自発光表示装置、発光条件制御装置、発光条件制御方法及びプログラム
【課題】表示パネルに流れる過電流を効果的に抑制できる適当な技術が存在しない。
【解決手段】表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変制御する発光条件制御装置に、(a)1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する平均階調値算出部と、(b)前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する階調変化検出部と、(c)階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する発光条件制御部と、(d)発光条件制御部による制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延するフレーム遅延部とを搭載する。
【解決手段】表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変制御する発光条件制御装置に、(a)1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する平均階調値算出部と、(b)前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する階調変化検出部と、(c)階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する発光条件制御部と、(d)発光条件制御部による制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延するフレーム遅延部とを搭載する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書で説明する発明は、画面の切り替わりに伴う過電流現象(過渡的に電流が急変する現象)を抑制する技術に関する。
なお、発明者らが提案する発明は、自発光表示装置、発光条件制御装置、発光条件制御方法及びプログラムとしての側面を有する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイは、広視野角特性、応答速度、広色再現性範囲、高コントラスト性能に優れるだけでなく、表示パネル自体を薄く形成することができる。これらの利点のため、有機ELディスプレイは、次世代フラットパネルディスプレイの最有力候補として注目されている。
その一方で、有機ELディスプレイをテレビジョン番組の視聴に用いるには、製品寿命の更なる延長が必要である。
【0003】
この要求の実現に必要とされる技術的課題の一つに、場面の切り替わりに伴う過電流現象の抑制がある。
この過電流現象は、画面全体が明るいときに流れる大電流と、画面全体が暗いときや画面の一部のみが明るいときに流れる小電流との電流差によって発生する。
【0004】
すなわち、過電流現象は、画面全体が明るい画面から暗い画面に急に切り替わる時、又はその反対に暗い画面から明るい画面に急に切り替わる時に生じる。なお、過電流は、有機ELパネルの電源に急激な負荷を与える。従って、表示パネルの安定駆動には、電源に急激な負荷が極力加えられないような制御が必要となる。
しかし、発明者らの知る限りにおいて、自発光素子をマトリクス状に配置したフラットパネルの駆動技術に関し、過電流の抑制を実現する技術は提案されていない。
【0005】
参考までに、ピーク輝度の制御に関する既存の技術例を列記する。
例えば特許文献1には、複数のサブフレームについて求めた平均輝度により1つの画素の輝度を決定する技術が開示されている。
また例えば、特許文献2には、1フレームの発光期間を複数のサブフレーム期間に分割し、サブフレーム単位で発光輝度を制御する方法が開示されている。
また例えば、特許文献3には、複数の発光素子に流れる合計電流値に応じて各発光素子に流れる電流を制限する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−015605号公報
【特許文献2】特開2001−343941号公報
【特許文献3】特開2002−132218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3はいずれもピーク輝度の制御に用いることができるものの、ピーク輝度と制御する電流との位相関係やタイミング等は記載されていない。このため、画面の切り替わりに伴う過電流を効果的に抑制することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、発明者らは、画面の切り替わりに伴う過電流現象を効果的に抑制できる技術手法を提案する。
すなわち、1フレーム毎に映像信号の平均階調値を算出する処理機能と、前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する処理機能と、階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する処理機能と、発光条件の制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延する処理機能とを実行する手法を提案する。
【発明の効果】
【0008】
発明者らの提案する発明では、画面の切り替わりの検出から所定期間内における表示パネルのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように制御される。この結果、本来であれば過電流が流れ得る輝度変化を伴う画面の切り替わり時にも、その電流変化が緩やかになるように変更できる。この結果、過電流現象を効果的に抑制し、表示パネルの安定した電流駆動を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、発明に係る処理機能を搭載した有機ELパネルモジュールを例に、自発光表示装置を説明する。
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。
また以下に説明する形態例は、発明の一つの形態例であって、これらに限定されるものではない。
【0010】
(A)ピーク輝度の調整
表示パネルのピーク輝度は、最大データの入力時に表示素子に印加される出力電圧(出力電流)又は発光時間長を制御することにより調整することができる。
図1(A)に出力電圧と発光輝度との関係を、図1(B)に発光時間と発光輝度との関係を示す。なお、図1(B)は、発光時間と発光輝度との間に線形関係が成立する場合について表している。
【0011】
ここで、表示パネルのピーク輝度は、最大データの入力時に表示素子に印加される最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax )と発光時間の積Sで与えられる。
従って、発光時間又は最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax )を個別に可変制御すれば、階調情報を保持した状態のまま表示パネルのピーク輝度を可変制御することができる。
【0012】
(B)有機ELパネルの構造例
続いて、ピーク輝度の可変制御を可能とする有機ELパネルモジュールの構造例を説明する。
図2に、有機ELパネルモジュール1の構造例を示す。有機ELパネルモジュール1は、発光領域3A(有機EL素子がマトリクス状に配列された領域)と、画像の表示を制御するパネル駆動回路とで構成される。
パネル駆動回路は、データドライバ5、最大出力電圧制御用ドライバ7A、ゲートスキャンドライバ7B、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cで構成される。なお、パネル駆動回路は、発光領域3Aの周辺部に形成する。
【0013】
各画素に対応する有機EL素子3Bとその駆動回路(画素駆動回路)3Cは、データ線3Dと走査線3Eの交点位置に配置されている。画素駆動回路3Cは、データスイッチ素子T1、キャパシタC1、電流駆動素子T2、点灯スイッチ素子T3で構成される。
このうち、データスイッチ素子T1は、データ線3Dを通じて与えられる電圧値の取り込みタイミングを制御するのに用いられる。取り込みタイミングは、走査線3Eを通じて線順次で与えられる。
【0014】
キャパシタC1は、取り込んだ電圧値を1フレームの間保持するのに用いられる。キャパシタC1を用いることで、面順次駆動が実現される。
電流駆動素子T2は、キャパシタC1の電圧値に応じた電流を有機EL素子3Bに供給するのに用いられる。駆動電流は、電流供給線3Fを通じて供給される。なお、この電流供給線3Fには、最大出力電圧制御用ドライバ7Aを通じて最大出力電圧Vmax が印加される。
【0015】
点灯スイッチ素子T3は、有機EL素子3Bに対する駆動電流の供給を制御するのに用いられる。点灯スイッチ素子T3は、駆動電流の供給経路に対して直列に配置される。点灯スイッチ素子T3が閉じている間、有機EL素子3Bが点灯する。一方、点灯スイッチ素子T3が開いている間、有機EL素子3Bが消灯する。
この点灯スイッチ素子T3の開閉動作を制御するデューティパルス(図3(B))を供給するのが点灯制御線3Gである。なお、図3(A)は、基準期間としての1フレーム期間を示す。
【0016】
ここで、電流供給線3Fに印加する電圧の可変制御は、最大出力電圧制御用ドライバ7Aが実行する。また、発光時間の可変制御は、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cが実行する。これらドライバの制御信号は、後述する発光条件制御装置より供給される。
なお、ピーク輝度を発光時間長で制御する場合には、最大出力電圧制御用ドライバ7Aは全てのフレームについて固定電圧を供給する。一方、ピーク輝度を最大出力電圧Vmax で制御する場合には、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cは、全てのフレームについて固定比のデューティパルスを供給する。
【0017】
図4に、画素駆動回路3Cを形成した発光領域3Aを搭載する有機ELパネルモジュール1の構造例を示す。図4の場合、発光条件制御装置11は、タイミングジェネレータ9の一部分として実装する。
なお、発光領域3Aの周辺回路(パネル駆動回路)は、半導体集積回路としてパネル基板上に搭載しても良いし、パネル基板上に半導体プロセスを用いて直接形成しても良い。
【0018】
(C)発光条件制御装置の形態例
以下、場面の切り替わりに伴う過電流を効果的に抑制することができる発光条件制御装置11(図4)の形態例を説明する。
【0019】
(C−1)形態例1
(a)装置構成
図5に、発光時間長の可変制御により過電流を抑制する方式の発光条件制御装置例を示す。
この発光条件制御装置11は、平均階調値算出部13と、階調変化検出部15と、デューティ比制御部17と、フレーム遅延部19とで構成する。
平均階調値算出部13は、1フレーム毎に映像信号の平均階調値APLn をフレーム単位で算出する処理デバイスである。なお、ここでの添字nは、時間(例えばフレーム番号)を意味する。図6に、平均階調値APLn の算出例を示す。
【0020】
階調変化検出部15は、前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対して階調変化の大きいフレームの出現を検出する処理デバイスである。
具体的には、検出の結果として算出された差分がしきい値B以上のとき、階調変化検出部15は、ピーク輝度の制御モードをオン状態に設定する。一方、検出の結果として算出された差分がしきい値B未満のとき、階調変化検出部15は、ピーク輝度の制御モードをオフ状態に制御する。
【0021】
ここで、しきい値Bをあまり小さい値に設定すると、わずかな輝度変化でもピーク輝度の制御が実行されてしまう。すなわち、本来過電流が流れるおそれの無い場合にも制御が実行されるため好ましくない。
その一方で、しきい値Bをあまり大きな値に設定すると、かなり大きな電流変化が発生してもピーク輝度制御が実行されなくなってしまい、過電流の抑制効果を十分に発揮することができなくなる。従って、しきい値Bの大きさは、制御結果も考慮して適切な値に設定する必要がある。
【0022】
デューティ比制御部17は、制御モードの状態に応じてピーク輝度決定用の平均階調値OTn を算出し、有機ELパネルの発光時間長を制御する。
具体的には、階調変化検出部15は、制御モードがオン状態の時(階調変化の大きいフレームの検出時)、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームの平均階調値が後続する各フレームの平均階調値に徐々に近づくように有機ELパネルの発光時間長(発光条件)を制御する。このデューティ比制御部17は、特許請求の範囲における「発光条件制御部」として機能する。
ピーク輝度決定用の平均階調値OTn の算出手法は後述する。
【0023】
以下、ピーク輝度を基準フレームから現フレームのピーク輝度に変化させるまでの期間を「緩衝期間」という。緩衝期間は、画面の応答速度の観点から設定する。例えば2〜10フレームの範囲で設定する。もっとも、表示番組(コンテンツ)によっては、10フレーム以上の期間を設定することも可能である。
また、デューティ比制御部17は、垂直同期信号Vsyncに同期して以上の判定処理を実行し、算出されたピーク輝度決定用の平均階調値OTn に基づいて次フレームの出力ピーク輝度を与える発光時間長(すなわち、デューティ比)を決定する。
【0024】
決定後のデューティ比は、デューティ比制御信号(ピーク輝度制御信号)として有機ELパネルモジュール1に出力される。
なお、デューティ比制御信号(ピーク輝度制御信号)は、次フレームの平均階調値APLn に対するピーク輝度決定用の平均階調値OTn の比(=OTn /APLn )で与えられる。
従って、出力フレームのピーク輝度は、入力フレームのピーク輝度に対してOTn /APLn
倍に制御される。
【0025】
フレーム遅延部19は、デューティ比制御部17による制御と有機ELパネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延するバッファメモリである。遅延時間は、任意である。
図7に、入出力フレームの位相関係を示す。図7(A)は、映像信号VSのフレーム番号(位相)を示す図である。図7(B)は、フレーム遅延部19に入力される画像データの番号(位相)を示す図である。
【0026】
図7(C)は、平均階調値算出部13より出力される平均階調値APLの番号(位相)を示す図である。図7(D)は、フレーム遅延部19から出力される画像データの番号(位相)を示す図である。
図7(B)及び(D)を対比して分かるように、フレーム遅延部19では画像データが1フレーム分遅延されている。このため、図7(C)及び(D)に示すように、平均階調値APLとフレーム遅延部19の出力位相との同期が確保される。なお、厳密にはフレーム遅延部19の出力位相はデューティ比制御信号との間で同期することが求められる。
【0027】
(b)処理動作の流れ
(b−1)概略
図8に、以上説明した発光条件制御装置11で実行される処理動作の概略を示す。
発光条件制御装置11は、各フレームの平均階調値APLn (図7(C))を生成し(S1)、前フレームの平均階調値APLn-1
と現フレームの平均階調値APLn との差分をしきい値Bと比較する(S2)。しきい値Bは、過電流が流れる程度の階調差で与えられる。
肯定結果が得られた場合、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御機能をオン状態に制御する(S3)。一方、否定結果が得られた場合、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御機能をオフ状態に制御する(S4)。
【0028】
かかる後、発光条件制御装置11は、各制御モードに応じてピーク輝度制御用の平均階調値OTn を生成する(S5)。因みに、ピーク輝度の制御機能がオン状態の場合、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn は、場面変化が検出された前フレームの平均階調値APLn
から後続する各フレームの平均階調値に徐々に近づくように生成される。一方、ピーク輝度の制御機能がオフ状態の場合、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn は、常に現フレームの平均階調値APLn
に設定される。
【0029】
ピーク輝度決定用の平均階調値OTn が生成されると、発光条件制御装置11は、表示フレーム(フレーム遅延部19から出力される画像データに対応するフレーム)について算出されている平均階調値APLn
に対する比を求め、この値をデューティ比制御信号(ピーク輝度制御信号)として有機ELパネルモジュール1に出力する(S6)。
以上が、過電流を抑制するピーク輝度制御の概要である。
【0030】
(b−2)詳細
図9に、各フレームの平均階調値APLが算出された以降の詳細な処理内容を示す。
前述したように、発光条件制御装置11は、前フレームの平均階調値APLn-1 と現フレームの平均階調値APLn
との差分をしきい値Bと比較する(S11)。
ここで、平均階調値の差が小さい場合(否定結果が得られた場合)、発光条件制御装置11は、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn として、現フレームの平均階調値APLn を設定する(S12)。
【0031】
この後、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御モードをオフに設定する(S13)。
次に、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御値として“1”(=OTn /APLn
)を算出し、デューティ比制御信号(ピーク輝度制御信号)として有機ELパネルモジュール1に出力する。この場合、出力フレームのピーク輝度は、入力フレームの本来のピーク輝度と一致する。
【0032】
一方、平均階調値の差が大きい場合(肯定結果が得られた場合)、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御モードがオフか否かを判定する(S15)。
ここで、肯定結果が得られると、発光条件制御装置11は、処理S16に進む。肯定結果が得られるのは、初回起動時や既にピーク輝度の制御が終了している場合に大きな階調差が出現するときである。
【0033】
処理S16に進んだ発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御モードをオンに設定し、同時に基準フレームの平均階調値APLとして前フレームの平均階調値APLn-1 を設定する。また、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の変化を緩やかに制御するために定めた緩衝期間(フレーム数d)内の処理回数cを“1”に設定する。
なお、緩衝期間は、ピーク輝度の変化を緩やかにするだけでなく、いつまでもピーク輝度の制御が継続することによる本来の映像出力が影響を受けることを避けるために設けている。
【0034】
必要な設定が完了すると、発光条件制御装置11は処理S17に進み、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn を次式に基づいて算出する。すなわち、処理回数cで定まる内分比で、基準フレームのピーク輝度と出力フレームのピーク輝度を内分するように算出する。
OTn =(APL ×(d-c) +APLn
×c )/d
【0035】
例えば、緩衝期間を与えるフレーム数dが3の場合、処理回数cが“1”のときの平均階調値OTn は、(APL ×2 +APLn)/3 で与えられる。
この後、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御値をOTn /APLn に基づいて算出し、デューティ比制御信号(ピーク輝度制御信号)として有機ELパネルモジュール1に出力する(S14)。
【0036】
ところで、処理S15で否定結果が得られた場合、発光条件制御装置11は、処理S18に進む。否定結果が得られるのは、ピーク輝度の制御モードがオン状態であり、既にピーク輝度の制御が開始されている場合である。
このとき、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御期間が終了しているか否かを判定する。すなわち、緩衝期間が終了しているか否かを判定する。具体的には、パラメータcがその最大値cmax(緩衝期間を与えるフレーム数d)を越えるか否かを判定する。すなわち、c>dか否かを判定する。
【0037】
肯定結果が得られた場合は、先に説明した場合と同様、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn として、対応するフレームの平均階調値APLn を設定する(S12)。
この後、発光条件制御装置11は、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn として、対応するフレームの平均階調値APLn
を設定し、ピーク輝度の制御モードをオフに設定する。結果として、ピーク輝度の制御値は“1”(=OTn /APLn )となり、出力ピーク輝度は、入力映像信号のピーク輝度と一致する。。
【0038】
一方、処理S18で否定結果が得られた場合、発光条件制御装置11は、パラメータcの値をc+1に更新し(S19)、その上で、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn を算出する。
例えばc=2に更新された場合、平均階調値OTn は、(APL +APLn×2 )/3 で与えられる。
この結果、処理S14で算出されるピーク輝度の制御値をOTn /APLn は、c=1の場合に比して、基準フレームよりも現フレームの実輝度により近い値に推移する。
なお、緩衝期間を与えるフレーム数dが3でc=3の場合、処理S14で算出されるピーク輝度の制御値をOTn /APLn は“1”となり、ピーク輝度は現フレームの実輝度に収束する。
【0039】
図10に、ピーク輝度の制御処理によりピーク輝度決定用の平均階調値OTn が時点t1を境に切り替わる様子を示す。
なお、図10(A)〜(D)は、図7(A)〜(D)に対応する。また、図10(E)がピーク輝度の決定用に算出される平均階調値OTn を表している。ただし、図10(E)では、制御モードがオフの期間における平均階調値OTn を各フレームの平均階調値APLで表している。
図10では、制御モードのオン状態が少なくとも5フレーム継続している。
【0040】
図11に、ピーク輝度の制御により映像信号に対応するピーク輝度がどのように変化するかの例を示す。なお、図11は、いずれも緩衝期間を与えるフレーム数dが3の場合を表している。
図11(A)は、あるステップを境に入力フレームのピーク輝度(白丸で示す)がステップ的に変化する場合の実際のピーク輝度(黒丸で示す)の変化を示している。
【0041】
この例の場合、基準フレームの次フレームに本来の輝度変化の3分の1だけ変化し、2つめのフレームに本来の輝度変化の3分の2だけ変化する。
このことは、本来であれば1フレーム期間で生じる輝度変化(電流変化)が2フレームに平均化されることを意味する。
【0042】
図11(B)は、あるステップを境に入力映像信号のピーク輝度(白丸で示す)の大きな変化が3フレームほど続く場合の実際のピーク輝度(黒丸で示す)の変化を示している。
この場合も、基準フレームの次フレームでは本来の輝度変化の3分の1だけ変化する。そして、基準フレームから2つ目のフレームでは、基準フレームと2つ目のフレームとの間に本来生じる輝度変化の3分の2だけ変化する。あくまでも、基準フレームとの差分である。
そして、基準フレームから3つ目のフレームでは、そのフレーム本来のピーク輝度に収束する。
【0043】
なお、図11(C)は、前述した2例とは異なり、ピーク輝度が急激に低下する場合の制御例を表している。
この場合も、入力映像信号のピーク輝度(白丸で示す)に追従すれば生じたであろうピーク輝度の大きな変化が3フレーム分の期間に平均化されている。
また、いずれの例も、緩衝期間後のピーク輝度の変化が小さい例を例示した。このため、図11では、いずれの場合も入力フレームのピーク輝度と出力フレームのピーク輝度(黒丸で示す)とが一致する。しかし、その後も入力フレームのピーク輝度が大きく変化する場合には、再び同じ動作が繰り返される。
【0044】
(c)実現される効果
以上のように、入力映像信号より各フレームの平均階調値を算出し、前フレームに対する平均階調値の変化が大きい場合には、前フレームを基準フレームに設定して表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値に徐々に近づくように制御する仕組みを採用することにより、本来であれば過電流が流れる可能性がある輝度変化を伴う画面の切り替わりにも、その電流変化を緩やかなものに変更できる。
【0045】
この結果、過電流現象を効果的に抑制し、表示パネルの安定した電流駆動を実現できる。
なお、前述したピーク輝度の可変制御機能は、ソフトウェア処理で実現する場合にも演算負荷が小さく、集積回路で実現する場合にも非常に小規模な回路で実現することが可能であり、有機ELパネルモジュールへの実装に有利である。
【0046】
(C−2)形態例2
図12に、電流供給線3Fに印加する最大出力電圧Vmax の可変制御により過電流を抑制する方式の発光条件制御装置例を示す。なお、図12には、形態例1(図5)との対応部分に同一符号を付して示す。
【0047】
図14に示す発光条件制御装置11は、平均階調値算出部13と、階調変化検出部15と、フレーム遅延部19と、最大出力電圧制御部21とで構成する。最大出力電圧制御部21以外は、形態例1と同じである。この例の場合、最大出力電圧制御部21が、特許請求の範囲における「発光条件制御部」として機能する。
【0048】
すなわち、階調変化検出部15において算出されたピーク輝度制御用の制御値が最大出力電圧制御部21に与えられる。そして、最大出力電圧制御部21は、入力映像信号の垂直同期信号Vsyncに同期したタイミングで最大基準電圧制御信号を生成し、これを有機ELパネルモジュール1(最大出力電圧制御用ドライバ7A)に供給する。
【0049】
ただし、図1(A)に示すように、表示素子の発光輝度が最大出力電圧に比例しない場合には、これらを考慮して可変された値が最大出力電圧制御信号として出力される。
以上のように、1フレーム期間内の発光時間を一定のままで、最大出力電圧Vmax を可変制御する手法を採用しても、形態例1と同様の効果を実現することができる。
【0050】
(D)他の形態例
(a)前述の形態例では、有機ELパネルモジュール1に最大出力電圧制御用ドライバ7Aと点灯時間制御用ゲートドライバ7Cを2つとも搭載するものとして説明した。
しかし、ピーク輝度の可変制御機能は、発光時間又は最大出力電圧のいずれか一方を可変制御することで実現できる。従って、発光時間を可変制御する方式を採用する場合には最大出力電圧制御用ドライバ7Aを搭載しない構成を採用し、最大出力電圧を可変制御する方式を採用する場合には点灯時間制御用ゲートドライバ7Cを搭載しない構成を採用しても良い。
【0051】
(b)前述の形態例では、発光時間及び最大出力電圧のいずれか一方を可変制御してピーク輝度を可変制御する場合について説明したが、発光時間及び最大出力電圧の双方を同時に可変してピーク輝度を低減することも可能である。
(c)前述の形態例においては、有機ELディスプレイパネルについて説明したが、無機ELディスプレイパネルにも応用できる。
【0052】
(d)前述の形態例においては、発光条件制御装置11を有機ELディスプレイパネル上に実装する場合について説明した。
しかし、この有機ELディスプレイパネルその他の表示装置は、単独の商品形態でも良いし、他の画像処理装置の一部として搭載されても良い。例えば、ビデオカメラ、デジタルカメラその他の撮像装置(カメラユニットだけでなく、記録装置と一体に構成されているものを含む。)、情報処理端末(携帯型のコンピュータ、携帯電話機、携帯型のゲーム機、電子手帳等)、ゲーム機の表示デバイスとしも実現できる。
【0053】
(e)前述の形態例では、発光条件制御装置11を有機ELディスプレイパネル上に実装する場合について説明した。
しかし、発光条件制御装置11は、有機ELディスプレイパネルその他の表示装置に対して入力映像信号を供給する画像処理装置側に搭載しても良い。この場合、画像処理装置から表示装置にデューティパルスや電圧値を供給する方式を採用しても良いし、これらの値を指示する情報を画像処理装置から表示装置に与える方式を採用しても良い。
【0054】
(f)前述の形態例では、発光条件制御装置11を機能構成の観点から説明したが、言うまでもなく、同等の機能をハードウェアとしてもソフトウェアとしても実現できる。
また、これらの処理機能の全てをハードウェア又はソフトウェアで実現するだけでなく、その一部はハードウェア又はソフトウェアを用いて実現しても良い。すなわち、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ構成としても良い。
(g)前述の形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。また、本明細書の記載に基づいて創作される又は組み合わせられる各種の変形例及び応用例も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】発光時間と発光輝度の関係及び最大出力電圧と発光輝度との関係を説明する図である。
【図2】有機ELパネルモジュールの構造例を示す図である。
【図3】発光時間長を制御するデューティパルス例を示す図である。
【図4】有機ELパネルモジュールの構造例を示す図である。
【図5】発光条件制御装置の形態例1を示す図である。
【図6】平均階調値の算出例を示す図である。
【図7】フレーム遅延部による位相同期を説明する図である。
【図8】発光条件制御装置が実行する処理動作の概略例を示す図である。
【図9】発光条件制御装置が実行する処理動作の詳細例を示す図である。
【図10】ピーク輝度制御用の平均階調値の出力例を示す図である。
【図11】ピーク輝度制御による輝度変化例を示す図である。
【図12】発光条件制御装置の形態例2を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 有機ELパネルモジュール
3A 発光領域
5 データドライバ
7A 最大出力電圧制御用ドライバ7A
7B ゲートスキャンドライバ
7C 点灯時間制御用ゲートドライバ
9 タイミングジェネレータ
11 発光条件制御装置
13 平均階調値算出部
15 階調変化検出部
17 デューティ比制御部
19 フレーム遅延部
21 最大出力電圧制御部
【技術分野】
【0001】
この明細書で説明する発明は、画面の切り替わりに伴う過電流現象(過渡的に電流が急変する現象)を抑制する技術に関する。
なお、発明者らが提案する発明は、自発光表示装置、発光条件制御装置、発光条件制御方法及びプログラムとしての側面を有する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイは、広視野角特性、応答速度、広色再現性範囲、高コントラスト性能に優れるだけでなく、表示パネル自体を薄く形成することができる。これらの利点のため、有機ELディスプレイは、次世代フラットパネルディスプレイの最有力候補として注目されている。
その一方で、有機ELディスプレイをテレビジョン番組の視聴に用いるには、製品寿命の更なる延長が必要である。
【0003】
この要求の実現に必要とされる技術的課題の一つに、場面の切り替わりに伴う過電流現象の抑制がある。
この過電流現象は、画面全体が明るいときに流れる大電流と、画面全体が暗いときや画面の一部のみが明るいときに流れる小電流との電流差によって発生する。
【0004】
すなわち、過電流現象は、画面全体が明るい画面から暗い画面に急に切り替わる時、又はその反対に暗い画面から明るい画面に急に切り替わる時に生じる。なお、過電流は、有機ELパネルの電源に急激な負荷を与える。従って、表示パネルの安定駆動には、電源に急激な負荷が極力加えられないような制御が必要となる。
しかし、発明者らの知る限りにおいて、自発光素子をマトリクス状に配置したフラットパネルの駆動技術に関し、過電流の抑制を実現する技術は提案されていない。
【0005】
参考までに、ピーク輝度の制御に関する既存の技術例を列記する。
例えば特許文献1には、複数のサブフレームについて求めた平均輝度により1つの画素の輝度を決定する技術が開示されている。
また例えば、特許文献2には、1フレームの発光期間を複数のサブフレーム期間に分割し、サブフレーム単位で発光輝度を制御する方法が開示されている。
また例えば、特許文献3には、複数の発光素子に流れる合計電流値に応じて各発光素子に流れる電流を制限する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−015605号公報
【特許文献2】特開2001−343941号公報
【特許文献3】特開2002−132218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3はいずれもピーク輝度の制御に用いることができるものの、ピーク輝度と制御する電流との位相関係やタイミング等は記載されていない。このため、画面の切り替わりに伴う過電流を効果的に抑制することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、発明者らは、画面の切り替わりに伴う過電流現象を効果的に抑制できる技術手法を提案する。
すなわち、1フレーム毎に映像信号の平均階調値を算出する処理機能と、前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する処理機能と、階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する処理機能と、発光条件の制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延する処理機能とを実行する手法を提案する。
【発明の効果】
【0008】
発明者らの提案する発明では、画面の切り替わりの検出から所定期間内における表示パネルのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように制御される。この結果、本来であれば過電流が流れ得る輝度変化を伴う画面の切り替わり時にも、その電流変化が緩やかになるように変更できる。この結果、過電流現象を効果的に抑制し、表示パネルの安定した電流駆動を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、発明に係る処理機能を搭載した有機ELパネルモジュールを例に、自発光表示装置を説明する。
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。
また以下に説明する形態例は、発明の一つの形態例であって、これらに限定されるものではない。
【0010】
(A)ピーク輝度の調整
表示パネルのピーク輝度は、最大データの入力時に表示素子に印加される出力電圧(出力電流)又は発光時間長を制御することにより調整することができる。
図1(A)に出力電圧と発光輝度との関係を、図1(B)に発光時間と発光輝度との関係を示す。なお、図1(B)は、発光時間と発光輝度との間に線形関係が成立する場合について表している。
【0011】
ここで、表示パネルのピーク輝度は、最大データの入力時に表示素子に印加される最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax )と発光時間の積Sで与えられる。
従って、発光時間又は最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax )を個別に可変制御すれば、階調情報を保持した状態のまま表示パネルのピーク輝度を可変制御することができる。
【0012】
(B)有機ELパネルの構造例
続いて、ピーク輝度の可変制御を可能とする有機ELパネルモジュールの構造例を説明する。
図2に、有機ELパネルモジュール1の構造例を示す。有機ELパネルモジュール1は、発光領域3A(有機EL素子がマトリクス状に配列された領域)と、画像の表示を制御するパネル駆動回路とで構成される。
パネル駆動回路は、データドライバ5、最大出力電圧制御用ドライバ7A、ゲートスキャンドライバ7B、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cで構成される。なお、パネル駆動回路は、発光領域3Aの周辺部に形成する。
【0013】
各画素に対応する有機EL素子3Bとその駆動回路(画素駆動回路)3Cは、データ線3Dと走査線3Eの交点位置に配置されている。画素駆動回路3Cは、データスイッチ素子T1、キャパシタC1、電流駆動素子T2、点灯スイッチ素子T3で構成される。
このうち、データスイッチ素子T1は、データ線3Dを通じて与えられる電圧値の取り込みタイミングを制御するのに用いられる。取り込みタイミングは、走査線3Eを通じて線順次で与えられる。
【0014】
キャパシタC1は、取り込んだ電圧値を1フレームの間保持するのに用いられる。キャパシタC1を用いることで、面順次駆動が実現される。
電流駆動素子T2は、キャパシタC1の電圧値に応じた電流を有機EL素子3Bに供給するのに用いられる。駆動電流は、電流供給線3Fを通じて供給される。なお、この電流供給線3Fには、最大出力電圧制御用ドライバ7Aを通じて最大出力電圧Vmax が印加される。
【0015】
点灯スイッチ素子T3は、有機EL素子3Bに対する駆動電流の供給を制御するのに用いられる。点灯スイッチ素子T3は、駆動電流の供給経路に対して直列に配置される。点灯スイッチ素子T3が閉じている間、有機EL素子3Bが点灯する。一方、点灯スイッチ素子T3が開いている間、有機EL素子3Bが消灯する。
この点灯スイッチ素子T3の開閉動作を制御するデューティパルス(図3(B))を供給するのが点灯制御線3Gである。なお、図3(A)は、基準期間としての1フレーム期間を示す。
【0016】
ここで、電流供給線3Fに印加する電圧の可変制御は、最大出力電圧制御用ドライバ7Aが実行する。また、発光時間の可変制御は、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cが実行する。これらドライバの制御信号は、後述する発光条件制御装置より供給される。
なお、ピーク輝度を発光時間長で制御する場合には、最大出力電圧制御用ドライバ7Aは全てのフレームについて固定電圧を供給する。一方、ピーク輝度を最大出力電圧Vmax で制御する場合には、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cは、全てのフレームについて固定比のデューティパルスを供給する。
【0017】
図4に、画素駆動回路3Cを形成した発光領域3Aを搭載する有機ELパネルモジュール1の構造例を示す。図4の場合、発光条件制御装置11は、タイミングジェネレータ9の一部分として実装する。
なお、発光領域3Aの周辺回路(パネル駆動回路)は、半導体集積回路としてパネル基板上に搭載しても良いし、パネル基板上に半導体プロセスを用いて直接形成しても良い。
【0018】
(C)発光条件制御装置の形態例
以下、場面の切り替わりに伴う過電流を効果的に抑制することができる発光条件制御装置11(図4)の形態例を説明する。
【0019】
(C−1)形態例1
(a)装置構成
図5に、発光時間長の可変制御により過電流を抑制する方式の発光条件制御装置例を示す。
この発光条件制御装置11は、平均階調値算出部13と、階調変化検出部15と、デューティ比制御部17と、フレーム遅延部19とで構成する。
平均階調値算出部13は、1フレーム毎に映像信号の平均階調値APLn をフレーム単位で算出する処理デバイスである。なお、ここでの添字nは、時間(例えばフレーム番号)を意味する。図6に、平均階調値APLn の算出例を示す。
【0020】
階調変化検出部15は、前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対して階調変化の大きいフレームの出現を検出する処理デバイスである。
具体的には、検出の結果として算出された差分がしきい値B以上のとき、階調変化検出部15は、ピーク輝度の制御モードをオン状態に設定する。一方、検出の結果として算出された差分がしきい値B未満のとき、階調変化検出部15は、ピーク輝度の制御モードをオフ状態に制御する。
【0021】
ここで、しきい値Bをあまり小さい値に設定すると、わずかな輝度変化でもピーク輝度の制御が実行されてしまう。すなわち、本来過電流が流れるおそれの無い場合にも制御が実行されるため好ましくない。
その一方で、しきい値Bをあまり大きな値に設定すると、かなり大きな電流変化が発生してもピーク輝度制御が実行されなくなってしまい、過電流の抑制効果を十分に発揮することができなくなる。従って、しきい値Bの大きさは、制御結果も考慮して適切な値に設定する必要がある。
【0022】
デューティ比制御部17は、制御モードの状態に応じてピーク輝度決定用の平均階調値OTn を算出し、有機ELパネルの発光時間長を制御する。
具体的には、階調変化検出部15は、制御モードがオン状態の時(階調変化の大きいフレームの検出時)、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームの平均階調値が後続する各フレームの平均階調値に徐々に近づくように有機ELパネルの発光時間長(発光条件)を制御する。このデューティ比制御部17は、特許請求の範囲における「発光条件制御部」として機能する。
ピーク輝度決定用の平均階調値OTn の算出手法は後述する。
【0023】
以下、ピーク輝度を基準フレームから現フレームのピーク輝度に変化させるまでの期間を「緩衝期間」という。緩衝期間は、画面の応答速度の観点から設定する。例えば2〜10フレームの範囲で設定する。もっとも、表示番組(コンテンツ)によっては、10フレーム以上の期間を設定することも可能である。
また、デューティ比制御部17は、垂直同期信号Vsyncに同期して以上の判定処理を実行し、算出されたピーク輝度決定用の平均階調値OTn に基づいて次フレームの出力ピーク輝度を与える発光時間長(すなわち、デューティ比)を決定する。
【0024】
決定後のデューティ比は、デューティ比制御信号(ピーク輝度制御信号)として有機ELパネルモジュール1に出力される。
なお、デューティ比制御信号(ピーク輝度制御信号)は、次フレームの平均階調値APLn に対するピーク輝度決定用の平均階調値OTn の比(=OTn /APLn )で与えられる。
従って、出力フレームのピーク輝度は、入力フレームのピーク輝度に対してOTn /APLn
倍に制御される。
【0025】
フレーム遅延部19は、デューティ比制御部17による制御と有機ELパネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延するバッファメモリである。遅延時間は、任意である。
図7に、入出力フレームの位相関係を示す。図7(A)は、映像信号VSのフレーム番号(位相)を示す図である。図7(B)は、フレーム遅延部19に入力される画像データの番号(位相)を示す図である。
【0026】
図7(C)は、平均階調値算出部13より出力される平均階調値APLの番号(位相)を示す図である。図7(D)は、フレーム遅延部19から出力される画像データの番号(位相)を示す図である。
図7(B)及び(D)を対比して分かるように、フレーム遅延部19では画像データが1フレーム分遅延されている。このため、図7(C)及び(D)に示すように、平均階調値APLとフレーム遅延部19の出力位相との同期が確保される。なお、厳密にはフレーム遅延部19の出力位相はデューティ比制御信号との間で同期することが求められる。
【0027】
(b)処理動作の流れ
(b−1)概略
図8に、以上説明した発光条件制御装置11で実行される処理動作の概略を示す。
発光条件制御装置11は、各フレームの平均階調値APLn (図7(C))を生成し(S1)、前フレームの平均階調値APLn-1
と現フレームの平均階調値APLn との差分をしきい値Bと比較する(S2)。しきい値Bは、過電流が流れる程度の階調差で与えられる。
肯定結果が得られた場合、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御機能をオン状態に制御する(S3)。一方、否定結果が得られた場合、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御機能をオフ状態に制御する(S4)。
【0028】
かかる後、発光条件制御装置11は、各制御モードに応じてピーク輝度制御用の平均階調値OTn を生成する(S5)。因みに、ピーク輝度の制御機能がオン状態の場合、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn は、場面変化が検出された前フレームの平均階調値APLn
から後続する各フレームの平均階調値に徐々に近づくように生成される。一方、ピーク輝度の制御機能がオフ状態の場合、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn は、常に現フレームの平均階調値APLn
に設定される。
【0029】
ピーク輝度決定用の平均階調値OTn が生成されると、発光条件制御装置11は、表示フレーム(フレーム遅延部19から出力される画像データに対応するフレーム)について算出されている平均階調値APLn
に対する比を求め、この値をデューティ比制御信号(ピーク輝度制御信号)として有機ELパネルモジュール1に出力する(S6)。
以上が、過電流を抑制するピーク輝度制御の概要である。
【0030】
(b−2)詳細
図9に、各フレームの平均階調値APLが算出された以降の詳細な処理内容を示す。
前述したように、発光条件制御装置11は、前フレームの平均階調値APLn-1 と現フレームの平均階調値APLn
との差分をしきい値Bと比較する(S11)。
ここで、平均階調値の差が小さい場合(否定結果が得られた場合)、発光条件制御装置11は、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn として、現フレームの平均階調値APLn を設定する(S12)。
【0031】
この後、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御モードをオフに設定する(S13)。
次に、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御値として“1”(=OTn /APLn
)を算出し、デューティ比制御信号(ピーク輝度制御信号)として有機ELパネルモジュール1に出力する。この場合、出力フレームのピーク輝度は、入力フレームの本来のピーク輝度と一致する。
【0032】
一方、平均階調値の差が大きい場合(肯定結果が得られた場合)、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御モードがオフか否かを判定する(S15)。
ここで、肯定結果が得られると、発光条件制御装置11は、処理S16に進む。肯定結果が得られるのは、初回起動時や既にピーク輝度の制御が終了している場合に大きな階調差が出現するときである。
【0033】
処理S16に進んだ発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御モードをオンに設定し、同時に基準フレームの平均階調値APLとして前フレームの平均階調値APLn-1 を設定する。また、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の変化を緩やかに制御するために定めた緩衝期間(フレーム数d)内の処理回数cを“1”に設定する。
なお、緩衝期間は、ピーク輝度の変化を緩やかにするだけでなく、いつまでもピーク輝度の制御が継続することによる本来の映像出力が影響を受けることを避けるために設けている。
【0034】
必要な設定が完了すると、発光条件制御装置11は処理S17に進み、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn を次式に基づいて算出する。すなわち、処理回数cで定まる内分比で、基準フレームのピーク輝度と出力フレームのピーク輝度を内分するように算出する。
OTn =(APL ×(d-c) +APLn
×c )/d
【0035】
例えば、緩衝期間を与えるフレーム数dが3の場合、処理回数cが“1”のときの平均階調値OTn は、(APL ×2 +APLn)/3 で与えられる。
この後、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御値をOTn /APLn に基づいて算出し、デューティ比制御信号(ピーク輝度制御信号)として有機ELパネルモジュール1に出力する(S14)。
【0036】
ところで、処理S15で否定結果が得られた場合、発光条件制御装置11は、処理S18に進む。否定結果が得られるのは、ピーク輝度の制御モードがオン状態であり、既にピーク輝度の制御が開始されている場合である。
このとき、発光条件制御装置11は、ピーク輝度の制御期間が終了しているか否かを判定する。すなわち、緩衝期間が終了しているか否かを判定する。具体的には、パラメータcがその最大値cmax(緩衝期間を与えるフレーム数d)を越えるか否かを判定する。すなわち、c>dか否かを判定する。
【0037】
肯定結果が得られた場合は、先に説明した場合と同様、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn として、対応するフレームの平均階調値APLn を設定する(S12)。
この後、発光条件制御装置11は、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn として、対応するフレームの平均階調値APLn
を設定し、ピーク輝度の制御モードをオフに設定する。結果として、ピーク輝度の制御値は“1”(=OTn /APLn )となり、出力ピーク輝度は、入力映像信号のピーク輝度と一致する。。
【0038】
一方、処理S18で否定結果が得られた場合、発光条件制御装置11は、パラメータcの値をc+1に更新し(S19)、その上で、ピーク輝度決定用の平均階調値OTn を算出する。
例えばc=2に更新された場合、平均階調値OTn は、(APL +APLn×2 )/3 で与えられる。
この結果、処理S14で算出されるピーク輝度の制御値をOTn /APLn は、c=1の場合に比して、基準フレームよりも現フレームの実輝度により近い値に推移する。
なお、緩衝期間を与えるフレーム数dが3でc=3の場合、処理S14で算出されるピーク輝度の制御値をOTn /APLn は“1”となり、ピーク輝度は現フレームの実輝度に収束する。
【0039】
図10に、ピーク輝度の制御処理によりピーク輝度決定用の平均階調値OTn が時点t1を境に切り替わる様子を示す。
なお、図10(A)〜(D)は、図7(A)〜(D)に対応する。また、図10(E)がピーク輝度の決定用に算出される平均階調値OTn を表している。ただし、図10(E)では、制御モードがオフの期間における平均階調値OTn を各フレームの平均階調値APLで表している。
図10では、制御モードのオン状態が少なくとも5フレーム継続している。
【0040】
図11に、ピーク輝度の制御により映像信号に対応するピーク輝度がどのように変化するかの例を示す。なお、図11は、いずれも緩衝期間を与えるフレーム数dが3の場合を表している。
図11(A)は、あるステップを境に入力フレームのピーク輝度(白丸で示す)がステップ的に変化する場合の実際のピーク輝度(黒丸で示す)の変化を示している。
【0041】
この例の場合、基準フレームの次フレームに本来の輝度変化の3分の1だけ変化し、2つめのフレームに本来の輝度変化の3分の2だけ変化する。
このことは、本来であれば1フレーム期間で生じる輝度変化(電流変化)が2フレームに平均化されることを意味する。
【0042】
図11(B)は、あるステップを境に入力映像信号のピーク輝度(白丸で示す)の大きな変化が3フレームほど続く場合の実際のピーク輝度(黒丸で示す)の変化を示している。
この場合も、基準フレームの次フレームでは本来の輝度変化の3分の1だけ変化する。そして、基準フレームから2つ目のフレームでは、基準フレームと2つ目のフレームとの間に本来生じる輝度変化の3分の2だけ変化する。あくまでも、基準フレームとの差分である。
そして、基準フレームから3つ目のフレームでは、そのフレーム本来のピーク輝度に収束する。
【0043】
なお、図11(C)は、前述した2例とは異なり、ピーク輝度が急激に低下する場合の制御例を表している。
この場合も、入力映像信号のピーク輝度(白丸で示す)に追従すれば生じたであろうピーク輝度の大きな変化が3フレーム分の期間に平均化されている。
また、いずれの例も、緩衝期間後のピーク輝度の変化が小さい例を例示した。このため、図11では、いずれの場合も入力フレームのピーク輝度と出力フレームのピーク輝度(黒丸で示す)とが一致する。しかし、その後も入力フレームのピーク輝度が大きく変化する場合には、再び同じ動作が繰り返される。
【0044】
(c)実現される効果
以上のように、入力映像信号より各フレームの平均階調値を算出し、前フレームに対する平均階調値の変化が大きい場合には、前フレームを基準フレームに設定して表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値に徐々に近づくように制御する仕組みを採用することにより、本来であれば過電流が流れる可能性がある輝度変化を伴う画面の切り替わりにも、その電流変化を緩やかなものに変更できる。
【0045】
この結果、過電流現象を効果的に抑制し、表示パネルの安定した電流駆動を実現できる。
なお、前述したピーク輝度の可変制御機能は、ソフトウェア処理で実現する場合にも演算負荷が小さく、集積回路で実現する場合にも非常に小規模な回路で実現することが可能であり、有機ELパネルモジュールへの実装に有利である。
【0046】
(C−2)形態例2
図12に、電流供給線3Fに印加する最大出力電圧Vmax の可変制御により過電流を抑制する方式の発光条件制御装置例を示す。なお、図12には、形態例1(図5)との対応部分に同一符号を付して示す。
【0047】
図14に示す発光条件制御装置11は、平均階調値算出部13と、階調変化検出部15と、フレーム遅延部19と、最大出力電圧制御部21とで構成する。最大出力電圧制御部21以外は、形態例1と同じである。この例の場合、最大出力電圧制御部21が、特許請求の範囲における「発光条件制御部」として機能する。
【0048】
すなわち、階調変化検出部15において算出されたピーク輝度制御用の制御値が最大出力電圧制御部21に与えられる。そして、最大出力電圧制御部21は、入力映像信号の垂直同期信号Vsyncに同期したタイミングで最大基準電圧制御信号を生成し、これを有機ELパネルモジュール1(最大出力電圧制御用ドライバ7A)に供給する。
【0049】
ただし、図1(A)に示すように、表示素子の発光輝度が最大出力電圧に比例しない場合には、これらを考慮して可変された値が最大出力電圧制御信号として出力される。
以上のように、1フレーム期間内の発光時間を一定のままで、最大出力電圧Vmax を可変制御する手法を採用しても、形態例1と同様の効果を実現することができる。
【0050】
(D)他の形態例
(a)前述の形態例では、有機ELパネルモジュール1に最大出力電圧制御用ドライバ7Aと点灯時間制御用ゲートドライバ7Cを2つとも搭載するものとして説明した。
しかし、ピーク輝度の可変制御機能は、発光時間又は最大出力電圧のいずれか一方を可変制御することで実現できる。従って、発光時間を可変制御する方式を採用する場合には最大出力電圧制御用ドライバ7Aを搭載しない構成を採用し、最大出力電圧を可変制御する方式を採用する場合には点灯時間制御用ゲートドライバ7Cを搭載しない構成を採用しても良い。
【0051】
(b)前述の形態例では、発光時間及び最大出力電圧のいずれか一方を可変制御してピーク輝度を可変制御する場合について説明したが、発光時間及び最大出力電圧の双方を同時に可変してピーク輝度を低減することも可能である。
(c)前述の形態例においては、有機ELディスプレイパネルについて説明したが、無機ELディスプレイパネルにも応用できる。
【0052】
(d)前述の形態例においては、発光条件制御装置11を有機ELディスプレイパネル上に実装する場合について説明した。
しかし、この有機ELディスプレイパネルその他の表示装置は、単独の商品形態でも良いし、他の画像処理装置の一部として搭載されても良い。例えば、ビデオカメラ、デジタルカメラその他の撮像装置(カメラユニットだけでなく、記録装置と一体に構成されているものを含む。)、情報処理端末(携帯型のコンピュータ、携帯電話機、携帯型のゲーム機、電子手帳等)、ゲーム機の表示デバイスとしも実現できる。
【0053】
(e)前述の形態例では、発光条件制御装置11を有機ELディスプレイパネル上に実装する場合について説明した。
しかし、発光条件制御装置11は、有機ELディスプレイパネルその他の表示装置に対して入力映像信号を供給する画像処理装置側に搭載しても良い。この場合、画像処理装置から表示装置にデューティパルスや電圧値を供給する方式を採用しても良いし、これらの値を指示する情報を画像処理装置から表示装置に与える方式を採用しても良い。
【0054】
(f)前述の形態例では、発光条件制御装置11を機能構成の観点から説明したが、言うまでもなく、同等の機能をハードウェアとしてもソフトウェアとしても実現できる。
また、これらの処理機能の全てをハードウェア又はソフトウェアで実現するだけでなく、その一部はハードウェア又はソフトウェアを用いて実現しても良い。すなわち、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ構成としても良い。
(g)前述の形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。また、本明細書の記載に基づいて創作される又は組み合わせられる各種の変形例及び応用例も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】発光時間と発光輝度の関係及び最大出力電圧と発光輝度との関係を説明する図である。
【図2】有機ELパネルモジュールの構造例を示す図である。
【図3】発光時間長を制御するデューティパルス例を示す図である。
【図4】有機ELパネルモジュールの構造例を示す図である。
【図5】発光条件制御装置の形態例1を示す図である。
【図6】平均階調値の算出例を示す図である。
【図7】フレーム遅延部による位相同期を説明する図である。
【図8】発光条件制御装置が実行する処理動作の概略例を示す図である。
【図9】発光条件制御装置が実行する処理動作の詳細例を示す図である。
【図10】ピーク輝度制御用の平均階調値の出力例を示す図である。
【図11】ピーク輝度制御による輝度変化例を示す図である。
【図12】発光条件制御装置の形態例2を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 有機ELパネルモジュール
3A 発光領域
5 データドライバ
7A 最大出力電圧制御用ドライバ7A
7B ゲートスキャンドライバ
7C 点灯時間制御用ゲートドライバ
9 タイミングジェネレータ
11 発光条件制御装置
13 平均階調値算出部
15 階調変化検出部
17 デューティ比制御部
19 フレーム遅延部
21 最大出力電圧制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で可変制御できる自発光表示装置において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値を算出する平均階調値算出部と、
前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する階調変化検出部と、
階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する発光条件制御部と、
前記発光条件制御部による制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延するフレーム遅延部と
を有することを特徴とする自発光表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記発光条件制御部は、1フレーム期間内における表示パネルの発光時間長を可変制御する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記発光条件制御部は、画像データ値に応じて発光素子に印加され得る電流値の最大値をフレーム単位で可変制御する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記発光条件制御部は、前記基準フレーム以降の所定期間中でも、前フレームに対する階調変化が小さいフレームの出現時には、ピーク輝度の制御を解除する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項5】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で可変制御する発光条件制御装置において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値を算出する平均階調値算出部と、
前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する階調変化検出部と、
階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する発光条件制御部と、
前記発光条件制御部による制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延するフレーム遅延部と
を有することを特徴とする発光条件制御装置。
【請求項6】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で可変制御する発光条件制御方法において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値を算出する処理と、
前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する処理と、
階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する処理と、
前記発光条件の制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延する処理と
を有することを特徴とする発光条件制御方法。
【請求項7】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で可変制御するコンピュータに、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値を算出する処理と、
前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する処理と、
階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する処理と、
前記発光条件の制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延する処理と
を実行させるプログラム。
【請求項1】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で可変制御できる自発光表示装置において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値を算出する平均階調値算出部と、
前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する階調変化検出部と、
階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する発光条件制御部と、
前記発光条件制御部による制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延するフレーム遅延部と
を有することを特徴とする自発光表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記発光条件制御部は、1フレーム期間内における表示パネルの発光時間長を可変制御する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記発光条件制御部は、画像データ値に応じて発光素子に印加され得る電流値の最大値をフレーム単位で可変制御する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記発光条件制御部は、前記基準フレーム以降の所定期間中でも、前フレームに対する階調変化が小さいフレームの出現時には、ピーク輝度の制御を解除する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項5】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で可変制御する発光条件制御装置において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値を算出する平均階調値算出部と、
前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する階調変化検出部と、
階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する発光条件制御部と、
前記発光条件制御部による制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延するフレーム遅延部と
を有することを特徴とする発光条件制御装置。
【請求項6】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で可変制御する発光条件制御方法において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値を算出する処理と、
前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する処理と、
階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する処理と、
前記発光条件の制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延する処理と
を有することを特徴とする発光条件制御方法。
【請求項7】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で可変制御するコンピュータに、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値を算出する処理と、
前フレームの平均階調値と現フレームの平均階調値との差分に基づいて、前フレームに対する階調変化の大きいフレームの出現を検出する処理と、
階調変化の大きいフレームの検出時、直前フレームを基準フレームに設定し、当該基準フレーム以降の所定期間内における表示フレームのピーク輝度が、基準フレームのピーク輝度値から後続する各フレームのピーク輝度値へと徐々に近づくように表示パネルの発光条件を制御する処理と、
前記発光条件の制御と表示パネルに出力される映像信号の位相が一致するように映像信号を遅延する処理と
を実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−147867(P2007−147867A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340435(P2005−340435)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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