説明

自己診断機能を備えたマルチチャンネル変換器

【課題】自己診断機能を備えたマルチチャンネル変換器。
【解決手段】装置は、複数のチャンネルと、変換器と、制御ブロックと、カウンタとを含む。チャンネルは、第1の複数の信号を測定するために使用されることができる。変換器は、第1の複数の信号と第2の複数の信号とを比較するために使用されることができる。制御ブロックは、チャンネルおよび変換器を制御し、任意のチャンネルおよび変換器が異常状態を経験するかを判断するために使用されることができる。カウンタは、チャンネルおよび変換器が異常状態を経験する数を計数するために使用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己診断機能を備えたマルチチャンネル変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、Li−ionバッテリは、電気自動車(EV)およびハイブリッド電気自動車(HEV)のような、環境に優しい乗り物に適用されている。Li−ionバッテリの単一セルの有効電圧は、約3〜4ボルトであるが、EVおよびHEVは通常、100ボルトを上回る比較的高い電圧を必要とする。通常、複数のセルは、EVおよびHEVを駆動するために互いに直列接続される。
【0003】
バッテリ管理において、セル電圧、セル温度およびセル電流のようなセルの状態は、複数のアナログチャンネルによって測定され、アナログ/デジタル変換器(ADC)に送信される。通常、オフセット除去(offset cancellation)は、ADCの精度を改善するために行われる。しかし、異常状態がアナログチャンネルおよびADCに発生する時、オフセット消去は、その所望の効果を達成することができない。従って、バッテリの信頼できる動作は、保証されることができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施形態において、装置は、複数のチャンネルと、変換器と、制御ブロックと、カウンタとを含む。チャンネルは、第1の複数の信号を測定するために使用されることができる。カウンタは、第1の複数の信号を第2の複数の信号に変換するために使用されることができる。制御ブロックは、チャンネルおよび変換器を制御し、任意のチャンネルおよび変換器が異常状態を経験するかを判断するために使用されることができる。カウンタは、チャンネルおよび変換器が異常状態を経験する数を計数するために使用されることができる。
【0005】
特許請求の範囲の実施形態の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面の参照から明らかとなり、類似の番号は類似の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態による自己診断機能を備えたマルチチャンネル変換器を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の1つの実施形態による自己診断機能を備えたマルチチャンネルADCを示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の1つの実施形態によるバッテリ管理システムを示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の1つの実施形態によるマルチチャンネルADCによって実行される動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、実施形態とともに説明されるが、これら実施形態に本発明が限定されると意図されないことが分かる。一方、本発明は、代替、修正および均等に及ぶことを意図され、それらは、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の精神及び範囲内に含まれることができる。
【0008】
また、本発明の以下の詳細な説明では、多数の特定の詳細は、本発明の完全な理解を提供するために説明される。しかし、当業者であれば、本発明は、これら特定の詳細なく実施できることが分かる。他の例では、周知の方法、手順、要素および回路は、本発明の局面を不必要に曖昧にしないよう詳細に説明されていない。
【0009】
以下の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビット上の動作に対する手順、論理ブロックおよび他のシンボル表示に関して提供される。これら説明および表示は、データ処理技術の当業者が他の当業者に自分の仕事の中身を最も効率的に伝えるために使用する手段である。本出願では、手順、論理ブロック、処理等は、所望の結果を導く段階または命令からなるセルフコンシステントシーケンスであると考えられる。段階は、物理量の物理的操作を要求するものである。一般に、必要ではないものの、これら量は、コンピュータシステムの格納、伝送、結合、比較および他の操作が可能な電気または磁気信号の形式をとる。
【0010】
しかし、全てのこれらおよび類似の用語は、適切な物理要に関連し、これら量に適用される単に便利な指標である点に注意すべきである。以下の検討で明示する場合を除いて、本出願を通じて、“測定”、“計数”、“送信”、“検出”、“変換”、“比較”、“判断”等のような用語を利用する検討は、コンピュータシステムのレジスタ内の物理(電子)量として表示されるデータを操作および変換し、コンピュータシステムメモリ、レジスタ、他のそのような情報記憶装置、送信またはディスプレイ装置内の物理量として類似に表示される他のデータに記憶するコンピュータシステムまたは類似の電子計算装置のアクションおよび処理に言及することが分かる。
【0011】
本明細書中で説明される実施形態は、1つ以上のコンピュータまたは他の装置によって実行されるプログラムモジュールのような、いくつかの形式のコンピュータ利用可能な媒体上に常駐するコンピュータ実行可能な命令の一般的な概念で検討されることができる。一般に、プログラムモジュールは、ルーチン、プログラム、オブジェクト、要素、データ構造等を含み、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ形式を実装する。プログラムモジュールの機能性は、各種実施形態の必要に応じて結合または分配されることができる。
【0012】
限定的でない一例として、コンピュータ利用可能なメディアは、コンピュータ記憶メディアおよび通信メディアを含むことができる。コンピュータ記憶メディアは、コンピュータ読取可能な命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータのような情報の記憶のための任意の方法または技術で実装される揮発性および非揮発性、取り外し可能および取り外し不可能メディアを含む。コンピュータ記憶メディアは、所望の情報を格納するのに用いることができるランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、他の磁気記憶装置または任意の他の媒体を含むがそれらに限定されない。
【0013】
通信メディアは、搬送波または他の伝送メカニズムのような変調データ信号において、コンピュータ読取可能な命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータを具現することができ、任意の情報配信メディアを含む。用語“変調データ信号”は、信号の情報を符号化するような方法で設定または変更される1つまたは複数の特性を有する信号を意味する。一例として、通信メディアは、有線ネットワークまたは直接有線接続のような有線メディアと、音響、無線周波(RF)、赤外および他の無線メディアのような無線メディアとを含むが限定的でない。上記の任意の組合せも、コンピュータ読取可能なメディアの範囲内に含まれるべきである。
【0014】
図1は、本発明の1つの実施形態による自己診断機能を備えるマルチチャンネル変換器100を示す。マルチチャンネル変換器100は、集積チップ(IC)として実装されることができる。図1の実施形態では、マルチチャンネル変換器100は、複数のチャンネル110、マルチプレクサ(MUX)160、変換器130、制御ブロック120およびカウンタ140を含む。
【0015】
複数のチャンネル110は、第1の複数の信号を測定し、マルチプレクサ(MUX)160に信号を提供することができる。MUX160は、第1の複数の信号のインスタンスを選択し、選択されたインスタンスを変換器130に提供することができる。変換器130は、第2の複数の信号を生成するために所望のフォーマットである信号に各インスタンスを変換することができる。複数の制御信号(図示せず)は、例えばMUX160を制御するために制御ブロック120から送信されることができる。
【0016】
1つの実施形態では、チャンネル110は、アナログ信号を測定するためにアナログチャンネルでもよく、制御器130は、アナログ/デジタル変換器(ADC)でもよい。もう1つの実施形態では、チャンネル110は、デジタル信号を測定するためにデジタルチャンネルでもよく、変換器130は、デジタル/アナログ変換器(DAC)でもよい。
【0017】
代わりに、指定の自己診断時間で、制御ブロック120は、任意のチャンネル110および変換器130が1つの実施形態で異常状態を経験するかを判断する。1つの実施形態では、自己診断は、ICがスリープモードから覚める度に実行される。カウンタ140は、チャンネル110および変換器130が異常状態を経験する数を計数することができる。その数が所定値に達する時、ICは、警告信号(図示せず)を発することができ、ICは、動作を中止することができる。
【0018】
図2は、本発明の1つの実施形態によるバッテリを監視するためのマルチチャンネルADC200のブロック図を示す。マルチチャンネルADC200は、バッテリ管理ICとして実装されることができる。バッテリは、セル212、214および216を含む。3つのセルは、図2に示されるが、本発明は、それに限定されない。他の実施形態では、バッテリは、3つより多いかまたは3つより少ないセルを含むことができる。
【0019】
図2の実施形態では、マルチチャンネルADC200は、ADC230、カウンタ240、バッファ252および254、MUX260、262および264、温度検出ブロック270、電流検出ブロック280および制御ブロック220を含む。バッファ252および254はそれぞれ、適切な範囲内の入力温度における電圧間の差を調節する。外部電源VDDは、電力を供給するために温度検出ブロック270に接続されることができる。外部精密参照電圧VREF290は、ADC230の精度を測定するためにMUX262に入力されることができる。
【0020】
アナログチャンネルは、バッテリのセルの状態およびセルの状態のオフセットを測定し、MUX264およびADC230に状態および状態のオフセットを提供するために、マルチチャンネルADC200に含まれる。アナログチャンネルは、MUX260およびバッファ252を含むセル電圧チャンネルと、温度検出ブロック270、MUX262およびバッファ254を含むセル温度チャンネルと、電流検出ブロック280を含むセル電流チャンネルとを含むことができる。
【0021】
MUX260、温度検出ブロック270および電流検出ブロック280を使用して、セル212の電圧、セル214の電圧、セル216の電圧、セル温度およびセル電流のような、セル212、214および216の状態を測定することができ、セル212の電圧オフセット、セル214の電圧オフセット、セル216の電圧オフセット、温度オフセットおよびセル電流オフセットのような、セルの状態オフセットを、以下に説明する短絡回路メカニズムによって測定することもできる。セルの状態オフセットは、測定されるセルの状態およびセルの状態間の差である。例えば、セル212の電圧オフセットは、セル電圧チャンネルによって測定されるセル212の電圧およびセル212の電圧間の差である。セルの状態オフセットは、オフセット消去のために、および任意のアナログチャンネルが以下に説明する異常状態を経験するかを判断するために測定されることができる。
【0022】
図2の実施形態では、MUX260は、バッファ252にセル212、214および216の正極および負極の電圧を出力するために、セル212、214および216に接続される。MUX260のスイッチは、1つの実施形態において、1つずつセル212、214および216の正極と、セル216の負極とをバッファ252の非反転入力端子に接続する。MUX260のスイッチは、1つの実施形態において、1つずつセル212、214および216の負極と、セル212の正極とをバッファ252の反転入力端子に接続する。バッファ252によって出力される信号は、2つの入力端子の電圧間の電圧差である。
【0023】
例えばセル216の電圧を測定するために、スイッチ268は、ターンオンされ、バッファ252の非反転入力端子にセル216の正極の電圧を提供し、スイッチ267は、ターンオンされ、バッファ252の反転入力端子にセル216の負極の電圧を提供するので、バッファ252によって出力される信号は、セル216の電圧である。例えばセル216の電圧オフセットを測定するために、スイッチ267およびスイッチ265は、ターンオンされ、バッファ252の2つの入力端子にセル216の負極の電圧を提供するので、バッファ252によって出力される信号は、セル216の電圧オフセットである。類似に、セル212の電圧、セル212の電圧オフセット、セル214の電圧およびセル214の電圧オフセットは、測定されることができる。
【0024】
図2の実施形態では、温度検出ブロック270は、スイッチ272および276、レジスタ273およびサーミスタ275を含み、MUX262に信号TMを出力する。スイッチ272、レジスタ273およびサーミスタ275は、グラウンドに外部電源VDDを接続するために互いに直列接続される。レジスタ273およびサーミスタ275間のノード278は、MUX262に接続され、スイッチ276によってグラウンドに接続される。MUX262に出力される信号TMは、ノード278の電圧であり、この電圧量は、セル温度に対応する。故に、セル温度は、スイッチ272をターンオンすることによって測定されることができ、セル温度のオフセットは、スイッチ276をターンオンすることによって測定されることができる。
【0025】
図2の実施形態では、電流検出ブロック280は、スイッチ282およびレジスタ284、285および286を含み、MUX264に2つの信号を出力する。2つの信号間の電圧差は、レジスタ285にわたる電圧降下であり、この電圧降下の量は、レジスタ285を介して流れるセル電流に対応する。故に、セル電流は、スイッチ282をターンオフすることによって測定されることができ、セル電流のオフセットは、スイッチ282をターンオンすることによって測定されることができる。
【0026】
故に、セル212の電圧オフセット、セル214の電圧オフセット、セル216の電圧オフセット、セル温度のオフセットおよびセル電流のオフセットのような、セルの状態オフセットは、短絡回路メカニズムによって測定されることができるので、セルの状態オフセットは、外部装置からの妨害を容易に被らない。
【0027】
図2の実施形態では、MUX262に入力される外部精密参照電圧VREF290は、ADC230の精度を測定するために使用される。参照電圧VREF290は、1つの実施形態において、ADC230に入力される参照電圧(図示せず)から完全に独立している。参照電圧VREF290は、ADC230によって変換されるので、ADC230の精度は、参照電圧VREF290の変換値によって測定されることができる。従って、マルチチャンネルADC200のコストは、追加のハードウェア装置がADC230の精度を測定する必要ないので、低減されることができる。
【0028】
バッファ252は、MUX260によって出力される2つの信号を受信し、適当な範囲内にこれら2つの信号間の電圧差を調節し、その後調節された電圧をMUX264に提供する。MUX262を使用して、精密参照電圧VREF290および信号TMである2つの入力信号のうち1つを選択し、選択された信号をバッファ254に出力する。バッファ254は、適当な範囲内にMUX262によって出力される信号を調節し、その後調節された信号をMUX264に提供する。MUX264は、バッファ252によって出力される信号と、バッファ254によって出力される信号と、電流検出ブロック280によって出力される2つの信号とから1つの信号を選択し、選択された信号をADC230に提供する。その後、ADC230は、アナログ信号であるこの信号をデジタル信号に変換する。
【0029】
1つの実施形態では、制御信号(図示せず)は、例えばMUX260、262および264およびスイッチ272、276および278を制御するために、制御ブロック220から送信されることができる。故に、セルの状態およびセルの状態のオフセットは制御信号に応じて、測定され、ADC230に提供されることができる。
【0030】
指定の自己診断時間において、セルの状態のオフセットおよびADC230の精度は、測定される。1つの実施形態では、自己診断は、バッテリ管理ICがスリープモードから覚める度に実行される。即ち、セルの状態オフセットおよびADC230の精度は、動作中に測定されない。従って、オフセット値は、比較的より正確になり、オフセット消去は、その所望の効果を達成することができる。
【0031】
上記説明の通り、アナログチャンネルは、短絡回路メカニズムによってセルの状態オフセットを測定するために、マルチチャンネルADC200に含まれる。通常状態では、アナログチャンネルによって測定されるオフセットは、0または所定範囲内(所定の閾値より低い)であり、異常状態(ある形式のエラーがアナログチャンネルで発生)では、このアナログチャンネルによって測定されるオフセットは、0でなく、または所定範囲外(または所定の閾値を超える)である。
【0032】
1つの実施形態では、所定範囲は、オフセットを測定するチャンネルが異常状態を経験するかを判断するために、オフセット毎に設定される。類似に、所定範囲は、ADC230が異常状態を経験するかを判断するために、参照電圧VREF290の変換値に対して設定される。カウンタ240は、チャンネルおよびADC230が異常状態を経験する数を計数する。
【0033】
セル電圧チャンネルが異常状態を経験するかを判断するために、自己診断時に、セル212の電圧オフセット、セル214の電圧オフセットおよびセル216の電圧オフセットは、セル電圧チャンネルによって測定され、ADC230に出力される。ADC230は、セル212の電圧オフセット、セル214の電圧オフセットおよびセル216の電圧オフセットを変換し、変換されたオフセットを制御ブロック220に出力する。その後、制御ブロック220は、変換されたオフセットの各々が所定範囲内にあるかを判断する。1つの実施形態では、変換されたオフセットの各々が所定範囲内にある場合、セル電圧チャンネルは、通常状態にあると判断される。一方、セル電圧チャンネルは、異常状態を経験すると判断され、カウンタ240によって計数される数は、1つの実施形態において1ずつ増やされる。類似に、セル電流チャンネル、セル温度チャンネルおよびADC230の異常状態は、検出および計数されることができる。
【0034】
一度カウンタ240によって計数される数が所定値に達すると、バッテリ管理ICは、外部装置に警告信号を送信し、バッテリ管理ICは、1つの実施形態において動作を中止する。
【0035】
図3は、本発明の1つの実施形態によるバッテリ管理システム300を示す。バッテリ管理システム300は、複数のセルを含むバッテリ310と装置200とを含む。バッテリ管理システム300の装置200は、図2に示す装置200に類似する。
【0036】
装置200を使用して、装置200の複数のアナログチャンネルによってバッテリ310のセル状態を測定し、装置200のADCによってアナログ信号の状態をデジタル信号に変換することができる。1つの実施形態では、装置200は、バッテリ管理ICとして実装されることができる。
【0037】
1つの実施形態では、指定の自己診断時に、セルの状態オフセットおよびADCの精度は、装置200によって測定される。装置200のアナログチャンネルの異常状態は、このアナログチャンネルによって測定される状態オフセットと上記説明した所定範囲とを比較することによって判断されることができる。装置200のADCの異常状態は、上記説明した参照電圧を用いて判断されることができる。アナログチャンネルおよびADCが異常状態を経験する数が所定値に達する時、装置200は、警告信号302を発し、装置200は、動作を中止することができる。
【0038】
図4は、本発明の1つの実施形態によるマルチチャンネル変換器によって実行される動作のフローチャート400を示す。図4は、図2とともに説明される。ADCによってデジタル信号に変換されるアナログ信号を生成するアナログチャンネルの実施形態が以下説明されるが、本発明はそれに限定されない。以下の説明は、図1とともに説明されたように、DACによってアナログ信号に変換されるデジタル信号を生成するデジタルチャンネルの実施形態に同様に適用されることができる。
【0039】
402で、指定の自己診断時に、制御ブロック220は、任意のチャンネルが異常状態を経験するかを判断する。1つの実施形態では、セル212、214および216の状態オフセットが、上記説明したセル電圧チャンネル、セル温度チャンネルおよびセル電流チャンネルのようなアナログチャンネルによって測定されることができる。そのような実施形態では、セル212、214および216の状態オフセットは、アナログ信号であり、その後ADC230によって各デジタル信号に変換される。その後、各デジタル信号は、任意のアナログチャンネルが異常状態を経験するかを判断するために、制御ブロック220によって各所定範囲と比較される。デジタル信号が所定範囲内にない場合、アナログチャンネルは、異常状態を経験すると判断される。1つの実施形態では、自己診断は、バッテリ管理ICがスリープモードから覚める度に実行される。
【0040】
404で、指定の自己診断時に、制御ブロック220は、ADC230が異常状態を経験するかを判断する。参照電圧VREF290は、ADC230によって変換され、変換された値は、制御ブロック220に出力される。その後、変換された値は、ADCが異常状態を経験するかを判断するために、所定範囲と比較される。変換された値が所定範囲内にない場合、ADCは、異常状態を経験すると判断される。
【0041】
406で、アナログチャンネルおよびADC230が異常状態を経験する数がカウンタ240によって計数される。1つの実施形態では、アナログチャンネルの1つが異常状態を経験すると判断される時、カウンタ240によって計数される数は、1増加される。類似に、ADC230が異常状態を経験すると判断される時、カウンタ240によって計数される数は、1つの実施形態で1増加される。
【0042】
408で、カウンタ240によって計数される数が所定値に達する時、バッテリ管理ICは、外部装置に警告信号を送信し、バッテリ管理ICは、動作を中止する。
【0043】
要約すると、従来の用途では、異常状態がチャンネルおよび変換器に発生する場合、オフセット消去は、その所望の効果を達成できない。これに対し、本発明の実施形態によると、マルチチャンネル変換器は、自己診断機能を有し、指定の自己診断時に、カウンタは、チャンネルおよび変換器が異常状態を経験する数を計数し、数が所定値に達する時、マルチチャンネル変換器は、警告信号を発することができ、動作を中止できる。有利に、バッテリ管理用途において、任意のアナログチャンネルが異常状態を経験するかを判断するために、セルの状態オフセットは、短絡回路メカニズムを用いて測定され、故にオフセットは、外部装置からの妨害を容易に被らない。また、自己診断は、動作中に実行されない。従って、オフセットの値は、比較的より正確なので、オフセット消去は、その所望の効果を達成することができる。
【0044】
上記説明及び図面は、本発明の実施形態を示すが、各種追加、修正および代替は、添付の特許請求の範囲に定める本発明の精神および原則の範囲から逸脱することなく本明細書中で行えることが分かる。当業者であれば、本発明は、形式、構造、配置、割合、材料、要素および構成要素を様々に修正して使用される一方、本発明の原則から逸脱することなく特定の環境及び動作要件に特に適合される本発明の原則下で使用できることが分かる。ここで開示される実施形態は従って、全ての点で例示であり限定的ではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によって示されるのであり、上記記載に限定されない。
【符号の説明】
【0045】
110 チャンネル
120 制御ブロック
130 変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数の信号を測定するための複数のチャンネルと、
前記第1の複数の信号を第2の複数の信号に変換するための変換器と、
任意の前記チャンネルおよび前記変換器が異常状態を経験するかを判断するための制御ブロックと、
前記チャンネルおよび前記変換器が異常状態を経験する数を計数するための前記制御ブロックに接続されるカウンタと
を具備することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記数が所定値に達する時、前記制御ブロックは警告信号を発することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御ブロックは、任意の前記チャンネルおよび前記変換器が指定の自己診断時に前記異常状態を経験するかを判断することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記指定の自己診断時は、前記装置がスリープモードから覚める毎時を具備することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記チャンネルおよび前記変換器に接続され、前記第1の複数の信号のインスタンスを選択し、前記変換器に前記インスタンスを提供するためのマルチプレクサ(MUX)をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記チャンネルは、アナログチャンネルであり、複数のセルを具備するバッテリの状態を測定するのに使用されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記チャンネルは、前記状態のオフセットを測定するために使用されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記チャンネルの前記異常状態は、前記状態の前記オフセットと複数の所定範囲とを比較することによって判断されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記変換器の前記異常状態は、参照信号を用いて判断されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記チャンネルは、前記セルの電圧を測定するためのセル電圧チャンネルを具備し、前記セル電圧チャンネルは、
前記セルに接続され、前記セルの正極および陰極の電圧を出力するための第1のMUXと、
前記第2のMUXに接続され、前記セルの前記電圧を出力するためのバッファと
を具備することを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のMUXは、
前記セルの前記正極に接続され、前記バッファに前記正極の前記電圧を提供するための第1の複数のスイッチと、
前記セルの前記負極に接続され、前記バッファに前記負極の前記電圧を提供するための第2の複数のスイッチと
を具備することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記チャンネルは、前記セルのセル温度を測定するためのセル温度チャンネルを具備し、前記セル温度チャンネルは、
第1のスイッチと、
前記第1のスイッチに接続されるレジスタと、
前記レジスタに接続され、前記セル温度に対応する信号を出力するためのサーミスタと、
前記信号をグラウンドに接続するための第2のスイッチと
を具備することを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項13】
前記チャンネルは、前記複数のセルのセル電流を測定するためのセル電流チャンネルを具備し、前記セル電流チャンネルは、
レジスタと、
前記レジスタに接続され、前記セル電流に応じて生成される前記レジスタにわたる電圧降下を出力するためのスイッチと
を具備することを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項14】
複数のセルを含むバッテリと、
前記バッテリに接続される装置とを具備し、前記装置は、
前記バッテリの状態を測定するための複数のアナログチャンネルと、
前記状態をデジタル信号に変換するためのアナログ/デジタル変換器(ADC)と、
前記アナログチャンネルおよび前記ADCを監視し、任意の前記アナログチャンネルおよび前記ADCが異常状態を経験するかを判断するための制御ブロックと、
前記制御ブロックに接続され、前記アナログチャンネルおよび前記ADCが異常状態を経験する数を計数するためのカウンタと
を具備することを特徴とするバッテリ管理システム。
【請求項15】
前記数が所定値に達する時、前記カウンタは、警告信号を発することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記制御ブロックは、任意の前記アナログチャンネルおよび前記ADCが指定の自己診断時に前記異常状態を経験するかを判断することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記指定された自己診断時は、前記装置がスリープモードから覚める毎時を具備することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、前記アナログチャンネルおよび前記ADCに接続され、前記状態のインスタンスを選択し、前記ADCに前記インスタンスを提供するためのMUXをさらに具備することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記アナログチャンネルは、前記状態のオフセットを測定するために使用されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記アナログチャンネルの前記異常状態は、前記状態の前記オフセットと複数の所定範囲とを比較することによって判断されることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記ADCの前記異常状態は、参照電圧を用いて判断されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項22】
任意の複数のチャンネルが異常状態を経験するかを判断する過程と、
変換器が異常状態を経験するかを判断する過程と、
前記チャンネルおよび前記変換器が異常状態を経験する数を計数する過程と、
前記数が所定値に達する時、警告信号を送信する過程と
を具備することを特徴とする自己診断方法。
【請求項23】
任意のチャンネルが異常状態を経験するかを判断する前記過程は、
前記チャンネルによって第1の複数の信号を測定する過程と、
前記第1の複数の信号を第2の複数の信号に変換するための前記変換器と、
前記第2の複数の信号と所定範囲とを比較する過程と
を具備することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の複数の信号は、バッテリの状態オフセットを具備することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
変換機が異常状態を経験するかを判断する前記過程は、
参照信号を第3の信号に変換する前記変換器と、
前記第3の信号と第2の所定範囲とを比較する過程と
を具備することを特徴とする請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−204091(P2010−204091A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1975(P2010−1975)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(500521843)オーツー マイクロ, インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】