説明

自己移動ロボット制御システム及び方法

信号発生モジュールを有する基地局と、少なくとも、エネルギ蓄積部、基地局の信号発生モジュールにより発生された信号を検知するためのセンサ、及びロボットを基地局に戻すように当該検知された信号に基づいてロボットの動きを制御するためのプロセッサを有する自己移動型ロボットと、を備えたシステム。このロボットは、表面にわたりロボットをランダムに動かすようロボットの動きを制御するための手段であって、ロボットの絶対位置が記憶されないようにした手段と、基地局に戻るようにロボットの動きが中断させられた中断箇所をマーキングするための手段と、マーキングを用いてロボットを基地局から中断箇所へ戻すための手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
・信号発生モジュールを有する基地局と、
・少なくとも、エネルギ蓄積部、前記基地局の信号発生モジュールにより発生された信号を検知するためのセンサ、及び前記ロボットを前記基地局に戻すように当該検知された信号に基づいて前記ロボットの動きを制御するためのプロセッサを有する自己移動型ロボットと、
を備えたシステムに関する。
【0002】
本発明はさらに、自己移動ロボットを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願に係る文献のUS−A1−2006/0273749から知られているこのようなロボットは、例えば真空掃除によって領域を清掃するために用いることができる。
【0004】
このような種類のロボットは、真空掃除機のようなロボットの幾つかの構成部に電力を供給することのできるエネルギ蓄積部と、ロボットを動かすための推進ユニットと、例えば、ロボットの近くで障害物を検出するためのセンサと、を有するのが好ましい。
【0005】
例えば、エネルギ蓄積部のチャージレベルが所定の基準レベルよりも低いときには、当該ロボットは、エネルギ蓄積部を再チャージするよう基地局に戻らなければならない。基地局に戻るもう1つの理由は、ダスト容器を空にすること又は水容器に補給することがある。
【0006】
基地局を見つけることができるようにするため、基地局は、信号発生モジュールを有し、その信号がロボットのセンサによって検出されるものとしている。基地局が検出されるや否や、ロボットは、基地局に当該プロセッサの制御の下で戻るように動かされる。ロボットを基地局に戻るように動かすためには、基地局に対するロボットの絶対位置を知ることは必要ではない。基地局の信号発生モジュールにより発せられる信号によって、ロボットを動かすべき方向が分かる。
【0007】
エネルギ蓄積部を再チャージした後、ロボットは、真空掃除又は中断される前に行っていた他の動作を再開すべきである。
【0008】
ロボットが基地局からその動作を再開すると、基地局の周辺領域は、再び清掃されることになり、清掃動作が中断した位置の近くの領域は全く清掃されないものとなる。
【0009】
しかしながら、ロボットの動作が中断した時点におけるロボットの絶対位置は分からないので、当該中断箇所から動作を再開することができない。
【0010】
ロボットを当該中断箇所に戻すように動かすことができるよう、基地局に対するロボットの絶対位置を常に検知し、検出し、記憶するための手段をロボットに設けることは、比較的にコストが高く複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ロボットが中断箇所から基地局に戻った後にその動作を再開させることができる比較的に簡単なシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、前記ロボットは、
・表面にわたり前記ロボットをランダムに動かすよう前記ロボットの動きを制御するための手段であって、前記ロボットの絶対位置が記憶されないようにした手段と、
・前記基地局に戻るように前記ロボットの動きが中断させられた中断箇所をマーキングするための手段と、
・前記マーキングを用い、前記ロボットを前記基地局から前記中断箇所へ戻すための手段と、
を有する、とした本発明によるシステムにより達成される。
【0013】
中断位置をマーキングすることにより、当該基地局に対する中断箇所の絶対位置を知る必要なく中断箇所に戻るようにロボットを簡単に動かすことができる。ロボットに対する中断箇所の相対位置だけが知るのに必要なものである。
【0014】
本発明によるシステムの実施例は、前記中断箇所をマーキングするための手段は、少なくとも前記中断箇所において前記ロボットにより位置付けられ、少なくとも前記ロボットが前記基地局から前記中断箇所に戻されるまで前記中断箇所に留まる少なくとも1つのビーコンを有することを特徴としている。
【0015】
このようなビーコンは、ロボットによって容易に位置づけることができる。このビーコンは、物理的な、例えば、対象の、というかむしろ当該中断箇所に置かれる半永続的な物理的変化、例えば温度又は色の変化とすることができる。好ましくは、ビーコンは、ロボットに、動作を中断する時点前の厳密な位置及び方向を取り戻させることを可能にするのが良い。この態様において、ロボットは、あたかも中断が生じなかったかの如くそのランダムな動きを再開することができる。
【0016】
本発明によるシステムの他の実施例は、前記ビーコンは、信号発生モジュールを有し、その信号は、前記ロボットのセンサにより検知されることが可能であることを特徴としている。
【0017】
信号発生モジュールにより発生されるような信号は、基地局の信号を検知するための手段としての同じセンサによりロボットによって検知されることができる。好ましくは、これら信号は、基地局又はビーコンにより信号が発生されているかどうかを認識することができるように異なるものである。また、ビーコンにおけるモジュールにより発せられた信号がロボットの他のセンサにより検知されることも可能である。
【0018】
本発明によるシステムのまた他の実施例は、前記ロボットは、前記中断箇所と前記基地局との間の経路において位置づけられるべき幾つかのビーコンを有することを特徴としている。
【0019】
基地局と中断箇所との間の想定距離が比較的に長い場合、或いは基地局と中断箇所との間に邪魔な物体があることが想定される場合、幾つかのビーコンの配置が必要となると考えられ、後者の場合、ロボットは、その邪魔な物体の近辺に案内される必要がある。
【0020】
本発明によるシステムの他の実施例は、前記中断箇所をマーキングするための手段は、前記中断箇所から前記基地局へ前記ロボットの動きを記憶するためのメモリを有し、前記基地局から前記中断箇所へ前記ロボットを戻すための手段は、前記メモリを用いることを特徴としている。
【0021】
中断位置から基地局へ戻るように動くときにロボットの動きを記憶することにより、中断箇所の絶対位置は依然として不明であるが、中断箇所は、中断箇所から基地局へ動くときの方向に対して反対の方向にロボットを動かすことによって判明可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、本発明を、図面を参照して詳しく説明する。
【図1】本発明によるシステムの5つの異なる実施例のうちの1つの上面図。
【図2】本発明によるシステムの5つの異なる実施例のうちの1つの上面図。
【図3】本発明によるシステムの5つの異なる実施例のうちの1つの上面図。
【図4】本発明によるシステムの5つの異なる実施例のうちの1つの上面図。
【図5】本発明によるシステムの5つの異なる実施例のうちの1つの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
各図において、同様の部分は同じ数字で示されている。
【0024】
図1は、基地局2及びロボット3が位置している部屋1を示している。ロボットは、部屋1の中を動かされ、これによりロボットは、経路P1に従う。ロボットが部屋1の壁4に達する度に、線状経路P1の方向が変えられていく。図1に示されるロボット3の中断位置5において、ロボット3の動きが例えば短い遮断の間において中断されている。この遮断の後、ロボット3の動きは、経路P1と同じ方向に延びる経路P4に沿って継続させられている。
【0025】
図2は、本発明によるシステムの第2の実施例を示しており、これにより、中断位置5において、例えば当該環境の温度又は色の如き物理的特性が変えられている。中断位置において、ロボット3は、基地局2により発せられる信号に基づいて基地局2を探す。そしてロボット3は、経路P2に沿って基地局2に前進させられる。基地局2において、エネルギ蓄積部は、再充電可能であり、ダスト容器は空にされることが可能であり、水容器は再度充填されることが可能となり、他にも可能となることがある。この手順は、P3により示される。基地局2において手順P3が完了した後、ロボット3は、経路P4に沿って中断位置5に戻され、これにより、変更された特性6は、ロボット3に検知され、ロボット3が中断箇所5の精度を高めることができるようにしている。中断箇所5において、ロボット3は、さらに経路P1と同じ方向に延びる経路P5に沿って動くように制御される。経路P1は、当該動きが中断される前にロボット3が動いていたところの経路である。
【0026】
図3は、本発明によるシステムの第3の実施例を示しており、これにより、ロボット3は、先ず、当該動きが中断されるまで、経路P1に沿って動かされている。中断位置5において、ビーコン7は、ロボット3により位置付けられる。ビーコン7は、例えば、ピンやボールなど、ロボット3により簡単に位置づけられ認識されることの可能なオブジェクトである。好ましくは、ビーコン7は、ロボット3に当該中断の前の動きの方向を記憶させることを可能にする或る特定の方向を有するのが良い。
【0027】
ビーコン7がロボット3によって位置づけられた後、ロボット3は、基地局2により発生された信号を検知し、経路P2に沿って基地局2へ移動させられている。図2に示される実施例と同様に、幾つかの手順P3を基地局2において行うことができる。手順P3の完了後、ロボット3はビーコン7を検知し、経路P4に沿ってビーコン7に戻るように動かされる。そしてビーコンは、ロボットにより捕捉され、ロボットは、経路P1と同じ方向に延びる経路P5に沿ってその動きを継続する。
【0028】
図4は、本発明によるシステムの第4の実施例を示しており、このシステムは、図3に示されるようなシステムと同様のものである。図4によるシステムによって、幾つかのビーコン7は、中断位置5において、基地局2への経路P2に沿って位置づけられている。基地局2から中断位置5へ戻るその道筋において、ロボット3は、全てのビーコン7を捕捉する。
【0029】
図5は、本発明によるシステムの第5の実施例を示しており、これにより、中断位置5では、基地局2は、ロボット3により検知されつつある。経路P2に沿って基地局2へ戻るように動いている間、ロボット3の動きは記憶させられる。基地局2から中断位置5へ戻るとき、同じ移動だが逆転したものがロボット3により形成され、ロボット3を、経路P2と一致した経路P4に沿って戻るように動かしている。また、この実施例によって、ロボット5は、その動きを当該中断後に経路P5に沿って継続させる。
【0030】
基地局の信号発生モジュールは、自ら信号を発生するモジュール又はロボットから受信した信号を発生又は反射させるモジュールとすることも考えられる。
【0031】
システムは、信号発生モジュールを有する基地局と、少なくともエネルギ蓄積部、基地局の信号発生モジュールにより発生されたこの信号を検知するセンサ、及びロボットを基地局へ戻すよう当該検知された信号によってロボットの動きを制御するプロセッサを有する自己移動可能型ロボットと、を備えている。ロボットは、表面にわたりランダムにロボットを移動させるようロボットの動きを制御するためのものであって、当該ロボットの絶対位置が記憶されないものとした手段と、基地局に戻るようにロボットの動きが中断されたところの中断箇所にマーキングをするための手段と、当該マーキングによって基地局から中断位置へとロボットを戻すための手段と、を有する。
【0032】
以上、本発明を、図面及びこれまでの説明において詳しく図示し説明したが、このような図示及び説明は、例示するもの又は模範的なものであって限定的なものではないと解釈されるべきであり、本発明は、かかる開示の実施例に限定されるものではない。開示した実施例に対する他の変形は、図面、開示内容及び添付の請求項を検討することにより、請求項記載の発明を実施する際に当業者により理解され行われることのできるものである。「有する」なる文言はその他の要素又はステップを排除せず、単数表現は複数を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に挙げられた幾つかのアイテムの機能を満たすものとしてもよい。或る特定の方策が相互に異なる従属請求項において挙げられている点自体は、これら方策の組み合わせが活用できないことを示すものではない。請求項における参照符号は、その範囲を限定するものと解釈してはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号発生モジュールを有する基地局と、
少なくとも、エネルギ蓄積部、前記基地局の信号発生モジュールにより発生された信号を検知するためのセンサ、及び前記ロボットを前記基地局に戻すように当該検知された信号に基づいて前記ロボットの動きを制御するためのプロセッサを有する自己移動型ロボットと、
を備えたシステムであって、
前記ロボットは、
表面にわたり前記ロボットをランダムに動かすよう前記ロボットの動きを制御するための手段であって、前記ロボットの絶対位置が記憶されないようにした手段と、
前記基地局に戻るように前記ロボットの動きが中断させられた中断箇所をマーキングするための手段と、
前記マーキングを用い、前記ロボットを前記基地局から前記中断箇所へ戻すための手段と、
を有する、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記中断箇所をマーキングするための手段は、少なくとも前記中断箇所において前記ロボットにより位置付けられ、少なくとも前記ロボットが前記基地局から前記中断箇所に戻されるまで前記中断箇所に留まる少なくとも1つのビーコンを有する、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記ビーコンは、信号発生モジュールを有し、その信号は、前記ロボットのセンサにより検知されることが可能である、システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のシステムであって、前記ロボットは、前記中断箇所と前記基地局との間の経路において位置づけられるべき幾つかのビーコンを有する、システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちいずれか1つに記載のシステムであって、前記中断箇所をマーキングするための手段は、前記中断箇所から前記基地局へ前記ロボットの動きを記憶するためのメモリを有し、前記基地局から前記中断箇所へ前記ロボットを戻すための手段は、前記メモリを用いる、システム。
【請求項6】
自己移動型ロボットを制御する方法であって、
表面にわたりランダムに前記ロボットを動かし、これにより前記ロボットの絶対位置を記憶しないようにすること、
前記ロボットの動きを中断させること、
前記基地局に戻るように前記ロボットの動きが中断されるところの中断箇所をマーキングすること、
前記基地局の発生モジュールにより発生される信号を検知すること、
前記信号により前記基地局へ前記ロボットを動かすこと、
前記マーキングにより前記ロボットを前記基地局から当該マーキングされた中断箇所に戻すこと、
前記表面にわたり前記ロボットのランダムな動きを再開させること、
を有する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−531485(P2010−531485A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510928(P2010−510928)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052133
【国際公開番号】WO2008/149273
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】