説明

自動車用操作要素

本発明は、操作面(2、2’、2’’)とこの操作面上を移動可能な操作要素(4、4’、4’’)と操作面上の操作要素(4、4’、4’’)の位置および/または移動を検出するための手段と検出値に相応した制御信号を発生するための評価ユニットとを有する入力装置(1、1’、1’’)に関する。この入力装置(1、1’、1’’)は、操作要素(4、4’、4’’)が磁力(5、5’、6’、5’’、6’’)によって操作面(2、2’、2’’)に当接して付着することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作面とこの操作面上を移動可能な操作要素と操作面上の操作要素の位置および/または移動を検出するための手段と検出値に相応した制御信号を発生するための評価ユニットとを有する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるタッチパッドを入力装置として使用することは知られている。タッチパッドでは接触感応操作面によって入力が行われ、指によって引き起こされた局所的静電容量変化または抵抗変化が検出され、こうして位置データおよび/または移動データが得られ、次にこれらのデータが評価ユニットで評価され、制御信号として例えば付属する表示装置で出力される。このようなタッチパッドは確かに自動車内で使用されているが、しかし操作が不適切と感じられるのは触覚フィードバックが欠落しているとの理由からだけではない。運転者は大抵の場合入力に集中する機会を持たず、こうして指での接触圧力が十分でなくまたは均一でないので、操作は障害を受け易い。入力に集中しなければならない必要性は大抵の運転者にとって障害と感じられ、安全上のリスクとなることがある。
【0003】
コンピュータ利用時、携行可能なコンピュータに内蔵されたタッチパッドの代わりにいわゆるマウスが入力装置として好んで優先される。車両内の入力装置としてのマウスの利用はこれまで強い振動および横加速のゆえに実現可能ではなかった。現在いまなお満たされない長く存在した要求がここにあることを認識したのは本発明の功績に加えることができ、そこに課題を見出したことも本発明の功績に加えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の課題は、例えば車両内で発生する比較的強い振動および横加速のもとでも使用することのできる容易に操作することのできる入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、操作要素が磁力によって操作面に当接して付着することによって解決される。有利な諸構成はそれぞれ従属請求項の対象である。
【0006】
本発明は、操作面とこの操作面上を移動可能な操作要素とを有する入力装置に関する。操作要素に関して本発明は限定されておらず、有利に人間工学的に形成された多種多様な物体が考慮の対象となる。それは例えば、回転ノブに類似した回転対称な物体である。好ましくは、位置検知の良好な分解能のために操作面上で極力小さな座面を達成するために物体は比較的小さく抑えられている。それに加えて、操作要素が操作面から取り外されるのを困難とするために掴み面は小さくされる。
【0007】
操作面上の操作要素の位置および/または移動を検出するための手段が設けられている。検出値に相応した制御信号を発生するのに評価ユニットが役立つ。1構成において、位置および/または移動を検出するための手段と評価ユニットは操作要素に一体化されており、これに関連して操作要素の構造は例えば機械式または光学式マウスの構造に一致している。制御信号は例えば操作要素の移動に相応して制御するのに使用され、すなわち表示装置上のカーソルの移動に相応して制御するのに使用される。しかし制御信号の別の応用、例えば音楽プレイヤーへの応用が考えられる。本発明に係る入力装置は、操作要素が磁力によって操作面に当接して付着することを特徴としている。これにより、作用する振動および横加速、すなわち操作面と平行な諸力にもかかわらず操作要素が操作面に付着したままとなることが達成される。これにより例えば入力装置は操作面を斜めにしてまたは操作面を動かして例えば自動車内で使用することができる。操作要素と操作面との間の付着摩擦と組合せて磁力を設定することによって各応用事例にとって最適な付着作用を選択することは当業者の役目である。一般に、前記作用の他にいまなお比較的円滑な操作を可能とするような力が選択される。最適な状態は若干の実験で突き止めることができる。
【0008】
好ましくは、操作要素の位置および/または移動が光学式(例えば赤外光バリヤによって)、静電容量式、抵抗式(FSR(商標)フィルム)または誘導式に検出される。このための技術はなかんずくタッチパッドの方から知られており、本発明に係る装置に容易に転用することができる。
【0009】
好ましくは、磁力によって生成される接触圧力は付着作用のためだけでなく、位置検知および/または移動検知にも使用される。例えば入力面は操作者に向き合う側にいわゆる接触感応膜またはフィルムを備えており、この膜またはフィルムは例えば接触圧力の作用を受けて局所的にその静電容量または抵抗を変え、こうして位置検知を可能とする。
【0010】
好ましい1構成において、磁力は操作要素側磁石、好ましくは永久磁石と強磁性操作面または操作面側相手磁石とによって生成される。これにより本発明は簡単かつ安価に実現することができる。
【0011】
有利な1構成において、操作要素と電磁結合された駆動子によって位置および/または移動が検出される。すなわち、駆動子は電磁結合に基づいて入力要素の移動に従う。それゆえに有利には、位置または移動を検出するための比較的敏感な手段は操作者とは反対の操作面側で操作面によって粉塵、破損および洗浄液から保護して配置することができる。例えば、操作者から離れた方の操作面の表面に接触感応膜があり、前記事例において駆動子がこの接触感応膜に作用する。
【0012】
他の有利な1構成では、操作要素が少なくとも1つの操作可能な開閉器を備えており、開閉器の開閉状態が無線または赤外線を介して評価ユニットに伝送される。これにより例えば選択操作が行われる。好ましくは、例えば入力パネルの領域において交流電磁界を生成することによって操作要素は誘導式にエネルギーが供給される。例えば受動的トランスポンダが使用される。別の1構成では受動的RFID技術が使用される。その際、その都度伝送されて付属する操作要素を明確に識別するトランスポンダ識別子を利用することができる。
【0013】
本発明に係る入力装置は、好ましくは自動車内で使用される。走行時に発生する振動および横加速にもかかわらず運転者は、運転者にとって容易に操作することができかつ運転者にあまり注意を要求しない「マウス」類似入力装置を頼りとすることができる。このような装置の取扱いは運転者にとって一般にごく馴染んだものであり、安全上の危険のために慣れる事も必要ない。
【0014】
本発明はさらに、前記有利な実施形態の1つにおける入力装置を備えた家庭用機器に関する。本発明に係る入力装置は有利には例えば、操作面の斜め組付けもしくは垂直組付けを必要とするところにも組付けることができる。操作者には、同時に純タッチパッドの冒頭に触れた諸欠点を回避して操作者にとって快適で馴染みの「マウス」類似入力手段が本発明に係る入力装置によって可能となる。
【0015】
本発明に係る入力装置の3つの異なる実施形態が添付図に示してあるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の略側面図である。
【図2】第2実施形態の略側面図である。
【図3】第3実施形態の略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る入力装置1の第1実施形態を示す。強磁性操作面2が枠3内で支承されている。操作面2上に操作要素4がある。操作要素の手動操作、すなわち操作面2上での摺動は、例えば枠3に一体化された複数の光バリヤによって検出され、図示しない評価ユニットによって移動に相応した制御信号に変換される。操作要素4に一体化された永久磁石によって強磁性操作面2と協働して磁気付着力が発生され、この付着力は横加速時または操作面2の傾斜時にも操作要素4が操作面2から落下しないようにする。
【0018】
図2は本発明に係る入力装置1’の第2実施形態を示す。非磁性操作面2’が枠3’内で支承されている。操作面2’上に操作要素4’がある。操作要素4’に一体化された永久磁石によって、やはり永久磁石でありかつ操作者から離れた方の操作面2’の側にある磁性駆動子6’と協働して磁気付着力が発生され、この付着力は横加速時または操作面2’の傾斜時にも操作要素4’が操作面2’から落下しないようにする。この構成では手動操作の検出、すなわち駆動子6’による操作面2’上での操作要素4’の摺動の検出が行われる。例えば操作要素の移動は光バリヤによって検出され、図示しない評価ユニットによって移動に相応した制御信号に変換される。操作要素4’もしくはその駆動子6’の位置もしくは移動を検出するための手段は操作面によって保護された入力装置1’の側にある。
【0019】
図3は本発明に係る入力装置1’’の第3実施形態を示す。非磁性操作面2’’が枠3’’内で支承されている。操作面2’’上に操作要素4’’がある。操作要素4’’に一体化された永久磁石によって、やはり永久磁石でありかつ操作者から離れた方の操作面2’’の側にある磁性駆動子6’’と協動して磁気付着力が発生され、この付着力は横加速時または操作面2’’の傾斜時にも操作要素4’’が操作面2’’から落下しないようにする。この構成では手動操作の検出、すなわち駆動子6’’と操作者から離れた方の操作面2’’の側に取付けられた接触感応式、例えば抵抗式または静電容量式フィルム2a’’とによる操作面2’’上での操作要素4’’の摺動の検出が行われる。操作要素4’’もしくはその駆動子6’’の位置もしくは移動を検出するためのフィルム2a’’は操作面によって保護された入力装置1’’の側にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面(2、2’、2’’)と前記操作面上を移動可能な操作要素(4、4’、4’’)と前記操作面上の操作要素(4、4’、4’’)の位置および/または移動を検出するための手段と検出値に相応した制御信号を発生するための評価ユニットとを有する入力装置において、前記操作要素(4、4’、4’’)が磁力(5、5’、6’、5’’、6’’)によって前記操作面(2、2’、2’’)に当接して付着することを特徴とする入力装置(1、1’、1’’)。
【請求項2】
前記操作要素(4、4’、4’’)の位置および/または移動が光学式、静電容量式、抵抗式または誘導式に検出されることを特徴とする請求項1記載の入力装置(1、1’、1’’)。
【請求項3】
前記磁力によって生成される接触圧力が前記操作要素(4、4’、4’’)の位置検知および/または移動検知に使用されることを特徴とする請求項1又は2記載の入力装置(1、1’、1’’)。
【請求項4】
前記磁力が操作要素側磁石(5、5’、5’’)、好ましくは永久磁石と強磁性操作面(2)または操作面側相手磁石(6’、6’’)とによって生成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の入力装置(1、1’、1’’)。
【請求項5】
前記操作要素(4、4’、4’’)と電磁結合された駆動子(6’、6’’)によって位置および/または移動が検出されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の入力装置(1、1’、1’’)。
【請求項6】
前記操作要素が少なくとも1つの操作可能な開閉器を備えており、前記開閉器の開閉状態が無線または赤外線を介して前記評価ユニットに伝送されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の入力装置(1、1’、1’’)。
【請求項7】
前記操作要素が誘導式にエネルギーを供給されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の入力装置(1、1’、1’’)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の入力装置(1、1’、1’’)を備えたことを特徴とする自動車。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項記載の入力装置(1、1’、1’’)を備えたことを特徴とする家庭用機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−521755(P2010−521755A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553962(P2009−553962)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002113
【国際公開番号】WO2008/113542
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(509028464)プレー ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】