説明

自発光パネルおよび自発光パネルの製造方法

【課題】自発光素子への劣化因子の伝達防止を図ること。
【解決手段】自発光パネル100は、電極対の間に発光層を有する複数の自発光素子102が設けられた基板101に設けられて、電極対における少なくとも一方の電極201および発光層を自発光素子102毎に絶縁する絶縁膜103と、基板101に対向配置され、当該基板101との間に自発光素子102を外気から遮断する封止領域208を形成する封止部材206と、自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子102aより外側に設けられて、基板101と封止部材206との対向方向に沿って絶縁膜103を分離するサイプ104と、を備える。これによって、外気に含まれる水分などの劣化因子が接着剤207中を伝わって封止領域208内に入り込んだ場合にも、この劣化因子が絶縁膜103中を伝わることをサイプ104によって阻害することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自発光パネルおよび自発光パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、各種の情報機器の表示ディスプレイやライトなどの照明などにおいては、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:以下、ELと略す)素子を自発光素子として利用した自発光パネルが用いられるようになってきている。
【0003】
有機EL素子では、外気に含まれる水分などが、有機EL素子を劣化させる劣化因子として想定される。このような劣化因子から有機EL素子の劣化を防ぐため、有機EL素子を外気から遮断する封止方法がある。封止方法には、各種の技術があるが、その一つに気密封止法がある。これは、有機EL素子が設けられた基板に、当該基板との間に有機EL素子を外気から遮断する封止領域を形成するように封止部材を対向配置する(たとえば、下記特許文献1参照。)。気密封止法は、有機EL素子を利用した自発光パネルを、簡単かつ低コストで製造することができる。
【0004】
図12は、従来の自発光パネルの一例を示す縦断側面図である。図12に示すように、従来の自発光パネル1200は、電極対1201の間に発光層1202を有する複数の自発光素子1203が設けられた基板1204と、この基板1204との間に自発光素子1203を外気から遮断する封止領域1205を形成するように基板1204に対向配置された封止部材1206と、を備えている。
【0005】
基板1204には、電極対1201における一方の電極1201aおよび発光層1202を自発光素子1203毎に絶縁する絶縁膜1207が設けられている。基板1204と封止部材1206とは、接着剤1208を介して接着されている。これによって、封止領域1205内に劣化因子が入り込むことを防止するようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−21567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、たとえば、上述した特許文献1に記載された技術では、自発光素子1203として有機EL素子を用いた場合に、基板1204と封止部材1206とを接着剤1208を介して接着しても、外気に含まれる水分が接着剤1208中を伝わって、有機EL素子を劣化させてしまうことがある。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、自発光パネルにおける自発光素子への劣化因子の伝達防止を図ること、自発光パネルの表示品質の劣化を防ぐことなどを発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる自発光パネルは、電極対の間に発光層を有する複数の自発光素子が設けられた基板と、前記基板に設けられて、前記電極対における少なくとも一方の電極および前記発光層を前記自発光素子毎に絶縁する絶縁膜と、前記基板に対向配置され、当該基板との間に前記自発光素子を外気から遮断する封止領域を形成する封止部材と、前記自発光素子の配列面内で最も外側に位置する自発光素子より外側に設けられて、前記基板と前記封止部材との対向方向に沿って前記絶縁膜を分離するサイプと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項10の発明にかかる自発光パネルの製造方法は、電極対の間に発光層を有する複数の自発光素子を基板上に形成する自発光素子形成工程と、前記自発光素子形成工程に際して、前記電極対における少なくとも一方の電極および前記発光層を前記自発光素子毎に絶縁する絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、前記絶縁膜形成工程によって形成された絶縁膜のうち、前記自発光素子の配列面内で最も外側に位置する自発光素子より外側に、前記絶縁膜の厚さ方向に沿って当該絶縁膜を分離するサイプを形成するサイプ形成工程と、前記基板との間に前記自発光素子を外気から遮断する封止領域を形成する封止部材を前記基板に対向配置する封止領域形成工程と、を含んだことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる自発光パネルおよび自発光パネルの製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(自発光パネルの概略構成)
図1は、本実施の形態における自発光パネルを示す平面図である。本実施の形態における自発光パネル100は、基板101上に設けられた複数の自発光素子102を有している。本実施の形態の自発光素子102は、有機EL素子によって実現されている。
【0013】
有機EL素子は、各種機能を有する層を複数積層した構造である。特に図示を省略するが、有機EL素子における各層の積層構造としては、「下部電極(陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子輸送層/電子注入層/上部電極(陰極)」という順序で積層された構造が一般的であり、このような積層構造でも単層構造でも構わない。
【0014】
有機EL素子における各層は、いずれも、低分子有機材料でも高分子有機材料でもよく、単一の有機材料で形成されてもよいし、複数の材料を混ぜ合わせることによって形成されていてもよいし(混合層)、高分子バインダーの中に有機系あるいは無機系の機能材料を分散させたものでもよい。なお、機能材料としては、電子輸送機能、発光機能、電子ブロッキング機能、光学機能などが挙げられる。
【0015】
また、有機EL素子における各層には、スパッタ法によって、発光層の上側に電極を形成する際に、発光層がダメージを受けないようにするためのバッファ機能や、発光層の成膜プロセスによって発生する発光層表面の凹凸を防止するための平坦化機能を有する層が含まれていてもよい。
【0016】
加えて、有機EL素子は、発光層の上側に位置する電極を陽極とし、発光層の下側に位置する電極を陰極としたものや、複数の層によって発光層を構成したもの、発光色の異なる複数の発光層を積層させたもの(SOLED:Stacked OLED)、カソードとアノードの間に図示しない電子発生層を介在させたもの(マルチフォトン素子)、正孔輸送層などの層を省略したものや複数積層させたもの、有機層1層のみの素子構成のもの(各機能層を連続的に形成させる、層境界をなくしたもの)などであってもよい。なお、本実施の形態は、有機EL素子の構成を限定するものではない。
【0017】
自発光素子102は、すべての自発光素子102を自発光パネル100の表示素子としてもよいし、一部の自発光素子102をいわゆるモニタ素子としてもよい。表示素子とは、自発光パネル100が表示する文字や記号、画像、映像などといった情報表示、または、照明や各種インテリアなどの表示に利用する自発光素子102である。モニタ素子とは、前述の表示に利用しない自発光素子102である。より詳細には、モニタ素子は、たとえば自発光素子102の駆動に関わるパラメータを取得するために用いられることがある。
【0018】
モニタ素子としての自発光素子102から取得されたパラメータは、表示素子としての自発光素子102の駆動に際して、各表示素子にフィードバックされる。表示素子としての自発光素子102の駆動に関わるパラメータとしては、たとえば、駆動電圧、電流、輝度などが挙げられる。モニタ素子としては、自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子を利用する。
【0019】
自発光素子102は、それぞれ絶縁膜103によって絶縁されている。絶縁膜103は、自発光素子102の配列面内の全域および当該配列面の外周部分を覆うように設けられている。この絶縁膜103には、スリットや溝であるサイプ104が設けられており、本発明の実施の形態では「サイプ」と定義する。詳細は後述するが、本実施の形態におけるサイプ104は、自発光素子102の配列面の外周を囲むように連続して設けられている。絶縁膜103の材料としてはポリイミド、ポリイミド、アクリル、SiO2などを利用して形成されている。本実施形態の説明においてサイプを中空に形成しているが、劣化因子の伝達の遅くなる材料、たとえばITOなどを充填しても構わない。
【0020】
基板101上には、絶縁膜103の外側を囲むようにして、封止部材(図2の206)と基板101とを接着する接着剤(図2の207)が塗布される接着領域105が確保されている。図1中では図示を省略するが、封止部材は基板101に対向配置され、当該基板101との間に自発光素子102を外気から遮断する封止領域(図2の208)を形成する。
【0021】
図1中、a、b、c、dは、それぞれ、自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子102から接着領域105までの距離を示している。また、図1中、符号I、II、III、IV、V、i、ii、iii、ivは、自発光素子102の配列面内における各自発光素子102の位置を示すために便宜上付した符号である。図1中、符号S1、S2、S3、S4も同様に、自発光素子102の配列面内における各サイプ104の位置を示すために便宜上付した符号である。
【0022】
図2は、自発光パネル100を示す縦断側面図である。図2には、図1に示す自発光パネル100をA−A線に沿って切断し、側方から見た状態が示されている。図2に示すように、自発光パネル100においては、基板101の一面側に、複数の自発光素子102が設けられている。上述したように自発光素子102としての有機EL素子の構成は限定されるものではないが、図2においては、ドレイン電極202を備える薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと略す)203と下部電極201、有機層204、および上部電極205を備える有機EL素子が、自発光素子102として示されている。ドレイン電極202と下部電極201が直接または他の導電材料を介して接続されており、TFT203により自発光素子102のON/OFFを制御している。
【0023】
本実施の形態において、上部電極205は、すべての自発光素子102に対して共通であり、すべての自発光素子102を覆う単一の電極層として設けられている。下部電極201と上部電極205とによって電極対が実現されている。図示しないが、上部電極205を隔壁などで区切って分割させた構成を有していても構わない。
【0024】
下部電極201は、電源における陽極側に接続されて、対応する有機層204に対して正の電圧を印加し、逆に上部電極205はアースに接続されている。TFT203のドレイン電極202から接続した下部電極201を介して自発光素子102に対して電流が供給される。
【0025】
本実施の形態の自発光パネル100では、自発光素子102をアクティブ駆動するための駆動素子としての一例を示しているが、TFT203の数や回路構成、定電圧駆動や定電流駆動などの駆動方法は、自発光パネル100の利用形態によって各自設計選択可能である。なお、公知の技術であるため、TFT203の構成などの詳細についての説明は省略する。
【0026】
有機EL素子は、たとえば、有機層204を下部電極201と上部電極205の間に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの各有機層を積層することによって実現される。有機層は、単層でもよく、用いる材料は高分子材料でも低分子材料でも構わない。
【0027】
また、高分子材料中に低分子材料や無機材料を分散させて形成しても構わない。発光層を形成する発光材料としては、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)を利用する蛍光材料や三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(りん光)を利用するりん光材料などを自発光パネル100の利用形態によって各自設計選択可能である。なお、公知技術であるため、有機EL素子の構成などの詳細についての説明は省略する。
【0028】
封止部材206は、基板101における自発光素子102が設けられている側に設けられている。封止部材206は、一方が開口された容器形状を有しており、すべての自発光素子102を覆うように設けられている。封止部材206は、接着剤207を介して基板101に接着されている。基板101と封止部材206と接着剤207とによって封止領域208が形成されている。封止部材206には、自発光素子102に対向する位置に、乾燥剤209が設けられている。
【0029】
サイプ104は、自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子102aの外側に設けられている。本実施の形態におけるサイプ104は、基板101と封止部材206との対向方向(図2中矢印X方向)において、当該対向方向に沿って絶縁膜103を貫通するように設けられている。
【0030】
サイプ104は、単一のサイプ104に限るものではなく、自発光素子102の配列面内で外側へ向かう方向に沿って複数設けられていてもよい。この場合、サイプ104の数は、いくつでもよい。ただし、サイプ104の数が増えるほど絶縁膜103の基板に対する接着力が低下することが考えられるため、最も外側の絶縁膜103の基板101に対する接着力が、要求される接着力を満足する程度とするのが望ましい。
【0031】
ところで、図1からも分かるように、自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子(図2における102a)としては複数が該当する。このため、自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子102aであっても、自発光素子102の配列パターンによっては、接着領域105に対する距離が異なることがある。特に図示を省略するが、このような場合、サイプ104は、基板101と封止部材206との接着位置、すなわち、接着領域105に対する距離が自発光素子102の配列面内で最も短い位置に設けられた自発光素子102aより外側に設けるようにしてもよい。
【0032】
たとえば、図1に示すような接着領域105に対する距離a、b、c、dの関係がa<b<c<dであった場合、Iで示す列に配列された自発光素子102が、接着領域105に対する距離が自発光素子102の配列面内で最も短い位置に設けられた自発光素子102aとなり、符号S1で示されるサイプ104を設ける。
【0033】
また、自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子102aのうち、接着領域105に対する距離が、所定距離よりも短い位置に設けられた自発光素子102aより外側にサイプ104を設けるようにしてもよい。この所定距離は、劣化因子による影響を受け易い距離を、実験などによって予め把握しておくことで適宜設定することができる。
【0034】
たとえば、所定距離rに対し、図1に示すような接着領域105に対する距離a、b、c、dの関係がa<b<c<r<dであった場合、I、i、ivで示す列に配列された自発光素子102が、接着領域105に対する距離が所定距離よりも短い位置に設けられた自発光素子102aとなり、符号S1、S2、S4で示されるサイプ104を設ける。
【0035】
図3は、別の実施の形態における自発光パネルを示す縦断側面図である。図3に示す自発光パネル300では、絶縁膜103に設けられたサイプ301の形状が、上述した図1および図2に示す自発光パネル100とは異なる。図3に示す自発光パネル300におけるサイプ301は、基板101と封止部材206との対向方向において、絶縁膜103を途中まで分離するように設けられている。なお、別の実施の形態における自発光パネル300においては、図1および図2に示す自発光パネル100と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。以下、同様とする。
【0036】
図4は、別の実施の形態における自発光パネルを示す縦断側面図である。図4に示す自発光パネル400では、基板101と封止部材206との対向方向において、当該対向方向に沿って絶縁膜103を貫通するように設けられた第1のサイプ401と、絶縁膜103を途中まで分離するように設けられた第2のサイプ402と、の2種類のサイプが設けられている。第2のサイプ402は、第1のサイプ401よりも、自発光素子102の配列面内で外側へ向かう方向に沿って外側に設けられている。
【0037】
図5は、別の実施の形態における自発光パネルを示す縦断側面図である。図5に示す自発光パネル500では、基板101と封止部材206との対向方向において、絶縁膜103を途中まで分離するように設けられた第1のサイプ501と、当該対向方向に沿って絶縁膜103を貫通するように設けられた第2のサイプ502と、の2種類のサイプが設けられている。第2のサイプ502は、第1のサイプ501よりも、自発光素子102の配列面内で外側へ向かう方向に沿って外側に設けられている。
【0038】
なお、自発光素子102の配列面内で外側へ向かう方向に沿って複数のサイプ(たとえば、第1のサイプ401と第2のサイプ402、あるいは、第1のサイプ501と第2のサイプ502)を設ける場合、すべてのサイプの形状が同じであってもよいし、各サイプの形状がそれぞれ異なっていてもよい。自発光素子102の配列面内で外側へ向かう方向に沿って複数のサイプを設ける場合、少なくとも一つのサイプは、基板101と封止部材206との対向方向において、当該対向方向に沿って絶縁膜103を貫通していることが好ましい。
【0039】
モニタ素子は、自発光素子102の駆動に関わるパラメータを取得するために用いられることがあるために、モニタ素子が劣化すると自発光パネルの表示不良を起こしてしまう。本実施の形態における自発光パネル100、300、400、500において、モニタ素子の劣化を防ぐことによって、自発光パネル100、300、400、500の表示品質の劣化を防ぐことが可能になる。
【0040】
(自発光パネルの製造方法1)
つぎに、本実施の形態における自発光パネル100(自発光パネル300、自発光パネル400あるいは自発光パネル500でもよい)の製造方法1を用いたパッシブ駆動型の自発光パネル100の製造プロセスの一例について説明する。自発光パネル100の製造プロセスは、前処理工程と、蒸着装置(図10を参照)を用いた成膜工程と、封止部材206を用いた封止工程とからなる。前処理工程は、電極材料成膜工程、金属導電膜のパターニング工程、透明導電膜のパターニング工程および絶縁膜形成工程を含んでいる(図6〜図9参照)。
【0041】
図6は、電極材料成膜工程を示す縦断側面図である。図6には、透明導電膜や金属導電膜などの電極材料を成膜する工程が示されている。電極材料成膜工程においては、まず、バッファ層601、透明導電膜602、金属導電膜603の順に膜が形成された基板101を用意する。一般的に、基板101には、ガラスまたはプラスチックを用いる。一般的に、バッファ層601には、SiO2二酸化珪素)、TiO2(酸化チタン)などを用いる。一般的に、透明導電膜602には、ITO(インジウム−スズ酸化物)、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)などを用いる。一般的に、金属導電膜603には、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、Ag(銀)などを用いる。これら、バッファ層601、透明導電膜602、金属導電膜603は、スパッタ、蒸着、スピンコート、ディップコート、塗布などの方法で成膜する。
【0042】
最も好適な例としては、基板101にはガラスを用い、透明導電膜602にはITOを用い、金属導電膜603にはAlを用いての形成例が挙げられる。また、バッファ層601は、基板101にアルカリ成分を有するガラスを用いた時、ガラスに不純元素(アルカリ金属、Ca、Naなど)が含有されている場合に、その不純元素の浸透を遮断するために用いる。
【0043】
図7−1は、金属導電膜のパターニング工程を示す上面図である。図7−2は、金属導電膜のパターニング工程を示す縦断側面図である。図7−2には、図7−1におけるB−B線に沿って切断し、側方から見た状態が示されている。電極材料成膜工程において基板101上に形成されたバッファ層601、透明導電膜602、金属導電膜603のうち、最上面の金属導電膜603に、フォトリソグラフィー法により下部電極および上部電極の引出配線をパターニングし、引出配線パターンの金属導電膜部分703を形成する。
【0044】
図7−1には、引出配線パターンの金属導電膜部分703のパターニング後の基板101を上面から見た状態が示されている。図7−1および図7−2に示すように、基板101の最上面の金属導電膜603が除かれた部分は透明導電膜602が露出されている状態となっている。
【0045】
図8−1は、透明導電膜のパターニング工程を示す上面図である。図8−2は、透明導電膜のパターニング工程を示す縦断側面図である。図8−2には、図8−1におけるC−C線に沿って切断し、側方から見た状態が示されている。第3工程では、第2工程において基板101上に露出された透明導電膜602にパターニングを施す。パターニングにより、透明導電膜602の露出部分は、図8−1に示す網掛け部分801(下部電極形成部分)と引出配線パターンの透明導電膜部分802(引出配線パターンの金属導電膜部分703の透明導電膜602)以外すべて除かれる。図8−1および図8−2には、パターニング後の基板101の状態が示されている。
【0046】
下部電極201は網掛け部分801で形成され、引出配線803は引出配線パターンの金属導電膜部分703と引出配線パターンの透明導電膜部分802とで形成される。このとき網掛け部分801における下部電極201となる部分の表面を研磨して、下部電極201の表面を平滑化させてもよい。また、下部電極201の形成に用いたエッチャント(エッチング液)の濃度を低くしたものを用いて下部電極201の表面を化学エッチングして、下部電極201の表面を平滑化させてもよい。
【0047】
図9−1は、絶縁膜形成工程を示す上面図である。図9−2は、絶縁膜形成工程を示す縦断側面図である。図9−1には、基板101のパターニング後の上面から見た状態が示されている。図9−2には、図9−1におけるD−D線に沿って切断し、側方から見た状態が示されている。絶縁膜形成工程では、下部電極201のライン間に、感光性ポリイミドなどの絶縁膜を、フォトリソグラフィー法を用いてパターニング形成を行う。この絶縁膜形成工程により、電極対における少なくとも一方の電極(本実施の形態では下部電極201)および発光層(本実施の形態では、有機層204に含まれる)を、自発光素子102毎に絶縁する絶縁膜が形成される。フォトリソグラフィー法を用いたパターニング形成については、公知の技術であるため説明を省略する。
【0048】
図9−1および図9−2に示すように、透明導電膜パターニング工程でパターニングを施された下部電極201の間に絶縁膜103が形成される。絶縁膜103の形成後には、上部電極205をパターニングするための上部電極隔壁901(上部電極セパレータ)を形成してもよい。上部電極205は、たとえば、上部電極隔壁901を用いずに後述する蒸着装置(図10を参照)による成膜時に、成膜用マスク(図10を参照)を用いてパターニングしてもよい。絶縁膜103を成膜した後には、基板101の表面の有機物や水分を取り除くためにUV(紫外線)洗浄工程を施す。以上述べた第1工程〜第4工程は、有機EL素子の製造プロセスの前処理工程である。
【0049】
つづいて、絶縁膜形成工程によって形成された絶縁膜103に対してサイプ104を形成する。ここに、サイプ形成工程が実現される。このサイプ形成工程によって、基板101上における自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子102aより外側に、絶縁膜103の厚さ方向に沿って当該絶縁膜103を分離するサイプ104が形成される。
【0050】
サイプ形成工程においては、たとえば、ロータリーカッターなどの刃物によって絶縁膜103を切断することによってサイプ104を形成してもよいし、レーザー光によって絶縁膜103を切断することによってサイプ104を形成してもよい。サイプ形成工程において、たとえば、刃物によってサイプ104を形成する場合、基板101と封止部材206との対向方向に沿って絶縁膜103を完全に分離するサイプ104を形成する際には、刃先が基板に到達するまで絶縁膜を切断する。
【0051】
サイプ形成工程において、たとえば、刃物によってサイプを形成する場合であって、図3に示したような、基板101と封止部材206との対向方向に沿って絶縁膜103を途中まで分離するサイプ301を形成する際には、刃先が基板に到達する手前まで絶縁膜103を切断する。
【0052】
サイプ形成工程において、たとえば、図4あるいは図5に示したような、自発光素子102の配列面内で外側へ向かう方向に沿って複数のサイプ(たとえば、第1のサイプ401と第2のサイプ402、あるいは、第1のサイプ501と第2のサイプ502)を形成する場合には、同様の作業を複数回繰り返す。また、サイプ形成工程において、基板と封止部材との対向方向に沿った深さが、それぞれ異なる複数のサイプ(たとえば、第1のサイプ401と第2のサイプ402、あるいは、第1のサイプ501と第2のサイプ502)を形成する場合には、形成するサイプの形状に応じて、同様の作業を複数回繰り返す。
【0053】
また、サイプ104は、たとえば、フォトリソグラフィー法を用いた絶縁膜103のパターニング形成において、基板101上に塗布した感光剤(フォトレジスト)を露光する際に用いる遮光材(マスク)のパターンを調整することによって、絶縁膜103の形成と同時に形成するようにしてもよい。この場合、絶縁膜形成工程と同時にサイプ形成工程が実現される。
【0054】
図6〜図9を利用して前処理工程が終了後、図10で説明する蒸着装置を用いて成膜工程を施す。図10は、成膜工程に用いる蒸着装置を示す図である。蒸着装置1000は、バルブ1001が接続されたチャンバ(成膜室)1002からなる。チャンバ1002内には、加熱手段1003と、マグネットユニット1004と、成膜用マスク1005と、成膜モニタ1006と、が設けられている。上述した第1工程〜第4工程により形成された基板101は、蒸着装置1000に搬送され、真空で維持されるチャンバ(成膜室)1002内の成膜用マスク1005の上部に安着される。
【0055】
基板101と成膜用マスク1005とは、マグネットユニット1004によって密着される。成膜に際しては、加熱手段1003に蒸着源1007が配置され、蒸着源1007の上部に図示しないマスクフレームに支持された成膜用マスク1005が設置された状態となる。
【0056】
そして、加熱手段1003によって蒸着源1007を加熱し、成膜材料1008を昇華または蒸発させることで気体状とし、気体状とされた成膜材料1008を基板101に有機層204または上部電極205として蒸着させる。このような蒸着装置1000を利用して、有機層204または上部電極205を成膜する成膜工程は、有機EL素子に使われうる有機材料または電極材料であれば、いずれも適用できる。
【0057】
上述したように、有機層204は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成される。有機層204の成膜に際して使用される有機材料は、CuPc、NPB、Alq3をはじめとして、多用に適用可能である。有機層204は、複数の発光色を呈する自発光パネルに有機EL素子を自発光素子102として用いる場合、有機層204を各画素のカラーに対応させた、多様なパターンに形成することが可能である。また、有機層204の成膜に際しては、正孔輸送層や電子輸送層などを、発光色に対応した膜厚にして成膜を行っても構わない。以上説明した前処理工程および成膜工程によって、基板101上に、複数の自発光素子102が形成される。
【0058】
つづいて、図10に示す蒸着装置1000を用いた成膜工程を経た後の基板101を、真空雰囲気化からN2の不活性ガス雰囲気化に施した封止室(図示省略)に搬入する。基板101を封止室に搬入する前に、形成した自発光素子102が所望の発光輝度を有するか否かを検査する発光検査を行ってもよい。
【0059】
図10に示す蒸着装置1000を利用した成膜工程が終了後、封止工程を施す(図示しない)。上述した自発光素子102の形成とは別に、ブラスト処理によって表面に凹部を設けた封止部材206を作成しておく。この封止部材206には、凹部内にSrO、CaO、BaOなどの乾燥剤209を設置しておく。基板101を封止室に搬入する際には、この封止部材206も併せて封止室に搬入する。このとき、粉末状の材料を保護シートによって封止部材206内に固定した形状の乾燥剤209であっても、シート状に加工した乾燥剤209であっても、液状の乾燥材料を封止部材206内に塗布形成した後に硬化させることによって固着させた乾燥剤209を用いても構わない。
【0060】
ついで、基板101上の封止部材206のフランジ部に該当する場所に、接着剤207を塗布する。接着剤207としては、たとえば、紫外線硬化型エポキシ樹脂製の接着剤を用いることができる。接着剤207の塗布に際しては、たとえば、ディスペンサーなどを使用して塗布してもよい。
【0061】
接着剤207を塗布した基板101と、封止部材206と、を接着剤207を介して接合させる。その後、基板101側から接着剤207に向けて紫外線を照射する。これにより、接着剤が硬化し、基板101と封止部材206とが接着剤207を介して接着される。本実施の形態では、ここに、封止工程が実現される。この封止工程によって、基板101との間に自発光素子102を外気から遮断する封止領域208が形成される。
【0062】
封止工程においては、接着剤207を介して、封止部材206と基板101との間に隙間ができないようにして、封止部材206を基板101に接着する。このように、基板101と封止部材206とを、接着剤207を用いて接着することにより、封止領域208を完全に外気から遮断することができる。この結果、上述したような自発光パネル101(有機ELパネル)を得ることができる。封止工程は、本実施の形態において説明した気密封止だけではなく、固体封止や膜封止などの封止方法を用いて封止領域208を封止してもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態における自発光パネル100によれば、自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子102aより外側に設けられて、基板101と封止部材206との対向方向に沿って絶縁膜103を分離するサイプ104を備えるため、外気に含まれる水分などの劣化因子が接着剤207中を伝わって封止領域208内に入り込んだ場合にも、この劣化因子が絶縁膜103中を伝わることをサイプ104によって阻害することができる。
【0064】
また、本実施の形態における自発光パネル100によれば、サイプ104を、基板101と封止部材206との対向方向に沿って絶縁膜103を完全に分離する形状とすることにより、劣化因子が絶縁膜103中を伝わることをサイプ104によって適切に遮断することができる。
【0065】
本実施の形態における自発光パネル100によれば、サイプ104を、基板101と封止部材206との対向方向に沿って絶縁膜103を途中まで分離する形状とすることにより、基板101に対する絶縁膜103の接着面積を低下させることなく、劣化因子が絶縁膜103中を伝わる領域を狭めて、劣化因子が絶縁膜103中を伝わることをサイプ104によって阻害することができる。
【0066】
また、本実施の形態における自発光パネル100において、自発光素子100の配列面内で外側へ向かう方向に沿って複数のサイプ104を設けた場合には、劣化因子が絶縁膜103中を伝わることを複数のサイプ104によってより効果的に阻害することができる。
【0067】
ここで、たとえば、自発光パネル400あるいは500に示すように、基板101と封止部材206との対向方向に沿った深さが、それぞれ異なるように複数のサイプ(たとえば、第1のサイプ401と第2のサイプ402、あるいは、第1のサイプ501と第2のサイプ502)を設けた場合には、各形状のサイプが有する複数の効果を発揮させ、劣化因子が絶縁膜103中を伝わることをより効果的に阻害することができる。
【0068】
また、たとえば、接着領域105に対する距離が、自発光素子102の配列面内で最も短い位置に設けられた自発光素子102aより外側にサイプ104を設けた自発光パネルとした場合には、劣化因子による影響を最も受け易い自発光素子102の劣化を効果的に防止することができる。
【0069】
他に、たとえば、自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子102aのうち、接着領域105に対する距離が、所定距離よりも短い位置に設けられた自発光素子102aより外側にサイプ104を設けた自発光パネルとした場合には、劣化因子による影響を受け易い自発光素子102の劣化を効果的に防止することができる。
【0070】
本実施の形態における自発光パネル100によれば、有機EL素子によって自発光素子102を実現することにより、外気中に含まれる水分などの影響を受け易い、有機EL素子を用いた自発光パネル100の性能低下を防止することができる。
【0071】
また、本実施の形態における自発光パネル100の製造方法によれば、絶縁膜形成工程によって形成された絶縁膜103のうち、自発光素子102の配列面内で最も外側に位置する自発光素子102aより外側に、絶縁膜103の厚さ方向に沿って当該絶縁膜103を分離するサイプ104を形成するサイプ形成工程を含んでいるので、従来の自発光素子(図12参照)の製造方法と比較して著しい工程変更を行うことなく、上述のサイプ104を有する自発光パネル100を形成することができる。
【0072】
本実施の形態における自発光パネルの製造方法によれば、基板101と封止部材206との対向方向に沿って絶縁膜103を完全に分離するサイプ(たとえば、サイプ104、第1のサイプ401、第2のサイプ502)であっても、基板101と封止部材206との対向方向に沿って絶縁膜103を途中まで分離するサイプ(たとえば、サイプ301、第2のサイプ402、第1のサイプ501)であっても、基板101と封止部材206との対向方向に沿ったサイプの深さを調整するだけでよいので、形成するサイプの形状によってサイプ形成工程の内容を大幅に変更することなく、上述のサイプを有する自発光パネル形成することができる。
【0073】
同様に、本実施の形態における自発光パネルの製造方法によれば、サイプ形成工程において複数のサイプ(たとえば、第1のサイプ401と第2のサイプ402、あるいは、第1のサイプ501と第2のサイプ502)を形成する場合にも、形成するサイプの数によってサイプ形成工程の内容を大幅に変更することなく、上述のサイプを有する自発光パネル形成することができる。
【0074】
上記の点を鑑みれば、本実施の形態における自発光パネルの製造方法によれば、サイプ形成工程において、基板101と封止部材206との対向方向に沿った深さが、それぞれ異なる複数のサイプ(たとえば、第1のサイプ401と第2のサイプ402、あるいは、第1のサイプ501と第2のサイプ502)を形成する場合にも、形成するサイプの形状や数によってサイプ形成工程の内容を大幅に変更することなく、上述のサイプを有する自発光パネル形成することができる。
【0075】
本実施の形態における自発光パネルの製造方法によれば、サイプ形成工程において、基板101と封止部材206との接着位置(すなわち、接着領域105)に対する距離が最も短い位置に設けられた自発光素子102aより外側にサイプ104を形成する場合にも、基板101と封止部材206との接着位置(すなわち、接着領域105)に対する距離が、所定距離よりも短い位置に設けられた自発光素子102aより外側にサイプ104を形成する場合にも、サイプを形成する位置によってサイプ形成工程の内容を大幅に変更することなく、上述のサイプを有する自発光パネル形成することができる。
【0076】
図11−1は、別の実施の形態における自発光パネルを示す縦断側面図である。図11−1には、アクティブ駆動型の自発光パネルの一例が示されている。本実施の形態では、パッシブ駆動型の自発光パネル100(自発光パネル300、自発光パネル400あるいは自発光パネル500)に限るものではなく、アクティブ駆動型の自発光パネル1100であってもよい。
【0077】
アクティブ駆動型の自発光パネル1100は、ゲート絶縁膜1101、ゲート電極1102、ドレイン電極1103、ソース電極1104、層間絶縁層1105により形成されたTFT1110を備えている。TFT1110は、基板1120上に設置されている。ドレイン電極1102と下部電極1130とは、コンタクトホール1140を通して電気的に接続されている。下部電極1130上には、有機層1150、上部電極1160が順次積層され、自発光素子(有機EL素子)1170が設けられている。
【0078】
有機EL素子1170は、基板1120上において、単数もしくは複数形成されている。自発光パネル1100においては、絶縁膜1180によって自発光素子1170の各画素(発光)領域が形成されている。上述したように、自発光素子1170の配列面内で最も外側に位置する自発光素子(有機EL素子)1170aの外側に位置する絶縁膜1180には、サイプ1190が形成されている。
【0079】
(自発光パネルの製造方法2)
つぎに、本実施の形態における自発光パネル1100の製造方法2を用いたアクティブ駆動型の自発光パネル1100の製造プロセスの一例について説明する。自発光パネル1100の製造プロセスは、前処理工程と、成膜工程と、封止部材206を用いた封止工程とからなる。自発光パネルの製造方法2における成膜工程および封止工程は、上述した自発光パネルの製造方法1と同様の工程であるため、ここでは前処理工程のみについて説明する。自発光パネル1100の製造プロセスにおける前処理工程は、TFT形成工程、下部電極形成工程および絶縁膜形成工程を含んでいる。
【0080】
図11−2は、TFT形成工程を示す縦断側面図である。TFT形成工程では、まず、基板1120上にレーザアニールによりp−Si膜を成膜する。成膜したp−Si膜を、紫外光のエキシマレーザでパターニングし、その後、CVD法によって窒化シリコンなどを設けることで、ゲート絶縁膜1101を成膜する。
【0081】
ついで、CVD法により成膜したポリシリコン膜と、スパッタ法やCVD法により成膜した金属シリサイド膜と、を積層してなるポリサイド構造の材料膜を、エッチングによってパターニングする。エッチングに際しては、リソグラフィー法によって形成したレジストパターンをマスクする。これにより、ゲート電極1102が形成される。
【0082】
ゲート電極1102を形成した後、イオンドーピング法によってゲート電極1102に対して不純物を注入する。これにより、ドレイン電極1103、ソース電極1104が形成される。
【0083】
図11−3は、下部電極形成工程を示す縦断側面図である。下部電極形成工程においては、ゲート電極1102、ドレイン電極1103、ソース電極1104を覆う状態で、層間絶縁層1105を、基板1120の上方に形成する。層間絶縁層1105には、たとえば、酸化シリコンなどの酸化シリコン系材料を用いる。
【0084】
その後、ソース電極1104とデータ線1106とのコンタクトホール1107とドレイン電極1103と下部電極1130とのコンタクトホール1140を露光・現像を行い形成する。以上のようにして、コンタクトホール1107、1140を形成した後、Alなどでデータ線1106、ITOなどで下部電極1130をスパッタリングなどでパターニング形成する。
【0085】
図11−4に、絶縁膜形成工程を示す縦断側面図である。絶縁膜形成工程においては、スピンコートを用いて、ポリイミドなどを成膜することによって、下部電極20上に絶縁膜を形成する。その後、フォトリソ法を利用して、有機EL素子1170形成部分を開口させるようにパターニングする。このとき、最も外側に位置する有機EL素子1170a(図11−1参照)に接する絶縁膜1180の外側に、フォトリソグラフィー法を利用してサイプ1190を形成する。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態における自発光パネル1100の製造方法によれば、絶縁膜形成工程による絶縁膜1180の形成に際して、絶縁膜1180の形成(パターニング)と同時にサイプ1190を形成することができる。これによって、サイプ1190を有する自発光パネル1100であっても、工程数を増やすことなく製造することができる。
【0087】
また、本実施の形態における自発光パネル1100の製造方法によれば、上述した各種の自発光パネル100,300,400,500が奏する各種効果に加えて、サイプ1190を形成に際しての工程の簡易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本実施の形態における自発光パネルを示す平面図である。
【図2】自発光パネルを示す縦断側面図である。
【図3】別の実施の形態における自発光パネルを示す縦断側面図である。
【図4】別の実施の形態における自発光パネルを示す縦断側面図である。
【図5】別の実施の形態における自発光パネルを示す縦断側面図である。
【図6】電極材料成膜工程を示す縦断側面図である。
【図7−1】金属導電膜のパターニング工程を示す上面図である。
【図7−2】金属導電膜のパターニング工程を示す縦断側面図である。
【図8−1】透明導電膜のパターニング工程を示す上面図である。
【図8−2】透明導電膜のパターニング工程を示す縦断側面図である。
【図9−1】絶縁膜形成工程を示す上面図である。
【図9−2】絶縁膜形成工程を示す縦断側面図である。
【図10】成膜工程に用いる蒸着装置を示す図である。
【図11−1】別の実施の形態における自発光パネルを示す縦断側面図である。
【図11−2】TFT形成工程を示す縦断側面図である。
【図11−3】下部電極形成工程を示す縦断側面図である。
【図11−4】絶縁膜形成工程を示す縦断側面図である。
【図12】従来の自発光パネルの一例を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0089】
100 自発光パネル
101 基板
102 自発光素子
102a 自発光素子
103 絶縁膜
104 サイプ
206 封止部材
208 封止領域
300 自発光パネル
301 サイプ
400 自発光パネル
401 サイプ(第1のサイプ)
402 サイプ(第2のサイプ)
500 自発光パネル
501 サイプ(第1のサイプ)
502 サイプ(第2のサイプ)
1170 自発光素子
1170a 自発光素子
1180 絶縁膜
1190 サイプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極対の間に発光層を有する複数の自発光素子が設けられた基板と、
前記基板に設けられて、前記電極対における少なくとも一方の電極および前記発光層を前記自発光素子毎に絶縁する絶縁膜と、
前記基板に対向配置され、当該基板との間に前記自発光素子を外気から遮断する封止領域を形成する封止部材と、
前記自発光素子の配列面内で最も外側に位置する自発光素子より外側に設けられて、前記基板と前記封止部材との対向方向に沿って前記絶縁膜を分離するサイプと、
を備えることを特徴とする自発光パネル。
【請求項2】
前記サイプは、前記基板と前記封止部材との対向方向に沿って前記絶縁膜を完全に分離するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自発光パネル。
【請求項3】
前記サイプは、前記基板と前記封止部材との対向方向に沿って前記絶縁膜を途中まで分離するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自発光パネル。
【請求項4】
前記サイプは、前記自発光素子の配列面内で外側へ向かう方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自発光パネル。
【請求項5】
前記サイプは、前記基板と前記封止部材との対向方向に沿った深さが、それぞれ異なっていることを特徴とする請求項4に記載の自発光パネル。
【請求項6】
前記サイプは、前記基板と前記封止部材との接着位置に対する距離が前記自発光素子の配列面内で最も短い位置に設けられた前記自発光素子より外側に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の自発光パネル。
【請求項7】
前記サイプは、前記基板と前記封止部材との接着位置に対する距離が、所定距離よりも短い位置に設けられた前記自発光素子より外側に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の自発光パネル。
【請求項8】
前記自発光素子の配列面内で最も外側に位置する自発光素子は、モニタ用の自発光素子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の自発光パネル。
【請求項9】
前記自発光素子は、有機EL素子であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の自発光パネル。
【請求項10】
電極対の間に発光層を有する複数の自発光素子を基板上に形成する自発光素子形成工程と、
前記自発光素子形成工程に際して、前記電極対における少なくとも一方の電極および前記発光層を前記自発光素子毎に絶縁する絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
前記絶縁膜形成工程によって形成された絶縁膜のうち、前記自発光素子の配列面内で最も外側に位置する自発光素子より外側に、前記絶縁膜の厚さ方向に沿って当該絶縁膜を分離するサイプを形成するサイプ形成工程と、
前記基板との間に前記自発光素子を外気から遮断する封止領域を形成する封止部材を前記基板に対向配置する封止領域形成工程と、
を含んだことを特徴とする自発光パネルの製造方法。
【請求項11】
前記サイプ形成工程は、前記基板と前記封止部材との対向方向に沿って前記絶縁膜を完全に分離するサイプを形成することを特徴とする請求項10に記載の自発光パネルの製造方法。
【請求項12】
前記サイプ形成工程は、前記基板と前記封止部材との対向方向に沿って前記絶縁膜を途中まで分離するサイプを形成することを特徴とする請求項10に記載の自発光パネルの製造方法。
【請求項13】
前記サイプ形成工程は、前記自発光素子の配列面内で外側へ向かう方向に沿って複数のサイプを形成することを特徴とする請求項10〜12のいずれか一つに記載の自発光パネルの製造方法。
【請求項14】
前記サイプ形成工程は、前記基板と前記封止部材との対向方向に沿った深さが、それぞれ異なる複数のサイプを形成することを特徴とする請求項13に記載の自発光パネルの製造方法。
【請求項15】
前記サイプ形成工程は、前記基板と前記封止部材との接着位置に対する距離が最も短い位置に設けられた前記自発光素子より外側にサイプを形成することを特徴とする請求項10〜14のいずれか一つに記載の自発光パネルの製造方法。
【請求項16】
前記サイプ形成工程は、前記基板と前記封止部材との接着位置に対する距離が、所定距離よりも短い位置に設けられた前記自発光素子より外側にサイプを形成することを特徴とする請求項10〜15のいずれか一つに記載の自発光パネルの製造方法。
【請求項17】
前記自発光素子の配列面内で最も外側に位置する自発光素子は、モニタ用の自発光素子であることを特徴とする請求項10〜16のいずれか一つに記載の自発光パネルの製造方法。
【請求項18】
前記自発光素子は、有機EL素子であることを特徴とする請求項10〜17のいずれか一つに記載の自発光パネルの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−244933(P2006−244933A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61646(P2005−61646)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000221926)東北パイオニア株式会社 (474)
【Fターム(参考)】