自動車用隔壁上吸気システム
【課題】内燃機関用の水分および/または粒子の含有量が少ない温度の低い外部空気を効率的に得るような、自動車エンジン室の外部からエンジンまで空気を導く自動車用吸気システムを提供する。
【解決手段】エンジン室28の前部を横切る隔壁に結合された吸気筐体14と、自動車グリル18と、ラジエータと、および隔壁の前方のボンネット24は吸気口への流路を形成し、フローチャネルを通る水と粒子の流れを阻止するために隔壁からグリルまで延在するスクリーンを設けた。
【解決手段】エンジン室28の前部を横切る隔壁に結合された吸気筐体14と、自動車グリル18と、ラジエータと、および隔壁の前方のボンネット24は吸気口への流路を形成し、フローチャネルを通る水と粒子の流れを阻止するために隔壁からグリルまで延在するスクリーンを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に自動車用吸気システムに関する。より詳細には、本発明は、空気を内燃機関に吸い込むための自動車用隔壁上吸気システム(automobile over-bulkhead air intake system)および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸気システムは、燃焼プロセスを支援するために内燃機関に必要な空気を提供する。従来の吸気システムは、エンジン室内部から空気を吸い込むかまたは外部吸気口を介して車両外部から空気を吸い込んでいる。一般に、空気をエンジン室内部から吸い込むように設計されたシステムには、外気よりも高温でかつ低密度の空気を吸い込むという欠点がある。このため、温度が低い外気を使用する場合よりもエンジンの効率が低い。これらのシステムの欠点に対処する解決策は、温度の低い外気を吸い込むことである。しかしながら、空気を外部吸気口を介して吸い込むように設計されたシステムには、一般に、エンジン吸気を阻止し、空気流を妨げ、またはエンジンを破損させる場合がある水または粒子を含む空気を吸い込むという欠点がある。そのような外部吸気口システムの欠点に対処する解決策が提案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,564,513号
【特許文献2】米国特許第6,510,832号
【特許文献3】米国特許第5,022,479号
【特許文献4】米国特許第5,022,479号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、ボンネット(vehicle hood)の下のラジエータ前に配置された吸気口を有する内燃機関用外部吸気システムを開示している。吸気口は、吸気から固体粒子を除去し空気から水を分離するためのフィルタを含む。しかしながら、この吸気口は、車両のボンネットの下のラジエータ前に大きなスペースを必要とし、現代の車両の密集したエンジン室内に収めるのは困難である。さらに、フィルタが吸気口の外側開口の近くにあるので、フィルタがすぐに詰まって空気流を妨げやすく、頻繁な交換を必要とする場合がある。
【0005】
特許文献2は、外部空気に対する主空気入口、補助空気入口、水分センサ、および主空気入口を閉じる電気弁を備えることによって水の吸い込みを回避する内燃機関用外部吸気システムを開示している。主入口で水分が感知されると、電気弁が主入口を閉じ、空気がエンジン室から補助空気入口に吸い込まれる。しかしながら、特許文献2のシステムは、空気式または電空式の駆動機構と電気式水分センサを必要とする。これらの複雑な要素は、故障する可能性が高い。
【0006】
特許文献3は、ボンネット内に形成され、前方周囲空気入口と後方空気出口を含む長方形チャネルを開示している。チャネルは、中を流れる空気から水分を捕捉する一連のバッフルを含む。チャネルとエンジンエアクリーナの間に架ける封止スリーブが提供される。特許文献3のシステムには、このシステムがボンネット・スペースの大きな部分を占め、エアクリーナシステムと接続する特殊なスリーブ設計に依存するという欠点がある。
【0007】
特許文献4は、空気の流れから水と重い粒子を除去するためにトラックのボンネット内に形成されたエアダクトを開示している。吸気経路は、経路内に集まった水の排出を可能にする水抜き穴を備えた垂直ダクトを含む。吸気経路は、ボンネット・スペースの大きな部分を占め、効率的な空気流を妨げる吸気システムまでの長い導管を作成する。
【0008】
したがって、改善された吸気システムが必要である。さらに、内燃機関用の水分および/または粒子の含有量が少ない温度の低い外部空気を効率的に得る方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術の欠点を克服しかつ/または代替構成を提供するために、本発明の態様は、エンジン室の外部からエンジンに空気を提供するための自動車用吸気システムを提供する。本発明の実施形態による自動車用吸気システムは、エンジン室の前を横切る隔壁に結合された吸気筐体を含む。自動車グリル、ラジエータ、および隔壁前のボンネットの前部が、吸気筐体の吸気口までの空気流チャネルを形成する。本発明の態様は、空気流チャネル内を通る水と粒子の流れを阻止しかつ横方向の吸気経路を形成するために隔壁からグリルまで延在するスクリーンを含む。他の態様は、エンジン室から吸気筐体まで空気を導くための代替の空気経路を提供する。
【0010】
本発明の態様は、さらに、ボンネット内の吸気経路を介してエンジン室から自動車エンジンに空気を提供する自動車用吸気システムを提供する。ボンネット内の吸気経路は、主経路が少なくとも部分的に塞がれたときにエンジンに空気を提供する代替経路でよい。本発明の実施形態によれば、自動車用吸気システムは、吸気筐体と、エンジン室内から吸気筐体に空気を提供するための通路を有するボンネットとを含む。本発明の様々な態様の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明と図面を参照することにより明らかになるであろう。
【0011】
本発明は、添付図面を参照して好ましい実施形態の以下の説明において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による自動車用吸気システムの正面斜視図である。
【図2】図1の細部2の拡大前面右斜視図である。
【図3】ボンネットが開位置の状態で示した図1の自動空吸気システムの一部分の前面左斜視図である。
【図4】ボンネットが開位置にある状態でエンジン室内から見た図1の自動車用吸気システムの一部分の後面斜視図である。
【図5】図1の吸気筐体の上面図である。
【図6】図1の吸気筐体の側面図である。
【図7】ボンネットが閉位置にある状態で示した図1の自動車用吸気システムの一部分の正面図である。
【図8】図7の線8−8に沿って切断した部分断面図である。
【図9】本発明のもう1つの実施形態による自動車用吸気システムの正面斜視図である。
【図10】図9の線10−10に沿って切断した部分断面図である。
【図11】ボンネット板を取り外した状態のボンネットフレームの図9の細部11の斜視図である。
【図12】吸気筐体への空気流を示す図9の自動車用吸気システムの一部分の斜視図である。
【図13】ボンネット板を取り外した状態のボンネット・フレームを示す本発明のさらに他の実施形態による図11と類似の自動車用吸気システムの部分斜視図である。
【図14】吸気筐体への空気流を示す図13の自動車用吸気システムの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の様々な態様を様々な形で具体化することができる。以下の説明は、本発明の態様を実施することができる様々な実施形態を実例として示す。他の実施形態を利用することができ、本発明の範囲から逸脱することなく構造的および機能的な修正を行うことができる。次に図1〜図8を参照して、本発明の実施形態による自動車用吸気システム10を自動車12の一部として示す。示したように、自動車用吸気システム10は、一般に、自動車12の前部に配置された吸気筐体14と、吸気筐体14までの流路16(図8参照)とを含み、流路16は全体がグリル18を通るグリル開口19、ラジエータ20およびボンネット24の前部22によって構成されている。自動車用吸気システム10は、吸気筐体14に吸い込まれる空気に含まれる粒子と水の侵入を防ぎながらエンジン室の外部から自動車エンジン(図示せず)に低い温度の空気を提供する。
【0014】
図1〜図4に示したように、自動車12は、エンジン室28の境界を構成するフレーム26を有する。エンジン室28の前部を横切って、一般に隔壁30と呼ばれる横フレーム要素が配置されている。隔壁30は、一般に、U字型棒鋼などの構造フレーム部材であり、エンジン室の上部に沿ってエンジン室の前部を横切っている。吸気筐体14は、隔壁30の上に配置され、ボルトおよび/または他の共通コネクタなどの金物によって、隔壁、隔壁カバー56および/または他の構造物に直接取り付けることができる。図4に示したように、吸気筐体14は、ろ過した空気を自動車エンジン(図示せず)まで導くエア・フィルタ・ユニット34までの空気通路を提供する。
【0015】
具体的には図5と図6を参照すると、吸気筐体14は、一般に、壁37を有し、この壁37は共に、空気流路45を介して空気をエア・フィルタ・ユニット34に導くチャネル44を形成する。吸気筐体14の前部において、壁37は、上壁38と向かい合う基板36と、両側の一対の側壁40および42を含むことができる。基板36、上壁38、および側壁40と42の前部が、自動車12のほぼ前方に向かう吸気口46を構成する。吸気口46は、吸気口46における空気流路45に対して垂直なチャネル断面44よりも大きい開口を提供するように、基板36かつ/または空気流路45の断面から傾斜していることが好ましい。例えば、図6に示したように、吸気口46は、吸気口46内の点45aにおいて空気流路45および/または基板36と鋭角αを形成することができる。鋭角αは、約5度〜85度であることが好ましく、約30度〜60度であることがより好ましい。さらに、鋭角αは約45度であることが好ましく、これにより、空気流路45に対して垂直なチャネル断面44よりも大きい面積を有する吸気口46が提供される。後でさらに詳しく説明するように、これにより、吸気口46における気流速度が遅くなり、空気中の水と粒子を吸い込む可能性が低下する。図示したように、基板36、上壁38、側壁40および42は共に、エア・フィルタ・ユニット34に向かって延在する円形の管48を形成するように、空気流路45に沿って湾曲している。
【0016】
空気流路45に対して垂直なチャネル断面44は、点45aの位置の幅Wとチャネル高さによって作成される点45aにおける比較的大きい断面積から、エア・フィルタ・ユニット34に至る管48の直径Dに基づいくより小さい断面積まで、徐々に減少することが好ましい。点45aにおける空気流路45に対して垂直なチャネル断面積44は、管48に沿った点45dにおける空気流路45に対して垂直なチャネル断面積の有効径よりも10パーセント以上大きい有効径を有することが好ましい。これにより、所定の体積流量がチャネル44を通る場合、吸気口46における空気速度は、管48に沿った空気速度よりも遅くなる。例えば、点45aの有効径は約99cm2であり、点45dの有効径は約88cm2である。図8と関連して後で説明するように、吸気筐体14には、点45dにおける小さい断面による速度が点45aに存在するかのように、吸気口で高い空気速度で吸い込まれるのではなく、点45aにおける相対的に大きい断面積によって可能な低い空気速度で、吸気口46を介して、少ない含有量の粒子および/または水が吸い込まれる。吸気筐体14は、気密性があり、一般に軽量で、頑強で、さらには製造が安価な当技術分野で既知のモールド成形したプラスチック・ユニットであることが好ましいが、金属部品またはプラスチック部品の組立体のような他の既知の製造技術によって形成されてもよい。
【0017】
吸気筐体14は、ラジエータ20の上に延在するように形成され適応されており、ラジエータ20は、吸気筐体14(図8を参照)の基板36の高い点または頂点50より下に位置合わせされるこが好ましい。したがって、図6に示したように、点45bにおける基板36と空気流路45は、吸気口46から基板頂点50まで延在するときに上に傾けられている。これは、チャネル44に吸い込まれるかあるいはチャネル44内に落下した粒子、物体、水などが、吸気口46を介してチャネル44から出るようにする。別の言い方をすると、基板頂点50は、吸気筐体14の前部から吸気口46を介して粒子、水分または物体を放出するために、吸気筐体14の前方に重力バイアスを形成する。さらにそのような要素がチャネル44から出ることを促進するために、基板36は、吸気口46内に配置された段52を形成する。ボンネットが開いた構造のときに工具などの物体が吸気口46内に落ちた場合、段52は、そのような物体がチャネル44から吸気口46を介して出ることを促進する。
【0018】
ラジエータ20を基板頂点50よりも下に配置することによって、ラジエータを隔壁20の後ろに配置することができる。図8と共に後で述べるように、ラジエータ20は、隔壁30と並んで配置されるか隔壁30の前に配置されるよりも、隔壁30の後方に配置されることが好ましく、これは、従来の車両では最も一般的である。ラジエータ20が隔壁20より後方にずれているため、流路16に沿った乱れが減少し、吸気によるラジエータ20からの熱の吸収が減少し、隔壁30をジエータ20の頂部よりも低くすることによって隔壁30の頂部に吸気口46のスペースが提供される。
【0019】
図6に示したように、基板36、チャネル44、および空気流路45は、点45cと45dによって示したように、基板頂点50から管48に沿ってエア・フィルタ・ユニット34の方に下方に傾けられて延在することが好ましい。管48に沿ってエア・フィルタ・ユニット34(図4を参照)と接続する前に最下点54が存在することができ、この最下点54は、チャネル44に吸い込まれた物体または水分が、エア・フィルタの交換に合わせて引き上げ回収することができかつ/または流体タップとして働くことができる。必要に応じて、チャネル44に吸い込まれた水分を排出できるように、管48の最下点54に排出口が形成されてもよい。
【0020】
図2、図3および図8に示したように、隔壁カバー56が、隔壁30の上に配置され、隔壁30の上に実質的に平らに取り付けられることが好ましい。隔壁カバー56は、隔壁30の上からグリル18の上まで前方に延在し、網またはスクリーン60を形成する貫通形成された複数の孔58を含む。スクリーン60は、入る空気の流量に大きな影響を及ぼすことなく、水滴と比較的大きい粒子が吸気筐体14に入ることを防ぐために、流路16を横切る通気性バリアを形成する。スクリーン60は、ほとんどのほこりを遮断できるほど小さくかつ空気流を実質的に制限するほど小さくない孔を有するべきである。例えば、スクリーン60は、ほとんどのほこりの侵入を防ぎかつ良好な空気流の通過を可能にする約140平方ミリメートルの領域を有する穴を含む。水滴と粒子は、自動車12の前面にはねかけられまたは浴びせかけられた水または粒子ならびに吸気によって運ばれる水分または粒子からのものであることがある。スクリーン60は、これらの要素の初期の偏向を実現し、これにより、吸気システムの詰まりを防いだりエア・フィルタ(図示せず)の早すぎる交換の必要を防いだりすることができる。
【0021】
スクリーン60は、隔壁30とグリル18の間に、スクリーン60で収集された粒子または水分が下に流れスクリーン60から落ちるのを促進するために水平から斜めに延在することが好ましい。より好ましくは、図8に示したように、スクリーン60は、隔壁カバー56からグリル18まで隔壁カバー56の上部から下向き角度γで傾けられ、これにより、スクリーン60に集められた粒子または水分はラジエータ20から下に流れ、ラジエータを通って吸い込まれるのが回避される。下向き角度γは、約15度〜85度であることが好ましく、約30度〜60度であることがより好ましい。さらに好ましくは、角度γは約45度である。これらの範囲の下向き角度γは、スクリーン60が、角度γで下に傾けられたときに要素がスクリーン60とぶつかりそうな小さい入射角のために流路16の方にはねかけられまたは浴びせかけられた要素を偏向することを可能にする。
【0022】
具体的には図8を参照すると、吸気システム10の様々な構成要素に対する流路16が示されている。図示したように、ラジエータ20は、車両内で、基板頂点50の下で隔壁30の後方に配置されている。従来の車両では、ラジエータ20は、隔壁30の下のグリル18の比較的近くに重ねて配置されている。ラジエータ20を全体的に隔壁30の後方にずらすところにより、ラジエータ20を隔壁30の真下に配置する場合よりも前面スペース62が大きくなる。ラジエータ20が隔壁30の下に重ならないので、隔壁30をラジエータ20の頂点とほぼ同じ高さにするかそれより低くするような、隔壁30をエンジン室内において従来の構成よりも低く配置する設計の柔軟性が提供される。(また、これにより、ボンネット24の高さを著しく高くすることなく吸気口46のスペースが提供される)。前面スペース62が大きいと、従来の構成よりも乱流が少ない空気ポケットが提供され、それにより吸気とラジエータ20近くの高温の空気との混合が減少する。したがって、温度の高い空気よりも高密度でかつ高燃料効率の温度の低い外気を、吸気筐体14に提供し、最終的に自動車エンジン(図示せず)に提供することができる。また、前面スペース62は、吸気経路の領域に入った水が吸気口46から下に出るための場所を提供する。
【0023】
図8に示したように、空気は、流路16に沿って吸気筐体14に吸い込まれる。空気は、車両12の前方からグリル18の隙間19を通って流れ込む。車両12が、標準的な運転状態で操作されているとき、車両12の前進運動により、空気は、流路16の一部分16aに沿ってほぼ後方に前面スペース62に送り込まれる。ラジエータ20および/または車両12の他の構成要素が空気を部分的に堰止め、それにより前面スペース62内の空気圧が上昇する。これにより、空気が、部分16bにおいてその後方経路から約90度以上向きを変え、部分16cに沿って上方に流れるように促進される。したがって、グリル18を通る空気は、部分16bにおいてその入った経路に対して角度δで流れ、スクリーン60を通って部分16cに沿って上方前方に流れるように向きを変える。角度δは、約15度〜85度であることが好ましく、約45度であることがより好ましい。吸気を角度δだけ向きを変えるように導くことによって、部分16aに沿った空気中に浮遊する水滴と粒子が、流路16に沿った16bの相対的に鋭い曲がりに沿って吸い込まれることなく引き続き後方に流れるように促進される。
【0024】
エンジン吸気システムは、前面スペース62からの空気が部分16bに沿って曲がり、部分16cに沿って上方に流れるのをさらに促進するように、吸気筐体14の吸気口46を介して減圧する。吸気システムによる減圧は、車両が動いていないときまたは後方に移動しているときに、空気が流路16に沿って動くように促進する主原動力である場合がある。吸気が部分16cに沿ってスクリーン60を介して吸い込まれた後で、ボンネット24の前部分のボンネット・フレーム172の内側によって、空気が、部分16dで後方に向きを変えるように導かれ、部分16eに沿って吸気口46の方に導かれる。部分16dにおける後方の曲がりにより、残っている水滴または粒子が、例えばボンネット・フレーム172の側面に集まることにより空気から落下するのがさらに促進される。したがって、流路16は、垂直面にほぼS字形に形成された蛇行経路でもよく、この蛇行経路により、グリル18を介して吸い込まれた浮遊する粒子と水滴が、空気よりも大きいその質量と運動量に基づいて、ラジエータの方に引き続き後方に流れることが促進される。さらに、流路16が、残りの粒子と水滴をスクリーン60またはボンネット・フレーム172の側面に沿って集まることを促進する。したがって、吸気システムに吸い込まれる水分と粒子の量は、曲がりくねっていない吸気経路よりも少なくなる。
【0025】
通常の車両運転速度においてグリル18に入る粒子と水滴の大きい後方運動量によってその粒子と水滴が空気から分離されることが促進されるので、この構成には、もっと単純な蛇行した吸気経路よりも優れた長所がある。粒子と水滴の含有量をさらに減少させるために、流路16の部分16cに沿って流れ続けるか空気経路に沿って跳ね上がる可能性のある粒子と液滴を捕捉するスクリーン60が配置される。垂直面で見てほぼS字形に形成された蛇行流路16は、吸気から大量の水滴と粒子を除去することができ、これは、スクリーン60によって強化される。
【0026】
図8に示したほぼS字形で示したように吸気を垂直方向に導く他に、流路16は、粒子と水滴の量をさらに減らすために吸気の大部分を水平方向にも導く。図1に示したように、スクリーン60は、一般に、吸気口46の幅Wよりもかなり広い距離Sだけグリル18を横切って延在する。したがって、図8に断面で示したように、グリル18の上部、隔壁カバー56、スクリーン60、およびボンネット・フレーム172の内側の間には、ほぼ水平な隔壁チャネル64が形成される。吸気口46との横方向の関係により、吸気はスクリーン60を介して吸い込まれた後で、吸気を隔壁チャネル64に沿って横方向に導くことができる。隔壁チャネル64内で、吸気は、吸気口46の方に導くために約90度角度を変える。
【0027】
隔壁チャネル64の前と後には、ボンネット・フレーム172の下面に取り付けられ、吸気口46の方に横方向に延在するほぼ気密な流路16を提供することができるシール66と68が配置されることが好ましい。シール66と68は、ゴムや発泡材などの圧縮可能な材料から作成されることが好ましく、ボンネット・フレーム172とグリル18の内側と吸気筐体14の上部と隔壁カバー56との間に気密シールを提供することができる。気密シールは、吸気の大部分が空気流路16を介して吸気口46に入ることを保証することによって、吸気システム10の有効性を高める。隔壁チャネル64をほぼ封止するために、ボンネット24の内側172と隔壁カバー56や他の構造物の間のさねはぎ構造のような他のシールも意図される。エンジンによる減圧が、吸気筐体14内側の気圧を下げ、吸気が隔壁チャネル64に沿って吸気口46に入ることを促進する。吸気口46よりもグリル18とスクリーン60の幅が広いので、さらに、車両12の前進中に吸気スペース62内の圧力が高くなると、吸気が隔壁チャネル64に沿って吸気口46に入るのが促進される。したがって、吸気の一部がスクリーン60を通って吸気口46内に直接ほぼ垂直に上昇することができるので、吸気の大部分は、隔壁チャネル64内で、吸気口46のすぐ前には配置されていないスクリーン60の一部分から隔壁カバー56に沿って横方向に進むことができる。吸気の多くをそのように横方向の導くことにより、水滴と粒子が吸気から落下するのがさらに促進される。
【0028】
吸気システム10の様々な態様を組み合わせて吸気中の水滴と粒子の量を減らす。吸気中の水滴と粒子の量を減らすと、エア・フィルタ・ユニット34に入れられたエア・フィルタの寿命が長くなり、吸気システムとエンジンに提供される空気が清浄になり、燃焼のために温度が低い外気が提供され、それにより、エンジン(図示せず)の効率を大幅に高めることができる。流路16の垂直部分の曲がり16bと16dは、流路16の隔壁チャネル64部分内の空気の横方向の流れおよび流路16に沿った低い空気速度と組み合わさって、吸気口46に入る前に多くの粒子と水滴が吸気から出ることを促進する。吸気口46の幅と比べて隔壁チャネル64の長さが大きいので、スクリーン60に吸い込まれる空気の速度を吸気口46に入る空気の速度より遅くすることができる。図5と図6と共に前に述べたように、吸気口46の吸気速度は、管48に沿った速度よりも遅く維持され、それにより水分と粒子の侵入がさらに減少する。これらの態様が組み合わさって、吸気システム10への水分と粒子の侵入が大幅に減少する。
【0029】
個々または一緒に実施することができる吸気システム10の前述の態様によって提供される通常の運転条件の間により温度が低くかつ清浄な空気を提供する他に、吸気システム10は、さらに、より極端な運転条件の間に吸気システムに水分と粒子が吸い込まれる可能性を小さくする。吸気口46をボンネット24内側に対してできるだけ高く配置することにより、激しい暴風雨や洪水などによる極端な運転条件の間に水が吸気システムに入る可能性が減少する。空気がグリル18の上部などを介して流路16に入る可能性のある間、水分と粒子の含有量が少ない温度の低い外部吸気を吸気システムに提供することができる。そのような極端に濡れた条件においても、空気流路16に沿った空気の縦方向と横方向の流れ、空気流路16を通る低い吸気流速度、およびスクリーン60を通る空気のろ過により、水滴が吸気システム10に吸い込まれる可能性が減少する。
【0030】
次に図1〜図8と共に図9〜図12を参照すると、本発明のもう1つの実施形態による自動車用吸気システム110が示されている。吸気システム110は、外気への主吸気経路が利用不可能かまたは部分的に塞がった場合に、エンジン室28に収容された空気を吸気口46まで導く代替吸気経路を提供する。自動車用吸気システム110は、一般に、代替吸気経路に関するもの以外は、前述の吸気システム10の態様と選択物を含む。吸気システム110は、一般に、吸気システム10の態様と選択物を含むが、代替吸気経路に関する吸気システム110の態様は、吸気システム10の態様および選択物と別に実施されてもよい。さらに、システム110の代替吸気経路の態様は、エンジン室からエンジンに空気を提供するための主または単独の吸気経路として実施されてもよい。
【0031】
実施形態10と共に開示された特徴の他に、自動車用吸気システム110は、一般に、エンジン室28と隔壁チャネル64の間に延在するボンネット24内の吸気経路を含む。図10に示したように、ボンネット24は、ほぼ途切れのない外板170と、ボンネット板170の下側から離間されて取り付けられたボンネット・フレーム172とを含む。ボンネット・フレーム172は、エンジン室28内部から空気を吸い込むためにボンネット24のほぼ中央領域に配置された複数の吸気オリフィス174を形成する。ボンネット板170とボンネット・フレーム172の間の隙間は、エンジン室28内から吸気オリフィス174を介して空気を出口178に導く1つまたは複数の空気通路176を構成し、その空気は隔壁チャネル64に流れ込む。図示したように、出口178は、ボンネット24が閉じた位置にあるときにラッチ179と係合するように使用される、ボンネット・フレーム172を貫通するラッチ穴でよい。通路176は、エンジン室内部から隔壁チャネル64までの代替吸気経路を提供し、この代替吸気経路は吸気口46に至る。したがって、外気を吸気口46に提供する主空気流路16が部分的にあるいは全体的に塞がった場合に、エンジン室28内の空気をエンジン(図示せず)に導いて、エンジンを動作し続けることができる。これは、深い洪水の水の中に運転してゆくような予期しない緊急状態には大きな利点である。
【0032】
図11は、エンジン室28から吸気オリフィス174を介して出口178まで空気を導くボンネット24内の通路176を示すために、ボンネット板170を取り外した状態のボンネット・フレーム172の上部斜視図である。吸気オリフィス174は、ボンネット・フレーム172の要素をなくすことによりボンネット24の重量を減らしかつ空気通路176内に大きな気流を提供する2つの目的を果たすことができる大きいオリフィス174aと、小さいオリフィス174bとを含む。小さいオリフィスは、吸気の長所を提供するためにボンネット・フレーム172内に戦略的に形成されることがある。例えば、小さいオリフィス174bは、大きいオリフィス174aよりも出口178の近くに配置されて、ボンネット・フレーム172の強度に大きな影響を及ぼすことなくボンネット通路176の流量を改善することができる。小さいオリフィス174bと比べて、大きいオリフィス174aの配置は、ボンネット・フレーム強度を考慮することによりより厳しく管理されることがある。もう1つの例において、小さいオリフィス174bは、ボンネット24内の高い箇所やエンジン熱の集中から遠い位置など、エンジン室28内の望ましい吸入位置に配置することができる。
【0033】
図11に示したボンネット・フレーム172は、その反対側に、ボンネット・フレーム172の下面に吸気筐体キャビティ180を形成するバルジ182を含む。図8に示したように、キャビティ180は、吸気筐体14の上部を受け、吸気口46の前にスペース184を提供し、このスペース814により、吸気口46に入る吸気が、吸気筐体14の管48に沿った速度と比べて相対的に遅い速度を有することができる。図12に示したように、出口178から出る空気は、隔壁チャネル64に入り、キャビティ180を介して吸気口46に導かれる。
【0034】
図11に示した通路176は、流路16などの主経路が少なくとも部分的に塞がった状態で空気を自動車エンジンに提供するために使用されることが好ましい。例えば、車両が、図10に示したようにグリル18またはそれを超える高さまでの深さ186aの水位を有する洪水186に遭遇した仮定する。水は、流路16の一部分16aにある空気流が、空気を隔壁チャネル64に提供し、それにより空気が吸気口46に提供されるのを妨げる。したがって、吸気システム110のない自動車の自動車エンジン(図示せず)はエンストしかつ/または水を吸い込むことがあり、車両ドライバが立ち往生することになる場合がある。自動車用吸気システム110などの吸気システムによって、吸気口46は、通路176、出口178、および隔壁チャネル64を介してエンジン室28内部から空気を吸い込み、それによりエンジン(図示せず)の連続動作を可能にすることができる。
【0035】
吸気オリフィス174が、ボンネット24内のエンジン室28の最上部に配置されているので、吸い込まれた空気は、エンジン室28内の水188の近くにない。さらに、自動車が前進している間に自動車のラジエータ20、グリル18および他の前部がダムとして働くので、エンジン室内の水のレベル188aは、ラジエータ20の前にある水186bのレベルすなわち車両の前にある水186aのレベルよりも低くなるはずである。したがって、自動車エンジン(図示せず)は、空気通路176、出口178および隔壁チャネル64を介して空気を吸気口46に吸い込むことにより、高水位の間も動作し続けることができる。
【0036】
自動車用吸気システム110は、吸気の代替経路を提供する他に、吸気筐体14内へ水滴と粒子の取り入れを阻止するために蛇行通路を提供する。ボンネット・フレーム172内の大きいサイズの吸気オリフィス174とボンネット内の通路176により、吸気筐体14を通る速度と比べて相対的に低い速度でエンジン室から空気を取り出すことができる。通路176に沿ったボンネット24の内側は、吸気に含まれる水分を圧縮し捕捉するバッフルのように働くことができる。さらに、出口178と隔壁チャネル64を通る流路は、空気が出口178から出て隔壁チャネル64に入るときに空気の向きを変えることによって、流路16と同じように吸気から水分と粒子を除去することを促進する。
【0037】
流路16が覆い隠されていない自動車12の通常の動作において、あっても少ししかない空気が、通路172を介してエンジン室24から吸い込まれる。これは、車両前進中に前面スペース62内の高い圧力が空気を隔壁チャネルに押し込むからであり、これは、好ましくなく、出口178から隔壁チャネル64内への気流を妨げる可能性がある。車両12が動いていないときは、空気流路16よりも出口178の流れ断面積が小さいため、抵抗が最も小さい経路は、出口178を介してではなく空気流路16を通る可能性が高い。したがって、通路176は、空気を流すために空気流路16よりも大きい圧力差を必要とする。通常の動作状態において、空気は、流路16の相対的に大きい吸気領域を介して容易に入手可能である。しかしながら、流路16が部分的にまたは完全に塞がったとき、吸気筐体14を介してエンジン(図示せず)から吸い込まれた真空は、吸気量が制限されているため出口178で高くなり、これにより、エンジン室28と隔壁チャネル64の間の圧力差が高くなり、それにより空気通路172と出口174に空気が引き込まれる。
【0038】
次に図13と図14を参照すると、本発明の実施形態による自動車用吸気システム210が示される。自動車用吸気システムは、一般に、ボンネット板172内の第2の出口と関連するものを除き、自動車用吸気システム210の態様および選択物を含む。図13に示したように、ボンネット・フレーム172は、隆起180を貫通する第2の出口192と、吸気口46の前のスペース184内に延在する吸気筐体キャビティ180を形成する。この追加のポートは、流路16が部分的または完全に塞がった状態で、エンジン室24から吸気筐体14に大量の気流を提供する。通路190は、空気を出口178に導くために、通路176と協力してエンジン室24から第2の出口192に空気を導く。吸気は、図14に示した経路183を介して第2の出口192から出て吸気口46に入る。必要に応じて、通常の動作状態の間の代替通路からの流入を防ぐために、出口オリフィス178と192にばね式弁などの1つまたは複数の弁(図示せず)が提供される。限られた空気供給により隔壁チャネル64内で引かれる真空が高くなるとき、オプションの弁(図示せず)が開き、代替通路172と190に通路が開く。
【0039】
自動車用吸気システム10、110および210は、本発明による自動車用吸気システムの様々な態様を示す。これらのシステムは、通常の運転状態において、エンジンに、より少ない粒子と低い水分含有量を含むことができる温度の低い外部空気を提供することができる。さらに、このようなシステムの態様は、豪雨や洪水の状態のようなより極端な運転状態において吸気システムに水分と粒子を吸い込む可能性を減らすことができる。これらの実施形態において開示された本発明の態様は、個々に実施されても一緒に実施されてもよい。例えば、空気流路16に関連した態様は、吸気筐体14の構成に関連した態様を実施することなく実施されてもよい。もう1つの例において、システム110の代替吸気経路の態様は、エンジン室からエンジンに空気を提供するための主吸気経路として実施されてもよく単独吸気経路として実施されてもよい。
【0040】
本発明を、示した実施形態に関して説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく修正を行うことができることは評価され理解されるであろう。詳細には、本発明は、多くの様々なタイプの車両と吸気構造に適用される。
【符号の説明】
【0041】
10 自動車用吸気システム
14 吸気筐体
16 蛇行空気流路
18 グリル
24 ボンネット
28 エンジン室
46 吸気口
64 隔壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に自動車用吸気システムに関する。より詳細には、本発明は、空気を内燃機関に吸い込むための自動車用隔壁上吸気システム(automobile over-bulkhead air intake system)および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸気システムは、燃焼プロセスを支援するために内燃機関に必要な空気を提供する。従来の吸気システムは、エンジン室内部から空気を吸い込むかまたは外部吸気口を介して車両外部から空気を吸い込んでいる。一般に、空気をエンジン室内部から吸い込むように設計されたシステムには、外気よりも高温でかつ低密度の空気を吸い込むという欠点がある。このため、温度が低い外気を使用する場合よりもエンジンの効率が低い。これらのシステムの欠点に対処する解決策は、温度の低い外気を吸い込むことである。しかしながら、空気を外部吸気口を介して吸い込むように設計されたシステムには、一般に、エンジン吸気を阻止し、空気流を妨げ、またはエンジンを破損させる場合がある水または粒子を含む空気を吸い込むという欠点がある。そのような外部吸気口システムの欠点に対処する解決策が提案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,564,513号
【特許文献2】米国特許第6,510,832号
【特許文献3】米国特許第5,022,479号
【特許文献4】米国特許第5,022,479号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、ボンネット(vehicle hood)の下のラジエータ前に配置された吸気口を有する内燃機関用外部吸気システムを開示している。吸気口は、吸気から固体粒子を除去し空気から水を分離するためのフィルタを含む。しかしながら、この吸気口は、車両のボンネットの下のラジエータ前に大きなスペースを必要とし、現代の車両の密集したエンジン室内に収めるのは困難である。さらに、フィルタが吸気口の外側開口の近くにあるので、フィルタがすぐに詰まって空気流を妨げやすく、頻繁な交換を必要とする場合がある。
【0005】
特許文献2は、外部空気に対する主空気入口、補助空気入口、水分センサ、および主空気入口を閉じる電気弁を備えることによって水の吸い込みを回避する内燃機関用外部吸気システムを開示している。主入口で水分が感知されると、電気弁が主入口を閉じ、空気がエンジン室から補助空気入口に吸い込まれる。しかしながら、特許文献2のシステムは、空気式または電空式の駆動機構と電気式水分センサを必要とする。これらの複雑な要素は、故障する可能性が高い。
【0006】
特許文献3は、ボンネット内に形成され、前方周囲空気入口と後方空気出口を含む長方形チャネルを開示している。チャネルは、中を流れる空気から水分を捕捉する一連のバッフルを含む。チャネルとエンジンエアクリーナの間に架ける封止スリーブが提供される。特許文献3のシステムには、このシステムがボンネット・スペースの大きな部分を占め、エアクリーナシステムと接続する特殊なスリーブ設計に依存するという欠点がある。
【0007】
特許文献4は、空気の流れから水と重い粒子を除去するためにトラックのボンネット内に形成されたエアダクトを開示している。吸気経路は、経路内に集まった水の排出を可能にする水抜き穴を備えた垂直ダクトを含む。吸気経路は、ボンネット・スペースの大きな部分を占め、効率的な空気流を妨げる吸気システムまでの長い導管を作成する。
【0008】
したがって、改善された吸気システムが必要である。さらに、内燃機関用の水分および/または粒子の含有量が少ない温度の低い外部空気を効率的に得る方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術の欠点を克服しかつ/または代替構成を提供するために、本発明の態様は、エンジン室の外部からエンジンに空気を提供するための自動車用吸気システムを提供する。本発明の実施形態による自動車用吸気システムは、エンジン室の前を横切る隔壁に結合された吸気筐体を含む。自動車グリル、ラジエータ、および隔壁前のボンネットの前部が、吸気筐体の吸気口までの空気流チャネルを形成する。本発明の態様は、空気流チャネル内を通る水と粒子の流れを阻止しかつ横方向の吸気経路を形成するために隔壁からグリルまで延在するスクリーンを含む。他の態様は、エンジン室から吸気筐体まで空気を導くための代替の空気経路を提供する。
【0010】
本発明の態様は、さらに、ボンネット内の吸気経路を介してエンジン室から自動車エンジンに空気を提供する自動車用吸気システムを提供する。ボンネット内の吸気経路は、主経路が少なくとも部分的に塞がれたときにエンジンに空気を提供する代替経路でよい。本発明の実施形態によれば、自動車用吸気システムは、吸気筐体と、エンジン室内から吸気筐体に空気を提供するための通路を有するボンネットとを含む。本発明の様々な態様の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明と図面を参照することにより明らかになるであろう。
【0011】
本発明は、添付図面を参照して好ましい実施形態の以下の説明において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による自動車用吸気システムの正面斜視図である。
【図2】図1の細部2の拡大前面右斜視図である。
【図3】ボンネットが開位置の状態で示した図1の自動空吸気システムの一部分の前面左斜視図である。
【図4】ボンネットが開位置にある状態でエンジン室内から見た図1の自動車用吸気システムの一部分の後面斜視図である。
【図5】図1の吸気筐体の上面図である。
【図6】図1の吸気筐体の側面図である。
【図7】ボンネットが閉位置にある状態で示した図1の自動車用吸気システムの一部分の正面図である。
【図8】図7の線8−8に沿って切断した部分断面図である。
【図9】本発明のもう1つの実施形態による自動車用吸気システムの正面斜視図である。
【図10】図9の線10−10に沿って切断した部分断面図である。
【図11】ボンネット板を取り外した状態のボンネットフレームの図9の細部11の斜視図である。
【図12】吸気筐体への空気流を示す図9の自動車用吸気システムの一部分の斜視図である。
【図13】ボンネット板を取り外した状態のボンネット・フレームを示す本発明のさらに他の実施形態による図11と類似の自動車用吸気システムの部分斜視図である。
【図14】吸気筐体への空気流を示す図13の自動車用吸気システムの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の様々な態様を様々な形で具体化することができる。以下の説明は、本発明の態様を実施することができる様々な実施形態を実例として示す。他の実施形態を利用することができ、本発明の範囲から逸脱することなく構造的および機能的な修正を行うことができる。次に図1〜図8を参照して、本発明の実施形態による自動車用吸気システム10を自動車12の一部として示す。示したように、自動車用吸気システム10は、一般に、自動車12の前部に配置された吸気筐体14と、吸気筐体14までの流路16(図8参照)とを含み、流路16は全体がグリル18を通るグリル開口19、ラジエータ20およびボンネット24の前部22によって構成されている。自動車用吸気システム10は、吸気筐体14に吸い込まれる空気に含まれる粒子と水の侵入を防ぎながらエンジン室の外部から自動車エンジン(図示せず)に低い温度の空気を提供する。
【0014】
図1〜図4に示したように、自動車12は、エンジン室28の境界を構成するフレーム26を有する。エンジン室28の前部を横切って、一般に隔壁30と呼ばれる横フレーム要素が配置されている。隔壁30は、一般に、U字型棒鋼などの構造フレーム部材であり、エンジン室の上部に沿ってエンジン室の前部を横切っている。吸気筐体14は、隔壁30の上に配置され、ボルトおよび/または他の共通コネクタなどの金物によって、隔壁、隔壁カバー56および/または他の構造物に直接取り付けることができる。図4に示したように、吸気筐体14は、ろ過した空気を自動車エンジン(図示せず)まで導くエア・フィルタ・ユニット34までの空気通路を提供する。
【0015】
具体的には図5と図6を参照すると、吸気筐体14は、一般に、壁37を有し、この壁37は共に、空気流路45を介して空気をエア・フィルタ・ユニット34に導くチャネル44を形成する。吸気筐体14の前部において、壁37は、上壁38と向かい合う基板36と、両側の一対の側壁40および42を含むことができる。基板36、上壁38、および側壁40と42の前部が、自動車12のほぼ前方に向かう吸気口46を構成する。吸気口46は、吸気口46における空気流路45に対して垂直なチャネル断面44よりも大きい開口を提供するように、基板36かつ/または空気流路45の断面から傾斜していることが好ましい。例えば、図6に示したように、吸気口46は、吸気口46内の点45aにおいて空気流路45および/または基板36と鋭角αを形成することができる。鋭角αは、約5度〜85度であることが好ましく、約30度〜60度であることがより好ましい。さらに、鋭角αは約45度であることが好ましく、これにより、空気流路45に対して垂直なチャネル断面44よりも大きい面積を有する吸気口46が提供される。後でさらに詳しく説明するように、これにより、吸気口46における気流速度が遅くなり、空気中の水と粒子を吸い込む可能性が低下する。図示したように、基板36、上壁38、側壁40および42は共に、エア・フィルタ・ユニット34に向かって延在する円形の管48を形成するように、空気流路45に沿って湾曲している。
【0016】
空気流路45に対して垂直なチャネル断面44は、点45aの位置の幅Wとチャネル高さによって作成される点45aにおける比較的大きい断面積から、エア・フィルタ・ユニット34に至る管48の直径Dに基づいくより小さい断面積まで、徐々に減少することが好ましい。点45aにおける空気流路45に対して垂直なチャネル断面積44は、管48に沿った点45dにおける空気流路45に対して垂直なチャネル断面積の有効径よりも10パーセント以上大きい有効径を有することが好ましい。これにより、所定の体積流量がチャネル44を通る場合、吸気口46における空気速度は、管48に沿った空気速度よりも遅くなる。例えば、点45aの有効径は約99cm2であり、点45dの有効径は約88cm2である。図8と関連して後で説明するように、吸気筐体14には、点45dにおける小さい断面による速度が点45aに存在するかのように、吸気口で高い空気速度で吸い込まれるのではなく、点45aにおける相対的に大きい断面積によって可能な低い空気速度で、吸気口46を介して、少ない含有量の粒子および/または水が吸い込まれる。吸気筐体14は、気密性があり、一般に軽量で、頑強で、さらには製造が安価な当技術分野で既知のモールド成形したプラスチック・ユニットであることが好ましいが、金属部品またはプラスチック部品の組立体のような他の既知の製造技術によって形成されてもよい。
【0017】
吸気筐体14は、ラジエータ20の上に延在するように形成され適応されており、ラジエータ20は、吸気筐体14(図8を参照)の基板36の高い点または頂点50より下に位置合わせされるこが好ましい。したがって、図6に示したように、点45bにおける基板36と空気流路45は、吸気口46から基板頂点50まで延在するときに上に傾けられている。これは、チャネル44に吸い込まれるかあるいはチャネル44内に落下した粒子、物体、水などが、吸気口46を介してチャネル44から出るようにする。別の言い方をすると、基板頂点50は、吸気筐体14の前部から吸気口46を介して粒子、水分または物体を放出するために、吸気筐体14の前方に重力バイアスを形成する。さらにそのような要素がチャネル44から出ることを促進するために、基板36は、吸気口46内に配置された段52を形成する。ボンネットが開いた構造のときに工具などの物体が吸気口46内に落ちた場合、段52は、そのような物体がチャネル44から吸気口46を介して出ることを促進する。
【0018】
ラジエータ20を基板頂点50よりも下に配置することによって、ラジエータを隔壁20の後ろに配置することができる。図8と共に後で述べるように、ラジエータ20は、隔壁30と並んで配置されるか隔壁30の前に配置されるよりも、隔壁30の後方に配置されることが好ましく、これは、従来の車両では最も一般的である。ラジエータ20が隔壁20より後方にずれているため、流路16に沿った乱れが減少し、吸気によるラジエータ20からの熱の吸収が減少し、隔壁30をジエータ20の頂部よりも低くすることによって隔壁30の頂部に吸気口46のスペースが提供される。
【0019】
図6に示したように、基板36、チャネル44、および空気流路45は、点45cと45dによって示したように、基板頂点50から管48に沿ってエア・フィルタ・ユニット34の方に下方に傾けられて延在することが好ましい。管48に沿ってエア・フィルタ・ユニット34(図4を参照)と接続する前に最下点54が存在することができ、この最下点54は、チャネル44に吸い込まれた物体または水分が、エア・フィルタの交換に合わせて引き上げ回収することができかつ/または流体タップとして働くことができる。必要に応じて、チャネル44に吸い込まれた水分を排出できるように、管48の最下点54に排出口が形成されてもよい。
【0020】
図2、図3および図8に示したように、隔壁カバー56が、隔壁30の上に配置され、隔壁30の上に実質的に平らに取り付けられることが好ましい。隔壁カバー56は、隔壁30の上からグリル18の上まで前方に延在し、網またはスクリーン60を形成する貫通形成された複数の孔58を含む。スクリーン60は、入る空気の流量に大きな影響を及ぼすことなく、水滴と比較的大きい粒子が吸気筐体14に入ることを防ぐために、流路16を横切る通気性バリアを形成する。スクリーン60は、ほとんどのほこりを遮断できるほど小さくかつ空気流を実質的に制限するほど小さくない孔を有するべきである。例えば、スクリーン60は、ほとんどのほこりの侵入を防ぎかつ良好な空気流の通過を可能にする約140平方ミリメートルの領域を有する穴を含む。水滴と粒子は、自動車12の前面にはねかけられまたは浴びせかけられた水または粒子ならびに吸気によって運ばれる水分または粒子からのものであることがある。スクリーン60は、これらの要素の初期の偏向を実現し、これにより、吸気システムの詰まりを防いだりエア・フィルタ(図示せず)の早すぎる交換の必要を防いだりすることができる。
【0021】
スクリーン60は、隔壁30とグリル18の間に、スクリーン60で収集された粒子または水分が下に流れスクリーン60から落ちるのを促進するために水平から斜めに延在することが好ましい。より好ましくは、図8に示したように、スクリーン60は、隔壁カバー56からグリル18まで隔壁カバー56の上部から下向き角度γで傾けられ、これにより、スクリーン60に集められた粒子または水分はラジエータ20から下に流れ、ラジエータを通って吸い込まれるのが回避される。下向き角度γは、約15度〜85度であることが好ましく、約30度〜60度であることがより好ましい。さらに好ましくは、角度γは約45度である。これらの範囲の下向き角度γは、スクリーン60が、角度γで下に傾けられたときに要素がスクリーン60とぶつかりそうな小さい入射角のために流路16の方にはねかけられまたは浴びせかけられた要素を偏向することを可能にする。
【0022】
具体的には図8を参照すると、吸気システム10の様々な構成要素に対する流路16が示されている。図示したように、ラジエータ20は、車両内で、基板頂点50の下で隔壁30の後方に配置されている。従来の車両では、ラジエータ20は、隔壁30の下のグリル18の比較的近くに重ねて配置されている。ラジエータ20を全体的に隔壁30の後方にずらすところにより、ラジエータ20を隔壁30の真下に配置する場合よりも前面スペース62が大きくなる。ラジエータ20が隔壁30の下に重ならないので、隔壁30をラジエータ20の頂点とほぼ同じ高さにするかそれより低くするような、隔壁30をエンジン室内において従来の構成よりも低く配置する設計の柔軟性が提供される。(また、これにより、ボンネット24の高さを著しく高くすることなく吸気口46のスペースが提供される)。前面スペース62が大きいと、従来の構成よりも乱流が少ない空気ポケットが提供され、それにより吸気とラジエータ20近くの高温の空気との混合が減少する。したがって、温度の高い空気よりも高密度でかつ高燃料効率の温度の低い外気を、吸気筐体14に提供し、最終的に自動車エンジン(図示せず)に提供することができる。また、前面スペース62は、吸気経路の領域に入った水が吸気口46から下に出るための場所を提供する。
【0023】
図8に示したように、空気は、流路16に沿って吸気筐体14に吸い込まれる。空気は、車両12の前方からグリル18の隙間19を通って流れ込む。車両12が、標準的な運転状態で操作されているとき、車両12の前進運動により、空気は、流路16の一部分16aに沿ってほぼ後方に前面スペース62に送り込まれる。ラジエータ20および/または車両12の他の構成要素が空気を部分的に堰止め、それにより前面スペース62内の空気圧が上昇する。これにより、空気が、部分16bにおいてその後方経路から約90度以上向きを変え、部分16cに沿って上方に流れるように促進される。したがって、グリル18を通る空気は、部分16bにおいてその入った経路に対して角度δで流れ、スクリーン60を通って部分16cに沿って上方前方に流れるように向きを変える。角度δは、約15度〜85度であることが好ましく、約45度であることがより好ましい。吸気を角度δだけ向きを変えるように導くことによって、部分16aに沿った空気中に浮遊する水滴と粒子が、流路16に沿った16bの相対的に鋭い曲がりに沿って吸い込まれることなく引き続き後方に流れるように促進される。
【0024】
エンジン吸気システムは、前面スペース62からの空気が部分16bに沿って曲がり、部分16cに沿って上方に流れるのをさらに促進するように、吸気筐体14の吸気口46を介して減圧する。吸気システムによる減圧は、車両が動いていないときまたは後方に移動しているときに、空気が流路16に沿って動くように促進する主原動力である場合がある。吸気が部分16cに沿ってスクリーン60を介して吸い込まれた後で、ボンネット24の前部分のボンネット・フレーム172の内側によって、空気が、部分16dで後方に向きを変えるように導かれ、部分16eに沿って吸気口46の方に導かれる。部分16dにおける後方の曲がりにより、残っている水滴または粒子が、例えばボンネット・フレーム172の側面に集まることにより空気から落下するのがさらに促進される。したがって、流路16は、垂直面にほぼS字形に形成された蛇行経路でもよく、この蛇行経路により、グリル18を介して吸い込まれた浮遊する粒子と水滴が、空気よりも大きいその質量と運動量に基づいて、ラジエータの方に引き続き後方に流れることが促進される。さらに、流路16が、残りの粒子と水滴をスクリーン60またはボンネット・フレーム172の側面に沿って集まることを促進する。したがって、吸気システムに吸い込まれる水分と粒子の量は、曲がりくねっていない吸気経路よりも少なくなる。
【0025】
通常の車両運転速度においてグリル18に入る粒子と水滴の大きい後方運動量によってその粒子と水滴が空気から分離されることが促進されるので、この構成には、もっと単純な蛇行した吸気経路よりも優れた長所がある。粒子と水滴の含有量をさらに減少させるために、流路16の部分16cに沿って流れ続けるか空気経路に沿って跳ね上がる可能性のある粒子と液滴を捕捉するスクリーン60が配置される。垂直面で見てほぼS字形に形成された蛇行流路16は、吸気から大量の水滴と粒子を除去することができ、これは、スクリーン60によって強化される。
【0026】
図8に示したほぼS字形で示したように吸気を垂直方向に導く他に、流路16は、粒子と水滴の量をさらに減らすために吸気の大部分を水平方向にも導く。図1に示したように、スクリーン60は、一般に、吸気口46の幅Wよりもかなり広い距離Sだけグリル18を横切って延在する。したがって、図8に断面で示したように、グリル18の上部、隔壁カバー56、スクリーン60、およびボンネット・フレーム172の内側の間には、ほぼ水平な隔壁チャネル64が形成される。吸気口46との横方向の関係により、吸気はスクリーン60を介して吸い込まれた後で、吸気を隔壁チャネル64に沿って横方向に導くことができる。隔壁チャネル64内で、吸気は、吸気口46の方に導くために約90度角度を変える。
【0027】
隔壁チャネル64の前と後には、ボンネット・フレーム172の下面に取り付けられ、吸気口46の方に横方向に延在するほぼ気密な流路16を提供することができるシール66と68が配置されることが好ましい。シール66と68は、ゴムや発泡材などの圧縮可能な材料から作成されることが好ましく、ボンネット・フレーム172とグリル18の内側と吸気筐体14の上部と隔壁カバー56との間に気密シールを提供することができる。気密シールは、吸気の大部分が空気流路16を介して吸気口46に入ることを保証することによって、吸気システム10の有効性を高める。隔壁チャネル64をほぼ封止するために、ボンネット24の内側172と隔壁カバー56や他の構造物の間のさねはぎ構造のような他のシールも意図される。エンジンによる減圧が、吸気筐体14内側の気圧を下げ、吸気が隔壁チャネル64に沿って吸気口46に入ることを促進する。吸気口46よりもグリル18とスクリーン60の幅が広いので、さらに、車両12の前進中に吸気スペース62内の圧力が高くなると、吸気が隔壁チャネル64に沿って吸気口46に入るのが促進される。したがって、吸気の一部がスクリーン60を通って吸気口46内に直接ほぼ垂直に上昇することができるので、吸気の大部分は、隔壁チャネル64内で、吸気口46のすぐ前には配置されていないスクリーン60の一部分から隔壁カバー56に沿って横方向に進むことができる。吸気の多くをそのように横方向の導くことにより、水滴と粒子が吸気から落下するのがさらに促進される。
【0028】
吸気システム10の様々な態様を組み合わせて吸気中の水滴と粒子の量を減らす。吸気中の水滴と粒子の量を減らすと、エア・フィルタ・ユニット34に入れられたエア・フィルタの寿命が長くなり、吸気システムとエンジンに提供される空気が清浄になり、燃焼のために温度が低い外気が提供され、それにより、エンジン(図示せず)の効率を大幅に高めることができる。流路16の垂直部分の曲がり16bと16dは、流路16の隔壁チャネル64部分内の空気の横方向の流れおよび流路16に沿った低い空気速度と組み合わさって、吸気口46に入る前に多くの粒子と水滴が吸気から出ることを促進する。吸気口46の幅と比べて隔壁チャネル64の長さが大きいので、スクリーン60に吸い込まれる空気の速度を吸気口46に入る空気の速度より遅くすることができる。図5と図6と共に前に述べたように、吸気口46の吸気速度は、管48に沿った速度よりも遅く維持され、それにより水分と粒子の侵入がさらに減少する。これらの態様が組み合わさって、吸気システム10への水分と粒子の侵入が大幅に減少する。
【0029】
個々または一緒に実施することができる吸気システム10の前述の態様によって提供される通常の運転条件の間により温度が低くかつ清浄な空気を提供する他に、吸気システム10は、さらに、より極端な運転条件の間に吸気システムに水分と粒子が吸い込まれる可能性を小さくする。吸気口46をボンネット24内側に対してできるだけ高く配置することにより、激しい暴風雨や洪水などによる極端な運転条件の間に水が吸気システムに入る可能性が減少する。空気がグリル18の上部などを介して流路16に入る可能性のある間、水分と粒子の含有量が少ない温度の低い外部吸気を吸気システムに提供することができる。そのような極端に濡れた条件においても、空気流路16に沿った空気の縦方向と横方向の流れ、空気流路16を通る低い吸気流速度、およびスクリーン60を通る空気のろ過により、水滴が吸気システム10に吸い込まれる可能性が減少する。
【0030】
次に図1〜図8と共に図9〜図12を参照すると、本発明のもう1つの実施形態による自動車用吸気システム110が示されている。吸気システム110は、外気への主吸気経路が利用不可能かまたは部分的に塞がった場合に、エンジン室28に収容された空気を吸気口46まで導く代替吸気経路を提供する。自動車用吸気システム110は、一般に、代替吸気経路に関するもの以外は、前述の吸気システム10の態様と選択物を含む。吸気システム110は、一般に、吸気システム10の態様と選択物を含むが、代替吸気経路に関する吸気システム110の態様は、吸気システム10の態様および選択物と別に実施されてもよい。さらに、システム110の代替吸気経路の態様は、エンジン室からエンジンに空気を提供するための主または単独の吸気経路として実施されてもよい。
【0031】
実施形態10と共に開示された特徴の他に、自動車用吸気システム110は、一般に、エンジン室28と隔壁チャネル64の間に延在するボンネット24内の吸気経路を含む。図10に示したように、ボンネット24は、ほぼ途切れのない外板170と、ボンネット板170の下側から離間されて取り付けられたボンネット・フレーム172とを含む。ボンネット・フレーム172は、エンジン室28内部から空気を吸い込むためにボンネット24のほぼ中央領域に配置された複数の吸気オリフィス174を形成する。ボンネット板170とボンネット・フレーム172の間の隙間は、エンジン室28内から吸気オリフィス174を介して空気を出口178に導く1つまたは複数の空気通路176を構成し、その空気は隔壁チャネル64に流れ込む。図示したように、出口178は、ボンネット24が閉じた位置にあるときにラッチ179と係合するように使用される、ボンネット・フレーム172を貫通するラッチ穴でよい。通路176は、エンジン室内部から隔壁チャネル64までの代替吸気経路を提供し、この代替吸気経路は吸気口46に至る。したがって、外気を吸気口46に提供する主空気流路16が部分的にあるいは全体的に塞がった場合に、エンジン室28内の空気をエンジン(図示せず)に導いて、エンジンを動作し続けることができる。これは、深い洪水の水の中に運転してゆくような予期しない緊急状態には大きな利点である。
【0032】
図11は、エンジン室28から吸気オリフィス174を介して出口178まで空気を導くボンネット24内の通路176を示すために、ボンネット板170を取り外した状態のボンネット・フレーム172の上部斜視図である。吸気オリフィス174は、ボンネット・フレーム172の要素をなくすことによりボンネット24の重量を減らしかつ空気通路176内に大きな気流を提供する2つの目的を果たすことができる大きいオリフィス174aと、小さいオリフィス174bとを含む。小さいオリフィスは、吸気の長所を提供するためにボンネット・フレーム172内に戦略的に形成されることがある。例えば、小さいオリフィス174bは、大きいオリフィス174aよりも出口178の近くに配置されて、ボンネット・フレーム172の強度に大きな影響を及ぼすことなくボンネット通路176の流量を改善することができる。小さいオリフィス174bと比べて、大きいオリフィス174aの配置は、ボンネット・フレーム強度を考慮することによりより厳しく管理されることがある。もう1つの例において、小さいオリフィス174bは、ボンネット24内の高い箇所やエンジン熱の集中から遠い位置など、エンジン室28内の望ましい吸入位置に配置することができる。
【0033】
図11に示したボンネット・フレーム172は、その反対側に、ボンネット・フレーム172の下面に吸気筐体キャビティ180を形成するバルジ182を含む。図8に示したように、キャビティ180は、吸気筐体14の上部を受け、吸気口46の前にスペース184を提供し、このスペース814により、吸気口46に入る吸気が、吸気筐体14の管48に沿った速度と比べて相対的に遅い速度を有することができる。図12に示したように、出口178から出る空気は、隔壁チャネル64に入り、キャビティ180を介して吸気口46に導かれる。
【0034】
図11に示した通路176は、流路16などの主経路が少なくとも部分的に塞がった状態で空気を自動車エンジンに提供するために使用されることが好ましい。例えば、車両が、図10に示したようにグリル18またはそれを超える高さまでの深さ186aの水位を有する洪水186に遭遇した仮定する。水は、流路16の一部分16aにある空気流が、空気を隔壁チャネル64に提供し、それにより空気が吸気口46に提供されるのを妨げる。したがって、吸気システム110のない自動車の自動車エンジン(図示せず)はエンストしかつ/または水を吸い込むことがあり、車両ドライバが立ち往生することになる場合がある。自動車用吸気システム110などの吸気システムによって、吸気口46は、通路176、出口178、および隔壁チャネル64を介してエンジン室28内部から空気を吸い込み、それによりエンジン(図示せず)の連続動作を可能にすることができる。
【0035】
吸気オリフィス174が、ボンネット24内のエンジン室28の最上部に配置されているので、吸い込まれた空気は、エンジン室28内の水188の近くにない。さらに、自動車が前進している間に自動車のラジエータ20、グリル18および他の前部がダムとして働くので、エンジン室内の水のレベル188aは、ラジエータ20の前にある水186bのレベルすなわち車両の前にある水186aのレベルよりも低くなるはずである。したがって、自動車エンジン(図示せず)は、空気通路176、出口178および隔壁チャネル64を介して空気を吸気口46に吸い込むことにより、高水位の間も動作し続けることができる。
【0036】
自動車用吸気システム110は、吸気の代替経路を提供する他に、吸気筐体14内へ水滴と粒子の取り入れを阻止するために蛇行通路を提供する。ボンネット・フレーム172内の大きいサイズの吸気オリフィス174とボンネット内の通路176により、吸気筐体14を通る速度と比べて相対的に低い速度でエンジン室から空気を取り出すことができる。通路176に沿ったボンネット24の内側は、吸気に含まれる水分を圧縮し捕捉するバッフルのように働くことができる。さらに、出口178と隔壁チャネル64を通る流路は、空気が出口178から出て隔壁チャネル64に入るときに空気の向きを変えることによって、流路16と同じように吸気から水分と粒子を除去することを促進する。
【0037】
流路16が覆い隠されていない自動車12の通常の動作において、あっても少ししかない空気が、通路172を介してエンジン室24から吸い込まれる。これは、車両前進中に前面スペース62内の高い圧力が空気を隔壁チャネルに押し込むからであり、これは、好ましくなく、出口178から隔壁チャネル64内への気流を妨げる可能性がある。車両12が動いていないときは、空気流路16よりも出口178の流れ断面積が小さいため、抵抗が最も小さい経路は、出口178を介してではなく空気流路16を通る可能性が高い。したがって、通路176は、空気を流すために空気流路16よりも大きい圧力差を必要とする。通常の動作状態において、空気は、流路16の相対的に大きい吸気領域を介して容易に入手可能である。しかしながら、流路16が部分的にまたは完全に塞がったとき、吸気筐体14を介してエンジン(図示せず)から吸い込まれた真空は、吸気量が制限されているため出口178で高くなり、これにより、エンジン室28と隔壁チャネル64の間の圧力差が高くなり、それにより空気通路172と出口174に空気が引き込まれる。
【0038】
次に図13と図14を参照すると、本発明の実施形態による自動車用吸気システム210が示される。自動車用吸気システムは、一般に、ボンネット板172内の第2の出口と関連するものを除き、自動車用吸気システム210の態様および選択物を含む。図13に示したように、ボンネット・フレーム172は、隆起180を貫通する第2の出口192と、吸気口46の前のスペース184内に延在する吸気筐体キャビティ180を形成する。この追加のポートは、流路16が部分的または完全に塞がった状態で、エンジン室24から吸気筐体14に大量の気流を提供する。通路190は、空気を出口178に導くために、通路176と協力してエンジン室24から第2の出口192に空気を導く。吸気は、図14に示した経路183を介して第2の出口192から出て吸気口46に入る。必要に応じて、通常の動作状態の間の代替通路からの流入を防ぐために、出口オリフィス178と192にばね式弁などの1つまたは複数の弁(図示せず)が提供される。限られた空気供給により隔壁チャネル64内で引かれる真空が高くなるとき、オプションの弁(図示せず)が開き、代替通路172と190に通路が開く。
【0039】
自動車用吸気システム10、110および210は、本発明による自動車用吸気システムの様々な態様を示す。これらのシステムは、通常の運転状態において、エンジンに、より少ない粒子と低い水分含有量を含むことができる温度の低い外部空気を提供することができる。さらに、このようなシステムの態様は、豪雨や洪水の状態のようなより極端な運転状態において吸気システムに水分と粒子を吸い込む可能性を減らすことができる。これらの実施形態において開示された本発明の態様は、個々に実施されても一緒に実施されてもよい。例えば、空気流路16に関連した態様は、吸気筐体14の構成に関連した態様を実施することなく実施されてもよい。もう1つの例において、システム110の代替吸気経路の態様は、エンジン室からエンジンに空気を提供するための主吸気経路として実施されてもよく単独吸気経路として実施されてもよい。
【0040】
本発明を、示した実施形態に関して説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく修正を行うことができることは評価され理解されるであろう。詳細には、本発明は、多くの様々なタイプの車両と吸気構造に適用される。
【符号の説明】
【0041】
10 自動車用吸気システム
14 吸気筐体
16 蛇行空気流路
18 グリル
24 ボンネット
28 エンジン室
46 吸気口
64 隔壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に配置されたグリルと、
前記車両のエンジン室の前方かつ上方を車両幅方向に横切るように延びている隔壁と、
前記エンジン室の上方に配置されたボンネットと、
前記隔壁に結合され、エンジンまで空気を導くための吸気口を有する吸気筐体と、
を備え、
前記グリル、隔壁およびボンネットによって、前記吸気口まで延びる蛇行空気流路が形成され、
前記蛇行空気流路を横切るように、前記隔壁とグリルとの間にスクリーンが配置され、
前記吸気筐体の複数の壁と基板によって、前記吸気口から上方へ傾斜して頂点から下方へ傾斜して延びる吸気チャネルが形成され、さらには、
前記壁と基板の端部によって前記吸気口が形成されているとともに、この吸気口に沿って前記基板に段が形成されていることを特徴とする自動車用吸気システム。
【請求項2】
ボンネットは、外側のボンネット板と、出口ポートを有する内側のボンネット・フレームと、を含み、これらのボンネット板とボンネット・フレームとの間に代替吸気通路が構成されるとともに、この代替吸気通路と前記吸気口との連通が、前記ボンネット・フレームの有する出口ポートによって構成されることによって、前記エンジン室と吸気口とが流体的に連通可能となり、前記吸気筐体は、蛇行空気流路および代替吸気通路の両方から選択的に空気を取り込めることを特徴とする請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項3】
ボンネットを閉じた構成でロックするラッチをさらに備え、ボンネットを閉じたときにボンネット・フレームがボンネット・ラッチの近くに出口を構成する請求項2に記載の自動車用吸気システム。
【請求項4】
ボンネットを閉じたときにボンネット・フレームが筐体吸気口の近くに出口を構成する請求項2に記載の自動車用吸気システム。
【請求項5】
吸気筐体の下方かつ隔壁の上方に隔壁カバーをさらに備える請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項6】
前記壁の端部が、吸気口において基板から30度〜60度の角度で傾いている請求項1に記載の自動車システム。
【請求項7】
吸気口は、車両の前方を向いており、吸気壁は、車両の後方に傾いている請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項8】
ボンネットと吸気筐体の間に配置されたシールをさらに含む請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項9】
前記シールは、ボンネットの下側に取り付けられ、吸気筐体の上面と嵌合する請求項8に記載の自動車用吸気システム。
【請求項10】
ボンネットとグリルの間に配置されたシールをさらに含む請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項11】
吸気筐体は、該吸気筐体の第1の端にある吸気口から第2の端に結合されたエア・フィルタまで空気を導く先細の吸気チャネルを形成し、この吸気チャネルは、吸気口のある第1の端では第1の断面積を有し、吸気口の下流の一点では第2の断面積を有し、第1の断面積は、第2の断面積よりも約10%以上大きいチャネル有効径を有する請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項12】
第1の断面積の有効径が約99cm2であり、第2の断面積の有効径が約88cm2である請求項11に記載の自動車用吸気システム。
【請求項13】
吸気筐体は、該吸気筐体の第1の端における吸気口から第2の端と結合されたエア・フィルタまで空気を導くための吸気チャネルを形成し、この吸気チャネルは、吸気口から上方へ傾斜して延びている請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項14】
エンジン室内に配置されたラジエータをさらに含み、前記頂点が、隔壁の後方に位置するとともに、頂点の下方にラジエータが設けられている請求項13に記載の自動車用吸気システム。
【請求項15】
スクリーンは、隔壁からグリルへ向かって下方に傾いている請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項16】
スクリーンは、水平から15度〜85度の角度で下方に傾いている請求項15に記載の自動車用吸気システム。
【請求項17】
スクリーンは、水平から40〜50度の角度で下方に傾いている請求項16に記載の自動車用吸気システム。
【請求項18】
前記吸気口に沿って形成された段は、吸気チャネルから物体が出ることを促進する請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項19】
吸気口が、基板から5度〜85度に傾けられた平面に形成される請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項20】
車両の前部に配置されたグリルと、前記車両のエンジン室の前方かつ上方を車両幅方向に横切るように延びている隔壁と、前記エンジン室の上方に配置されたボンネットの内側と、の間に蛇行空気流路が構成されるように、車両のボンネットを閉じるステップと、
前記隔壁に結合された吸気筐体であってエンジンへ吸気を導くための吸気口を有する吸気筐体内へ、前記蛇行空気流路を介して空気を吸い込むステップと、
前記吸気筐体の複数の壁と基板によって形成された、前記吸気口から上方へ傾斜して頂点から下方へ傾斜して延びる吸気チャネルを介して、車両のエンジンへ空気を導くステップと、
を含み、
前記空気を吸い込むステップはさらに、
空気が前記蛇行空気流路を通るときに、空気から大きい粒子と液滴をスクリーニングするステップと、
前記蛇行空気流路を横切るように隔壁とグリルの間に配置されたスクリーンによって、空気中の粒子と液滴の含有量をさらに減少させるステップと、を含み、
前記吸気筐体の壁と基板の端部によって前記吸気口が形成されているとともに、この吸気口に沿って前記基板に段が形成されていることを特徴とする、車両の内燃機関に空気を吸い込む方法。
【請求項21】
前記車両のエンジンへ空気を導くステップは、
ある体積流量および第1の速度の空気を吸気口から吸い込み、
吸気チャネルに沿って空気を通流させて、
前記体積流量を維持しながら空気の速度を第2の速度に高めること、
を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
蛇行空気流路が少なくとも部分的に塞がれた状態で、エンジン室から、ボンネット板とボンネット・フレームの間に形成されたボンネット通路を介して、吸気システムの吸気口まで空気を導くことをさらに含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
エンジン室から空気を導くことは、エンジン室の空気を蛇行空気流路の一部分に導くことを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
エンジン室から空気を導くことは、ボンネットが閉じているときに、ボンネット・ラッチ近くのボンネット・フレームに形成されたボンネット・ラッチ開口を介してエンジン室の空気を導くことを含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
エンジン室から空気を導くことは、ボンネットが閉じているときに、吸気筐体近くのボンネット・フレームに形成されたボンネット吸気口を介してエンジン室の空気を導くことを含む請求項22に記載の方法。
【請求項1】
車両の前部に配置されたグリルと、
前記車両のエンジン室の前方かつ上方を車両幅方向に横切るように延びている隔壁と、
前記エンジン室の上方に配置されたボンネットと、
前記隔壁に結合され、エンジンまで空気を導くための吸気口を有する吸気筐体と、
を備え、
前記グリル、隔壁およびボンネットによって、前記吸気口まで延びる蛇行空気流路が形成され、
前記蛇行空気流路を横切るように、前記隔壁とグリルとの間にスクリーンが配置され、
前記吸気筐体の複数の壁と基板によって、前記吸気口から上方へ傾斜して頂点から下方へ傾斜して延びる吸気チャネルが形成され、さらには、
前記壁と基板の端部によって前記吸気口が形成されているとともに、この吸気口に沿って前記基板に段が形成されていることを特徴とする自動車用吸気システム。
【請求項2】
ボンネットは、外側のボンネット板と、出口ポートを有する内側のボンネット・フレームと、を含み、これらのボンネット板とボンネット・フレームとの間に代替吸気通路が構成されるとともに、この代替吸気通路と前記吸気口との連通が、前記ボンネット・フレームの有する出口ポートによって構成されることによって、前記エンジン室と吸気口とが流体的に連通可能となり、前記吸気筐体は、蛇行空気流路および代替吸気通路の両方から選択的に空気を取り込めることを特徴とする請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項3】
ボンネットを閉じた構成でロックするラッチをさらに備え、ボンネットを閉じたときにボンネット・フレームがボンネット・ラッチの近くに出口を構成する請求項2に記載の自動車用吸気システム。
【請求項4】
ボンネットを閉じたときにボンネット・フレームが筐体吸気口の近くに出口を構成する請求項2に記載の自動車用吸気システム。
【請求項5】
吸気筐体の下方かつ隔壁の上方に隔壁カバーをさらに備える請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項6】
前記壁の端部が、吸気口において基板から30度〜60度の角度で傾いている請求項1に記載の自動車システム。
【請求項7】
吸気口は、車両の前方を向いており、吸気壁は、車両の後方に傾いている請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項8】
ボンネットと吸気筐体の間に配置されたシールをさらに含む請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項9】
前記シールは、ボンネットの下側に取り付けられ、吸気筐体の上面と嵌合する請求項8に記載の自動車用吸気システム。
【請求項10】
ボンネットとグリルの間に配置されたシールをさらに含む請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項11】
吸気筐体は、該吸気筐体の第1の端にある吸気口から第2の端に結合されたエア・フィルタまで空気を導く先細の吸気チャネルを形成し、この吸気チャネルは、吸気口のある第1の端では第1の断面積を有し、吸気口の下流の一点では第2の断面積を有し、第1の断面積は、第2の断面積よりも約10%以上大きいチャネル有効径を有する請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項12】
第1の断面積の有効径が約99cm2であり、第2の断面積の有効径が約88cm2である請求項11に記載の自動車用吸気システム。
【請求項13】
吸気筐体は、該吸気筐体の第1の端における吸気口から第2の端と結合されたエア・フィルタまで空気を導くための吸気チャネルを形成し、この吸気チャネルは、吸気口から上方へ傾斜して延びている請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項14】
エンジン室内に配置されたラジエータをさらに含み、前記頂点が、隔壁の後方に位置するとともに、頂点の下方にラジエータが設けられている請求項13に記載の自動車用吸気システム。
【請求項15】
スクリーンは、隔壁からグリルへ向かって下方に傾いている請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項16】
スクリーンは、水平から15度〜85度の角度で下方に傾いている請求項15に記載の自動車用吸気システム。
【請求項17】
スクリーンは、水平から40〜50度の角度で下方に傾いている請求項16に記載の自動車用吸気システム。
【請求項18】
前記吸気口に沿って形成された段は、吸気チャネルから物体が出ることを促進する請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項19】
吸気口が、基板から5度〜85度に傾けられた平面に形成される請求項1に記載の自動車用吸気システム。
【請求項20】
車両の前部に配置されたグリルと、前記車両のエンジン室の前方かつ上方を車両幅方向に横切るように延びている隔壁と、前記エンジン室の上方に配置されたボンネットの内側と、の間に蛇行空気流路が構成されるように、車両のボンネットを閉じるステップと、
前記隔壁に結合された吸気筐体であってエンジンへ吸気を導くための吸気口を有する吸気筐体内へ、前記蛇行空気流路を介して空気を吸い込むステップと、
前記吸気筐体の複数の壁と基板によって形成された、前記吸気口から上方へ傾斜して頂点から下方へ傾斜して延びる吸気チャネルを介して、車両のエンジンへ空気を導くステップと、
を含み、
前記空気を吸い込むステップはさらに、
空気が前記蛇行空気流路を通るときに、空気から大きい粒子と液滴をスクリーニングするステップと、
前記蛇行空気流路を横切るように隔壁とグリルの間に配置されたスクリーンによって、空気中の粒子と液滴の含有量をさらに減少させるステップと、を含み、
前記吸気筐体の壁と基板の端部によって前記吸気口が形成されているとともに、この吸気口に沿って前記基板に段が形成されていることを特徴とする、車両の内燃機関に空気を吸い込む方法。
【請求項21】
前記車両のエンジンへ空気を導くステップは、
ある体積流量および第1の速度の空気を吸気口から吸い込み、
吸気チャネルに沿って空気を通流させて、
前記体積流量を維持しながら空気の速度を第2の速度に高めること、
を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
蛇行空気流路が少なくとも部分的に塞がれた状態で、エンジン室から、ボンネット板とボンネット・フレームの間に形成されたボンネット通路を介して、吸気システムの吸気口まで空気を導くことをさらに含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
エンジン室から空気を導くことは、エンジン室の空気を蛇行空気流路の一部分に導くことを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
エンジン室から空気を導くことは、ボンネットが閉じているときに、ボンネット・ラッチ近くのボンネット・フレームに形成されたボンネット・ラッチ開口を介してエンジン室の空気を導くことを含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
エンジン室から空気を導くことは、ボンネットが閉じているときに、吸気筐体近くのボンネット・フレームに形成されたボンネット吸気口を介してエンジン室の空気を導くことを含む請求項22に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−101792(P2012−101792A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−290420(P2011−290420)
【出願日】平成23年12月29日(2011.12.29)
【分割の表示】特願2005−189814(P2005−189814)の分割
【原出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月29日(2011.12.29)
【分割の表示】特願2005−189814(P2005−189814)の分割
【原出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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