圧式ピストン12がスカートに固定され且つ、ブースタのケーシング2の軸線に沿って摺動する。
【0041】
スリーブ54は、ピストン12内にて軸方向に摺動する。ピストン12に対して休止するばね58は、スリーブ54を後方(図面の右方向)に押す。
【0042】
スリーブ内にて、分配装置−プランジャ32は、図示しないブレーキペダルにより制御される制御ロッド28の制御の下、軸方向に摺動する。
【0043】
尚、ピストン12内に配置された三方弁は、前面室8を後側室10と連通する状態に配置するか又は後側室を雰囲気圧力に配置するか、あるいは、後側室を隔離するかの何れかを許容する。これを行うためには、図4に示したように、三方弁は、スリーブ54の環状端部により支持された等分配弁座48又は、分配装置−プランジャ32の環状端部により支持された入口弁座50の何れかと接触することのできる環状の形状のシャッタ46を備えている。
【0044】
スリーブ54は、通常、ピストン12の肩部60に対して休止するばね58により後方(図面の右方向)に、すなわちシャッタ46に向けて押される。
【0045】
本発明の装置は、スロット88、88´を介してスリーブ54を通って進むキー84も備えている。
【0046】
本発明に従い、このキーは、ブースタの軸方向に対して傾斜した面100を備えている。更に、このキーは、空気圧式ピストン12の前面121に休止する第一の端部101と、ブースタの固定部品に休止する第二の端部102とを有している。図3及び図4の装置の特定の例において、第二の端部102は、休止時、ブースタのケーシングに属する肩部に対して休止する部分90に休止する。
【0047】
更に、キーの端部の1つは、該端部が休止する部分に対し関節接続部により固定することができる。例えば、図3及び図4において、キー84の端部101は、ピストン12の面121に固定されたピン103上にて関節接続される。端部102は、部分90の面91に対して休止し、このため、ピン103の回りにて回転することができる。
【0048】
キー84の面100がブースタの軸線に対して傾斜するようにするため、キー84は、図3及び図4にて曲がった形状を有しているが、これは、絶対そうしなければならないものではない。必要なことは、端部102がブースタケーシングに対し又はブースタケーシングと接続された部分(参照番号90で示すような)に対して休止するようにすることだけである。
【0049】
次に、図3及び図4の装置が作用する仕方について、図3及び図5aから図5dを参照して説明する。
【0050】
ブレーキ装置が休止しているとき(すなわち、運転者がブレーキペダルを踏まないとき)、装置は、図5aに示した状態にある。スリーブ54は、ばね58により後方に押されているが、シャッタ46は、スリーブ54により支持された等分配弁座48から離れている。シャッタ46と弁座48との間のこの空間は、前面室8及び後側室10を連通する状態に置く。シャッタ46は、入口弁座50に対して休止し、このため、後側室10を雰囲気圧力から隔離する。
【0051】
図5bにより示したブレーキ相の開始時、運転者がブレーキペダルを踏むと、制御ロッド28は、軸方向前方(図面にて左方向)に動き、また、分配装置−プランジャ32は、前方に動く。弁座50は前方に動く。シャッタ46も前方に動き且つ、スリーブ54により支持された等分配弁座48に対して押し付けられる。後側室10は前面室8から隔離されている。分配装置−プランジャが前方に動くと、シャッタ46は、入口弁座50から離れるように動き、雰囲気圧力の空気が後側室10内に入るのを許容する。
【0052】
前面室と後側室との間の圧力差のため、スカート6及びピストン12は、前方に動く。スリーブ54により支持された等分配弁座48は、ばね58によりシャッタ46に対して強固に押された状態に保たれる。マスタシリンダ122の液圧ピストンは、空気圧式ピストン12により押され、また、それ自体、センサから離れるように動く補助ピストン126に沿って移動する(図1参照)。マスタシリンダ内の圧力が補助ピストン126がジャンプばねの力に打ち勝つことができるのに十分に高い所定の圧力を上回ると、補助ピストン126は、分配装置−プランジャ32と接触し、次に、液圧回路の反動をブレーキペダルに伝達する迄、分配装置−プランジャ32に向けて押し戻される。
【0053】
この作動の間、空気圧式ピストンは、前方に動くとき、キー84の端部101の関節接続ピン103を動かす(図5c参照)。キー84の面100の領域104は、関節接続部104と同一側に位置するキーの領域よりも低速度にて前方に動く。この領域104は、スリーブ54をピストンが移動するときの速度よりも遅い速度にて前方に押す。更に、ばね54は、スリーブ54を後方に動かす傾向となる。ピストンがより迅速に且つばね58の作用の下、前方に動くため、スリーブはピストンに対して後方に動く。
【0054】
キー84は、その動きに対向するスリーブ54のスロット88の左側端部のブレーキ効果のため、ピン103の回りにて回動する。
【0055】
図5dにおいて、キー84の前面100は、スリーブのスロット88、88´の前端に対して強固に押し付けられる。キー84は、空気圧式ピストン12の前面121に対して強固に押し付けられ、このため、このとき、ピストンに対して固定されている。スリーブは、ピストンの動きに対して軸方向に結合されている。
【0056】
シャッタ46は、入口弁座50と接触し、また、雰囲気圧力の空気の後側室への供給を遮断する。このため、運転者は、ブレーキ力の強さを増すためには、ブレーキペダルを更に踏まなければならない。
【0057】
次に、シャッタ46は、スリーブ54の等分配弁座48及び入口弁座50と接触し、雰囲気圧力の空気の後側室への供給を遮断する。
【0058】
図5dには、もはや何らの追加的なブースト作用を提供しない相におけるブースタが示されている。マスタシリンダ内の圧力の上昇は、運転者が供給した追加的な力をマスタシリンダピストンの断面積で割った値に等しい。
【0059】
スリーブ54の上方スロット88´内にてキー84の前面100が移動する距離により示した移動距離C(図4参照)は、マスタシリンダの不作用移動距離、すなわち、ブレーキ流体の圧力がブレーキ内にて上昇し始めるようにするため、液圧ピストンがマスタシリンダ内にて移動する必要のある移動距離に相応するよう選ばれることが好ましい。
【0060】
この場合、運転者は、マスタシリンダの不作用移動距離を感じることなく、等分配弁を閉じ且つ入口弁を開くのに必要な移動距離のみペダルを通して感じるのみならず、この作動と実際のブレーキ掛けとの間の遷移が漸進的に行われる。
【0061】
その後、運転者がブレーキペダルを少なくとも一部分、解放すると、分配装置−プランジャ32は、制御ロッドと共に後方に動く。入力弁座50は、シャッタ46と接触し且つ、シャッタ46を等分配弁座48から離れるように動かし、前面室8及び後側室10を連通する状態にする。スカート6をわたる圧力は、等分配され、スカートは、休止位置に戻る。このとき、装置は、図5aに示した状態に戻る。
【0062】
次に、本発明に従った装置の実施の形態の1つの代替的な形態について、図6から図8cを参照して説明する。この装置は、スリーブの軸線に対して直角にスリーブ54を通る少なくとも1つのロッド72を備えている。
【0063】
好ましくは、スリーブを均衡させる目的のため、装置は、スリーブの軸線に対し対称に配置された2つのロッド72、72´を備えている。これらのロッドは、参照番号70、70´で示したような開口部を通ってスリーブの壁を貫通する。開口部の各々は、角度βにてスリーブの軸線に対して傾斜した壁71を有している(図7b参照)。
【0064】
更に、ミトラ(mitered)形状の部分79は、2つのロッド72、72´の間にて軸方向に動くことができる。部分79の留め継ぎ面74、74´は、スリーブの軸線に対して面71、71´と同一方向に傾斜している。その目的は、ロッド72、72´をそれぞれ面71、71´に対して押し付けることである。面74、74´の傾斜角度αは、角度βよりも小さく、このため、留め継ぎ部分79が矢印Fで示した力の作用の下、動くとき、ロッド72、72´は、矢印Fの反対方向に動く。この力Fは、ピストン12の動きによって提供されることが好ましい。
【0065】
運転者がブレーキペダルを踏まない休止時、部分79は、図7aに示した位置にある。
【0066】
運転者がブレーキペダルを踏むと、ピストン12は、上述したように、前方(図面にて左方向)に動く。部分79は、前方に動くとき、ロッド72、72´を後方に動くよう付勢する。
【0067】
これと同時に、部分79は、漸進的にスリーブ54を前方に動かし、これによりスリーブ48−46を漸進的に開放する。
【0068】
装置は、ロッドが開口部70、71´の面75、75´に接触する迄、図7bに示した状況を経て進む(図7c参照)。
【0069】
ロッド72、72´が面75、75´と接触しているとき、部分79は、ピストンをスリーブにほぼ直接的に連結し、それ以降、このスリーブは、ピストンと同一の動きに従う。
【0070】
傾斜角度α、βは、ロッド72、72´が留め継ぎ部分79の動きに対する抵抗を示すよう計算する。このため、部分79が動くと、スリーブ54は、漸進的に前方に動く傾向となる。
【0071】
本発明の実施にて、ロッド72、72´と面71、71´、74、74´との間の摩擦は、スリーブが漸進的に移動するようにすべく最適化される。
【0072】
図8aに示したように、ロッド72、72´は、離間分離されており、このため、これらのロッドは、分配装置−プランジャ32の各側部に位置する。これらのロッドは、単一の物品として形成することができる。例えば、これらのロッドは、ばね状の要素73により接続し、2つのロッドが互いに収斂する傾向となるようにすることができる。
【0073】
図8b、図8cにおいて、部分79は、スリーブ54の各側部にそれぞれ位置する2つの留め継ぎ部分74、74´を有している。ロッド72、72´は、留め継ぎ部分74、74´がピストンにより前方に駆動されるとき、平行なままであると同時に、互いに分離されている。
【0074】
図9aから図9cには、本発明の装置の代替的な実施の形態が示されている。
【0075】
キー80は、開口部87、87´を通ってスリーブ54を直角に貫通する。キー80は、スリーブの軸線に対して傾斜した面82を有している。この面82は、参照番号87で示した開口部の1つの端縁86に接近する位置に配置されている。
【0076】
更に、キー80の上方部分81は、軸受部品83の傾斜面85に対して休止している。休止位置において、部分83は、ブースタケーシング2のカバー27に対して休止している(図1)。面85は、面82に対して平行又は実質的に平行であることが好ましい。
【0077】
上記に説明したように、ブレーキ命令を受けたとき、ピストン12は、前方(左方向)に動く。ピストンに属する部分89は、キー80を前方に押す。キーの傾斜面82は、開口部87の端縁86に沿って摺動する。前方に動くようにするため、キーは垂直に上昇し(図9aにて)、また、傾斜面85に対して摩擦する。この動きは、図9bに示されている。
【0078】
本発明の1つの好ましい実施の形態に従い、傾斜面85と接触したキーの上方部分81は、丸形又は球形の形状をしている。
【0079】
ピストンが動くと、キーの動きによって、キーの端部81と面85との間の摩擦のため、また、面82と開口部87の端部86との間の摩擦のため、スリーブ54は動くが、但しピストンが動くときの速度よりも遅い速度にて動く。次に、キーは、開口部87の前端に対して当接し(図9c)、スリーブ54は、ピストンによる摩擦が実際に零の状態にて前方に動く。
【0080】
このため、この実施の形態の代替的な形態は、ブースタピストンが動くとき、スリーブ54を漸進的に動かすことを可能にする。
【0081】
図10a、図10bには、本発明の装置の別の代替的な実施の形態が示されている。
【0082】
この代替的な形態において、スリーブ54の壁は、少なくとも1つの開口96を有し、この開口の案内壁は、スリーブの長手方向軸線Xに対して傾斜している。ピン99は、この開口96の案内壁の間を動くことができる第一の端部97を有している。ピンは、また、ピストンのキャビティ94内を又はピストンに固定された部分内を摺動することのできる第二の端部93も有している。
【0083】
更に、スリーブ54は、ピンの第一の端部97が開口96内に動くことを許容し得るよう軸方向に動くとき、その軸線の回りにて回転する能力を有している。
【0084】
図10aには、休止状態にあるときのこの装置が示されている。
【0085】
ブレーキ命令が与えられたとき、ピストンは、上記に説明したように、前方に動く。
【0086】
ピストンは、スリーブをその端部97を介して駆動する傾向のピン99を駆動する。しかし、このスリーブは、開口96の案内壁の間を動く。長手方向軸線Xに対する案内壁の傾斜のため、スリーブは、ピストンの動く速度と比較してより遅い速度にて動く。このため、上記の実施の形態において、スリーブの漸進的な動きが得られる。
【0087】
端部97が動くとき、ピンの端部93は、ピストンのキャビティ94内を摺動することが理解されよう。
【0088】
この作動は、端部97が図10bに示した位置に達する迄、続く。この場合、ピストンは、スリーブ54の動きに直接、作用する。
【0089】
このように、説明した色々な実施の形態から本発明は、ピストンが動くとき、スリーブ54が漸進的に動くことを許容することが理解できる。このことは、ブレーキ掛け相の開始時、ブレーキペダルの感触を向上させる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキブースタ、より詳細には、特に自動車に適用することのできる急速作動型ブレーキブースタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のブレーキ装置において、全体として、ブレーキペダルが作動されたとき、その間、運転者がブレーキペダルを踏むが、何らの液圧が車のブレーキ回路に効果的に導入されない、ブレーキの開始時に感得可能な不作用走行状態となる。
【0003】
この不作用走行を少なくするための装置が存在する。かかる装置の1つは、仏国特許出願第2 856 363号明細書に記載されたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
該装置は、図1及び図2に示したように、スカート6を保持する長手方向軸線Xのケーシング2であって、該スカート6は、ケーシング内にて漏洩密の態様にて軸方向に摺動することができ、また、前面室として知られた低圧の第一の室8と、後側室として知られた可変圧力の第二の室10との限界を画するように取り付けられた、上記ケーシング2と、
スカート6に固定されたピストン12と、制御ロッド28の制御の下、前面室及び後側室を互いに隔離し、これらの室を互いに連通する位置に配置し、又は、後側室を雰囲気圧力のような低い圧力に比して高い圧力に置くため使用することのできる三方弁26と、ピストン12内にて軸方向に摺動するスリーブ54であって、このスリーブの環状面48が三方弁26に対する、等分配弁座として知られた第一の弁座として作用する上記スリーブ54と、三方弁26に対する、入口弁座として知られた、第二の弁座として作用する環状面50を有する分配装置−プランジャ32と、ピストンの2つの直径方向に対向した開口部86、及びスリーブ54の2つの直径方向に対向したスロット88を通って軸線Xに対して直角に伸びる第一のキー84であって、空気圧式ピストン12内に固定状態に取り付けられた上記第一のキー84と、ピストン及びスリーブ54を通って軸線Xに対して直角に伸びる第二のキー90であって、分配装置−プランジャ32に対する戻り軸方向端部停止部として作用する上記第二のキー90と、を備えている。
【0005】
このようなブースタが作用する仕方は、次の通りである。
【0006】
休止位置(図1及び図2)において、弁シャッタ46は、第一の弁座又は等分配弁座48(スリーブ54により支持されている)から離れており且つ、前面室8を後側室10と連通する位置に配置する。弁シャッタ46は、第二の入口弁座50に対して休止し、このため、後側室を雰囲気圧力から隔離する。
【0007】
ブレーキ相の開始時、運転者がブレーキペダルを踏むと、制御ロッド28は、軸方向前方に動かされて、次に、弁シャッタ46は第一の弁座48に対して押して、後側室を前面室から隔離し且つ、第二の座部から動いて離れ、後側室に雰囲気圧力の空気を供給することを許容する。前面室と後側室との間の圧力差のため、スカート6及びピストン12は、前方に動かされる。スリーブ54により支持された第一の弁座48は、キー84と第二のスロット88の前端との間の隙間Cが無くならない限り、静止したままである。
【0008】
ばね58は、ピストン12が所定の移動距離Cを移動しない限り、スリーブ54をブースタのケーシングに対して所定の軸方向位置に維持する。マスタシリンダの液圧ピストンは、空気圧式ピストンにより押され、この空気圧式ピストン自体は、センサから離れる方向に動く補助ピストン126に沿って移動する。マスタシリング内の圧力が所定の圧力を上回り、補助ピストン126がジャンプばね138の力を上回るのに十分高い場合、補助ピストンはセンサと接触し且つ、次に、液圧回路の反動によりブレーキペダルまで進む迄、センサに向けて押し戻される。
【0009】
空気圧ピストン12が移動距離Cを移動したとき(図2参照)、空気圧式ピストンに対して固定されたキー84の前面100は、スリーブのスロット88の前端に対して休止する。次に、スリーブは、ピストンの動きと軸方向に連結される。弁シャッタ46は、入口弁座50と接触し且つ、雰囲気圧力の空気の後側室への供給を遮断する。次に、運転者は、ブレーキ力の強さを増大させるためには、ブレーキペダルを更に踏み込まなければならない。
【0010】
移動距離Cは、マスタシリンダの不作用移動距離、すなわち、ブレーキ内のブレーキ液体圧力を上昇させ始めるため、液圧ピストンがマスタシリンダ内にて移動する必要のある移動距離に相応するよう選ぶことが好ましい。その結果、運転者は、等分配弁を閉じ且つ、入口弁を開くのに必要な移動のみをペダルを通して感じ、マスタシリンダの不作用移動は感じない。このため、運転者は直ちにブレーキ掛けしているとの印象を持つため、運転者の安楽さは増す。
【0011】
その後、装置は、本来のブレーキ相に入る。運転者がブレーキレベルを所定の強さに維持するとき、等分配が実現される。次に、弁シャッタ46は、等分配弁座48及び入口座部50と接触し、このため、雰囲気圧力の空気の後側室への供給を遮断する。
【0012】
次に、ブースタは、ブースタがもはや、何ら追加的なブースト力を提供せず、後側室内にて得られる圧力は雰囲気圧力である瞬間に相応する飽和相に入る。空気圧式ピストンは、もはや、スカート6の動く動作の下、軸方向に前方に動くことはできない。その結果、スリーブ54及び等分配弁座48は不可動である。運転者により加えられた何らかの追加的なブレーキ力は、制御ロッド28及び入口座部を弁シャッタ46から離れる方向に動かすが、この追加的な力は、もはや倍力されることはない。マスタシリンダ内の圧力上昇は、運転者により提供された追加的な力をマスタシリンダピストンの断面積にて割った値に等しい。
【0013】
ブレーキ作用の終了時、運転者は、ブレーキペダルを少なくとも部分的に解放する。次に、分配装置−プランジャは、制御ロッドにより後方に動かされる。入口座部50は、弁シャッタ46と接触し、雰囲気圧力の空気の後側室への供給を遮断し、また、シャッタ46を等分配弁座48から離れる方向に動かし、前面室8及び後側室10を連通する状態に置く。次に、スカート6をわたる圧力は等分配され、このスカートは、戻りばねの作用の下、休止位置に戻る。空気圧式ピストン12の休止位置は、ケーシング2の環状の支持面119に対して休止する第二のキー90により設定される。分配装置−プランジャは、また、休止位置に戻り、キー90に対して当接する状態となる。スロット88の前端とキー84の前面100との間の移動距離Cは、スリーブの戻りばね58の作用の下、再確立される。ブースタは、再度、最小の作動移動距離にて直ちに作動可能な位置となる。
【0014】
このような装置において、キー84が移動距離Cを移動し且つ、スリーブ54のスロット88の前端と接触するとき、最高荷重がペダルに付与されるようにする必要があることが分った。本発明の目的は、ブレーキペダルにて認識されるこの遷移を遅くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため、本発明は、所定の長手方向軸線のケーシングと、スカートと、長手方向軸線に沿ってケーシング内にて漏洩密の態様で摺動するように取り付けられた空気圧式ピストンとを備えるアセンブリであって、ケーシングの内部空間を低圧の前面室と、可変圧力の後側室とに分割する上記スカート−ピストンアセンブリと、空気圧式ピストン内に突き通した長手方向通路内に取り付けられた制御ロッドにより作動される三方弁であって、上記制御ロッドは、第一の長手方向端部を介してブレーキペダルと接続された、上記三方弁と、上記制御ロッドの第二の端部の制御の下、上記長手方向軸線に沿って、上記ピストン内にて動くことのできる分配装置−プランジャであって、制御ロッドの力を反動装置を介してマスタシリンダの液圧ピストンに付与するセンサを備え、上記スカート−ピストンアセンブリが空気圧倍力をマスタシリンダの液圧ピストンに伝達する、上記分配装置−プランジャと、所定の第一の移動距離をわたって上記長手方向軸線に沿って空気圧式ピストン内にて漏洩密の態様で摺動するよう取り付けられたスリーブと、上記空気圧式ピストンが所定の移動距離を移動したとき、上記スリーブを空気圧式ピストンと軸方向に接続することのできる固定手段とを備える、ブレーキブースタに関する。
【0016】
三方弁は、第一の弁座と、第二の弁座と、第一及び(又は)第二の弁座に対して押し付けることを目的とする弁シャッタとを備えている。第二の弁座は、分配装置−プランジャの第一の長手方向端部により支持される。第一の弁座は、上記スリーブの第一の長手方向端部により支持される。
【0017】
本発明によれば、固定手段は、ピストンの動きに従ってスリーブを漸進的に動かす装置を備えている。
【0018】
好ましくは、漸進的な移動装置は、上記長手方向軸線に対して傾斜した面を備えており、ピストンにより供給される長手方向軸線に沿った移動力を上記スリーブまで伝達することを目的とする。
【0019】
本発明の1つの実施の形態に従い、上記傾斜面は、キーの前面に属する。このキーは、ピストンに対して又はピストン自体に対して休止する第一の端部と、ブースタのケーシングに対して、又はそれ自体、ブースタのケーシングに対して休止する部分に対して休止する第二の端部とを有している。
【0020】
この実施の形態において、キーの第一の端部又は第二の端部は、該端部が休止する部分に関節接続部により固定されている。
【0021】
次に、上記関節接続部により第一の端部をピストンに固定し、また、第二の端部がブースタのケーシングに対し、又は、それ自体がブースタのケーシングに対して休止する部分に対して休止する湾曲部分を有するようにするための措置を望ましいように為すことができる。
【0022】
好ましくは、キーは、スロットを介してスリーブの壁を通って上記軸線に対して横方向に進み、該キーの傾斜面は、スリーブのスロットの前端に対して休止することを目的とするものとする。
【0023】
ブレーキを掛けた状態にて、キーの傾斜面がスリーブの2つのスロットの前端に対して休止するような措置を為すことが望ましい。
【0024】
本発明は、スリーブの壁を通して上記長手方向軸線に対し直角に進む少なくとも1つのロッドが存在し、該スリーブの開口部を介して、少なくとも1つの壁が上記長手方向軸線に対して傾斜している、1つの代替的な実施の形態にも関する。制御手段がロッドの傾斜壁に沿った長手方向への動きを制御し且つ、ピストンの軸方向への動きが上記ロッドを介してスリーブに伝達されることを許容する。
【0025】
この代替的な実施の形態に従って、上記制御手段は、スリーブの開口部の傾斜壁と同一方向に向けて上記の長手方向軸線に対して傾斜した少なくとも1つの面を有する留め継ぎ(mitered)部分を備えている。
【0026】
次に、スリーブの開口部の傾斜壁が長手方向軸線(X)に対して第一の角度(X)を形成するようにするための措置が為されることが望ましい。留め継ぎ部分(79)の傾斜面は、長手方向軸線に対して第二の角度(β)を形成する。かかる場合、第一の角度(X)は第二の角度(β)よりも大きいようにする措置が為されよう。
【0027】
更に、本発明に従った装置は、互いに平行であり且つ、長手方向軸線に対して対称である2つのロッドを備えるようにする措置を為すこともできる。この場合、留め継ぎ部分は上記の軸線の回りにて対称である形状を有する。
【0028】
この代替的な1つの実施の形態に従い、2つのロッドは、単一部品として形成し且つ、ばね継手により互いに接続される。
【0029】
本発明は、キーが開口を介してスリーブを通って横方向に進む、本発明による実施の形態の別の代替的な形態にも関する。これらの開口は、上記の長手方向軸線に対して傾斜した面を有する。この傾斜面は、上記開口の前端に対して休止する。この場合、ピストンの動きにより引き起こされた、上記キーの軸方向への動きによって、キーは垂直方向に動く。
【0030】
望ましくは、この場合、この代替的な実施の形態は、キーの一端(81)が休止する傾斜面を有する軸受部分を提供するようにする。
【0031】
望ましくは、軸受部分の傾斜面は、上記キーの傾斜面に対して実質的に平行であるようにする。
【0032】
本発明は、スリーブが上記長手方向軸線に対して傾斜した開口と、ピンとを有する、追加の代替的な実施の形態にも関する。ピンの第一の端部は、この開口内にて動くことができ、また、第二の端部は、ピストンのキャビティ内にて摺動することができる。
【0033】
次に、スリーブが回転して、ピンの第一の端部が開口内にて摺動するのを許容するのを可能にする措置が為されるであろう。
【0034】
本発明の色々な目的及び特徴は、以下に記載し、また、添付図面に示した説明からより明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】当該技術にて既知であり且つ上述した型式のブレーキブースタの図である。
【図2】同様に上述した、図1のブレーキブースタのより詳細な図である。
【図3】空気圧式ブレーキブースタに適用されたときの、本発明に従った装置の一例としての実施の形態を示す図である。
【図4】空気圧式ブレーキブースタに適用されたときの、本発明に従った装置の一例としての実施の形態を示す図である。
【図5a】図5aから図5dは、図3の装置が作用する仕方を示す、該装置の色々な状態の図である。
【図5b】図5aから図5dは、図3の装置が作用する仕方を示す、該装置の色々な状態の図である。
【図5c】図5aから図5dは、図3の装置が作用する仕方を示す、該装置の色々な状態の図である。
【図5d】図5aから図5dは、図3の装置が作用する仕方を示す、該装置の色々な状態の図である。
【図6】本発明に従った装置の実施の形態の1つの代替的な形態を示す図である。
【図7】図7aから図7cは、図6の装置が作用する仕方を示す、該装置の色々な状態の図である。
【図8a】図8aから図8cは、図6の装置の詳細図である。
【図8b】図8aから図8cは、図6の装置の詳細図である。
【図8c】図8aから図8cは、図6の装置の詳細図である。
【図9】図9aから図9cは、本発明に従った装置の実施の形態の代替的な形態を示す図である。
【図10】図10aから図10bは、本発明に従った装置の別の代替的な形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、本発明の一例としての実施の形態について図3及び図4を参照して説明する。
【0037】
この装置は、図1のものと同様のブレーキブースタに適用される。図3には、本発明の装置を保持するブースタの部分のみが示されている。図3及び図4に示した構成要素は、同一の機能を果たす図1及び図2の構成要素と同一の参照番号にて示してある。
【0038】
このため、図3及び図4は、図1に示したブレーキブースタの例に関して説明する。
【0039】
このため、図3には、スカート6が(低圧の)前面室8と該前面室と同一の圧力又は雰囲気圧力の何れかにて配置することのできる後側室10との限界を画するケーシング2が部分的に示されている。
【0040】
空気圧式ピストン12がスカートに固定され且つ、ブースタのケーシング2の軸線に沿って摺動する。
【0041】
スリーブ54は、ピストン12内にて軸方向に摺動する。ピストン12に対して休止するばね58は、スリーブ54を後方(図面の右方向)に押す。
【0042】
スリーブ内にて、分配装置−プランジャ32は、図示しないブレーキペダルにより制御される制御ロッド28の制御の下、軸方向に摺動する。
【0043】
尚、ピストン12内に配置された三方弁は、前面室8を後側室10と連通する状態に配置するか又は後側室を雰囲気圧力に配置するか、あるいは、後側室を隔離するかの何れかを許容する。これを行うためには、図4に示したように、三方弁は、スリーブ54の環状端部により支持された等分配弁座48又は、分配装置−プランジャ32の環状端部により支持された入口弁座50の何れかと接触することのできる環状の形状のシャッタ46を備えている。
【0044】
スリーブ54は、通常、ピストン12の肩部60に対して休止するばね58により後方(図面の右方向)に、すなわちシャッタ46に向けて押される。
【0045】
本発明の装置は、スロット88、88´を介してスリーブ54を通って進むキー84も備えている。
【0046】
本発明に従い、このキーは、ブースタの軸方向に対して傾斜した面100を備えている。更に、このキーは、空気圧式ピストン12の前面121に休止する第一の端部101と、ブースタの固定部品に休止する第二の端部102とを有している。図3及び図4の装置の特定の例において、第二の端部102は、休止時、ブースタのケーシングに属する肩部に対して休止する部分90に休止する。
【0047】
更に、キーの端部の1つは、該端部が休止する部分に対し関節接続部により固定することができる。例えば、図3及び図4において、キー84の端部101は、ピストン12の面121に固定されたピン103上にて関節接続される。端部102は、部分90の面91に対して休止し、このため、ピン103の回りにて回転することができる。
【0048】
キー84の面100がブースタの軸線に対して傾斜するようにするため、キー84は、図3及び図4にて曲がった形状を有しているが、これは、絶対そうしなければならないものではない。必要なことは、端部102がブースタケーシングに対し又はブースタケーシングと接続された部分(参照番号90で示すような)に対して休止するようにすることだけである。
【0049】
次に、図3及び図4の装置が作用する仕方について、図3及び図5aから図5dを参照して説明する。
【0050】
ブレーキ装置が休止しているとき(すなわち、運転者がブレーキペダルを踏まないとき)、装置は、図5aに示した状態にある。スリーブ54は、ばね58により後方に押されているが、シャッタ46は、スリーブ54により支持された等分配弁座48から離れている。シャッタ46と弁座48との間のこの空間は、前面室8及び後側室10を連通する状態に置く。シャッタ46は、入口弁座50に対して休止し、このため、後側室10を雰囲気圧力から隔離する。
【0051】
図5bにより示したブレーキ相の開始時、運転者がブレーキペダルを踏むと、制御ロッド28は、軸方向前方(図面にて左方向)に動き、また、分配装置−プランジャ32は、前方に動く。弁座50は前方に動く。シャッタ46も前方に動き且つ、スリーブ54により支持された等分配弁座48に対して押し付けられる。後側室10は前面室8から隔離されている。分配装置−プランジャが前方に動くと、シャッタ46は、入口弁座50から離れるように動き、雰囲気圧力の空気が後側室10内に入るのを許容する。
【0052】
前面室と後側室との間の圧力差のため、スカート6及びピストン12は、前方に動く。スリーブ54により支持された等分配弁座48は、ばね58によりシャッタ46に対して強固に押された状態に保たれる。マスタシリンダ122の液圧ピストンは、空気圧式ピストン12により押され、また、それ自体、センサから離れるように動く補助ピストン126に沿って移動する(図1参照)。マスタシリンダ内の圧力が補助ピストン126がジャンプばねの力に打ち勝つことができるのに十分に高い所定の圧力を上回ると、補助ピストン126は、分配装置−プランジャ32と接触し、次に、液圧回路の反動をブレーキペダルに伝達する迄、分配装置−プランジャ32に向けて押し戻される。
【0053】
この作動の間、空気圧式ピストンは、前方に動くとき、キー84の端部101の関節接続ピン103を動かす(図5c参照)。キー84の面100の領域104は、関節接続部104と同一側に位置するキーの領域よりも低速度にて前方に動く。この領域104は、スリーブ54をピストンが移動するときの速度よりも遅い速度にて前方に押す。更に、ばね54は、スリーブ54を後方に動かす傾向となる。ピストンがより迅速に且つばね58の作用の下、前方に動くため、スリーブはピストンに対して後方に動く。
【0054】
キー84は、その動きに対向するスリーブ54のスロット88の左側端部のブレーキ効果のため、ピン103の回りにて回動する。
【0055】
図5dにおいて、キー84の前面100は、スリーブのスロット88、88´の前端に対して強固に押し付けられる。キー84は、空気圧式ピストン12の前面121に対して強固に押し付けられ、このため、このとき、ピストンに対して固定されている。スリーブは、ピストンの動きに対して軸方向に結合されている。
【0056】
シャッタ46は、入口弁座50と接触し、また、雰囲気圧力の空気の後側室への供給を遮断する。このため、運転者は、ブレーキ力の強さを増すためには、ブレーキペダルを更に踏まなければならない。
【0057】
次に、シャッタ46は、スリーブ54の等分配弁座48及び入口弁座50と接触し、雰囲気圧力の空気の後側室への供給を遮断する。
【0058】
図5dには、もはや何らの追加的なブースト作用を提供しない相におけるブースタが示されている。マスタシリンダ内の圧力の上昇は、運転者が供給した追加的な力をマスタシリンダピストンの断面積で割った値に等しい。
【0059】
スリーブ54の上方スロット88´内にてキー84の前面100が移動する距離により示した移動距離C(図4参照)は、マスタシリンダの不作用移動距離、すなわち、ブレーキ流体の圧力がブレーキ内にて上昇し始めるようにするため、液圧ピストンがマスタシリンダ内にて移動する必要のある移動距離に相応するよう選ばれることが好ましい。
【0060】
この場合、運転者は、マスタシリンダの不作用移動距離を感じることなく、等分配弁を閉じ且つ入口弁を開くのに必要な移動距離のみペダルを通して感じるのみならず、この作動と実際のブレーキ掛けとの間の遷移が漸進的に行われる。
【0061】
その後、運転者がブレーキペダルを少なくとも一部分、解放すると、分配装置−プランジャ32は、制御ロッドと共に後方に動く。入力弁座50は、シャッタ46と接触し且つ、シャッタ46を等分配弁座48から離れるように動かし、前面室8及び後側室10を連通する状態にする。スカート6をわたる圧力は、等分配され、スカートは、休止位置に戻る。このとき、装置は、図5aに示した状態に戻る。
【0062】
次に、本発明に従った装置の実施の形態の1つの代替的な形態について、図6から図8cを参照して説明する。この装置は、スリーブの軸線に対して直角にスリーブ54を通る少なくとも1つのロッド72を備えている。
【0063】
好ましくは、スリーブを均衡させる目的のため、装置は、スリーブの軸線に対し対称に配置された2つのロッド72、72´を備えている。これらのロッドは、参照番号70、70´で示したような開口部を通ってスリーブの壁を貫通する。開口部の各々は、角度βにてスリーブの軸線に対して傾斜した壁71を有している(図7b参照)。
【0064】
更に、ミトラ(mitered)形状の部分79は、2つのロッド72、72´の間にて軸方向に動くことができる。部分79の留め継ぎ面74、74´は、スリーブの軸線に対して面71、71´と同一方向に傾斜している。その目的は、ロッド72、72´をそれぞれ面71、71´に対して押し付けることである。面74、74´の傾斜角度αは、角度βよりも小さく、このため、留め継ぎ部分79が矢印Fで示した力の作用の下、動くとき、ロッド72、72´は、矢印Fの反対方向に動く。この力Fは、ピストン12の動きによって提供されることが好ましい。
【0065】
運転者がブレーキペダルを踏まない休止時、部分79は、図7aに示した位置にある。
【0066】
運転者がブレーキペダルを踏むと、ピストン12は、上述したように、前方(図面にて左方向)に動く。部分79は、前方に動くとき、ロッド72、72´を後方に動くよう付勢する。
【0067】
これと同時に、部分79は、漸進的にスリーブ54を前方に動かし、これによりスリーブ48−46を漸進的に開放する。
【0068】
装置は、ロッドが開口部70、71´の面75、75´に接触する迄、図7bに示した状況を経て進む(図7c参照)。
【0069】
ロッド72、72´が面75、75´と接触しているとき、部分79は、ピストンをスリーブにほぼ直接的に連結し、それ以降、このスリーブは、ピストンと同一の動きに従う。
【0070】
傾斜角度α、βは、ロッド72、72´が留め継ぎ部分79の動きに対する抵抗を示すよう計算する。このため、部分79が動くと、スリーブ54は、漸進的に前方に動く傾向となる。
【0071】
本発明の実施にて、ロッド72、72´と面71、71´、74、74´との間の摩擦は、スリーブが漸進的に移動するようにすべく最適化される。
【0072】
図8aに示したように、ロッド72、72´は、離間分離されており、このため、これらのロッドは、分配装置−プランジャ32の各側部に位置する。これらのロッドは、単一の物品として形成することができる。例えば、これらのロッドは、ばね状の要素73により接続し、2つのロッドが互いに収斂する傾向となるようにすることができる。
【0073】
図8b、図8cにおいて、部分79は、スリーブ54の各側部にそれぞれ位置する2つの留め継ぎ部分74、74´を有している。ロッド72、72´は、留め継ぎ部分74、74´がピストンにより前方に駆動されるとき、平行なままであると同時に、互いに分離されている。
【0074】
図9aから図9cには、本発明の装置の代替的な実施の形態が示されている。
【0075】
キー80は、開口部87、87´を通ってスリーブ54を直角に貫通する。キー80は、スリーブの軸線に対して傾斜した面82を有している。この面82は、参照番号87で示した開口部の1つの端縁86に接近する位置に配置されている。
【0076】
更に、キー80の上方部分81は、軸受部品83の傾斜面85に対して休止している。休止位置において、部分83は、ブースタケーシング2のカバー27に対して休止している(図1)。面85は、面82に対して平行又は実質的に平行であることが好ましい。
【0077】
上記に説明したように、ブレーキ命令を受けたとき、ピストン12は、前方(左方向)に動く。ピストンに属する部分89は、キー80を前方に押す。キーの傾斜面82は、開口部87の端縁86に沿って摺動する。前方に動くようにするため、キーは垂直に上昇し(図9aにて)、また、傾斜面85に対して摩擦する。この動きは、図9bに示されている。
【0078】
本発明の1つの好ましい実施の形態に従い、傾斜面85と接触したキーの上方部分81は、丸形又は球形の形状をしている。
【0079】
ピストンが動くと、キーの動きによって、キーの端部81と面85との間の摩擦のため、また、面82と開口部87の端部86との間の摩擦のため、スリーブ54は動くが、但しピストンが動くときの速度よりも遅い速度にて動く。次に、キーは、開口部87の前端に対して当接し(図9c)、スリーブ54は、ピストンによる摩擦が実際に零の状態にて前方に動く。
【0080】
このため、この実施の形態の代替的な形態は、ブースタピストンが動くとき、スリーブ54を漸進的に動かすことを可能にする。
【0081】
図10a、図10bには、本発明の装置の別の代替的な実施の形態が示されている。
【0082】
この代替的な形態において、スリーブ54の壁は、少なくとも1つの開口96を有し、この開口の案内壁は、スリーブの長手方向軸線Xに対して傾斜している。ピン99は、この開口96の案内壁の間を動くことができる第一の端部97を有している。ピンは、また、ピストンのキャビティ94内を又はピストンに固定された部分内を摺動することのできる第二の端部93も有している。
【0083】
更に、スリーブ54は、ピンの第一の端部97が開口96内に動くことを許容し得るよう軸方向に動くとき、その軸線の回りにて回転する能力を有している。
【0084】
図10aには、休止状態にあるときのこの装置が示されている。
【0085】
ブレーキ命令が与えられたとき、ピストンは、上記に説明したように、前方に動く。
【0086】
ピストンは、スリーブをその端部97を介して駆動する傾向のピン99を駆動する。しかし、このスリーブは、開口96の案内壁の間を動く。長手方向軸線Xに対する案内壁の傾斜のため、スリーブは、ピストンの動く速度と比較してより遅い速度にて動く。このため、上記の実施の形態において、スリーブの漸進的な動きが得られる。
【0087】
端部97が動くとき、ピンの端部93は、ピストンのキャビティ94内を摺動することが理解されよう。
【0088】
この作動は、端部97が図10bに示した位置に達する迄、続く。この場合、ピストンは、スリーブ54の動きに直接、作用する。
【0089】
このように、説明した色々な実施の形態から本発明は、ピストンが動くとき、スリーブ54が漸進的に動くことを許容することが理解できる。このことは、ブレーキ掛け相の開始時、ブレーキペダルの感触を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長手方向軸線(X)のケーシング(2)と、
スカート(6)と、前記長手方向軸線(X)に沿って前記ケーシング(2)内にて漏洩密の態様で摺動するように取り付けられた空気圧式ピストン(12)とを備えるアセンブリであって、前記ケーシング(2)の内部空間(4)を低圧の前面室(8)と、可変圧力の後側室(10)とに分割する前記のスカート−ピストンアセンブリ(6、12)と、
前記空気圧式ピストン(12)に穿刺された長手方向通路(34)内に取り付けられた制御ロッド(28)により作動される三方弁(26)であって、前記制御ロッド(28)は、第一の長手方向端部を介してブレーキペダルと接続された、前記三方弁と、
前記制御ロッド(28)の第二の端部の制御の下、前記長手方向軸線(X)に沿って、前記ピストン内にて動くことのできる分配装置−プランジャ(32)であって、前記制御ロッド(28)の力を反動装置を介してマスタシリンダの液圧ピストン(122)に付与するセンサを備え、前記スカート−ピストンアセンブリ(6、12)は、空気圧倍力を前記マスタシリンダの前記液圧ピストン(122)に伝達する、前記分配装置−プランジャ(32)と、
所定の第一の移動距離(C)をわたって前記長手方向軸線(X)に沿って前記空気圧式ピストン(12)内にて漏洩密の態様で摺動するよう取り付けられたスリーブ(54)と、
前記空気圧式ピストンが所定の移動距離(C)を移動したとき、前記スリーブ(54)を前記空気圧式ピストン(12)と軸方向に接続することのできる固定手段とを備える、ブレーキブースタにおいて、
前記三方弁(26)は、第一の弁座(48)と、第二の弁座(50)と、該第一及び(又は)第二の弁座(48、50)に対して押し付けることを目的とする弁シャッタ(46)とを備え、前記第二の弁座(50)は、前記分配装置−プランジャ(32)の第一の長手方向端部により支持され、前記第一の弁座は、前記スリーブ(54)の第一の長手方向端部により支持され、前記固定手段は、前記ピストンの動きに従って前記スリーブを漸進的に動かす装置を備えることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキブースタにおいて、漸進的な移動装置は、前記長手方向軸線(X)に対して傾斜した面(100、71、71´、82、82´)を備えており、前記ピストン(12)により供給された長手方向軸線(X)に沿った移動力を前記スリーブ(54)まで伝達することを目的とすることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項3】
請求項2に記載のブレーキブースタにおいて、前記傾斜面(100)は、前記ピストン(12)に固定された部分又はピストン自体に対して休止する第一の端部(101)と、前記ブースタの前記ケーシングに対して、又はそれ自体がブースタのケーシングに対して休止する部分に対して休止する第二の端部(102)とを有するキー(84)の前面に属することを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項4】
請求項3に記載のブレーキブースタにおいて、前記キー(84)の前記第一の端部(101)又は前記第二の端部(102)は、該端部が休止する部分に関節接続部(103)により固定されることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキブースタにおいて、前記第一の端部(101)は前記関節接続部(103)によりピストンに固定され、また、前記第二の端部(102)は、前記ブースタのケーシングに対し、又は、それ自体が前記ブースタの前記ケーシングに対して休止する部分(90)に対して休止する湾曲部分を有することを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1つの項に記載のブレーキブースタにおいて、前記キー(84)は、スロット(88、88´)を介して前記スリーブ(54)の壁を通して前記軸線(X)に対して横方向に進み、前記キー(84)の前記傾斜面(100)は、前記スリーブの前記スロットの前端に対して休止することを目的とすることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項7】
請求項6に記載のブレーキブースタにおいて、ブレーキを掛けた状態にて、前記キー(84)の前記傾斜面(100)が前記スリーブの前記2つのスロット(88、88´)の前記前端に対して休止することを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項8】
請求項3に記載のブレーキブースタにおいて、その少なくとも1つの壁(71、71´)が前記長手方向軸線(X)に対して傾斜した開口部(70、70´)を介して、スリーブの壁を通して前記長手方向軸線(X)に対し直角に進む少なくとも1つのロッド(72、82´)と、該ロッドの傾斜壁(71、71´)に沿った長手方向への動きを制御し且つ、前記ピストン(12)の軸方向への動きが前記ロッド(72、72´)を介して前記スリーブに伝達されることを許容する制御手段(79)とを備えることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項9】
請求項8に記載のブレーキブースタにおいて、前記制御手段は、前記スリーブの前記開口部の前記傾斜壁(71、71´)と同一方向に向けて前記長手方向軸線(X)に対して傾斜した少なくとも1つの面(74、74´)を有する留め継ぎ部分(79)を備えることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項10】
請求項9に記載のブレーキブースタにおいて、前記スリーブの前記開口部の前記傾斜壁が前記長手方向軸線(X)に対して第一の角度(α)を形成し、前記留め継ぎ部分(79)の前記傾斜面は、前記長手方向軸線に対して第二の角度(β)を形成し、前記第一の角度(α)は該第二の角度(β)よりも大きいことを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項11】
請求項10に記載のブレーキブースタにおいて、互いに平行であり且つ、前記長手方向軸線(X)に対して対称である2つのロッド(72、72´)を備え、前記留め継ぎ部分(79)は、前記軸線(X)の回りにて対称である形状を有することを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項12】
請求項11に記載のブレーキブースタにおいて、前記2つのロッド(72、72´)は、単一部品として形成され且つ、ばね継手(73)により互いに接続されることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項13】
請求項3に記載のブレーキブースタにおいて、開口(87、87´)を介して前記スリーブ(54)を通って横方向に進むキー(80)を備え、該キーは、前記長手方向軸線(X)に対して傾斜した面(82)を有し、前記傾斜相は、前記開口(87、87´)の前端(82)に対して休止し、前記ピストンの動きにより引き起こされた、前記キー(80)の軸方向への動きによって、前記キーは横方向に動くことを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項14】
請求項13に記載のブレーキブースタにおいて、前記キーの一端(81)が休止する傾斜面(85)を有する軸受部分(83)を備えることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項15】
請求項14に記載のブレーキブースタにおいて、前記軸受部分(83)の前記傾斜面(85)は、前記キー(83)の前記傾斜面(82)に対して実質的に平行であることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項16】
請求項3に記載のブレーキブースタにおいて、前記スリーブ(54)は、前記長手方向軸線(X)に対して傾斜した開口(96)と、その第一の端部(97)が該開口内にて動くことができ、また、その第二の端部(93)が前記ピストン(12)のキャビティ内にて摺動することができるピン(99)とを備えることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項17】
請求項16に記載のブレーキブースタにおいて、前記スリーブ(54)は、回転して、前記ピン(99)の前記第一の端部(97)が前記開口(96)内にて摺動するのを許容することができることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項1】
所定の長手方向軸線(X)のケーシング(2)と、
スカート(6)と、前記長手方向軸線(X)に沿って前記ケーシング(2)内にて漏洩密の態様で摺動するように取り付けられた空気圧式ピストン(12)とを備えるアセンブリであって、前記ケーシング(2)の内部空間(4)を低圧の前面室(8)と、可変圧力の後側室(10)とに分割する前記のスカート−ピストンアセンブリ(6、12)と、
前記空気圧式ピストン(12)に穿刺された長手方向通路(34)内に取り付けられた制御ロッド(28)により作動される三方弁(26)であって、前記制御ロッド(28)は、第一の長手方向端部を介してブレーキペダルと接続された、前記三方弁と、
前記制御ロッド(28)の第二の端部の制御の下、前記長手方向軸線(X)に沿って、前記ピストン内にて動くことのできる分配装置−プランジャ(32)であって、前記制御ロッド(28)の力を反動装置を介してマスタシリンダの液圧ピストン(122)に付与するセンサを備え、前記スカート−ピストンアセンブリ(6、12)は、空気圧倍力を前記マスタシリンダの前記液圧ピストン(122)に伝達する、前記分配装置−プランジャ(32)と、
所定の第一の移動距離(C)をわたって前記長手方向軸線(X)に沿って前記空気圧式ピストン(12)内にて漏洩密の態様で摺動するよう取り付けられたスリーブ(54)と、
前記空気圧式ピストンが所定の移動距離(C)を移動したとき、前記スリーブ(54)を前記空気圧式ピストン(12)と軸方向に接続することのできる固定手段とを備える、ブレーキブースタにおいて、
前記三方弁(26)は、第一の弁座(48)と、第二の弁座(50)と、該第一及び(又は)第二の弁座(48、50)に対して押し付けることを目的とする弁シャッタ(46)とを備え、前記第二の弁座(50)は、前記分配装置−プランジャ(32)の第一の長手方向端部により支持され、前記第一の弁座は、前記スリーブ(54)の第一の長手方向端部により支持され、前記固定手段は、前記ピストンの動きに従って前記スリーブを漸進的に動かす装置を備えることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキブースタにおいて、漸進的な移動装置は、前記長手方向軸線(X)に対して傾斜した面(100、71、71´、82、82´)を備えており、前記ピストン(12)により供給された長手方向軸線(X)に沿った移動力を前記スリーブ(54)まで伝達することを目的とすることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項3】
請求項2に記載のブレーキブースタにおいて、前記傾斜面(100)は、前記ピストン(12)に固定された部分又はピストン自体に対して休止する第一の端部(101)と、前記ブースタの前記ケーシングに対して、又はそれ自体がブースタのケーシングに対して休止する部分に対して休止する第二の端部(102)とを有するキー(84)の前面に属することを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項4】
請求項3に記載のブレーキブースタにおいて、前記キー(84)の前記第一の端部(101)又は前記第二の端部(102)は、該端部が休止する部分に関節接続部(103)により固定されることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキブースタにおいて、前記第一の端部(101)は前記関節接続部(103)によりピストンに固定され、また、前記第二の端部(102)は、前記ブースタのケーシングに対し、又は、それ自体が前記ブースタの前記ケーシングに対して休止する部分(90)に対して休止する湾曲部分を有することを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1つの項に記載のブレーキブースタにおいて、前記キー(84)は、スロット(88、88´)を介して前記スリーブ(54)の壁を通して前記軸線(X)に対して横方向に進み、前記キー(84)の前記傾斜面(100)は、前記スリーブの前記スロットの前端に対して休止することを目的とすることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項7】
請求項6に記載のブレーキブースタにおいて、ブレーキを掛けた状態にて、前記キー(84)の前記傾斜面(100)が前記スリーブの前記2つのスロット(88、88´)の前記前端に対して休止することを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項8】
請求項3に記載のブレーキブースタにおいて、その少なくとも1つの壁(71、71´)が前記長手方向軸線(X)に対して傾斜した開口部(70、70´)を介して、スリーブの壁を通して前記長手方向軸線(X)に対し直角に進む少なくとも1つのロッド(72、82´)と、該ロッドの傾斜壁(71、71´)に沿った長手方向への動きを制御し且つ、前記ピストン(12)の軸方向への動きが前記ロッド(72、72´)を介して前記スリーブに伝達されることを許容する制御手段(79)とを備えることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項9】
請求項8に記載のブレーキブースタにおいて、前記制御手段は、前記スリーブの前記開口部の前記傾斜壁(71、71´)と同一方向に向けて前記長手方向軸線(X)に対して傾斜した少なくとも1つの面(74、74´)を有する留め継ぎ部分(79)を備えることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項10】
請求項9に記載のブレーキブースタにおいて、前記スリーブの前記開口部の前記傾斜壁が前記長手方向軸線(X)に対して第一の角度(α)を形成し、前記留め継ぎ部分(79)の前記傾斜面は、前記長手方向軸線に対して第二の角度(β)を形成し、前記第一の角度(α)は該第二の角度(β)よりも大きいことを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項11】
請求項10に記載のブレーキブースタにおいて、互いに平行であり且つ、前記長手方向軸線(X)に対して対称である2つのロッド(72、72´)を備え、前記留め継ぎ部分(79)は、前記軸線(X)の回りにて対称である形状を有することを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項12】
請求項11に記載のブレーキブースタにおいて、前記2つのロッド(72、72´)は、単一部品として形成され且つ、ばね継手(73)により互いに接続されることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項13】
請求項3に記載のブレーキブースタにおいて、開口(87、87´)を介して前記スリーブ(54)を通って横方向に進むキー(80)を備え、該キーは、前記長手方向軸線(X)に対して傾斜した面(82)を有し、前記傾斜相は、前記開口(87、87´)の前端(82)に対して休止し、前記ピストンの動きにより引き起こされた、前記キー(80)の軸方向への動きによって、前記キーは横方向に動くことを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項14】
請求項13に記載のブレーキブースタにおいて、前記キーの一端(81)が休止する傾斜面(85)を有する軸受部分(83)を備えることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項15】
請求項14に記載のブレーキブースタにおいて、前記軸受部分(83)の前記傾斜面(85)は、前記キー(83)の前記傾斜面(82)に対して実質的に平行であることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項16】
請求項3に記載のブレーキブースタにおいて、前記スリーブ(54)は、前記長手方向軸線(X)に対して傾斜した開口(96)と、その第一の端部(97)が該開口内にて動くことができ、また、その第二の端部(93)が前記ピストン(12)のキャビティ内にて摺動することができるピン(99)とを備えることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【請求項17】
請求項16に記載のブレーキブースタにおいて、前記スリーブ(54)は、回転して、前記ピン(99)の前記第一の端部(97)が前記開口(96)内にて摺動するのを許容することができることを特徴とする、ブレーキブースタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−173276(P2009−173276A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−11611(P2009−11611)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11611(P2009−11611)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】
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