説明

自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置

【課題】手動による障害復旧後のデータベース更新の正確性の向上と、過去の障害状況をいつでも検証することを可能にする。
【解決手段】金型交換動作を機能ごとに最小単位である基本動作パターンに分解して定義し、この基本動作パターンの集合である金型交換動作パターンとして金型交換を行う。このとき、金型交換動作パターンでは、基本動作パターンの実行順を状態遷移番号としてリアルタイムで監視している。金型交換動作中に障害が発生した場合には、障害の発生状態を記憶すると共に状態遷移番号や機械状態等から最適な復旧動作を自動的に判断して復旧を行う。復旧したら、加工を再開する。なお、障害の発生時点や状態等は障害発生履歴に記憶されてるので、後に検証することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動金型交換装置(すなわちATC装置)付きパンチプレス機では、加工機およびATC装置の金型装着状態をリアルタイムで管理することで、自動プロ(加工データ作成装置)やセルライン装置から送出されて発生した金型交換指令に対し、最適な金型交換動作パターンを選択して実行することができる。
【0003】
また、金型交換動作実行中、何らかの障害(アラーム状態)が発生して機械が停止したとき、自動動作により障害を解除した場合は、その後のデータベースまで含めて更新することができる。
【0004】
さらに、自動動作による復旧がその機械状態から不可能であると判断されたときは、手動による障害の復旧動作をオペレータが行うように、サブコンソール上に表示指示する。この手動による障害の復旧動作が完了したときに、最終的なデータベースの状態を表示することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、金型交換動作中に障害が発生した場合、そのときの機械停止状態を認識して判断するため、自動で障害復旧動作を実施した場合は、データベースを復旧後の正確な情報で表示できるが、手動で復旧動作を行った場合は、金型交換動作のどこまで交換動作が終了しているかという情報を持っていない。このため、データベース状態の確認設定をオペレータに判断させねばならず、複数の金型が交換対象となっているようなときにはオペレータの操作が煩雑になって、実際の金型搭載状態とデータベースの内容に不一致が生じるおそれがあるという問題がある。
【0006】
また、NC装置としてのアラーム履歴は記憶しているが、発生要因まで記憶していないので、復旧動作を完了させると、金型交換動作中に発生した障害についての発生要因をクリアしてしまい、その障害要因の傾向や機能の問題点を後で確認することができないという問題がある。
【0007】
また、自動復旧の可不可を判断するとき、金型交換ハンドの金型クランプ状態や、本体あるいはストレージのどちらの干渉領域で機械が停止しているのかという条件しかなく、可不可判断の開始前に手動で金型交換ハンドを操作してしまうと、障害発生時と可不可判断開始時との状態に不一致が生じて、自動復旧不可の判断しかできなくなってしまうという問題がある。
【0008】
さらに、現行の金型交換処理は、最適金型動作パターンで指定された金型交換動作を、連続した複数の工程を1つのプログラムによる一連の流れとして定義しているため、金型交換動作のどの工程のどんな条件のときに機械が停止したか自動で記憶して、後で細かく分析することができないという問題がある。
【0009】
この発明は、上記のような従来の技術の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、手動による障害復旧後のデータベース更新の正確性の向上と、過去の障害状況をいつでも検証することのできる自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1による発明の自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置は、パンチプレスに装着された金型を、ストレージに収納されている金型と交換する自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置であって、自動金型交換および自動障害復旧動作の工程を各機能ごとに分解して定義し、分解定義された動作を動作パターンとして制御する動作パターン制御部と、前記動作パターンを状態遷移番号で管理し、動作がどの状態を実行中であるか常に認識する動作パターン認識部と、金型交換指令に基づいて交換の対象となった金型を金型装着情報の状態と比較して自動で金型交換動作パターンを選択して実行する金型交換動作パターン実行部と、障害発生時にパンチやダイのクランプ状態、パンチの検出状態、ATCの干渉領域状態、状態遷移番号から発生した障害を自動動作で復旧することが可能か否かを判断する自動復旧判断部と、障害復旧動作を自動的に選択する復旧動作選択部と、金型交換中に障害が発生した場合にこの障害に関する情報を記憶する障害データ記憶部と、この障害データ記憶部に記憶されている障害データを表示する障害データ表示部とを備えているものである。
【0011】
従って、動作パターン制御部は、自動金型交換および自動障害復旧動作を各機能ごとに分解して定義し、定義された動作を動作パターンとして制御する。このとき、動作パターン認識部が動作パターンを状態遷移番号で管理して、動作がどの状態を実行中であるかを常に認識している。
【0012】
また、金型交換動作パターン実行部が、金型交換指令に基づいて交換対象である金型を金型装着情報と比較して自動で金型交換動作パターンを選択して実行するので、障害復旧を自動で行うことができる。自動復旧判断部は障害発生時におけるパンチやダイのクランプ状態、パンチの検出状態、ATCの干渉領域状態、状態遷移番号等から、障害復旧動作が自動で復旧できるか否かを判断し、この判断に基づいて復旧動作選択部が障害復旧動作を自動的に選択する。
【0013】
さらに、金型交換中に障害が発生したら、障害データ記憶部が発生した障害に関する情報を記憶すると共に、障害に関するデータを障害データ表示部により表示するので、どのような障害が、どの時点で、交換対象となった金型のどの金型に対してどのように発生したかを知ることができ、適正な処理を行うことができる。
【0014】
請求項2による発明の自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置は、請求項1記載の自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置において、前記障害データが、金型交換指令、障害発生日時、発生した障害のアラーム番号、金型交換動作パターン、状態遷移番号、ストレージ番号、ダイ番号、タレット番号、完了・未完了、状況に関するデータを含むものである。
【0015】
従って、障害データとして、少なくとも、金型交換指令、障害発生日時、発生した障害のアラーム番号、金型交換動作パターン、状態遷移番号、ストレージ番号、ダイ番号、タレット番号、完了・未完了、状況に関するデータを含むので、障害を把握して処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明による自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置では、動作パターン制御部は、自動金型交換および自動障害復旧動作を各機能ごとに分解して定義し、定義された動作を動作パターンとして制御する。このとき、動作パターン認識部が動作パターンを状態遷移番号で管理して、動作がどの状態を実行中であるかを常に認識することができる。
【0017】
また、金型交換動作パターン実行部が、金型交換指令に基づいて交換対象である金型を金型装着情報と比較して自動で金型交換動作パターンを選択して実行するので、障害復旧を自動で行うことができる。自動復旧判断部は障害発生時におけるパンチやダイのクランプ状態、パンチの検出状態、ATCの干渉領域状態、状態遷移番号等から、障害復旧動作が自動で復旧できるか否かを判断し、この判断に基づいて復旧動作選択部が障害復旧動作を自動的に選択する。
【0018】
さらに、金型交換中に障害が発生したら、障害データ記憶部が発生した障害に関する情報を記憶すると共に、障害に関するデータを障害データ表示部により表示するので、どのような障害が、どの時点で、どのように発生したかを知ることができ、適正な処理を行うことができる。
【0019】
請求項2の発明による自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置では、障害データとして、少なくとも、金型交換指令、障害発生日時、発生した障害のアラーム番号、金型交換動作パターン、状態遷移番号、ストレージ番号、ダイ番号、タレット番号、完了・未完了、状況に関するデータを含むので、障害を把握して処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に係る自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置を示すブロック構成図である。
【図2】タレットパンチプレス、ATC、ストレージの位置関係を示す斜視図である。
【図3】金型交換動作の機能単位分割制御を示すフローチャートである。
【図4】金型装着状況を示す表である。
【図5】金型交換を示す工程図である。
【図6】装着金型情報を示す表である。
【図7】金型交換動作の機能単位分割制御の例を示す表(1/2)である。
【図8】金型交換動作の機能単位分割制御の例を示す表(2/2)である。
【図9】金型交換動作パターンの例を示す表(1/3)である。
【図10】金型交換動作パターンの例を示す表(2/3)である。
【図11】金型交換動作パターンの例を示す表(3/3)である。
【図12】障害発生処理の工程を示すフローチャートである。
【図13】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図14】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図15】(A)は障害復旧動作パターン判断データ、(B)は障害復旧履歴表示データである。
【図16】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図17】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図18】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図19】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図20】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図21】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図22】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図23】障害復旧動作データを示す表である。
【図24】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図25】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図26】障害発生処理の1工程を示す画面である。
【図27】障害復旧履歴表示画面の一例である。
【図28】障害復旧履歴表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
まず、図2には、タレットパンチプレス1、パンチPおよびダイDを貯蔵してあるストレージ3、タレットパンチプレス1の上部タレット5U、下部タレット5Lに装着されているパンチPおよびダイDと、ストレージ3の上部ストレージタレット7U、下部ストレージタレット7Lに貯蔵されているパンチPおよびダイDとを交換する自動金型交換装置9(以後「ATC」という。)が示されているが、これらは既に良く知られているものなので詳細な説明は省略する。
【0022】
ATC9において、パンチグリッパ11を先端に有するパンチチェンジャアーム13を上下移動する軸をPz軸、パンチチェンジャアーム13の水平面内における旋回軸をR軸、パンチチェンジャアーム13の伸縮軸をPs軸で表す。また、ダイグリッパ15を先端に有するダイチェンジャアーム17を上下移動する軸をDz軸、ダイチェンジャアーム17の水平面内における旋回軸をDg軸、ダイチェンジャアーム17の伸縮軸をDs軸で表す。なお、タレットパンチプレス1、ATC9、ストレージ3を制御するNC制御装置19(図1参照)が、タレットパンチプレス1の近傍に設けられており、このNC制御装置19には、ATC9を制御する図示省略のATC制御装置が接続されている。
【0023】
次に、図1に基づいて、この発明に係る自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置としてのNC制御装置19について説明する。このNC制御装置19において、CPU21には、種々のデータを入力するための入力手段(例えばキーボード)23と、種々のデータを表示するための出力手段(例えばCRT)25が接続されている。
【0024】
また、CPU21には、自動金型交換および自動障害復旧動作の工程を各機能ごとに分解して定義し、分解定義された動作を動作パターンとして制御する動作パターン制御部27と、前記動作パターンを状態遷移番号で管理し、動作がどの状態を実行中であるか常に認識する動作パターン認識部29と、金型交換指令に基づいて交換の対象となった金型を金型装着情報の状態と比較して、自動で金型交換動作パターンを選択して実行する金型交換動作パターン実行部31と、障害発生時にパンチPやダイDのクランプ状態、パンチPの検出状態、ATC9の干渉領域状態、状態遷移番号から、発生した障害を自動動作で復旧することが可能か否かを判断する自動復旧判断部33と、障害復旧動作を自動的に選択する復旧動作選択部35と、金型交換中に障害が発生した場合にこの障害に関する情報を記憶する障害データ記憶部37と、この障害データ記憶部に記憶されている障害データを表示する障害データ表示部39等が接続されている。
【0025】
次に、図3〜図28に基づいて、本発明の自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御方法について説明する。この金型交換制御方法では、(1)金型交換動作の機能単位分割制御、(2)障害発生処理、(3)障害復旧履歴表示の3つの処理要素からなる。
【0026】
<(1)金型交換動作の機能単位分割制御>
金型交換動作の機能単位分割制御では、金型交換動作・障害復旧動作を機能ごとに分割し、その機能の集合体である金型交換動作・障害復旧動作パターンで機能の遷移を番号としてリアルタイムで監視する。そして、自動プロやセルライン装置からの金型交換指令に対し、現在の金型装着情報を基に自動的に最適金型交換動作パターンを選択して実行する。
【0027】
すなわち、図3を参照するに、エントリして(ステップS1)、金型交換指令を受信したら(ステップS2)、記憶されている例えば図4のような金型装着情報に基づいて、現状金型装着状態から最適金型交換動作パターンを選択して、対象金型装着状態の確認を行う(ステップS3)。
【0028】
図4に示されているように、機械金型装着状況を定義し、金型交換指令受信時に最適金型交換動作パターンを選択する。このように、金型交換動作パターンをマトリックス化することにより、金型交換動作パターンの追加や、表中の先読みした金型交換指令に対して、対象となった金型を準備するバッファ領域の追加等に柔軟に対応できるようにする。
【0029】
金型交換の有無を判断して(ステップS4)、金型交換がない場合にはステップS2に戻って金型交換指令を受信する。金型交換がある場合には、最適金型交換動作パターンの選定を行い(ステップS5)、金型交換セットデータを作成して送信し(ステップS6)、金型交換起動を通知する(ステップS7)。
【0030】
ここで、金型交換動作の完了を判断し(ステップS8)、正常に金型交換が完了した場合には、金型交換動作終了により金型装着情報を更新して(ステップS9)、終了する(ステップS10)。一方、ステップS8において金型交換が完了していない場合には、金型交換完了通知の検出を待つ。
【0031】
図5(A)〜(G)には、上部タレット5Uに装着されたパンチPおよび下部タレット5Lに装着されたダイDを、ストレージ3に収納されているパンチPおよびダイDと交換する金型交換動作の工程の一例が示されている。
【0032】
金型交換動作を開始する前は、ATC9は、上下部タレット5U、5Lとストレージ3の間に待機している(図5(A)参照)。
【0033】
金型交換動作を開始したら、上下部タレット5U、5Lを回転させて、交換するパンチPおよびダイDを各々金型交換位置K1、K2に位置決めし、ATC9が位置決めされたパンチPおよびダイDを取外しにいく(図5(B)参照)。
【0034】
上下部タレット5U、5LからパンチPおよびダイDを取り外したら、ATC9はストレージ3側へ移動し、ストレージ3の所定位置を金型交換位置K3に位置決めしてパンチPおよびダイDを収納する(図5(C)参照)。
【0035】
パンチPおよびダイDをストレージ3に収納したら、ATC9はストレージ3から離れて待機し、ストレージタレット7U、7Lを回転させて、次に使用するパンチPおよびダイDを金型交換位置K3に位置決めする(図5(D)参照)。
【0036】
ATC9は、金型交換位置K3に位置決めされたパンチPおよびダイDを取り外す(図5(E)参照)。
【0037】
新しいパンチPおよびダイDを把持したATC9を金型交換位置K1、K2へ移動させ、上下部タレット5U、5Lに装着した(図5(F)参照)後、ATC9は待機位置で待機する(図5(G)参照)。
【0038】
図6には、タレットパンチプレス1およびATC9に装着されている金型の状態をリアルタイムで監視し、自動プロやセルライン制御装置から発生した金型交換指令に対して最適な金型交換動作パターンを選択するための金型装着情報の一例が示されている。
【0039】
この金型装着情報は、タレットパンチプレス1に装着されている全ての金型の固有情報(形状、寸法、ダイクリアランス等)と、その金型が現在どこに装着されているかを情報として記憶している。従って、この金型装着情報は、所在がタレットパンチプレス1からストレージ3または交換準備バッファ位置等に変化したときは、変化が完了したタイミングで更新が確定するようにする。
【0040】
以上のような図5(A)〜(G)の各ステップごとの工程に分割して、動作を遷移番号で管理する。一例として図7、図8では、自動金型交換動作パターンA(以後、「パターンA」という。)からパターンHまでが表に示されている。例えば、パターンAでは、遷移番号1は待機位置、遷移番号2は加工機取出アプローチ位置、遷移番号3は加工機取出位置、遷移番号4は上下部タレット5U、5Lからストレージ3への待機位置(金型あり)、遷移番号5はストレージセットアプローチ位置、遷移番号6はストレージセット位置、遷移番号7はストレージ3からストレージ3への待機位置(金型なし)、遷移番号8はストレージ取出アプローチ位置、遷移番号9はストレージ取出位置、遷移番号10はストレージ3から上下部タレット5U、5Lへの待機位置(金型あり)、遷移番号11は加工機セットアプローチ位置、遷移番号12は加工機セット位置、遷移番号13は待機位置(全軸)、をそれぞれ意味している。また、パターンBからパターンHまでは、それぞれ表中に示すとおりである。
【0041】
図9〜図11には、NC装置19からATC制御装置へ送られる自動金型交換動作パターン別セットデータが示されている。自動による金型交換動作は、パターンごとにNC装置19からATC制御装置へ転送されるが、図9〜図11に示されているように、金型交換動作パターンごとに転送されるデータが異なるので、NC装置19側ではATC制御装置に対して適切なデータをセットする必要がある。
【0042】
図9〜図11中、△印はPs軸の待機位置データをセット(ダイのみ交換)することを示し、▲は交換パターン・登録状況により異なることを示す。また、−印はISAラダーで読むことはないが、誤動作防止のためゼロクリアするのが望ましい。また、表中に該当する座標データをセットした場合、同一のステーションデータが重複する場合があるが、指定の場所にデータをセットする。
【0043】
<(2)障害発生処理>
障害発生処理では、金型交換動作中に発生した障害状態および状態遷移番号を障害復旧履歴に記憶する。そして、障害発生時の機械状態と状態遷移番号を認識することで、障害発生時の最適復旧動作パターンを自動的に選択して実行する。
【0044】
すなわち、図12を参照するに、エントリして(ステップS11)、金型交換中にアラーム発生を受信したら(ステップS12)、発生アラーム情報の受信、状態遷移番号の受信等を表示する(図13参照)。そして、機械の状態を通知することを要求するので(ステップS13)、オペレータは障害要因を解除した後、確認ボタンを押して機械状態通知を行う。このとき、障害要因が解除されない場合(図14参照)、この時点で解除がされていないアラーム情報を表示させ、オペレータにアラームの解除を促す。但し、発生したアラームが解除不可能な場合には電源をOFFにして終了する。
【0045】
障害要因が解除された場合には、自動復旧判断部33が、その障害が自動復旧可能か不可能かを判断するため(ステップS14)、NC装置19はATC制御装置に対して現在のATCの状態を要求する。ATC制御装置は要求に対して、障害復旧動作パターン判断データ(図15(A)参照)を通知する。NC装置19では復旧動作選択部35が、障害復旧動作パターン判断データに基づいて最適な障害復旧動作パターンを自動的に選択する。そして、NC装置19は、ATC制御装置より受信した障害発生データにより最適な障害復旧動作パターンを選択できたときに、ATC制御装置に対して障害復旧動作データを送信すると共に、障害復旧履歴表示用データを作成する(図15(B)参照)。
【0046】
このとき、ATC9がオンラインでないと自動復旧の可否が判断できないため、まずATC9をオンラインにすることを促し(図16参照)、ATC9がオンラインになっていない場合には、図17に示される画面にしたがってATC9をオンラインにする。ATC9をオンラインにした後、アラームが発生した場合には(図18参照)、再度ステップS12を実行する。
【0047】
次に、自動復旧判断部33が自動復旧が可能か否かを判断し(ステップS15)、自動復旧動作不可の場合には、図19に示される画面にしたがってATCをオフラインにして、オペレータが手動で復旧作業を行う。そして、手動復旧後の金型の所在を完了または未完了で選択して(図20、図21参照)、データの更新を行う(ステップS16)。
【0048】
一方、ステップS15において自動復旧が可能であると判断された場合には(図22参照)、スタートボタンを押して自動復旧動作実行を通知し(ステップS17)、ATC制御装置はNC装置19より送出された障害復旧動作データ(図23参照)に基づき障害復旧動作を実行する。
【0049】
このとき、アラームが発生して(図24参照)、アラームが解除不可能な場合には電源をOFFとして処理を終了する。一方、アラームを解除できる場合には、スタートボタンを押して自動復旧を実行する(図25参照)。なお、自動復旧動作中に障害が発生した場合には(ステップS18)、ステップS12に戻って以降の工程を繰り返す。
【0050】
自動復旧が完了したら、上述した障害復旧表示履歴用データを図15(B)に示されているように表示した後更新し(ステップS19)、オペレータが確認ボタンを押すのを待つ(図26参照)。
【0051】
以上のように自動により(ステップS15〜ステップS19)および手動により(ステップS16)障害要因を排除したら、データベース状態も正常に更新できるため、内部状態の初期化を行って(ステップS20)、障害復旧処理を終了する(ステップS21)。
【0052】
<(3)障害復旧履歴表示>
障害復旧履歴表示では、金型交換動作中の障害発生状況・傾向等、障害の原因を確認する際に前述の(2)で記憶した障害復旧履歴を表示することを可能とする(図27、図28参照)。この機能により、どの金型で障害が発生しているか、金型交換動作のどの工程で障害が発生しているか等の障害発生要因の確認をいつでも行うことが可能となる。
【0053】
なお、図27では、障害が発生したとき障害復旧動作パターン判断データによって更新された障害復旧履歴表示用データを後に一覧表示することができる。1つの事象について詳細の情報を表示したい場合には、図27における画面の「詳細」表示を押し下げて、さらに詳しい発生した障害の情報を可能とする。
【0054】
以上の結果から、金型交換動作の工程をリアルタイムで監視することにより、障害が金型交換動作のどの工程を実行中に発生しても、最適な障害復旧動作を選択することができると共に、データベース状態を正確に行進することが可能になる。また、自動復旧が不可能な場合でも、オペレータによる手動の障害復旧によりデータの更新を行うことができるので、データの正確性の向上を図ることができる。
【0055】
また、金型交換中に発生した障害状態を障害復旧履歴データとして記憶し、表示することにより、障害発生原因等を後に検証することが可能になる。
【符号の説明】
【0056】
1 タレットパンチプレス(パンチプレス)
3 ストレージ
9 ATC(自動金型交換装置)
19 NC制御装置(金型交換制御装置)
27 動作パターン制御部
29 動作パターン認識部
31 金型交換動作パターン実行部
33 自動復旧判断部
35 復旧動作選択部
37 障害データ記憶部
39 障害データ表示部
P パンチ(金型)
D ダイ(金型)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチプレスに装着された金型を、ストレージに収納されている金型と交換する自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置であって、
自動金型交換および自動障害復旧動作の工程を各機能ごとに分解して定義し、分解定義された動作を動作パターンとして制御する動作パターン制御部と、前記動作パターンを状態遷移番号で管理し、動作がどの状態を実行中であるか常に認識する動作パターン認識部と、
金型交換指令に基づいて交換の対象となった金型を金型装着情報の状態と比較して自動で金型交換動作パターンを選択して実行する金型交換動作パターン実行部と、障害発生時にパンチやダイのクランプ状態、パンチの検出状態、ATCの干渉領域状態、状態遷移番号から発生した障害を自動動作で復旧することが可能か否かを判断する自動復旧判断部と、障害復旧動作を自動的に選択する復旧動作選択部と、
金型交換中に障害が発生した場合にこの障害に関する情報を記憶する障害データ記憶部と、この障害データ記憶部に記憶されている障害データを表示する障害データ表示部と、を備えていることを特徴とする自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置。
【請求項2】
前記障害データが、金型交換指令、障害発生日時、発生した障害のアラーム番号、金型交換動作パターン、状態遷移番号、ストレージ番号、ダイ番号、タレット番号、完了・未完了、状況に関するデータを含むことを特徴とする請求項1記載の自動金型交換装置付きパンチプレスの金型交換制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−104658(P2011−104658A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47456(P2011−47456)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【分割の表示】特願2001−22395(P2001−22395)の分割
【原出願日】平成13年1月30日(2001.1.30)
【出願人】(595051201)株式会社アマダエンジニアリングセンター (11)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】