説明

自由造形焼結または自由造形溶解による製品の製造用制御データセットの発生方法および装置、ならびにこの製造設備

本発明は、レーザビームや電子ビームなどの高エネルギービーム(8)を用いた自由造形焼結及び/又は溶解により、金属や非金属の製品(2,21)の製造のための制御データセットを発生する方法に関し、製品(2,21)は、制御データセットの支援により案内されたビーム(8)を用いて、層内に広がる材料(6)でもって、層別(12〜15,20,22)で積み上げられ、該方法は、製品目標幾何形状データセットを取り込むステップ(23)と、製品目標幾何形状データセットに基づいて、制御データセットを発生するステップ(25)とを備える。寸法精度を改善するために、この方法はさらに、焼結や溶解によって生ずる製造関連の影響を補償するための補償データセット及び/又は補償関数を決定するステップ(24)と、製品目標幾何形状データセットに対して、補償データセットの組合せ及び/又は補償関数の適用により、制御データセットを発生するステップ(25)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高エネルギービーム、特に、レーザビームまたは電子ビームを用いた自由造形焼結(sintering)及び/又は自由造形溶解(melting)により、金属及び/又は非金属の製品、特に、歯科用製品や医療用製品の製造のための制御データセットを発生するための方法および装置に関するものであり、製品は、制御データセットの支援により案内された前記ビームを用いて、層内で広がる材料でもって層別で積み上げられる。該方法は、製造すべき製品の目標となる幾何形状を表現する製品目標幾何形状データセットを取り込むステップと、製品目標幾何形状データセットに基づいて、制御データセットを発生するステップとを備える。よって、制御データセットの発生装置は、製造すべき製品の目標となる幾何形状を表現する製品目標幾何形状データセットを取り込むための手段と、製品目標幾何形状データセットに基づいて、制御データセットを発生するための手段とを備える。
【0002】
本発明はさらに、高エネルギービーム、特に、レーザビームまたは電子ビームを用いた自由造形焼結及び/又は自由造形溶解により、こうした製品を製造するための設備に関するものであり、該設備は、このビームを発生するためのビーム源と、層内に追加すべき材料を収容するプラットフォームと、データ制御を用いてビームを案内して、該材料から製品を層別で構築する、ビーム制御としての制御システムとを備える。
【背景技術】
【0003】
このタイプの方法、装置、設備は、該分野で知られている。応用の分野のうちとりわけ、これらは、歯科用製品の製造、例えば、歯冠(dental crowns)、歯科ブリッジ、インプラント(implants)などで使用される。これらはまた他の製品用にも使用できる。
【0004】
しかし、これらの製品の精度および寸法の正確さについて必要な仕様が要求される。特に、歯科用製品の分野において、この製造は1/10ミリメートル未満の公差を目標としている。しかしながら、こうした高い精度は、公知の焼結および溶解システムを用いても充分には得られない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうして本発明により解決すべき技術的課題は、高エネルギービーム、特に、レーザビームまたは電子ビームを用いた自由造形焼結及び/又は自由造形溶解によって製造される製品の寸法精度の改善にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、焼結及び/又は溶解によって生ずる、製造に関連した影響を補償するための補償データセット及び/又は補償関数を決定するステップと、製品目標幾何形状データセットに対して、補償データセットの組合せ及び/又は補償関数の適用により、制御データセットを発生するステップとをさらに含む上記タイプの方法でもって、この課題に対する解決法を提供する。
【0007】
本発明は、焼結及び/又は溶解によって生ずる、製造に関連した影響を補償するための補償データセット及び/又は補償関数を決定するための手段と、製品目標幾何形状データセットに対して、補償データセットの組合せ及び/又は補償関数の適用により、制御データセットを発生するための手段を備える上記タイプの装置でもって、この課題に対する解決法を提供する。
【0008】
そして、本発明は、制御システムがビーム案内のための制御データを発生するための上記装置を備えた上記タイプの設備を用いて、この課題に対する解決法を提供する。
【0009】
本発明は、製造に関連した影響、即ち、高エネルギービームを用いた焼結及び/又は溶解によって生ずる影響が、製造すべき製品の寸法精度に対して悪い影響を有することがあるとの理解に基づいている。
【0010】
高エネルギービームを用いた自由造形焼結または自由造形溶解では、製品は、材料(一般に、パウダー状で存在する)を区画別に照射する高エネルギービーム、例えば、レーザビームまたは電子ビームによって作成され、これは、材料を加熱し溶融して、隣接する材料と結合させている。
【0011】
しかしながら、この層別による構築の影響は、水平/垂直に対して傾斜した(横方向)区画を持つ製品では、形成すべき新しい層が、それより下方に、製造すべき製品区画が無い領域にまで延びるようになる点である。換言すると、製造すべき新しい層が、前に製造した層に対して横方向に突出する。
【0012】
本発明は、材料が、これらの突出した領域での溶解して、下の層の領域にまで延びるようになることを了解している。この領域では、いわゆる溶融した小球体(spherules)が発達して、即ち、製品の球形または部分的に球形の突起(protuberances)となって、製品寸法の品質を低下させる。こうして当初の計画よりも、製品がこれらの領域でより厚くなる。
【0013】
本発明はまた、異なる温度での層別の構築および層の結合が、異なる層の異なる熱膨張に起因して、層内部での応力を生じさせることを了解している。製品がキャリア、いわゆる基板プレートからいったん解放されると、これらの応力は変形をもたらす。
【0014】
該影響は、ここでは例として示し、計画した製品に対する実際に製造した製品の変化をもたらすものであり、本発明においては、最初に、補償データセット及び/又は補償関数を決定することによって補償される。続いて、この補償データセットを製品目標幾何形状データセットと組み合わせたり、補償関数を製品目標幾何形状データセットに適用したりして、制御データセットを発生しており、これは、焼結及び/又は溶解プロセスの際に、高エネルギービームを制御するために用いられる。
【0015】
こうして決定された補償関数または補償データセットは、高エネルギービームを用いた焼結または溶解についての製造に関連した悪い影響をほぼ完全に補償するために使用でき、これは寸法精度を実質的に増加させる。
【0016】
補償関数または補償データセットは、好ましくは、サイズおよび形状、あるいは参照面、例えば、水平参照面に対する、製造すべき製品の外表面に接する平面の傾斜角度の関数として決定される。これは、特に、前記接平面に対して垂直方向に決定される、製造すべき製品の厚さが、この傾斜角度に応じて補償データセットまたは補償関数の適用により減少するように機能するものである。このようにして、製造すべき製品または製品区画の厚さに対する、上記の溶融した小球体または部分溶融の小球体の影響を補償することが可能になる。これは、製品寸法、特に、傾斜した区画の領域での誤差をほぼ完全に防止する。
【0017】
補償関数は、好ましくは、連続的かつ微分可能なものである。特に、補償関数は、2次、3次、4次及び/又は高次の多項式を含む。このタイプの補償関数は、製品の層別構築に起因して生成される、種々の温度関連および幾何形状関連の応力の影響を充分に補償するために使用できることが示されている。
【0018】
特別の実施形態では、製造すべき製品の異なる領域について異なる補償関数が用いられる。更なる実施形態では、こうした補償関数の多項式の次数は、製造すべき製品の個別の領域にも依存している。
【0019】
更なる好ましい実施形態では、製造すべき製品の簡単な幾何形状の領域に関して、より低次の多項式が用いられるとともに、製造すべき製品の複雑な幾何形状の領域に関して、より高次の多項式が用いられる。個々の多項式の次数は、計算の労力を決定する。当然ながら、多項式の次数が増加すると、計算の労力が増加する。こうして、最小利用可能な程度で多項式を使用して、満足な補償結果を達成するのが好都合である。しかし、温度関連の応力の影響は、製造すべき製品の幾何形状に依存していることから、応力の影響は、製造すべき製品の異なる領域において異なることになる。その結果、一般に、よりコンパクトな幾何形状については簡単な補償関数を使用し、より複雑または線条細工(filigree)のような幾何形状についてはより複雑な補償関数を使用することで足りる。このことは、計算の労力を減少させ、実用上は、使用する焼結または溶解装置の効率を増加させる。
【0020】
更なる特別な実施形態では、補償関数は、製造すべき製品の一定の領域についてのみ、製品幾何形状データセットに適用される。例えば、製造すべき歯科ブリッジに関しては、歯科プロテーゼ(prosthesis)の連結領域についてのみ、補償関数を製品幾何形状データセットに適用する。製造されるこのタイプの製品において、これらの連結領域は特別な応力に曝されるが、比較的コンパクトに形成された、歯に相当する領域では、温度関連の応力の影響はそれほどシビアでない。こうした補償関数の選択的な適用により、計算の労力を低減でき、使用する設備のコンピュータ能力のより良好な利用を可能にする。
【0021】
補償データセット及び/又は補償関数は、下記を含むパラメータ群のうちの少なくとも1つのパラメータに基づいて決定されるのが特に実用的である。材料の弾性係数、凝固温度(solidus temperature)、熱膨張係数、引張強度、弾性降伏点(elastic yield point);処理すべき材料を囲むプロセスチャンバでの温度を表すプロセスチャンバ温度;高エネルギービームにより照射される材料の領域の温度を表すプロセス温度、適用される材料層の厚さを表す層厚;焼結または溶解のプロセス時の、ビーム源、特にレーザまたは電子ビーム源の出力パワー、あるいはビーム、特にレーザビームまたは電子ビームのパワー、ビームの通過レート、照射方法;製造すべき製品の幾何形状、特に高さ、そして、焼結または溶解の後の二次処理のタイプ。これらのパラメータまたはこれらのパラメータのサブグループの考慮は、製造関連の影響についての実質的な補償を達成できることが示されている。
【0022】
更なる好ましい実施形態では、形成中または既に形成した製品の輪郭は、材料層の照射中及び/又は照射後に、必要に応じて走査される。こうして得られた測定データは、製品目標幾何形状データセットのデータと比較される。もし偏差が検出されると、制御データセットが、検出した偏差に従って補正される。こうした作成時における製品の光学走査および同時に実行する制御データの補正は、好都合には、製造すべき製品の正確さおよび寸法精度をより向上させることができる。
【0023】
更なる好ましい実施形態は、実施形態の例に図示され、添付図面を用いてより詳細に説明している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、金属及び/又は非金属の製品2、特に、歯冠、ブリッジ、インプラントなどの歯科用製品、または、プロテーゼなどの医療用製品、を自由造形レーザ焼結及び/又は自由造形溶解によって製造するための設備1を示す。設備1は、基板プレート5を支える高さ調整可能なプラットフォーム4を持つテーブル3を備える。プラットフォーム4の高さは、不図示の駆動システムを介してステップ的に、特に、パウダー状に存在する材料6のパウダー粒のサイズに適合したステップで調整可能である。
【0025】
設備1は、テーブル3の上方に配置されたレーザ7、例えば、COレーザをさらに備え、ビームは、適切な装置、特に、コンピュータ制御のミラーガルバノメータ(galvanometer)9によって案内される。
【0026】
設備1は、パウダー状の材料6を、テーブル3の表面に渡って均一に分配するために用いられるコーティング機構10をさらに備えており、特に、プラットフォーム4の表面とテーブル3の表面との間の空間は、テーブル3の表面に達するまでパウダー状の材料6で充填される。
【0027】
製品の製造は、次のように進行する。最初に、プラットフォーム4は、上側スタート位置にある。そして、レーザ7が動作して、そのレーザビーム8がパウダー状の材料6に向けられる。レーザビーム7により発生した熱に起因して、レーザビーム7は、パウダー状の材料6を圧縮し溶融し、パウダー状の材料6に印加されるエネルギー量に応じて、隣接パウダー粒とともに焼結または溶解する。レーザビーム8は、制御データセットによって案内される。この案内に続いて、レーザビームは、パウダー状の材料8の予め定めた位置を照射する。レーザビーム8で照射された領域では、溶解または焼結した材料からなる固体層が作成される。
【0028】
いったん層が完成すると、レーザ7は動作しなくなり、プラットフォーム4は層厚分だけ下降する。この層厚は、例えば、材料6のパウダー粒の平均直径に適合し得る。そして、コーティング機構10により、パウダー材料6の新しい層が塗布され、平坦化される。そして、レーザ7は再び動作して、レーザビーム7は再びコンピュータ制御されて、予め定めた位置に進行し、そこでパウダー状の材料6が、前回生成した層またはこれに隣接した領域あるいはこれに隣接していない領域に対して、溶解または焼結される。前回形成した層に対するパウダー状の開始材料6からなる層の塗布と、レーザビーム8を用いてこれらの層の焼結または溶解との該プロセスは、製品2が所望の形状に形成されるまで、繰り返し実行される。
【0029】
設備1は、制御システム11を備え、これは、特に、レーザ7の動作および停止、そしてミラーガルバノメータ9によるレーザビーム8の位置決め、プラットフォーム4の高さ調整を制御する。設備1のこれらの構成部分を全体として調和させることにより、製品2の所望の形成を保証している。
【0030】
制御システム11は、製造すべき製品の目標幾何形状を表現する製品目標幾何形状データセットを読み込むための手段を備える。これらの目標幾何形状データから開始して、制御システムは、レーザビームを案内するために用いられる制御データセットを計算する。制御データセットは、例えば、ミラーガルバノメータ10を調整するためのデータを含み、これは材料6の最上層へのレーザビーム9の衝突ポイントを決定する。
【0031】
制御システム11は、さらに、レーザ焼結またはレーザ溶解の際に発生する製造に関連した影響についての補償データセット及び/又は補償関数を決定するものであり、下記に説明している。これらの補償データは目標幾何形状データセットと組み合わせたり、あるいは補償関数を目標幾何形状データセットに適用したりして、上述した制御データセットを生成する。こうしてレーザ焼結またはレーザ溶解についての製造に関連した影響は、下記により詳細に説明するように、製品2の製造の前、あるいは製品2の次の形成すべき層の作成の前に考慮することができる。
【0032】
図2は、こうした製造に関連した最初の影響について説明している。図2は、既にレーザ焼結またはレーザ溶解した製品2の断面を示し、これは幾つかの層12,13,14,15に作成されている。しかしながら、層12〜15は、互いの上部に垂直方向に配置されておらず、相互に段付き(offset)となっている。個々のオフセットは、層の端部に対して配置される接平面と水平面、例えば、プラットフォーム4の上表面との間の角度αを持つ傾斜を生じさせる。
【0033】
図2に示した例では、層12〜15は全て同じ幅を示しており、理想的な場合には、幅dの傾斜面が作成され、これは、水平面に対する角度αで配向することになる。
【0034】
図3は、図2に示した理論的な製品についての実際の現実を示す。
【0035】
層13〜15の右端部において、その各々が下方の各層12〜14に対して一定の距離だけオフセットしており、いわゆる溶融小球体または溶融小球体部分16,17,18が、レーザ焼結またはレーザ溶解の際に形成される。これらの領域で溶解した材料6は、層13,14,15の厚さの範囲内の材料パウダー6だけでなく、周囲の材料パウダー6をも加熱する。その結果、液相状態で下方に流れて、溶融小球体16,17,18を形成してしまう。
【0036】
溶融小球体16〜18は、図2に示した厚さdより大きい厚さd’となってしまう。
【0037】
製造すべき製品の厚さへのこうした製造に関連した影響は、とりわけ傾斜角度αに依存する。角度α、即ち、接平面と水平面との間の角度が大きくなると、図2に示した理論的な厚さdに対して厚さd’の品質低下は小さくなる。
【0038】
図4〜図6は、製造すべき製品の寸法精度への更なる製造関連の影響を示す。
【0039】
図4は、幾つかの支持部19を示し、これらは基板プレート5上に焼結されており、製造すべき製品21の第1層についての基礎を形成する。この第1層は、高さhを有する。層20は、溶解後に冷える。その結果、層20は、冷却によりその熱膨張係数に従って収縮する。しかしながら、得られる層の収縮の程度は、層20の下側領域よりも層20の上側領域において大きくなる。理由は、層20の下側領域は、支持部19および基板プレート5への連結に起因して、比較的剛性が高く、可撓性がかなり小さいためである。こうして層20の上側領域は、最も収縮する。これは、図4において層20の側端部に破線で示している。
【0040】
図5は、既に冷えた層20の上部に第2層22が形成され、側端部において、冷却に起因して下側領域よりも上側領域においてより収縮している様子を示す。
【0041】
製品は、こうした複数の層20,22で構成され、各層は、冷却および熱膨張係数に起因して収縮し、製造すべき製品21の内部での応力を発生する。
【0042】
図4、図5、図6での冷却に起因した層幅の変化は、縮尺を合わせて示しておらず、大きく誇張していることに留意すべきである。これは、この製造関連の影響を図示するために行っている。
【0043】
図6は、例えば、図5に示す点線に沿って底部層が支持部19から取り外された後での図5の製品21を示す。製品21が支持部19から取り外されるとすぐに、上述した層20,22の内部の応力に起因して変形するようになる。支持部19から取り外し後は、製品21の側端部が上向きに曲がるようになる。
【0044】
この曲率は、2次多項式によって説明される曲線に近似的に対応している。
【0045】
この影響はまた、補償データセットまたは補償関数を用いて補正することができる。
【0046】
数多くのパラメータは、その理論的な設計に対する実際の製造した製品の偏差に影響を有する。最も重要なパラメータは、材料の弾性係数、凝固温度(solidus temperature),熱膨張係数、引張強度、弾性降伏点(elastic yield point)、処理中のプロセスチャンバでの温度、レーザビームにより照射される材料6の領域の温度、層12〜15,20,22の厚さ、レーザ焼結または溶解の際のレーザ7またはレーザビーム8のパワー、レーザビーム8の通過レート、即ち、レーザビームが材料6の表面に沿って移動する速度、照射方法、即ち、レーザが、ある場合には繰り返して、照射すべき所定のポイントに接近する方法、幾何形状、特に、製造すべき製品2,21の高さ、そして、レーザ焼結またはレーザ溶解の後に、可能性ある製品の二次処理のタイプ。
【0047】
上記したパラメータは、製造すべき製品の寸法精度への異なる影響を有する。そのため、製造すべき製品の所望の正確さにも依存するが、全ての場合に全部のパラメータを正確に決定する必要はない。全てのパラメータを考慮した場合、達成される結果が最適なものであっても、全てのパラメータの考慮は、労力とコストを増加させ、最終的な分析では、著しくより高い製品コストになる。例えば、特に好ましい実施形態の例では、パラメータの選択、即ち、最も影響があるパラメータだけが考慮されている。
【0048】
図7は、本発明の実施形態の例に係る方法の説明としてフローチャートを示す。最初のステップ23では、制御システムは、製造すべき製品の目標幾何形状データを取り込む。更なるステップ24において、制御システム11は、補償データセット及び/又は補償関数を決定する。更なるステップ25は、補償データセットと製品の目標幾何形状データとの組合せ、及び/又は補償関数の製品目標幾何形状データへの適用を含み、レーザビーム8を制御するためのデータセットを発生している。更なるステップ26において、レーザビーム8は、この制御データセットの支援により、制御され案内される。
【0049】
特別な実施形態の例では、更なるステップ27において、レーザ焼結またはレーザ溶解の際に、作成される製品が光学的に走査される。次のステップ28において、こうして得られた測定データが、製品の目標幾何形状データと比較される。次のステップ29において、制御データは、検出した何れかの偏差に従って補正され、そして、レーザビームは、補正した制御データセットの支援により制御され案内される。
【0050】
全体として、本発明は、レーザビームの制御データを操作することによって、製造すべき製品に対するレーザ焼結またはレーザ溶解の製造関連した影響を補償することができ、こうして製造すべき製品の寸法精度が実質的に改善できるということを実現している。
【0051】
前述において、本発明をレーザ焼結またはレーザ溶解に関連して説明した。しかし、本発明は、焼結または溶解用のレーザビームの使用に限定されない。例えば、レーザビームの代わりに電子ビームが使用できる。上記のレーザは、電子ビーム源で容易に置き換え可能である。そして、本発明は、一般には、高エネルギービームにとって適切な供給源からの高エネルギービームによって生成される焼結または溶解プロセスの何れのタイプにも関連している。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態の例に係る自由造形レーザ焼結及び/又は自由造形溶解による製品の製造のための設備の概略側面図を示す。
【図2】理想的な理論モデルに従って、図1の設備を用いて製造された製品の層別構造を示す概略側面図を示す。
【図3】実際の製造した製品について図2に類似した概略図を示す。
【図4】幾つかの支持部により下方に配置した基板プレートに連結された、製造すべき製品のレーザ焼結またはレーザ溶解の第1層の概略横断面図を示す。
【図5】更なる層が適用された、図4の製品を示す。
【図6】図5の製品を、支持部から取り外した状態で示す。
【図7】本発明の実施形態の例に従って、レーザビームのための制御データセットを発生するための方法の処理ステップの図示としてフローチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギービーム(8)、特に、レーザビームまたは電子ビームを用いた自由造形焼結及び/又は自由造形溶解により、金属及び/又は非金属の製品(2,21)、特に、歯科用製品や医療用製品の製造のための制御データセットを発生するための方法であって、
製品(2,21)は、制御データセットの支援により案内されたビーム(8)を用いて、層別で追加すべき材料(6)でもって、層別(12〜15,20,22)で積み上げられ、
該方法は、製造すべき製品(2,21)の目標となる幾何形状を表現する製品目標幾何形状データセットを取り込むステップ(23)と、製品目標幾何形状データセットに基づいて、制御データセットを発生するステップ(25)とを備え、
焼結及び/又は溶解によって生ずる、製造に関連した影響を補償するための補償データセット及び/又は補償関数を決定するステップ(24)と、
製品目標幾何形状データセットに対して、補償データセットの組合せ及び/又は補償関数の適用により、制御データセットを発生するステップ(25)とをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
補償データセットまたは補償関数は、製造すべき製品(2,21)のサイズおよび形状に応じて決定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
補償データセットまたは補償関数は、参照面、特に、水平面に対する、製造すべき製品(2,21)の外表面に接する平面の傾斜角度(α)に応じて決定されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記接平面に対して垂直方向に測定される、製造すべき製品の厚さ(d)は、この傾斜角度(α)に応じた補償データセットまたは補償関数により、減少することを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
補償関数は、連続的かつ微分可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
補償関数は、2次、3次、4次及び/又は高次の多項式を含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
1個の製品につき複数の補償関数が使用され、これは、これらの程度に関して少なくとも部分的に相違していることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
低次の多項式が、製造すべき製品の簡単な幾何形状の領域に関して用いられ、高次の多項式が、製造すべき製品の複雑な幾何形状の領域に関して用いられることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
補償関数は、製造すべき製品の一定の領域だけについて、製品幾何形状データセットに適用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
補償関数は、歯科プロテーゼとして製造すべきブリッジの連結領域についてのみ、製品幾何形状データセットに適用されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
補償データセットまたは補償関数は、
材料(6)の弾性係数、
材料(6)の凝固温度、
材料(6)の熱膨張係数、
材料(6)の引張強度、
材料(6)の弾性降伏点、
処理すべき材料(6)を囲むプロセスチャンバでの温度を表すプロセスチャンバ温度、
ビーム(8)により照射される材料(6)の領域の温度を表すプロセス温度、
適用された又は適用される材料層(12〜15,20,22)の厚さを表す層厚(d)、
焼結または溶解のプロセス時の、ビーム源、特に、レーザ(7)または電子ビーム源の出力パワー、あるいはビーム、特にレーザビーム(8)または電子ビームのパワー、
ビーム(8)の通過レート、
照射方法、
製造すべき製品(2,21)の幾何形状、
製造すべき製品(2,21)の高さ、および
焼結または溶解の後の、製品(2,21)の可能性ある二次処理のタイプ、
を含むパラメータ群のうちの少なくとも1つのパラメータによって決定されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
材料層(12〜15,20,22)の照射中及び/又は照射後に、形成中または既に形成した製品(2,21)の輪郭は光学的に走査され、こうして得られた測定データは、製品目標幾何形状データセットのデータと比較され、偏差が検出されると、制御データセットが、検出した偏差に従って補正されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
高エネルギービーム(8)、特に、レーザビームまたは電子ビームを用いた自由造形焼結及び/又は自由造形溶解により、金属及び/又は非金属の製品(2,21)、特に、歯科用製品や医療用製品の製造のための制御データセットを発生するため、特に、請求項1〜12のいずれかに記載の方法を実行するための装置であって、
製品(2,21)は、制御データセットの支援により案内可能な前記ビーム(8)を用いて、層別で形成すべき材料でもって層別で積み上げ可能であり、
該装置(11)は、製造すべき製品(2,21)の目標となる幾何形状を表現する製品目標幾何形状データセットを取り込むための手段(23)と、製品目標幾何形状データセットに基づいて、制御データセットを発生する手段(25)とを備え、
焼結及び/又は溶解によって生ずる、製造に関連した影響を補償するための補償データセット及び/又は補償関数を決定する手段(24)と、
製品目標幾何形状データセットに対して、補償データセットの組合せ及び/又は補償関数の適用により、制御データセットを発生する手段(25)とを備えることを特徴とする装置。
【請求項14】
高エネルギービーム(8)、特に、レーザビームまたは電子ビームを用いた自由造形焼結及び/又は自由造形溶解により、金属及び/又は非金属の製品(2,21)、特に、歯科用製品や医療用製品の製造のための設備であって、
前記ビーム(8)を発生するためのビーム源(7)、特に、レーザまたは電子ビーム源と、
層内に形成すべき材料(6)を保持するプラットフォーム(4)と、
データで駆動されるビーム(8)を制御し、ビーム(8)を案内して、該材料(6)から製品を層別(12〜15,20,22)で構築するための制御システム(11)とを備え、
該制御システム(11)は、ビーム(8)を案内するための請求項13記載の制御データセット発生装置を備えることを特徴とする設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−534838(P2007−534838A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500207(P2007−500207)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050668
【国際公開番号】WO2005/080029
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(503164959)ベゴ・メディカル・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】BEGO Medical GmbH
【Fターム(参考)】