説明

自動車

【課題】ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器の簡単かつ効率的な冷却が可能な自動車を提供する。
【解決手段】ハイブリッド駆動装置は、少なくとも、1つの内燃機関と、1つの電気機械と、1つの電気エネルギー貯蔵器10とを含み、この電気エネルギー貯蔵器10は、電気機械のモータ作動の間は電気機械によって放電可能であると共に、電気機械の発電機作動の間は電気機械によって充電可能である。空調システムは、少なくとも、1つのコンプレッサ11と、1つのコンデンサ12と、1つの主蒸発器13とを備えており、この主蒸発器13は、自動車の乗員室17への供給空気16を冷却する。本発明によれば、自動車の乗員室7に供給される空気16を冷却する機能を担う主蒸発器13に対して並列に接続される付加蒸発器18が設けられる。この付加蒸発器18が、ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器10に供給される空気19を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段による、ハイブリッド駆動装置および空調システムを備えた自動車に関する。本発明は、さらに、このタイプの自動車のための付加的な蒸発器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のハイブリッド駆動装置は、少なくとも、1つの内燃機関と、1つの電気機械と、その電気機械に付属する1つの電気エネルギー貯蔵器とを含む。ハイブリッド駆動装置のその電気機械または各電気機械はモータまたは発電機として作動し得るが、その場合、電気機械がモータとして作動すると、その電気機械は電気エネルギー貯蔵器を多かれ少なかれ放電させ、電気機械が発電機として作動すると、当該電気機械は電気エネルギー貯蔵器に多かれ少なかれ充電する。これまでは、ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器を、簡単な手段で効率的かつ確実に冷却するのに難点があった。
【0003】
自動車の空調システムは、少なくとも、1つのコンプレッサと、1つのコンデンサと、1つの蒸発器とを備えており、コンデンサおよび蒸発器の間には膨張弁が設けられる。自動車の空調システム内においては冷媒が循環する。この場合、空調システムのコンプレッサが、低温の気体状の冷媒を蒸発器から吸引して圧縮する。冷媒は圧縮されるにつれて加熱される。コンプレッサは冷媒をコンデンサの中に圧送し、冷媒はコンデンサ内において冷却され、液化される。冷媒はコンデンサから膨張弁を経て蒸発器に移動し、その際、冷媒は膨張し、蒸発器内で蒸発する。この場合、必要な蒸発熱は、蒸発器を通って流れる空気から取られる。すなわち、その空気は冷却され、冷却空気として、自動車の乗員室に供給される。気体状の冷媒は、再度、コンプレッサによって蒸発器から吸引され、圧縮されるので、空調システムの冷媒回路が閉じられる。コンデンサと膨張弁との間には、液体タンクを配置することができる。コンデンサから出る冷媒を、膨張弁を経由して蒸発器に供給する前に、このタンク内に一旦集約する。上記のように、自動車の空調システムは、自動車の乗員室への供給空気を冷却する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 061 577 A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2007 059 447 A1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2006 051 231 A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2005 048 241 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の状況に基づいて、本発明の目的は、ハイブリッド駆動装置および空調システムを備えた新規な自動車であって、ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器の簡単かつ効率的な冷却が可能な自動車を提供することにある。さらに、このタイプの自動車のための付加的な蒸発器を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の自動車によって実現される。本発明によれば、自動車の乗員室への供給空気を冷却する機能を担う主蒸発器に対して並列に接続される1つの付加的な蒸発器が設けられる。この付加蒸発器は、ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器に供給される空気を冷却する。
【0007】
本発明によって、ハイブリッド駆動装置を備えた自動車の空調システムを、自動車の乗員室への供給空気の冷却に使用するだけでなく、ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器に供給される空気を付加的に冷却してそのエネルギー貯蔵器を冷却するためにも利用することが初めて提案される。このため、本発明による自動車は、乗員室への供給空気を冷却する機能を担う蒸発器で主蒸発器と呼称する自動車の蒸発器に対して並列に接続される1つの付加蒸発器を含む。これによって、ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器の効率的かつ確実な冷却が、簡単な手段によって可能になる。
【0008】
本発明による付加蒸発器は、空気流入部および空気流出部を含むハウジングを有する。被冷却空気は、空気流入部から、ハウジング内に配置される蒸発器ユニットに供給することができ、蒸発器ユニットによって冷却された空気は、空気流出部を経由してその蒸発器ユニットから導出することができる。さらに、ハウジングの空気流出部の領域には偏向要素が形成され、それによって、冷却された空気を偏向させ、かつ、その空気を部分空気流れに分割する。ハウジングの空気流出部の領域において、冷却空気を偏向させかつその空気を部分空気流れに分割する偏向要素を備えた本発明による付加蒸発器によって、凝縮水分すなわち湿分が、ハイブリッド駆動装置の被冷却電気エネルギー貯蔵器の領域に確実に流入しないようにすることができる。
【0009】
本発明の好ましい発展形態が従属請求項と以下の記載から明らかになる。以下、本発明の例示的実施形態を、図面を参照しながら詳しく説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による自動車の部分的な構成機器群のブロック回路図を示す。
【図2】本発明による付加蒸発器の第1概略図を示す。
【図3】本発明による付加蒸発器の第2概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ハイブリッド駆動装置および空調システムを備えた自動車に関する。ハイブリッド駆動装置および空調システムの基本的な構成は、当業者には周知である。
【0012】
ここで完結性のために、次の点を説明しておくべきであろう。すなわち、自動車のハイブリッド駆動装置は、少なくとも、1つの内燃機関と、1つの電気機械と、1つの電気エネルギー貯蔵器とを含み、そのハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器は、電気機械がモータ作動している間は、その電気機械によって多かれ少なかれ放電され、電気機械が発電機作動している間は、その電気機械によって多かれ少なかれ充電される。従って、モータ作動の間は、電気機械が自動車の出力に駆動トルクを供給し、一方、電気機械の発電機作動の間は、自動車のブレーキトルクを電気エネルギーに変換することができる。
【0013】
自動車の空調システムは自動車の乗員室への供給空気を冷却する機能を有するが、この空調システムは、少なくとも、1つのコンプレッサと、1つのコンデンサと、1つの主蒸発器とを備えており、この主蒸発器が、自動車の乗員室への供給空気を実際に冷却する機能を担う。この冷却は、加圧された液体の冷媒を主蒸発器内において膨張させかつ蒸発させることによって行われる。主蒸発器において、蒸発に必要な蒸発熱が自動車の乗員室への供給空気から取られ、それによってその空気が冷却される。
【0014】
図1は、ハイブリッド駆動装置および空調システムを備えた本発明による自動車のきわめて概略的なブロック回路を示す。図1においては、自動車のハイブリッド駆動装置については、ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器10のみが示されており、自動車の空調システムとしては、コンプレッサ11と、コンデンサ12と、主蒸発器13と、コンデンサ12と主蒸発器13との間に接続される膨張弁14と、膨張弁14とコンデンサ12との間に接続される遮断弁15とが示されている。主蒸発器13が、自動車の乗員室17への供給空気の流れ16を冷却する機能を担う。
【0015】
本発明による自動車は1つの付加蒸発器18を有しており、その付加蒸発器18によって、冷却用として電気エネルギー貯蔵器10に供給される空気の流れ19を冷却できる。ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器10に供給される空気の流れ19を冷却する機能を有するこの付加蒸発器18は、自動車の乗員室17への供給空気の流れ16を冷却する機能を担う主蒸発器13に対して並列に接続される。
【0016】
図1に示すように、この付加蒸発器18には、主蒸発器13の場合と同様に、膨張弁20および遮断弁21が付属する。冷媒ライン22が冷媒ライン23から分岐しているが、冷媒ライン22は、それを経由して冷媒をコンデンサ12から付加蒸発器18に供給できるラインであり、冷媒ライン23は、それを経由して冷媒をコンデンサ12から主蒸発器13に供給できるラインである。この分岐は、具体的には、冷媒の流れの方向に見て、主蒸発器13に至る冷媒ライン23に付属する遮断弁15の上流側で行われる。
【0017】
遮断弁15および21によって、主蒸発器13および/または付加蒸発器18に関して並列接続される冷媒回路を、必要に応じて開および/または閉操作できる。
【0018】
遮断弁15および/または遮断弁21が開および/または閉のいずれであるかに応じて、コンプレッサ11は、主蒸発器13および/または付加蒸発器18内で膨張した冷媒を吸引し、それを圧縮してコンデンサ12に供給する。
【0019】
本発明による自動車のハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器10は、自動車の後部、特に、自動車のトランクの下部に位置する収納スペース24であって、下部トランクパネルによって実際のトランクから分割区画される収納スペース24内に配置することが好ましい。この場合、付加蒸発器18を経由して導かれてハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器10を冷却する役割を有する空気流れ19は、乗員室17の後部から吸引される空気流れである。
【0020】
このため、付加蒸発器18は、図2および3に詳しく示すように、自動車の乗員室17から空気を吸引し得る空気流入部25を有する。付加蒸発器18のこの空気流入部25は、自動車の乗員室17の後部領域に配置される。付加蒸発器18によって冷却された空気は、空気流出部26を経由して、ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器10に供給できる。
【0021】
付加蒸発器18を経由して導かれるべき空気流れ19を吸引するために、少なくとも1つのファン27が用いられる。図1は、電気エネルギー貯蔵器10に付設される2つのファンを、ファン27が電気エネルギー貯蔵器10の空気流出部の下流側に位置する配置で示している。付加蒸発器18において冷却される空気は、空気流入開口を経由して電気エネルギー貯蔵器10に供給可能であり、この空気は、空気流出開口から電気エネルギー貯蔵器を出て行く。図1によれば、ファン27は、電気エネルギー貯蔵器10の空気流出開口の下流側に配置される。
【0022】
従って、ファン27は、電気エネルギー貯蔵器10を通って導かれる空気を、付加蒸発器18および電気エネルギー貯蔵器10を経由して吸い込む。すなわち、付加蒸発器18に別個のファンが付設されることはない。
【0023】
このファンまたは各ファン27を電気エネルギー貯蔵器10の空気流出開口の下流側に配置することは、この場合、このファンまたは各ファン27を比較的小型にかつ静音で設計できるので有利である。
【0024】
すなわち、ファン27は、自動車の後部、好ましくは実際のトランクの下部に位置する収納スペース24内に、電気エネルギー貯蔵器10と一緒に配置される。その結果、その収納スペース24と、その上に位置する実際のトランクとの中に空気流れを形成することができる。従って、そのファンまたは各ファン27によって吸引され、ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器10を冷却する役割を有する空気は、収納スペース24と、その上に位置するトランクとの中で循環する。この場合、収納スペース24および/またはトランクは、自動車車体の側壁を通して矢印27の方向に強制的に換気される。このため、電気エネルギー貯蔵器10を経由して導かれる空気は、自動車の乗員室17の中に戻ることはない。
【0025】
付加蒸発器18が自動車の後部のどの部分または範囲に配置されるかに応じて、そのファンまたは各ファンを、空気流れ19の流れの方向に見て、付加蒸発器18の下流側であるが電気エネルギー貯蔵器10の上流側に位置するように、付加蒸発器18に付設することも可能である。しかし、上記のように、そのファンまたは各ファンの配置は、電気エネルギー貯蔵器10の下流側とするのが好ましい。
【0026】
上述した本発明の好ましい例示的実施形態においては、自動車の後部に配置されるハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器10が、付加蒸発器18を通って導かれる空気流れ19によって冷却され、この付加蒸発器18は、自動車の乗員室17への供給空気の流れ16を冷却する機能を担う主蒸発器13に対して並列に接続される。従って、本発明によれば、ハイブリッド駆動装置の電気エネルギー貯蔵器10の空気冷却が、特に、付加蒸発器18を用いることによって確立される。この付加蒸発器18は、自動車の空調システムの既存の部分的な構成機器群に分岐の形態で接続される。付加蒸発器18において冷却される空気流れ19は、乗員室17の後部から吸引され、冷却された後、電気エネルギー貯蔵器10を通って導かれる。この場合、冷却された空気流れ19は、空気流入開口を経て電気エネルギー貯蔵器10に流入し、空気流出開口を経てそれから出て行く。
【0027】
空気流れ19が電気エネルギー貯蔵器10を通って導かれる際に経由する前記の空気流入開口および空気流出開口を除いて、エネルギー貯蔵器は実質的に気密に構成される。
【0028】
付加蒸発器18には別個の換気機または別個のファンを付設しないことが好ましい。本発明の好ましい実施形態によれば、むしろ、少なくとも1つのファン27を、空気流れ19の流れの方向に見て、電気エネルギー貯蔵器10の下流側に配置する。その際、そのファンまたは各ファン27を、電気エネルギー貯蔵器10と一緒に収納スペース24内に配置する場合は、収納スペース24を、実際の自動車のトランクの下部に配置し、かつ、下部トランクパネルによってトランクから分離区画することが好ましい。
【0029】
付加蒸発器18は、収納スペース24内に配置するのではなく、自動車の後部の別の領域28、例えば、側方のトランクパネルによって分離区画されるトランク領域内に配置することが好ましい。その場合は、付加蒸発器18において冷却される空気流れ19は、空気導出手段29を経て電気エネルギー貯蔵器10に供給できる。
【0030】
図2および3は付加蒸発器18の異なる概略図を示す。付加蒸発器18は、上記のように、付加蒸発器18のハウジング30によって形成される空気流入部25および空気流出部26を有する。図2および3においては、付加蒸発器18のハウジング30の下部ハウジング部分31のみを見ることができる。図2および3に示されていない上部ハウジング部分は、下部ハウジング部分31から取り外されている。
【0031】
付加蒸発器18のハウジング30は、この付加蒸発器を通る空気流れ19のための空気流入部25および空気流出部26を形成すると共に、このハウジング30は蒸発器ユニット32を受け入れる。冷媒は、冷媒流入部33を通して蒸発器ユニット32に供給でき、冷媒排出部34を通してその蒸発器ユニットから排除できる。冷媒流入部33は、図1に示す冷媒ライン22に接続され、冷媒排出部34はコンプレッサ11に至る冷媒ラインに接続される。
【0032】
凝縮水分すなわち湿分が、付加蒸発器18の領域において冷却される空気流れ19を介して電気エネルギー貯蔵器10の領域に流入しないことを確実にするために、本発明によれば、第1に、冷却された空気流れ19を、付加蒸発器18のハウジング30の空気流出部26の領域において比較的大きく偏向させ、第2に、その空気流れ19を2つの部分空気流れ35および36に分割する。空気流れ19は、空気流出部26の領域において、ハウジングの対応する輪郭と偏向要素37とによって偏向させられる。偏向要素37は、ハウジングの空気流出部26内に配置され、さらに、空気流れ19を、空気流出部26の領域において部分空気流れ35および36に分割する。空気流出部26の領域において、空気流れ19を約90°偏向させることが好ましく、また、それを2つの部分空気流れに分割することが好ましい。
【0033】
空気流れ19を空気流出部26の領域において上記のように偏向させ、かつ、その空気流れを部分空気流れ35、36に分割することによって、冷却された空気流れ19から、凝縮水分を特に効率的に分離することが可能になる。
【0034】
有利な発展形態によれば、ハウジング30の空気流出部26の領域内において、空気流れ19を分割する偏向要素37の下流側に、リブ38が形成される。このリブ38は凝縮水分を捕集する機能を有し、そのリブ38の領域に、凝縮水分を排除し得る凝縮水分用の排出部39が形成される。リブ38は、空気流出部26の領域内において流れの断面を段状に拡大する。これによって、凝縮水分すなわち湿分が、冷却された空気流れ19から、ハイブリッド駆動装置の被冷却電気エネルギー貯蔵器10の領域に確実に流入しないようにすることができる。
【0035】
空気流れ19を偏向させること、および、その空気流れを部分空気流れ35および36に分割することによってもたらされる空気流出部26の領域内における凝縮水分の分離の効果は、蒸発器ユニット32を、空気流れ19の流れの方向に見て前方に傾けること、特に好ましくは約20°の角度だけ前方に傾けることによって、改善することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 電気エネルギー貯蔵器
11 コンプレッサ
12 コンデンサ
13 主蒸発器
14 膨張弁
15 遮断弁
16 空気流れ
17 乗員室
18 付加蒸発器
19 空気流れ
20 膨張弁
21 遮断弁
22 冷媒ライン
23 冷媒ライン
24 収納スペース
25 空気流入部
26 空気流出部
27 強制換気
28 領域
29 空気導出手段
30 ハウジング
31 下部ハウジング部分
32 蒸発器ユニット
33 冷媒流入部
34 冷媒排出部
35 部分空気流れ
36 部分空気流れ
37 偏向要素
38 リブ
39 排出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド駆動装置および空調システムを備えた自動車であって、前記ハイブリッド駆動装置は、少なくとも、1つの内燃機関と、1つの電気機械と、1つの電気エネルギー貯蔵器とを含み、前記電気エネルギー貯蔵器は、前記電気機械のモータ作動の間は前記電気機械によって放電可能であると共に、前記電気機械の発電機作動の間は前記電気機械によって充電可能であり、前記空調システムは、少なくとも、1つのコンプレッサと、1つのコンデンサと、1つの主蒸発器とを備えており、前記主蒸発器は、自動車の乗員室に供給される空気を冷却する、自動車において、
自動車の乗員室(17)に供給される空気(16)を冷却する機能を有する前記主蒸発器(13)に対して並列に接続される付加蒸発器(18)であって、前記ハイブリッド駆動装置の前記電気エネルギー貯蔵器(10)に供給される空気(19)を冷却する付加蒸発器(18)を備えることを特徴とする自動車。
【請求項2】
前記空調システムの前記コンデンサ(12)と、自動車の乗員室に供給される空気を冷却する機能を担う前記主蒸発器(13)との間に第1膨張弁(14)が接続され、前記空調システムの前記コンデンサ(12)と、前記ハイブリッド駆動装置の前記電気エネルギー貯蔵器(10)に供給される空気を冷却する機能を担う前記付加蒸発器(18)との間に第2膨張弁(20)が接続され、さらに、前記コンデンサ(12)から前記付加蒸発器(18)に冷媒を供給し得る冷媒ライン(22)が、前記コンデンサ(12)から前記主蒸発器(13)に冷媒を供給し得る冷媒ライン(23)から分岐していることを特徴とする請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記冷媒ライン(22、23)の分岐点と前記膨張弁(14、20)との間に、それぞれ、遮断弁(15、21)が設けられることを特徴とする請求項2に記載の自動車。
【請求項4】
前記空調システムの前記コンプレッサ(11)が、前記主蒸発器(13)および/または前記付加蒸発器(18)内で膨張した冷媒を吸引し、その冷媒を圧縮し、その冷媒を前記空調システムの前記コンデンサ(12)に供給することを特徴とする請求項2または3に記載の自動車。
【請求項5】
前記付加蒸発器(18)が、自動車の乗員室から空気を吸引し得る径路となる空気流入部(25)を有すること、および、前記付加蒸発器(18)が、自動車の乗員室から吸引された冷却空気を前記付加蒸発器から排除して前記ハイブリッド駆動装置の前記電気エネルギー貯蔵器(10)に供給し得る径路となる空気流出部(26)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項6】
前記ハイブリッド駆動装置の前記電気エネルギー貯蔵器(10)が、自動車の後部、特に自動車のトランクの下部に配置されること、および、同様に自動車の後部に配置される前記付加蒸発器(18)の空気流入部(25)が、自動車の乗員室の後部領域に配置されることを特徴とする請求項5に記載の自動車。
【請求項7】
前記電気エネルギー貯蔵器(10)に、自動車の乗員室から空気を吸引して、その空気を前記ハイブリッド駆動装置の前記電気エネルギー貯蔵器を通して導くためのファン(27)が付設されることを特徴とする請求項5または6に記載の自動車。
【請求項8】
前記ファン(27)が前記電気エネルギー貯蔵器(10)の下流側に配置されることを特徴とする請求項7に記載の自動車。
【請求項9】
前記付加蒸発器(18)が、請求項10〜13のいずれか一項に記載される付加蒸発器として設計されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項10】
ハイブリッド駆動装置を備えた自動車の空調システム用の付加蒸発器であり、空気流入部(25)および空気流出部(26)を画定するハウジング(30)を備えた付加蒸発器であって、被冷却空気を、前記空気流入部(25)を経由して前記ハウジング(30)内に配置される蒸発器ユニット(32)に供給することができ、かつ、前記蒸発器ユニットによって冷却された空気を、前記空気流出部(26)を経由してその蒸発器ユニットから導出することができ、さらに、前記ハウジング(30)の空気流出部(26)の領域内に、冷却された空気を偏向させると共にその空気を部分空気流れに分割する偏向要素(37)が形成される、付加蒸発器。
【請求項11】
前記偏向要素(37)が、冷却された空気を約90°偏向させ、および/または、その冷却された空気を2つの部分空気流れに分割することを特徴とする請求項10に記載の付加蒸発器。
【請求項12】
前記ハウジング(30)の前記空気流出部(26)の領域内に、生成される凝縮水分を排出部(39)に導くリブ(38)が形成されることを特徴とする請求項10または11に記載の付加蒸発器。
【請求項13】
前記蒸発器ユニット(32)が、空気の流れの方向に見て前方に傾いていることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の付加蒸発器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−42357(P2011−42357A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−165640(P2010−165640)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】