説明

自動車用断熱・防音型インシュレーター

【課題】 この発明は遮熱・断熱性及び防音性に優れ、且つ、美観が良く、耐久性の良い自動車用断熱・防音型インシュレーターを開発・提供する事にある。
【解決手段】 アルミ箔の外縁部及び取付部を除いた板全面にディンプル成形によるエンボス加工し、且つ、該アルミ箔の板裏面部にグラスウールと不織布を重合接着し、一体形成して設けたものである。又、アルミ箔の外縁部及び取付部を除いた板全面にディンプル成形によるエンボス加工、又は、エンボス加工と通気穴加工をそれぞれ施工し、且つ、該アルミ箔の板裏面部にグラスウールと不織布を重合接着し、一体形成して設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用断熱・防音型インシュレーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の触媒コンバーターやマフラー等の断熱に好適に使用できるヒートインシュレーターは、アルミ箔単体、又は、アルミ箔側にホットメルトフィルム付でフェノール樹脂等、熱硬化性樹脂をバインダーとするグラスウールと一体熱プレス成形していた。しかし、アルミ箔単体では、グラスウールとの接着強度が出なく、剥がれる等の問題があった。又、アルミ箔側に、ホットメルトフィルム付では熱可塑のため、高温時に剥がれるという問題が有った。
【0003】
又、インシュレーターは、グラスウールの吸音性により車室内の防音性に優れるが通気性の無いアルミ箔を設定すると効果が低減してしまう等の問題が有った。
【0004】
これまでに出願されているインシュレーターに関する特許文献を参考の為、紹介する。(特許文献1〜3参照。)
【特許文献1】特開平9−032545
【特許文献2】特開2000−136720
【特許文献3】特開2002−038944
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上記課題を解決する為に、この発明は遮熱・断熱性及び防音性に優れ、且つ、美観が良く、耐久性の良い自動車用断熱・防音型インシュレーターを開発・提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決する為の手段として、アルミ箔の外縁部及び取付部を除いた板全面にディンプル成形によるエンボス加工し、且つ、該アルミ箔の板裏面部にグラスウールと不織布を重合接着し、一体形成して設けたものである。
【0007】
又、アルミ箔の外縁部及び取付部を除いた板全面にディンプル成形によるエンボス加工と通気穴加工をそれぞれ施工し、且つ、該アルミ箔の板裏面部にグラスウールと不織布を重合接着し、一体形成して設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の効果として、アルミ箔の外縁部及び取付部を除いた板全面にディンプル成形によるエンボス加工し、且つ、該アルミ箔の板裏面部にグラスウールと不織布を重合接着し、一体形成して設けた事で、遮熱・断熱性に優れ、且つ、ディンプル成形する事で接触面積が増大し、アルミ成形時の皺発生や破損が解消され外観見栄えが向上し、且つ、アルミ単体、及び、取付部の強度と生産性が向上し、更に、グラスウールと重合接着時の初期剥離及び高温時の自然剥離を阻止する。
【0009】
又、アルミ箔の外縁部及び取付部を除いた板全面にディンプル成形によるエンボス加工と通気穴加工をそれぞれ同時施工し、且つ、該アルミ箔の板裏面部にグラスウールと不織布を重合接着し、一体形成して設けた事で、遮熱・断熱性に加え、更に防音性にも優れる等、極めて有益なる効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の最良の形態として、剛性をアップして強度を保ち、断熱・遮熱効果を向上し、且つ、美観を良くする為に、板厚が20μm〜1000μmのアルミ箔の外縁部及び取付部を除いた板全面に、複数の通気穴を設けたエンボス加工を施して、ディンプル形状を形成する事が望ましい。
【実施例1】
【0011】
そこで、この発明の一実施例を図1〜図3に基づいて詳述すると、 自動車の触媒コンバーターやマフラー等の断熱に使用するインシュレーターであって、該インシュレーター(1)は、アルミ箔(A)の外縁部及び取付部を除いた板全面にディンプル成形によるエンボス加工し、且つ、該アルミ箔(A)の板裏面部にグラスウール(G)と不織布(C)を重合接着し、一体形成して設けた事を特徴とする自動車用断熱・防音型インシュレーターから構成される。
【0012】
次に、この発明の詳細について説明すると、アルミ箔は板厚が20μm〜1000μmで、図1に示す様に、正面視形状がほぼ楕円状の傾斜部を上下・左右交互に複数連設し、且つ、断面形状が図1(A)のa−a断面、及び、b−b断面に示す様に、富士山形状と波形状の凹凸部を有し、且つ、アルミ箔(A)の裏面部には図3(A)に示す様にグラスウール(G)と不織布(C)を重合接着し、一体形成して設けている。
【0013】
又、本発明の自動車用断熱・防音型インシュレーターは、図4に示す様にマフラー(M)上部のフロアーアンダー部に螺着して設け、マフラーから発する熱を遮熱・断熱するものである。
【実施例2】
【0014】
アルミ箔(A)の外縁部及び取付部を除いた板全面にディンプル成形によるエンボス加工と通気穴加工をそれぞれ施工し、且つ、該アルミ箔(A)の板裏面部にグラスウール(G)と不織布(C)を重合接着し、一体形成して設けた事を特徴とする自動車用断熱・防音型インシュレーターから構成される。
【0015】
そして、実施例2の場合、図3(B)に示す様に、アルミ箔表面に通気穴(1a)をそれぞれ設けて音を吸収し、更に防音効果を施している。
【産業上の利用可能性】
【0016】
この発明の自動車用断熱・防音型インシュレーターは、遮熱・断熱性及び防音性に優れ、且つ、美観が良く、耐久性が良い為、多くの自動車産業市場に寄与する点で産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施例を示し、(A)はアルミ箔単体の正面図で、(B)は図1(A)のa−a矢視断面図である。
【図2】この発明の一実施例を示し、図1(A)のb−b矢視断面図である。
【図3】この発明の一実施例を示し、(A)は自動車用断熱・防音型インシュレーターの局部拡大断面図で、(B)は通気穴加工を施した自動車用断熱・防音型インシュレーターの局部拡大断面図である。
【図4】この発明の使用例を示し、斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 インシュレーター
1a 通気穴
A アルミ箔
C 不織布
G グラスウール
M マフラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の触媒コンバーターやマフラー等の断熱に使用するインシュレーターであって、該インシュレーター(1)は、アルミ箔(A)の外縁部及び取付部を除いた板全面にディンプル成形によるエンボス加工し、且つ、該アルミ箔(A)の板裏面部にグラスウール(G)と不織布(C)を重合接着し、一体形成して設けた事を特徴とする自動車用断熱・防音型インシュレーター。
【請求項2】
アルミ箔(A)の外縁部及び取付部を除いた板全面にディンプル成形によるエンボス加工と通気穴加工をそれぞれ施工し、且つ、該アルミ箔(A)の板裏面部にグラスウール(G)と不織布(C)を重合接着し、一体形成して設けた事を特徴とする請求項1記載の自動車用断熱・防音型インシュレーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−255818(P2008−255818A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96429(P2007−96429)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000135988)株式会社ヒロタニ (16)
【Fターム(参考)】