説明

自家発電システム

【課題】発電環境や受電環境等の変化に応じて経済的に自家発電装置18を利用する。
【解決手段】自家発電電源装置18の電力を送配電線路12側や宅内配線16側に供給する交流出力回路26と、自家発電電源装置18の電力で蓄電池20を充電する第1充電回路28と、送配電線路12から電力を受け入れて蓄電池20を充電する第2充電回路30と、蓄電池20の電力を宅内配線16側に供給する放電回路32と、自家発電電源装置18を第1充電回路28を介して蓄電池20に接続し、蓄電池20を放電回路32を介して宅内配線16に接続する第1の接続モードと、自家発電電源装置18を交流出力回路26を介して送配電線路12に接続し、蓄電池20を第2充電回路30を介して送配電線路12に接続し、蓄電池20を放電回路32を介して宅内配線16に接続する第2の接続モードの切り替えをする接続切り替え回路22を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自家発電をした電力や夜間電力を経済的に利用できる自家発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電装置や風力発電装置は、再生可能エネルギーによる電源装置として広く実用化され、日進月歩進化している。また、クリーンなエネルギーを利用した燃料電池も、次世代の自家発電電源装置として実用化が図られている。これらの自家発電電源装置により供給される電力の余剰分は蓄電池に蓄積され、夜間に使用される。しかしながら、大容量の蓄電池が高価なことから、自家発電電源装置により供給される電力の一部を電力会社に売ることができるシステムが広く利用されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−20260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
自家発電電源装置による余剰電力の量は設備の規模や利用者の利用態様により大きく相違する。また、電力を電力会社に売る価格は時を経る毎に変化する。利用者の居住地により相違することもある。さらに、蓄電池の性能も向上して価格も低下してきており、今後、容量の大きな蓄電池を使用するシステムも増加すると予測される。
本発明は、以上の点に着目してなされたもので、利用者にとって最も都合のよい経済的な構成を自由に選択できる自家発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
自然エネルギを電気エネルギに変換して出力する自家発電電源装置と、電力会社から送配電線路を経由して分電盤を介して商用電源を受け入れる宅内配線と、前記自家発電電源装置から供給される電力を蓄積し、もしくは、前記送配電線路から供給される電力を蓄積する蓄電池と、前記自家発電電源装置の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、前記分電盤を介して、前記送配電線路側もしくは前記宅内配線側に供給する交流出力回路と、前記自家発電電源装置の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記蓄電池を充電する第1充電回路と、前記送配電線路から電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記蓄電池を充電する第2充電回路と、前記蓄電池の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、前記宅内配線側に供給する放電回路と、前記自家発電電源装置を前記第1充電回路を介して前記蓄電池に接続し、前記蓄電池を前記放電回路を介して前記宅内配線に接続する第1の接続モードと、前記自家発電電源装置を前記交流出力回路を介して前記送配電線路に接続し、前記蓄電池を前記第2充電回路を介して前記送配電線路に接続し、前記蓄電池を前記放電回路を介して前記宅内配線に接続する第2の接続モードの切り替えをする接続切り替え回路と、前記接続切り替え回路の切り替えを制御する切替制御回路とを備えたことを特徴とする自家発電システム。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の自家発電システムに使用されるものであって、前記交流出力回路と前記接続切り替え回路と前記切替制御回路とを収容したケースに、前記自家発電電源装置と前記接続切り替え回路とを電気接続する接続端子と、前記交流出力回路と前記分電盤とを接続する接続端子と、前記第1充電回路と前記接続切り替え回路とを電気接続する接続端子とを設けたことを特徴とする自家発電制御装置。
【0007】
〈構成3〉
構成2に記載の自家発電制御装置において、前記ケースに、さらに、前記第1充電回路を収容し、前記蓄電池と前記第1充電回路とを電気接続する接続端子を設けたことを特徴とする自家発電制御装置。
【0008】
〈構成4〉
構成3に記載の自家発電制御装置において、前記ケースに、さらに、前記第2充電回路と前記放電回路とを収容し、前記分電盤と前記第2充電回路とを電気接続する接続端子と、前記分電盤と前記放電回路とを電気接続する接続端子と、前記蓄電池と前記第2充電回路とを電気接続する接続端子と、前記蓄電池と前記放電回路とを電気接続する接続端子とを設けたことを特徴とする自家発電制御装置。
【0009】
〈構成5〉
構成1に記載の自家発電システムにおいて、前記切替制御回路は、外部から入力する切り替え制御信号により、任意のタイミングで前記接続モードを切り替えることを特徴とすることを特徴とする自家発電システム。
【0010】
〈構成6〉
構成5に記載の自家発電システムにおいて、前記切替制御回路は、ホームエネルギマネージメントシステムを制御する管理サーバが出力する切り替え制御信号により、前記接続モードを切り替えることを特徴とすることを特徴とする自家発電システム。
【発明の効果】
【0011】
〈構成1の効果〉
第1の接続モードと第2の接続モードとを自由に選択して、発電環境や受電環境等の諸条件に応じて効率良く経済的に太陽光発電装置等を利用できる。
〈構成2の効果〉
交流出力回路と接続切り替え回路と切替制御回路とをケースに一体に収容して、外部回路との接続に必要な接続端子を設けたので、既存の太陽光発電設備の一部を置き換えて、本発明のシステムに変更することができる。
〈構成3の効果〉
構成2の装置に対して、第1充電回路もケースに一体に収容したので、既存の夜間電力利用蓄電池システムに、新たに太陽光発電設備を追加するような場合に利用することができる。
〈構成4の効果〉
太陽光発電設備を新設する場合に、必要な全ての回路を一体化してケースに収容したので、工事を簡略化することができる。
〈構成5の効果〉
切替制御回路を外部から入力する制御信号により制御して、接続モードを任意のタイミングで切り替えることが可能になる。
〈構成6の効果〉
HEMS管理サーバ等により、管理下にある各種電力機器等との関係を総合的に判断して、例えば、接続モードの動的な切り替えをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】自家発電システム10の第1の接続モードを示す回路ブロック図である。
【図2】自家発電システム10の第2の接続モードを示す回路ブロック図である。
【図3】実施例2の自家発電制御装置の実施例ブロック図である。
【図4】実施例3の自家発電制御装置の実施例ブロック図である。
【図5】実施例4の自家発電制御装置の実施例ブロック図である。
【図6】HEMS管理サーバによる管理画面例の説明図である。
【図7】切替制御回路による接続モードの選択動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の自家発電システムは、自家発電電源装置を設置した環境や、その地域における現在の売電価格、電力会社の売電制度等に応じて、手動で回路接続の切り替えをして、システムを最も経済的に運用する。例えば、時間によって売電価格が変化するような場合には、タイマにより自動的に接続モードを切り替えできる。また、HEMS管理サーバからの制御信号により、随時動的に回路接続を切り替えることができる。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
[全体構成]
図1は実施例1の自家発電システム10を示す回路ブロック図である。
この図は、一般住宅の建物内部の結線例を示している。電力会社から送配電線路12を通じて商用電力が供給される。送配電線路12には、分電盤14を介して宅内配線16が接続されている。一方、建物には自家発電のための自家発電電源装置(太陽光発電装置)18が取り付けられている。
【0015】
建物の内部には、蓄電池20と接続切り替え回路22と切替制御回路24と交流出力回路26と第1充電回路28と第2充電回路30と放電回路32といった自家発電制御のための回路装置が備えられている。これらの装置は、例えば、分電盤14の近くに取り付けられる。なお、この実施例では、建物内部の電力機器の運転を総合的に制御して消費エネルギの最適化を図るために、既知のHEMS(ホームエネルギマネージメントシステム)管理サーバ34が設けられている。以下、この自家発電システム10を構成する各回路装置について説明する。
【0016】
[自家発電電源装置]
自家発電電源装置18には、次のようなものが知られている。太陽光発電装置は、太陽エネルギを電気エネルギに変換して出力するものである。風力発電装置は、風力エネルギを電気エネルギに変換して出力するものである。燃料電池は、水素等を燃料として発電するものである。その他にも、熱エネルギや水力波力を電気エネルギに変換して出力する電源装置がある。本発明では、これらの自家発電電源装置18のいずれも利用することができる。
【0017】
[送配電線路と宅内配線]
送配電線路12は、電力会社から商用電源を供給するための線路である。宅内配線16は、送配電線路12と分電盤14等を介して接続される。宅内配線16は、送配電線路12と分電盤14等の受電設備により隔てられた配電設備で、一般住宅やマンション等の住人が商用電源を利用するための設備である。分電盤14は、宅内配電用の分岐回路やブレーカー等を内蔵した機器である。
【0018】
[蓄電池]
蓄電池20は充放電により電力を蓄積したり放出したりする機能を持つ2次電池である。蓄電池20は、まず、自家発電電源装置18から供給される電力の蓄積に使用される。自家発電電源装置18の出力する電力は不安定なため、蓄電池20にいったん蓄積してから使用する。また、自家発電電源装置18の出力する余剰電力を蓄積する。このほかに、蓄電池20は、送配電線路12から供給される電力の蓄積に使用される。主として、割安な夜間電力の蓄積に使用される場合が多い。
【0019】
交流出力回路26は、自家発電電源装置18の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、売電のために、分電盤14を介して送配電線路12側に供給する機能を持つ。例えば、太陽光発電装置の出力する直流電圧を宅内配線16用の交流電圧に変換して出力するDC−ACコンバータと、過電流保護回路等を含む。交流出力回路26には、いわゆるパワーコンディショナと呼ばれている既知の回路構成を含むことが好ましい。この回路により、売電をしない場合には、分電盤14を介して宅内配線16側に電力を供給することができる。
【0020】
第1充電回路28は、自家発電電源装置18の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、蓄電池20を充電する機能を持つ。第1充電回路28は、例えば、太陽光発電装置の出力する直流電圧を、蓄電池20の充電に適当な電圧に変換するDC−DCコンバータと、充電電流を制御する電流制御回路等を備える。
【0021】
第2充電回路30は、分電盤14から電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、蓄電池20を充電する機能を持つ。第2充電回路30は、例えば、AC100ボルトの宅内配線16に接続して、蓄電池20の充電に適当な直流電圧に変換するAC−DCコンバータと、充電電流を制御する電流制御回路等を備える。放電回路32は、蓄電池20の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、分電盤14を介して宅内配線16側に供給する機能を持つ。放電回路32は、例えば、蓄電池20に接続して宅内配線16用の交流電圧を出力するDC−ACコンバータと過電流保護回路等を備える。
【0022】
[接続切り替え回路]
接続切り替え回路22は、以下に説明する第1の接続モードと第2の接続モードとの切り替えをするスイッチを備えた回路である。
[第1の接続モード]
図1に示した状態が、第1の接続モードである。自家発電電源装置18を第1充電回路28を介して蓄電池20に接続し、蓄電池20を放電回路32を介して宅内配線16に接続する。第2充電回路30は使用されない。この接続モードでは、自家発電電源装置18の発電電力で蓄電池20を充電しながら、蓄電池20の出力で宅内機器を駆動する。例えば、余剰電力が蓄電池20に充電される。
【0023】
自家発電電源装置18からの電力供給が無くなったら、送配電線路12側から宅内配線16に電力を供給し、あるいは蓄電池20が放電をして宅内機器を駆動する。例えば、自家発電電源装置18の発電電力を常に優先的に使用して、蓄電池20は余剰分の電力の一時蓄積に使用される。送配電線路12側からは、専ら、宅内機器を駆動するために不足した電力が補充的に供給される。自然エネルギを優先的に使用するモードである。
【0024】
[第2の接続モード]
図2に示した状態が、第2の接続モードである。自家発電電源装置18を交流出力回路26を介して分電盤14に接続し、蓄電池20を第2充電回路30を介して分電盤14に接続し、蓄電池20を放電回路32を介して宅内配線16に接続する。自家発電電源装置18の出力は、売電のために送配電線路12側に供給される。蓄電池20には夜間電力が充電される。夜間の宅内機器には、送配電線路12から安価な電力が供給される。昼間は、蓄電池20が放電して宅内機器を駆動する。売電価格が十分に高く、夜間電力が十分に廉価な場合に有効な接続モードである。
【0025】
[切替制御回路]
切替制御回路24は、接続切り替え回路22の切り替えを制御する回路である。切替制御回路24と接続切り替え回路22とは一体化されていても構わない。切替制御回路24は、接続切り替え回路22のスイッチングを制御する信号を出力する。切替制御回路24は、例えば、利用者が接続モードの切り替えを手動で簡単に操作できるようなリモートコントローラであればよい。
【0026】
さらに、例えば、一定時間毎に一定のパタンで接続モードを切り替えるようにするために、切替制御回路24にタイマを組み込んでもよい。例えば、電力料金が安く切り替わる時刻に、第1の接続モードから第2の接続モードに切り替えるように制御してもよい。また、図1の例では、切替制御回路24がHTMS管理サーバ34により制御される。このように、接続切り替え回路22が外部装置により遠隔制御されるものであってもよい。
【0027】
以上の構成により、第1の接続モードと第2の接続モードとを自由に選択して、発電環境や受電環境等の諸条件に応じて最も効率良く経済的に自家発電装置を利用することができる。
【実施例2】
【0028】
図3は自家発電システムに使用する自家発電制御装置の実施例ブロック図である。
図3〜4では、それぞれ上記のような自家発電システムを実現するために、簡単に取り付けて配線ができるユニットの実施例を説明する。それぞれの図で、一点鎖線で囲んだ部分がそのユニットで、自家発電制御装置36と呼ぶことにする。
【0029】
実施例2の自家発電制御装置36は、図3(a)に示すように、交流出力回路26と接続切り替え回路22と切替制御回路24とを備える。これらの各回路は、実施例で説明したものと同様の機能を持つ。即ち、交流出力回路26は、自家発電電源装置18の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、分電盤14を介して、送配電線路12側もしくは宅内配線16側に供給する機能を持つ。
【0030】
接続切り替え回路22は、自家発電電源装置18を第1充電回路28を介して蓄電池20に接続し、蓄電池20を放電回路32を介して宅内配線16に接続する第1の接続モードと、自家発電電源装置18を交流出力回路26を介して送配電線路12に接続し、蓄電池20を第2充電回路30を介して送配電線路12に接続し、蓄電池20を放電回路32を介して宅内配線16に接続する第2の接続モードの切り替えをする機能を持つ。
【0031】
切替制御回路24は、接続切り替え回路22の切り替えタイミングを制御する機能を持つ。交流出力回路26と接続切り替え回路22と切替制御回路24とは、図3(b)に示すようなケース60に収容される。ケース60には、自家発電電源装置18と接続切り替え回路22とを電気接続する接続端子38と、交流出力回路26と分電盤14とを接続する接続端子40と、第1充電回路28と接続切り替え回路22とを電気接続する接続端子42とを設けた。このほかに、ケース60には、HEMS管理サーバ34と切替制御回路24とを接続する制御用の接続端子44も設けられている。
【0032】
これらの接続端子の構造は任意である。着脱できる構造が望ましく、かつ、確実に堅固に接続できるコネクタを使用することが望ましい。実施例2では、交流出力回路26と接続切り替え回路22と切替制御回路24とをケースに一体に収容して、外部回路と接続するために必要ないくつかの接続端子を設けたので、既存の太陽光発電設備の一部を置き換えて、本発明のシステムに切り替える工事を迅速に確実に行うことができる。
【実施例3】
【0033】
図4は自家発電システムに使用する自家発電制御装置の実施例ブロック図である。
この実施例3の自家発電制御装置36は、実施例2の自家発電制御装置36に、第1充電回路28を追加したものである。第1充電回路28は、実施例1で説明したとおり、自家発電電源装置18の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、蓄電池20を充電する機能を持つ。図3(b)で説明したケース60の外面には、蓄電池20と第1充電回路28とを電気接続する接続端子46を新たに追加する。
【0034】
実施例3の自家発電制御装置36は、実施例2の自家発電制御装置36に対して、第1充電回路28を追加してケースに一体に収容したので、既存の夜間電力利用蓄電池システムに、新たに太陽光発電設備を追加するような場合に、その接続工事を簡略化することができる。
【実施例4】
【0035】
図5は自家発電システムに使用する自家発電制御装置の実施例ブロック図である。
この実施例4の自家発電制御装置36は、実施例3の自家発電制御装置36に、実施例1で説明したとおりの第2充電回路30と放電回路32とを追加したものである。第2充電回路30は、即ち、送配電線路12から電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、蓄電池20を充電する機能を持つ。
【0036】
放電回路32は、蓄電池20の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、宅内配線16側に供給する機能を持つ。図3(b)で説明したケース60の外面には、分電盤14と第2充電回路30とを電気接続する接続端子48と、分電盤14と放電回路32とを電気接続する接続端子50と、蓄電池20と第2充電回路30とを電気接続する接続端子52と、蓄電池20と放電回路32とを電気接続する接続端子54とを新たに追加する。
【0037】
実施例4の自家発電制御装置36は、実施例3の自家発電制御装置36に対して、第2充電回路30と放電回路32を追加してケースに一体に収容したので、太陽光発電設備等を新設する場合に、必要なほぼ全ての回路の接続工事を大幅に簡略化することができる。
【実施例5】
【0038】
上記のいずれの実施例においても、切替制御回路24は、既に説明したように、外部から入力する切り替え制御信号により、任意のタイミングで接続モードを切り替えることができるとよい。また、切替制御回路24は、ホームエネルギマネージメントシステムを制御する管理サーバ34が出力する切り替え制御信号により、接続モードを切り替えるとよい。
【0039】
HEMS管理サーバ34は、管理下にある各種電力機器等との関係を総合的に判断して、エネルギ利用の最適化を図る。従って、いわゆる逆潮流の制御や蓄電池の最適蓄電量等の制御も実行する。この計算の過程で、第1の接続モードと第2の接続モードのいずれを選択するかを判定させるとよい。その判定結果が切替制御回路24に入力されれば、動的に接続モードの切り替えができる。
【実施例6】
【0040】
図6はHEMS管理サーバによる管理画面例の説明図である。
HEMS管理サーバは、例えば、自宅の電力管理情報として、図6に示すような画面62を表示する。この表示画面62は、例えば、リビングルームの壁面等に設けたディスプレイに表示される。ここには、HEMS管理サーバ34が取得した電力会社から送信された本日の売電価格や本日の夜間電力料金が表示される。太陽光発電装置等が普及すると、例えば、日照状況によって、逆潮流電力量が大きく変動する。従って、電力会社は、定期的に売電価格や夜間電力料金を変更することもあり得る。従って、最新のデータがここに表示されるとよい。もちろん、利用者がこのデータを入力しても構わない。
【0041】
この売電価格と夜間電力料金が、上記の実施例における切替制御回路24の主要な制御パラメータになる。また、経済性を重視した切り替え制御を自動的に行うことができる。一方、利用者の意向やその他の理由から、無条件に太陽光発電等の自然エネルギを使用したいという場合もある。そこで、この図の例では、選択ボタン64と66を設けた。
【0042】
自動的に経済的なモードを選択してほしいときは選択ボタン64にタッチする。太陽光発電や風力発電等の自然エネルギによる発電を最優先に使用するという場合には、選択ボタン66にタッチする。このほかに、この画面62には、現在売電中かどうか、何kw売電しているか、今現在の建物内の機器の使用電力、本日これまでの合計発電電力、本日これまでの合計消費電力、蓄電池の充電量等の情報を表示して、利用者に適切な管理を促している。画面を閉じるというボタン68にタッチすると、自宅の電力管理情報の表示を終了する。この画面62は、切替制御回路24を制御するための切り替え制御信号の入力インタフェースになる。
【0043】
図7は、切替制御回路による接続モードの選択動作フローチャートである。
切替制御回路24は、上記の実施例で説明した通りの手順で、ステップS11〜15の処理を実行する。そして、ステップS16以下で、図6に示した画面62を操作して入力された条件で、第1の接続モードか第2の接続モードを選択する。
【0044】
始めに、ステップS11で1日の発電総電力量WGを算出する。次に、ステップS12で1日の使用総電力量WEを算出する。ステップS13では、蓄電池の総蓄電量WSを算出する。ステップS14では、1KW当たり売電価格PSを取得する。最後にステップS15で、1KW当たり夜間電力価格PNを取得する。これで、制御の準備が完了する。
【0045】
ステップS16では、画面62で選択ボタン66が選択されたかどうかを判断する。即ち、自然エネルギ使用に固定かどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS17の処理に移行し、ノーのときはステップS18の処理に移行する。ステップS17では第1の接続モードを選択して処理を終了する。これで、自然エネルギを優先的に使用するモードになる。
【0046】
ステップS18〜ステップS23は自動経済運転が選択された場合の処理である。ステップS18ではPS<PNかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS19の処理に移行し、ノーのときはステップS20の処理に移行する。ステップS19で第1の接続モードを選択する。売電価格が高いので、自然エネルギをできるだけ売電にまわすモードになる。
【0047】
ステップS20では、PS>PNかあるいはPS=PNかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS21の処理に移行し、ノーのときはステップS22の処理に移行する。ステップS21で第1の接続モードを選択する。また、売電が増加した場合に、電力会社側で逆潮流を抑制することがある。ステップS22では、この逆潮流抑制がされたかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS23 の処理に移行し、無条件で第1の接続モードを選択する。ステップS11からステップS23までの処理を、例えば、毎日一回実行すれば、最適な制御ができる。
【符号の説明】
【0048】
10 自家発電システム
12 送配電線路
14 分電盤
16 宅内配線
18 太陽光発電装置
20 蓄電池
22 接続切り替え回路
24 切替制御回路
26 交流出力回路
28 第1充電回路
30 第2充電回路
32 放電回路
34 HEMS管理サーバ
36 自家発電制御装置
38 接続端子
40 接続端子
42 接続端子
44 接続端子
46 接続端子
48 接続端子
50 接続端子
52 接続端子
54 接続端子
60 ケース
62 表示画面
64 選択ボタン
66 選択ボタン
68 ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギを電気エネルギに変換して出力する自家発電電源装置と、
電力会社から送配電線路を経由して分電盤を介して商用電源を受け入れる宅内配線と、
前記自家発電電源装置から供給される電力を蓄積し、もしくは、前記送配電線路から供給される電力を蓄積する蓄電池と、
前記自家発電電源装置の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、前記分電盤を介して、前記送配電線路側もしくは前記宅内配線側に供給する交流出力回路と、
前記自家発電電源装置の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記蓄電池を充電する第1充電回路と、
前記送配電線路から電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記蓄電池を充電する第2充電回路と、
前記蓄電池の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、前記宅内配線側に供給する放電回路と、
前記自家発電電源装置を前記第1充電回路を介して前記蓄電池に接続し、前記蓄電池を前記放電回路を介して前記宅内配線に接続する第1の接続モードと、前記自家発電電源装置を前記交流出力回路を介して前記送配電線路に接続し、前記蓄電池を前記第2充電回路を介して前記送配電線路に接続し、前記蓄電池を前記放電回路を介して前記宅内配線に接続する第2の接続モードの切り替えをする接続切り替え回路と、
前記接続切り替え回路の切り替えを制御する切替制御回路とを備えたことを特徴とする自家発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自家発電システムに使用されるものであって、
前記交流出力回路と前記接続切り替え回路と前記切替制御回路とを収容したケースに、前記自家発電電源装置と前記接続切り替え回路とを電気接続する接続端子と、前記交流出力回路と前記分電盤とを接続する接続端子と、前記第1充電回路と前記接続切り替え回路とを電気接続する接続端子とを設けたことを特徴とする自家発電制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自家発電制御装置において、
前記ケースに、さらに、前記第1充電回路を収容し、前記蓄電池と前記第1充電回路とを電気接続する接続端子を設けたことを特徴とする自家発電制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自家発電制御装置において、
前記ケースに、さらに、前記第2充電回路と前記放電回路とを収容し、前記分電盤と前記第2充電回路とを電気接続する接続端子と、前記分電盤と前記放電回路とを電気接続する接続端子と、前記蓄電池と前記第2充電回路とを電気接続する接続端子と、前記蓄電池と前記放電回路とを電気接続する接続端子とを設けたことを特徴とする自家発電制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自家発電システムにおいて、
前記切替制御回路は、外部から入力する切り替え制御信号により、任意のタイミングで前記接続モードを切り替えることを特徴とすることを特徴とする自家発電システム。
【請求項6】
請求項5に記載の自家発電システムにおいて、
前記切替制御回路は、ホームエネルギマネージメントシステムを制御する管理サーバが出力する切り替え制御信号により、前記接続モードを切り替えることを特徴とすることを特徴とする自家発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−191696(P2012−191696A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51148(P2011−51148)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】