説明

自動開閉装置

【課題】簡単な構成で、自動開閉装置自体で、センサー等を設けることなく非駆動時の開閉体の動作を監視して警報を発することが可能であり、かつ、他のシステムとの連動も容易な自動開閉装置を提供すること。
【解決手段】レール110に沿って開閉体101を往復褶動させる自動開閉装置100であって、可動子112と固定子111で構成されるリニアモータを駆動制御する制御部120を有し、制御部120には、リニアモータの非駆動時の可動子112の移動により発生する起電力を検出する検出手段121と、条件を設定する設定手段122と、該条件と検出された起電力に応じて警報を発する警報手段123とを有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設、建物、オフィス、部屋、設備、乗り物等の開口部や出入口に設けられるカーテン、扉、窓、ゲート、シャッター等の開閉体をリニアモータで開閉駆動する自動開閉装置に関し、所定の条件の際にリニアモータの非駆動時の開閉体の動きを検出して警報を発する自動開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設、建物、オフィス、部屋、設備、乗り物等の開口部や出入口に設けられるカーテン、扉、窓、ゲート、シャッター等の開閉体をリニアモータで開閉駆動する自動開閉装置は公知である(特許文献1、2等参照。)。
また、施設、建物、オフィス、部屋、設備、乗り物等の安全や防犯のため、開口部や出入口にセンサー等を設け、カーテン、扉、窓、ゲート、シャッター等の開閉体の状態や動作を検出して警報を発するシステムは様々なものが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−75881号公報
【特許文献2】特開平11−42158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、公知のリニアモータによる自動開閉装置は、リニアモータの非駆動時に、カーテン、扉、窓、ゲート、シャッター等の開閉体をロックしたり、手動でそれらの開閉体の動作を可能とすることはできるが、非駆動時に、それらの開閉体の動きを検知して警報を発することは不可能であった。
また、周知の施錠システム、防犯システム、安全システム等のシステムによってカーテン、扉、窓、ゲート、シャッター等の開閉体の状態や動作を監視する場合は、それぞれのシステムのための独自のセンサー等を設ける必要があり、せいぜい、自動開閉装置の動作異常の監視や動作の許可設定等で連動する程度であった。
【0005】
そこで本発明は、簡単な構成で、自動開閉装置自体で、センサー等を設けることなく非駆動時の開閉体の動作を監視して警報を発することが可能であり、かつ、他のシステムとの連動も容易な自動開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本請求項1に係る発明は、開口部や出入口の少なくともひとつの辺に設けられるレールと、該レールに沿って往復褶動する開閉体と、前記レールに取り付けられた固定子と、前記開閉体に取り付けられレールに沿って往復褶動する可動子と、前記可動子と固定子で構成されるリニアモータを駆動制御する制御部とを備えた自動開閉装置であって、前記制御部は、リニアモータの非駆動時の可動子の移動により発生する起電力を検出する検出手段と、条件を設定する設定手段と、該条件と検出された起電力に応じて警報を発する警報手段とを有することにより、前記課題を解決するものである。
【0007】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載された自動開閉装置の構成に加えて、前記設定手段が、オンオフを設定するものであり、前記警報手段は、設定手段の設定条件がオンの場合、前記起電力の発生により警報を発することにより、前記課題を解決するものである。
【0008】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された自動開閉装置の構成に加えて、前記固定子がコイルからなり、前記検出手段が、起電力の発生位置およびその位置の移動速度も特定可能であり、前記設定手段が、起電力の発生位置およびその位置の移動速度も設定可能であり、前記警報手段が、起電力の発生位置およびその位置の移動速度に応じて警報を発することにより、前記課題を解決するものである。
【0009】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された自動開閉装置の構成に加えて、前記設定手段が、施錠システム、防犯システム、安全システム等の他のシステムの作動状態に連動するものであることにより、前記課題を解決するものである。
【0010】
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された自動開閉装置の構成に加えて、前記警報手段が、施錠システム、防犯システム、安全システム等の他のシステムに対して情報を出力するものであることにより、前記課題を解決するものである。
【0011】
本請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された自動開閉装置の構成に加えて、前記開閉体がカーテンであり、前記可動子が、該カーテンに複数設けられていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0012】
本請求項1に係る発明の自動開閉装置によれば、リニアモータの非駆動時の可動子の移動による起電力を検出することで、施設、建物、オフィス、部屋、設備、乗り物等の開口部や出入口に設けられるカーテン、扉、窓、ゲート、シャッター等の開閉体が他の力で開閉されたことをセンサー等を設けることなく制御部内で検出でき、簡単な構成で開閉体の動作を監視して警報を発することが可能となる。
また、設定手段により検出感度や検出の必要の有無等を任意に設定できる。
【0013】
本請求項2に記載の構成によれば、例えば、開閉体が建物の出入口や窓のカーテンの場合、外出時や就寝時のみオンにすることで、不審な侵入者に対する警報を発することができる。
本請求項3に記載の構成によれば、開閉体の不審者による開閉のパターン(音がしないようにゆっくり開ける等)を判別したり、開閉体がカーテン等の場合は風によるカーテンの移動を判別することが可能となり、より高精度に警報を発することが可能となる。
本請求項4に記載の構成によれば、例えば、施錠システム、防犯システム、安全システム等の他のシステムを作動させた場合のみ自動開閉装置の警報手段の作動も許可する等の条件設定を行うことで、個別に条件設定の操作を行う必要がなく利便性が向上する。
本請求項5に記載の構成によれば、自動開閉装置の警報手段を、施錠システム、防犯システム、安全システム等の他のシステムにおけるセンサーの1つとして監視対象に加えて利用することが可能となり、施設、建物、オフィス、部屋、設備、乗り物等の全体の監視を効率的に行うことができる。
本請求項6に記載の構成によれば、複数の可動子によってより詳細な起電力パターンを検出可能となり、より正確に開閉体であるカーテンの状態や動作を監視して警報を発することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例である自動開閉装置の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の自動開閉装置は、開口部や出入口の少なくともひとつの辺に設けられるレールと、該レールに沿って往復褶動する開閉体と、レールに取り付けられた固定子と、開閉体に取り付けられレールに沿って往復褶動する可動子と、可動子と固定子で構成されるリニアモータを駆動制御する制御部とを備えた自動開閉装置であって、制御部は、リニアモータの非駆動時の可動子の移動により発生する起電力を検出する検出手段と、条件を設定する設定手段と、該条件と検出された起電力に応じて警報を発する警報手段とを有するものであって、簡単な構成で、自動開閉装置自体で、センサー等を設けることなく非駆動時の開閉体の動作を監視して警報を発することが可能であり、かつ、他のシステムとの連動も容易なものであれば、具体的な実施形態はいかなるものであっても良い。
【実施例】
【0016】
本発明の1実施例である自動開閉装置100は、図1に示すように、開口部や出入口の少なくともひとつの辺に設けられるレール110と、該レール110に沿って往復褶動する開閉体101と、レール110に取り付けられた固定子111と、開閉体101に取り付けられレール110に沿って往復褶動する可動子112と、可動子112と固定子111で構成されるリニアモータを駆動制御する制御部120とを備えている。
なお、図1に示す例は、レール110が上方に設けられ開閉体101がレール110を往復褶動する可動子112から吊り下げられているものを概略的に図示したものであり、個々の構成の具体的な形状は示していないが、従来公知の種々の形状のものが利用可能である。
また、開閉体101は施設、建物、オフィス、部屋、設備、乗り物等の開口部や出入口に設けられるカーテン、扉、窓、ゲート、シャッター等のいかなるものでもよく、レール110の位置や本数、可動子112と開閉体101の取り付け形態、開閉体101の開閉方向等も本実施例に限定されるものではない。
【0017】
制御部120は、可動子112と固定子111で構成されるリニアモータを駆動制御する、すなわち、レール110に取り付けられた複数のコイルからなる固定子111に供給する電流を制御することで、磁石からなる可動子112をレール110に沿って往復褶動させ、可動子112が取り付けられた開閉体101の開閉を任意に制御するように構成されている。
なお、固定子111のコイルの形状や配置、コイルに供給する電流制御のための電気回路構成等は公知のもので良い。
【0018】
制御部120には、前述した公知のリニアモータを駆動制御する構成の他に、リニアモータの非駆動時の可動子112の移動により発生する起電力を検出する検出手段121と、条件を設定する設定手段123と、該条件と検出された起電力に応じて警報を発する警報手段122とを有している。
設定手段123は、警報手段122の動作のオンオフを設定することが可能であり、警報手段122は、設定手段123の設定条件がオンの場合、検出手段121で起電力の発生を検出したことを受けて警報を発する。
警報は、音によるもの、光によるもの等いかなるものでもよく、施錠システム、防犯システム、安全システム等の他のシステム130に信号を出力するものであっても良い。
【0019】
例えば、開閉体101が住宅の窓の内側に設けられたカーテンであり、制御部120がカーテンの開閉を遠隔で行うようにしたものである場合、普段は設定手段123の設定条件をオフとすることで、手動でカーテンを開閉しても警報手段122が警報を発することはなく、住人が就寝する際や外出する際に設定手段123の設定条件をオンとすることで、不審者によるカーテンの開閉を検出して警報手段122が警報を発することができる。
また、設定手段123は、施錠システム、防犯システム、安全システム等の他のシステム130による設定やスケジュールに連動させることで、個別に条件設定の操作を行う必要がなく利便性が向上する。
さらに、警報手段122が、施錠システム、防犯システム、安全システム等の他のシステム130に対して情報を出力するようにすれば、本自動開閉装置100を、それら他のシステム130のセンサーの1つとして監視対象に加えて利用することが可能となり、全体の監視を効率的に行うことができる。
【0020】
また、固定子111がレール110に並べられた複数のコイルから構成されているため、検出手段121によって起電力の発生位置およびその位置の移動速度を特定可能とする回路構成を取ることが可能となる。
その場合、警報手段122が作動すべき、起電力の発生位置およびその位置の移動速度を、設定手段123で設定することで、開閉体101の不審者による開閉のパターン(音がしないようにゆっくり開ける等)を判別したり、開閉体101がカーテン等の場合は風によるカーテンの移動を判別することが可能となり、より高精度に警報を発することが可能となる。
また、開閉体101が可撓性のあるカーテン等の場合、複数の可動子112を設けることによって、検出手段121によってより詳細な起電力パターンを検出可能となり、警報を発すべきパターンを設定手段123で設定することで、より正確に開閉体101であるカーテンの状態や動作を監視して、警報手段122によって警報を発することが可能となる。
【0021】
なお、設定手段123は、論理回路等で構成されても良い。
その場合、様々な設定条件は、施設、建物、オフィス、部屋、設備、乗り物等の開口部や出入口の条件、扉、窓、ゲート、シャッター等の開閉体の形態に応じてメモリ等の記憶手段に予め記憶されていればよく、複数の条件が記憶され利用形態に応じて変更可能としたり、条件を学習させるプログラム回路等を設けても良く、他のシステム130から条件をメモリ等の記憶手段に転送するよう構成されていても良い。
また、図示では、制御部120内に設定手段123、警報手段122を設けているが、物理的に別の筐体あるいは別の場所に設けられても良い。
【符号の説明】
【0022】
100 ・・・自動開閉装置
101 ・・・開閉体
110 ・・・レール
111 ・・・固定子
112 ・・・可動子
120 ・・・制御部
121 ・・・検出手段
122 ・・・警報手段
123 ・・・設定手段
130 ・・・他のシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部や出入口の少なくともひとつの辺に設けられるレールと、該レールに沿って往復褶動する開閉体と、前記レールに取り付けられた固定子と、前記開閉体に取り付けられレールに沿って往復褶動する可動子と、前記可動子と固定子で構成されるリニアモータを駆動制御する制御部とを備えた自動開閉装置であって、
前記制御部は、リニアモータの非駆動時の可動子の移動により発生する起電力を検出する検出手段と、条件を設定する設定手段と、該条件と検出された起電力に応じて警報を発する警報手段とを有することを特徴とする自動開閉装置。
【請求項2】
前記設定手段が、オンオフを設定することが可能であり、
前記警報手段は、設定手段の設定条件がオンの場合、前記起電力の発生により警報を発することを特徴とする請求項1に記載の自動開閉装置。
【請求項3】
前記固定子がコイルからなり、
前記検出手段が、起電力の発生位置およびその位置の移動速度も特定可能であり、
前記設定手段が、起電力の発生位置およびその位置の移動速度も設定可能であり、
前記警報手段が、起電力の発生位置およびその位置の移動速度に応じて警報を発することを特徴とする請求項1または2に記載の自動開閉装置。
【請求項4】
前記設定手段が、施錠システム、防犯システム、安全システム等の他のシステムの作動状態に連動するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動開閉装置。
【請求項5】
前記警報手段が、施錠システム、防犯システム、安全システム等の他のシステムに対して情報を出力するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動開閉装置。
【請求項6】
前記開閉体がカーテンであり、
前記可動子が、該カーテンに複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の自動開閉装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−40483(P2013−40483A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177702(P2011−177702)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(511144538)
【Fターム(参考)】