自動車用窓のガラス割れ検出装置
【課題】ガラス板に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる自動車用窓のガラス割れ検出装置を提供する。
【解決手段】円筒部43d,44dを有する導電性端子43,44が、ハーネスの電線61,62と接続されている。円筒形コイルばね電極45,46は、導電性端子43,44と導体パターンの電極33,34との間に圧縮された状態で配置され、一端側が導電性端子43,44の円筒部43d,44dの外側に位置し導電性端子43,44の円筒部43d,44dの外周面に螺旋状に接触するとともに、他端側における導電性端子43,44の円筒部43d,44dから突出する部位が導体パターン32の電極33,34に渦巻き状に接触している。
【解決手段】円筒部43d,44dを有する導電性端子43,44が、ハーネスの電線61,62と接続されている。円筒形コイルばね電極45,46は、導電性端子43,44と導体パターンの電極33,34との間に圧縮された状態で配置され、一端側が導電性端子43,44の円筒部43d,44dの外側に位置し導電性端子43,44の円筒部43d,44dの外周面に螺旋状に接触するとともに、他端側における導電性端子43,44の円筒部43d,44dから突出する部位が導体パターン32の電極33,34に渦巻き状に接触している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用窓のガラス割れ検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車中に自動車の窓ガラスが割られて、車両が盗難されたり、車上あらしの被害を受けたりすることを防止するため、窓ガラスが割られたことを検出して、警報手段を作動させることが提案されている。
【0003】
この種の装置として、特許文献1においては、分圧用の抵抗体の少なくとも一つの抵抗体がガラスの表面もしくは内部に設置され、分圧値が変化した場合にガラス割れと判定するガラス割れ検出装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−141649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラスの表面の電極取り出し部から電極を取り出して外部の機器に接続するための具体的構成については明記されていない。
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、ガラス板に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる自動車用窓のガラス割れ検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、自動車用窓のガラス板に延設され、電極を有する導体パターンと、前記導体パターンの電極と電気的に接続され、前記導体パターンの通電状態からガラス割れを検出するための電線と、を備えた自動車用窓のガラス割れ検出装置において、前記電線と接続され、円筒部を有する導電性端子と、前記導電性端子と前記導体パターンの電極との間に圧縮された状態で配置され、一端側が前記導電性端子の円筒部の外周面に螺旋状に接触するとともに他端側における前記導電性端子の円筒部から突出する部位が前記導体パターンの電極に渦巻き状に接触する円筒形コイルばね電極と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、電線に導電性端子が接続され、導電性端子と導体パターンの電極との間に円筒形コイルばね電極が圧縮された状態で配置されて、導電性端子は円筒形コイルばね電極を介して導体パターンの電極と電気的に接続される。ここで、円筒形コイルばね電極においては、一端側が導電性端子の円筒部の外周面に螺旋状に接触し、他端側が導体パターンの電極に渦巻き状に接触している。よって、円筒形コイルばね電極と導電性端子の円筒部との接触面積、および、円筒形コイルばね電極と導体パターンの電極との接触面積を大きくすることができる。これにより、ガラス板に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置において前記ガラス板は開閉不能に構成されていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明によれば、ガラス板は開閉不能となるように固定されているため、電極を有する導体パターンは移動することはない。従って、ガラス割れ検出装置の安定した動作を確保できる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置において、前記導電性端子および前記円筒形コイルばね電極はケース内において支持され、前記ケースは前記ガラス板に接着されているとともに前記ガラス板と車体との間において前記円筒形コイルばね電極によるばね力により挟持されていることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、円筒形コイルばね電極の付勢力(ばね力)によりケースの接着力が弱くてもケースを固定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガラス板に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。
図1(a)に示すように、車両11の後部には、左右両側(左側のみ図示)に、三角窓12が設けられている。この三角窓12は開閉不能な窓である。また、三角窓12において、一部が破損した場合に全体にひび割れが生じるガラス板13を窓ガラスに使用している。ガラス板13として、強化ガラスを用いている。
【0012】
図1(b)は図1(a)のA−A線に対応する左側の三角窓12付近の部分断面図である。図1(b)に示すように、三角窓12のガラス板13は周縁部において接着剤(ガラス接着剤)14を介して車体(ボデー)15に固着されている。なお、ガラス板13の厚さは3.1mm〜5.0mm程度である。
【0013】
図1(b)に示すように、車体15にはガラス板13の周縁部と対応する箇所で、ガラス板13の周縁部に対して接着剤14よりも内側の位置に、ガラス割れ検出装置20が設けられている。ガラス割れ検出装置20を構成する断線フィルム30及び本体40等は、車両11の内装16によって覆われている。
【0014】
以下、ガラス割れ検出装置20について、詳しく説明する。
図2には断線フィルム30の平面および断面を示す。図3はガラス割れ検出装置の本体40の分解斜視図である。図4はガラス割れ検出装置の本体40の平面図である。図5は図4のA−A線での断面図である。図6は図4のB−B線での断面図である。なお、図4は図5,6における上ケース42を取り外した状態での平面図である。
【0015】
図7はガラス割れ検出装置20の本体40を車両に装着する前の状態における図4のA−A線での断面図である。同じく図8はガラス割れ検出装置20の本体40を車両に装着する前の状態における図4のB−B線での断面図である。
【0016】
図1(b)に示すように、ガラス割れ検出装置20は、断線フィルム30と、本体40と、判定器50とを備えている。
図2に示すように、断線フィルム30は、薄い樹脂製フィルム31の内部に、細線よりなる導体パターン32が印刷にて形成されることにより構成されている。導体パターン32は微細パターンなので断線しやすい。細線よりなる1本の導体パターン32はその両端に幅広なる電極33,34を有している。電極33,34においては樹脂製フィルム31の開口部35,36が形成され、開口部35,36を通して電極33,34が露出している。この露出部が電極取り出し部となっている。
【0017】
図2に示す断線フィルム30が、図1(b)に示すようにガラス板13に貼り付けられて、これにより、自動車用窓のガラス板13に電極33,34を有する導体パターン32が延設されている。そして、ガラス板13が割られると、微小なクラックにより、断線フィルム30の細線よりなる導体パターン32が断線する。
【0018】
このように、断線フィルム30がガラス板13に貼り付けられているので、ガラス板13に導体パターンを直接印刷する必要がなくなるためコストダウンを図ることができる。また、導体パターンの無いガラス板に対し後付けで取付けることができる。また、細線よりなる導体パターン32を形成することにより、ガラス割れによりガラス板13が完全に粉砕しなくても検知可能となる。
【0019】
図3に示すように、本体40は、下ケース41と、上ケース42と、一対の導電性端子43,44と、導電性端子43,44に設けられる円筒形コイルばね電極45,46を備えている。下ケース41は上面が開口した箱型をなしている。上ケース42は下面が開口した箱型をなしている。
【0020】
図5,6に示すように、下ケース41の上面開口部を塞ぐように上ケース42が配置され、かつ、下ケース41の側面を外方から上ケース42が覆っている。これによって、下ケース41と上ケース42とにより箱型のケースC1が構成されている。両面テープ65によりケースC1(下ケース41)が断線フィルム30(ガラス板13)に接着されている。
【0021】
ケースC1内に導電性端子43,44と円筒形コイルばね電極45,46が配置されている。導電性端子43,44は図5において左右に並んで配置されている。導電性端子43および導電性端子44は導電性板材よりなる。導電性端子43,44は四角プレート部43a,44aを有している。
【0022】
図3に示すように、導電性端子43において、四角プレート部43aの両側端には取付用段差部43bが形成され、取付用段差部43bが下ケース41の凹部41d,41eに嵌め込まれている。取付用段差部43bは下ケース41の凹部41d,41e内を図5,6における上下方向に移動可能に位置決めされている。同様に、導電性端子44において、四角プレート部44aの両側端には取付用段差部44bが形成され、取付用段差部44bが下ケース41の凹部41f,41gに嵌め込まれている。取付用段差部44bは下ケース41の凹部41f,41g内を図5,6における上下方向に移動可能に位置決めされている。これにより導電性端子43および導電性端子44が上下方向に移動可能に位置決めされている。
【0023】
四角プレート部43aにはハーネスかしめ部43cが設けられ、ハーネスかしめ部43cにハーネス60における第1の電線61の端部がかしめ固定されている。同様に、四角プレート部44aにはハーネスかしめ部44cが設けられ、ハーネスかしめ部44cにハーネス60における第2の電線62の端部がかしめ固定されている。電線61の先端部が半田Hにより四角プレート部43aに接合されている。また、電線62の先端部が半田Hにより四角プレート部44aに接合されている。
【0024】
図3,7に示すように、導電性端子43の四角プレート部43aの中央には、下方に突出する有底の円筒部43dが一体形成されている。同様に、導電性端子44の四角プレート部44aの中央には、下方に突出する有底の円筒部44dが一体形成されている。
【0025】
図7,8に示すように、導電性端子43の円筒部43dの外周には円筒形コイルばね電極45が配置されている。同様に、導電性端子44の円筒部44dの外周には円筒形コイルばね電極46が配置されている。
【0026】
円筒形コイルばね電極45,46は導線を螺旋状に巻回したものであり、円筒形コイルばね電極45,46は円筒部43d,44dの外周面と接触し、かつ、円筒部43d,44dよりも下部は先端ほど径が小さくなるように巻回されている。そして、図1(b)に示すように、ガラス板13と車体15との間に断線フィルム30を介してガラス割れ検出装置の本体40を配置した状態においては、円筒形コイルばね電極45,46は導電性端子43,44と導体パターン32の電極33,34との間に図5,6に示すように円筒形コイルばね電極45,46が圧縮された状態で配置される。この状態において、円筒形コイルばね電極45,46は、一端側が導電性端子43,44の円筒部43d,44dの外周面に螺旋状に接触するとともに他端側における導電性端子43,44の円筒部43d,44dから突出する部位が導体パターン32の電極33,34に渦巻き状に接触する。
【0027】
よって、円筒形コイルばね電極45,46と導電性端子43,44との電気的接続は円筒部43d,44dの外周面において螺旋状に接触した状態で行われ、また、円筒形コイルばね電極45,46と断線フィルム30の電極33,34との電気的接続は電極33,34において渦巻き状に接触した状態で行われる。
【0028】
なお、図3に示すように、下ケース41および上ケース42にはハーネス60が通るための切欠部41a,42aが形成されているとともに下ケース41および両面テープ65には円筒形コイルばね電極45,46が通る貫通孔41c,65aが形成されている。
【0029】
ケースC1は、ガラス板13と車体15との間において円筒形コイルばね電極45,46によるばね力により挟持されている。
ハーネス60の2本の電線61,62の一端は導電性端子43,44と円筒形コイルばね電極45,46を介して導体パターン32の電極33,34と電気的に接続されている。また、ハーネス60の2本の電線61,62の他端は、図1(b)に示すように判定器50に接続されている。判定器50はハーネス60および本体40を介して断線フィルム30の電極33,34と接続されている。判定器50において、導体パターン32の通電状態からガラス割れを検出することができるようになっている。
【0030】
次に、このように構成したガラス割れ検出装置20の作用を説明する。
ガラス板13の一部が破損すると、ガラス板13全体にひびが入る。そして、たとえ、工具を用いてガラス板13を振動させることなく破損させても、断線フィルム30の貼着部ではひび割れによって細線よりなる導体パターン32が切れる。判定器50は細線よりなる導体パターン32の導通を検知しており、導通しなくなると断線を検出する。これによりガラス割れと判断される。
【0031】
そして、判定器50は警報装置にて警報音や警報ランプによりガラス割れ(異常発生)を外部に報知する。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
【0032】
(1)ハーネス60の2本の電線61,62が円筒部43d,44dを有する導電性端子43,44と接続され、導電性端子43,44と導体パターン32の電極33,34との間に円筒形コイルばね電極45,46を圧縮された状態で配置し、円筒形コイルばね電極45,46の一端側が導電性端子の円筒部43d,44dの外周面に螺旋状に接触し、かつ、他端側における導電性端子の円筒部43d,44dから突出する部位が導体パターン32の電極33,34に渦巻き状に接触している。よって、円筒形コイルばね電極45,46と導電性端子の円筒部43d,44dとの接触面積、および、円筒形コイルばね電極45,46と導体パターン32の電極33,34との接触面積を大きくすることができる。これにより、ガラス板13に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる。
【0033】
(2)ガラス板13は開閉不能に構成されている。従って、本体40のケースC1等のガラス割れ検出装置20は移動することはなく、ケースC1から延びる電線61,62(ハーネス60)が引っ張られることを回避できるため、ガラス割れ検出装置20の安定した動作を確保できる。
【0034】
(3)導電性端子43,44および円筒形コイルばね電極45,46はケースC1内において支持され、ケースC1は、ガラス板13に接着されているとともにガラス板13と車体15との間において円筒形コイルばね電極45,46によるばね力により挟持されている。よって、ガラス板13と車体15との間にケースC1(下ケース41、上ケース42)を配置し円筒形コイルばね電極45,46の付勢力(ばね力)により両面テープ65によるケースC1の接着力(貼り付け力)が弱くてもケースC1を固定することができる。
【0035】
(4)断線フィルム30は曲面を有する自動車用のガラス板13に貼着することができる。従って、硬くて自動車用のガラス板13に貼着し難い部材を用いる場合に比べて、自動車用窓のガラス割れ検出装置に用いるのに適している。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0036】
図9には本実施形態のガラス割れ検出装置を示す。図10にはガラス割れ検出装置の本体70の平断面を示す。図11には図10のA−A線での断面を示す。図12(a),(b),(c)はガラス割れ検出装置の本体70を構成する部品の斜視図である。
【0037】
図12(b),(c)に示すように、本体70のケースC1は、ケース本体71とカバー72により構成されている。ケース本体71は下面が開口した箱型をなしている。ケース本体71の開口部がカバー72により塞がれている。そして、図11の両面テープ66によりケースC2(カバー72)が断線フィルム30(ガラス板13)に接着されている。また、ケース本体71にはハーネス取出用円筒部71aが形成されている。
【0038】
ケースC2内に、一対の導電性板材(ばね電極)74,75と、導電性板材74,75に設けられる導電性弾性リング(導電性弾性体)76,77が収納されている。導電性板材74,75は、ばね性を有する板材を曲げて構成されている。導電性板材74,75は、ハーネス60の2本の電線61,62が接続される長方形の第1プレート部74a,75aと、長方形の第1プレート部74a,75aの短辺において屈曲形成された長方形の第2プレート部74b,75bを有している。
【0039】
図11,12(a)に示すように第1プレート部74aには4箇所に位置決め用の突片74dが一体的に形成され、各突片74dはケース本体71の天井面に向かって延設されている。この突片74dがケース本体71の天井面(ケースC2の内面)と接触しており、これにより第1プレート部74aが図11において上方に移動しないようになっている。同様に、第1プレート部75aには4箇所に位置決め用の突片75dが一体的に形成され、各突片75dはケース本体71の天井面に向かって延設されている。この突片75dがケース本体71の天井面(ケースC2の内面)と接触しており、これにより第1プレート部75aが図11において上方に移動しないようになっている。
【0040】
また、第1プレート部74aには2箇所にケース押え用の突片74eが一体的に形成され、両突片74eはケース本体71の内側面に向かって延設されている。この突片74eがケース本体71の内側面(ケースC2の内面)と接触しており、これにより第1プレート部74aが左右に移動しないようになっている。同様に、第1プレート部75aには2箇所にケース押え用の突片75eが一体的に形成され、両突片75eはケース本体71の内側面に向かって延設されている。この突片75eがケース本体71の内側面(ケースC2の内面)と接触しており、これにより第1プレート部75aが左右に移動しないようになっている。
【0041】
図12(a)に示すように、長方形の第1プレート部74a,75aと第2プレート部74b,75bとは、帯板を「く」の字状に折り返すことにより構成されている。
第1プレート部74a,75aにおいてハーネスかしめ部74c,75cによりハーネス60の2本の電線61,62の端部がかしめにより固定されている。電線61の先端部が半田Hにより第1プレート部74aに接合されている。また、電線62の先端部が半田Hにより第1プレート部75aに接合されている。即ち、ばね電極としての導電性板材74,75の基端が電線61,62と接続されている。ハーネス60はケース本体71のハーネス取出用円筒部71aを通じてケースC2の内外を連通している。
【0042】
第2プレート部74b,75bの先端部には導電性弾性リング76,77が固定されている。詳しくは、第2プレート部74b,75bから帯状リング止め部74f,75fが延びており、この帯状リング止め部74f,75fにより導電性弾性リング76,77がかしめ固定されている。導電性弾性リング76,77は円環状をなし、導電性樹脂よりなり、かつ、弾性(可撓性)を有している。
【0043】
図9に示すように、ガラス板13と車体15との間に断線フィルム30を介してガラス割れ検出装置の本体70を配置した状態においては図11に示すように導電性板材74,75の第2プレート部74b,75bがそのばね力に抗して圧縮された状態で配置されている。即ち、導電性板材74,75の先端が導体パターン32の電極33,34に向って付勢する状態で配置されている。
【0044】
また、導電性弾性体としての導電性弾性リング76は、ばね電極としての導電性板材74,75の先端部と導体パターン32の電極33,34との間に圧縮変形された状態で配置されている。つまり、導電性板材(ばね電極)74,75は本体70を断線フィルム30(ガラス板13)に接着した状態においては図11に示すように変形して使用され、断線フィルム30の電極33,34に付勢力を付与する。導電性板材74,75に固定された導電性弾性リング76,77は本体70を断線フィルム30(ガラス板13)に接着した状態においては図11に示すように変形して使用され、断線フィルム30の電極33,34に付勢力を付与する。
【0045】
よって、ハーネス60の電線61,62と断線フィルム30の電極33,34との電気的接続は、導電性板材74,75(板ばね)による付勢力と導電性弾性リング76,77による付勢力により押圧されつつ行われる。このとき、導電性弾性リング76,77を潰して使用しているので接触面積を大きくすることができる。
【0046】
なお、図11,12に示すように、カバー72および両面テープ66には導電性弾性リング76,77が通る貫通孔72a,66aが形成されている。
以上のごとく、電線61,62に導電性板材74,75が接続され、導体パターン32の電極33,34に対し導電性板材74,75の先端部および導電性弾性リング76,77を介して導体パターン32の電極33,34と電気的に接続される。ここで、導電性板材74,75の先端部は導体パターン32の電極33,34に向って付勢する状態で配置され、導電性弾性リング76,77は導電性板材74,75の先端部と導体パターン32の電極33,34との間に圧縮変形された状態で配置されている。よって、導電性板材74,75による付勢力と導電性弾性リング76,77による付勢力により接触しており、強く接触させることができる。これにより、ガラス板13に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる。
【0047】
また、導電性板材74,75および導電性弾性リング76,77はケースC2内において支持され、ケースC2は、ガラス板13に両面テープ66により接着されているとともにガラス板13と車体15との間に導電性板材74,75によるばね力および導電性弾性リング76,77による弾性力により挟持されている。これにより、ガラス板13と車体15との間にケースC2(ケース本体71、カバー72)を配置し導電性板材74,75および導電性弾性リング76,77の付勢力によりケースC2を固定することができる。
【0048】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・ガラス板13は三角窓12に限らず、ガラス板を使用した開閉不能な他の窓ガラスに適用してもよい。例えば、リヤウインドウ、リヤサイドウインドウ、ハッチバックドアの窓ガラス、サンルーフガラスあるいはフロントウインドウ等に適用してもよい。
【0049】
・断線フィルム30をガラス板13に貼り付けて導体パターンをガラス板13に延設したが、ガラス板に直接、導体パターンを印刷してもよい。
・ガラス割れ検出装置を取り付けるのは開閉不能な窓ガラスに限らず、開閉可能な窓ガラスに取り付けてもよい。
【0050】
次に、上記第2の実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)自動車用窓のガラス板に延設され、電極を有する導体パターンと、
前記導体パターンの電極と電気的と接続され、前記導体パターンの通電状態からガラス割れを検出するための電線と、
を備えた自動車用窓のガラス割れ検出装置において、
ばね性を有する板材を曲げて構成され、基端が電線と接続されるとともに先端が前記導体パターンの電極に向って付勢する状態で配置されたばね電極と、
弾性を有し、前記ばね電極の先端部と前記導体パターンの電極との間に圧縮変形された状態で配置された導電性弾性体と、
を備えたことを特徴とする自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【0051】
これにより、ガラス板に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる。
(ロ)ガラス板は開閉不能に構成されている前記(イ)に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【0052】
これにより、ガラス板は開閉不能に構成されている。従って、ガラス割れ検出装置は移動することはなく、本体から延びる電線が引っ張られることを回避できるため、ガラス割れ検出装置の安定した動作を確保できる。
【0053】
(ハ)前記ばね電極および導電性弾性体はケース内において支持され、前記ケースは、前記ガラス板に接着されているとともに前記ガラス板と車体との間に前記ばね電極によるばね力および導電性弾性体による弾性力により挟持されていることを特徴とする前記(ロ)に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【0054】
これにより、ガラス板と車体との間にケースを配置しばね電極および導電性弾性体の付勢力によりケースを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(a)は、本実施形態における乗用車の後部を示す概略斜視図、(b)は(a)のA−A線に対応する左側の三角窓付近の部分断面図。
【図2】断線フィルムの平面および断面を示す図。
【図3】ガラス割れ検出装置の本体の分解斜視図。
【図4】ガラス割れ検出装置の本体の平面図。
【図5】図4のA−A線での断面図。
【図6】図4のB−B線での断面図。
【図7】ガラス割れ検出装置の本体を車両に装着する前の状態における図4のA−A線での断面図。
【図8】ガラス割れ検出装置の本体を車両に装着する前の状態における図4のB−B線での断面図。
【図9】第2の実施の形態におけるガラス割れ検出装置を示す図。
【図10】ガラス割れ検出装置の本体の平断面図。
【図11】図10のA−A線での断面図。
【図12】(a),(b),(c)はガラス割れ検出装置の本体を構成する部品の斜視図。
【符号の説明】
【0056】
13…ガラス板、20…ガラス割れ検出装置、32…導体パターン、33,34…電極、43,44…導電性端子、43d,44d…円筒部、45,46…円筒形コイルばね電極、C1…ケース。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用窓のガラス割れ検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車中に自動車の窓ガラスが割られて、車両が盗難されたり、車上あらしの被害を受けたりすることを防止するため、窓ガラスが割られたことを検出して、警報手段を作動させることが提案されている。
【0003】
この種の装置として、特許文献1においては、分圧用の抵抗体の少なくとも一つの抵抗体がガラスの表面もしくは内部に設置され、分圧値が変化した場合にガラス割れと判定するガラス割れ検出装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−141649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラスの表面の電極取り出し部から電極を取り出して外部の機器に接続するための具体的構成については明記されていない。
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、ガラス板に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる自動車用窓のガラス割れ検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、自動車用窓のガラス板に延設され、電極を有する導体パターンと、前記導体パターンの電極と電気的に接続され、前記導体パターンの通電状態からガラス割れを検出するための電線と、を備えた自動車用窓のガラス割れ検出装置において、前記電線と接続され、円筒部を有する導電性端子と、前記導電性端子と前記導体パターンの電極との間に圧縮された状態で配置され、一端側が前記導電性端子の円筒部の外周面に螺旋状に接触するとともに他端側における前記導電性端子の円筒部から突出する部位が前記導体パターンの電極に渦巻き状に接触する円筒形コイルばね電極と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、電線に導電性端子が接続され、導電性端子と導体パターンの電極との間に円筒形コイルばね電極が圧縮された状態で配置されて、導電性端子は円筒形コイルばね電極を介して導体パターンの電極と電気的に接続される。ここで、円筒形コイルばね電極においては、一端側が導電性端子の円筒部の外周面に螺旋状に接触し、他端側が導体パターンの電極に渦巻き状に接触している。よって、円筒形コイルばね電極と導電性端子の円筒部との接触面積、および、円筒形コイルばね電極と導体パターンの電極との接触面積を大きくすることができる。これにより、ガラス板に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置において前記ガラス板は開閉不能に構成されていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明によれば、ガラス板は開閉不能となるように固定されているため、電極を有する導体パターンは移動することはない。従って、ガラス割れ検出装置の安定した動作を確保できる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置において、前記導電性端子および前記円筒形コイルばね電極はケース内において支持され、前記ケースは前記ガラス板に接着されているとともに前記ガラス板と車体との間において前記円筒形コイルばね電極によるばね力により挟持されていることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、円筒形コイルばね電極の付勢力(ばね力)によりケースの接着力が弱くてもケースを固定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガラス板に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。
図1(a)に示すように、車両11の後部には、左右両側(左側のみ図示)に、三角窓12が設けられている。この三角窓12は開閉不能な窓である。また、三角窓12において、一部が破損した場合に全体にひび割れが生じるガラス板13を窓ガラスに使用している。ガラス板13として、強化ガラスを用いている。
【0012】
図1(b)は図1(a)のA−A線に対応する左側の三角窓12付近の部分断面図である。図1(b)に示すように、三角窓12のガラス板13は周縁部において接着剤(ガラス接着剤)14を介して車体(ボデー)15に固着されている。なお、ガラス板13の厚さは3.1mm〜5.0mm程度である。
【0013】
図1(b)に示すように、車体15にはガラス板13の周縁部と対応する箇所で、ガラス板13の周縁部に対して接着剤14よりも内側の位置に、ガラス割れ検出装置20が設けられている。ガラス割れ検出装置20を構成する断線フィルム30及び本体40等は、車両11の内装16によって覆われている。
【0014】
以下、ガラス割れ検出装置20について、詳しく説明する。
図2には断線フィルム30の平面および断面を示す。図3はガラス割れ検出装置の本体40の分解斜視図である。図4はガラス割れ検出装置の本体40の平面図である。図5は図4のA−A線での断面図である。図6は図4のB−B線での断面図である。なお、図4は図5,6における上ケース42を取り外した状態での平面図である。
【0015】
図7はガラス割れ検出装置20の本体40を車両に装着する前の状態における図4のA−A線での断面図である。同じく図8はガラス割れ検出装置20の本体40を車両に装着する前の状態における図4のB−B線での断面図である。
【0016】
図1(b)に示すように、ガラス割れ検出装置20は、断線フィルム30と、本体40と、判定器50とを備えている。
図2に示すように、断線フィルム30は、薄い樹脂製フィルム31の内部に、細線よりなる導体パターン32が印刷にて形成されることにより構成されている。導体パターン32は微細パターンなので断線しやすい。細線よりなる1本の導体パターン32はその両端に幅広なる電極33,34を有している。電極33,34においては樹脂製フィルム31の開口部35,36が形成され、開口部35,36を通して電極33,34が露出している。この露出部が電極取り出し部となっている。
【0017】
図2に示す断線フィルム30が、図1(b)に示すようにガラス板13に貼り付けられて、これにより、自動車用窓のガラス板13に電極33,34を有する導体パターン32が延設されている。そして、ガラス板13が割られると、微小なクラックにより、断線フィルム30の細線よりなる導体パターン32が断線する。
【0018】
このように、断線フィルム30がガラス板13に貼り付けられているので、ガラス板13に導体パターンを直接印刷する必要がなくなるためコストダウンを図ることができる。また、導体パターンの無いガラス板に対し後付けで取付けることができる。また、細線よりなる導体パターン32を形成することにより、ガラス割れによりガラス板13が完全に粉砕しなくても検知可能となる。
【0019】
図3に示すように、本体40は、下ケース41と、上ケース42と、一対の導電性端子43,44と、導電性端子43,44に設けられる円筒形コイルばね電極45,46を備えている。下ケース41は上面が開口した箱型をなしている。上ケース42は下面が開口した箱型をなしている。
【0020】
図5,6に示すように、下ケース41の上面開口部を塞ぐように上ケース42が配置され、かつ、下ケース41の側面を外方から上ケース42が覆っている。これによって、下ケース41と上ケース42とにより箱型のケースC1が構成されている。両面テープ65によりケースC1(下ケース41)が断線フィルム30(ガラス板13)に接着されている。
【0021】
ケースC1内に導電性端子43,44と円筒形コイルばね電極45,46が配置されている。導電性端子43,44は図5において左右に並んで配置されている。導電性端子43および導電性端子44は導電性板材よりなる。導電性端子43,44は四角プレート部43a,44aを有している。
【0022】
図3に示すように、導電性端子43において、四角プレート部43aの両側端には取付用段差部43bが形成され、取付用段差部43bが下ケース41の凹部41d,41eに嵌め込まれている。取付用段差部43bは下ケース41の凹部41d,41e内を図5,6における上下方向に移動可能に位置決めされている。同様に、導電性端子44において、四角プレート部44aの両側端には取付用段差部44bが形成され、取付用段差部44bが下ケース41の凹部41f,41gに嵌め込まれている。取付用段差部44bは下ケース41の凹部41f,41g内を図5,6における上下方向に移動可能に位置決めされている。これにより導電性端子43および導電性端子44が上下方向に移動可能に位置決めされている。
【0023】
四角プレート部43aにはハーネスかしめ部43cが設けられ、ハーネスかしめ部43cにハーネス60における第1の電線61の端部がかしめ固定されている。同様に、四角プレート部44aにはハーネスかしめ部44cが設けられ、ハーネスかしめ部44cにハーネス60における第2の電線62の端部がかしめ固定されている。電線61の先端部が半田Hにより四角プレート部43aに接合されている。また、電線62の先端部が半田Hにより四角プレート部44aに接合されている。
【0024】
図3,7に示すように、導電性端子43の四角プレート部43aの中央には、下方に突出する有底の円筒部43dが一体形成されている。同様に、導電性端子44の四角プレート部44aの中央には、下方に突出する有底の円筒部44dが一体形成されている。
【0025】
図7,8に示すように、導電性端子43の円筒部43dの外周には円筒形コイルばね電極45が配置されている。同様に、導電性端子44の円筒部44dの外周には円筒形コイルばね電極46が配置されている。
【0026】
円筒形コイルばね電極45,46は導線を螺旋状に巻回したものであり、円筒形コイルばね電極45,46は円筒部43d,44dの外周面と接触し、かつ、円筒部43d,44dよりも下部は先端ほど径が小さくなるように巻回されている。そして、図1(b)に示すように、ガラス板13と車体15との間に断線フィルム30を介してガラス割れ検出装置の本体40を配置した状態においては、円筒形コイルばね電極45,46は導電性端子43,44と導体パターン32の電極33,34との間に図5,6に示すように円筒形コイルばね電極45,46が圧縮された状態で配置される。この状態において、円筒形コイルばね電極45,46は、一端側が導電性端子43,44の円筒部43d,44dの外周面に螺旋状に接触するとともに他端側における導電性端子43,44の円筒部43d,44dから突出する部位が導体パターン32の電極33,34に渦巻き状に接触する。
【0027】
よって、円筒形コイルばね電極45,46と導電性端子43,44との電気的接続は円筒部43d,44dの外周面において螺旋状に接触した状態で行われ、また、円筒形コイルばね電極45,46と断線フィルム30の電極33,34との電気的接続は電極33,34において渦巻き状に接触した状態で行われる。
【0028】
なお、図3に示すように、下ケース41および上ケース42にはハーネス60が通るための切欠部41a,42aが形成されているとともに下ケース41および両面テープ65には円筒形コイルばね電極45,46が通る貫通孔41c,65aが形成されている。
【0029】
ケースC1は、ガラス板13と車体15との間において円筒形コイルばね電極45,46によるばね力により挟持されている。
ハーネス60の2本の電線61,62の一端は導電性端子43,44と円筒形コイルばね電極45,46を介して導体パターン32の電極33,34と電気的に接続されている。また、ハーネス60の2本の電線61,62の他端は、図1(b)に示すように判定器50に接続されている。判定器50はハーネス60および本体40を介して断線フィルム30の電極33,34と接続されている。判定器50において、導体パターン32の通電状態からガラス割れを検出することができるようになっている。
【0030】
次に、このように構成したガラス割れ検出装置20の作用を説明する。
ガラス板13の一部が破損すると、ガラス板13全体にひびが入る。そして、たとえ、工具を用いてガラス板13を振動させることなく破損させても、断線フィルム30の貼着部ではひび割れによって細線よりなる導体パターン32が切れる。判定器50は細線よりなる導体パターン32の導通を検知しており、導通しなくなると断線を検出する。これによりガラス割れと判断される。
【0031】
そして、判定器50は警報装置にて警報音や警報ランプによりガラス割れ(異常発生)を外部に報知する。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
【0032】
(1)ハーネス60の2本の電線61,62が円筒部43d,44dを有する導電性端子43,44と接続され、導電性端子43,44と導体パターン32の電極33,34との間に円筒形コイルばね電極45,46を圧縮された状態で配置し、円筒形コイルばね電極45,46の一端側が導電性端子の円筒部43d,44dの外周面に螺旋状に接触し、かつ、他端側における導電性端子の円筒部43d,44dから突出する部位が導体パターン32の電極33,34に渦巻き状に接触している。よって、円筒形コイルばね電極45,46と導電性端子の円筒部43d,44dとの接触面積、および、円筒形コイルばね電極45,46と導体パターン32の電極33,34との接触面積を大きくすることができる。これにより、ガラス板13に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる。
【0033】
(2)ガラス板13は開閉不能に構成されている。従って、本体40のケースC1等のガラス割れ検出装置20は移動することはなく、ケースC1から延びる電線61,62(ハーネス60)が引っ張られることを回避できるため、ガラス割れ検出装置20の安定した動作を確保できる。
【0034】
(3)導電性端子43,44および円筒形コイルばね電極45,46はケースC1内において支持され、ケースC1は、ガラス板13に接着されているとともにガラス板13と車体15との間において円筒形コイルばね電極45,46によるばね力により挟持されている。よって、ガラス板13と車体15との間にケースC1(下ケース41、上ケース42)を配置し円筒形コイルばね電極45,46の付勢力(ばね力)により両面テープ65によるケースC1の接着力(貼り付け力)が弱くてもケースC1を固定することができる。
【0035】
(4)断線フィルム30は曲面を有する自動車用のガラス板13に貼着することができる。従って、硬くて自動車用のガラス板13に貼着し難い部材を用いる場合に比べて、自動車用窓のガラス割れ検出装置に用いるのに適している。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0036】
図9には本実施形態のガラス割れ検出装置を示す。図10にはガラス割れ検出装置の本体70の平断面を示す。図11には図10のA−A線での断面を示す。図12(a),(b),(c)はガラス割れ検出装置の本体70を構成する部品の斜視図である。
【0037】
図12(b),(c)に示すように、本体70のケースC1は、ケース本体71とカバー72により構成されている。ケース本体71は下面が開口した箱型をなしている。ケース本体71の開口部がカバー72により塞がれている。そして、図11の両面テープ66によりケースC2(カバー72)が断線フィルム30(ガラス板13)に接着されている。また、ケース本体71にはハーネス取出用円筒部71aが形成されている。
【0038】
ケースC2内に、一対の導電性板材(ばね電極)74,75と、導電性板材74,75に設けられる導電性弾性リング(導電性弾性体)76,77が収納されている。導電性板材74,75は、ばね性を有する板材を曲げて構成されている。導電性板材74,75は、ハーネス60の2本の電線61,62が接続される長方形の第1プレート部74a,75aと、長方形の第1プレート部74a,75aの短辺において屈曲形成された長方形の第2プレート部74b,75bを有している。
【0039】
図11,12(a)に示すように第1プレート部74aには4箇所に位置決め用の突片74dが一体的に形成され、各突片74dはケース本体71の天井面に向かって延設されている。この突片74dがケース本体71の天井面(ケースC2の内面)と接触しており、これにより第1プレート部74aが図11において上方に移動しないようになっている。同様に、第1プレート部75aには4箇所に位置決め用の突片75dが一体的に形成され、各突片75dはケース本体71の天井面に向かって延設されている。この突片75dがケース本体71の天井面(ケースC2の内面)と接触しており、これにより第1プレート部75aが図11において上方に移動しないようになっている。
【0040】
また、第1プレート部74aには2箇所にケース押え用の突片74eが一体的に形成され、両突片74eはケース本体71の内側面に向かって延設されている。この突片74eがケース本体71の内側面(ケースC2の内面)と接触しており、これにより第1プレート部74aが左右に移動しないようになっている。同様に、第1プレート部75aには2箇所にケース押え用の突片75eが一体的に形成され、両突片75eはケース本体71の内側面に向かって延設されている。この突片75eがケース本体71の内側面(ケースC2の内面)と接触しており、これにより第1プレート部75aが左右に移動しないようになっている。
【0041】
図12(a)に示すように、長方形の第1プレート部74a,75aと第2プレート部74b,75bとは、帯板を「く」の字状に折り返すことにより構成されている。
第1プレート部74a,75aにおいてハーネスかしめ部74c,75cによりハーネス60の2本の電線61,62の端部がかしめにより固定されている。電線61の先端部が半田Hにより第1プレート部74aに接合されている。また、電線62の先端部が半田Hにより第1プレート部75aに接合されている。即ち、ばね電極としての導電性板材74,75の基端が電線61,62と接続されている。ハーネス60はケース本体71のハーネス取出用円筒部71aを通じてケースC2の内外を連通している。
【0042】
第2プレート部74b,75bの先端部には導電性弾性リング76,77が固定されている。詳しくは、第2プレート部74b,75bから帯状リング止め部74f,75fが延びており、この帯状リング止め部74f,75fにより導電性弾性リング76,77がかしめ固定されている。導電性弾性リング76,77は円環状をなし、導電性樹脂よりなり、かつ、弾性(可撓性)を有している。
【0043】
図9に示すように、ガラス板13と車体15との間に断線フィルム30を介してガラス割れ検出装置の本体70を配置した状態においては図11に示すように導電性板材74,75の第2プレート部74b,75bがそのばね力に抗して圧縮された状態で配置されている。即ち、導電性板材74,75の先端が導体パターン32の電極33,34に向って付勢する状態で配置されている。
【0044】
また、導電性弾性体としての導電性弾性リング76は、ばね電極としての導電性板材74,75の先端部と導体パターン32の電極33,34との間に圧縮変形された状態で配置されている。つまり、導電性板材(ばね電極)74,75は本体70を断線フィルム30(ガラス板13)に接着した状態においては図11に示すように変形して使用され、断線フィルム30の電極33,34に付勢力を付与する。導電性板材74,75に固定された導電性弾性リング76,77は本体70を断線フィルム30(ガラス板13)に接着した状態においては図11に示すように変形して使用され、断線フィルム30の電極33,34に付勢力を付与する。
【0045】
よって、ハーネス60の電線61,62と断線フィルム30の電極33,34との電気的接続は、導電性板材74,75(板ばね)による付勢力と導電性弾性リング76,77による付勢力により押圧されつつ行われる。このとき、導電性弾性リング76,77を潰して使用しているので接触面積を大きくすることができる。
【0046】
なお、図11,12に示すように、カバー72および両面テープ66には導電性弾性リング76,77が通る貫通孔72a,66aが形成されている。
以上のごとく、電線61,62に導電性板材74,75が接続され、導体パターン32の電極33,34に対し導電性板材74,75の先端部および導電性弾性リング76,77を介して導体パターン32の電極33,34と電気的に接続される。ここで、導電性板材74,75の先端部は導体パターン32の電極33,34に向って付勢する状態で配置され、導電性弾性リング76,77は導電性板材74,75の先端部と導体パターン32の電極33,34との間に圧縮変形された状態で配置されている。よって、導電性板材74,75による付勢力と導電性弾性リング76,77による付勢力により接触しており、強く接触させることができる。これにより、ガラス板13に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる。
【0047】
また、導電性板材74,75および導電性弾性リング76,77はケースC2内において支持され、ケースC2は、ガラス板13に両面テープ66により接着されているとともにガラス板13と車体15との間に導電性板材74,75によるばね力および導電性弾性リング76,77による弾性力により挟持されている。これにより、ガラス板13と車体15との間にケースC2(ケース本体71、カバー72)を配置し導電性板材74,75および導電性弾性リング76,77の付勢力によりケースC2を固定することができる。
【0048】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・ガラス板13は三角窓12に限らず、ガラス板を使用した開閉不能な他の窓ガラスに適用してもよい。例えば、リヤウインドウ、リヤサイドウインドウ、ハッチバックドアの窓ガラス、サンルーフガラスあるいはフロントウインドウ等に適用してもよい。
【0049】
・断線フィルム30をガラス板13に貼り付けて導体パターンをガラス板13に延設したが、ガラス板に直接、導体パターンを印刷してもよい。
・ガラス割れ検出装置を取り付けるのは開閉不能な窓ガラスに限らず、開閉可能な窓ガラスに取り付けてもよい。
【0050】
次に、上記第2の実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)自動車用窓のガラス板に延設され、電極を有する導体パターンと、
前記導体パターンの電極と電気的と接続され、前記導体パターンの通電状態からガラス割れを検出するための電線と、
を備えた自動車用窓のガラス割れ検出装置において、
ばね性を有する板材を曲げて構成され、基端が電線と接続されるとともに先端が前記導体パターンの電極に向って付勢する状態で配置されたばね電極と、
弾性を有し、前記ばね電極の先端部と前記導体パターンの電極との間に圧縮変形された状態で配置された導電性弾性体と、
を備えたことを特徴とする自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【0051】
これにより、ガラス板に設けた電極から容易かつ確実に電極を取り出すことができる。
(ロ)ガラス板は開閉不能に構成されている前記(イ)に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【0052】
これにより、ガラス板は開閉不能に構成されている。従って、ガラス割れ検出装置は移動することはなく、本体から延びる電線が引っ張られることを回避できるため、ガラス割れ検出装置の安定した動作を確保できる。
【0053】
(ハ)前記ばね電極および導電性弾性体はケース内において支持され、前記ケースは、前記ガラス板に接着されているとともに前記ガラス板と車体との間に前記ばね電極によるばね力および導電性弾性体による弾性力により挟持されていることを特徴とする前記(ロ)に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【0054】
これにより、ガラス板と車体との間にケースを配置しばね電極および導電性弾性体の付勢力によりケースを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(a)は、本実施形態における乗用車の後部を示す概略斜視図、(b)は(a)のA−A線に対応する左側の三角窓付近の部分断面図。
【図2】断線フィルムの平面および断面を示す図。
【図3】ガラス割れ検出装置の本体の分解斜視図。
【図4】ガラス割れ検出装置の本体の平面図。
【図5】図4のA−A線での断面図。
【図6】図4のB−B線での断面図。
【図7】ガラス割れ検出装置の本体を車両に装着する前の状態における図4のA−A線での断面図。
【図8】ガラス割れ検出装置の本体を車両に装着する前の状態における図4のB−B線での断面図。
【図9】第2の実施の形態におけるガラス割れ検出装置を示す図。
【図10】ガラス割れ検出装置の本体の平断面図。
【図11】図10のA−A線での断面図。
【図12】(a),(b),(c)はガラス割れ検出装置の本体を構成する部品の斜視図。
【符号の説明】
【0056】
13…ガラス板、20…ガラス割れ検出装置、32…導体パターン、33,34…電極、43,44…導電性端子、43d,44d…円筒部、45,46…円筒形コイルばね電極、C1…ケース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用窓のガラス板に延設され、電極を有する導体パターンと、
前記導体パターンの電極と電気的に接続され、前記導体パターンの通電状態からガラス割れを検出するための電線と、
を備えた自動車用窓のガラス割れ検出装置において、
前記電線と接続され、円筒部を有する導電性端子と、
前記導電性端子と前記導体パターンの電極との間に圧縮された状態で配置され、一端側が前記導電性端子の円筒部の外周面に螺旋状に接触するとともに他端側における前記導電性端子の円筒部から突出する部位が前記導体パターンの電極に渦巻き状に接触する円筒形コイルばね電極と、
を備えたことを特徴とする自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【請求項2】
前記ガラス板は開閉不能に構成されている請求項1に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【請求項3】
前記導電性端子および前記円筒形コイルばね電極はケース内において支持され、前記ケースは、前記ガラス板に接着されているとともに前記ガラス板と車体との間において前記円筒形コイルばね電極によるばね力により挟持されていることを特徴とする請求項2に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【請求項1】
自動車用窓のガラス板に延設され、電極を有する導体パターンと、
前記導体パターンの電極と電気的に接続され、前記導体パターンの通電状態からガラス割れを検出するための電線と、
を備えた自動車用窓のガラス割れ検出装置において、
前記電線と接続され、円筒部を有する導電性端子と、
前記導電性端子と前記導体パターンの電極との間に圧縮された状態で配置され、一端側が前記導電性端子の円筒部の外周面に螺旋状に接触するとともに他端側における前記導電性端子の円筒部から突出する部位が前記導体パターンの電極に渦巻き状に接触する円筒形コイルばね電極と、
を備えたことを特徴とする自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【請求項2】
前記ガラス板は開閉不能に構成されている請求項1に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【請求項3】
前記導電性端子および前記円筒形コイルばね電極はケース内において支持され、前記ケースは、前記ガラス板に接着されているとともに前記ガラス板と車体との間において前記円筒形コイルばね電極によるばね力により挟持されていることを特徴とする請求項2に記載の自動車用窓のガラス割れ検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−146106(P2010−146106A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320094(P2008−320094)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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