説明

自動車用傘ケース

【課題】 大人用の長い丈の傘だけではなく子供用の短い丈の傘や折り畳み傘も合わせて容易かつ迅速に収納取り出し可能であるとともに、雨水を容易に捨てることのできる、優れた使い勝手を奏する自動車用傘ケースを提供することを目的とする。
【解決手段】 自動車室内への取付具を備えた上部と下部を開放した筒状の上部ケースと、上部を開放し両側及び底部を閉鎖した袋状の下部ケースとからなり、上部ケースは表面側の中央縦方向に開閉可能に止着具を備えた重ね部を設け、上部ケースの下端部は下部ケースの中に差し込まれるとともに、上部ケースと下部ケースは背面側で着脱可能に固定したことで、大人用の長い丈の傘だけではなく子供用の短い丈の傘や折り畳み傘も合わせて容易かつ迅速に収納取り出し可能であるとともに、雨水を容易に捨てることのできる、優れた使い勝手を奏する自動車用傘ケースを提供することを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の室内において濡れた傘を収納するケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の室内において雨で濡れた傘を収納するためのケースが多々発明考案されてきた。このようなケースは傘の濡れた生地部分を覆う長さを有する袋状のケースで、該ケースの上方には自動車の室内(例えばヘッドレストのステー)に係止するためのベルトなどの係止部材、下方には濡れた傘からの雨水を受けて溜める部分から構成される。例えば、実用新案登録第3075142号公報(特許文献1)に開示された「傘入れ」は、保持具とスリットを有する傘入れ鞘部と、その下端に連設され水抜き開口を有する水溜め部とを有する折り畳み可能の傘入れであり、建物内、自動車内等で傘を立てた状態に保持し、その傘から垂れ落ちる水を漏れないように溜めておき、溜まった水は容易に排出することができる。また、使用しないときはコンパクトに折り畳むことも可能なものである。
【0003】
また、実用新案登録第3044178号公報(特許文献2)に開示される「車載用傘収納具」は、柔軟性と撥水性とを有するシートにて有底の略鞘状に形成される外装カバーの少なくとも上半部をファスナーなどの係止部材により開閉可能に係止するようにして、自動車内の狭い場所で傘の出し入れが迅速且つ円滑に行えるようにしたもので、衣服や周囲を濡らしてしまうことを解消したものである。
【0004】
【特許文献1】 実用新案登録第3075142号公報
【特許文献2】 実用新案登録第3044178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例の特許文献1に開示された傘入れは、傘入れ鞘部に大きく開口可能なようにスリットを有しているが、当該公報の図2に示されるように、前面部と背面部の素材の端部を面ファスナーで開閉可能に構成しているので、不意に面ファスナーが外れて収納した濡れ傘が倒れたり、脇に隙間が生じそこから水が漏れるといった可能性がある。また、水溜め部に備えられた水抜き開口から溜まった水を排出することができるが、その際は折返し部を開いたり、傘入れを取り外す必要があり手間が生じていた。また、傘自体も通常の大人用の傘を2本収納するに留まり、子供用の短い傘や折り畳み傘の場合は、一端収納してしまうと傘入れの中に入り込んで取り出す際に苦労する。
【0006】
また、特許文献2に開示された車載用傘収納具は、鞘状に形成された外装カバーの傘の出し入れ部をファスナーにより開閉可能にしているので大きく開口できる利点はあるが、ファスナー自体防水性がないので水滴を透過して、傘収納具の装着状況によっては衣服や周囲を濡らしてしまう恐れがある。また、インナーケースに溜まった雨水を捨てる際は、本体からインナーケースを取り出して捨てる必要があり手間が生じていた。さらに、傘自体も通常の大人用の長い丈の傘を1本収納するに留まり、前記特許文献1と同様に子供用の短い丈の傘や折り畳み傘の場合は、一端収納してしまうと傘入れの中に入り込んで取り出す際に苦労する。
【0007】
そこで、本発明は上記した課題を考慮し、大人用の長い丈の傘だけではなく子供用の短い丈の傘や折り畳み傘も合わせて容易かつ迅速に収納取り出し可能であるとともに、雨水を容易に捨てることのできる、優れた使い勝手を奏する自動車用傘ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
自動車室内への取付具を備えた上部と下部を開放した筒状の上部ケースと、上部を開放し両側及び底部を閉鎖した袋状の下部ケースとからなり、上部ケースは表面側の中央縦方向に開閉可能に止着具を備えた重ね部を設け、上部ケースの下端部は下部ケースの中に差し込まれるとともに、上部ケースと下部ケースは背面側で着脱可能に固定したことで解決される。
【0009】
また、下部ケースは内部を目視可能に透明または半透明の水を透過しない軟質素材で形成したことで解決される。
【発明の効果】
【0010】
自動車室内への取付具を備えた上部と下部を開放した筒状の上部ケースと、上部を開放し両側及び底部を閉鎖した袋状の下部ケースとからなり、上部ケースは表面側の中央縦方向に開閉可能に止着具を備えた重ね部を設け、上部ケースの下端部は下部ケースの中に差し込まれるとともに、上部ケースと下部ケースは背面側で着脱可能に固定した。これにより、上部ケース表面側の中央縦方向の重ね部を開放することで、大きな開口部が出現し、大人用の長い丈の傘を容易かつ迅速に収納することが可能であり、既に傘が収納されている状態であっても、さらに追加して長い丈の傘の収納と取り出しを容易かつ迅速に行うことを可能とした。また、傘を収納後に開口部を閉じたとき、重ね部は生地が2重に重なっているので濡れた傘の生地が表に露出しづらく、かつ、雨水がケースの外に浸み出して衣服や周囲を濡らしてしまうといったことを解消した。さらに、上部ケースと下部ケースは、上部ケースの下端部は下部ケースの中に差し込まれ、特に裏面側だけを固定具を用いて着脱可能に固定し、表面側は敢えて固定具を備えないので、前記で収納した大人用の長い丈の傘とは別に下部ケースの開口部上端から傘を差し込むことが可能となり、子供用の短い丈の傘や折り畳み傘を追加して収納することを可能とした。さらにまた、下部ケースは内部を目視可能に透明または半透明の水を透過しない軟質素材で形成しているので、底に溜まった雨水を容易に確認することができ、捨てる際は下部ケースだけを取り外して容易に車外に排出可能とした。以上のように大人用の長い丈の傘だけではなく子供用の短い丈の傘や折り畳み傘も合わせて容易かつ迅速に収納取り出し可能であるとともに、雨水を容易に捨てることのできる、優れた使い勝手を奏する自動車用傘ケースを提供することを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の自動車用傘ケースについて、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の正面図で本発明の自動車用傘ケースの表面側を示す図、図2は背面図で本発明の自動車用傘ケースの背面側を示す図である。(1)は傘ケース本体の全体であり、上部ケース(2)と下部ケース(3)とから傘の収納部を構成する。図3は、上部ケース(2)から下部ケース(3)を取り外した状態を示す図である。(4)は取付具で、上部ケース(2)の上端に備えられ、ヘッドレストのステーなどの自動車室内適所に本体(1)を装着するためのもの、(5)は収納ベルトで、上部ケース(2)の背面側上方に左右の端部のみ止着して中央は自由にして備えられ、本体(1)を短く折り畳んだ際に自由な部分に挟み込んでコンパクトに収納するためのものである(図示せず)。上部ケース(2)は、収納した傘に付着した雨水が外側に浸み出さないようにコーティング処理されたナイロンやポリエステルなどの生地からなり、上部と下部を開放した筒状体である。表側の中央縦方向には傘を容易に収納取り出しするために開閉可能に面ファスナーからなる止着具(2b)を備えた重ね部(2a)を設けた。
【0012】
下部ケース(3)は、内部が目視可能なように透明または半透明の水を透過しない軟質素材からなり、上部を開放し両側及び底部を閉鎖し雨水が漏出しないように袋状に構成されている。そして、上部ケース(2)の下端部を図2のA部に示される如く一部が重なるように下部ケース(3)に差し込み、上部ケース(2)の背面側下方に備えた面ファスナーからなる固定具(2c)と下部ケース背面側かつ内面の上方に備えた前記同様面ファスナーからなる固定具(3c)とで着脱可能に固定される。このとき、特に背面側だけで着脱可能に固定するのであって、表面側(正面側)は敢えて固定具を備えないことで上部から傘を差し込むことが可能に形成される。
【0013】
図4は、このように構成された本発明の自動車用傘ケースの使用状態を示す図であり、取付具(4)で自動車座席のヘッドレストステーに装着し、本体(1)に傘を入れた状態を示している。上部ケース(2)の表側の中央縦方向に備えた重ね部(2a)を開放して出現した大きな開口部に大人用の長い丈の傘を収納しており、このように既に傘が収納されている状態であっても、さらに追加して別の傘の収納と取り出しを容易かつ迅速に行うことが可能である。そして、傘を収納後に開口部を閉じた場合は、重ね部(2a)は生地が2枚重なっていることから傘が表に露出しづらく、かつ、通常のスライドファスナーのように雨水がケースの外に浸み出して衣服や周囲を濡らしてしまうといったことを解消した。
【0014】
また、下部ケース(3)は、前記(段落番号0012参照)したように、上部ケース(2)と特に裏面側だけに固定具を用いて着脱可能に固定し、表面側(正面側)は敢えて固定具を備えないので、図4に示すように大人用の長い丈の傘とは別に下部ケースの開口部上端から傘を差し込むことが可能となり、子供用の短い丈の傘や折り畳み傘を追加して収納することを可能とした。この下部ケース(3)の縦方向の丈は、図1及び2から明らかなように上部ケース(2)と下部ケース(3)を固定した状態の長さの半分以下として、大人用の長い丈の傘と、子供用の短い丈の傘や折り畳み傘の両方を収納することを両立させた。そして、下部ケース(3)の素材は内部が目視可能な透明または半透明の水を透過しない軟質素材であるので、底に溜まった雨水を容易に確認することができ、捨てる際は下部ケース(3)だけを取り外して容易に車外に排出することを可能とした。
【0015】
本発明の自動車用傘ケースは、図4では自動車座席のヘッドレストステーに装着したが、これに拘ることなく自動車室内の適所や家庭の玄関用傘ケースとして使用することも可能である。また、取付具(4)はベルト状で図示したが特にこれに拘ることなくフック状やひも状にして装着対象部位に引掛けたり結びつけて装着すればよい。さらに、上部ケース(2)の重ね部(2a)に備えた止着具(2b)及び上部ケース(2)の背面側下方に備えた固定具(2c)と下部ケース(3)の裏面側かつ内面上方に備えた固定具(3c)は、本発明では面ファスナーとして説明したが容易に開閉、着脱可能であれば、マグネットホックやその他の止着手段であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の正面図である。
【図2】本発明の背面図である。
【図3】本発明の構成部品を取り外した状態を示す図である。
【図4】使用状態を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 本体
2a 重ね部
2b 止着具
2c 固定具
3 下部ケース
3c 固定具
4 取付具
5 収納ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車室内への取付具を備えた上部と下部を開放した筒状の上部ケースと、上部を開放し両側及び底部を閉鎖した袋状の下部ケースとからなり、上部ケースは表面側の中央縦方向に開閉可能に止着具を備えた重ね部を設け、上部ケースの下端部は下部ケースの中に差し込まれるとともに、上部ケースと下部ケースは背面側で着脱可能に固定したことを特徴とする自動車用傘ケース。
【請求項2】
下部ケースは内部を目視可能に透明または半透明の水を透過しない軟質素材で形成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用傘ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−183653(P2009−183653A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51199(P2008−51199)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000150970)株式会社ナポレックス (14)
【Fターム(参考)】