説明

自動車用灯具

【課題】光量ムラを減少させて、外観品質を向上させることが出来る自動車用灯具を提供する。
【解決手段】テールランプ6には、点灯により、第1機能照明状態である自車の存在を認識させるバルブ発光体11が、バルブソケット12を介して設けられている。
バルブ発光体11の照明光L6は、透光部材20のシボ部18で乱反射されて第1照明光L7として、車両後方から視認されるように導光される。
ストップランプ7には、第1照明領域16a,16b間に位置する正面視略正方形の基板部材14が設けられ、各4個ずつ第2光源としてのLED発光体15…が、ロの字状配列の四角隅に装着されている。
そして、LED発光体15…を点灯すると、第2照明光L5…が、面状照明部17内を照光して、車両後方から視認可能となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な外観品質及び表示面積効率で行う自動車用灯具に関し、特に、自動車のテールランプとストップランプ等の複数の機能表示が、組み合わされたリヤコンビネーションランプに用いて好適な自動車用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テールランプの光源としてのバルブを、ストップランプの光源としてのLED発光体の基板の奥側に配置して、一つの灯具ハウジング内に収納する自動車用灯具としてのリヤコンビネーションランプが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この従来のリヤコンビネーションランプでは、前記ストップランプのLED発光体を点灯すると、背面側に設けられた小リフレクタで反射された照明光が、前記ハウジング開口部の表面を覆うカバーレンズ部を介して、車両後方から視認される。
【0004】
また、前記テールランプのバルブを点灯すると、このバルブの照明光は、前記カバーレンズ部のうち、中央部近傍を介して、車両後方から視認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−12508号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の自動車用灯具では、前記テールランプのバルブを点灯すると、前記カバーレンズ部の周縁近傍では、前記LED発光体を配設した基板及び、背面側に設けられた前記小リフレクタ等によって、このバルブからの照明光が遮られる。
【0007】
このため、車両後方から見えるテールランプの外観に光量ムラが発生してしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、光量ムラを減少させて、外観品質を向上させることが出来る自動車用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、第1機能照明状態で点灯する第1光源と、該第1機能照明状態と異なる第2機能照明状態で点灯する第2光源とを有するコンビネーションランプを設けた自動車用灯具であって、前記第2光源側に第2光源入光面を設けて、入光した前記第2光源の照明光を、該第2光源入光面の反対側側面に設けられた面状照明部に向けて透過すると共に、前記第1光源から照光される第1照明光を反射して、前記面状照明部方向に導光する透過散乱部を形成した透光部材を設けた自動車用灯具を特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記第1光源を点灯させると、前記透光部材の内部に入光した該第1光源からの照明光が、前記透過散乱部によって、反射されて、前記面状照明部方向に導光される。
【0011】
このため、前記第2光源が点灯されていない状態でも、該第2光源からの照明光によって透過照明が行われる前記面状照明部を、前記第1光源からの照明光によって照明出来、光量ムラを減少させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の自動車用灯具で、車両後方から見た要部の構成を説明する車両用リヤコンビネーションランプの正面図である。
【図2】実施の形態の自動車用灯具で、自動車を車両斜め後方から見た全体の構成を説明する斜視図である。
【図3】実施の形態の自動車用灯具で、図1中A−A線に示す位置での断面図である。
【図4】実施の形態の自動車用灯具で、第1機能照明状態の反射照明光を説明する図1中B−B線に示す位置での断面図である。
【図5】実施の形態の自動車用灯具で、第2機能照明状態を示し、図3に相当する位置で第2光源を点灯させた様子を説明する断面図である。
【図6】実施の形態の自動車用灯具で、図3に相当する位置で、第1光源と第2光源とを同時に点灯させた状態を説明する断面図である。
【図7】実施の形態の自動車用灯具で、車両後方から見た車両用リヤコンビネーションランプを示し、(a)は、消灯状態、(b)は、第1光源を点灯させた状態、(c)は、第2光源を点灯させた状態、(d)は、第1光源と第2光源とを同時に点灯させた状態を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態の自動車用灯具を図面に基づいて説明する。
【0014】
まず、図1乃至図7を用いて、全体の構成から説明すると、この実施の形態の自動車用灯具が適用される自動車1では、車両後部2の車幅方向左,右側縁隅部に、一対のコンビネーションランプとしての車両用リヤコンビネーションランプ装置3,3が装着されている。
【0015】
この車両用リヤコンビネーションランプ装置3,3は、前記車両後部2に設けられたトランクルーム4の左,右両後端上縁近傍に各々固着されて、ハウジング部を構成する樹脂製のハウジング部材5,5を有している。
【0016】
このハウジング部材5,5には、主に、夜間時等に、常時点灯することにより、自車の存在を認識させるテールランプ6,6と、ブレーキを踏んだことを自車後方を走行する車両に視認させるストップランプ7,7とが、組み込まれている。
【0017】
また、この実施の形態の車両用リヤコンビネーションランプ装置3,3には、各々リヤターンシグナルランプ8,8及び、リバースランプ9,9等とが、前記ハウジング部材5,5に一体となるように設けられている。
【0018】
そして、この車両用リヤコンビネーションランプ装置3,3のハウジング部材5,5には、これらの各テールランプ6,…等を、車両後方から透過視認可能とする透明樹脂製のカバーレンズ部材10,10が外嵌されて、車両後面側及び左,右側面の一部を覆うように構成されている。
【0019】
このうち、図2に示す車両後部2の左側に位置する車両用リヤコンビネーションランプ装置3の構成を、図1及び図3を用いて説明する。尚、車両後部2の右側に位置する車両用リヤコンビネーションランプ装置3の構成は、この左側の車両用リヤコンビネーションランプ装置3と、左,右対称で略同一であるので、説明を省略する。
【0020】
前記テールランプ6には、点灯により、第1機能照明状態である自車の存在を認識させる第1光源としてのバルブ発光体11が、バルブソケット12を介して設けられている。
【0021】
このテールランプ6のバルブ発光体11の周縁には、図1及び図3に示す様なリフレクタ部材13が、設けられている。
【0022】
このリフレクタ部材13には、前記ハウジング部材5の湾曲形成された内側面には、前記バルブ発光体11からの照明光L1,L2が、照光される左,右リフレクタ部13a,13bが、設けられている。
【0023】
そして、この左,右リフレクタ部13a,13bでは、各々第1照明光L1,L2が、図3に示すような幅方向寸法W1,W2で、車両後方へ向けて反射される反射照明光L3,L4となり、図7中(b)に示す第1照明領域16a,16bが、照光されると共に、これらの第1照明領域16a,16bの間に設けられた共通照明領域16cが照光されて、車両後方から視認可能となるように構成されている。
【0024】
また、前記ストップランプ7には、正面視略正方形の基板部材14が、前記第1照明領域16a,16b間で、前記バルブ発光体11とは、車幅方向に隣接配置されて並設されている。
【0025】
この基板部材14には、各4個ずつ第2光源としてのLED発光体15…が、ロの字状配列の四角隅に各々位置するように、装着されている。
【0026】
そして、これらのLED発光体15…が、点灯することにより、第2照明光L5が、図3に示すように幅方向寸法W3の範囲内に設けられた透光部材20を介して、車両後方へ向けて照光されて、図7中(c)に示す面状照明部17が発光して、車両後方から前記カバーレンズ部材10を介して、視認可能となるように構成されている。
【0027】
この透光部材20は、正面視略正方形の透明薄板形状を呈して、前記各LED発光体15…と対向する背面側(車両前方側)には、各LED発光体15…の第2照明光L5…が入射される第2光源入光面20aが設けられている。
【0028】
この第2光源入光面20aの反対側側面(車両後方側)には、図5に示すような幅方向寸法W3を有する車両後面視略正方形形状の面状照明部17には、透過散乱部としてのシボ部18が、共通照明領域16cの略全面に渡り形成されている。
【0029】
この実施の形態の共通照明領域16cは、図1に示すように車両後方視で、前記テールランプ6の左,右リフレクタ部13a,13b間に位置して、図7中(b)に示す第1照明領域16a,16bと、車幅方向に隣接するように配置されている。
そして、図5に示すように、この前記第2光源入光面20aから、この透光部材20内に入射された第2照明光L5,L5が、このシボ部18で、一部乱反射されると共に、車両後方に向けて透過し、この共通照明領域16c内が照光されて、車両後方から視認される。
また、図3中破線で示すように、バルブ発光体11からの照明光L6が、このシボ部18で乱反射されて、図7(c)に示すように、この共通照明領域16c内が、面状に発光して車両後方から視認される。
【0030】
従って、この実施の形態では、図1に示すように、前記面状照明部17によって照光される共通照明領域16cが、車幅方向左,右両側に設けられた前記左,右の第1照明領域16a,16bと連設されて、多機能照明部16が構成されている。
【0031】
また、この実施の形態では、前記テールランプ6のバルブ発光体11からの第1照明光L6が、前記透光部材20の一方の第1光源入光面としての一側端部20bから、内部に入光して、前記反対側側面内の略全域に形成された凹凸形状を有するシボ部18によって、乱反射されるように構成されている。
そして、このシボ部18によって乱反射された第1照明光L7は、車両後方に向けて導光されて、図3に示す幅方向寸法W3を有する共通照明領域16cの範囲内が、照光され、前記左,右リフレクタ部13a,13bからの反射照明光L3,L4が照光する第1照明領域16a,16bの範囲と共に、多機能照明部16全体が照光されるように構成されている。
【0032】
更に、この実施の形態では、第1機能照明と第2機能照明とを同時に行うと、このシボ部18によって乱反射された第1照明光L7は、前記第2照明光L5の光路に沿って、この第2照明光L5と共に、車両後方に向けて導光される。
そして、図3に示す幅方向寸法W3を有する共通照明領域16cの範囲内が、更に明るく照光され、前記左,右リフレクタ部13a,13bからの反射照明光L3,L4が照光する第1照明領域16a,16bと共に、車両後方から図7中(d)に示すように、多機能照明部16全体が照光されるように構成されている。
【0033】
また、この実施の形態の車両用リヤコンビネーションランプ装置3のハウジング部材5には、図4に示すように、前記第1光源入光面としての前記透光部材20の一側端部20b及び、この一側端部20bの車幅方向反対側に位置する他側端部20cに向けて、前記バルブ発光体11からの照明光L8,L9を反射する反射面部19a及び19bが、設けられている。
【0034】
これらの反射面部19a及び19bは、前記左,右リフレクタ部13a及び13bの周囲に一体となるように延設形成されている。
【0035】
このうち、前記反射面部19aは、図1に示すように、車両上,下方向に分散した前記バルブ発光体11からの照明光L8U〜L8Dを、一側端部20bに向けて、略平行光として入光する照明光L10〜L11となるように、正面視略弓形を呈して構成されている。
【0036】
また、前記反射面部19bは、他側端部20cに対向して設けられて、前記照明光L9U〜L9Dを他側端部20cに向けて、略平行光として入光する照明光L12〜L13となるように、正面視略弓形を呈して、前記反射面部19aと、バルブ発光体11を挟んで対向配置されている。
【0037】
次に、この実施の形態の車両用リヤコンビネーションランプ装置3の作用効果について説明する。
【0038】
この実施の形態では、図3に示すように、第1機能照明状態として、前記テールランプ6のバルブ発光体11を点灯させると、直接照明光L10が、前記カバーレンズ部材10を介して、車両後方から視認される。
また、このバルブ発光体11の照明光L1,L2が、前記ハウジング部材5に形成された前記左,右リフレクタ部13a,13bによって反射されて、反射照明光L3,L4となり、前記カバーレンズ部材10を介して、車両後方から視認される。
【0039】
この際、前記照明光L2は、前記LED発光体15…と、前記透光部材20との間の空間を、他の部材に妨げられることなく通過する。
このため、湾曲形成された前記リフレクタ部13bで、車両後方へ向けて反射される反射照明光L4の光量の減少は抑制されて、この反射照明光L4と、前記反射照明光L3又は直接照明光L10との間では、照光量に差異が生じにくい。
【0040】
また、図3中破線で示すように、前記透光部材20の内部に、前記一側端部20bから入光したこのバルブ発光体11からの照明光L6が、前記第2光源入光面20aの反対側側面に形成されたシボ部18によって乱反射して拡散される。
このため、略均一な光量を有する第1照明光L7,…L7として、この透光部材20の車両後方に向けて導光され、前記カバーレンズ部材10を介して、車両後方から視認される。
【0041】
更に、前記シボ部18は、前記面状照明部17の略全面に設けられているので、図7中(b)に示すように、車両後方から、前記カバーレンズ部材10を介して視認される共通照明領域16cの照明光量が、この面状照明部17の面積で、しかも、略同一の正方形形状内の各部で、略均一となり、図3に示す様な平行照明光LPとして照光される。
【0042】
このため、前記ストップランプ7が点灯されず、前記LED発光体15からの照明光L5…により、前記透光部材20の透過照明が行われていない状態でも、ストップランプ照明領域としての前記面状照明部17が、前記テールラン6のバルブ発光体11の点灯により、略均一の光量を有する面状の平行照明光LPによって照明される。
【0043】
従って、テールランプ6が点灯している第1機能照明状態では、車幅方向左,右に隣接配置されている第1照明領域16a,16bの照明と共に、この共通照明領域16cが、面発光して照明されることにより、車両後方から、前記カバーレンズ部材10を介して視認されるテールランプ6点灯状態における照光面積を、車幅方向で、図3中幅方向寸法W1〜W3まで拡げて増大させることが出来る。
【0044】
また、この車両用リヤコンビネーションランプ装置3では、この共通照明領域16c内の面状発光が、前記面状照明部17の全域で、略均一である。
このため、前記第1照明領域16a,16bと、この面状照明部17である共通照明領域16cとの境界部分での照光量差が減少し、前記ハウジング部材5の車幅方向略中央に前記ストップランプ7が配置されていることによる光量ムラを、減少させて、車両後方からの外観品質及び視認性を、更に良好なものとすることが出来る。
【0045】
更に、この実施の形態の車両用リヤコンビネーションランプ装置3では、図4に示すように、前記ハウジング部材5に設けられた前記左,右反射面部19a,19bによって、前記バルブ発光体11からの照明光L8,L9が集光されて、前記透光部材20の第1光源入光面としての一側端部20b,及び他側端部20cに向けて、各々反射される。
【0046】
これらの照明光L8,L9が、これらの一側端部20b,及び他側端部20c透光部材20の内部に入光すると、前記LED発光体15…によって照光される面状照明部17では、共通照明領域16c内に形成された前記シボ部18で乱反射されて、車両後方へ向けて導光される。
【0047】
このため、図3中点線で示すように直接、前記一側端部20bから入光されて前記第1照明光L6を乱反射した第1照明光L7による平行照明光LPに、この照明光L8,L9による照明光が加えられて、更に、明るく前記面状照明部17の共通照明領域16cが、車両後方から視認される。
【0048】
このように、前記第1照明光L6が、この透光部材20内の光路の道程で減衰したり、或いは、前記面状照明部17の広い範囲で形成されたシボ部18によって乱反射されて、分散された第1照明光L7による平行照明光LPの減少した光量が補われて、前記第1照明領域16a,16bに近い光量で、車両後方から視認出来る。
【0049】
よって、この実施の形態では、図3に示す幅方向寸法W2の範囲の平行照明光LPと、前記同じバルブ発光体11からの直接照明光L10若しくは、前記左,右リフレクタ部13a,13bで各々反射された反射照明光L3,L4とが、更に、近似した光量となるように調光出来、光量ムラを減少させることが出来る。
【0050】
従って、車幅方向に前記第1照明領域16a,16bと、共通照明領域16cとが連設されたり、或いは、図3に示すように、幅方向寸法W3を有する面状照明部17が、ハウジング部材5の車幅方向略中央に位置しても、図7中(b)に示すように、車両後方から、テールランプ照明状態で、視認される光量を第1照明領域16a,16bと、共通照明領域との間で合わせて、照明ムラを抑制出来る。
【0051】
また、幅方向寸法W3を有することにより、照明光量が減少しやすい面状照明部17の第1照明領域16a,16b近傍部分が、前記左,右反射面部19a,19bによって、集光されたバルブ発光体11の照明光L8,L9によって、明るく車両後方から視認され、近接配置される第1照明領域16a,16bの照明光量と合わせやすい。
このため、前記第1照明領域16a,16bと、面状照明部17が共通照明領域16cとして用いられた場合の境界部分の照明光度の差異を減少させることが出来る。
よって、更に、照明ムラが抑制される為、車両用リヤコンビネーションランプ装置3のレイアウトの自由度を向上させることが出来る。
【0052】
更に、図7中(b)に示すように、面発光する前記共通照明領域16cと、隣接する前記第1照明領域16a,16bとが、一体的に照光される。
このため、第1機能照明状態での照明面積を、車幅方向に長手方向を有する異形の形状まで、拡大することが出来、ストップランプ7の正方形形状に見える面状照明部17との機能表示の違いを、形状でも明確にして、車両後方からの視認性を更に向上させることが出来る。
また、この実施の形態では、図7中(b)に示すように、共通照明領域16cのうち、面状照明部17の車両上,下に位置する部分も、照明することが出来る。
このため、更に、テールランプ6照明状態では、車幅方向で連続して照明面積を拡大することが出来、テールランプ6点灯状態の意匠の設定の自由度を増大させることが出来る。
【0053】
そして、このテールランプ6の共通照明領域16cは、図7中(c)に示されるように、第2機能照明状態であるストップランプ7のLED発光体15…によって照光される面状照明部17と、車両後方視で兼用されている。
【0054】
このため、照明面積の組み合わせ効率も良好で、多種類の機能照明を省スペース化されたハウジング部材5内に収納出来る。
【0055】
そして、図4に示す前記反射面部19a,19bが、前記ハウジング部材5に形成されたリフレクタ部13a,13bの周縁に一体に連設形成されているので、部品点数が増大することなく、良好な取付精度で、正確な反射角度を得られて、照明効率を向上させることが出来る。
【0056】
しかも、この実施の形態では、光量が減少してしまう虞がある前記バルブ発光体11が配設されている側とは反対側に、内側に反射面を有する正面視略弓形の前記反射面部19bが、設けられている。
【0057】
このため、図4中二点鎖線で示す様に、前記透光部材20の背面側と、前記LED発光体15…との間の空間を通過した前記バルブ発光体11からの第1照明光L9が、この反射面部19bで反射される。
この反射面部19bでは、図1中一点鎖線で示すように、第1照明光L9U〜L9Dが、略平行な反射照明光L12〜L13として、集光されて反射される。
この反射照明光L12〜L13は、前記透光部材20の他端縁部20c面内,外方向に垂直に近い角度で入射される。
【0058】
従って、良好な入射効率で、透光部材20の内部に入光させることが出来、前記バルブ発光体11の反対側に位置する前記透光部材20の一側面部20b側近傍の光量の減少を抑制出来、更に、照明ムラを減少させることが出来る。
【0059】
また、図5に示すように、前記車両用リヤコンビネーションランプ装置3の第2機能照明状態であるストップランプ照光状態では、前記LED発光体15…の点灯により、前記透光部材20の第2光源入光面20aから、直線的に、この透光部材20の内部に入射した第2照明光L5,L5が、そのまま、若しくは前記シボ部18で一部乱反射されて、車両後方へ向けて照光される。
【0060】
このため、図7(c)に示すように、前記面状照明部17内の前記LED発光体15…を中心に、複数の円形形状を呈するように照明されて、車両後方から前記カバーレンズ部材10を介してストップランプ照明状態であることが視認される。
【0061】
更に、図1に示すように、前記車両用リヤコンビネーションランプ装置3の第1機能照明である前記テールランプ6のバルブ発光体11と、第2機能照明であるストップランプ7のLED発光体15…とが同時に、点灯されることにより、図7中(d)に示すように、前記テールランプ6によって、共通照明領域16cが、面状に発光しているように照明されると共に、これらのストップランプ7のLED発光体15…によるストップランプ照明が、同時に後方から視認される。
【0062】
この実施の形態では、前記テールランプ6の共通照明領域16c内に、前記ストップランプ7のLED発光体15…が位置して、面状照明部17とは、図1に示すように車両上下方向で重複している範囲に設定されると共に、図3に示されるように、車幅方向でも重複している範囲に設定されている。
【0063】
このため、更に、前記ストップランプ7のLED発光体15…による照明状態で、照光される前記面状照明部17内の照明光の光量を、前記面状照明部17の発光により、面状に増大させることが出来、指向性の強いLED発光体15…を用いても、この車両用リヤコンビネーションランプ装置3のストップランプ7を車両後方の広い角度から視認しやすい。
よって、ストップランプ7点灯時も、前記面状照明部17全域による面状発光に近似させることが可能で、前記シボ部18による乱反射比率を少なくして、LED発光体15…から、直線状に透過して車両後方から視認される前記第2照明光L5…の減衰量が増大しないように、このシボ部18の形状を設定することにより、照明効率を向上させることが出来る。
【実施例1】
【0064】
図6は、この実施の形態の変形例である実施例1の自動車用灯具としての車両用リヤコンビネーションランプ装置23を示すものである。
【0065】
なお、前記実施の形態の車両用リヤコンビネーションランプ装置3と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0066】
まず、構成上の相違点から説明すると、この実施例1の車両用リヤコンビネーションランプ装置23では、実施の形態の車両用リヤコンビネーションランプ装置3の透光部材20に代えて、LED発光体15…と対向する裏面側の第2光源入光面30aに、透過散乱部が形成された透光部材30が設けられている。
【0067】
この第2光源入光面30aには、前記ストップランプ7のLED発光体15…が装着される基板部材14の一側面に平行となるように、透過散乱部としての複数の山型第1光源反射面21…と、第2光源からの照明光を入光させる入光平面部22…とが、車幅方向で交互に設けられている。
【0068】
このうち、前記入光平面部22…は、平板形状を呈して、前記各LED発光体15…と各々対向して設けられていて、これらのLED発光体15…からの第2照明光L5…を、直線状に入光して透過可能とする平坦状に形成されている。
【0069】
これらの各入光平面部22…は、この透光部材前記面状照明部27の平面形状部分と略平行に形成されて、前記第2照明光L5を、図6中、車幅方向領域W4,W5…内を通過させて、導光することにより、車両後方へ向けて照光するように構成されている。
【0070】
また、これらの入光平面部22,22間には、この透光部材30内に入光した前記バルブ発光体11の第1照明光L11を、前記面状照明部27方向に向けて反射させる傾斜面部21a,21a…が、各々形成されている。
【0071】
更に、この実施例1の山型第1光源反射面21…の傾斜面部21aは、前記面状照明部27の平面形状部分に対して傾斜する所定角度を有している。
【0072】
そして、前記直接入光する第1照明光L11及び、実施の形態の図4に示す様な照明光L8,L9等で反射された反射照明光L12等が、この透光部材30内に入光すると、これらの各傾斜面部21a,21a…によって、車両後方へ向けて反射される。
従って、図6中、車幅方向領域W6,W7…内を通過するさせて、車両後方方向へ向けて導光するよ前記第1照明光L5…と略平行になるように、車両後方へ向けて反射される。
【0073】
次に、この実施例1の車両用リヤコンビネーションランプ装置23の作用効果について説明する。
【0074】
この実施例1の車両用リヤコンビネーションランプ装置23では、前記実施の形態の作用効果に加えて、更に、第1機能照明状態で、前記バルブ発光体11が点灯すると、前記各山型第1光源反射面21,21…に形成された前記各傾斜面部21a,21a…が、直接入光する第1照明光L11及び、前記反射面部19a,19b等で反射されて入光する第1照明光L12等が、前記第1照明光L5…と略平行となるように反射される。
【0075】
これらの反射照明光L14,L15…は、図6中、面状照明部27の一部を構成する車幅方向領域W6,W7…内を通過して、車両後方方向へ向けて、略平行に導光される。
【0076】
また、第2機能照明状態で、前記LED発光体15…が点灯すると、前記面状照明部27の平面形状部分と略平行に形成された前記入光平面部22…から、入射した前記各第2照明光L5,L5…が、図6中、面状照明部27の一部を構成する車幅方向領域W4,W5…内を、そのまま直線状に通過して、車両後方から視認される。
【0077】
この際、車幅方向領域W6,W7…内を通過する前記反射照明光L14,L15…は、隣接する車幅方向領域W4,W5内を通過する前記第2照明光L5,L5…と略平行となるように一部乱反射されて、車両後方からは、この面状照明部27が、面発光しているように視認される。
【0078】
このように、この実施例1の車両用リヤコンビネーションランプ装置23では、前記透光部材30の背面側一側面に、前記LED発光体15…と対向する入光平面部22…と、前記山型第1光源反射面21…とが各々交互に設けられている。
【0079】
このため、多数のLED発光体15…を前記基板部材14の上に、離間させて配置しても、LED発光体15…の第2照明光L5…と、略平行に反射される前記バルブ発光体11の反射照明光L13及びL14とが、前記面状照明部27の各車幅方向領域W4,W5…から、略均一の光量を有する面状発光によって照光される。
【0080】
従って、例えば、前記バルブ発光体11や、LED発光体15…等の点光源を用いても、前記面状照明部27が、略均一な光量で照明されて、車両後方からの視認性が良好であると共に、外観品質を向上させることが出来る。
【0081】
また、入光平面部22,22…が、前記各山型第1光源反射面21…を挟んで、車幅方向で交互に設けられている。
【0082】
更に、第1機能照明状態と、第2機能照明状態とでは、前記面状照明部27内で、主に、発光が視認される位置が異なる。
【0083】
このため、第1機能照明状態と、第2機能照明状態とでは、何れの照明光L5若しくは、L13,L14であるか明確に区別出来、限られた表示面積内で、機能表示の違いを明確に区別できる。
【0084】
しかも、第1機能照明状態と、第2機能照明状態とが同時に発光状態となるテールランプ6の点灯状態と同時にストップランプ7が点灯される状態では、前記LED発光体15…の照明光が、直線的に前記透光部材30の内部に入射する際、及び前記山型第1光源反射面で、一部乱反射されて、内部からの照明光として前記面状照明部W4,W5内の領域が照明される。
【0085】
このため、前記バルブ発光体11の減衰等による照明光量の減少を抑制出来、照明ムラを減少させることが出来る。
【0086】
また、指向性の高いLED発光体15…を、前記第2光源として用いても、隣接配置される前記各山型第1光源反射面21…によって、このLED発光体15…の照明光L5が一部、乱反射されて、交互に形成される前記車幅方向領域W6,W7…内へ導光される。
【0087】
このため、規則的に、前記基板部材14に配置された前記LED発光体15…の点発光による照明ムラを減少させることが出来る。
しかも、前記面状照明部27を、平坦な平面状とすることが出来るので、この点においても透光量が増大して、照明効率を向上させることが出来ると共に、外観意匠の設定の自由度を向上させることができる。
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態の車両用リヤコンビネーションランプ装置3と略同様であるので、説明を省略する。
【0088】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態及び実施例1を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例1の車両用リヤコンビネーションランプ装置3,23に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0089】
即ち、前記実施の形態及び実施例1では、自動車用灯具として、第1光源としてバルブ発光体11を、また、第2光源としてLED発光体15…を用いた車両用リヤコンビネーションランプ装置3,23を示して説明してきたが、特にこれに限らず、第1光源としてLED発光体15…を、若しくは、第2光源としてバルブ発光体11…を用いても良く、更に、第1,第2光源の双方に、バルブ発光体11,11若しくは、LED発光体15…を用いても良く、前記第1,第2光源の形状、数量及び種類が特に限定されるものではない。
また、前記実施例1の透光部材30では、前記ストップランプ7のLED発光体15…に対向する一側面側の第2光源入光面30aに、透過散乱部としての山型第1光源反射面21…と、入光平面部22…とが、車幅方向で交互に設けられているが、特にこれに限らず、第2光源入光面30a及び、車両後方側の他側面の両方に、透過散乱部を設けても良く、透過散乱部の形状、数量及び材質が特に限定されるものではない。
そして、この実施例1の透光部材30では、前記入光平面部22…が、平板形状を呈しているが、特にこれ限らず、例えば、この入光平面部22の一部を湾曲させた形状にしたり、或いは、段差を形成しても良く、第2光源の照光方向と直交する入射の妨げとならない角度を持たせる等、第2光源の照光方向と直交する方向に、一部若しくは全部の平面を有するものであれば、平面の形状、数量及び材質が限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
前記実施の形態では、自動車用灯具が適用される車両のコンビネーションランプの一例として、車両用リヤコンビネーションランプ装置3,23を示して説明してきたが、特にこれに限らず、ターンランプの光源と、前,後若しくは左,右側方を照光する照光装置の光源とを組み合わせたコンビネーションランプや、テールランプとハイマウントストップランプとを組み合わせたコンビネーションランプ等、どのような第1光源と、第2光源とが組み合わせられているコンビネーションランプであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 自動車
2 車両後部
3,23 車両用リヤコンビネーションランプ装置
5 ハウジング部材(ハウジング部)
6 テールランプ(第1機能照明)
7 ストップランプ(第2機能照明)
11 バルブ発光体(第1光源)
15 LED発光体(第2光源)
16a,16b 第1照明領域
16c 共通照明領域
17,27 面状照明部
18 シボ部(透過散乱部)
19a,19b 反射面部
20,30 透光部材
20a,30a 第2光源入光面
20b, 一側端部(第1光源入光面)
20c 他側端部(第1光源入光面)
21 山型第1光源反射面
21a 傾斜面部(透過散乱部)
22 入光平面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機能照明状態で点灯する第1光源と、該第1機能照明状態と異なる第2機能照明状態で点灯する第2光源とを有するコンビネーションランプを設けた自動車用灯具であって、
前記第2光源側に第2光源入光面を設けて、入光した前記第2光源の照明光を、該第2光源入光面の反対側側面に設けられた面状照明部に向けて透過すると共に、前記第1光源から照光される第1照明光を反射して、前記面状照明部方向に導光する透過散乱部を有する透光部材を設けたことを特徴とする自動車用灯具。
【請求項2】
前記コンビネーションランプは、リヤコンビネーションランプであると共に、前記第1光源が、テールランプの発光部であり、前記第2光源が、ストップランプの発光部であることを特徴とする請求項1記載の自動車用灯具。
【請求項3】
前記コンビネーションランプのハウジング部には、前記透光部材のうち、前記第1光源からの照明光が入光する第1光源入光面に向けて、前記第1光源からの照明光を反射する反射面部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の自動車用灯具。
【請求項4】
前記コンビネーションランプのハウジング部には、前記第1光源からの照明光を、前記面状照明部の周縁に設けられた第1照明領域に向けて、反射するリフレクタ部を設け、前記反射面部は、該リフレクタ部の周囲に形成されていることを特徴とする請求項3記載の自動車用灯具。
【請求項5】
前記反射面部は、前記第1光源が設けられている前記透光部材の一側端部とは、反対側に位置する他側端部に設けられている前記第1光源入光面に対向して、配置されていることを特徴とする請求項3記載の自動車用灯具。
【請求項6】
前記透過散乱部では、前記透光部材の少なくとも何れかの一側面に、前記第2光源に対向して、該第2光源の照光方向と直交する方向に平面を有する入光平面部と、該入光平面部に隣接配置されて、該透光部材内を通過する第1光源の照明光を、前記面状照明部方向に反射する傾傾斜面部を設けた山型第1光源反射面部とが交互に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のうち、何れか一項記載の自動車用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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