説明

自動車用ベルトモール

【課題】意匠フィルムに発電機能を持たせ、ベルトモール近傍の電気機器に電源を供給するとともに、電力の取り出しを容易化する。
【解決手段】長尺状の芯材2と、芯材2の外表面に貼着される帯状の太陽電池フィルム25と、芯材2の端部に装着されるエンドキャップ3を有するベルトモール。太陽電池フィルム25は、芯材2の背壁部23に貼着される部位の両面に帯状電極25a,25bを有する。芯材2の背壁部23の外表面側には、上記帯状電極25a,25bに対応する部位に、凹部(溝)23aが形成されている。エンドキャップ3の蓋体35の裏面には、芯材2の凹部23aに対応する部位に、電極端子35a,35bが突設されている。エンドキャップ3を芯材2の端部に装着することにより、エンドキャップ3の電極端子36a,36bが、太陽電池フィルム25の帯状電極25a,25bに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用ベルトモールに関し、詳しくは、芯材の外表面に貼着する意匠フィルムとして、太陽電池フィルムを用いたベルトモールに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平9−132083号公報(特許文献1)には、フロントドア10のサイドプロテクトモール20の端部に連続させてランプ内蔵モール30を設け、ドアが開かれると、ランプ内蔵モール30のランプを点滅させるようにした装置が開示されている。
同公報では、電源として、ランプ内蔵モール30に内蔵の太陽電池等を用いており、また、サイドプロテクトモール20に連続する位置に代えて、ベルトモール等の位置にランプ内蔵モール30を設けて良いことも記載されている。
上記に於いて、符号は、同公報の符号を表す。
【特許文献1】特開平9−132083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動車用ベルトモールでは、意匠性を付与するために、芯材の外表面に艶の有る(意匠性の有る)意匠フィルムを貼着することが行われている。
本発明は、意匠フィルムに付加機能として発電機能を持たせ、ベルトモールやその近傍に配設する電気機器の電源として利用できるようにすることを目的とする。
また、本発明は、発電機能を持たせた意匠フィルムからの電力の取り出しが容易なベルトモールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下記[1]〜[3]のように構成される。
[1]構成1:
外壁部と該外壁部に連なる上壁部と該上壁部に連なる背壁部から成り断面が略U字状を成す長尺状の芯材と、該芯材の外表面に貼着されて少なくとも前記外壁部の領域で露出される帯状の意匠フィルムと、前記芯材の端部に装着されるエンドキャップとを有し、前記意匠フィルムを太陽電池フィルムで構成したことを特徴とする自動車用ベルトモール。
太陽電池フィルムは、芯材の外表面の全面に貼着されてもよく、少なくとも外壁部外表面を含む一部に貼着されてもよい。また、外表面に貼着された太陽電池フィルムは、少なくとも外壁部の領域で露出されるが、上壁部や背壁部の一部でも露出されてよい。露出された部位が、発電に寄与する。
芯材の外表面に貼着された太陽電池フィルムの非露出部とは、従前の意匠フィルムと同様に、例えば、シールリップの縁で覆われる部位である。
【0005】
[2]構成2:
構成1に於いて、
前記太陽電池フィルムは、前記芯材の背壁部に貼着される部位の両面にそれぞれ長手方向に沿って配設された帯状電極を有し、
前記芯材の背壁部の外表面側には、前記帯状電極に対応する部位に、長手方向に沿う形状の凹部が形成されており、
前記エンドキャップの蓋体の裏面側には、前記芯材の凹部に対応する部位に、前記太陽電池フィルム両面の帯状電極を挟み得る一対の電極端子が突設されており、
前記エンドキャップを前記芯材に装着することにより前記太陽電池フィルムの両面の帯状電極と前記エンドキャップの一対の電極端子とを接続する、
ことを特徴とする自動車用ベルトモール。
エンドキャップの蓋体裏面の電極端子の一方は、芯材の凹部に挿入されて、該凹部を覆う位置の帯状電極と接触される。また、他方は、反対面側の帯状電極に接触される。
【0006】
[3]構成3:
構成1又は構成2に於いて、
前記エンドキャップの蓋体の表面側には、前記電極端子にスイッチを介して接続されるLEDランプが設けられており、
前記スイッチは、ベルトモールが取り付けられる自動車用ドアの開扉状態でオンされるスイッチである、
ことを特徴とする自動車用ベルトモール。
開扉状態の検出は、例えば、非接触方式の公知のセンサを用いることができる。
【発明の効果】
【0007】
構成1は、外壁部と該外壁部に連なる上壁部と該上壁部に連なる背壁部から成り断面が略U字状を成す長尺状の芯材と、該芯材の外表面に貼着されて少なくとも前記外壁部の領域で露出される帯状の意匠フィルムと、前記芯材の端部に装着されるエンドキャップとを有し、前記意匠フィルムを太陽電池フィルムで構成した自動車用ベルトモールであるため、意匠フィルムに発電機能を持たせることができ、これを、ベルトモールやその近傍に配設する電気機器の電源として利用することができる。
【0008】
構成2は、構成1に於いて、前記太陽電池フィルムは前記芯材の背壁部に貼着される部位の両面にそれぞれ長手方向に沿って配設された帯状電極を有し、前記芯材の背壁部の外表面側には前記帯状電極に対応する部位に長手方向に沿う形状の凹部が形成されており、前記エンドキャップの蓋体の裏面側には前記芯材の凹部に対応する部位に前記太陽電池フィルム両面の帯状電極を挟み得る一対の電極端子が突設されており、前記エンドキャップを前記芯材に装着することにより前記太陽電池フィルムの両面の帯状電極と前記エンドキャップの一対の電極端子とが接続される自動車用ベルトモールであるため、発電機能を持たせた意匠フィルムからの電力の取り出しをベルトモールに装着したエンドキャップから行うことができ、電源の供給が容易である。
【0009】
構成3は、構成1又は構成2に於いて、前記エンドキャップの蓋体の表面側には前記電極端子にスイッチを介して接続されるLEDランプが設けられており、前記スイッチはベルトモールが取り付けられる自動車用ドアの開扉状態でオンされるスイッチである自動車用ベルトモールであるため、発電機能を持たせた意匠フィルムからエンドキャップの蓋体の表面側(ドアの開扉端側)のLEDランプへ電源を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は実施の形態のベルトモール1の端部付近を示す斜視図であり、(a)はエンドキャップ3の装着前、(b)は装着後を示す。図2はエンドキャップ3の蓋体35の裏面の電極端子35a,35bと芯材2に貼着した太陽電池フィルム25の帯状電極25a,25bとの位置関係を示し、(a)は蓋体35の裏面側を見た斜視図、(b)は電極端子35a,35bと帯状電極25a,25bとの接続状態の概要を示す斜視図である。図3は自動車用ドア9に実施の形態の自動車用ベルトモール1を装着した状態を示し、(a)は正面模式図、(b)はエンドキャップ3付近の透視図、(c)は(b)内の矢視C−Cの断面図である。
【0011】
図3(a)に示すように、実施の形態の自動車用ベルトモール1は、ドアのアウタパネル91の上縁に沿って取り付けられて、ウインドガラス95をシールする。また、取り付けられた状態に於いて、太陽電池フィルム25は、外部に露出されている。
【0012】
この自動車用ベルトモール1は、図1等に示すように、芯材2と、芯材2の端部に装着されるエンドキャップ3と、芯材2の外表面に貼着される太陽電池フィルム25とを有する。太陽電池フィルム25は、アモルファス太陽電池を帯状に形成して成る公知のフィルムであり、適宜の接着剤を用いて芯材2の外表面に貼着される。
【0013】
芯材2の外表面には、また、太陽電池フィルム25の他に、ドアパネルへの引っ掛け部41や上シールリップ42或いはボデータッチリップ43等の公知の部材が、例えば、芯材2とともに適宜の高分子材料を押し出す押出成形法等の公知の成形方法によって一体化されている。これらは、自動車用ベルトモールでは周知の部材であるため、これ以上の説明は省略する。
本実施の形態では、芯材としてステンレス(SUS)を用いているが他の適宜の金属でもよく、また、金属に限定されず、例えば、PP等の公知の硬質樹脂を用いてもよい。また、上シールリップ42や引っ掛け部41或いはボデータッチリップ43としてはTPOを用いているが、TPOに限定されず、他の公知の軟質樹脂を用いてもよい。
【0014】
芯材2は、外壁部21と、外壁部21に連なる上壁部22と、上壁部22に連なる背壁部23から成り、断面が略U字状を成す長尺状の部材である。この芯材2の背壁部23には、その長手方向に沿うようにして、凹部(溝)23aが形成されている。図1(a)や図2(b)或いは図3(c)には、その端部(開口端部)が現れている。
芯材2は、凹部23aを含む断面形状が端部(エンドキャップ3の装着部)を除いて一定であるため、ロール成形した後、端部をエンドキャップ装着用に加工成形するプレス成形により切断して製造可能である。また、樹脂で製造する場合には、押出成形により製造可能である。
【0015】
太陽電池フィルム25には、芯材2の背壁部23に貼着される部分内で且つ上記凹部23aに対面する部位に、長手方向に延びる帯状電極25aが設けられている。また、該帯状電極25aの反対面側には、もう一つの帯状電極25bが、同様に長手方向に延びるようにして設けられている(図2(a),(b)参照)。
【0016】
エンドキャップ3の蓋体35の裏面側には、芯材2の凹部23aに対応する部位から電極端子35aが突設されており、さらに、該電極端子35aと微小間隙を確保するようにして、もう一つの電極端子35bが突設されている。
一方、エンドキャップの蓋体35の表面側には、蓋体内部で電極端子35a,35bと電気的に接続されたLEDランプ5が設けられている。
【0017】
かかる構成に於いて、エンドキャップ3を芯材2の端部に図1(a)矢印の如く装着すると、エンドキャップ3の蓋体35の裏面側の電極端子35aが、芯材2の背壁部23の凹部23aと太陽電池フィルム25との間に挿入されて、該凹部23aと対面している帯状電極25aと接触して、電気的に接続される。また、この時、もう一つの電極端子35bが、もう一つの帯状電極25bと接触して、電気的に接続される。即ち、一対の電極端子35a,35bによって太陽電池フィルム25が両面から挟まれた状態となり、その部位に設けられている帯状電極25a,25bと電気的に接続される。
【0018】
これにより、太陽電池フィルム25からエンドキャップ3を介して適宜の外部機器へ電力を取り出すことが可能となる。例えば、電極端子35a,35bに接続されるコード37(図3(b)参照)をエンドキャップ3から引き出して、ドアパネル91の内部等へ引き込み、該内部等に設けた各種の機器に接続する等の造作が可能となる。
【0019】
なお、帯状電極25a,25bの他の部位(電極端子35a,35bと接触する部位以外の部位)は、本ベルトモール1を自動車ドア9に取り付けた状態では、シールリップ等の適宜のシール部材により外部からシールされるものとする。
また、エンドキャップ3を上記の如く芯材2に装着したときに、その適宜の部位に係止等して脱落を防止する機構は周知であるため、説明は省略する。
【0020】
本実施の形態では、電極端子35a,35bがLEDランプ5に電気的に接続されており、LEDランプ5を点灯させることが可能である。例えば、ドア9の開扉状態を検出して閉成される適宜のスイッチを中間に介挿することにより、ドア9が開かれた状態でLEDランプ5を点灯させるように構成することが可能である。また、必要に応じて、適宜の点滅用回路素子を回路に介挿して、LEDランプ5を適宜の間隔で点滅させるように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態のベルトモール1の端部付近を示す斜視図であり、(a)はエンドキャップ3の装着前を示し、(b)は装着後を示す。
【図2】エンドキャップ3の蓋体35の裏面の電極端子36a,36bと芯材2に貼着した太陽電池フィルム25の帯状電極25a,25bとの位置関係を示し、(a)は蓋体35の裏面側を示す斜視図、(b)は電極端子36a,36bと帯状電極25a,25bとの接続状態の概要を示す斜視図である。
【図3】自動車用ドア9に実施の形態の自動車用ベルトモール1を装着した状態を示し、(a)は正面模式図、(b)はエンドキャップ3付近の透視図、(c)は(b)内の矢視C−Cの断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 自動車用ベルトモール
2 芯材
21 外壁部
22 上壁部
23 背壁部
23a 凹部
25 太陽電池フィルム
25a,25b 帯状電極
3 エンドキャップ
35 蓋体
35a,35b 電極端子
41 下シールリップ
42 引っ掛け部
43 ボデータッチリップ
5 LEDランプ
9 自動車用ドア
91 ドアアウタパネル
92 ドアサッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁部と該外壁部に連なる上壁部と該上壁部に連なる背壁部から成り断面が略U字状を成す長尺状の芯材と、該芯材の外表面に貼着されて少なくとも前記外壁部の領域で露出される帯状の意匠フィルムと、前記芯材の端部に装着されるエンドキャップとを有し、前記意匠フィルムを太陽電池フィルムで構成したことを特徴とする自動車用ベルトモール。
【請求項2】
請求項1に於いて、
前記太陽電池フィルムは、前記芯材の背壁部に貼着される部位の両面にそれぞれ長手方向に沿って配設された帯状電極を有し、
前記芯材の背壁部の外表面側には、前記帯状電極に対応する部位に、長手方向に沿う形状の凹部が形成されており、
前記エンドキャップの蓋体の裏面側には、前記芯材の凹部に対応する部位に、前記太陽電池フィルム両面の帯状電極を挟み得る一対の電極端子が突設されており、
前記エンドキャップを前記芯材に装着することにより前記太陽電池フィルムの両面の帯状電極と前記エンドキャップの一対の電極端子とを接続する、
ことを特徴とする自動車用ベルトモール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に於いて、
前記エンドキャップの蓋体の表面側には、前記電極端子にスイッチを介して接続されるLEDランプが設けられており、
前記スイッチは、ベルトモールが取り付けられる自動車用ドアの開扉状態でオンされるスイッチである、
ことを特徴とする自動車用ベルトモール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−73240(P2009−73240A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241825(P2007−241825)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】