説明

自動開閉弁の保守管理方法

【課題】弁体の動きを正確に捉え、機械的磨耗状態を常時把握してメンテナンス時期を予測するのに適した自動開閉弁を提供する。
【解決手段】本発明の自動開閉弁は、軸心周りに回転可能な弁体シャフト2と、弁体シャフト2に固定された弁体と、弁体シャフト2に連結部5を介して連結される駆動軸4と、駆動軸4を回転駆動させる駆動手段と、を備え、上記駆動手段の作動によって、弁体シャフト2が開位置と閉位置との間で往復回転し、上記弁体の開閉動作が自動的に行われるように構成された自動開閉弁であって、弁体シャフト2が上記開位置もしくは上記閉位置にあるか否かを検出する検出手段7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体の開閉動作が自動的に繰り返し行われるように構成された自動開閉弁、およびその保守管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒素ガス、酸素ガス、水素ガス、アルゴンガスなどを分離精製するための手法として、吸着剤を充填した吸着塔を用いて行う圧力変動吸着法(PSA法)が知られている。PSA法によるガス分離では、ガスの流れを切り換えるための自動開閉弁を吸着塔の出入口部にそれぞれ設置し、各自動開閉弁において、弁体を閉状態から開状態へ、あるいは開状態から閉状態へと作動させるPSA操作を数十秒ないし数分間の間隔で行っている。このため、自動開閉弁における弁体の開閉作動回数は、年間で20〜100万回程度にも及んでいる。
【0003】
自動開閉弁としては、例えばバタフライ弁が用いられる。当該バタフライ弁は、軸心周りに回転可能な弁体シャフトと、弁体シャフトに固定された円板状の弁体と、弁体シャフトにジョイント部を介して連結される駆動軸と、駆動軸を回転駆動させる駆動手段とを備えている。駆動手段は、例えば、モータや油圧あるいは空気圧シリンダなどのアクチュエータの動作が伝達機構を介して駆動軸の回転動作として伝達されるように構成されている。このような自動開閉弁(バタフライ弁)に関する技術は、例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
バタフライ弁を自動開閉弁としてPSA操作に用いる場合、上記したように弁体を長時間に亘って高い頻度で開閉させることによって、弁体と接触するシール部が摩耗し、弁体が閉状態にあるときの気密性が損なわれてしまうおそれがある。また、弁体の開閉動作を繰り返すことによって、弁体シャフトと駆動軸とを連結する連結部が摩耗し、当該連結部においてガタツキが生じる場合がある。連結部にガタツキが生じると、駆動軸を適切に回転駆動させたとしても、弁体シャフトは、弁体が完全に閉じた状態となる閉位置をとることができず、また、弁体が完全に開いた状態となる開位置をとることもできない。その結果、弁体の開閉動作時において、弁体が閉まりきらなくなったり、あるいは、開ききらなくなったりする事態が生じ得る。
【0005】
このような自動開閉弁の機械的な摩耗に起因する不都合に対し、例えば弁体を閉じた状態で上流側と下流側の差圧変化を測定することによって機械的な摩耗が生じていることを間接的に検知し、自動開閉弁の部品交換等のメンテナンスを行うといった対策が講じられる場合がある。しかしながら、このような圧力変化の測定によるメンテナンスの対応では、運転時に自動開閉弁の機械的磨耗状態を把握し、自動開閉弁のメンテナンス時期を事前に予測することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平2−541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情の下で考え出されたものであって、弁体の動きを正確に捉え、運転時に機械的磨耗状態を常時把握するのに適した自動開閉弁を提供することを課題としている。また、本発明は、そのような自動開閉弁のメンテナンス時期を事前に予測することが可能な保守管理方法を提供することを他の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される自動開閉弁は、軸心周りに回転可能な弁体シャフトと、弁体シャフトに固定された弁体と、上記弁体シャフトに連結部を介して連結される駆動軸と、上記駆動軸を回転駆動させる駆動手段と、を備え、上記駆動手段の作動によって、上記弁体シャフトが開位置と閉位置との間で往復回転し、上記弁体の開閉動作が自動的に行われるように構成された自動開閉弁であって、上記弁体シャフトが上記開位置もしくは上記閉位置にあるか否かを検出する検出手段を備えることを特徴としている。
【0009】
好ましくは、上記検出手段は、上記弁体シャフトに固定された検出部と、上記弁体シャフトが上記開位置もしくは上記閉位置あるときに上記検出部の接近を検出する近接スイッチと、を備えて構成されている。
【0010】
本発明の第2の側面によって提供される自動開閉弁の保守管理方法は、本発明の第1の側面に係る自動開閉弁を保守管理するための方法であって、上記弁体シャフトが上記開位置と上記閉位置との間を往復する回数を作動回数とし、上記検出手段の検出結果を用いて、上記各作動回数ごとに、上記弁体シャフトが上記閉位置から回転して上記開位置に至るまでの時間、あるいは上記開位置から回転して上記閉位置に至るまでの時間を作動時間として測定し、初回作動のときの作動時間を初期作動時間とし、当該初期作動時間に対して所定の作動回数において作動時間が減少する変化率(作動時間変化率)が所定値以下となったときにメンテナンス時期であると判定することを特徴としている。
【0011】
本発明の第2の側面において、好ましくは、作動回数が30万回の時点の上記作動時間変化率が10%を超えて60%以下の範囲にあり、かつ、その後の作動回数10万回ごとの上記作動時間変化率が10%以下となる場合に、メンテナンス時期であると判定する。
【0012】
本発明の第2の側面において、好ましくは、上記作動時間が設定時間以上となったときに、上記弁体シャフトを上記閉位置まで回転させて上記弁体を閉状態とする。
【0013】
本発明の第2の側面において、好ましくは、上記設定時間は、上記初期作動時間である。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る自動開閉弁の一部を切欠いて表した概略正面図である。
【図2】図1の一部を切欠いて表した要部拡大図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う要部断面図である。
【図4】弁体シャフトの作動回数と作動時間との関係の一例を示すグラフである。
【図5】弁体シャフトの作動回数と作動時間との関係の他の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1〜図3は、本発明に係る自動開閉弁の一例を示す。図1に表れているように、本実施形態の自動開閉弁Xは、弁ケース1と、弁体シャフト2と、円板状の弁体3と、駆動軸4とを備え、弁体3を開閉切換可能な偏心型バタフライ弁として構成されたものである。
【0018】
弁体シャフト2は、所定の軸心周りに回転可能な状態で弁ケース1に支持されている。より詳細には、弁ケース1の下部にはシール部材11を組み込んだフランジ12が取り付けられており、弁体シャフト2は、その下端に設けられたリテーナ21を介してフランジ12に支持されている。弁ケース1と弁体シャフト2の上部との間には、シール部材13が設けられている。シール部材13は、弁ケース1の上部に取り付けられたフランジ14によって押さえられている。上記のシール部材11,13によって、弁体シャフト2が回転しても、弁ケース1外部へのガス(流体)の漏洩が防止される。
【0019】
弁体3は、弁体シャフト2に固定されており、当該弁体シャフト2を回転軸として開状態と閉状態との間を90度回転するように構成されている。弁体3が閉状態をとるときに、当該弁体3の周縁は、弁ケース1に設けられたリング状のシート15と密着する。
【0020】
図1、図2に表れているように、駆動軸4は、弁体シャフト2の上部に設けられ、連結部5を介して弁体シャフト2と連結されている。連結部5は、図2、図3に表れているように、例えば、弁体シャフト2の上端に形成された凹部22と、駆動軸4の下端に形成された凸部41とを備え、凹部22に凸部41が相対回転不能に嵌挿された構成とされている。
【0021】
駆動軸4の上部には、シリンダ6が設けられている。詳細な図示説明は省略するが、シリンダ6内には、例えば空気圧により水平方向に移動するピストンロッドが設けられており、当該ピストンロッドの水平方向の動きが伝達機構を介して駆動軸4の回転動作として伝達されるように構成されている。このようにシリンダ6(ピストンロッド)の動作が駆動軸4の回転動作として伝達される構成は、例えば実公平2−541号公報に記載れている。上記シリンダ6および上記伝達機構は、本発明でいう駆動手段を担う。
【0022】
本実施形態の自動開閉弁Xは、検出手段7を更に備えている。検出手段7は、弁体シャフト2が開位置あるいは閉位置にあるか否かを検出するためのものであり、例えば、弁体シャフト2に固定された検出部71と、ブラケット16を介して弁ケース1に固定された近接スイッチ72とを備えて構成されている。近接スイッチ72としては、外部磁界の影響により金属の接近を検出する誘導形近接スイッチ、金属および非金属物体の存在を検出する静電容量型近接スイッチ、音の反射により物体の接近を検出する超音波形近接スイッチ、光反射により物体の接近を検出する光電形近接スイッチなどを挙げることができる。本実施形態では、近接スイッチ72を誘導形近接スイッチとして構成した場合を例に挙げて説明する。
【0023】
検出部71は、金属棒からなり、弁体シャフト2を周方向に囲むバンド73にビス締めや溶接などでしっかりと固定されている。当該バンド73は、その両端部をボルト74で締め付けることにより、弁体シャフト2に固定されている。
【0024】
近接スイッチ72は、弁体シャフト2が開位置および閉位置をとるときに検出部71が対向接近する位置に配されており、弁体シャフト2の回転方向において90度離れた2箇所に設けられている。検出部71が近接スイッチ72に対向接近するとき、検出部71と近接スイッチ72との距離Lは、2〜4mm程度とされる。
【0025】
シリンダ6および近接スイッチ72は、図示しない制御装置と連携している。シリンダ6は、制御装置からの制御信号に基づいて作動し、このシリンダ6の作動によって、例えば、駆動軸4が所定トルクで回転させられる。そして、駆動軸4に連結された弁体シャフト2が開位置と閉位置との間で往復回転し、弁体3の開閉動作が自動的に行われる。また、制御装置においては、弁体シャフト2が開位置と閉位置との間を往復する回数が作動回数として記録される。
【0026】
弁体3が弁体シャフト2を回転軸として閉状態から開状態、あるいは開状態から閉状態へと回転するとき、弁体シャフト2に設けられた検出部71も同時に動き、近接スイッチ72に接近してくる。そして、検出部71が近接スイッチ72に対向接近して開位置あるいは閉位置に到達したとき、近接スイッチ72は検出部71の接近を検出し、検出信号を制御装置に出力する。制御装置においては、近接スイッチ72からの検出信号に基づき、弁体シャフト2が開位置から回転して閉位置に至るまでの時間あるいは弁体シャフト2が閉位置から回転して開位置に至るまでの時間が、作動時間として記録される。当該作動時間は、例えば1/20秒以下の精度で測定される。そして、弁体3の開閉動作にともなって各作動回数ごとに作動時間が測定され、制御装置に記録される。
【0027】
上記構成の自動開閉弁Xは、例えば、吸着塔を用いて行うPSA法によるガス分離を行うための装置において、各吸着塔の出入口部に設けて用いられる。
【0028】
次に、上記の自動開閉弁Xの使用状況および保守管理方法について説明する。
【0029】
PSA法によるガス分離では、各吸着塔におけるガス流れの切換えが所定のサイクルで繰り返し行われるので、自動開閉弁Xについては頻繁に開閉させる必要がある。自動開閉弁Xを新しく設置した後やメンテナンスした後において、初回作動の際(運転初期)には、作動時間(初期作動時間)は、比較的に長い時間となる。すなわち、運転初期には、弁体3がシート15に食い込むのに時間がかかったり、弁体シャフト2のシール部材13の締め付けが固かったりして動きが鈍く、作動時間が長い。弁体3の開閉を続けると、摺接部が次第に磨耗して弁体3の開閉がスムーズになり、作動回数が増えるにつれて作動時間が徐々に短くなる。そしてその作動時間は、やがて略一定に収斂して安定するようになる。さらに弁体3の開閉を続けると、シリンダ6が傷んだり、駆動軸4と弁体シャフト2との連結部5が緩んでがたつきが生じたりして、作動時間が極端に長くなる現象が生じ得る。
【0030】
図4は、弁体シャフト2の延べ作動回数と閉から開への作動時間との関係の一例を示すグラフである。φ600mmのバタフライ弁として構成された自動開閉弁Xを用い、弁体シャフト2の閉位置から開位置への動作を1分間に1回と、開位置から閉位置への動作を1分間に1回とを行い、この1往復の開閉動作を作動回数1回として弁の開閉を繰り返した。図4においては、各作動回数における弁体シャフト2の閉位置から開位置への作動時間を示す。
【0031】
図4から理解されるように、弁体シャフト2の作動回数が比較的少ない(数十万回程度以内)ときには、初期作動時間に対して所定の作動回数における作動時間の変化率(作動時間変化率)が相対的に大きく、弁体シャフト2の作動回数が多くなるにつれて、初期作動時間に対して所定の作動回数における作動時間変化率が相対的に小さくなる。このように、弁体シャフト2の作動回数が多くなると、作動時間変化率が漸次的に小さくなり、作動時間は、初期作動時間よりも短いある一定値に収斂する。
【0032】
本実施形態の自動開閉弁Xの保守管理方法においては、作動回数が30万回の時点で作動変化率が10%を超えて60%以下の範囲であり、その後の作動回数10万回ごとの作動時間変化率が10%以下となる場合に、メンテナンス時期であると判定する。例えば初期作動時間が1.9秒である場合には1.9秒の10%は1.9×(10/100)=0.19秒であり、1.9秒の60%は1.9×(60/100)=1.14秒であるので、30万回の時点の初期作動時間に対する作動時間の変化幅は、0.19秒を超えて1.14秒以下の範囲にある。その後、作動回数10万回ごとの初期作動時間に対する作動時間の変化幅が0.19秒以下となったときにメンテナンスが必要であると判定する。
【0033】
図4に示す場合においては、初回作動のときの作動時間(初期作動時間)は、1.9秒であり、作動回数が30万回の時点の作動時間は初期作動時間に対して例えば0.8秒短くなり(作動時間の変化幅が0.8秒、作動時間変化率が0.8/1.9×100=約42%)、さらに次の作動回数10万回において作動時間が0.1秒短くなっている(作動時間の変化幅が0.1秒、作動時間変化率が0.1/1.9×100=約5%)。そして、閉から開への作動時間が1.0秒に収斂する方向に向かって安定していき、延べ作動回数が53万回のときに、作動時間が急激に増加し、当該作動時間が初期作動時間である1.9秒よりも長い2.8秒となった。この作動時間の急激な増加は、シリンダ6や連結部5のがたつきに起因するものと考えられる。
【0034】
弁体シャフト2の作動回数が増えるにつれて作動時間が漸次的に短くなり、ある一定の値に収斂していくことが経験的に分かっているが、作動時間が短くなる変化の度合いは、自動開閉弁Xのサイズの相違や個体差等の諸条件によって異なるので、作動時間が収斂していく値を予測することは困難である場合が多い。
【0035】
これに対し、本保守管理方法によれば、測定された弁体シャフト2の作動時間を管理しておけば、当該作動時間が収斂安定するタイミングを掴むことができ、メンテナンス時期を事前に予測することができる。
【0036】
上記した図4に示す場合においては、作動回数が30万回の時点の作動時間変化率が約42%(10%を超えて60%以下の範囲)であり、その次の作動回数10万回における作動時間変化率が約5%(10%以下)であるので、延べ作動回数40万回にてメンテナンス時期であると判定される。その一方、図4に示す場合と異なり、例えば、作動回数が30万回の時点の作動時間変化率が図4に示す場合よりも小さく(例えば30%台)、その次の作動回数10万回においても作動時間変化率が10%を超える場合がある。この場合、さらにその次の作動回数10万回における作動時間変化率が10%以下であれば、延べ作動回数が50万回にてメンテナンス時期であると判定される。
【0037】
図5は、弁体シャフト2の延べ作動回数と閉から開への作動時間との関係の他の例を示すグラフである。図5に示す場合においては、初回作動のときの作動時間(初期作動時間)は、1.9秒であり、作動回数が30万回の時点の作動時間は初期作動時間に対して例えば0.6秒短くなり(作動時間の変化幅が0.6秒、作動時間変化率が0.6/1.9×100=約31.6%)、さらに次の作動回数10万回において作動時間が0.2秒短くなっている(作動時間の変化幅が0.2秒、作動時間変化率が0.2/1.9×100=約10.5%)。この場合、作動回数が30万回を超えて40万回までの10万回における作動時間変化率が10%を超えているので、延べ作動回数40万回の時点では、まだメンテナンス時期が到来していないと判定される。そして、さらにその次の作動回数10万回における作動時間変化率を監視する。図5に示す場合においては、その次の作動回数10万回において作動時間が0.05秒短くなっている(作動時間の変化幅が0.05秒、作動時間変化率が0.05/1.9×100=約2.6%)。この場合、作動回数が40万回を超えて50万回までの10万回における作動時間変化率が約2.6%(10%以下)であるので、延べ作動回数50万回にてメンテナンス時期であると判定される。
【0038】
また、検出部71は、弁体シャフト2に固定されており、検出部71の回転位置を検出することにより、弁体シャフト2の作動時間が測定される。このように検出部71が弁体シャフト2に固定された構成によれば、弁体3の動きを正確に捉えることができ、機械的磨耗によるがたつきが生じても、弁体3(弁体シャフト2)の開閉時の作動時間を正確に測定することができる。このことは、メンテナンス時期を正確に予測するうえで好ましい。
【0039】
また、本実施形態の自動開閉弁Xの保守管理方法においては、弁体3(弁体シャフト2)が開閉動作を繰り返す際に、弁体シャフト2の作動時間が所定の設定時間(例えば初期作動時間)以上となったときに、制御装置からの制御信号によって、すべての自動開閉弁Xの弁体3を閉状態とするようにシリンダ6を作動させる。このような方法によれば、メンテナンス時期を過ぎてもメンテナンスを実施しなかった場合、あるいは自動開閉弁Xにて予期しない不具合が生じた場合等においても、緊急的にすべての自動開閉弁Xの弁体3を閉じることによって、PSA法によるガス分離操作を安全に停止させることができる。
【0040】
なお、上記したように、弁体シャフト2の作動回数の増加にともない、当該弁体シャフト2の作動時間は、初期作動時間よりも短い一定の時間に収斂する。このため、弁体3を緊急閉止する際の条件となる設定時間を初期作動時間としておくと、自動開閉弁Xを適切なタイミングで閉じることができる。
【0041】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係る自動開閉弁の各部の具体的な形状や材質なども、上記実施形態に限定されるものではない。
【0042】
上記実施形態においては、自動開閉弁を偏心型バタフライ弁として構成した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。本発明の自動開閉弁は、中心型バタフライ弁として構成してもよく、また、ボール弁などの他の形式のバルブとして構成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
X 自動開閉弁
1 弁ケース
2 弁体シャフト
3 弁体
4 駆動軸
5 連結部
6 シリンダ
7 検出手段
11 シール部材
12 フランジ
13 シール部材
14 フランジ
15 シート
16 ブラケット
21 リテーナ
22 凹部
41 凸部
71 検出部
72 近接スイッチ
73 バンド
74 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心周りに回転可能な弁体シャフトと、弁体シャフトに固定された弁体と、上記弁体シャフトに連結部を介して連結される駆動軸と、上記駆動軸を回転駆動させる駆動手段と、を備え、
上記駆動手段の作動によって、上記弁体シャフトが開位置と閉位置との間で往復回転し、上記弁体の開閉動作が自動的に行われるように構成された自動開閉弁であって、
上記弁体シャフトが上記開位置もしくは上記閉位置にあるか否かを検出する検出手段を備えることを特徴とする、自動開閉弁。
【請求項2】
上記検出手段は、上記弁体シャフトに固定された検出部と、上記弁体シャフトが上記開位置および上記閉位置のそれぞれの位置にあるときに上記検出部の接近を検出する近接スイッチと、を備えて構成されている、請求項1に記載の自動開閉弁。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動開閉弁を保守管理するための方法であって、
上記弁体シャフトが上記開位置と上記閉位置との間を往復する回数を作動回数とし、
上記検出手段の検出結果を用いて、上記各作動回数ごとに、上記弁体シャフトが上記閉位置から回転して上記開位置に至るまでの時間、あるいは上記開位置から回転して上記閉位置に至るまでの時間を作動時間として測定し、
初回作動のときの作動時間を初期作動時間とし、当該初期作動時間に対して所定の作動回数において作動時間が減少する変化率(作動時間変化率)が所定値以下となったときにメンテナンス時期であると判定することを特徴とする、自動開閉弁の保守管理方法。
【請求項4】
作動回数が30万回の時点の上記作動時間変化率が10%を超えて60%以下の範囲にあり、かつ、その後の作動回数10万回ごとの上記作動時間変化率が10%以下となる場合に、メンテナンス時期であると判定する、請求項3に記載の自動開閉弁の保守管理方法。
【請求項5】
上記作動時間が設定時間以上となったときに、上記駆動手段の作動によって上記弁体シャフトを上記閉位置まで回転させて上記弁体を閉状態とする、請求項3または4に記載の自動開閉弁の保守管理方法。
【請求項6】
上記設定時間は、上記初期作動時間である、請求項5に記載の自動開閉弁の保守管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−241768(P2012−241768A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111125(P2011−111125)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【特許番号】特許第4843111号(P4843111)
【特許公報発行日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】